JP2007138028A - プロトン伝導性膜の製造方法、プロトン伝導性膜及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたプロトン伝導性、メタノールクロスオーバー防止性を有するプロトン伝導性膜を製造することができ、かつ、プロトン伝導性膜の生産性を大幅に向上させることが可能なプロトン伝導性膜の製造方法、プロトン伝導性膜及び燃料電池を提供する。
【解決手段】スルホン酸基と金属−酸素結合からなる架橋構造とを有するプロトン伝導性膜を製造する方法であって、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)とからなる架橋性化合物を含有する液状体を調製する工程、前記架橋性化合物を含有する膜状体を作製する工程、及び、水蒸気雰囲気下で前記膜状体に紫外線照射又はプラズマ処理を行うことにより、前記メルカプト基及び/又はスルフィド基をスルホン酸基とすると同時に、前記膜状体を硬化させる工程を有するプロトン伝導性膜の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】スルホン酸基と金属−酸素結合からなる架橋構造とを有するプロトン伝導性膜を製造する方法であって、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)とからなる架橋性化合物を含有する液状体を調製する工程、前記架橋性化合物を含有する膜状体を作製する工程、及び、水蒸気雰囲気下で前記膜状体に紫外線照射又はプラズマ処理を行うことにより、前記メルカプト基及び/又はスルフィド基をスルホン酸基とすると同時に、前記膜状体を硬化させる工程を有するプロトン伝導性膜の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、優れたプロトン伝導性、メタノールクロスオーバー防止性を有するプロトン伝導性膜を製造することができ、かつ、製造工程を短縮してプロトン伝導性膜の生産性を大幅に向上させることが可能なプロトン伝導性膜の製造方法、該製造方法によって製造されるプロトン伝導性膜及び燃料電池に関する。
燃料電池は、発電効率が高くかつ環境特性に優れているため、近年、社会的に大きな課題となっている環境問題やエネルギー問題の解決に貢献できる次世代の発電装置として注目されている。燃料電池は、一般に電解質の種類によりいくつかのタイプに分類されるが、なかでも固体高分子形燃料電池(以下、PEFCともいう)は、他のタイプの燃料電池と比較して小型かつ高出力であり、例えば、車輌のパワーソース等の移動体用や、携帯用等の小規模オンサイト形の電源として次世代の主力とされており、実用化に向けた開発が盛んに行われている。
PEFCでは、通常、燃料として水素を用いる。水素は、アノード側に設置された触媒によりプロトン(水素イオン)と電子に分解される。分解により得られた電子は、外部に供給され電気として使用された後、カソード側へと循環される。一方、分解により得られたプロトンはプロトン伝導性膜(電解質膜)を通じてカソード側へと移動する。カソード側では、プロトン、循環されてきた電子、及び、外部から供給される酸素が触媒により反応して結合し水が生じる。即ち、PEFCは、水素と酸素とから水を作る際に電気を取り出すという、非常にクリーンなエネルギー源である。
燃料電池の燃料としては、上述のように水素を用いるのが主流であるが、アルコール、エーテル、炭化水素類等の水素以外の燃料を用い、触媒によりこれらの燃料からプロトンと電子とを取り出す燃料電池も検討されている。このような燃料電池としては、例えば、メタノール(通常、水溶液として用いる)を燃料とする直接メタノール形燃料電池(以下、DMFCともいう)が挙げられる。
燃料電池の燃料としては、上述のように水素を用いるのが主流であるが、アルコール、エーテル、炭化水素類等の水素以外の燃料を用い、触媒によりこれらの燃料からプロトンと電子とを取り出す燃料電池も検討されている。このような燃料電池としては、例えば、メタノール(通常、水溶液として用いる)を燃料とする直接メタノール形燃料電池(以下、DMFCともいう)が挙げられる。
PEFCやDMFC等の燃料電池において、プロトン伝導性膜は、アノード側で生じたプロトンをカソード側へ伝導する役目を持つ。このプロトンの伝導は、電子の流れと協奏的に起こるものである。従って、燃料電池において高い出力、即ち高い電流密度を得るためには、プロトン伝導性膜を介したプロトンの伝導を充分かつ高速に行う必要がある。このように、プロトン伝導性膜は、燃料電池の性能を決めてしまうキーマテリアルといっても過言ではない。
また、プロトン伝導性膜は、その他にもアノード側とカソード側との電気絶縁をする絶縁膜としての役割や、アノード側に供給される水素等の燃料がカソード側に漏れないようにする燃料バリア膜としての役割も併せ持つ。
また、プロトン伝導性膜は、その他にもアノード側とカソード側との電気絶縁をする絶縁膜としての役割や、アノード側に供給される水素等の燃料がカソード側に漏れないようにする燃料バリア膜としての役割も併せ持つ。
現在、PEFC等において用いられるプロトン伝導性膜としては、パーフルオロアルキレンを主骨格とし、一部にパーフルオロビニルエーテル側鎖の末端にスルホン酸基を有するスルホン化フッ素系樹脂膜が主流である。このようなプロトン伝導性膜は、非極性・撥水性の主鎖部分と、スルホン酸基を有し極性・親水性である側鎖部分とが相分離して、主鎖部分からなる海部にスルホン酸基が高濃度に集積した島部が分散する構造を示す。このスルホン酸基が高濃度に集積した島部がプロトン伝導経路として機能しているものと考えられている(非特許文献1参照)。このようなスルホン化フッ素系樹脂膜のうち市販されているものとしては、例えば、ナフィオン(Nafion(登録商標)膜(デュポン:DuPont社製、特許文献1参照。))、ダウ(Dow膜(ダウケミカル:Dow Chemical社製、特許文献2参照。))、アシプレックス(Aciplex(登録商標)膜(旭化成工業社製、特許文献3参照。))、フレミオン(Flemion(登録商標)膜(旭硝子社製))等が挙げられる。
しかし、これらのスルホン化フッ素樹脂膜は、メタノールとの親和性が極めて高いことから、DMFCに用いた場合、メタノールを吸収することにより大きく膨潤し、燃料バリアとしての機能が大幅に低下するという問題があった。また、メタノールを吸収して膨潤することにより、アノード側から供給されたメタノールがプロトンイオンに分解されずそのままカソード側へ達する、いわゆるメタノールクロスオーバーが発生し、燃料電池の出力が大きく低下したり、故障したりしてしまうという深刻な問題もあった。
また、DMFCでは、高出力化を目的として、燃料であるメタノールとして高濃度のものを用いることや、プロトン伝導性膜の厚みを薄くして膜抵抗を低下させることが一般に行われているが、メタノール濃度を高くすると、それに伴って膨潤性も向上し、膜厚を薄くすると、膨潤によって膜強度が低下することがあるため、高出力化が困難であった。
これに対して、特許文献4には、陽イオン交換基を有するポリマーにシリケートナノ粒子を分散させることにより、ポリマーの凝集力を高めた燃料電池用ナノ複合電解質膜が開示されており、特許文献5には、放射線架橋した酸基を含むフッ素材料に、主伝導材料となるスルホン化樹脂材料を充填した高分子電解質膜が開示されている。しかしながら、プロトン伝導性とメタノールクロスオーバー防止性とは相反するものであるため、プロトン伝導性を高めることを目的として、スルホン酸基等を含有する樹脂の組成を多くすると、プロトン伝導性は向上するものの、メタノールクロスオーバーの発生がより深刻なものとなっていた。
また、特許文献6には、スルホン酸基等のイオン性基を有する芳香族高分子と非架橋高分子との混合物からなる高分子固体電解質が開示されており、特許文献7には、剛直性多価芳香環及び屈曲性多価芳香環の全部又は一部にスルホン酸基等のアニオン性基を導入した高分子からなる高分子電解質が開示されている。これらの高分子電解質では、剛直な芳香族高分子を用いることによって、メタノールによる膨潤が起こりにくくなり、メタノールクロスオーバーの発生を若干低減できるが、一般に市販されているフッ素系樹脂を用いたものと同程度のプロトン伝導性を持たせた場合には、メタノールクロスオーバー防止効果に大きな向上は見られなかった。
更に、特許文献8には、メルカプト基含有アルコキシシランと、硼素酸化物と、他のアルコキシシリル化合物とを組み合わせた架橋体を形成し、その後メルカプト基を酸化することによりプロトン伝導性膜を製造する方法が開示されている。しかしながら、このような方法によって得られたプロトン伝導性膜は、塩酸水溶液等の触媒溶液を用いて架橋させているため、緻密な構造が形成されにくく、メタノールクロスオーバーの発生も効果的に防止することができなかった。
また、特許文献9には、プロトン伝導性膜を製造する方法として、メルカプト基含有オリゴマーを含有する膜状体を形成し、縮合反応をさせることにより架橋ゲルを得た後、膜中のメルカプト基を酸化させ、スルホン酸基とする方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、縮合反応工程及びメルカプト基の酸化工程に長時間を要し、プロトン伝導性膜の生産性が著しく低下していた。また、メルカプト基の酸化工程において、酸化剤として等の有機酸を大量に用いることから、廃液処理が必要となり、製造工程が煩雑化していた。従って、優れたプロトン伝導性、メタノールクロスオーバー防止性を有するプロトン伝導性膜を製造することができ、かつ、製造工程を短縮してプロトン伝導性膜の生産性を大幅に向上させることが可能なプロトン伝導性膜の製造方法が求められていた。
米国特許4330654号公報
特開平4−366137号公報
特開平6−342665号公報
特開2004−193136号公報
特開2004−273298号公報
特開2004−363013号公報
特開2004−335237号公報
特開2002−184427号公報
WO2004/070738号公報
ジャーナルオブポリマーサイエンス ポリマーフィジクス(J.Polymer Science、Polymer Physics、第19巻、第1687頁、1981)
しかしながら、この方法では、縮合反応工程及びメルカプト基の酸化工程に長時間を要し、プロトン伝導性膜の生産性が著しく低下していた。また、メルカプト基の酸化工程において、酸化剤として等の有機酸を大量に用いることから、廃液処理が必要となり、製造工程が煩雑化していた。従って、優れたプロトン伝導性、メタノールクロスオーバー防止性を有するプロトン伝導性膜を製造することができ、かつ、製造工程を短縮してプロトン伝導性膜の生産性を大幅に向上させることが可能なプロトン伝導性膜の製造方法が求められていた。
本発明は、優れたプロトン伝導性、メタノールクロスオーバー防止性を有するプロトン伝導性膜を製造することができ、かつ、製造工程を短縮してプロトン伝導性膜の生産性を大幅に向上させることが可能なプロトン伝導性膜の製造方法、該製造方法によって製造されるプロトン伝導性膜及び燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、スルホン酸基と金属−酸素結合からなる架橋構造とを有するプロトン伝導性膜を製造する方法であって、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)とからなる架橋性化合物を含有する液状体を調製する工程、前記架橋性化合物を含有する膜状体を作製する工程、及び、水蒸気雰囲気下で前記膜状体に紫外線照射又はプラズマ処理を行うことにより、前記メルカプト基及び/又はスルフィド基をスルホン酸基とすると同時に、前記膜状体を硬化させる工程を有するプロトン伝導性膜の製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、メルカプト基及び/又はスルフィド基を有する架橋性化合物を含有する膜状体に、水蒸気雰囲気下で紫外線又はプラズマを照射することで、従来は別々に行っていた膜状体の硬化工程と、スルホン酸化工程とを同時に行うことができ、これにより、得られるプロトン伝導性膜のプロトン伝導性、メタノールクロスオーバー防止性等を確保しつつ、製造工程を短縮してプロトン伝導性膜の生産性を大幅に向上させることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明では、まず、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)とからなる架橋性化合物を含有する液状体を調製する工程を行う。
本発明では、架橋性化合物として、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)とからなるものを用いる。なお、上記架橋性化合物としては、架橋性モノマー又は架橋性オリゴマーを用いることができるが、本発明では、架橋性オリゴマーを用いることが好ましい。上記架橋性オリゴマーを用いた場合、架橋性モノマーを用いるよりも架橋制御が容易となる。また、3次元架橋構造体からなる接合部中にスルホン酸基を均一に分散させることができ、優れたプロトン伝導性を有するプロトン伝導性膜を製造することができる。更に、上記架橋性オリゴマーを用いることで、高い耐熱性、耐薬品性を有するプロトン伝導性膜が得られ、プロトン伝導性と耐熱性、耐薬品性とを両立させることが可能となる。
本発明では、架橋性化合物として、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)とからなるものを用いる。なお、上記架橋性化合物としては、架橋性モノマー又は架橋性オリゴマーを用いることができるが、本発明では、架橋性オリゴマーを用いることが好ましい。上記架橋性オリゴマーを用いた場合、架橋性モノマーを用いるよりも架橋制御が容易となる。また、3次元架橋構造体からなる接合部中にスルホン酸基を均一に分散させることができ、優れたプロトン伝導性を有するプロトン伝導性膜を製造することができる。更に、上記架橋性オリゴマーを用いることで、高い耐熱性、耐薬品性を有するプロトン伝導性膜が得られ、プロトン伝導性と耐熱性、耐薬品性とを両立させることが可能となる。
なお、強固な3次元架橋構造体を得る方法としては、金属−酸素結合を有する架橋性モノマーと金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する架橋性モノマーとを併用した接合材料を用いることも考えられるが、このような方法では、架橋性モノマーの種類や架橋反応条件の制約を受けるだけでなく、組み合わせる架橋性モノマー、架橋反応条件が好ましくない場合には、3次元架橋構造体が得られずホモ構造(それぞれが独立して架橋し、混合物として存在している状態)等となったり、架橋性モノマーが散逸したりすることがある。これに対し、上記架橋性オリゴマーを用いることで、オリゴマー中の架橋基を自由に制御できるため、組み合わせるモノマー、オリゴマー、又は、架橋反応条件の自由度が格段に向上する。更に、架橋性オリゴマーの組成や重合度を調整することにより、反応速度、極性等も調整可能であり、プロセスウインドウも広がり、所望の性質を有する3次元架橋構造体を形成することが可能となる。以下、架橋性化合物として架橋性オリゴマーを用いる場合について説明する。
上記架橋性オリゴマーは、その構造単位中に金属−酸素結合を有する加水分解性シリル基等を有し、水の存在下で加水分解、縮合を起こし(sol−gel反応)、3次元架橋体を形成する。上記金属−酸素結合に用いられる金属としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等が挙げられるが、これらのなかでは、ケイ素が好ましい。
上記金属−酸素結合を有する構造単位(a)としては、例えば、下記式(1)に示す構造を有するものを用いることができる。下記式(1)に示す構造単位は、sol−gel反応の基本化合物であり、安価かつ大量に入手することができ、得られる架橋体は極めて安定である。
式(1)中、R1はCl、OCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC6H5、OH、OCOCH3又は架橋に関与する−O−結合を表す。
更に、上記金属−酸素結合を有する構造単位(a)としては、下記式(2)に示す構造を有するものを用いることができる。
式(2)中、R1はCl、OCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC6H5、OH、OCOCH3又は架橋に関与する−O−結合、R2は炭素数20以下のアルキル基又はフェニル基を表し、nは1〜3の整数を表す。
ここで、上記式(2)中のR2としては、主としてメチル基、エチル基、プロピル基が用いられ、種々のR1との組み合わせが挙げられる。このような組み合わせとしては、例えば、R1がエトキシ基の場合、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等が挙げられる。これらのモノアルキル、ジアルキル又はトリアルキルを用いると、接合材料の物性が大きく変更でき、例えば、柔軟性を付与したり、撥水性を付与してフラッディングを防止したりすることができる。
更に、上記金属−酸素結合を有する構造単位(a)としては、下記式(3)に示す構造を有するものを用いることができる。
式(3)中、R1はCl、OCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC6H5、OH、OCOCH3又は架橋に関与する−O−結合、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基、R4は炭素数30以下の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数を表す。
上記式(3)中のR4としては、エチレン、ブチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、テトラデカメチレン、ヘキサデカメチレン、ドコサメチレン等が挙げられる。
具体的な組み合わせとしては、例えば、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ブタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,10−ビス(トリエトキシシリル)デカン、1,12−ビス(トリエトキシシリル)ドデカン、1,14−ビス(トリエトキシシリル)テトラドデカン、1,22−ビス(トリエトキシシリル)ドコサン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン等が挙げられ、いずれも対応するジエン化合物へのトリエトキシシランのヒドロシリル化反応により得ることができる。ヒドロシリル化反応の際、トリエトキシシランの代わりに、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等を用いることにより、異なった加水分解性シリル基を有する化合物を得ることができる。これらのうち、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼンは、GELEST社より市販されている。
これらの構造単位を有する架橋性オリゴマーは、接合材料の物性を改善することができ、更に架橋反応も制御できるため、好ましく用いることができる。
具体的な組み合わせとしては、例えば、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ブタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,10−ビス(トリエトキシシリル)デカン、1,12−ビス(トリエトキシシリル)ドデカン、1,14−ビス(トリエトキシシリル)テトラドデカン、1,22−ビス(トリエトキシシリル)ドコサン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン等が挙げられ、いずれも対応するジエン化合物へのトリエトキシシランのヒドロシリル化反応により得ることができる。ヒドロシリル化反応の際、トリエトキシシランの代わりに、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等を用いることにより、異なった加水分解性シリル基を有する化合物を得ることができる。これらのうち、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼンは、GELEST社より市販されている。
これらの構造単位を有する架橋性オリゴマーは、接合材料の物性を改善することができ、更に架橋反応も制御できるため、好ましく用いることができる。
上記架橋性オリゴマーは、金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)を有する。
これにより、予め架橋性オリゴマー中にて複数のスルホン酸基を配列構造化することができ、効率的なプロトン伝導経路(イオンチャネル)を形成することが可能となる。なお、プロトン伝導性を高める手段としては、例えば、金属−酸素結合を有する構造単位(a)のみからなる架橋性オリゴマーを用い、別に大量にスルホン酸基を導入する方法も考えられるが、このような方法では、スルホン酸基がイオン経路とならない部分にまで導入されてしまい、プロトン伝導性膜が極度に親水性となって、水との接触によりプロトン伝導性膜がひび割れたり、水に溶解したりしてしまうといった問題が発生する。
これにより、予め架橋性オリゴマー中にて複数のスルホン酸基を配列構造化することができ、効率的なプロトン伝導経路(イオンチャネル)を形成することが可能となる。なお、プロトン伝導性を高める手段としては、例えば、金属−酸素結合を有する構造単位(a)のみからなる架橋性オリゴマーを用い、別に大量にスルホン酸基を導入する方法も考えられるが、このような方法では、スルホン酸基がイオン経路とならない部分にまで導入されてしまい、プロトン伝導性膜が極度に親水性となって、水との接触によりプロトン伝導性膜がひび割れたり、水に溶解したりしてしまうといった問題が発生する。
これに対して、上記架橋性オリゴマーを用いた場合は、イオン経路に沿って効率的にスルホン酸基を導入できるため、プロトン伝導性膜の物性(耐久性、耐熱性、耐水性等)を落とさず、充分なプロトン伝導性を確保することが可能となる。一方、sol−gel反応は一般的に脱水縮合を起こすため、プロトン伝導性膜の収縮が発生し、場合によってはプロトン伝導性膜が応力破壊する可能性がある。しかしながら、上記架橋性オリゴマーを使用した場合には、脱水縮合すべき官能基の総数を減少することが可能なため、脱水縮合によるプロトン伝導性膜の収縮を押さえることができるため、より強固に接合することが可能となる。
上記金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)としては、下記式(4)に示す構造を有するものが好ましい。下記式(4)に示す構造単位を有する架橋性オリゴマーは、加水分解性シリル基を有し、sol−gel反応により、3次元架橋構造体を形成することが可能である。また、その他の金属−酸素結合を有する架橋性オリゴマーと複合架橋させることも可能である。
式(4)中、R1はCl、OCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC6H5、OH、OCOCH3又は架橋に関与する−O−結合、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基、R5はメルカプト基を有する有機基を表し、nは1〜3の整数を表す。
また、上記金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)としては、例えば、下記式(5)に示す構造を有するものを用いることができる。
式(5)中、R1はCl、OCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC6H5、OH、OCOCH3又は架橋に関与する−O−結合、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基を表し、nは1〜3の整数、mは1〜20の整数を表す。
上記式(5)に示す構造単位を有する架橋性オリゴマーは、ケイ素原子とメルカプト基とを結ぶ結合が、ポリメチレン分子鎖であるため、分岐が無く、酸化、酸、高温高湿度に対しても安定であり、好ましく用いることができる。
更に、上記金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)としては、例えば、下記式(6)に示す構造を有するものを用いることができる。
式(6)中、R1はCl、OCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC6H5、OH、OCOCH3又は架橋に関与する−O−結合を表し、nは2〜4の整数を表す。
上記架橋性オリゴマー中の金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)とのモル比は、1:1〜19:1であることが好ましい。構成比を上記範囲内とすることにより、得られるプロトン伝導性膜は、充分な耐熱性、耐薬品性を確保しつつ、優れたプロトン伝導性を有するものとなるため、耐熱性、耐薬品性とプロトン伝導性とを両立させることが可能となる。
上記架橋性オリゴマーの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、加水分解性シリル化合物とメルカプト基含有アルコキシシランとを共重縮合させる方法等が挙げられる。
上記加水分解性シリル化合物としては、例えば、下記式(7)及び/又は(8)に示す構造を有するものを用いることが好ましい。
式(7)中、R6はCl、OH、OCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC6H5又はOCOCH3である。
上記式(7)に示す加水分解性シリル化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。このうち、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランは汎用品であり、安価であり、大量かつ容易に入手可能であるため、特に好ましく用いることができる。また、上記式(7)に示す加水分解性シリル化合物において、上記R6としては、アルコキシ基が最も好ましく、中でも入手が容易な炭素数4以下のアルコキシ基が好ましい。
更に、上記架橋性オリゴマーを製造する際に用いられる加水分解性シリル化合物としては、下記式(8)に示す構造を有する化合物を用いることができる。
式(8)中、R6はCl、OH、OCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC6H5又はOCOCH3であり、R2は炭素数20以下のアルキル基又はフェニル基であり、nは2〜3の整数である。
上記式(8)に示す構造を有する加水分解性シリル化合物において、nは2〜3である。nが1であると、重縮合反応を行った場合に末端を封止したり、オリゴマーの反応性を極度に低下させる可能性がある。上記R6としては、縮合反応が可能なものや、加水分解により縮合可能な基が生成するものであればよく、アルコキシ基が最も好ましく、中でも入手が容易な炭素数4以下のアルコキシ基が特に好ましい。
上記式(8)に示す加水分解性シリル化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン等のメトキシ体、及び、これらのエトキシ体、イソプロポキシ体、ブトキシ体等が挙げられる。特に上記R6が、メトキシ、エトキシのものは反応制御、入手が容易であることから、好適に用いられる。
上記メルカプト基含有アルコキシシランとしては、少なくとも1つのメルカプト基と、少なくとも1つのアルコキシシリル基を有するものであればよく、特に限定されないが、下記式(9)に示す構造を有する化合物を用いることが好ましい。
式(9)中、R6はCl、OH、OCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC6H5又はOCOCH3であり、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基であり、nは2〜3の整数、mは1〜20の整数である。
上記R6としては、縮合反応が可能なものや、加水分解により縮合可能な基が生成するものであればよく、アルコキシ基が最も好ましく、中でも入手が容易な炭素数4以下のアルコキシ基が特に好ましい。
上記R3としては、アルコキシシリル基と反応しない非反応性基が好適に用いられる。
上記R3としては、アルコキシシリル基と反応しない非反応性基が好適に用いられる。
上記式(9)に示す構造を有する化合物において、nは2〜3である。nが1であると、重縮合反応を行った場合に反応が停止してしまい、好ましいメルカプト基含有オリゴマーが形成できないか、メルカプト基含有オリゴマーの反応性を極度に低下させることがあり、主成分として用いることは困難である。なお、少量添加してメルカプト基含有オリゴマーの分子量調整を行うことは可能である。
nが3であるメルカプト基含有アルコキシシランとしては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリブトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、R8がOCH3又はOC2H5であるものが好ましく、特にmが3、nが3である3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランは、Gelest社から市販されており、好ましく用いることができる。中でも、R6がOCH3の3−メルカプトプロピルトリメトキシシランは汎用品であり、大量かつ低価格で入手できるため好ましく用いることができる。
nが2であるメルカプト基含有アルコキシシランとしては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジブトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルブチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルフェニルジメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、R6がOCH3又はOC2H5であり、R3がメチル基である化合物が好ましく、更に、mが3である3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランはGelest社から市販されており、好適に用いられる。
また、上記メルカプト基含有アルコキシシランは、2重結合とハロゲン基とを有する炭素数20以下の直鎖状炭化水素化合物に対し、2重結合部に白金錯体触媒を用いたヒドロシリル化反応により所望のアルコキシシリル基を導入し、ハロゲン基部分に水硫化ナトリウムを反応させる方法や、2重結合が2つある場合には、一方の2重結合にヒドロシリル化反応によりアルコキシシリル基を導入し、もう一方の2重結合にチオ硫酸等を付加させた後に加水分解する方法によっても、得ることができる。この場合、予めアルコキシシリル基を有し、ハロゲン基又は2重結合を有する化合物を原料として用いた場合、反応は1段階で完了することができ、好ましい。
上記メルカプト基含有アルコキシシラン及び加水分解性シリル化合物を原料として、複数のメルカプト基を有するメルカプト基含有オリゴマーを製造する方法としては特に限定されず、例えば、特開平9−40911号公報、特開平8−134219号公報、特開2002−30149号公報、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry、第33巻、第751−754頁、1995、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry、第37巻、第1017−1026頁、1999等に示すような、公知の方法を用いることができる。
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法では、上述の工程を行った後、上記架橋性化合物を含有する膜状体を作製する工程を行う。
上記架橋性化合物を含有する膜状体を作製する工程では、上記架橋性化合物を含有する液状体を離型性のあるフィルム上に流延する等の方法により単独で膜状体を形成してもよいが、上記架橋性化合物を含有する溶液を多孔質膜に含浸させることにより、膜状体を作製することが好ましい。上記多孔質膜を用いることで、薄く、均一な厚みを有する膜状体を得ることができる。また、原料の無駄を抑制することができ、膜状体の作製に要する時間を短縮化できる。
上記多孔質膜に架橋性化合物を含有する溶液を含浸させる方法としては特に限定されず、例えば、プレス等によるスタンピングやロール処理等の方法が挙げられる。更に必要に応じて、減圧等を行ってもよい。
上記多孔質膜に架橋性化合物を含有する溶液を含浸させた後は、必要に応じて養生を行うことが好ましい。このような養生を行うことにより、上記架橋性化合物が空気中の水分によって徐々にゲル化し、半硬化状態となるため、次工程を行うことが容易となる。
上記養生を行う際の条件としては特に限定されず、例えば、常温−常湿度下で養生してもよく、加湿条件下で行ってもよい。また、上記養生を行う時間は、メルカプト基及び/又はスルフィド基の含有量、その他の化合物配合にもよるが、1分から100時間程度が好ましい。
上記養生を行う際の条件としては特に限定されず、例えば、常温−常湿度下で養生してもよく、加湿条件下で行ってもよい。また、上記養生を行う時間は、メルカプト基及び/又はスルフィド基の含有量、その他の化合物配合にもよるが、1分から100時間程度が好ましい。
上記多孔質膜としては、特に限定されず、例えば、フッ素樹脂材料、高分子量ポリエチレン材料、超高分子量ポリエチレン材料、環状ポリエチレン材料、シリコーン樹脂材料などからなる多孔質膜や、ガラス繊維、全芳香族ポリエステルからなる不織布等が挙げられる。特に、空隙率が高く、多様な口径をもつ膜が市販されているPTFE多孔質膜、ポリエチレン多孔質膜が好適に用いられる。
更に、コロナ処理やプラズマ処理などの親水化処理を行っても良い。
更に、コロナ処理やプラズマ処理などの親水化処理を行っても良い。
特に、上記多孔質膜を構成する材料として、ガラス転移温度が硬化温度以下の熱可塑性樹脂からなるものを用いた場合、硬化工程において、上記架橋性化合物は、脱水、脱アルコール反応等によって収縮するが、硬化工程において、架橋性化合物の収縮に追従して多孔質膜も収縮するため、架橋性化合物との間に大きな空隙が生じることがない。
上記多孔質膜の厚みの好ましい下限は20μm、好ましい上限は100μmである。20μm未満であると、多孔質膜を用いることによる補強効果が低下することがあり、100μmを超えると、燃料電池に用いた場合にプロトン伝導性に対する膜抵抗が大きくなるため、発電性能が低下することがある。
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法では、次いで、水蒸気雰囲気下で前記膜状体に紫外線照射又はプラズマ処理を行うことにより、前記メルカプト基及び/又はスルフィド基をスルホン酸基とすると同様に、前記膜状体を硬化させる工程を行う。上記工程では、メルカプト基及び/又はスルフィド基が酸化され、スルホン酸基となるとともに、膜状体中の加水分解性シリル基の加水分解、縮合及び/又はシラノール基の縮合が起こることにより、スルホン酸基とケイ素−酸素結合からなる架橋構造とを有するプロトン伝導性膜を形成される。
本発明では、従来は別々に行っていた膜状体の硬化工程と、スルホン酸化工程とを同時に行うことにより、得られるプロトン伝導性膜のプロトン伝導性、メタノールクロスオーバー防止性等を確保しつつ、製造工程を短縮してプロトン伝導性膜の生産性を大幅に向上させることが可能となる。また、このような方法を用いることで、スルホン酸基の位置を制御することが可能となる。
本発明では、従来は別々に行っていた膜状体の硬化工程と、スルホン酸化工程とを同時に行うことにより、得られるプロトン伝導性膜のプロトン伝導性、メタノールクロスオーバー防止性等を確保しつつ、製造工程を短縮してプロトン伝導性膜の生産性を大幅に向上させることが可能となる。また、このような方法を用いることで、スルホン酸基の位置を制御することが可能となる。
上記工程において紫外線照射を行う場合、上記紫外線の照射量、紫外線の照射時間については、上記紫外線の強度や架橋性化合物の種類等により適宜決定される。また、上記膜状体の厚さによって、上記紫外線の照射量や照射時間を調整することが好ましい。
上記紫外線の光源としては、特に限定されず、例えば、蛍光ランプ、高圧水銀灯等の紫外線照射源として一般的なものを用いることができる。また、光源として、例えば、低圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、殺菌灯、レーザー光等を使用してもよい。
上記プラズマ処理とは、電極間に導いた気体に電圧を印加することにより励起させてプラズマ化ガスとし、このプラズマ化ガスにより膜状体を処理するものである。
上記プラズマ処理は、一対の対向電極を有し、該電極の対向面の少なくとも一方に固体誘電体が設置されている装置において行われることが好ましい。プラズマが発生する部位は、上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合は、固体誘電体と電極との間、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合は、固体誘電体同士の間の空間である。この固体誘電体と電極との間又は固体誘電体同士の間に対象物体を配置してプラズマ処理を行う。
上記電極としては特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属化合物等からなるものが挙げられる。
上記対向電極は、電界集中によるアーク放電の発生を避けるために、対向電極間の距離が略一定となる構造であることが好ましい。この条件を満たす電極構造としては、平行平板形、円筒対向平板形、球対向平板形、双曲面、対向平板形、同軸円筒形構造等が挙げられる。
上記固体誘電体は、上記電極の対向面の一方又は双方に設置されていることが好ましい。この際、固体誘電体と設置される側の電極が密着し、かつ、接する電極の対向面を完全に覆うようにする。固体誘電体によって覆われずに電極同士が直接対向する部位があると、そこからアーク放電が生じるためである。
上記固体誘電体の形状は、シート状でもフィルム状でもよいが、好ましい厚さの下限が0.01mm、好ましい厚さの上限が4mmである。0.01mm未満であると放電プラズマを発生するのに高電圧を要し、4mmを超えると電圧印加時に絶縁破壊が起こりアーク放電が発生する。
上記固体誘電体の形状は、シート状でもフィルム状でもよいが、好ましい厚さの下限が0.01mm、好ましい厚さの上限が4mmである。0.01mm未満であると放電プラズマを発生するのに高電圧を要し、4mmを超えると電圧印加時に絶縁破壊が起こりアーク放電が発生する。
上記固体誘電体の材質としては特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
また、上記固体誘電体は、比誘電率が25℃環境下で2以上であることが好ましい。比誘電率が2以上の誘電体の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化膜等が挙げられる。さらに、高密度の放電プラズマを安定して発生させるためには、比誘電率が10以上の固体誘電体を用いることが好ましい。
比誘電率の上限は特に限定されるものではないが、現実の材料では18500程度のものが知られている。比誘電率が10以上の固体誘電体としては、酸化チタン5〜50重量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜、又は、酸化ジルコニウムを含有する金属酸化物被膜からなり、その被膜の厚みが10〜1000μmであるものを用いることが好ましい。
また、上記固体誘電体は、比誘電率が25℃環境下で2以上であることが好ましい。比誘電率が2以上の誘電体の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化膜等が挙げられる。さらに、高密度の放電プラズマを安定して発生させるためには、比誘電率が10以上の固体誘電体を用いることが好ましい。
比誘電率の上限は特に限定されるものではないが、現実の材料では18500程度のものが知られている。比誘電率が10以上の固体誘電体としては、酸化チタン5〜50重量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜、又は、酸化ジルコニウムを含有する金属酸化物被膜からなり、その被膜の厚みが10〜1000μmであるものを用いることが好ましい。
上記電極間の距離としては特に限定されず、雰囲気ガスの圧力、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマ放電処理された対象物を利用する目的等を考慮して決定され、好ましい下限は0.5mm、好ましい上限は50mmである。0.5mm未満であると、電極間における雰囲気ガス濃度の変動が大きく、処理が不均一になり易く、また、電極間に設置する被処理物の厚さが限定されてしまう。50mmを超えると、均一な放電プラズマを発生させることが困難である。
また、印加する電圧はパルス電圧が好ましい。パルス波形はインパルス形、方形波形、変調形の波形のいずれでもよく、さらに印加電圧が正負の繰り返しであっても、正又は負のいずれかの極性側に電圧が印加される片波状の波形であってもよい。
また、印加する電圧はパルス電圧が好ましい。パルス波形はインパルス形、方形波形、変調形の波形のいずれでもよく、さらに印加電圧が正負の繰り返しであっても、正又は負のいずれかの極性側に電圧が印加される片波状の波形であってもよい。
上記プラズマ処理に用いる処理ガスとしては特に限定されないが、例えば、酸素ガスが好適である。また、経済性及び安全性の観点から、処理ガス単独雰囲気よりも、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスや窒素ガス等の希釈ガスを併用することが好ましい。これらの希釈ガスは単独でも用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、併用によりプラズマ密度を高め高速処理を可能とすることができ、また、入手が容易で安価でもあることから、アルゴンガス、窒素ガスが好適である。
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法では、sol−gel反応の反応加速、制御を目的として、触媒を用いてもよい。また、上記触媒は、上記膜状体を作製した後に導入することが好ましい。上記架橋性化合物を含有する液状体に触媒を導入した場合、得られるプロトン伝導性膜の重量、厚み、透明度等にバラツキが生じることがあるが、膜状体を作製した後に触媒を導入することにより、所望の品質を有するプロトン伝導性膜を得ることが可能となる。
上記触媒は、酸触媒であってもよく、塩基触媒であってもよい。上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等が挙げられる。上記塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン類等が挙げられる。
上記有機アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ジプロピルアミン、イソブチルアミン、ジエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、ピペラジン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
また、上記触媒としては、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムフロリド、テトラエチルアンモニウムフロリド等のフッ素化合物を用いてもよい。
上記有機アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ジプロピルアミン、イソブチルアミン、ジエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、ピペラジン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
また、上記触媒としては、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムフロリド、テトラエチルアンモニウムフロリド等のフッ素化合物を用いてもよい。
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法を用いることにより、優れたプロトン伝導性を有し、かつ、メタノールクロスオーバーの発生を大幅に低減することが可能なプロトン伝導性膜を得ることができる。このようなプロトン伝導性膜もまた本発明の1つである。
また、このようにして得られたプロトン伝導性膜をダイレクトメタノール方式等の燃料電池に用いた場合、安定した性能を有する燃料電池を得ることができる。このような燃料電池は、エネルギー効率に優れ、高い出力密度を得ることができる。その結果、メタノール溶液の貯蔵タンクを小さくすることが可能となり、クリーンで高出力、連続運転性に優れたモバイル家電製品用電源として好適に用いることができる。このような燃料電池もまた本発明の1つである。
また、このようにして得られたプロトン伝導性膜をダイレクトメタノール方式等の燃料電池に用いた場合、安定した性能を有する燃料電池を得ることができる。このような燃料電池は、エネルギー効率に優れ、高い出力密度を得ることができる。その結果、メタノール溶液の貯蔵タンクを小さくすることが可能となり、クリーンで高出力、連続運転性に優れたモバイル家電製品用電源として好適に用いることができる。このような燃料電池もまた本発明の1つである。
本発明によれば、メルカプト基及び/又はスルフィド基を有する架橋性化合物を含有する膜状体に、水蒸気雰囲気下で紫外線又はプラズマを照射することで、従来は別々に行っていた膜状体の硬化工程と、スルホン酸化工程とを同時に行うことができ、これにより、得られるプロトン伝導性膜のプロトン伝導性、メタノールクロスオーバー防止性等を確保しつつ、製造工程を短縮してプロトン伝導性膜の生産性を大幅に向上させることが可能なプロトン伝導性膜の製造方法とすることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン17.7g、テトラエトキシシラン168.7g及びメタノール28.5gをフラスコに計量し、0℃で10分攪拌した。そこに、0.1N塩酸14.6gとメタノール19.5gとを混合した溶液を添加し、0℃で1時間攪拌し、40℃に昇温後、更に2時間攪拌した。次いで、フッ化カリウム0.190gとメタノール28.5gとを混合した溶液を添加し、40℃で1時間攪拌し、80℃に昇温後、更に2時間攪拌した。混合溶液を0℃に冷却し、その後、40℃、真空にてアルコールを分留した。得られた溶液を0℃に冷却し、ジエチルエーテル200mLを加えて、0℃で10分攪拌した後、メンブレンフィルター(MILLIPORE社製、オムニポアメンブレン孔径0.2μm)を用いて濾過した。得られた濾液から40℃真空にてジエチルエーテルを分留し、メルカプト基含有シランオリゴマーAを得た。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン17.7g、テトラエトキシシラン168.7g及びメタノール28.5gをフラスコに計量し、0℃で10分攪拌した。そこに、0.1N塩酸14.6gとメタノール19.5gとを混合した溶液を添加し、0℃で1時間攪拌し、40℃に昇温後、更に2時間攪拌した。次いで、フッ化カリウム0.190gとメタノール28.5gとを混合した溶液を添加し、40℃で1時間攪拌し、80℃に昇温後、更に2時間攪拌した。混合溶液を0℃に冷却し、その後、40℃、真空にてアルコールを分留した。得られた溶液を0℃に冷却し、ジエチルエーテル200mLを加えて、0℃で10分攪拌した後、メンブレンフィルター(MILLIPORE社製、オムニポアメンブレン孔径0.2μm)を用いて濾過した。得られた濾液から40℃真空にてジエチルエーテルを分留し、メルカプト基含有シランオリゴマーAを得た。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン40.7g、テトラエトキシシラン144.2g及びメタノール26.5gをフラスコに計量し、0℃で10分攪拌した。そこに、0.1N塩酸15.6gとメタノール20.8gとを混合した溶液を添加し、0℃で1時間攪拌し、40℃に昇温後、更に2時間攪拌した。次いで、フッ化カリウム0.195gとメタノール29.7gとを混合した溶液を添加し、40℃で1時間攪拌し、80℃に昇温後、更に2時間攪拌した。混合溶液を0℃に冷却し、その後、40℃、真空にてアルコールを分留した。得られた溶液を0℃に冷却し、ジエチルエーテル200mLを加えて、0℃で10分攪拌した後、メンブレンフィルター(MILLIPORE社製、オムニポアメンブレン孔径0.2μm)を用いて濾過した。得られた濾液から40℃真空にてジエチルエーテルを分留し、メルカプト基含有シランオリゴマーBを得た。
メルカプト基含有シランオリゴマーA3.07gと、メルカプト基含有シランオリゴマーB1.0gを混合した液を30秒程度攪拌した後、フッ素樹脂フィルム上でこの溶液を展開した。この溶液上に15cm角に切ったポリエチレン多孔質材料(帝人ソルフィル社製、7P03A)を被せて溶液を含浸させ、また、溶液が気泡等の影響で充分含浸されなかった部分では、ポリエチレン製のへらを用いて、溶液を多孔質材料中にムラがないように含浸させた。その後、フッ素樹脂フィルムを被せ、その上からアプリケーターで膜厚が50μmになるようレベリングした。フッ素樹脂フィルムを被せたまま室温で80時間養生した後、フッ素樹脂フィルムを剥がし、更に20時間養生した。
得られた膜に、25℃の水蒸気雰囲気下で波長が254μm、610μW/cm2の紫外線を1時間照射することにより、半透明の膜を得た。これを複合化プロトン伝導性膜とした。得られたプロトン伝導性膜は、1辺が13cm、厚さが約47μmであった。
(実施例2)
紫外線照射の代わりに、常圧プラズマ処理装置(積水化学工業社製)を用いて、窒素:酸素を95:5の割合で混合したガスを装置内が10.100×104Paになるまで導入し、電極間に電圧14.0kV、周波数6.0kHzのパルス電界を印加してグロー放電プラズマを発生させ、300秒間プラズマ処理を行った以外は実施例1と同様にして、プロトン伝導性膜を得た。得られたプロトン伝導性膜は、1辺が13cm、厚さが約47μmであった。
紫外線照射の代わりに、常圧プラズマ処理装置(積水化学工業社製)を用いて、窒素:酸素を95:5の割合で混合したガスを装置内が10.100×104Paになるまで導入し、電極間に電圧14.0kV、周波数6.0kHzのパルス電界を印加してグロー放電プラズマを発生させ、300秒間プラズマ処理を行った以外は実施例1と同様にして、プロトン伝導性膜を得た。得られたプロトン伝導性膜は、1辺が13cm、厚さが約47μmであった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法でポリエチレン多孔質材料に、メルカプト基含有シランオリゴマーAと、メルカプト基含有シランオリゴマーBを含有する溶液を含浸させた膜を得た後、得られた膜をフッ素樹脂シートで挟み、更にそれらを2枚のガラス板で挟んだ状態でガラス製の容器に水500mLとともに入れ、ギアオーブンを用いて80℃で24時間加熱硬化させた。
実施例1と同様の方法でポリエチレン多孔質材料に、メルカプト基含有シランオリゴマーAと、メルカプト基含有シランオリゴマーBを含有する溶液を含浸させた膜を得た後、得られた膜をフッ素樹脂シートで挟み、更にそれらを2枚のガラス板で挟んだ状態でガラス製の容器に水500mLとともに入れ、ギアオーブンを用いて80℃で24時間加熱硬化させた。
次いで、硬化後の膜を別のガラス製容器に移し替え、水に80℃で1時間浸漬し、未反応物及び副生成物を膜から抽出した。抽出液を除いた後、酢酸125mL、30%過酸化水素水100mLを混合して作製した過酢酸に膜を浸漬し、ホットプレートにて60℃で1時間加熱した。得られた溶液を過酢酸溶液から取り出し、80℃の水に1時間、浸漬して過酢酸溶液を充分に除いて、半透明の膜を得た。これをプロトン伝導性膜とした。
(評価)
実施例1、2及び比較例1で作製したプロトン伝導性膜について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
実施例1、2及び比較例1で作製したプロトン伝導性膜について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
(1)イオン交換容量評価
プロトン伝導性膜を1N塩酸水溶液に4時間浸漬し、蒸留水でよく洗浄した。pH試験紙を用いて充分に洗浄されたことを確認した後、室温にて24時間放置乾燥し、更に50℃の真空下にて6時間乾燥してから、試料の重量を測定した。次に、2mol/Lの塩化ナトリウム水溶液に試料を浸漬し、6時間静置した。その後、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定を行い、その滴定量からイオン交換容量を算出した。
プロトン伝導性膜を1N塩酸水溶液に4時間浸漬し、蒸留水でよく洗浄した。pH試験紙を用いて充分に洗浄されたことを確認した後、室温にて24時間放置乾燥し、更に50℃の真空下にて6時間乾燥してから、試料の重量を測定した。次に、2mol/Lの塩化ナトリウム水溶液に試料を浸漬し、6時間静置した。その後、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定を行い、その滴定量からイオン交換容量を算出した。
(2)メタノール透過性評価
直径2cmの円形の窓を有する円形セル2つを用い、窓の部分でゴムパッキンを介してプロトン伝導性膜を挟み込み、一方のセルに30wt%メタノールを、他方のセルに純水を入れ、25℃にて3時間、スターラーで攪拌した。その後、純水側に透過したメタノールX(wt%)をガスクロマトグラフィーにより測定し、下記式(1)によりメタノール透過性を算出した。
直径2cmの円形の窓を有する円形セル2つを用い、窓の部分でゴムパッキンを介してプロトン伝導性膜を挟み込み、一方のセルに30wt%メタノールを、他方のセルに純水を入れ、25℃にて3時間、スターラーで攪拌した。その後、純水側に透過したメタノールX(wt%)をガスクロマトグラフィーにより測定し、下記式(1)によりメタノール透過性を算出した。
(3)膨潤寸法変化率評価
プロトン伝導性膜を1辺が10cmの正方形に切断し、これを純メタノール中に浸漬して、25℃において24時間放置した。その後、プロトン伝導性膜を純メタノールから取り出し、表面の液体を取り除いた後、すばやく寸法を測定し、浸漬後寸法を浸漬前寸法で割った値の4辺の平均値を寸法膨潤率として表した。
プロトン伝導性膜を1辺が10cmの正方形に切断し、これを純メタノール中に浸漬して、25℃において24時間放置した。その後、プロトン伝導性膜を純メタノールから取り出し、表面の液体を取り除いた後、すばやく寸法を測定し、浸漬後寸法を浸漬前寸法で割った値の4辺の平均値を寸法膨潤率として表した。
(4)高温域におけるプロトン伝導性評価
プロトン伝導性膜を電気化学セル(特開2002−184427号公報中の図3に記載されたものと同一のもの)にセットし、プロトン伝導性膜と白金板とを密着させた。この白金板に、電気化学インピーダンス測定装置(ソーラトロン社製、1260型)を接続し、周波数0.1Hz〜100kHzの領域でインピーダンスを測定し、プロトン伝導性膜のプロトン伝導度を評価した。
測定では、試料を電気的に絶縁された密閉容器中に支持し、温度コントローラーによりセル温度を80℃とし、温度が90%RHについて、測定開始から24時間後の伝導度を求めた。
プロトン伝導性膜を電気化学セル(特開2002−184427号公報中の図3に記載されたものと同一のもの)にセットし、プロトン伝導性膜と白金板とを密着させた。この白金板に、電気化学インピーダンス測定装置(ソーラトロン社製、1260型)を接続し、周波数0.1Hz〜100kHzの領域でインピーダンスを測定し、プロトン伝導性膜のプロトン伝導度を評価した。
測定では、試料を電気的に絶縁された密閉容器中に支持し、温度コントローラーによりセル温度を80℃とし、温度が90%RHについて、測定開始から24時間後の伝導度を求めた。
本発明によれば、優れたプロトン伝導性、メタノールクロスオーバー防止性を有するプロトン伝導性膜を製造することができ、かつ、製造工程を短縮してプロトン伝導性膜の生産性を大幅に向上させることが可能なプロトン伝導性膜の製造方法、該製造方法によって製造されるプロトン伝導性膜及び燃料電池を提供することができる。
Claims (10)
- スルホン酸基と金属−酸素結合からなる架橋構造とを有するプロトン伝導性膜を製造する方法であって、
金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)
とからなる架橋性化合物を含有する液状体を調製する工程、
前記架橋性化合物を含有する膜状体を作製する工程、及び、
水蒸気雰囲気下で前記膜状体に紫外線照射又はプラズマ処理を行うことにより、前記メルカプト基及び/又はスルフィド基をスルホン酸基とすると同時に、前記膜状体を硬化させる工程を有する
ことを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法。 - 架橋性化合物中の金属−酸素結合を有する構造単位(a)と、金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合したメルカプト基及び/又はスルフィド基を有する構造単位(b)とのモル比は、1:1〜19:1であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のプロトン伝導性膜の製造方法によって、製造されてなることを特徴とするプロトン伝導性膜。
- 請求項9記載のプロトン伝導性膜を用いてなることを特徴とする燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005334078A JP2007138028A (ja) | 2005-11-18 | 2005-11-18 | プロトン伝導性膜の製造方法、プロトン伝導性膜及び燃料電池 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008143362A1 (ja) * | 2007-05-22 | 2008-11-27 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | 固体高分子電解質、その製造方法、及び固体高分子型燃料電池 |
JP2013110006A (ja) * | 2011-11-22 | 2013-06-06 | Toyota Central R&D Labs Inc | 電解質 |
-
2005
- 2005-11-18 JP JP2005334078A patent/JP2007138028A/ja active Pending
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