JP4160643B2 - 合成樹脂発泡シート体の熱成形方法、合成樹脂発泡シート体及び合成樹脂発泡シート体の熱成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は合成樹脂発泡シート体の熱成形方法、該熱成形方法に用いられる合成樹脂発泡シート体、並びに該熱成形方法によって得られる熱成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、無発泡の二軸延伸ポリスチレンシートを熱成形する方法として、ヒータを内蔵した加熱板に圧着させて加熱軟化したシートを圧縮空気によって金型に押し付けて賦形する接触加熱式圧空成形方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法を発泡シートに適用しようとした場合には困難が伴う。何故ならば上記の方法は、成形に先立つ加熱をシートの片面側から行なうものであるところ、発泡シートは片面側からのみの加熱では反対側の面に至るまでの充分な加熱が困難な断熱材であるからである。即ち、加熱不充分な状態で無理に金型に吹き付けて金型に沿わせようとすると、非加熱面側に亀裂が入る。
【0004】
一方、非加熱面側に亀裂が入らないよう非加熱面側まで充分に加熱しようとすると、必然的に加熱面側を強く加熱することとなるが、そうすると加熱面側が溶融して脱泡し易くなり、断熱性と外観を著しく低下させる。
【0005】
このように、従来の熱成形方法を何らの工夫なしに適用したのでは、熱成形品の製品価値を著しく低下せしめることとなっていた。
【0006】
本発明は、如上の点に鑑みなされたものであって、上記従来の問題を解消し、亀裂もなく断熱性にも優れ、外観良好で製品価値の高い発泡シート製の熱成形品を得ることができる熱成形方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)熱抵抗値が0.025〜0.080m2・h・℃/kcalであり、少なくとも片側表面に潤滑剤が塗布乾燥されたポリスチレン系樹脂発泡シート体を、潤滑剤塗布面側を加熱板に向けて通気孔を有する金型と通気孔を有する加熱板の間に導いて、加熱板に接触させて発泡シート体を一方から加熱し、続いて加熱板の通気孔から発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を金型に押し付けて成形することを特徴とする合成樹脂発泡シート体の熱成形方法、(2)熱抵抗値が0.025〜0.080m2・h・℃/kcalであり、少なくとも片側表面に潤滑剤が塗布乾燥されたポリスチレン系樹脂発泡シート体を、潤滑剤塗布面側を加熱板に向けて通気孔を有する金型と通気孔を有する加熱板の間に導いた後、金型の通気孔から該発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を加熱板に密着させ又は/及び加熱板の通気孔を利用して発泡シート体を加熱板に吸引させて発泡シート体を加熱板に密着させて発泡シート体を一方から加熱し、続いて加熱板の通気孔から発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を金型に押し付けて成形することを特徴とする合成樹脂発泡シート体の熱成形方法、(3)発泡シート体を該金型と該加熱板との間に導いた後の工程を、発泡シート体を金型と加熱板とで挟んだ後に行なうことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の合成樹脂発泡シート体の熱成形方法、(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱成形方法に使用される、熱抵抗値が0.025〜0.080m2・h・℃/kcalであり、少なくとも片側表面に潤滑剤が塗布乾燥されたポリスチレン系樹脂発泡シート体、(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の合成樹脂発泡シート体の熱成形方法によって製造されたものであることを特徴とする熱成形品を要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において発泡シート体とは、発泡シート単独のものと、2以上の発泡シートの積層体、及び1以上の発泡シートと1以上の合成樹脂無発泡シート(この合成樹脂無発泡シートの概念の中には無発泡フィルムも含まれる)との積層体とのいずれをも含むものである。
【0009】
本発明において用いられる発泡シート体は、全体として熱抵抗値が0.025〜0.080m2・h・℃/kcalであり、少なくとも片側表面に潤滑剤が塗布乾燥されたポリスチレン系発泡シート体である。従って、発泡シート体が、発泡シートと無発泡シートとの積層体からなるものである場合は、該積層体の熱抵抗値が0.025〜0.080m2・h・℃/kcalとなるように発泡シートと無発泡シートとが選択されなければならない。
【0010】
発泡シート体の熱抵抗値は、発泡シート基材樹脂の種類、発泡シートの発泡倍率、同じく厚み、気泡径及び厚み方向の気泡膜数、独立気泡率、発泡剤の種類及び発泡シート中の発泡剤の残存量等によって影響を受ける。
【0011】
一般に、通常、厚みが薄いほど熱抵抗値が小さく、気泡径が大きいほど熱抵抗値が小さく、厚み方向の気泡膜数が少ないほど熱抵抗値が小さい。また、発泡剤の残存量に関しては、使用する発泡剤によって異なり、残存量が多いほど熱抵抗値が小さいものと、それとは逆に大きいものとがある。また、無発泡シートが積層されている場合には、無発泡シート基材樹脂の種類やその厚み等も発泡シート体の熱抵抗値に影響を与えることになる。
【0012】
従って、本発明における発泡シート体は、これらの点を考慮して製造及び/又は養生されなければならない。
【0013】
尚、上記熱抵抗値は、JIS A 1412−1994の平板熱流計法(熱流計1枚方式)により測定された値である。この値が大きいほど断熱性が高いことを意味する。
【0014】
本発明においては、合成樹脂発泡シート体の熱抵抗値が0.080m2・h・℃/kcal以下と小さいため、発泡シート体を片面側からのみ、加熱側面に対して適当な温度で加熱しても、発泡シート体の非加熱面側に至るまでも適当な範囲の温度に充分に加熱される。従って、本発明方法によれば、熱成形時に非加熱面側に亀裂がなくしかも加熱側の脱泡もない優れた熱成形品を得ることができる。
【0015】
本発明において用いられる発泡シート体の熱抵抗値は、0.025〜0.080m2・h・℃/kcalである。
【0016】
熱抵抗値が0.080m2 ・h・℃/kcalを超えると、熱成形品に変形を起こさせないために必要な冷却に時間がかかる。また0.025m2 ・h・℃/kcal未満であると断熱性に劣る。
【0017】
本発明の合成樹脂発泡シート体を構成する発泡シートの基材樹脂としては、熱成形性に優れ薄くとも保形性に優れるポリスチレン、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−エチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂が例示される。上記した樹脂にはゴムや各種添加剤が含有されていても構わない。
【0019】
本発明の発泡シート体の厚みは、0.2〜2.5mmが好ましい。0.2mmよりも薄いと断熱性に劣り、また2.5mmよりも厚いと成形サイクルが長くなってしまう。
【0020】
また、本発明の合成樹脂発泡シート体が発泡シートと無発泡シートとの積層シートである場合における上記無発泡シートの基材樹脂としては、前記した発泡シートの基材樹脂と同じ樹脂が例示される。
【0021】
本発明において、発泡シート体の熱成形手段としては、例えば図1に示すように、合成樹脂発泡シート体1を、通気孔2を有する金型3と通気孔4を有する加熱板5の間に導いた後、金型3と加熱板5との間の位置において発泡シート体1を加熱軟化させ、続いて加熱板5の通気孔4から発泡シート体1に向けて、図中矢印aで示すように、圧縮空気を吹き付けて発泡シート体1を金型3に押し付けて賦形する方法が採用される。
【0022】
発泡シート体1に圧縮空気が吹き付けられる際、圧縮空気の一部が図中矢印bで示されるように金型3を通して排気されることが望まれる。尚、金型3と加熱板5の少なくともいずれか一方は、通常、上下に移動できるようになっている。通常は金型3側が移動側とされる。金型は必要に応じて温調されるが、通常は、熱成形品を冷却するために、20〜60℃程度に温調される。
【0023】
上記の方法によれば、発泡シート体は加熱軟化された後に移送される工程を経ることなく賦形に供されるので、全体的或いは部分的な伸びや、それによる厚みの減少や厚みムラの発生を防止できる。またこのような熱成形によって得られる熱成形品は通常、印刷等による柄を予め発泡シート体に施しておいて、該柄に位置合わせて賦形して得るものであるが、本発明の方法を採用すれば、発泡シート体の前記伸びを防止できるので、その伸びによる印刷位置に対する成形位置ずれも防止できる。
【0024】
前記した熱成形方法において、発泡シート体を加熱軟化させる際、図1中矢印cで示したように、金型の通気孔から該発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を加熱板に密着させて加熱軟化させてもよいし、或いは、図1中矢印dで示したように、加熱板の通気孔を利用して発泡シート体を加熱板に減圧吸引させて発泡シート体を加熱板に密着させて加熱軟化させてもよいし、また或いは上記の両方を併せて行なってもよい。このようにすれば、発泡シート体の加熱効率がよい。
【0026】
また本発明においては、発泡シート体を該金型と該加熱板との間に導いた後の工程を、発泡シート体を金型と加熱板とで挟んだ後に行なうことが望ましい。即ち、合成樹脂発泡シート体を、通気孔を有する金型と通気孔を有する加熱板の間に導いた後、発泡シート体の成形領域の外周を金型と加熱板とで挟み、その状態で発泡シート体を加熱軟化させ、続いて加熱板の通気孔から発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を金型に押し付けて賦形するようにすることが望ましい。賦形が終了するまでは発泡シート体は金型と加熱板とに挟まれた状態である。尚、厳密には、発泡シート体は金型と加熱板とで挟まれる前から加熱されている場合があってもよく、通常、多少は加熱が始まっているが、熱成形に必要な軟化は金型と加熱板とに挟まれた後に起こるようにされる。
【0027】
このようにすれば、加熱軟化前に発泡シート体は成形領域の周囲を金型と加熱板とに挟まれて固定されるので、加熱軟化時に成形される領域内にたとえ軟化に伴う弛みやしわ等が発生しても、領域内で留まるため大きな弛みやしわにはならず仕上がり熱成形品に変形や内部歪を残す等の悪影響を与えることはない。また、その領域の外周が固定されているため、領域全体としての位置ズレは起こらないから大きな位置ズレは発生せず、従って印刷等によって設けられた柄の位置に対する成形位置ズレをより一層小さく抑えることができる。
【0028】
上記の場合においても、加熱効率向上のため、発泡シート体を加熱軟化させる際、金型の通気孔から該発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を加熱板に密着させることを行なってもよいし、或いは、加熱板の通気孔を利用して発泡シート体を加熱板に吸引させて発泡シート体を加熱板に密着させることを行なってもよいし、また或いは上記の両方を併せて行なってもよい。
【0029】
尚、容器やその蓋を熱成形する場合、通常、金型面側が嵌合相手のくる面となるように発泡シート体を金型と加熱板との間に供給する。そのようにすれば、金型寸法をもって嵌合部寸法とすることができ、嵌合部寸法に合わせて金型寸法を決めればよく、嵌合精度の良い熱成形品を得ることができる金型を容易に準備できる。また、発泡シート体として無発泡シートと発泡シートとの積層シートを用いる場合は、通常、無発泡シート側が加熱板側となるように金型と加熱板との間に供給される。しかし、以上のような態様は本発明を限定するものではない。
【0030】
本発明の発泡シート体の少なくとも片側表面には、シリコーンオイル等の潤滑剤を塗布、乾燥させておくことが望ましい。勿論、その面は熱成形時の加熱板側を向く面である。この様な処理をしておくと、加熱板との接触加熱時に発泡シート体が加熱板に接着し難くなので、その様な接着によるトラブルを効果的に減少させることができる。
【0031】
本発明の熱成形方法によって得られた熱成形品は、例えば図2に示すように、熱成形品6は金型3の内面の形状に沿った形に賦形されてなるものであり、金型3に押し付けられた側の面7(非加熱側の面)には亀裂の発生がなく、反対側の面8(加熱側の面)には脱泡がなく外観良好な熱成形品であり、面7及び/又は面8に印刷等による柄9が設けられたものは、柄9が賦形形状に対して設計通りに合致した、優れた熱成形品であり、即席食品等の蓋や容器等に極めて好適に用いられ得る。
【0032】
実施例、比較例
ポリスチレン、発泡剤(イソブタン65%とノルマルブタン35%との混合物)及び気泡調節剤(タルク)を押出機で溶融混練し、次いでサーキュラーダイスより押し出し、各々幅1040mmの数種類のポリスチレン発泡シートを製造し、各々ロール状に巻き取った。これらロールを養生した後、各々の発泡シート体において表1に示す物性について測定し、表1に示す値を示したところで次の要領にて熱成形テストを行なった。尚、熱抵抗値の測定は前記JISに基づいているが、試験体厚みは全て試験体そのものの厚みをもって測定値とした。また、実施例4を除いてその他は全てポリスチレン発泡シート単体を以て発泡シート体とし、実施例4は実施例1のポリスチレン発泡シートと無発泡シート(透明な耐衝撃性ポリスチレンのインフレーションフィルム,厚み30μm)とを熱ラミネートして積層シートとしたものを発泡シート体とした。尚、各発泡シート体の熱成形時における加熱平板側には、予めシリコーンオイル(東レ株式会社製「トーレシリコンSH7024」)を水で20倍に希釈したものをロールコーターにて均一に塗布し、乾燥させておいた。
【0033】
発泡シート体を、通気孔を有する金型(設定温度は表2に示す通り)と通気孔を有する加熱平板(設定温度は表2に示す通り)の間(加熱平板に接触するかしないかのところ)に導き、直ちに金型を下降させて金型と加熱平板とで発泡シート体の成形領域の外周を圧縮して挟むと同時に、金型の通気孔から発泡シート体に向けて4kg/cm2 Gの圧縮空気を吹き付けると共に加熱平板の通気孔側からは減圧吸引して発泡シート体を加熱平板に密着させて加熱軟化させた(挟み込みから次工程の圧縮空気導入開始までの時間を加熱時間とし、表2に示した)。
【0034】
続いて加熱平板の通気孔から発泡シート体に向けて4kg/cm2 Gの圧縮空気を導入すると共に金型の通気孔からは減圧吸引して、軟化した発泡シート体を金型内壁面に押し付けて成形し、金型で冷却(圧縮空気導入開始から次工程の金型上昇開始までの時間を冷却時間とし、表2に示した)の後、金型の上昇と共に成形品を金型から排出し、引き取った。
【0035】
以上を1サイクルとし、連続成形を行なった。尚、この熱成形における1ショット当りの成形品の取り数は発泡シート体の進行方向に5個、幅方向に4個の計20個であった。また、各成形品の形状は図2に平面図として示す通りであり、図中、横(発泡シートの進行方向)A=約170mm、縦(幅方向)B=約216mmであった。図2中、▲1▼〜▲5▼で示す各領域は底面(領域▲5▼の裏面に相当する)からの高さの相違を示すもので、▲1▼から▲5▼にいくに従って高さは低くなり、実施例で得られた成形品の場合、最大高さを示す▲1▼の領域の高さは約15mm、▲2▼の高さは約14mm、▲3▼は約10mm、▲4▼は約7mmであった。▲5▼の高さは発泡シート体の厚みに略相当する。図2に示すこの形状品が、A方向(発泡シート体の長手方向と同じ)に5個、B方向に4個連続した形のものが、1ショット当りに得られたものである。
【0036】
(表1)
※実施例3については、密度の値は、発泡シート体の発泡シート部分の値である。
【0037】
【表2】
【0038】
表1、表2に示すように、実施例1〜実施例3として示す本発明の熱成形方法によって得られた熱成形品は、比較例1、比較例2として示す従来の熱成形品と比較して、成形時間(加熱時間と冷却時間との合計)が同等以下であったにも係わらず、加熱側面の脱泡も非加熱側面の亀裂もなく、また成形後の変形もなく良好な性状を有するものであった。これは、短い時間で発泡シート体をその全厚に亘って比較的均等に加熱できたことを意味するものである。
【0039】
尚、熱抵抗値が0.082(単位省略)の発泡シート体を用いた参考例では冷却時間がやや長くかかった。冷却時間を短くすると、熱成形後暫くして熱成形品に変形が生じるため、冷却時間を短くできない。このことからも、熱抵抗値は0.080(単位省略)以下であるのが好ましいといえる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱成形方法は、熱抵抗値が0.080m2・h・℃/kcal以下である合成樹脂発泡シート体を、通気孔を有する金型と通気孔を有する加熱板の間に導いて、該発泡シート体を加熱し、続いて加熱板の通気孔から発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を金型に押し付けて成形するものであるので、熱成形時に非加熱面側に亀裂がないと共に加熱側の脱泡もない優れた外観を有しており、しかも脱泡がないので断熱性が損なわれておらず優れた断熱性能を有する熱成形品を得ることができるという効果を奏する。
【0041】
また、発泡シート体は加熱軟化させられた後に引っ張られたり移動させられる工程を経ることなく賦形に供されるので、伸びや、それによる厚みの減少を防止できる。また発泡シート体の伸びを防止できるので、発泡シート体に印刷等による柄が設けられている場合は、伸びによる印刷位置に対する成形位置ずれも防止できるという効果を奏する。
【0042】
また、上記の熱成形方法において、発泡シート体を加熱軟化させるに当って、発泡シート体を、通気孔を有する金型と通気孔を有する加熱板の間に導いた後、金型の通気孔から該発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を加熱板に密着させ又は/及び加熱板の通気孔を利用して発泡シート体を加熱板に吸引させて発泡シート体を加熱板に密着させて発泡シート体を加熱軟化するようにした場合は、発泡シート体の加熱効率がよいため、上記した効果の他に、発泡シート体の加熱時間を短縮できるという効果を奏する。
【0043】
また、上記いずれかの熱成形方法において、発泡シート体を該金型と該加熱板との間に導いた後の工程を、発泡シート体を金型と加熱板とで挟んだ後に行なう場合は、仕上がり熱成形品に変形や内部歪を残す等の悪影響を与えることはないと共に、成形領域の周囲が固定されているため、その領域は全体としての位置ズレが全く起こらないから大きな位置ズレは発生せず、従って柄の位置に対する成形位置ズレをより一層小さく抑えることができるという効果を奏する。
【0044】
また、本発明の合成樹脂発泡シート体は、上記いずれかの熱成形方法に使用される、熱抵抗値が0.080m2・h・℃/kcal以下のものであるので、前記した如く表面に亀裂も脱泡もなく、また表面に柄が施されている場合はその位置ズレもなく外観良好であってしかも断熱性良好な熱成形品を確実に提供することができるという効果を奏する。
【0045】
また、本発明の熱成形品は、前記いずれかの熱成形方法によって製造されたものであるので、非加熱面側に亀裂がないと共に加熱側の脱泡もない優れた外観を有しており、しかも脱泡がないので断熱性が損なわれておらず優れた断熱性能を有する。また、表面に印刷等による柄が施されたものである場合は、該柄の印刷位置に対する成形位置ずれもなく、優れた外観を有する。而して本発明の熱成形品は例えば湯切り等の必要な即席食品容器等のように断熱性の要求される容器やその蓋等の他、種々の容器や蓋等として好適に用いられ得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合成樹脂発泡シート体の熱成形方法について説明するための説明図である。
【図2】本発明の合成樹脂発泡シート体の熱成形方法によって製造された熱成形品の例を示す図である。
【符号の説明】
1 合成樹脂発泡シート体
2 通気孔
3 金型
4 通気孔
5 加熱板
6 熱成形品
7 非加熱側の面
8 加熱側の面
9 柄
Claims (5)
- 熱抵抗値が0.025〜0.080m2・h・℃/kcalであり、少なくとも片側表面に潤滑剤が塗布乾燥されたポリスチレン系樹脂発泡シート体を、潤滑剤塗布面側を加熱板に向けて通気孔を有する金型と通気孔を有する加熱板の間に導いて、加熱板に接触させて発泡シート体を一方から加熱し、続いて加熱板の通気孔から発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を金型に押し付けて成形することを特徴とする合成樹脂発泡シート体の熱成形方法。
- 熱抵抗値が0.025〜0.080m2・h・℃/kcalであり、少なくとも片側表面に潤滑剤が塗布乾燥されたポリスチレン系樹脂発泡シート体を、潤滑剤塗布面側を加熱板に向けて通気孔を有する金型と通気孔を有する加熱板の間に導いた後、金型の通気孔から該発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を加熱板に密着させ又は/及び加熱板の通気孔を利用して発泡シート体を加熱板に吸引させて発泡シート体を加熱板に密着させて発泡シート体を一方から加熱し、続いて加熱板の通気孔から発泡シート体に向けて圧縮空気を吹き付けて発泡シート体を金型に押し付けて成形することを特徴とする合成樹脂発泡シート体の熱成形方法。
- 発泡シート体を該金型と該加熱板との間に導いた後の工程を、発泡シート体を金型と加熱板とで挟んだ後に行うことを特徴とする請求項1又は2記載の合成樹脂シート体の熱成形方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の熱成形方法に使用される、熱抵抗値が0.025〜0.080m2・h・℃/kcalであり、少なくとも片側表面に潤滑剤が塗布乾燥されたポリスチレン系樹脂発泡シート体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の合成樹脂発泡シート体の熱成形方法によって製造されたものであることを特徴とする熱成形品。
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