JP2005332800A - 直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜 - Google Patents

直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 プロトン伝導性に優れ、耐メタノール性が高く、メタノールの透過性が低いことから、極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池に好適に用いることができる直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜、複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜及び燃料電池を提供する。
【解決手段】 極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池に供する直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜であって、珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなり、前記微粒子間には膜を貫通する細孔が形成されており、イオン交換容量が0.5meq/g以上、かつ、25℃において純メタノールを用いて測定したメタノール透過係数が500μmol/cm/day以下である直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プロトン伝導性に優れ、耐メタノール性が高く、メタノールの透過性が低いことから、極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池に好適に用いることができる直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜、複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜及び燃料電池に関する。
燃料電池は、発電効率が高くかつ環境特性に優れているため、近年、社会的に大きな課題となっている環境問題やエネルギー問題の解決に貢献できる次世代の発電装置として注目されている。
燃料電池は、一般に電解質の種類によりいくつかのタイプに分類されるが、なかでも固体高分子型燃料電池(以下、PEFCともいう)は、他のいずれのタイプに比べても小型かつ高出力であり、小規模オンサイト型、例えば、車輌のパワーソース等の移動体用、携帯用等の電源として次世代の主力とされており、実用化に向けた開発が盛んに行われている。
PEFCでは、通常、燃料として水素を用いる。水素は、アノード側に設置された触媒によりプロトン(水素イオン)と電子に分解される。分解により得られた電子は、外部に供給され電気として使用された後、カソード側へと循環される。一方、分解により得られたプロトンはプロトン伝導性膜(電解質膜)を通じてカソード側へと移動する。カソード側では、プロトン、循環されてきた電子、及び、外部から供給される酸素が触媒により反応して結合し水が生じる。すなわち、PEFCは、水素と酸素とから水を作る際に電気を取り出すという、非常にクリーンなエネルギー源である。
近年、燃料電池の燃料としてアルコール、エーテル、炭化水素類等の水素以外の燃料を用い、触媒によりこれらの燃料からプロトンと電子とを取り出す燃料電池も検討されている。このような燃料電池の代表例はメタノール(通常、水溶液として用いる)を燃料とする直接メタノール型燃料電池(以下、DMFCともいう)である。DMFCは外部改質器を必要とせず、燃料の取扱いが容易なため、燃料電池の多様な種類のうちで小型、携帯用電源として最も期待されている。
PEFCやDMFC等の燃料電池において、プロトン伝導性膜は、アノード側で生じたプロトンをカソード側へ伝導する役目を持つ。このプロトンの伝導は、電子の流れと協奏的に起こるものである。従って、燃料電池において高い出力、即ち高い電流密度を得るためには、プロトン伝導性膜を介したプロトンの伝導を充分かつ高速に行う必要がある。このように、プロトン伝導性膜は、燃料電池の性能を決めてしまうキーマテリアルといっても過言ではない。
また、プロトン伝導性膜は、その他にもアノード側とカソード側との電気絶縁をする絶縁膜としての役割や、アノード側に供給される水素等の燃料がカソード側に漏れないようにする燃料バリア膜としての役割も併せ持つ。
現在、DMFCに用いられるプロトン伝導性膜として、パーフルオロアルキレンを主骨格とし、一部にパーフルオロビニルエーテル側鎖の末端にスルホン酸基を有するスルホン化フッ素樹脂膜が主流になっている。このようなプロトン伝導性膜は、非極性、撥水性の主鎖部分と、スルホン酸基を有し極性、親水性である側鎖部分とが相分離して、主鎖部分からなる海部にスルホン酸基が高濃度に集積した島部が分散する海島構造を示す。このスルホン酸基が高濃度に集積した島部がプロトン伝導経路として機能して、極めて高いプロト
ン伝導度を示すものと考えられている。
このようなスルホン化フッ素樹脂膜のうち市販されているものとして、例えば、ナフィオン(Nafion(登録商標)膜(デュポン:DuPont社))、ダウ(Dow膜(ダウケミカル:Dow Chemical社))、アシプレックス(Aciplex(登録商標)膜(旭化成工業社))、フレミオン(Flemion(登録商標)膜(旭硝子社))等が挙げられる。
しかし、これらのスルホン化フッ素樹脂膜は、メタノールとの親和性が極めて高いことから、メタノールを吸収することにより大きく膨潤してしまったり、場合によっては溶解してしまったりする問題があった。また、メタノールが膨潤したプロトン伝導性膜を透過し、カソード側へ漏れ出す、いわゆるメタノールクロスオーバーが発生し、燃料電池の出力が大きく低下してしまうという深刻な問題もあった。これらの問題は、メタノールのみならず、他の極性有機溶剤を含む液体燃料を使用する燃料電池に共通のものである。メタノール等の極性有機溶剤に対する膨潤が少なく、極性有機溶剤は透過しないが、プロトンは容易に透過できるという性能を有する新たなプロトン伝導性膜の開発が望まれていた。
これに対して、特許文献1には、複数の均一な微細空孔を有する高分子薄膜の微細空孔中に電解質材料を充填した直接メタノール型燃料電池用電解質膜が開示されている。これは、従来の延伸多孔質高分子膜は細孔が不均一で孔径がある分布幅を持ち、該細孔に電解質成分を充填した場合に孔径の大きな部分に充填された電解質部がメタノール水溶液に対して膨潤し、そこがメタノール伝導路となってしまっていることに着目し、メタノール透過量を低減しようとするものである。しかしながら、これは、ナフィオン等に用いられているパーフルオロ(アルキル)スルホン酸樹脂を、メタノール等に対して化学的に安定な多孔質基材中に充填させたものであり、このようなプロトン伝導性膜は、多孔質基材により寸法安定性は高いものの、多孔質基材の細孔中に充填された樹脂自体の膨潤は抑えられないことから、充分なメタノール等の透過性低減効果は得られないものであった。
また、特許文献2には、メタノールに対して膨潤しにくい材料として、少なくとも一つのオキセタン環と特定の置換基とを含む化合物を前駆体とし、該前駆体のゾル−ゲル反応により得られる重合体とプロトン源を含む有機−無機ハイブリッド型プロトン伝導材料が開示されている。しかしながら、実際には、メタノールは透過せずプロトンのみを透過させるという極めて微妙なレベルで構造をコントロールすることは困難であり、工業的には実現困難なものであった。
特開2004−79266号公報 特開2004−127583号公報
本発明は、上記現状に鑑み、プロトン伝導性に優れ、耐メタノール性が高く、メタノールの透過性が低いことから、極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池に好適に用いることができる直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜、複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜及び燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池に供する直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜であって、珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなり、前記微粒子間には膜を貫通する細孔が形成されており、イオン交換容量が0.5meq/g以上、かつ、25℃において純メタノールを用いて測定したメタノール透過係数が500μmol/cm/day以下であるプロトン伝導性膜である。
本発明は、極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池に供する直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜であって、珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなり、前記微粒子間には膜を貫通する細孔が形成されており、イオン交換容量が0.5meq/g以上、かつ、25℃において純メタノールを用いて測定した寸法膨潤率が5%以下である直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜は、珪素−酸素架橋構造体微粒子(以下、単に微粒子ともいう)の連続体からなるものである。ここで、微粒子の連続体とは、上記微粒子同士が互いに接触部分をもつように連続して存在する構造を意味する。本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の構造を図1を参照して説明する。図1は、本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の構造を示す模式図である。本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜においては、図1に示すように、珪素−酸素架橋構造体からなる微粒子1が膜中に多数存在し、これが密集して連続的に存在している。微粒子間の結合は、微粒子の表面に存在する未反応の珪素−酸素架橋基が相互に反応した珪素−酸素結合であることが好ましい。このように金属―酸素架橋基が相互に反応した微粒子間結合をもつことにより、膜の強度が更に向上する。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜では、微粒子同士が幾何学的に完全に密な構造をとることは困難であることから、図1に示したように微粒子間に間隙2が生じる。この間隙2は、膜全体として見たときには、膜に形成された細孔2と見ることができる。この細孔2の壁面(即ち微粒子と微粒子の間隙の境界部)には、後述のように多数のスルホン酸基、リンタングストリン酸、リン酸等の酸基があることから、細孔2は酸基が集積したプロトン伝導経路としての役割を果たすことができる。
燃料電池の動作時にはアノード側で生じたプロトンがプロトン伝導性膜を介してカソード側に伝導され、一方、カソード側ではプロトンが消費される。予めプロトンを含有するプロトン伝導性膜では、アノード側ではプロトン供給によりプロトン濃度が高まり、カソード側ではプロトン消費によりプロトン濃度が低くなり、膜中にプロトン濃度勾配生じる。このプロトン濃度勾配が、アノード側からカソード側へのプロトン伝導の駆動力となる。プロトン伝導性膜中にプロトンが充分に存在しない場合には、カソード側のプロトンが不足し、安定した燃料電池の動作が望めない。従って、膜中には充分なプロトン濃度が必要となる。一方、燃料電池において高い出力を得るためには、プロトン濃度勾配による伝導速度が充分に速いことが要求される。このためには効率的な伝導が可能なように、プロトンの伝導経路が確保されている必要がある。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜においては、上記多数の酸基を有する細孔がこのプロトン伝導経路の役割を果たすことから、極めて安定して高いプロトン伝導性を発揮することが可能である。更に、この細孔は、安定な珪素−酸素架橋構造体微粒子同士の結合により形成されているものであることから、高メタノール濃度の溶液によっても膨潤することがなく安定したプロトン伝導を行うことができる。
上記細孔の大きさや容積は、プロトン伝導性膜の性能に大きく影響する。即ち、細孔の孔径が大きく、容積が大きい場合には、含水性が高くなるが、一方で、メタノール等の燃料の移動を制限する燃料バリア膜としての役割を果たせなくなることがある。従って、上記細孔は、充分なプロトン伝導性を発現できる範囲において、より緻密であることが好ましい。また、本発明者らは、上記細孔が充分に緻密である場合には、長時間の運転でも安定したプロトン伝導性能を維持できることを見出した。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜において、BET解析装置(例えば、島津製作所製「ジェミニ2375」等)を用いてBET法により測定した全細孔容積
の好ましい上限は0.3cm/gである。0.3cm/gを超えると、プロトン伝導の安定性が悪くなるとともにメタノール等の燃料がリークして発電効率が低下することがある。より好ましい上限は0.2cm/gである。上記細孔の全細孔容積の下限は特に限定されないが、好ましい下限は0.001cm/gである。0.001cm/g未満であると、実質的には貫通した細孔がなく、充分なプロトン伝導性能が得られないことがある。ただし、後述する2〜6Å程度の極微小孔径の細孔が充分に形成されている場合にはこの限りではない。
また、上記細孔としては、BET法により求められる細孔容積のうち、孔径が2〜10nmである細孔の占める割合が80%以上であり、孔径が10〜100nmである細孔の占める割合が20%未満であることが好ましい。このような比較的孔径の小さな細孔が中心である場合には、高いプロトン伝導性能と高い燃料バリア性とを両立することができる。
ただし、BET法では孔径が2.0nm未満である細孔は評価できないが、これ以下の例えば2〜6Å程度の極微小孔径の細孔も、プロトン伝導経路としての役割は充分に果たすものと考えられる。このような極微小孔径の細孔を多数有する場合には、高いプロトン伝導性能と高い燃料バリア性とを両立することができる。
このような極微小孔径の細孔の存在を直接観察することは困難であるが、X線回折像により確認することができる。即ち、X線回折像を測定したときに、2θ=6〜23(deg)の範囲にショルダー又は散乱ピークが観察される場合には、極微小孔径の細孔の存在が確認される。
従って、本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜は、X線回折像を測定したときに、2θ=6〜23(deg)の範囲にショルダー又は散乱ピークが観察されることが好ましい。
次に、本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を構成する微粒子について説明する。
上記微粒子は、珪素−酸素架橋構造体からなる。ここで、珪素−酸素架橋構造体とは、少なくとも珪素と酸素とが化学結合することにより形成される構造体であり、いわゆるガラス構造体を意味する。本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜において、この珪素−酸素架橋構造は、重要な構成要素であり、膜の機械的強度、耐熱性、耐久性、寸法安定性等を担う役割を果たす。即ち、充分な縮合度の架橋構造とすることにより、湿潤状態であっても、乾燥状態であっても、大きな寸法変化が見られなくなり、強度変化も生じなくなる。
上記珪素−酸素架橋構造体の29Si-NMR解析法により測定した縮合度の好ましい下
限は85%である。85%未満であると、状態の変化に伴う寸法の変化量が大きくなることがある。
上記微粒子は、本発明の目的及びコストや製造方法の容易さを犠牲にしない範囲で、ケイ素以外の金属やリン、ホウ素等を含有してもよく、これらの金属やリン、ホウ素等とが酸素と結合した構造を有してもよい。
上記微粒子は、表面にスルホン酸基やリン酸、硫酸、スルホン酸、ホウ酸、ヘテロポリ酸、及びそれらの誘導体やヘテロポリ酸としてタングストリン酸、モリブドリン酸、タングスト珪酸等の酸基を有することが好ましい。このような酸基が上記微粒子の表面に存在することにより、上記微粒子の連続体からなる本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の細孔の表面に該酸基が存在することになり、細孔がプロトン伝導経路としての役割を果たす。これらの酸基は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、スルホン酸基が好適である。スルホン酸は極めて強い酸であることからプロトンの解離性が極めて高い。従って、上記細孔内にスルホン酸基があれば、極めて高い効
率でプロトンを伝導することができる。また、スルホン酸は酸化耐久性も高く、耐熱性においても180℃まで安定である。
上記スルホン酸基は、上記微粒子の表面に注入(ドープ)したものでもよいが、ドープした場合には長期にわたって燃料電池に用いたときに、プロトン伝導性膜から散逸してしまいプロトン伝導効率が低下してしまう可能性がある。従って、上記スルホン酸基は、上記微粒子を構成する原子に共有結合していることが好ましい。共有結合している場合には、長期にわたって安定したプロトン伝導性能を発揮することができる。
スルホン酸基が上記微粒子を構成する原子に共有結合した構造としては特に限定されないが、例えば、下記式(1)で示される様に珪素原子に結合していることが好ましい。
Figure 2005332800
式(1)中、Xは、架橋に関与する−O−結合又はOH基を表し、Rは、炭素数20以下の炭化水素基を表し、RはCH、C、C又はCを表し、nは1〜3の整数を表す。nが1のとき、Rは異なる置換基の混合体でもよい。
なお、上記微粒子においては、上記式(1)で示される構造のうちR、R又はnが異なるものを併用してもよい。
上記式(1)中、Rは、炭素数20以下の直鎖状アルキレン基であることが好ましい。即ち、スルホン酸基は、炭素数20以下の直鎖状アルキレン基を介して珪素原子と共有結合していることが好ましい。スルホン酸基は、例えば、芳香環や種々のへテロ原子を有する分子鎖を介して珪素原子に結合していてもよいが、炭素数20以下のアルキレン基を介して結合した場合には、より高い耐熱性、耐酸性、耐酸化性等が得られる。
上記微粒子上の酸基の量としては特に限定されないが、上記細孔内により多くの酸基が存在する方がプロトン伝導性能が高くなる。上記微粒子上の酸基の量により、プロトン伝導性膜のイオン交換容量が決まる。即ち、イオン交換容量が大きいほど膜中に含有する酸基の量が多く、プロトン伝導性能も高いといえる。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜は、イオン交換容量の下限が0.5meq/gである。0.5meq/g未満であると、充分なプロトン伝導効率が得られない。より好ましい下限は0.7meq/g、更に好ましい下限は0.8meq/gである。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜のイオン交換容量は、以下の方法により測定することができる。即ち、高濃度の塩化ナトリウム溶液に直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を浸漬し、膜中のスルホン酸基と塩化ナトリウムとの間でイオン交換反応を起こさせる。そこでスルホン酸基と1:1で発生する塩酸を水酸化ナトリウム水溶液等で直接滴定し、その滴定量から下記式にて算出できる。
Figure 2005332800
上記微粒子は、上記式(1)で表される構造のみから構成されてもよいが、その他にも種々の架橋剤を用いて構成されることが好ましい。架橋剤を用いることにより、より強固な架橋が形成され、高いメタノール濃度においても膨潤することなく、ひいてはプロトン伝導性膜としての安定性も向上する。
上記架橋剤としては、例えば、下記式(2)で表されるものや、下記式(3)で表されるもの等を用いることができる。
Figure 2005332800
式(2)中、Rは、炭素原子20以下のアルキル基を表し、Xは、架橋に関与する−O−結合、又はOH基を表し、nは2〜4の整数である。
上記式(2)で表される構造は、基本的なシリカ架橋構造であり、耐膨潤性、耐酸化性に対して非常に安定である。また、原料入手も容易であり、安価なプロトン伝導性膜を実現することが出来る。なかでも、架橋基の数nが4である場合には、強固な架橋構造を形成して高度の耐久性をもつと同時に、上記式(1)で表される構造体を安定に固定化することができる。また、nが2又は3のものは上記微粒子に可とう性を付与し、その結果、プロトン伝導性膜の可とう性をも向上させることができる。
なお、上記微粒子においては、上記式(2)で示される構造のうちR又はnが異なるものを併用してもよい。
Figure 2005332800
式(3)中、Xは架橋に関与する−O−結合又はOH基を表し、Rは炭素数1〜30の炭素原子含有分子鎖基を表し、RはCH、C、C、C又はCを表し、nは0、1又は2のいずれかの整数である。
上記式(3)で表される構造は、2つの架橋性シリル基を分子鎖Rで橋かけした構造を有する。このような橋かけ状架橋構造は、極めて架橋反応性が高く、強固な架橋構造を形成することができ、上記微粒子の安定性向上に寄与する。また、橋かけ構造部の分子鎖種類、分子鎖長、架橋基Xの数(3−n)等により可とう性等の物性調整も可能である。例えば、架橋基の数(3−n)が、1又は2であって、Rがメチル基である場合、膜全体が可とう性を有し、取扱いの容易な膜とすることができる。
なお、上記微粒子においては、上記式(1)で示される構造のうちR、R又はnが異なるものを併用してもよい。
上記微粒子の形状としては特に限定されず、球形のほか、扁平な粒状や柱状等の非球形のものであってもよい。上記微粒子の平均粒子径の好ましい下限は3nm、好ましい上限は20nmである。3nm未満であると、微粒子間の間隙に形成される細孔の径が極めて小さくなり、充分なプロトン伝導経路が確保できないことがある。20nmを超えると、上述の細孔容量を満足できないことがある。
なお、上記微粒子の粒子径は、電子顕微鏡を用いて観察することにより直接求めることが
できる。また、小角X線散乱等の方法によっても求めることができる。
上記微粒子の粒子径の分布としては、燃料ガスの種類や求められるプロトン伝導性、燃料バリア性、膜強度等を勘案して適宜決定されるが、均一であっても不均一であってもよい。均一な微粒子からなるプロトン伝導性膜では、幾何学的に間隙ができやすく、高いプロトン伝導性を発揮できる。一方、不均一な微粒子からなる本発明のプロトン伝導性膜では、密なパッキングが可能であり、燃料バリア性の向上や膜の強度向上に寄与する。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜は、上記細孔が加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する架橋剤で充填されていることが好ましい。これにより、より高い強度が得られるとともに、より高い燃料バリア性を実現することができる。
上記加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する架橋剤としては特に限定されないが、例えば、上記式(2)や上記式(3)で表されるもの等が好適である。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜は、上記構成により25℃において純メタノールを用いて測定したメタノール透過係数(以下、MCOともいう)が500μmol/cm/day以下であるという性能を実現できる。500μmol/cm/dayを超えると、燃料に用いたメタノールがリークして、発電効率が低下する。好ましくは100μmol/cm/day以下である。
例えば、現在プロトン伝導性膜として用いられているNafion117のMCOは、5200μmol/cm/day程度であることから、本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜は極めて高い耐メタノール性を有するといえる。
上記MCOは、例えば、以下の方法により測定することができる。
まず、円形の窓を有する円形セル2つを用い、窓の部分でゴムパッキンを介してプロトン伝導性膜を挟み込み、一方のセルに純メタノールを、他方のセルに純水を入れ、25℃にて1時間、スターラーで攪拌する。その後、純水側に透過したメタノールの濃度X(重量%)をガスクロマトグラフィーにより測定し、下記式(6)により算出する。
Figure 2005332800
なお、本明細書において純メタノールとは、純度99.8%以上のメタノールを意味し、純メタノールとしては、例えば、和光純薬工業社製の試薬特級のもの等を用いることができる。また、純水としては、例えば、和光純薬工業社製の蒸留水を用いることができる。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜は、上記構成により、純メタノール中に25℃、24時間浸漬したときの寸法膨潤率が5%以下であるという性能を実現できる。5%を超えると、燃料に用いたメタノールがリークして、発電効率が低下する。好ましくは3%以下である。
上記寸法膨潤率は、例えば、以下の方法により測定することができる。
正方形の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を純メタノール中に浸漬し、25℃において24時間放置する。その後、直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を純メタノールから取り出し、表面の液体を取り除いた後、すばやく寸法を測定し、浸漬後
寸法を浸漬前寸法で割った値から1をひいて100をかけた値の4辺の平均値を寸法膨潤率として表す。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を製造する方法としては特に限定されず、例えば、メルカプト基を有し、かつ、メルカプト基と共有結合した縮合反応可能な加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有するメルカプト基含有化合物を含有する混合液を調製する混合液調製工程と、上記混合液を成膜する成膜工程と、上記成膜された混合液に含まれる加水分解性シリル基を加水分解及び縮合、及び/若しくは、シラノール基を縮合させることにより、珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなる膜を形成する膜形成工程と、上記珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなる膜中のメルカプト基を酸化してスルホン酸基とし、上記珪素−酸素架橋構造体微粒子の表面にスルホン酸基を導入するスルホン酸基導入工程を有する方法が好適である。
上記メルカプト基含有化合物としては特に限定されないが、例えば、下記式(4)で示されるものが好適である。
Figure 2005332800
式(4)中、Xは、架橋に関与する−O−結合又はOH基を表し、Rは、炭素数20以下の炭化水素基を表し、RはCH、C、C又はCを表し、nは1〜3の整数を表す。nが1のとき、Rは異なる置換基の混合体でもよい。また、式(4)で示される構造のうちR、R又はnが異なるものを併用してもよい。
上記式(4)中、Rは、炭素数20以下の直鎖状アルキレン基であることが好ましい。メルカプト基が炭素数20以下の直鎖状アルキレン基を介して珪素原子と共有結合しているメルカプト基含有化合物を用いた場合には、特に高い燃料バリア性、耐酸性、耐酸化性等が得られる。
上記混合液調製工程において、混合液に極性制御剤や、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する架橋剤等の添加剤を添加してもよい。
本明細書において極性制御剤とは、メルカプト基含有化合物の加水分解を補助したり、硬化後膜中に相分離した状態で膜中に残留し、細孔構造形成を促進する役割を果たしたりするものを意味し、具体的には例えば、ポリエーテル類等が挙げられる。
また、上記加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する架橋剤としては、上記式(2)で表されるものや、上記式(3)で表されるもの等が挙げられる。
この方法では、特に混合液調製工程における架橋剤の種類や添加量を調整することにより、得られる膜の架橋度、粒子径、粒子の間隙等を制御することができ、これにより膜強度、可とう性の度合いなど含めて膜特性を良好に制御することが可能となる。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜が、上記細孔に加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する架橋剤が充填されている場合には、更に、上記膜形成工程後、スルホン酸基導入工程以前に、膜形成工程で得られた珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなる膜に、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する架橋剤、水及び触媒を液状又は気体状で含浸させた後加熱する架橋剤充填工程を有していてもよい
。特に、気体状で含浸させる場合には、より孔径の小さな細孔内まで均一に充填することが可能となり、より燃料バリア性(耐メタノール透過性)に優れたプロトン伝導性膜が得られる。
このような本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法もまた、本発明の1つである。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜は、高分子材料により複合強化されてもよい。上記微粒子のみからなる場合には、柔軟性が低く破損しやすいことがあり、とりわけ燃料電池に用いた場合にガスによる圧力により破損して、ガス透過速度が急上昇してしまうことがあり、安定性に欠けることがある。高分子材料と複合化することにより、直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の強度が向上し、取扱い性や安定性が向上する。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜が高分子材料により複合強化されている複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜もまた、本発明の1つである。
上記高分子材料としては、例えば、スルホン酸基を有するものが好適である。このような高分子材料を用いた本発明の複合化プロトン伝導性膜は、高分子材料自体もプロトン伝導性を示すことから、全体として更に高いプロトン伝導性を得ることができる。
上記高分子材料としては、メタノールにより、浸食、膨潤しない材料であれば特に限定されず、例えば、フッ素樹脂材料、高分子量ポリオレフィン材料、超高分子量ポリオレフィン材料、環状ポリオレフィン材料、シリコーン樹脂材料等が挙げられるが、空隙率が高く、多様な口径をもつ膜が市販されているフッ素樹脂からなるPTFE多孔質膜、ポリエチレンからなるポリエチレン多孔質膜が好適に用いられる。
更に、親水化処理を施したPTFE多孔質膜、親水化処理を施したポリエチレン多孔質膜は本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の原料溶液とのなじみが良く、細孔中に充填しやすいことから好適である。
上記複合化の態様としては特に限定されず、例えば、繊維、マット、フィブリル等の高分子材料に本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の原料となる混合液を含浸させる態様等が挙げられる。なかでも、フッ素樹脂やポリエチレンからなる多孔質材料を用い、これに上記混合液を含浸させる態様が好適である。
上記フッ素樹脂からなる多孔質材料としては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等からなるものが市販されており、入手も容易である。
上記フッ素樹脂やポリエチレンからなる多孔質材料の孔径の好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は0.2μmである。0.05μm未満であると、上記混合液を含浸させることが難しいことがあり、0.2μmを超えると、得られる複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の強度が不充分となることがある。
上記フッ素樹脂やポリエチレンからなる多孔質材料の空孔率は60%以上であることが好ましい。60%未満であると、得られる複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜中において、上記微粒子が所定の連続体を形成できないことがある。
上記フッ素樹脂やポリエチレンからなる多孔質材料の厚さの好ましい下限は20μm、好ましい上限は100μmである。20μm未満であると、得られる複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜が充分な強度を得られないことがあり、100μmを超えると、なかほどまで均一に上記混合液を含浸させることが難しいことがある。
上記フッ素樹脂やポリエチレンからなる多孔質材料は、親水化処理が施されていることが好ましい。得られる本発明の複合化プロトン伝導性膜が高い耐メタノール性を発揮するためには、上記微粒子が所定の全細孔容積及びイオン交換容量を有するように連続体を形成することを要するが、そのためには、上記フッ素樹脂やポリエチレンからなる多孔質材料の空孔中に、上記微粒子が出来る限り空隙なく充填されなければならない。また、充填が不充分な場合には、ガスバリア性等の低下の恐れもある。上記フッ素樹脂やポリエチレンからなる多孔質材料に親水化処理が施されることにより、上記混合液の粘度が高い場合にも、充分に均一に含浸させることができる。
上記フッ素樹脂からなる多孔質材料の親水化の方法としては特に限定されず、例えば、電子線等のエネルギー線を照射することにより改質する方法;アルカリ金属材料による表面改質法;ポリビニルアルコール(PVA)等の親水性樹脂を含浸させた後、これを架橋する方法等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属材料による表面改質法が好適である。
上記ポリエチレンからなる多孔質材料の親水化の方法としては特に限定されず、例えば、コロナ処理;プラズマ処理;硝酸、硫酸、フェントン試薬等の液体に接触させる方法;有機溶媒に溶解したアゾ重合開始剤に接触させる方法等が挙げられる。
上記アルカリ金属材料による表面改質法により上記フッ素樹脂からなる多孔質材料を親水化する方法としては特に限定されず、例えば、ナトリウム−ナフタレン錯体を溶剤に分散させた分散液中に、上記上記フッ素樹脂からなる多孔質材料を浸漬する方法等が挙げられる。この場合、上記フッ素樹脂からなる多孔質材料の表面を損傷しないように、テトラヒドロフラン(THF)等の溶剤で希釈した比較的低濃度の分散液中に長時間浸漬することにより、親水化を施す方法が好ましい。
上記フッ素樹脂からなる多孔質材料が親水化されたか否かは、全反射−赤外線吸収測定によって容易に確認することができる。ナトリウムーナフタレン錯体にて親水化処理したフッ素樹脂からなる多孔質材料は、未処理のものに比べて3500cm−1付近の水酸基に起因するバンドの吸収ピークが増加しており、また、1700cm−1近傍のカルボニル基も若干見られる。一方、3000cm−1付近のメチル基やメチレン基の吸収ピークは見られない。従って、本発明の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜について全反射−赤外線吸収測定を行ったときに、3500cm−1付近に水酸基に起因するピークが認められ、かつ、3000cm−1付近のメチル基又はメチレン基に起因するピークが認められないことが好ましい。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜と上記親水化されたフッ素樹脂やポリエチレンからなる多孔質材料とを複合化して本発明の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を製造する場合には、直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜と親水化処理が施された多孔質材料とがシランカップリング剤により結合されていることが好ましい。これにより、直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜と多孔質材料との密着性がより向上し、得られる本発明の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の強度がより向上する。
上記シランカップリング剤としては特に限定されないが、例えば、エポキシシラン及び/又はアミノシランが好適である。また、3−グリシジドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ社製、商品名S510)や3−アミノプロピルトリメトキシシラン(チッソ社製、商品名S360)等の市販のシランカップリング剤も好適に用いることができる。
上記シランカップリング剤を添加する方法としては特に限定されず、例えば、本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の原料となる上記混合液に予め添加する方法
;上記親水化されたフッ素樹脂からなる多孔質材料をシランカップリング剤のテトラヒドロフラン−酸溶液等に浸漬する方法;硬化前の複合化プロトン伝導性膜をシランカップリング剤のメタノール溶液等に浸漬する方法等が挙げられる。
上記高分子材料として、金属−酸素結合による架橋構造を有し、該架橋構造によって内部に形成された空孔が連続的につながった連続細孔構造をとる有機無機複合体も好適である。このような有機無機複合体は、化学的組成が本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜と類似していることから親和性が高く、これを用いた複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜は、耐久性、燃料バリア性が特に優れる。
上記有機無機複合体としては特に限定されないが、下記式(5)により表されるものが好適である。
Figure 2005332800
式(5)中、Mは金属原子を表し、Xは架橋に関与する−O−結合又はOH基を表し、Rは炭素数1〜50の炭素原子含有分子鎖基を表し、Rはメチル、エチル基、プロピル基又はフェニル基を表し、n、nは0、1又は2であり、かつ、n、nの少なくとも1つは1又は2を表す。
上記有機無機複合体は、空孔率の好ましい下限が20容量%、好ましい上限が95容量%であり、より好ましい下限が40容量%である。また、上記有機無機複合体は、空孔の孔径の好ましい下限が0.01μm、好ましい上限が10μmである。
本発明の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を製造する方法としては特に限定されず、例えば、メルカプト基を有し、かつ、メルカプト基と共有結合した縮合反応可能な加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有するメルカプト基含有化合物を含有する混合液を調製する混合液調製工程と、得られた混合液を予め親水化処理が施されたフッ素樹脂又はポリエチレンからなる多孔質材料に含浸する含浸工程と、該混合液が含浸されたフッ素樹脂又はポリエチレンからなる多孔質材料中の混合液に含まれる加水分解性シリル基を加水分解及び縮合、及び/若しくは、シラノール基を縮合させることにより、フッ素樹脂又はポリエチレンからなる多孔質材料中に珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体を形成する成膜工程と、フッ素樹脂又はポリエチレンからなる多孔質材料中のメルカプト基を酸化してスルホン酸基とし、珪素−酸素架橋構造体微粒子の表面にスルホン酸基を導入するスルホン酸基導入工程を有する方法が好適である。
上記複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法では、混合液調製工程において、混合液中にエポキシシラン、アミノシラン等のシランカップリング剤を配合することが好ましい。配合量としては特に限定されないが、混合液全体に対して好ましい下限は1重量%、好ましい上限は4重量%である。1重量%未満であると、直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜と親水化処理が施された多孔質材料との密着性の向上効果が充分に得られないことがあり、4重量%を超えても、それ以上の効果は得られない。
上記複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法における含浸工程に
おいて、多孔質材料へ混合液を含浸する方法としては特に限定されず、例えば、プレス等によるスタンピングやロール処理等が挙げられる。また、必要に応じてこれらの処理を減圧下で行ってもよい。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜は、プロトン伝導性に優れ、耐メタノール性が高く、メタノールの透過性が低いことから、極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池、とりわけ、直接メタノール型燃料電池に極めて好適に用いることができる。また、メタノール以外にもエタノール、ブタノール等のアルコール類;ジメチルエーテル等のエーテル類;炭化水素類等を用いる燃料電池にも好適に用いることができる。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜、又は、本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を用いてなる燃料電池もまた、本発明の1つである。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜、又は、本発明の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を用いてなる直接メタノール型燃料電池もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、プロトン伝導性に優れ、耐メタノール性が高く、メタノールの透過性が低いことから、極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池に好適に用いることができる直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜、複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜及び燃料電池を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン21.2g、テトラエトキシシラン52.5g及びメタノール10.7gをフラスコに計量し、常温で5分撹拌した。そこに、0.1N塩酸6.2gとメタノール8.2gとを混合した溶液を添加し、更に常温で3時間撹拌した。次いで、フッ化カリウム0.057gとメタノール9.7gとを混合した溶液を添加し、オイルバスで80℃に加熱しながら3時間撹拌した。混合溶液を5℃に冷却し、その後、35℃真空にてメタノールを分留した。得られた溶液にジエチルエーテル120mLを加えて、常温で10分撹拌した後、5℃に冷却し、濾紙(ADVANTEC社製、定量濾紙No.5C)を用いて濾過した。得られた濾液から35℃真空にてジエチルエーテルを分留し、メルカプト基含有シランオリゴマーを得た。
得られたメルカプト基含有シランオリゴマー4.37gとシリコーンオリゴマー KR500(信越シリコーン)0.51gとを混合した液に、水0.16gとトリエチルアミン0.06gとを滴下した。室温で10分攪拌した後、フッ素樹脂フィルム上でこの溶液を膜厚約50μm、直径14cm、空孔率80%のミリポア製平均ポア径0.2μmのPTFE製多孔質膜に含浸させた。含浸後の膜にフッ素樹脂フィルムを被せ、その上からアプリケーターで膜厚が50μmになるようにレベリングした。フッ素樹脂フィルムを被せたまま室温で80時間養生した後、フィルムを剥がし更に室温で24時間養生した。養生後の膜を2枚のガラス板でフッ素樹脂フィルムを介して挟み、この状態でガラス製の容器に水500mLとともに入れ、ギアオーブンを用いて80℃で24時間加熱硬化させた後、100℃から200℃まで1時間に20℃の割合で昇温し、更に200℃で3時間焼成した。得られた膜をガラスシャーレに移し、1N塩酸水溶液及び水に浸漬し、未反応物及び触媒を膜から抽出した。抽出液を除いた後、酢酸125mL、30%過酸化水素水100mLを混合して作製した過酢酸に膜を浸漬し、ホットプレートにて60℃で1時間加熱した。得られた膜を過酢酸溶液から取り出し、80℃の水に各1時間、2回浸漬して過酢酸
溶液を充分に除いて、半透明の膜を得た。これをプロトン伝導性膜とした。
(実施例2)
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン53.0g、テトラエトキシシラン131.2g及びメタノール26.5gをフラスコに計量し、0℃で10分撹拌した。そこに、0.01N塩酸15.6gとメタノール20.8gとを混合した溶液を添加し、0℃で1時間撹拌し、40℃に昇温後、更に2時間撹拌した。次いで、フッ化カリウム0.114gとメタノール29.7gとを混合した溶液を添加し、40℃で1時間撹拌し、80℃に昇温後、更に2時間撹拌した。混合溶液を0℃に冷却し、その後、40℃真空にてアルコールを分留した。得られた溶液を0℃に冷却し、ジエチルエーテル200mLを加えて、0℃で10分撹拌した後、メンブレンフィルター(MILLIPORE社製、オムニポアメンブレン孔径0.2μm)を用いて濾過した。得られた濾液から40℃真空にてジエチルエーテルを分留し、メルカプト基含有シランオリゴマーを得た。
得られたメルカプト基含有シランオリゴマー4.37gとテトラエトキシシラン0.51gとを混合した液に、水0.11gとトリエチルアミン0.05gとを滴下した。室温で10分攪拌した後、フッ素樹脂フィルム上でこの溶液を膜厚約50μm、直径14cm、空孔率80%、ポア径0.2μmのミリポア製PTFE製多孔質膜に含浸させた。含浸後の膜にフッ素樹脂フィルムを被せ、その上からアプリケーターで膜厚が50μmになるようにレベリングした。フッ素樹脂フィルムを被せたまま室温で80時間養生した後、フィルムを剥がし更に室温で24時間養生した。養生後の膜を2枚のガラス板でフッ素樹脂フィルムを介して挟み、この状態でガラス製の容器に水500mLとともに入れ、ギアオーブンを用いて80℃で24時間加熱硬化させた後、100℃から200℃まで1時間に20℃の割合で昇温し、更に200℃で3時間焼成した。
焼成して得られた膜を別のガラス製容器に移し替え、この容器にそれぞれ別のガラス小瓶に入ったテトラエトキシシラン7g、水5g、トリエチルアミン3gを瓶ごと入れたものを、ギアオーブンで80℃から120℃まで1時間に20℃の割合で昇温し、更に120℃で3時間加熱した。得られた膜をガラスシャーレに移し、1N塩酸水溶液及び水に浸漬し、未反応物及び触媒を膜から抽出した。抽出液を除いた後、酢酸125mL、30%過酸化水素水100mLを混合して作製した過酢酸に膜を浸漬し、ホットプレートにて60℃で1時間加熱した。得られた膜を過酢酸溶液から取り出し、80℃の水に各1時間、2回浸漬して過酢酸溶液を充分に除いて、半透明の膜を得た。これをプロトン伝導性膜とした。
(実施例3)
実施例2で得られたメルカプト基含有シランオリゴマー4.37gとテトラエトキシシラン0.51gとを混合した液に、水0.11gとトリエチルアミン0.05gとを滴下した。室温で10分攪拌した後、フッ素樹脂フィルム上でこの溶液を膜厚約50μm、直径14cm、空孔率80%のミリポア製PTFE製多孔質膜に含浸させた。含浸後の膜にフッ素樹脂フィルムを被せ、その上からアプリケーターで膜厚が50μmになるようにレベリングした。フッ素樹脂フィルムを被せたまま室温で80時間養生した後、フィルムを剥がし更に室温で24時間養生した。
養生後の膜に、メルカプト基含有シランオリゴマー2.19g、テトラエトキシシラン0.26g、水0.16g、トリエチルアミン0.06gを室温で10分攪拌した液を含浸させた。含浸後の膜を2枚のフッ素樹脂フィルムで挟み、その上からアプリケーターで膜厚が50μmになるようにレベリングした。フッ素樹脂フィルムを被せたまま室温で80時間養生した後、フィルムを剥がし更に室温で24時間養生した。
養生後の膜を2枚のガラス板でフッ素樹脂フィルムを介して挟み、この状態でガラス製の容器に水500mLとともに入れ、ギアオーブンを用いて80℃で24時間加熱硬化させた後、100℃から200℃まで1時間に20℃の割合で昇温し、更に200℃で3時間焼成した。得られた膜をガラスシャーレに移し、1N塩酸水溶液及び水に浸漬し、未反応物及び触媒を膜から抽出した。抽出液を除いた後、酢酸125mL、30%過酸化水素水100mLを混合して作製した過酢酸に膜を浸漬し、ホットプレートにて60℃で1時間加熱した。得られた膜を過酢酸溶液から取り出し、80℃の水に各1時間、2回浸漬して過酢酸溶液を充分に除いて、半透明の膜を得た。これをプロトン伝導性膜とした。
(実施例4)
ナトリウム−ナフタレン錯体系フッ素表面処理剤(テクノス社製、フロロボンダーE01)100gをステンレスバットに注ぎ、希釈溶媒としてTHF120mL添加してよく混合して、表面処理混合液を調製した。平均孔径0.1μm、厚さ50μmのPTFE多孔質膜材料(住友電工ファインポリマー社製)を1辺が10cmの正方形に切り、表面処理混合液中に30分間浸漬した。処理後のPTFE多孔質膜を取り出し、THFにて充分すすぎ、表面に付着した、錯体成分を取り除いた後、更にメタノールにて充分に洗浄し、乾燥させて、親水化複合用多孔質フPTFE基材を得た。
得られた親水化PTFE多孔質材料を用いた以外は実施例2と同様の方法によりプロトン伝導性膜を得た。
(実施例5)
1,8−ビス(ジエトキシメチルシリル)オクタン0.6gと1,8−ビス(ジメチルエトキシシリル)オクタン0.5gをイソプロパノール1mLに溶解した。7N塩酸0.22gをイソプロパノール1mLに加えた。この両者を併せ、数十秒間撹拌した後、コロナ処理PETフィルム上にキャストし、バーコーター・キャスト法により塗工した。得られた膜に20cm×30cmのプラスチックケースの蓋で蓋をして、室温(20℃)にて60時間養生して、白色でゴム性の金属−酸素結合による架橋構造を有し、その架橋構造によって内部に形成された空孔が連続的につながった連続細孔構造をとる有機無機複合体を得た。
得られた有機無機複合体の空孔率、孔径をポロシメーターで測定し、内部構造をSEMで観察したところ、空孔率70容量%で、孔径平均500nmの連続細孔構造を形成していることを確認した。
得られた有機無機複合体を用いた以外は実施例1と同様の方法によりプロトン伝導性膜を得た。
(比較例1)
市販のNafion117(デュポン社製)をプロトン伝導性膜とした。
(評価)
実施例1〜5及び比較例1で作製したプロトン伝導製膜について、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
(1)粒子構造評価
電界放射型走査電子顕微鏡(日立製作所製、S−4100)を用いてプロトン伝導性膜の表面を観察し、微粒子の連続体構造の有無を評価した。その結果、実施例のプロトン伝導性膜では微粒子の連続体構造が認められた。
(2)イオン交換容量評価
プロトン伝導性膜を1N塩酸水溶液に4時間浸漬し、蒸留水でよく洗浄した。pH試験紙
を用いて充分に洗浄されたことを確認した後、室温にて24時間放置乾燥し、更に50℃真空下にて6時間乾燥してから、試料の重量を測定した。次に、2mol/Lの塩化ナトリウム水溶液に試料を浸漬し、6時間静置した。その後、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定を行い、その滴定量からイオン交換容量を算出した。
(3)メタノール透過性評価
上記MCOは、例えば、以下の方法により測定することができる。
まず、直径2cmの円形の窓を有する円形セル2つを用い、窓の部分でゴムパッキンを介してプロトン伝導性膜を挟み込み、一方のセルに純メタノールを、他方のセルに純水を入れ、25℃にて1時間、スターラーで攪拌した。その後、純水側に透過したメタノールの濃度X(重量%)をガスクロマトグラフィーにより測定し、上記式(6)によりMCOを算出した。
(4)寸法膨潤率の評価
プロトン伝導性膜を1辺が10cmの正方形に切断し、これを純メタノール中に浸漬して、25℃において24時間放置した。その後、プロトン伝導性膜を純メタノールから取り出し、表面の液体を取り除いた後、すばやく寸法を測定し、浸漬後寸法を浸漬前寸法で割った値から1をひいて100をかけた値の4辺の平均値を寸法膨潤率として表した。
(5)細孔容積の評価
プロトン伝導性膜を室温にて48時間乾燥した後、更に50℃下で4時間真空乾燥した試料を評価に供した。
BET評価装置(島津製作所社製、ジェミニ2375)を用いて、プロトン伝導性膜上の孔径が2〜100nmの細孔の容積を分析した。分析は、細孔容積評価モードにてBJH法によって行った。
(6)NMR解析
プロトン伝導性膜を破砕し、これを試料として固体29Si−NMR(日本電子社製、JNM−LA500)を用いてスペクトルを得た。得られたスペクトルをT0〜3、Q0〜4に分類し面積比を求めた。求めた面積比にT0、Q0領域は0を、T1領域は0.33を、T2領域は0.66を、Q1領域は0.25を、Q2領域は0.5を、Q3領域は0.75を掛けて総和を求めた。この値を面積比の総和で割ったものを縮合度とした。なお、複合化したプロトン伝導性膜の場合には破砕することが難しいため、これらと同じ組成の混合液と同じプロセスを用いて複合化せずに作製したプロトン伝導性膜を用いて測定を行い、縮合度を算出した。
Figure 2005332800
表1より、表面にスルホン酸基を有する微粒子の連続体構造を有する実施例1〜5のプロ
トン伝導性膜、及び、比較例1のプロトン伝導性膜は、いずれも高いイオン交換容量を示した。実施例1〜5で得られたプロトン伝導性膜が非常に低いメタノール透過係数を示したのに対し、比較例1で得られたプロトン伝導性膜では比較的高いメタノール透過係数であった。なお、メタノール透過係数測定後の膜形状を観察したところ、比較例1では大きく変形したのに対し、実施例1〜5ではほとんど変形は見られなかった。
本発明によれば、プロトン伝導性に優れ、耐メタノール性が高く、メタノールの透過性が低いことから、極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池に好適に用いることができる直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜、複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜及び燃料電池を提供することができる。
本発明の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の構造を示す模式図である。
符号の説明
1 珪素−酸素架橋構造体からなる微粒子
2 間隙、細孔

Claims (20)

  1. 極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池に供する直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜であって、
    珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなり、前記微粒子間には膜を貫通する細孔が形成されており、イオン交換容量が0.5meq/g以上、かつ、25℃において純メタノールを用いて測定したメタノール透過係数が500μmol/cm/day以下である
    ことを特徴とする直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  2. 極性有機溶剤を含む液体燃料を用いる燃料電池に供する直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜であって、
    珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなり、前記微粒子間には膜を貫通する細孔が形成されており、イオン交換容量が0.5meq/g以上、かつ、純メタノール中に25℃、24時間浸漬したときの寸法膨潤率が5%以下である
    ことを特徴とする直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  3. BET法により測定した全細孔容積が0.3cm/g以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  4. 珪素−酸素架橋構造体微粒子は、表面にスルホン酸基を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  5. スルホン酸基は、炭素数20以下の直鎖状アルキレン基を介して珪素原子と共有結合していることを特徴とする請求項4記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  6. 珪素−酸素架橋構造体は、29Si−NMR解析法により測定した縮合度が85%以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  7. 細孔は、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する架橋剤が充填されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  8. メルカプト基を有し、かつ、メルカプト基と共有結合した縮合反応可能な加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有するメルカプト基含有化合物を含有する混合液を調製する混合液調製工程と、上記混合液を成膜する成膜工程と、上記成膜された混合液に含まれる加水分解性シリル基を加水分解及び縮合、及び/若しくは、シラノール基を縮合させることにより、珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなる膜を形成する膜形成工程と、膜形成工程で得られた珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなる膜に、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する架橋剤、水及び触媒を液状又は気体状で含浸させた後加熱する架橋剤充填工程と、上記珪素−酸素架橋構造体微粒子の連続体からなる膜中のメルカプト基を酸化してスルホン酸基とし、上記珪素−酸素架橋構造体微粒子の表面にスルホン酸基を導入するスルホン酸基導入工程を有することを特徴とする直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のプロトン伝導性膜が高分子材料により複合強化されていることを特徴とする複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  10. 高分子材料は、スルホン酸基を有するものであることを特徴とする請求項9記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  11. 高分子材料は、フッ素樹脂又はポリエチレンからなるものであることを特徴とする請求項9又は10記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  12. フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項11記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  13. フッ素樹脂又はポリエチレンからなる高分子材料は、膜厚が20〜100μm、孔径が0.05〜0.2μm、空孔率が60%以上である多孔質材料であることを特徴とする請求項11又は12記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  14. 多孔質材料は、親水化処理が施されていることを特徴とする請求項13記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  15. 全反射−赤外線吸収測定を行ったときに、3500cm−1付近に水酸基に起因するピークが認められ、かつ、3000cm−1付近のメチル基又はメチレン基に起因するピークが認められないことを特徴とする請求項14記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  16. プロトン伝導性膜と親水化処理が施された多孔質材料とがシランカップリング剤により結合されていることを特徴とする請求項15記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  17. シランカップリング剤は、エポキシシラン及び/又はアミノシランであることを特徴とする請求項16記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  18. 高分子材料は、金属−酸素結合による架橋構造を有し、前記架橋構造によって内部に形成された空孔が連続的につながった連続細孔構造をとる有機無機複合体であることを特徴とする請求項9記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜。
  19. 請求項1、2、3、4、5、6若しくは7記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜、又は、請求項9、10、11、12、13、14、15、16、17若しくは18記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を用いてなることを特徴とする燃料電池。
  20. 請求項1、2、3、4、5、6若しくは7記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜、又は、請求項9、10、11、12、13、14、15、16、17若しくは18記載の複合化直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導性膜を用いてなることを特徴とする直接メタノール型燃料電池。
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