JP3492513B2 - 食品容器 - Google Patents

食品容器

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JP3492513B2
JP3492513B2 JP05479198A JP5479198A JP3492513B2 JP 3492513 B2 JP3492513 B2 JP 3492513B2 JP 05479198 A JP05479198 A JP 05479198A JP 5479198 A JP5479198 A JP 5479198A JP 3492513 B2 JP3492513 B2 JP 3492513B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばレトルト
食品用の容器に関するものであり、特に、ポリプロピレ
ン系樹脂発泡シートを基材とする食品容器の改良に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来か
ら、たとえばポリプロピレン系樹脂発泡シートを基材と
した材料シートを、マッチモールド成形することにより
形成した食品用の容器が提供されている。このような食
品容器は、一般に、図7に示すようにして製造されてい
る。
【0003】図7は、最終製品としての食品容器2を製
造するための成形装置1を模式的に示している。この成
形装置1は、材料シート3(以下、単に「シート3」と
いう。)を、予め加熱するためのオーブン4と、予備加
熱されたシート3を成形する一対のプレス機5,6と、
成形された材料シート7を裁断して製品としての食品容
器2に仕上げる裁断機8とを有している。
【0004】シート3は、長尺のポリプロピレン系樹脂
発泡シートであり、予めロール状に巻回されている。こ
のシート3は、順次繰り出されて成形装置1に供給され
るようになっている。繰り出されたシート3は、予めオ
ーブン4で温められた後、プレス機5,6によって成形
される。そして、裁断機8により裁断され、製品として
の食品容器2が得られるようになっている。
【0005】ところで、かかる従来の成形方法において
は、特にシート3の温度を制御することにより、連続し
た成形作業の高効率化(たとえば、成形サイクルの向上
等)を図ると共に、製品としての食品容器2の耐熱性,
断熱性等の必要な性能を実現していた。すなわち、シー
ト3の予備加熱温度を制御し、シート3を固相状態に近
い状態で成形することにより、シート3のドローダウン
現象(シート3が予備加熱によって軟化し、成形の直前
で垂れ下がってしまう現象)の問題を解消して成形作業
を効率的に行うと共に、食品容器2の内部の気泡構造を
確保してレトルト処理および再加熱が良好に行えるよう
に所要の耐熱性,断熱性等を確保していた(特開平6−
218805号公報参照)。
【0006】しかし、かかる従来の成形方法では、シー
ト3が固相状態に近い状態で成形される。このことか
ら、製品としての食品容器2には、通常、内部に気泡構
造が形成されているのであるが、成形時にシート3が固
相状態に近い状態で引き延ばされる結果、内部の気泡も
引き延ばされた状態となる。
【0007】このような気泡の変形自体は、食品容器2
の耐熱・断熱性能や緩衝性能に著しい悪影響を与えるも
のではないが、気泡構造を良好なものに改良することに
より、さらなる性能向上につながる。
【0008】そこで、この発明は、内部の気泡構造を良
好なものとし、耐熱・断熱性,緩衝性に一層優れた食品
容器を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
ため、請求項1に係る食品容器は、ポリプロピレン系樹
脂発泡シートと、酸素の透過を抑制するバリア層とが積
層された材料シートから成形された食品容器において、
上記ポリプロピレン系樹脂発泡シート内部の気泡構造
は、最大径寸法が500μm以下の気泡の数が、ポリプ
ロピレン系樹脂発泡シートの断面の単位面積について全
気泡数の50%以上であることを特徴とするものであ
る。
【0010】この構成によれば、ポリプロピレン系樹脂
発泡シート内部の気泡の最大径寸法を500μm以下と
することにより、当該気泡の形状を球形に近いものとす
ることができる。しかも、このように球形に近い気泡の
数が、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの断面の単位面
積について全気泡数の50%以上となるように設定する
ことにより、食品容器の適当な断熱性を確保することが
できると共に、耐熱性を向上させることができる。
【0011】また、本発明の目的を達成するため、請求
項2に係る食品容器は、請求項1記載の食品容器におい
て、上記バリア層は、ポリプロピレン系樹脂と、エチレ
ンビニルアルコール樹脂と、ポリプロピレン系樹脂とが
順に積層されたものであることを特徴とするものであ
る。
【0012】この構成によれば、請求項1に係る発明と
同様の作用を奏する。特に、本請求項に係る発明では、
バリア層として、ポリプロピレン系樹脂,エチレンビニ
ルアルコール樹脂およびポリプロピレン系樹脂を順に積
層したものを採用することにより、酸素が食品容器を通
過するのを効果的に抑えることができる。
【0013】さらに、本発明の目的を達成するため、請
求項3に係る食品容器は、請求項1または2記載の食品
容器において、上記バリア層は、当該食品容器の外側に
配置されていることを特徴とするものである。
【0014】この構成によれば、バリア層が食品容器の
外側に配置されていることから、いわゆる汁物を収容し
た場合であっても、一般的に撥水性に劣るバリア層が損
傷を受けることがない。
【0015】加えて、本発明の目的を達成するため、請
求項4に係る食品容器は、請求項1ないし3のいずれか
に記載の食品容器において、当該食品容器の内面に、ポ
リオレフィン系樹脂層をさらに有することを特徴とする
ものである。
【0016】この構成によれば、請求項1ないし3のい
ずれかに係る発明と同様の作用を奏する。加えて、本請
求項に係る発明では、食品容器の内面にポリオレフィン
系樹脂層を備えたので、食品容器の内面をきわめて良好
な滑面に仕上げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る食品容
器30の外観を示す図であり、図1(a) は平面図,図1
(b) は正面図,図1(c) は食品容器30の側壁31の要
部断面図である。
【0018】この食品容器30は、たとえばレトルト食
品用に用いることができ、所定の材料シートを成形する
ことにより構成されており、材料シートの構造が食品容
器30の内部構造となっている。この食品容器30の設
計形状,設計寸法は図1(a),図1(b) に示す通りであ
り、抜き寸Wが114×114mm,容器内径が100
mm,深さが40mm(全高Hが42mm)である。
【0019】図1(c) を参照して、食品容器30の内部
構造は4層構造になっており、ポリプロピレン系樹脂発
泡シート(以下、「基材シート」という。)32を基材
とし、その外側にバリア層33が積層されている。この
バリア層33は、ポリプロピレン系樹脂層34,エチレ
ンビニルアルコール樹脂層35およびポリプロピレン系
樹脂層36とを有し、かかる順に基材シート32に対し
て積層されている。
【0020】本実施の形態では、基材シート32は、厚
さが1.0mm,密度0.2g/cm3 である。また、
基材シート32は、Z平均分子量MZ が少なくとも2.
0×105 でW平均分子量との比MZ /Mw が3.0で
あり、かつゲルパーミエイションクロマトグラフによる
分子量分布カーブが、高分子領域に分岐ポリマーを含む
ことを示すカーブの張出しがある形状のキャメル型であ
るものを使用している。
【0021】一方、バリア層33を構成する各層につい
ては、ポリプロピレン系樹脂層34は厚さが25μm,
エチレンビニルアルコール樹脂層35は厚さが30μ
m,ポリプロピレン系樹脂層36は厚さが30μmに設
定されている。
【0022】なお、基材シート32およびバリア層33
の厚さ寸法は、この数値に限定されるものではなく、基
材シート32の厚みは0.6mm〜3.0mm,密度は
0.025g/cm3 〜0.5g/cm3 の範囲で設定
することが可能であり、ポリプロピレン系樹脂層34は
厚さが10μm〜50μm,エチレンビニルアルコール
樹脂層35は厚さが20μm〜50μm,ポリプロピレ
ン系樹脂層36は厚さが20μm〜100μmに設定す
ることが可能である。また、ポリプロピレン系樹脂とし
ては、ポリプロピレン単独重合体,エチレン−プロピレ
ンブロック共重合体,エチレン−プロピレンランダム共
重合体等が挙げられる。
【0023】次に、食品容器30の内部の気泡構造につ
いて詳しく説明する。図2は、食品容器30の側壁31
の厚み方向の断面の構造を単位面積について詳細に示し
た拡大図である。図2(a) は気泡37の分布状態を示す
図であり、図2(b) は気泡の形状を定義するための図で
ある。
【0024】図2(b) を参照して、気泡37は、基材シ
ート32内部に含まれており、一般に楕円形状をしてい
る。本実施の形態では、この気泡37の形状は、その長
径(最大径寸法)Lと短径(最小径寸法)Sとにより特
定し、長径Lが500μm以下である場合は、その気泡
は球形であると定義する。
【0025】本実施の形態では、顕微鏡による観察の結
果、気泡37は、図2(a) のように分布し、略すべての
気泡37が球形となっている。このことから、以下のよ
うな作用効果を奏する。
【0026】 気泡37の形状を球形にすることによ
り、従来の食品容器に比べて適当な断熱性を確保するこ
とができると共に、耐熱性を向上させることができる。
つまり、食品容器30の断熱性を適当なものに設定する
ことにより、当該食品容器30を用いてたとえばレトル
ト処理をする際に、容器の内部に十分な熱を与えて良好
なレトルト処理を行うことができると共に、十分な耐熱
性を確保することにより、電子レンジ等で再加熱を行う
場合でも、食品容器30自体の変形や、食品容器30が
熱くなりすぎることを防止することができる。
【0027】しかも、食品容器30には、バリア層33
が設けられているから、食品容器30の側壁31を通し
て酸素が出入りすることを抑制でき、その結果、内容物
の酸化、つまり味がおちる等の不都合を抑制することが
できる。
【0028】 特に、バリア層として、ポリプロピレ
ン系樹脂層34,エチレンビニルアルコール樹脂層35
およびポリプロピレン系樹脂層36を順に積層したもの
を採用することにより、酸素が食品容器30を通過する
のを効果的に抑えることができ、内容物の味覚の低下を
一層防止することができる。
【0029】 さらに、一般にバリア層33は撥水性
に欠けるが、本実施の形態では、食品容器30の外側に
バリア層33が配置されているので、内容物としていわ
ゆる汁物を収容した場合であっても、バリア層33が損
傷を受けることがなく、その結果、内容物の味覚の低下
をより効果的に防止することができる。
【0030】また、本実施の形態では、材料シートは、
基材シート32とバリア層33とを含む4層構造とした
が、さらに、基材シート32の内側にポリオレフィン系
樹脂層を設けて5層構造とすることもできる。
【0031】このようにすることによって、発泡樹脂で
ある基材シート32の表面は通常粗面であるが、食品容
器30の内面を滑面に仕上げることができる。その結
果、食品容器30に所要の蓋部材を設けて密封する場合
に、当該蓋部材と食品容器30との密着性を向上させる
ことができるという利点がある。
【0032】なお、ポリオレフィン系樹脂層としては、
CPP(ポリプロピレン系樹脂の一軸延伸フィルム)を
採用することが特に好ましい。
【0033】次に、本実施の形態に係る食品容器30の
製造方法について説明する。図3は、食品容器30の製
造方法を説明するための模式図である。図3を参照し
て、この成形装置11は、製品としての食品容器30を
製造するためのものであって、原材料となる材料シート
12を予め加熱するためのオーブン14と、予備加熱さ
れた材料シート12を成形するためのプレス機15,1
6と、成形されたシート17を裁断して製品としての食
品容器30に仕上げる裁断機18とを有している。
【0034】材料シート12は、長尺のもので予めロー
ル状に巻回されており、これを原反という。そして、原
反から材料シート12が順次繰り出され、成形装置11
に供給されるようになっている。
【0035】プレス機15は、いわゆる雄型の金型19
を備えており、プレス機16は、金型19と係合する雌
型の金型20を備えている。両プレス機15,16に
は、金型駆動装置としてのシリンダ21がそれぞれ備え
られており、これらシリンダ21の伸縮により両金型1
9,20の型締め/型開きが行われるようになってい
る。
【0036】また、これら両金型19,20が型締めさ
れた状態では、両金型19,20間にキャビティが形成
され、材料シート12は、このキャビティにならってい
わゆるマッチモールド成形されるようになっている。さ
らに、金型20には、真空吸引機23が接続されてい
る。これにより、真空成形を行い良好なマッチモールド
成形が可能となっており、製品としての食品容器30の
仕上肉厚寸法が薄い場合であっても、きわめて精度良く
設計寸法通りに仕上げることができるようになってい
る。
【0037】一方、上記オーブン14には、ヒータ13
が備えられており、これにより、オーブン14内の温度
を制御できるようになっている。つまり、ヒータ13の
発熱量を調節することにより、材料シート12の予備加
熱温度(本実施の形態では材料シート12の表面温度)
を所望の温度に設定できるようになっている。
【0038】このような成形装置11により、材料シー
ト12は、次のような工程で成形される。すなわち、原
反から繰り出された材料シート12は、まず、オーブン
14内に供給され、予め所定温度に温められる。これ
は、プレス機15,16での成形を良好に行うため、材
料シート12を軟化させるものである。そして、予備加
熱された材料シート12は、続いてプレス機15,16
の間に送られ、このプレス機15,16により成形され
る。その後、裁断機18によって、成形された材料シー
ト17が裁断され、最終製品としての食品容器30が得
られる。
【0039】この成形装置11による成形作業において
は、上記予備加熱する工程において、材料シート12の
表面温度を160℃〜200℃に設定し、プレス機1
5,16の金型19,20を予め40℃〜100℃に設
定しておく。
【0040】なお、材料シート12は、上述のように基
材シート32(ポリプロピレン系樹脂発泡シート)を備
えており、この基材シート32は、内部に気泡が存在す
る。このため、予備加熱時には、材料シート12の表面
温度と内部温度との間に温度差が生じるが、実験的に
は、表面温度を200℃まで上げた場合でも成形に支障
はない。また、金型19,20を温める手段としては、
図3には図示していないが、金型19,20に公知のヒ
ータ等を設置することができる。さらに、図3には図示
していないが、たとえばオーブン14の出口付近に非接
触式の放射温度計を設置することにより、材料シート1
2の表面温度を管理することができる。
【0041】図4は、金型19,20が型開きされた状
態を示す模式図であり、図5は、型締めされた状態を示
す模式図である。これらの図を参照して、この成形装置
11によれば、金型19,20間に送られた材料シート
12は(図4参照)、両金型19,20により成形され
るのであるが(図5参照)、このとき、材料シート12
の表面温度を160℃〜200℃に設定しているから、
基材シート32を溶融状態に近い状態にして成形するこ
とができる。
【0042】これにより、型締め時に材料シート12が
引っ張られて一時的に応力が生じても、基材シート32
が溶融状態に近い状態に軟化しているので、その後この
応力が弛緩する。つまり、成形後の基材シート32に残
留応力が生じるのを極力なくすことができる。また、型
締め時に基材シート32が引っ張られて一時的に内部の
気泡が引き延ばされた状態となっても、その後、気泡が
球形に近い良好な状態にもどることができる。
【0043】また、金型19,20を40℃〜100℃
に設定しているから、成形時に材料シート12が金型1
9,20によって急冷されることを防止することができ
る。すなわち、金型19,20は、通常、熱伝導率の高
いアルミニウム(熱伝導率が3.18kcal/mh
℃)により構成されるから、成形時に金型19,20の
温度が低ければ、材料シート12が金型19,20に熱
を奪われて急冷されてしまうが、本実施の形態では、予
め金型19,20を40℃〜100℃に温めているの
で、材料シート12が急冷されることがない。つまり、
この成形装置11による成形作業では、成形の際中に基
材シート32が冷却されて内部が固相状態となることを
防止することができる。
【0044】従って、上述のように、型締め時に材料シ
ート12が引っ張られて一時的に応力が生じても、これ
を十分に弛緩させて成形後の基材シート32に残留応力
が生じるのを一層なくすことができると共に、一時的に
引き延ばされた内部の気泡が球形に近い良好な状態に確
実にもどることができる。
【0045】加えて、材料シート12の表面温度を16
0℃〜200℃の範囲に設定しているから、基材シート
32が完全に溶融状態となっておらず、これにより、成
形時の材料シート12のドローダウン現象を避けること
もできる。
【0046】なお、実験的に、金型19,20を40℃
未満に設定すると、成形時に材料シート12が金型1
9,20によって急冷されてしまい良好な成形ができ
ず、また、100℃より高く設定すると、成形後に材料
シート12が冷却されずに良好な離型ができなくなると
いう不都合が生じ易くなる。また、材料シート12の表
面温度が170℃〜190℃の範囲である場合に最も良
好な成形作業をすることができることから、材料シート
12の表面温度をかかる温度範囲に設定するのが好まし
い。
【0047】以上のように、この成形装置11により食
品容器30を製造する場合には、食品容器30の内部に
残留応力を生じさせることなく、しかも、内部の気泡構
造を球形に近い状態とし、図1および図2に示すような
内部構造を実現することができる。
【0048】また、この成形装置11については、以下
のような設計変更を施すことができる。すなわち、上記
成形装置11では、金型19,20をすべて金属で構成
したが、雄型の金型19の凸部24を合成樹脂で形成す
ることもできる。合成樹脂としては、たとえばフィラー
入りのウレタン系合成樹脂を採用することができる。こ
の合成樹脂は、耐熱性に優れ、かつ熱伝導率が0.12
kcal/mh℃であり、アルミニウム等の金属材料に
くらべて熱伝導性の低い材料である。このような設計変
更を施すことにより、金型19の凸部24の熱伝導性を
低くすることができ、金型19との間に熱伝導性の低い
部材を介在させた状態で材料シート12を成形すること
になる。従って、予備加熱された材料シート12が成形
の際中に急冷されるのを一層効果的に防止することがで
き、その結果、成形時に材料シート12が引っ張られて
も、成形後の基材シート32に残留応力が生じるのを一
層なくすことができると共に、基材シート32内部の気
泡形状を一層球形に近いものとすることができる。
【0049】なお、凸部24に使用する合成樹脂として
熱伝導率が0.12kcal/mh℃であるフィラー入
りのウレタン系合成樹脂を採用したが、その他、熱伝導
率が0.5kcal/mh℃以下のものであれば材料シ
ート12の急冷を避けることができる。加えて、熱伝導
率が0.5kcal/mh℃以下のものであれば、熱伝
導率が低いものほど好ましいが、現状では、一般的に入
手できる最も熱伝導率の低い材料としては、0.08k
cal/mh℃のものである。このような熱伝導率を有
する材料としては、たとえばグラスファイバ等が挙げら
れる。
【0050】また、雄型の金型19側に合成樹脂を使用
する他に、雌型の金型20側に合成樹脂を使用すること
もできる。要するに、材料シート12の成形の際に、熱
伝導性の低い材料を介在させるようにできれば良い。
【0051】次に、本発明の実施の形態に係る食品容器
30と従来の食品容器とについて、断熱性,耐熱性等の
性能比較試験を行った結果を示し、これについて考察を
行う。比較データは、図6に示し、本発明の実施の形態
に係る食品容器30は実施例1〜3に、従来の食品容器
は比較例として示す。
【0052】(1) 供試食品容器 実施例1 構成材料は、基材シート(ポリプロピレン樹脂発泡シー
ト)と、その外側に積層されたポリプロピレン樹脂層,
エチレンビニルアルコール樹脂層およびポリプロピレン
樹脂層とを有し、上述した4層構造となっている。側壁
の厚み寸法は、1.5mmである。内部の気泡構造は、
長径が0.2mm〜0.6mm,短径が0.2mm〜
0.3mm,平均長短径比が1.8,球形気泡割合が5
0%である。なお、球形気泡割合とは、側壁断面の単位
面積当たりの全気泡数に対する球形気泡の数の割合であ
り、球形気泡とは、気泡の最長径寸法が500μm以下
のものである。
【0053】 実施例2 構成材料は、実施例1と同様である。側壁の厚み寸法
は、0.9mmである。内部の気泡構造は、長径が0.
2mm〜0.6mm,短径が0.2mm〜0.4mm,
平均長短径比が2.5,球形気泡割合が80%である。
【0054】 実施例3 構成材料は、実施例1と同様であるが、食品容器の内側
にポリプロピレン樹脂層を設けた。側壁の厚み寸法は、
0.9mmである。内部の気泡構造は、長径が0.2m
m〜0.6mm,短径が0.2mm〜0.4mm,平均
長短径比が2.5,球形気泡割合が80%である。
【0055】 比較例 構成材料は、実施例1と同様である。側壁の厚み寸法
は、1.5mmである。内部の気泡構造は、長径が0.
9mm〜1.2mm,短径が0.1mm〜0.2mm,
平均長短径比が5.0,球形気泡割合が0%である。
【0056】(2) 実験条件 レトルト処理試験 各供試食品容器を温度が130℃,圧力が0.25MP
a の雰囲気中に30分間放置した後の食品容器の変形
(表面荒れ状態)を調べる。
【0057】 熱伝導性試験 各供試食品容器に水200ccを入れ、電子レンジによ
り加熱して沸騰させた後の容器側壁の温度を調べる。
【0058】(3) 試験結果 以上の条件の下に試験を行い、その結果を図6に示す。
図6から明らかなように、球形気泡割合が0%の比較例
では、レトルト処理により表面荒れが大きいことがわか
る。
【0059】これに対して、球形気泡割合が50%以上
である各実施例では、表面荒れが少ないか、全く表面荒
れが確認できず、良好なレトルト処理を行えることがわ
かる。
【0060】また、熱伝導性試験においても、各実施例
とも85℃以下であり、十分な耐熱性,断熱性を備えて
いることがわかる。
【0061】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、食品容器
の内部の気泡の形状を球形に近いものとし、かかる球形
に近い気泡の数を、基材シートの断面の単位面積につい
て全気泡数の50%以上とすることにより、食品容器の
適当な断熱性を確保することができると共に、耐熱性を
向上させることができる。つまり、食品容器の断熱性を
適当なものに設定することにより、当該食品容器を用い
てたとえばレトルト処理をする際に、内部に十分な熱を
与えて良好なレトルト処理を行うことができると共に、
十分な耐熱性を確保することにより、電子レンジ等で再
加熱を行う場合でも、食品容器自体が熱くなりすぎるこ
とはない。さらに、食品容器の内部の気泡形状が球形に
近くなっているということは、内部に残留応力が生じて
いないことであるから、電子レンジ等による再加熱時
に、食品容器に変形が起こることはない。
【0062】請求項2に係る発明によれば、請求項1に
係る発明と同様の効果を奏する。特に、本請求項に係る
発明では、バリア層により酸素が食品容器を通過するの
を効果的に抑えることができるので、当該食品容器を用
いてレトルト食品を構成しても、内容物の酸化を抑える
ことができる。
【0063】請求項3に係る発明によれば、請求項1ま
たは2に係る発明と同様の効果を奏する。加えて、本請
求項に係る発明では、いわゆる汁物を収容した場合であ
ってもバリア層の損傷を防止することができ、その結
果、内容物の酸化を一層効果的に抑えることができる。
【0064】請求項4に係る発明によれば、請求項1な
いし3のいずれかに係る発明と同様の作用を奏する。加
えて、本請求項に係る発明では、食品容器の内面をきわ
めて良好な滑面に仕上げることができることから、食品
容器に蓋部材を設ける場合に、当該蓋部材と食品容器と
を密着させることが容易となり、レトルト食品の製造が
容易になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る食品容器の構成を示
す図であり、(a) 図は平面図,(b) 図は正面図,(c) 図
は側壁の拡大断面図である。
【図2】食品容器の内部の気泡構造を示す図であり、
(a) 図は気泡の状態を示す拡大断面図,(b) 図は気泡の
形状を特定するための図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る食品容器を製造する
ための成形装置を模式的に示す図である。
【図4】成形装置の金型が型開きされた状態を示す模式
図である。
【図5】成形装置の金型が肩締めされた状態を示す模式
図である。
【図6】食品容器の性能試験結果を示す図である。
【図7】従来の食品容器の製造工程を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
30 食品容器 31 側壁 32 基材シート 33 バリア層 34 ポリプロピレン系樹脂層 35 エチレンビニルアルコール樹脂層 36 ポリプロピレン系樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 29:00 B29K 105:04 105:04 B29L 31:00 B29L 31:00 B65D 1/00 A (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 51/14 B29C 51/42 B29C 59/00 B29C 67/20 B65D 1/00 B65D 1/09

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリプロピレン系樹脂発泡シートと、酸素
    の透過を抑制するバリア層とが積層された材料シートか
    ら成形された食品容器において、 上記ポリプロピレン系樹脂発泡シート内部の気泡構造
    は、最大径寸法が500μm以下の気泡の数が、ポリプ
    ロピレン系樹脂発泡シートの断面の単位面積について全
    気泡数の50%以上であることを特徴とする食品容器。
  2. 【請求項2】請求項1記載の食品容器において、 上記バリア層は、 ポリプロピレン系樹脂と、エチレンビニルアルコール樹
    脂と、ポリプロピレン系樹脂とが順に積層されたもので
    あることを特徴とする食品容器。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の食品容器におい
    て、 上記バリア層は、当該食品容器の外側に配置されている
    ことを特徴とする食品容器。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の食品
    容器において、 当該食品容器の内面に、ポリオレフィン系樹脂層をさら
    に有することを特徴とする食品容器。
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