JP4933758B2 - 膜−電極接合体の製造方法、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents

膜−電極接合体の製造方法、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池 Download PDF

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本発明は、耐熱性・耐薬品性が高く、高温でも安定的に機能するとともに、例えば、メタノール等の直接燃料の供給に対応しうる固体高分子形燃料電池を構成する膜−電極接合体の製造方法及び該製造方法を用いた膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関する。
現在、地球規模で環境問題、エネルギー問題が大きな課題となっているが、その解決に貢献しうる次世代の有力な発電装置として、燃料電池が注目されている。燃料電池は、化石燃料を用いた火力発電等と比較して、極めて高い発電効率をもち、大気汚染物質を排出せず環境負荷を大幅に軽減可能である。
燃料電池は、それを構成する電解質の種類により、リン酸形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形、固体高分子形等に分類されるが、中でも固体高分子形燃料電池(以下、PEFCともいう)は、他の方式に比べて、装置が小型かつ高出力であるため、小規模オンサイト形発電用、車両パワーソース等の移動用や携帯機器用の燃料電池等として、次世代の主力を担うシステムと位置付けられている。
PEFCの基本構造は、プロトン(水素イオン)伝導膜の両側に、白金等の触媒が担持された電極を配置した構造(膜−電極接合体)であり、更にその両外側に燃料を供給するための構造を有する一対のセパレータが配置されている。これを単位セルとして、隣り合う複数セルを相互に連結することで、所望の電力を取り出せるよう構成される。
このような接合体の片側(一般的にアノード又は燃料極と呼ばれる)から、例えば、水素を燃料として供給すると、燃料極側では、触媒によりH→2H+2eの反応が起こり、プロトンと電子が生じる。ここで、プロトンは、電極に接触しているプロトン伝導性膜を通して反対極(一般的にカソード又は酸素極と呼ばれる)側に供給される。また、電子は、燃料極側の電極で集電され、電気として使用された後、酸素極側に供給される。一方、酸素極側では、供給された酸素、プロトン伝導膜を通過してきたプロトン、電気として使用された電子を受け取り、触媒により1/2O+2H+2e→HOの反応が起こる。このように、燃料電池の作動による化学反応は、プロトン伝導性膜と触媒担持電極の界面部分でおこるため、膜、電極、及び触媒の界面構造が発電効率等、性能面に大きく影響する。膜、触媒及び電極の接合体は、一般に膜−電極接合体(以下、MEAともいう)と呼ばれ、燃料電池の主要な技術開発分野の1つとなっている。
このようなMEAにおいては、膜、触媒、電極が適度な界面を持って結合されている必要がある。即ち、燃料極側を例として挙げれば、燃料である水素等が触媒表面に接触でき、水素から発生したプロトンと電子が、それぞれ膜、電極に効率的に受け渡される必要がある。現在のところ、燃料電池用のプロトン伝導性膜として最も標準的に使用されているものは、熱可塑性を有するスルホン化フッ素系樹脂(代表例:DuPont社製、商品名「Nafion」)である。このような熱可塑性膜の場合、触媒を担持した電極を、熱プレスにより接合する方法が一般的であり、例えば、特許文献1には、触媒層上にプロトン伝導性ポリマー溶液を塗布し、乾燥してプロトン伝導性ポリマー層を形成させた後、固体高分子電解質膜と熱プレスによって接合する方法が開示されている。
しかしながら、熱プレス法では、電極のガス拡散細孔が変形したり、閉塞したりして、燃料の供給能力が低下するという問題があった。また、短時間といえども膜を強熱にさらすために、膜を構成する樹脂の構造変化を引き起こし、膜のプロトン伝導性を低下させる恐れもあった。
このような問題に対して、熱プレス法ではなく、スルホン化フッ素系樹脂等からなる高分子電解質を適当な溶媒により溶解し、この混合物を用い、膜と電極とを接合する方法が提案されており、例えば、特許文献2には、パーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換樹脂を、炭化水素アルコール系、含フッ素炭化水素系、又は、これらの混合物からなる溶媒に溶解して得た混合溶液を用いて接合を行う方法が開示されている。
この方法では、常温又は僅かな加圧で接合可能な点や、プロトン伝導性膜、触媒、電極の適度な混合状態及び界面構造を生成できる点で優れているが、通常、プロトン伝導性膜やMEA用接合剤としてNafion等の熱可塑性スルホン化フッ素系樹脂を用いていることから、固体高分子形燃料電池を稼働する際の耐熱性が不足するという問題があった。即ち、スルホン基の凝集によりイオンチャネルが形成され、プロトン伝導性を発揮するものの、熱可塑性を有するが故に、特定の温度以上では塑性変形し、イオンチャネル構造が破壊されてしまうという欠点があるため、ガラス転移温度(Tg)である約130℃以上では短時間で、また100〜130℃でも徐々に塑性変形が起こり、イオン伝導性が低下することがあった。従って、安定的な使用可能温度は、室温から80℃程度の比較的低い温度領域に制限され、酸化反応に伴い発生する熱を冷却して、温度を低下させるための装置が別途必要となることから、固体高分子形燃料電池を小型化できないという課題があった。
また、燃料電池の作動自体は高温であるほど効率がよいが、使用温度が制限されることから、効率面においても劣るものとなっていた。更に、使用温度が低温である場合には、水素に含まれる一酸化炭素等の不純物によって触媒被毒が顕著に起こることから、水素を高純度にするための燃料改質機が必要となり、本来の小型装置としての利点が失われるだけではなく、コストも高くなってしまっていた。
これに対して、装置の運転温度を100℃以上に高められれば、発電効率は向上し、それと共に排熱利用が可能となるために、より効率的にエネルギーを活用することができ、効率的な冷却が達成できるため、冷却装置を含めた小型化が達成できる。特に、運転温度を140℃まで上昇させることができれば、効率の向上、排熱利用だけではなく、触媒材料の選択幅が広がり、安価な燃料電池を実現することができる。更に、触媒被毒も高温にすると低減できることが知られており、高温での作動はあらゆる面で有利となる場合が多い。このような観点から、より耐熱性を有するプロトン伝導性膜の研究開発が推進されつつあり、例えば、非特許文献1には、耐熱性の芳香族高分子化合物を用いて耐熱性膜を作製する方法が開示されている。また、本発明者らは、特許文献3又は特許文献4において、全く新しい着想に基づいた有機無機複合膜を作製することにより、高温でも安定的にプロトン伝導性を示す膜材料を既に提案している。
しかしながら、このような耐熱性を有する膜を用いた場合であっても、膜と電極との接合剤として、特許文献2のようなフッ素系樹脂を用いると、膜と電極との接合部の耐熱性が低下するため、高温作動時に接合界面で樹脂が溶解したり、構造が変性したりする可能性があり、結局、燃料電池としては高温運転が不可能であった。
一方、現状の燃料電池は、メタノール等を改質器で処理して水素を抽出し、その水素を燃料として用いているが、近年、メタノールを直接燃料電池に導入する直接メタノール形燃料電池についても盛んに検討が行われている。しかしながら、直接メタノール形燃料電池に用いられる材料には耐熱性だけでなく、同時に耐メタノール性も必要となる。
特許文献4に開示されたプロトン伝導性膜は、直接メタノール形燃料電池にも使用可能であるが、膜−電極接合体を形成するために、フッ素系樹脂等の熱可塑性材料を接合時に用いた場合には、耐熱性が問題となるだけではなく、極端な膨潤や溶解により、ガス拡散電極の細孔を閉塞したり、触媒が遊離したりする危険性が生じていた。他に、フッ素系樹脂を触媒界面に存在させる方法も考えられるが、この場合は、触媒を回収する際にも特殊な処理が必要となっていた。
これに対して、本発明者らは、特許文献5において、プロトン伝導性膜に金属−酸素結合を有する架橋性モノマーを含有する液状体を塗布し、ガス拡散電極を貼り付けた後、液状体を硬化させ、3次元架橋構造体を形成することにより、耐熱性が高く、高温でも安定的に機能するとともに、耐メタノール性に優れる膜−電極接合体を製造する方法を開示している。しかしながら、膜と電極との接合部の材料として、金属−酸素結合を有する架橋性モノマーを用いた場合、3次元架橋構造体の架橋制御が困難になるという問題や、得られる3次元架橋構造体が収縮するために、耐久性が低下するという問題があった。
特開平11−40172号公報 特開平11−339824号公報 特願2000−38727号 特開2003−331644号公報 国際公開WO03/026051号 Solid State Ionics 106(1998)219
本発明は、上記現状に鑑み、耐熱性・耐薬品性が高く、高温でも安定的に機能するとともに、メタノール等の直接燃料の供給に対応しうる固体高分子形燃料電池を構成するプロトン伝導性膜とガス拡散電極との接合体(以下、単に「膜−電極接合体」ともいう)の製造方法及び該製造方法を用いた膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明1は、プロトン伝導性膜又は触媒が担持されたガス拡散電極の少なくとも片面に、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマーを含有する液状体を塗布する工程1、前記液状体が塗布されたプロトン伝導性膜又は触媒が担持されたガス拡散電極に、触媒が担持されたガス拡散電極又はプロトン伝導性膜を貼り付ける工程2、及び、前記液状体を硬化させる工程3を有する膜−電極接合体の製造方法である。
また、本発明2は、プロトン伝導性膜又はガス拡散電極の少なくとも片面に、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマーと、貴金属触媒を担持した炭素微粒子とを含有する液状体を塗布する工程1、前記液状体が塗布されたプロトン伝導性膜又はガス拡散電極にガス拡散電極又はプロトン伝導性膜を貼り付ける工程2、及び、前記液状体を硬化させる工程3を有する膜−電極接合体の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明1の膜−電極接合体の製造方法は、電極に触媒が担持されている場合の製造方法である。電極に触媒が担持されている場合、膜−電極接合体界面に触媒がすでに存在するため、特に貴金属触媒を担持した炭素微粒子等を用いる必要はない。しかしながら、反応効率を高めるため、更に貴金属触媒を担持した炭素微粒子等を加えてもよい。
本発明1の膜−電極接合体の製造方法においては、まず、プロトン伝導性膜又は触媒が担持されたガス拡散電極の少なくとも片面に、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマー(以下、単に「架橋性オリゴマー」ともいう。)を含有する液状物を塗布する工程1を行う。なお、上記架橋性オリゴマーについては、後に詳述する。
上記架橋性オリゴマーは、本発明においてはそのまま用いてもよいが、更に溶媒を用いて適度な濃度に調整してもよい。
上記溶媒としては、上記架橋性オリゴマーを分散又は溶解可能なものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のセロソルブ類;水等が挙げられる。また、これらの溶媒に公知の溶媒類を混合してもよく、更に界面活性剤等を添加してもよい。
上記溶媒を用いる際には、液状物中の固形分濃度、即ち、上記架橋性オリゴマーの濃度は特に限定されないが、好ましい下限は5重量%であり、より好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は50重量%である。5重量%未満であると、架橋性オリゴマーの量が不足して充分な接合ができないことがある。
また、上記溶媒を用いる際には、水等を添加してもよい。水を添加すると、架橋性オリゴマーが適度に加水分解するため、好ましい。更に、水により架橋性オリゴマーが適度に縮合を開始するため、粘度の上昇による攪拌時の剪断力が向上し、分散が良好になり、更に適度な粘度となるためにプロトン伝導性膜に塗布しやすくなることも期待できる。
添加する水の量としては、特に限定されないが、架橋性オリゴマー中の加水分解性シリル基のmol数に対して好ましい下限は5mol%である。なお、水が不足する場合は、空気中の水分又は後の工程で加湿することで補うことができる。添加する水としては、脱イオン水が好ましい。
更に、酸、塩基を加水分解触媒として添加してもよい。なお、添加する酸、塩基は、sol−gel反応の触媒として用いるものであって、プロトン伝導性に寄与するものとは異なっていてもよい。また、架橋調整剤として、架橋性モノマーを少量添加してもよい。しかしながら、架橋性モノマーを用いることにより、後に詳述する架橋性オリゴマーの利点を損なうおそれがあるため、添加量はできる限り少なくすることが好ましい。同様に、架橋調整剤として、金属−酸素結合を有する構造単位(a)のみの架橋性オリゴマーを添加してもよい。この場合、架橋性オリゴマー全体のうち、上記金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマーの比率の好ましい下限は3重量%である。3重量%未満であると、充分なプロトン伝導性を発揮できないことがある。
上記架橋性オリゴマーと溶媒等とを混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、高速攪拌機、ホモジナイザー、超音波攪拌機、遊星式攪拌機、ボールミル等が用いられるが、液状物に貴金属触媒担持炭素微粒子等を添加しない場合には、架橋性オリゴマーを各種溶媒に溶解することは容易であるため、通常のスターラーや振とう機を用いて容易に溶解することができる。
上記プロトン伝導性膜としては、特に限定されず、例えば、容易に入手できるものとしては、Nafion(登録商標)等のスルホン化フッ素系樹脂や、芳香族環を主鎖中に有するいわゆるエンジニアリングプラスチック(代表例:ポリベンズイミダゾール)にスルホン酸やリン酸を導入したものや、酸をドープしたシリカガラス、酸をドープした有機無機複合膜等が挙げられる。
本発明1の製造方法では、金属−酸素結合からなる3次元架橋構造体を有する膜−電極接合体が得られることから、プロトン伝導性膜としても、金属−酸素結合による3次元架橋構造体、特にケイ素−酸素結合による3次元架橋構造体を有するものを用いることが好ましい。
上記プロトン伝導性膜にこのような3次元架橋構造体が存在する場合、膜−電極接合体の接合部に形成された3次元架橋構造体との親和性が良好となり、場合によってはプロトン伝導性膜中の3次元架橋構造体と膜−電極接合体の接合部の3次元架橋構造体が相互作用、又は、結合することにより、膜から電極までがつなぎ目のない一体の接合体とすることができる。また、この際、プロトン伝導性膜中の3次元架橋構造体が完全に架橋構造をとらない、いわゆる半架橋状態で膜−電極接合体を形成すると、接合体の一体化がより顕著に起こり、有利となる。
このような3次元架橋構造体を有する膜としては、例えば、Nafion等の既存のプロトン伝導性膜にシリカを複合させもの、sol−gel反応で膜中に3次元架橋構造体を導入したものや、本発明者らが特願2000−38727号、特開2003−331644号公報において提案したもの等が挙げられる。
上記触媒が担持されたガス拡散電極としては、特に限定されず、市販のものを用いることができ、具体的にはE−TEK社より入手可能である。
また、上記触媒が担持されたガス拡散電極は撥水化されていることが好ましい。特にカソード側の電極では、生成された水によって、フラッディングを起こしてしまうことがあるが、上記ガス拡散電極を撥水化することで、生成水を排除することができ、フラッディングの発生を効果的に防止することができる。従って、上記触媒が担持されたガス拡散電極は、撥水性材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、電子伝導体であるカーボンブラックとの混合体であることが好ましい。この場合、カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)との混合比は、好ましくは3:7〜7:3であり、より好ましくは5:5である。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、非伝導体であるため、多量に配合すると抵抗の増加をもたらすことがある。
また、上記触媒が担持されたガス拡散電極の厚みの好ましい上限は0.1mmである。0.1mmを超えると、抵抗値が大きくなり、出力が低下することがある。更に、上記ガス拡散電極に用いるカーボンブラックは、適宜自由なものが使用できるが、特に比表面積10m/g以上のものが好ましい。
上記触媒が担持されたガス拡散電極を貼り付ける方法としては、液状物が塗布されたプロトン伝導性膜面にガス拡散電極の触媒担持面を接触させる方法で行うことができ、この際、圧力をかけてもよく、また、加熱してもよい。
工程1では、このようにして作製された液状物をプロトン伝導性膜又は触媒が担持されたガス拡散電極に塗布する工程を行う。塗布する方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ロールコート法、スプレーコート法、ドクターブレード法、ディップコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、転写法、電着塗装法等を用いることができる。
本発明1の膜−電極接合体の製造方法では、次いで、工程1で得られた液状物が塗布されたプロトン伝導性膜又は触媒が担持されたガス拡散電極に、触媒が担持されたガス拡散電極又はプロトン伝導性膜を貼り付ける工程2を行う。
工程2における接合時の温度としては、好ましい下限が20℃であり、上限は特に限定されないが、膜の物性を損なわない温度が適切であり、通常300℃以下の温度で行うことが好ましい。このように温度をかけて接合を行うことにより、架橋性オリゴマーが架橋反応を開始するため、充分に接合が行われる。更にこの際、圧力をかけると、更に電極と膜との密着性が向上し、反応効率の高い接合面が形成できる。この場合の圧力の好ましい下限は0.5N/cmであり、好ましい上限は特に限定されないが、電極や膜が破壊されない圧力を適宜選ぶことができる。
本発明1の膜−電極接合体の製造方法では、次に、膜−電極接合体に塗布した液状体を硬化させる工程3を行う。
工程3では、主として加水分解性シリル基を有する架橋性オリゴマーを、工程1で作製した液状物中の水又は雰囲気中の水を利用して加水分解及び縮合反応させることにより、硬化させる。この加水分解、縮合反応は、いわゆるsol−gel反応を用いる。また、工程1、工程2において、ある程度架橋反応を進めておいてもよい。
上記架橋反応をより効率的に行うためには、通常、加熱を行う。加熱は、特に行わなくても硬化反応は可能であるが、加熱した方がより硬化が速くかつ完全に起こるため、加熱を行うことが好ましい。
上記加熱を行う際の温度としては、用いる架橋性オリゴマーの構造、含有濃度、水分量、触媒量等により異なるが、好ましい下限は50℃である。また、好ましい上限は、膜、電極又は接合部の構造が壊れない温度であれば特に制限はないが、本発明1においては300℃である。また、加熱の際は減圧を行ってもよい。
上記加熱の方法としては、特に限定されず、オーブン等熱源による加熱、遠赤外線加熱、誘導加熱等、任意の加熱方法を用いることができる。また、工程2でプレスを用いた場合、プレスしたまま加熱を続けて工程3としてもよい。また、加熱の方法として、予め室温で予備硬化工程を行ってから、更に20〜200℃の温度で加熱して本硬化工程を行ってもよく、この場合には構造がより制御された膜−電極接合を実現することができる。
加熱の際に加湿してもよい。加湿することにより、架橋性オリゴマーが有する加水分解性シリル基等の加水分解をより効率的に行うことができる、加湿する場合は、相対湿度が50%以上の加湿条件下で行うのが好ましい。加湿することにより、強固な膜−電極接合体を提供することが可能となる。
上記加熱の時間は、反応状況を見ながら随時決定することができ、一般的には10分から1週間であり、好ましくは30分から3日間である。
なお、工程3を行った後、膜−電極接合体を硫酸等で酸処理してもよく、水洗してもよい。
本発明1では、膜−電極接合体の接合材料として、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマーを用いる。なお、本明細書において「架橋性オリゴマー」とは、架橋性を有し、最小構造単位の重合度が2〜1,000の低重合体のことをいう。また、「金属−酸素結合を有する構造単位」とは、金属−酸素結合を有し、かつ、酸基を有しない構造単位のことをいう。
本発明1では、上記架橋性オリゴマーとして、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなるものを用いることにより、架橋性モノマーを用いる場合よりも架橋制御が容易となる。また、3次元架橋構造体からなる接合部中に酸を均一に分散させることができ、優れたプロトン伝導性を有する膜−電極接合体を製造することができる。更に、上記架橋性オリゴマーは、酸基を有する構造単位だけでなく、酸基を有しない構造単位を有することで、高い耐熱性、耐薬品性を有する膜−電極接合体が得られ、プロトン伝導性と耐熱性、耐薬品性とを両立させることが可能となる。
なお、強固な3次元架橋構造体を得る方法としては、金属−酸素結合を有する架橋性モノマーと金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する架橋性モノマーとを併用した接合材料を用いることも考えられるが、このような方法では、架橋性モノマーの種類や架橋反応条件の制約を受けるだけでなく、組み合わせる架橋性モノマー、架橋反応条件が好ましくない場合には、3次元架橋構造体が得られずホモ構造(それぞれが独立して架橋し、混合物として存在している状態)等となったり、架橋性モノマーが散逸したりすることがある。これに対し、本発明1では、上記架橋性オリゴマーを用いることで、オリゴマー中の架橋基を自由に制御できるため、組み合わせるモノマー、オリゴマー、又は、架橋反応条件の自由度が格段に向上する。更に、架橋性オリゴマーの組成や重合度を調整することにより、反応速度、極性等も調整可能であり、プロセスウインドウも広がり、所望の性質を有する3次元架橋構造体を形成することが可能となる。
上記架橋性オリゴマーは、その構造単位中に金属−酸素結合を有する加水分解性シリル基等を有し、水の存在下で加水分解、縮合を起こし(sol−gel反応)、3次元架橋体を形成する。
上記金属−酸素結合に用いられる金属としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等が挙げられるが、これらのなかでは、ケイ素が好ましい。
上記金属−酸素結合を有する構造単位(a)としては、例えば、下記式(1)に示す構造を有するものを用いることができる。下記式(1)に示す構造単位は、sol−gel反応の基本化合物であり、安価かつ大量に入手することができ、得られる架橋体は極めて安定である。
Figure 0004933758
式(1)中、RはCl、OCH、OC、OC、OC、OC、OH、OCOCH又は架橋に関与する−O−結合を表す。
更に、上記金属−酸素結合を有する構造単位(a)としては、下記式(2)に示す構造を有するものを用いることができる。
Figure 0004933758
式(2)中、RはCl、OCH、OC、OC、OC、OC、OH、OCOCH又は架橋に関与する−O−結合、Rは炭素数20以下のアルキル基又はフェニル基を表し、nは1〜3の整数を表す。
ここで、上記式(2)中のRとしては、主としてメチル基、エチル基、プロピル基が用いられ、種々のRとの組み合わせが挙げられる。このような組み合わせとしては、例えば、Rがエトキシ基の場合、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等が挙げられる。これらのモノアルキル、ジアルキル又はトリアルキルを用いると、接合材料の物性が大きく変更でき、例えば、柔軟性を付与したり、撥水性を付与してフラッディングを防止したりすることができる。
更に、上記金属−酸素結合を有する構造単位(a)としては、下記式(3)に示す構造を有するものを用いることができる。
Figure 0004933758
式(3)中、RはCl、OCH、OC、OC、OC、OC、OH、OCOCH又は架橋に関与する−O−結合、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基、Rは炭素数30以下の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数を表す。
上記式(3)中のRとしては、エチレン、ブチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、テトラデカメチレン、ヘキサデカメチレン、ドコサメチレン等が挙げられる。
具体的な組み合わせとしては、例えば、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ブタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,10−ビス(トリエトキシシリル)デカン、1,12−ビス(トリエトキシシリル)ドデカン、1,14−ビス(トリエトキシシリル)テトラドデカン、1,22−ビス(トリエトキシシリル)ドコサン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン等が挙げられ、いずれも対応するジエン化合物へのトリエトキシシランのヒドロシリル化反応により得ることができる。ヒドロシリル化反応の際、トリエトキシシランの代わりに、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等を用いることにより、異なった加水分解性シリル基を有する化合物を得ることができる。これらのうち、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼンは、GELEST社より市販されている。
これらの構造単位を有する架橋性オリゴマーは、接合材料の物性を改善することができ、更に架橋反応も制御できるため、好ましく用いることができる。
上記架橋性オリゴマーは、金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)を有する。
これにより、予め架橋性オリゴマー中にて複数の酸基を配列構造化することができ、効率的なプロトン伝導経路(イオンチャネル)を形成することが可能となる。なお、プロトン伝導性を高める手段としては、例えば、金属−酸素結合を有する構造単位(a)のみからなる架橋性オリゴマーを用い、別に大量に酸基を導入する方法も考えられるが、このような方法では、酸基がイオン経路とならない部分にまで導入されてしまい、膜−電極接合部が極度に親水性となって、水との接触により膜−電極接合部がひび割れたり、水に溶解したりしてしまうといった問題が発生する。
これに対して、上記架橋性オリゴマーを用いた場合は、イオン経路に沿って効率的に酸基を導入できるため、膜−電極接合部の物性(耐久性、耐熱性、耐水性等)を落とさず、充分なプロトン伝導性を確保することが可能となる。一方、sol−gel反応は一般的に脱水縮合を起こすため、膜−電極接合部の収縮が発生し、場合によっては膜−電極接合部が応力破壊する可能性がある。しかしながら、上記架橋性オリゴマーを使用した場合には、脱水縮合すべき官能基の総数を減少することが可能なため、脱水縮合による膜−電極接合部の収縮を押さえることができるため、より強固に接合することが可能となる。
上記金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)としては、下記式(4)に示す構造を有するものが好ましい。下記式(4)に示す構造単位を有する架橋性オリゴマーは、加水分解性シリル基を有し、sol−gel反応により、3次元架橋構造体を形成することが可能である。また、その他の金属−酸素結合を有する架橋性オリゴマーと複合架橋させることも可能である。
Figure 0004933758
式(4)中、RはCl、OCH、OC、OC、OC、OC、OH、OCOCH又は架橋に関与する−O−結合、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基、Rは酸基を有する有機基を表し、nは1〜3の整数を表す。
は、酸基を有する有機基であるが、上記酸基は、スルホン酸基又はホスホン酸基であることが好ましい。上記スルホン酸基及びホスホン酸基は、酸性度が充分に高く、燃料電池作動時の環境に対しても安定であり、好適に用いることができる。
また、上記金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)としては、例えば、下記式(5)に示す構造を有するものを用いることができる。
Figure 0004933758
式(5)中、RはCl、OCH、OC、OC、OC、OC、OH、OCOCH又は架橋に関与する−O−結合、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基を表し、nは1〜3の整数、mは1〜20の整数を表す。
上記式(5)に示す構造単位を有する架橋性オリゴマーは、ケイ素原子とスルホン酸基とを結ぶ結合が、メチレン分子鎖であるため、分岐が無く、酸化、酸、高温高湿度に対しても安定であり、好ましく用いることができる。
上記架橋性オリゴマー中の金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とのモル比は、1:1〜19:1であることが好ましい。構成比を上記範囲内とすることにより、得られる膜−電極接合体は、充分な耐熱性、耐薬品性を確保しつつ、優れたプロトン伝導性を有するものとなるため、耐熱性、耐薬品性とプロトン伝導性とを両立させることが可能となる。
上記架橋性オリゴマーの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、加水分解性シリル化合物とメルカプト基含有アルコキシシランとを共重縮合させた後、メルカプト基をスルホン酸基に置換する方法等が挙げられる。
上記加水分解性シリル化合物としては、例えば、下記式(6)及び/又は(7)に示す構造を有するものを用いることが好ましい。
Figure 0004933758
式(6)中、RはCl、OH、OCH、OC、OC、OC、OC又はOCOCHである。
上記式(6)に示す加水分解性シリル化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。このうち、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランは汎用品であり、安価であり、大量かつ容易に入手可能であるため、特に好ましく用いることができる。また、上記式(6)に示す加水分解性シリル化合物において、上記Rとしては、アルコキシ基が最も好ましく、中でも入手が容易な炭素数4以下のアルコキシ基が好ましい。
更に、上記架橋性オリゴマーを製造する際に用いられる加水分解性シリル化合物としては、下記式(7)に示す構造を有する化合物を用いることができる。
Figure 0004933758
式(7)中、RはCl、OH、OCH、OC、OC、OC、OC又はOCOCHであり、Rは炭素数20以下のアルキル基又はフェニル基であり、nは2〜3の整数である。
上記式(7)に示す構造を有する加水分解性シリル化合物において、nは2〜3である。nが1であると、重縮合反応を行った場合に末端を封止したり、オリゴマーの反応性を極度に低下させる可能性がある。上記Rとしては、縮合反応が可能なものや、加水分解により縮合可能な基が生成するものであればよく、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、塩素等が挙げられる。これらのなかでは、アルコキシ基が最も好ましく、中でも入手が容易な炭素数4以下のアルコキシ基が特に好ましい。
上記式(7)に示す加水分解性シリル化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン等のメトキシ体、及び、これらのエトキシ体、イソプロポキシ体、ブトキシ体等が挙げられる。特に上記Rが、メトキシ、エトキシのものは反応制御、入手が容易であることから、好適に用いられる。
上記メルカプト基含有アルコキシシランとしては、少なくとも1つのメルカプト基と、少なくとも1つのアルコキシシリル基を有するものであればよく、特に限定されないが、下記式(8)に示す構造を有する化合物を用いることが好ましい。
Figure 0004933758
式(8)中、RはCl、OH、OCH、OC、OC、OC、OC又はOCOCHであり、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基であり、nは2〜3の整数、mは1〜20の整数である。
上記Rとしては、縮合反応が可能なものや、加水分解により縮合可能な基が生成するものであればよく、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、塩素等が挙げられる。これらのなかでは、アルコキシ基が最も好ましく、中でも入手が容易な炭素数4以下のアルコキシ基が特に好ましい。
上記Rとしては、アルコキシシリル基と反応しない非反応性基であれば特に限定されず、安定性やコスト等を勘案すると、炭素数4以下のアルキル基、フェニル基等が好適に用いられる。
上記一般式(8)に示す構造を有する化合物において、nは2〜3である。nが1であると、重縮合反応を行った場合に反応が停止してしまい、好ましいメルカプト基含有オリゴマーが形成できないか、メルカプト基含有オリゴマーの反応性を極度に低下させることがあり、主成分として用いることは困難である。なお、少量添加してメルカプト基含有オリゴマーの分子量調整を行うことは可能である。
nが3であるメルカプト基含有アルコキシシランとしては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリブトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、RがOCH又はOCであるものが好ましく、特にmが3、nが3である3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランは、Gelest社から市販されており、好ましく用いることができる。中でも、RがOCHの3−メルカプトプロピルトリメトキシシランは汎用品であり、大量かつ低価格で入手できるため好ましく用いることができる。
nが2であるメルカプト基含有アルコキシシランとしては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジブトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルブチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルフェニルジメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、RがOCH又はOCであり、Rがメチル基である化合物が好ましく、更に、mが3である3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランはGelest社から市販されており、好適に用いられる。
また、上記メルカプト基含有アルコキシシランは、2重結合とハロゲン基とを有する炭素数20以下の直鎖状炭化水素化合物に対し、2重結合部に白金錯体触媒を用いたヒドロシリル化反応により所望のアルコキシシリル基を導入し、ハロゲン基部分に水硫化ナトリウムを反応させる方法や、2重結合が2つある場合には、一方の2重結合にヒドロシリル化反応によりアルコキシシリル基を導入し、もう一方の2重結合にチオ硫酸等を付加させた後に加水分解する方法によっても、得ることができる。この場合、予めアルコキシシリル基を有し、ハロゲン基又は2重結合を有する化合物を原料として用いた場合、反応は1段階で完了することができ、好ましい。
上記メルカプト基含有アルコキシシラン及び加水分解性シリル化合物を原料として、複数のメルカプト基を有するメルカプト基含有オリゴマーを製造する方法としては特に限定されず、例えば、特開平9−40911号公報、特開平8−134219号公報、特開2002−30149号公報、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry、第33巻、第751−754頁、1995、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry、第37巻、第1017−1026頁、1999等に示すような、公知の方法を用いることができる。
上述の方法で製造されたメルカプト基含有オリゴマーのメルカプト基を酸化して、スルホン酸基とし、スルホン酸基含有オリゴマーとすることにより、上記金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマーとして用いることができる。
上記メルカプト基の酸化方法としては、特に限定されず、例えば、過酸化水素、過酢酸、過蟻酸、硝酸、プラズマ、光、活性酸素、オゾン等を用いることによって行うことができる。なお、水溶液のものについては、生成したスルホン酸と水とによって、生成した架橋性オリゴマーが3次元架橋構造体になってしまうことがあるため、このような場合はオゾン等水を含有しないものを用いることが好ましい。
本発明2はプロトン伝導性膜又はガス拡散電極の少なくとも片面に、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマーと、貴金属触媒を担持した炭素微粒子とを含有する液状体を塗布する工程1、前記液状体が塗布されたプロトン伝導性膜又はガス拡散電極に、ガス拡散電極又はプロトン伝導性膜を貼り付ける工程2、及び、前記液状体を硬化させる工程3を有する膜−電極接合体の製造方法である。
本発明2の膜−電極接合体の製造方法は、電極に触媒が担持されていない場合の製造方法である。電極に触媒が担持されていない場合、膜−電極接合体内に触媒を配置する必要があり、接合体形成の際、触媒を添加する工程を加える。上記触媒としては、例えば、白金等の貴金属触媒が挙げられる。
本発明2の膜−電極接合体の製造方法においては、まず、プロトン伝導性膜又はガス拡散電極の少なくとも片面に、架橋性オリゴマーと貴金属触媒を担持した炭素微粒子とを含有する液状体を塗布する工程1を行う。
なお、上記架橋性オリゴマーについては、本発明1に用いたものと同様のものを用いることができる。
上記貴金属触媒を担持した炭素微粒子としては、例えば、カーボンブラックに白金又は白金合金微粒子を担持したものが使用でき、市販品としては、例えば、田中貴金属社製の触媒担持炭素微粒子を用いることができる。
上記架橋性オリゴマーと貴金属微粒子を担持した炭素微粒子とを混合する方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、高速攪拌機、ホモジナイザー、超音波攪拌機、遊星式攪拌機、ボールミル等を好適に用いることができる。
また、混合時には溶媒を用いてもよく、用いることができる溶媒は、触媒担持炭素微粒子が分散可能であり、架橋性オリゴマーを分散又は溶解可能なものであれば特に制限はない。一般的には、本発明1の工程1において用いた溶媒を使用することができる。また、これらの溶媒に公知の溶媒類を混合してもよく、更に本発明1の場合と同様に、水、界面活性剤等を添加してもよい。
上記溶媒を用いる際には、液状物中の固形分濃度、即ち、架橋性オリゴマーと貴金属触媒担持炭素微粒子との合計濃度の好ましい下限は5重量%である。5重量%未満であると、膜−電極接合体に充分な触媒量が確保できず、また、架橋性オリゴマー量が不足して充分な接合ができない可能性がある。より好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は50重量%である。
工程1では、このようにして作製された液状物をプロトン伝導性膜又はガス拡散電極に塗布する工程を行う。塗布する方法は、本発明1と同様の方法を用いることができる。
本発明2の膜−電極接合体の製造方法では、次に、工程1で得た液状物の塗布されたプロトン伝導性膜又はガス拡散電極に、ガス拡散電極又はプロトン伝導性膜を貼り付ける工程2を行う。
貼り付ける方法は、液状物が塗布されたプロトン伝導性膜又はガス拡散電極の表面に、ガス拡散電極又はプロトン伝導性膜を接触させる方法で行うことができ、この際、圧力をかけてもよく、また、温度をかけてもよい。なお、貼り付け方法、加熱、加圧条件については、本発明1と同様である。
本発明2の膜−電極接合体の製造方法では、次に、液状体を硬化させる工程3を行う。
なお、硬化反応の温度、時間、雰囲気等は、本発明1と同様であるため、その詳しい説明を省略する。
本発明1又は本発明2の膜−電極接合体の製造方法を用いることにより、膜−電極接合体を得ることができる。このような膜−電極接合体もまた本発明の1つである。
本発明1のように、触媒が担持された電極を用いる方法では、電極上の触媒とプロトン伝導性膜とが適度な界面を形成するように、3次元架橋構造体で接合された構造を形成させる。このような構成が得られることにより、耐熱性、耐薬品性に優れる膜−電極接合体を作製することができる。
また、本発明2のように、接合部分に触媒を担持した炭素微粒子を含有する液状体を界面に塗布し、触媒が担持されていない電極を用いる方法では、接合界面に耐熱性、耐酸性、耐水性を有する3次元架橋構造によって、電極と触媒を担持した炭素微粒子とを接合された構造とすることができる。このような構成が得られることにより、耐熱性、耐薬品性に富んだ膜−電極接合体が形成される。
また、本発明1又は本発明2の膜−電極接合体の製造方法を用いることにより、例えば、プロトン伝導性膜の両面にガス拡散電極を接合してなる膜−電極接合体であって、プロトン伝導性膜とガス拡散電極とを接合する膜−電極接合部は、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマーから形成される3次元架橋構造体を含有する膜−電極接合体を製造することができる。
このような膜−電極接合体もまた本発明の1つである。
本発明の膜−電極接合体の一例を図に示す。図1は、触媒があらかじめ担持された電極を用いた膜−電極接合体の模式断面図である。膜−電極接合体においては、触媒が燃料ガス又は酸素ガス、プロトン伝導性材料、電子伝導材料のいずれとも接している必要があり、それぞれの界面が形成されている必要がある。このような界面は三相界面と呼ばれ、膜−電極接合体においては、単に膜と電極を接合するだけではなく、接合界面に含まれる触媒の三相界面が制御されている必要がある。本発明の膜−電極接合体では、図1に示すように、貴金属触媒4がその表面に担持されたガス拡散電極6とプロトン伝導性膜5の間の接合部1は、3次元架橋体含有材料2で形成されて三相界面を形成している。
図2は、触媒を担持した炭素微粒子を接合部に配した膜−電極接合体の模式断面図である。本発明の膜−電極接合体では、ガス拡散電極6とプロトン伝導性膜5の間の接合部1は、3次元架橋体含有材料2の中に貴金属触媒4が担持された炭素微粒子3が配されて三相界面を形成している。
本発明の膜−電極接合体は、ガス拡散電極とプロトン伝導性膜との間の接合部が3次元架橋構造体からなり、優れた耐熱性を有することから、燃料電池の作動温度(例えば、100〜150℃程度)に近い温度でも変形や変質をすることなく、三相界面が破壊されたり変性したりすることによって、燃料電池の反応効率が大きく低下することがない。従って、本発明の膜−電極接合体を用いた燃料電池は、高温で作動することができ、よりエネルギー効率が高まり、触媒被毒低減、冷却効率向上による冷却装置簡易化等、大きなメリットを享受することができる。
また、本発明の膜−電極接合体は、上述のような製造方法を用いて製造されることから、3次元架橋構造体からなる接合部中に酸を均一に分散させることができ、優れたプロトン伝導性を有する膜−電極接合体となる。一方、上記架橋性オリゴマーを用いることで、本発明の膜−電極接合体は、高い耐熱性が確保され、プロトン伝導性と耐熱性とを両立させることが可能となる。
更に、本発明の膜−電極接合体は、上述のような構成を有することにより、燃料として水素ガスのようなガス状の燃料ではなく、メタノールのような液体の燃料を直接導入する直接メタノール形燃料電池においても好適に用いることができる。即ち、架橋構造を有さない高分子電解質を用いて接合した膜−電極接合体の場合、高分子電解質がメタノールとの親和性が高く、その結果メタノールが接合面に侵入した場合、膨潤したり溶解したりして三相界面を壊してしまう可能性があり、安定的な燃料電池の作動が保証できない。これに対し、本発明の膜−電極接合体においては、3次元架橋構造体にて接合しているため、メタノール等の液体燃料が直接導入されても、膨潤や溶解が起こらず、安定した燃料電池の作動が可能である。
本発明の膜−電極接合体を単位セルとして、その外側に、燃料、酸素の通路となる一対のセパレータを設置するとともに、隣り合う複数セルを相互に連結することにより、固体高分子形燃料電池を得ることができる。このような固体高分子形燃料電池もまた本発明の1つである。本発明の固体高分子形燃料電池においては、耐熱性・耐薬品性が高く、高温でも安定的に機能する膜−電極接合体を用いるために、高温動作に対応しうる固体高分子形燃料電池を提供でき、更に、メタノール等の液体燃料が直接導入されても、膨潤や溶解が起こらないことから、直接メタノール形燃料電池としても好適に使用することができる。
本発明によれば、耐熱性・耐薬品性の高い膜−電極接合体を得ることができ、このような膜−電極接合体を用いた固体高分子形燃料電池は、高温でも反応効率が大きく低下することなく、安定的に機能する。また、メタノール等の燃料を直接導入する固体高分子形燃料電池に用いた場合であっても、膨潤や溶解が起こらず、安定して作動する固体高分子形燃料電池を提供することができる。
本発明を更に詳しく説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)プロトン伝導性膜の作製
ナトリウム−ナフタレン錯体系フッ素表面処理剤(テクノス社製、フロロボンダーE01)100gをステンレスバットに注ぎ、希釈溶媒としてTHF120mLを添加して表面処理剤混合液とし、この表面処理剤混合液をよく撹拌した。次いで、平均孔径0.1μm、厚さ50μmのPTFE多孔質材料(住友電工ファインポリマー社製)を1辺が10cmの正方形状に切断し、表面処理剤混合液中に30分間浸漬した。PTFE多孔質材料を取り出し、THFを用いて充分すすぎ、表面に付着した錯体成分を取り除いた。その後、更にメタノールにて充分に洗浄し、乾燥させることにより親水化処理多孔質材料を得た。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとテトラエトキシシランの共重合物(信越化学工業社製、X−41−1805)4.07gとテトラエトキシシラン1.0gを混合した液に、水0.12gとトリエチルアミン0.06gとを滴下し、透明化するまで室温で20分程度撹拌した後、フッ素フィルム上でこの溶液を展開した。この溶液上に親水化処理多孔質材料を被せて溶液を含浸させ、また、溶液が気泡等の影響で充分含浸されなかった部分では、ポリエチレン製のへらを用いて、溶液を親水化処理多孔質材料中にムラがないよう含浸させた。
その後、フッ素樹脂フィルムを被せ、その上からアプリケーターで膜厚が50μmになるようレベリングした。フッ素樹脂フィルムを被せたまま室温で80時間養生した後、フッ素樹脂フィルムを剥がし、更に36時間養生した。養生後の膜をフッ素樹脂フィルムで挟み、更にそれらを2枚のガラス板で挟み、この状態でガラス製の容器に水500mLとともに入れ、ギアオーブンを用いて80℃で24時間加熱硬化させたのち、窒素雰囲気下で100℃から260℃まで1時間に20℃の割合で昇温し、更に260℃で3時間焼成した。焼成後の膜を別のガラス製容器に移し替え、1N塩酸水溶液及び水に80℃条件下で各々1時間ずつ浸漬し、未反応物及び触媒を膜から抽出した。抽出液を除いた後、酢酸125mL、30%過酸化水素水100mLを混合して作製した過酢酸に膜を浸漬し、ホットプレートにて60℃で1時間加熱した。得られた膜を過酢酸溶液から取り出し、80℃の水に各1時間、3回浸漬して過酢酸溶液を充分に除いて、半透明の膜を得た。これをプロトン伝導性膜とした。得られたプロトン伝導性膜は、1辺が9cm、厚さが約50μmであった。
(2)スルホン酸基含有オリゴマーの調製
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン21.2g、テトラエトキシシラン52.5g及びメタノール10.7gをフラスコに計量し、常温で5分撹拌した。そこに、0.1N塩酸6.2gとメタノール8.2gとを混合した溶液を添加し、更に常温で3時間撹拌した。次いで、フッ化カリウム0.057gとメタノール9.7gとを混合した溶液を添加し、オイルバスで80℃に加熱しながら3時間撹拌した。混合溶液を5℃に冷却し、その後、35℃真空にてメタノールを分留した。得られた溶液にジエチルエーテル120mLを加えて、常温で10分撹拌した後、5℃に冷却し、濾紙(ADVANTEC社製、定量濾紙No.5C)を用いて濾過した。得られた濾液から35℃真空にてジエチルエーテルを分留し、メルカプト基含有オリゴマーを得た。得られたメルカプト基含有オリゴマーにオゾン発生装置(エコデザイン社製、ED−OGM−1)を用いてオゾンを3時間注入し、スルホン酸基含有オリゴマーを得た。
(3)膜−電極接合体の作製
スルホン酸基含有オリゴマー1.0g、水0.5g、イソプロパノール(和光純薬工業社製)3.0gを混合した液を作製した。この液状物を、上述の方法で作成したプロトン伝導性膜の片面上にバーコート法(バーコーター#6)にて塗布した。塗布後1分以内に、面積が5×5cmで、白金担持量が1mg/cmであるガス拡散電極(米国E−TEK社製)を貼り合わせた。この工程をもう片面にも施した。この得られた接合体をプレス機(東洋精機製作所社製)にて2.0N/cmで室温でプレスした。この状態で30分プレスを続け、更にそのまま温度を160℃まで上げ、更に15分プレスを続け、膜−電極接合体を得た。
(比較例1)
(1)膜−電極接合体の作製
スルホン酸基含有オリゴマー1.0gと水0.5gの代わりに、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸33%水溶液(Gelest社製)1.6gとテトラエトキシシラン(信越化学工業社製)0.5gを添加した以外は、実施例1と同様にして膜−電極接合体を得た。
(比較例2)
市販のイオン交換樹脂溶液(Nafionパーフルオロイオン交換樹脂、アルドリッチ社製)10gをイソプロパノール中で、激しく撹拌し、懸濁液を作製した。この懸濁液を、プロトン伝導性膜の両面に塗工し、塗工後1分以内に、面積が5×5cmで、白金担持量が1mg/cmであるガス拡散電極(米国E−TEK社製)を貼り合わせた。この後実施例1と同様の加熱工程を行うことにより、膜−電極接合体を得た。
(評価)
(1)接着状態の評価
接合後の膜−電極接合体を、1)オーブンにて140℃で24時間加熱した。2)40℃のメタノールに24時間浸漬した。その後、官能評価として、目視及び折り曲げ試験を実施し、次の基準で評価した。
○:剥離等が無く接着状態が良好な状態。
×:電極と膜自体が剥離している状態。
(2)発電性能の評価
実施例、比較例で得られた膜−電極接合体を、燃料電池用単セル(Electoro Chem社製)に用いて、図4に示すようにして、この膜−電極接合体28の両側にセパレータ40及び集電板41を配置し、ボルト42によりトルク15kg−cmで締め付けて、単セルの燃料電池を作製した。このように構成した燃料電池の発電性能を、電子負荷装置(米国スクリブナー社製、「890B」)及びガス供給装置(東洋テクニカ社製、「FC−GAS−1」)を用いて、図3に示す要領で評価した。アノード27とカソード29よりなる評価用セルは、100℃以上では装置内を加圧する高温セルであり、水素ガス11、酸素ガス13は、窒素ガス12、14で希釈でき、バブラー23、24および配管は、温度コントローラによって任意に可変なシステムとし、セルから排出されるガスは、加湿トラップ31、32を経て放出した。セル温度を室温から140℃まで変化させ、それぞれの温度で、本発明の膜−電極接合体28を用いたセルの発電性能を評価した。評価は、セルと電子負荷装置30を接続し、徐々に抵抗をかけ、電池自体の出力(I−V特性)を測定し、最大出力を計測した。代表値として120℃での測定値を示した。120℃においては、測定層内を加圧状態(2気圧)にして測定を行った。ガス流量は、水素、酸素共に、500ml/minである。
Figure 0004933758
本発明では、耐熱性・耐薬品性が高く、高温でも安定的に機能するとともに、例えば、メタノール等の直接燃料の供給に対応しうる固体高分子形燃料電池を構成する膜−電極接合体の製造方法及び該製造方法を用いた膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することができる。
貴金属触媒を担持した電極を用いた本発明の膜−電極接合体の断面模式図である。 貴金属触媒を担持した微粒子を含有する本発明の膜−電極接合体の断面模式図である。 実施例及び比較例で得られた膜−電極接合体の発電性能を評価するための装置を示す配置図である。 膜−電極接合体を燃料電池用単セルに挟み込んだ状態を示す模式図である。
符号の説明
1 接合部
2 3次元架橋体含有材料
3 炭素微粒子
4 貴金属触媒
5 電解質膜
6 ガス拡散電極
11 水素供給
12、14 窒素供給
13 酸素供給
15、16、17、18 サーボバルブ
19、20、21、22 MFC
23 水素バブラー
24 酸素バブラー
25 水素ストリーム
26 酸素ストリーム
27 アノード
28 膜−電極接合体
29 カソード
30 電子負荷装置
31、32 加湿トラップ
33、34 BPV
35、36 VENT
40 セパレータ
41 集電板
42 挟み込み用ボルト

Claims (12)

  1. プロトン伝導性膜又は触媒が担持されたガス拡散電極の少なくとも片面に、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマーを含有する液状体を塗布する工程1、前記液状体が塗布されたプロトン伝導性膜又は触媒が担持されたガス拡散電極に、触媒が担持されたガス拡散電極又はプロトン伝導性膜を貼り付ける工程2、及び、前記液状体を硬化させる工程3を有することを特徴とする膜−電極接合体の製造方法。
  2. プロトン伝導性膜又はガス拡散電極の少なくとも片面に、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマーと、貴金属触媒を担持した炭素微粒子とを含有する液状体を塗布する工程1、前記液状体が塗布されたプロトン伝導性膜又はガス拡散電極に、ガス拡散電極又はプロトン伝導性膜を貼り付ける工程2、及び、前記液状体を硬化させる工程3を有することを特徴とする膜−電極接合体の製造方法。
  3. 金属−酸素結合を有する構造単位(a)は、下記式(1)に示す構造を有することを特徴とする請求項1又は2記載の膜−電極接合体の製造方法。
    Figure 0004933758
    式(1)中、RはCl、OCH、OC、OC、OC、OC、OH、OCOCH又は架橋に関与する−O−結合を表す。
  4. 金属−酸素結合を有する構造単位(a)は、下記式(2)に示す構造を有することを特徴とする請求項1又は2記載の膜−電極接合体の製造方法。
    Figure 0004933758
    式(2)中、RはCl、OCH、OC、OC、OC、OC、OH、OCOCH又は架橋に関与する−O−結合、Rは炭素数20以下のアルキル基又はフェニル基を表し、nは1〜3の整数を表す。
  5. 金属−酸素結合を有する構造単位(a)は、下記式(3)に示す構造を有することを特徴とする請求項1又は2記載の膜−電極接合体の製造方法。
    Figure 0004933758
    式(3)中、RはCl、OCH、OC、OC、OC、OC、OH、OCOCH又は架橋に関与する−O−結合、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基、Rは炭素数30以下の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数を表す。
  6. 金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)は、下記式(4)に示す構造を有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の膜−電極接合体の製造方法。
    Figure 0004933758
    式(4)中、RはCl、OCH、OC、OC、OC、OC、OH、OCOCH又は架橋に関与する−O−結合、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基、Rは酸基を有する有機基を表し、nは1〜3の整数を表す。
  7. は、スルホン酸基又はホスホン酸基であることを特徴とする請求項6記載の膜−電極接合体の製造方法。
  8. 金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)は、下記式(5)に示す構造を有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の膜−電極接合体の製造方法。
    Figure 0004933758
    式(5)中、RはCl、OCH、OC、OC、OC、OC、OH、OCOCH又は架橋に関与する−O−結合、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニル基を表し、nは1〜3の整数、mは1〜20の整数を表す。
  9. 架橋性オリゴマー中の金属−酸素結合を有する構造単位(a)と、金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とのモル比は、1:1〜19:1であることを特徴とする請求項1又は2記載の膜−電極接合体の製造方法。
  10. プロトン伝導性膜の両面にガス拡散電極を接合してなる膜−電極接合体であって、
    プロトン伝導性膜とガス拡散電極とを接合する膜−電極接合部は、金属−酸素結合を有する構造単位(a)と金属−酸素結合を有する構造単位と共有結合で結合した酸基を有する構造単位(b)とからなる架橋性オリゴマーから形成される3次元架橋構造体を含有することを特徴とする膜−電極接合体。
  11. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の膜−電極接合体の製造方法によって、製造されてなることを特徴とする膜−電極接合体。
  12. 請求項10又は11記載の膜−電極接合体を用いてなることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
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