JP2007063532A - ポリマー組成物、高分子電解質膜およびその製造方法、高分子電解質膜/電極接合体、および燃料電池 - Google Patents

ポリマー組成物、高分子電解質膜およびその製造方法、高分子電解質膜/電極接合体、および燃料電池 Download PDF

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Kosuke Sasai
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Abstract

【課題】プロトン伝導性ポリマーの構造を変えることなく、プロトン伝導性などの特性は保持したままで、膨潤性を抑制し、耐久性が向上した高分子電解質膜、該高分子電解質膜の製造方法、該高分子電解質膜を構成するポリマー組成物、該ポリマー組成物および/または該高分子電解質膜を用いた高分子電解質膜/電極接合体及び燃料電池の提供。
【解決手段】少なくとも、(A)炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体、および(B)下記化学式1で表される化合物、を有することを特徴とする、ポリマー組成物、及び熱処理などによって、化学式1で表される構造の化合物のアリル基と、該アリル基および/またはプロトン伝導性ポリマーの間に共有結合を形成させたポリマー組成物、並びにそれらの該ポリマー組成物からなる高分子電解質膜、該ポリマー組成物および/または該高分子電解質膜を用いた高分子電解質膜/電極接合体および燃料電池。
【化1】
Figure 2007063532

ただし、Rは2価の有機基を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマー組成物、該ポリマー組成物より得られる高分子電解質膜およびその製造方法、該ポリマー組成物および/または該高分子電解質膜を用いた高分子電解質膜/電極接合体、および該高分子電解質膜/電極接合体を用いた燃料電池に関する。
近年、エネルギー効率や環境性に優れた新しい発電技術が注目を集めている。中でも高分子固体電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池はエネルギー密度が高く、また、他の方式の燃料電池に比べて運転温度が低いため起動、停止が容易であるなどの特徴を有するため、電気自動車や分散発電などの電源装置としての開発が進んできている。
高分子固体電解質膜には通常プロトン伝導性のイオン交換膜が使用される。高分子固体電解質膜にはプロトン伝導性以外にも、燃料の水素などの透過を防ぐ燃料透過抑止性や機械的強度などの特性が必要である。このような高分子固体電解質膜としては、例えば米国デュポン社製ナフィオン(登録商標)に代表されるようなスルホン酸基を導入したパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーを含む膜が知られている。しかしながら、分子中にフッ素を含むため、使用条件によっては排気ガス中に有害なフッ酸が混入することや、廃棄時に環境への負荷が大きいことなどが問題視されている。
パーフルオロカーボンスルホン酸系イオン交換膜は、燃料電池の電解質膜としてバランスのよい特性を示すものの、コストや性能などで、より優れた膜を得るために、炭化水素系イオン交換膜の開発が盛んに行われている。
多くの炭化水素系イオン交換膜には、ポリイミドやポリスルホンなどの耐熱性ポリマーに、スルホン酸基などのイオン性基を導入したポリマーが用いられている。(例えば特許文献1を参照)
一般に炭化水素系イオン交換膜では、パーフルオロカーボンスルホン酸系イオン交換膜と同等のプロトン伝導性を発現させるためには、より多くのイオン性基を導入する必要がある。しかしながら、イオン性基の量が多くなると、水による膨潤性が大きくなり、吸湿時における寸法変化や、物理特性の低下など、高分子電解質膜の耐久性が低下する原因となる。そのため、ポリマーの構造を改良し、より膨潤性を抑制した炭化水素系高分子電解質膜も提案されている。(例えば特許文献2を参照)
しかしながら、ポリマー構造の改良では、高いプロトン伝導性を要求されるような用途における膨潤性の抑制は十分ではない場合があった。燃料電池などに用いる高分子電解質膜には、耐膨潤性のみならず、プロトン伝導性など、他の様々な特性が優れていることが望ましい。
特表2004−509224号公報 特開2004−149779号公報
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、高分子電解質膜に用いるプロトン伝導性ポリマーの構造を変えることなく、プロトン伝導性などの特性は保持したままで、膨潤性を抑制し、耐久性が向上した高分子電解質膜、該高分子電解質膜の製造方法、該高分子電解質膜を構成するポリマー組成物、該ポリマー組成物および/または該高分子電解質膜を用いた耐久性に優れる高分子電解質膜/電極接合体、及び該高分子電解質膜/電極接合体を用いた耐久性に優れる燃料電池の提供を課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
1.少なくとも、(A)炭化水素系プロトン伝導性ポリマー又はその誘導体、および(B)下記化学式1で表される化合物を有することを特徴とするポリマー組成物。
Figure 2007063532
(ただし、Rは2価の有機基を表す。)
2.Rが、下記化学式2〜4で表される構造からなる群より選ばれる1種以上の基であることを特徴とする上記1に記載のポリマー組成物。
Figure 2007063532
3.Rが化学式2であることを特徴とする上記2に記載のポリマー組成物。
4.化学式1で表される構造の化合物の含有量が1〜30重量%であることを特徴とする上記1に記載のポリマー組成物。
5.炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が主として芳香族系のポリマーから構成されていることを特徴とする上記1に記載のポリマー組成物。
6.炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が、スルホン酸基を含有し、ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,ポリフェニレンオキシド,ポリフェニレンスルフィド,ポリフェニレンスルフィドスルホン,ポリエーテルケトンの少なくとも1種が共重合された芳香族系ポリマーから主として構成されていることを特徴とする上記5に記載のポリマー組成物。
7.炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が、化学式5で表される構造を含むことを特徴とする上記1に記載のポリマー組成物。
Figure 2007063532
(ただしArは2価の芳香族基を、ZはOまたはS原子を表す。)
8.炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が、化学式6で示される構成成分を含むことを特徴とする上記1に記載のポリマー組成物。
Figure 2007063532
(ただし、Ar’は2価の芳香族基、Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは1価のカチオン種を、Z’はOまたはS原子を表す。)
9.炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が、主として化学式6および7で示される構成成分を含むポリアリーレンエーテル系化合物またはポリアリーレンチオエーテル系化合物からなることを特徴とする上記6に記載のポリマー組成物。
Figure 2007063532
(ただしAr”は2価の芳香族基を、Z”はOまたはS原子を表す。)
10.炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が、主として化学式8および9で示される構成成分を含むポリアリーレンエーテル系化合物またはポリアリーレンチオエーテル系化合物からなることを特徴とする上記7に記載のポリマー組成物。
Figure 2007063532
(ただし、XはHまたは1価のカチオン種を示す。)
11.上記1に記載のポリマー組成物から得られるポリマー組成物であって、化学式1で表される構造の化合物におけるアリル基の少なくとも一部が、該化合物のアリル基および/または炭化水素系プロトン伝導性ポリマーと反応した共有結合を有することを特徴とするポリマー組成物。
12.上記1〜11のいずれかに記載のポリマー組成物から高分子電解質膜を製造する方法において、化学式1で表される構造の化合物のアリル基と、化学式1で表される構造の化合物のアリル基および/または炭化水素系プロトン伝導性ポリマーとの間に共有結合を形成させる反応を起こすための処理工程を含むことを特徴とする、高分子電解質膜の製造方法。
13.共有結合を形成させる反応を起こすための処理工程が、加熱工程であることを特徴とする上記12に記載の高分子電解質膜の製造方法。
14.加熱温度が200〜300℃の温度の範囲であることを特徴とする上記13に記載の高分子電解質膜の製造方法。
15.プロトン伝導性ポリマーのイオン性基が酸性基であって、加熱する前においてプロトン伝導性ポリマーのイオン性基が金属塩であり、かつ、加熱後に、酸で処理してスルホン酸基を酸型に変換する工程を有することを特徴とする上記13に記載の高分子電解質膜の製造方法。
16.共有結合を形成させる反応を起こすための処理工程が、電子線または放射線を照射する工程であることを特徴とする上記12に記載の高分子電解質膜の製造方法。
17.上記1〜11のいずれかに記載のポリマー組成物からなる高分子電解質膜。
18.イオン交換容量が0.1〜5.0meq/gの範囲であることを特徴とする上記17に記載の高分子電解質膜。
19.上記1〜11のいずれかに記載のポリマー組成物を、高分子電解質および/または電極触媒層に含むことを特徴とする高分子電解質膜/電極接合体。
20.上記17に記載の高分子電解質膜/電極接合体を用いた燃料電池。
本発明の高分子電解質膜は、プロトン伝導性ポリマーの構造を変えることなく、プロトン伝導性などの特性を保持したまま、膨潤性を抑制し、燃料電池に使用した場合の耐久性を向上させることができるという優れた点を有している。
以下、本発明を詳細に説明する。
炭化水素系プロトン伝導性ポリマーとは、主な構成成分が炭化水素化合物であり、プロトン伝導性基として、スルホン酸、ホスホン酸、リン酸、スルホン酸イミドなどの酸性基を有し、プロトンを輸送することができるポリマーである。ポリマーの骨格構造は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリケトン、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾール、アクリル酸またはその誘導体のポリマー、メタクリル酸またはその誘導体のポリマー、ポリアリーレンなど、必要な要求特性に合わせて公知の任意の構造を選択することができる。炭化水素系プロトン伝導性ポリマーの誘導体とは、酸性基とカチオンの塩、酸性基とアルコール化合物のエステル、酸性基とアミン化合物のアミドなど、酸処理や加水分解によって、元の酸性基に変換することのできる化合物を表す。中でも、カチオンとの塩が、酸に変換しやすいため好ましい。カチオンとしては1価のカチオンが好ましく、Na、K、Liなどのアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオン、第四級アミン塩などを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。1価のカチオンとしてはK、Naなどのアルカリ金属イオンが好ましい。
化学式1で表される構造の化合物におけるRは2価の有機基を表し特に限定されないが、化学式2〜4で表される構造であると好ましい。中でも化学式2で表される構造であることが、耐久性の面から好ましい。化学式1で表される化合物は、炭化水素系プロトン伝導性ポリマー又はその誘導体に対して0.1〜50重量%含まれていることが必要である。より好ましくは1〜30重量%の範囲であり、さらに好ましくは5〜25重量%の範囲である。0.1重量%よりも少ないと、耐久性の向上効果が極めて小さくなり好ましくない。50重量%よりも多いと、高分子電解質膜として時のプロトン伝導性が低下したり、高分子電解質膜が脆くなったりするという問題が起こりやすくなるため好ましくない。本発明のポリマー組成物における炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体の含有量は1〜99.9重量%の範囲にあることが好ましい。組成物が溶液の場合は、1〜50重量%の範囲であることが好ましく、5〜40重量%の範囲であることがより好ましい。組成物が、膜などの成形体の場合には、50〜99.9重量%であることが好ましく、60〜90重量%の範囲であることがより好ましく、70〜80重量%の範囲であることがさらに好ましい。炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体の含有量が1重量%よりも少ないと、加工性やプロトン伝導性が十分でなく好ましくない。含有量が99.9重量%よりも多いと、実質的に炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体となり、耐久性などの改善効果が得られないため好ましくない。
炭化水素系プロトン伝導性ポリマーは、主として芳香族系のポリマーであることが好ましい。芳香族系ポリマーであると、一般に耐膨潤性や耐熱性に優れるため好ましい。
芳香族系ポリマーの例としては、スルホン酸基を含有し、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルケトン系ポリマーの少なくとも1種を含むポリアリーレンエーテル系化合物、ポリアリーレンスルフィド系化合物、ポリアリーレン系化合物から主として構成されているものが好ましい。
炭化水素系プロトン伝導性ポリマーは、化学式5で表される構造を含むと、耐膨潤性が向上するため好ましい。ZはS原子であると耐酸化性が向上するため好ましい。Arは2価の芳香族基で特に限定されるものではないが、好ましい例を以下に示す。
Figure 2007063532
(式中、Rはメチル基を、rは0〜2の整数を、sは1以上の整数を、それぞれ表す。)
rが1または2であるポリマーは高分子量のポリマーを得ることが困難な場合があるので、rは0が好ましい。Arのより好ましい構造は、下記化学式11〜14で表される構造であり、これらの中で単一の構造でもよいし、複数の構造からなっていてもよい。また、化学式14におけるWはS原子であるほうが好ましい。nは1であることが好ましく、2〜20の整数であるとポリマーの軟化温度を低下させ、電極との接合性を良好にすることができるため好ましい。Arが複数の構造からなる場合には、化学式11〜13で表される構造のいずれかと、化学式14で表される構造の組み合わせであることが好ましい。化学式14で表される構造を導入することにより、ポリマーの軟化温度が低下し、電極との接合性が良くなったり、燃料電池の物理耐久性が向上したりする利点がある。その場合、化学式14で表される構造の割合は、1〜99モル%の範囲であることが好ましく、5〜80モル%の範囲であることがより好ましく、10〜75モル%の範囲であることがさらに好ましい。
Figure 2007063532
(化学式10において、WはO原子またはS原子を、nは1以上の整数を、それぞれ表す。)
該炭化水素系プロトン伝導性ポリマーは、化学式6で示される構成成分を含んでいるとさらに好ましい。Ar’は、上記のArと同様の基であると好ましい。Yはスルホン基であると溶解性や耐熱性が向上するため好ましく、ケトン基であるとポリマーに光架橋性を付与することができるため好ましいが、中でもスルホン基が好ましい。XはHまたはNa、K、Li、アンモニウムイオン、第四級アミン塩などの1価のカチオンであればよいが、高分子電解質膜として用いるためにはHであることが好ましい。全スルホン酸基中におけるHの割合は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。Z’がS原子であると耐酸化性が向上するため好ましい。
該炭化水素系プロトン伝導性ポリマーが、主として化学式6および化学式7で示される構成成分を含むポリアリーレンエーテル系化合物またはポリアリーレンチオエーテル系化合物であるとより好ましい。化学式7においてAr”は上記のArと同様の基であると好ましい。Z”はS原子であると耐酸化性が向上するため好ましい。
該炭化水素系プロトン伝導性ポリマーは、主として化学式8とともに化学式9で示される構成成分を含むポリアリーレンエーテル系化合物またはポリアリーレンチオエーテル系化合物からなるとさらに好ましい。XはHであることが好ましく、全スルホン酸基中、80モル%以上がHであることが好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。
本発明の高分子電解質膜は、電極や触媒を接合して高分子電解質膜/電極接合体とすることができる。その際の、膜と電極や触媒との接着剤として、本発明の高分子電解質膜を構成するポリマーと同じプロトン伝導性ポリマーを用いることができる。本発明の高分子電解質膜を構成するポリマーを接着剤として用いる場合には、スルホン酸基が酸型であることが好ましい。スルホン酸基が陽イオンと塩を形成している状態で用いる場合には、接合後、酸処理によってスルホン酸基を酸型にすることもできる。
本発明における高分子電解質膜は任意の厚みにすることができるが、10μm以下だと所定の特性を満たすことが困難になるので10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、300μm以上になると製造が困難になるため、300μm以下であることが好ましい。
本発明における高分子電解質膜は、その他のポリマーを含んでいてもよい。そのようなポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン12などのポリアミド類、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル類、ポリメチルアクリレート、ポリアクリル酸エステル類などのアクリレート系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンやジエン系ポリマーを含む各種ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、酢酸セルロース、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアリレート、アラミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールなどの芳香族系ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などの熱硬化性樹脂等、特に制限はない。ポリベンズイミダゾールやポリビニルピリジンなどの塩基性ポリマーとの樹脂組成物は、ポリマー寸法性の向上のために好ましい組み合わせといえる、これらの塩基性ポリマー中に、さらにスルホン酸基を導入しておくと、組成物の加工性がより好ましいものとなる。本発明の高分子電解質膜には、プロトン伝導性ポリマーが全体の50質量%以上100質量%未満含まれていることが好ましい。より好ましくは70質量%以上100質量%未満である。50重量%未満の場合には、高分子電解質膜のスルホン酸基濃度が低くなり良好なイオン伝導性が得られない傾向にあり、また、スルホン酸基を含有するユニットが非連続相となり伝導するイオンの移動度が低下する傾向にある。なお、本発明の高分子電解質膜は、必要に応じて、例えば酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤、などの各種添加剤を含んでいても良い。
本発明の高分子電解質膜は、プロトン伝導性ポリマーおよび、化学式1で表される化合物を含む組成物から、押し出し、圧延またはキャストなど任意の方法で得ることができる。中でも適当な溶媒に溶解した溶液から成形することが好ましい。溶液から成形体を得る方法は従来から公知の方法を用いて行うことができる。例えば、加熱、減圧乾燥、化合物を溶解する溶媒と混和することができる化合物非溶媒への浸漬等によって、溶媒を除去し成形体を得ることができる。溶媒が、有機溶媒の場合には、加熱または減圧乾燥によって溶媒を留去させることが好ましい。この際、必要に応じて他の化合物と複合された形で成形することもできる。溶解挙動が類似する化合物と組み合わせた場合には、良好な成形ができる点で好ましい。このようにして得られた成形体中のスルホン酸基は陽イオン種との塩の形のものを含んでいても良いが、必要に応じて酸処理することによりフリーのスルホン酸基に変換することもできる。
本発明の高分子電解質膜を成形する手法として最も好ましいのは、溶液からのキャストであり、キャストした溶液から上記のように溶媒を除去して高分子電解質膜を得ることができる。当該溶液としてはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒を用いた溶液や、場合によってはアルコール系溶媒等も挙げることができる。溶媒の除去は、乾燥によることが高分子電解質膜の均一性からは好ましい。また、化合物や溶媒の分解や変質を避けるため、減圧下できるだけ低い温度で乾燥することもできる。また、溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易にキャストすることができる。キャストする際の溶液の厚みは特に制限されないが、10〜2000μmであることが好ましい。より好ましくは50〜1500μmである。溶液の厚みが10μmよりも薄いと高分子電解質膜としての形態を保てなくなる傾向にあり、2000μmよりも厚いと不均一な膜ができやすくなる傾向にある。溶液のキャスト厚を制御する方法は公知の方法を用いることができる。例えば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて一定の厚みにしたり、ガラスシャーレなどを用いてキャスト面積を一定にしたりして溶液の量や濃度で厚みを制御することができる。キャストした溶液は、溶媒の除去速度を調整することでより均一な膜を得ることができる。例えば、加熱する場合には最初の段階では低温にして蒸発速度を下げたりすることができる。また、水などの非溶媒に浸漬する場合には、溶液を空気中や不活性ガス中に適当な時間放置しておくなどして化合物の凝固速度を調整することができる。加工において、加熱を伴う場合、プロトン伝導性ポリマー中のスルホン酸基がカチオンと塩を形成していると、安定性が向上するため好ましい。ただし、高分子電解質膜として使用するためには、適当な酸処理によりフリーのスルホン酸に変換することもできる。この場合、硫酸、塩酸、等の水溶液中に加熱下あるいは加熱せずに膜を浸漬処理することで行うことが効果的である。
本発明の高分子電解質膜は、前駆体である、炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体と化学式1で表される構造の化合物とを含む膜から、化学式1で表される構造の化合物のアリル基と、該アリル基との間および/または、炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体との間に、共有結合を形成させることによって得ることができる。共有結合を生成させる手段としては、特に限定されないが、加熱処理や、電子線または放射線の照射などを挙げることができる。中でも加熱処理が簡便に処理できるため好ましい。加熱温度は200〜300℃の範囲であることが好ましく、240〜270℃の範囲であることがより好ましい。加熱時間は特に限定されないが、0.1〜10時間の範囲であることが好ましく、0.5〜5時間の範囲であることがより好ましい。加熱温度が200℃よりも低いと、共有結合の生成が充分に起こらず好ましくなく、300℃よりも高いとプロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体の分解が生じる恐れがあるため好ましくない。また、加熱時間が0.1時間よりも短いと高分子電解質膜前駆体を充分に加熱することができず共有結合の生成が不十分になることがあり好ましくなく、10時間よりも長いと、プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体の分解や、高分子電解質膜前駆体の変形、破損などの問題が生じる可能性があるため好ましくない。
熱処理を行う場合は、加熱は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、少量の酸素が含まれている雰囲気で行うこともできる。酸素が多量にあるような雰囲気、例えば空気中で加熱を行うと、アリル基の酸化が起こり、プロトン伝導性ポリマー又はその誘導体との反応が進行しない場合があるため好ましくない。熱処理を行う場合には、枠やテンターなどで固定して行うことが好ましい。固定せずに熱処理を行うと、膜の変形、しわ、破損の原因になるため好ましくない。
プロトン伝導性ポリマーのイオン性基が酸性基である場合において、熱処理によってアリル基を反応させる場合には、熱処理前にプロトン伝導性ポリマーのイオン性基を金属塩にしておき、熱処理後に、酸で処理してスルホン酸基を酸型に変換することが好ましい。イオン性基が酸性基のままであると、加熱による分解が起こりやすく、加熱温度が高い場合には、イオン性基が分解してしまう場合がある。
電子線や放射線照射を行う場合には、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。処理する際には、枠やテンターで固定して行うことが好ましい。
本発明の高分子電解質膜において、化学式1で表される構造の化合物のアリル基が共有結合を形成しているかどうかは、IR、NMRなどの構造分析や、膜の引張試験、動的粘弾性などの機械特性などから確認することができる。例えばH−NMRによる分析であれば、5〜6ppmに検出されるアリル基のシグナルの積分値が減少し、0〜5ppmに検出されるアルキル基のシグナルの積分値が増加していれば、アリル基間の反応によってアルキル基が生成したことが分かる。
本発明の高分子電解質膜のイオン交換容量は、0.1〜5.0meq/gの範囲であると好ましく、0.5〜3meq/gの範囲にあるとより好ましい。ダイレクトメタノール型燃料電池には、イオン交換容量が0.5〜1.6meq/gの高分子電解質膜を、水素を燃料とする燃料電池にはイオン交換容量が1.6〜3.0meq/gである高分子電解質膜を、それぞれ用いることが好ましい。
本発明の高分子電解質膜/電極接合体は、本発明の高分子電解質膜を電極と接合することによって得ることができる。この接合体の作製方法としては、従来から公知の方法を用いて行うことができ、例えば、電極表面に接着剤を塗布し高分子電解質膜と電極とを接着する方法又は高分子電解質膜と電極とを加熱加圧する方法等がある。この中でも高分子電解質膜と同種のプロトン伝導性ポリマーを主成分とした接着剤を電極表面に塗布して接着する方法が好ましい。高分子電解質膜と電極との接着性が向上し、また、高分子電解質膜のプロトン伝導性を損なうことが少なくなると考えられるためである。
また、本発明の高分子電解質膜/電極接合体において、本発明のポリマー組成物を電極触媒層のバインダーとして用いることもできる。この場合の高分子電解質膜は、特に限定されるわけではなく公知の任意の高分子電解質膜を用いることができるが、本発明の高分子電解質膜を用いることが好ましい。化学式1で表される構造の化合物のアリル基を反応させてから、高分子電解質膜膜/電極接合体を作製してもよいし、高分子電解質膜膜と電極触媒層を接合しながら化学式1で表される構造の化合物のアリル基を反応させてもよいし、高分子電解質膜膜/電極接合体を作製してから化学式1で表される構造の化合物のアリル基を反応させてもよい。
本発明の燃料電池は、本発明の高分子電解質膜又は高分子電解質膜/電極接合体を用いて作製することができる。本発明の高分子電解質膜は、固体高分子形燃料電池に適している。本発明の燃料電池は、例えば酸素極と、燃料極と、それぞれの極に挟まれて配置された高分子電解質膜と、酸素極側に設けられた酸化剤の流路と、燃料極側に設けられた燃料の流路を有するものである。このような一つの単位セルを導電性のセパレーターで連結することによって燃料電池スタックを得ることができる。ポリマー中のスルホン酸基量を調整することによって、メタノールを燃料とするダイレクトメタノール型燃料電池や、水素を燃料とする燃料電池にも用いることができる。また、ジメチルエーテル、水素。ギ酸など他の物質を燃料として用いる燃料電池にも好適に用いることができ、電解膜、分離膜など、高分子電解質膜として公知の任意の用途に用いることができる。
以下本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、各種測定は次のように行った。
対数粘度:ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/cで評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
プロトン伝導性:自作測定用プローブ(テトラフルオロエチレン樹脂製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、25℃の水中または80℃95%の恒湿恒温槽に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/cm]
水素を燃料とする燃料電池(PEFC)の発電評価:デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液に、市販の40%Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社 燃料電池用触媒 TEC10V40E)と、少量の超純水及びイソプロパノールを加えた後、均一になるまで撹拌し、触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が0.5mg/cmになるように均一に塗布・乾燥して、電極触媒層付きガス拡散層を作製した。上記の電極触媒層付きガス拡散層の間に、高分子電解質膜を、電極触媒層が膜に接するように挟み、ホットプレス法により130℃、3MPaで3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製の評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込んでセル温度80℃で、アノード及びカソードにそれぞれ75℃で加湿した水素と空気を供給して発電特性を評価した。開始直後における電流密度が0.5A/cmにおける出力電圧を初期特性とした。また、耐久性評価として、1時間に1回の割合で開回路電圧を測定しつつ上記の条件で連続運転を行った。開回路電圧が開始直後の値よりも10%以上低下したときの時間を耐久時間とした。耐久性評価は1000時間を上限として行った。
イオン交換容量:100℃で1時間乾燥し、窒素雰囲気下室温で一晩放置した試料の重量をはかり、水酸化ナトリウム水溶液と撹拌処理した後、塩酸水溶液による逆滴定でイオン交換容量を求めた。
水中引張試験:短冊状に切り出したサンプルを、テンシロンUTM3を測定装置として、荷重0.5kgf、速度20mm/min、25℃の水中で引張試験を行った。破断時の応力とサンプルの厚みから破断応力を、破断時の伸びから破断伸度を、引張初期の傾きから弾性率を、それぞれ求めた。サンプルの厚みは25℃の水中で荷重を変えて厚みを測定し、荷重が0の時の厚みを外挿によって求めた値を用いた。
<実施例1>
構造が公知である下記化学式15のスルホン酸基含有ポリマー(対数粘度:1.31dL/g)10g、下記化学式16で表される構造の化合物(商品名:BANI−M、丸善石油株式会社製)0.5gを40gのN−メチルピロリドンに溶解した。得られた溶液を、ホットプレート上のガラス板に約600μm厚にキャストして80℃で0.5時間、120℃で0.5時間、150℃で0.5時間加熱した後、窒素雰囲気の150℃のオーブン中で1時間乾燥し、ガラス板からフィルムを剥離した。剥離したフィルムは金属製の枠に固定して、窒素雰囲気下で、250℃で1時間加熱処理を行った。その後、得られたフィルムは室温の純水に1日浸漬した後、2mol/Lの硫酸水溶液に2時間浸漬した。その後、洗浄水が中性になるまでフィルムを純水で洗浄し、空気中に放置して乾燥して、高分子電解質膜を得た。得られた高分子電解質膜について評価を行った。
Figure 2007063532
<実施例2>
化学式16で表される構造の化合物の量を0.05gにした他は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
<実施例3>
化学式16で表される構造の化合物の量を0.02gにした他は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
<実施例4>
化学式16で表される構造の化合物の量を1.0gにした他は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。250℃で熱処理する前の膜と、熱処理後に酸で処理した後の膜の、H−NMRスペクトルをそれぞれ図1、2に示す。図1では、化学式16で表される構造の化合物のアリル基に由来するの5〜6ppmのシグナルが存在しているが、図2では消失している。また図2では図1ではなかった1.2ppmのシグナルが生成した他、1〜5ppmの範囲にブロードなピークが生成しており、アリル基間の反応によって新たなアルキル基が生成したことを示している。
<実施例5>
化学式16で表される構造の化合物の量を2.0gにした他は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
<比較例1>
化学式16で表される構造の化合物を添加しない他は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
<比較例2>
化学式16で表される構造の化合物の量を0.001gにした他は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
<比較例3>
化学式16で表される構造の化合物の量を5gにした他は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
<比較例4>
市販の高分子電解質膜であるナフィオン(登録商標)112について各種評価を行った。
実施例及び比較例の高分子電解質膜の評価結果を表1に示す。
Figure 2007063532
表1より、本発明の高分子電解質膜は、化学式16で表される構造の化合物を含まない比較例1の高分子電解質膜に対して、水中引張試験での破断伸度は低下しているが、破断強度及び弾性率が向上していることが分かる。このことから、本発明の高分子電解質膜は、吸湿時に応力に対して膜が変形しにくく破壊が起こりにくくなり、耐久性が増したと考えられる。また、化学式16で表される構造の化合物の添加量が本発明の範囲外である比較例2及び3の高分子電解質膜では、耐久性の向上効果は見られないか、逆に低下していることが分かる。また本発明の高分子電解質膜は、既存の高分子電解質膜であるナフィオン(登録商標)112(比較例4)に匹敵する耐久性を示し、かつ同等以上の初期電圧を示すことから、フッ酸の発生が少なく、また廃棄時の環境負荷の少ない炭化水素系高分子電解質膜として、充分に優れた特性を有していることは明らかである。これらのことから、本発明のスルホン酸基含有ポリマーは、燃料電池用高分子電解質膜に用いることによってその特性を大きく改善することができ、産業界に寄与すること大である。
本発明における実施例4において、250℃で熱処理する前の膜を、VARIAN社製UNITY−500を用いて、重水素化ジメチルスルホキシド中室温で測定したH−NMRスペクトルである。 本発明における実施例4で作製した高分子電解質膜を、VARIAN社製UNITY−500を用いて、重水素化ジメチルスルホキシド中室温で測定したH−NMRスペクトルである。
符号の説明
図1中の○印は化学式16で表される化合物に由来するシグナルを示す。

Claims (20)

  1. 少なくとも、(A)炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体、および(B)下記化学式1で表される化合物、を有することを特徴とするポリマー組成物。
    Figure 2007063532
    (ただし、Rは2価の有機基を表す。)
  2. Rが、下記化学式2〜4で表される構造からなる群より選ばれる1種以上の基であることを特徴とする請求項1に記載のポリマー組成物。
    Figure 2007063532
  3. Rが化学式2であることを特徴とする請求項2に記載のポリマー組成物。
  4. 化学式1で表される構造の化合物の含有量が1〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載のポリマー組成物。
  5. 炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が主として芳香族系のポリマーから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のポリマー組成物。
  6. 炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が、スルホン酸基を含有し、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルケトンの少なくとも1種が共重合された芳香族系ポリマーから主として構成されていることを特徴とする請求項5に記載のポリマー組成物。
  7. 炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が化学式5で表される構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマー組成物。
    Figure 2007063532
    (ただしArは2価の芳香族基を、ZはOまたはS原子を表す。)
  8. 炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が化学式6で示される構成成分を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマー組成物。
    Figure 2007063532
    (ただし、Ar’は2価の芳香族基、Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは1価のカチオン種を、Z’はOまたはS原子を表す。)
  9. 炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が、主として化学式6および7で示される構成成分を含むポリアリーレンエーテル系化合物またはポリアリーレンチオエーテル系化合物からなることを特徴とする請求項6に記載のポリマー組成物。
    Figure 2007063532
    (ただしAr”は2価の芳香族基を、Z”はO又はS原子を表す。)
  10. 炭化水素系プロトン伝導性ポリマーまたはその誘導体が、主として化学式8および9で示される構成成分を含むポリアリーレンエーテル系化合物またはポリアリーレンチオエーテル系化合物からなることを特徴とする請求項7に記載のポリマー組成物。
    Figure 2007063532
    (ただし、XはH又は1価のカチオン種を示す。)
  11. 請求項1に記載のポリマー組成物から得られるポリマー組成物であって、化学式1で表される構造の化合物におけるアリル基の少なくとも一部が、該化合物のアリル基および/または炭化水素系プロトン伝導性ポリマーと反応した共有結合を有することを特徴とするポリマー組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のポリマー組成物から高分子電解質膜を製造する方法において、化学式1で表される構造の化合物のアリル基と、化学式1で表される構造の化合物のアリル基および/または炭化水素系プロトン伝導性ポリマーとの間に共有結合を形成させる反応を起こすための処理工程を含むことを特徴とする高分子電解質膜の製造方法。
  13. 共有結合を形成させる反応を起こすための処理工程が、加熱工程であることを特徴とする請求項12に記載の高分子電解質膜の製造方法。
  14. 加熱温度が200〜300℃の温度の範囲であることを特徴とする請求項13に記載の高分子電解質膜の製造方法。
  15. プロトン伝導性ポリマーのイオン性基が酸性基であって、加熱する前においてプロトン伝導性ポリマーのイオン性基が金属塩であり、かつ、加熱後に、酸で処理してスルホン酸基を酸型に変換する工程を有することを特徴とする請求項13に記載の高分子電解質膜の製造方法。
  16. 共有結合を形成させる反応を起こすための処理工程が、電子線または放射線を照射する工程であることを特徴とする請求項12に記載の高分子電解質膜の製造方法。
  17. 請求項1〜11のいずれかに記載のポリマー組成物からなる高分子電解質膜。
  18. イオン交換容量が0.1〜5.0meq/gの範囲であることを特徴とする請求項17に記載の高分子電解質膜。
  19. 請求項1〜11のいずれかに記載のポリマー組成物を、高分子電解質および/または電極触媒層に含むことを特徴とする高分子電解質膜/電極接合体。
  20. 請求項17に記載の高分子電解質膜/電極接合体を用いた燃料電池。
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