JPS637136B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

この発明は例えば冷蔵庫のような断熱箱体の箱
形成型品の製造方法に関するものである。 従来、冷蔵庫のような断熱箱体の箱形成型品の
熱可塑性樹脂による製造は、熱可塑性樹脂シート
の真空成形により行なわれてきた。第１図は従来
の製造装置の断面を示すもので、１は熱可塑性樹
脂からなる均一な板厚を持つシート、２はシート
１の全周を強固に保持するクランパー、３はシー
ト１を加熱するヒータ、４はヒータ３の支持治
具、５は成型品に対応する形状を有する型、６は
型５に設けられた小径の穴、７は型５の保持治
具、８は型５と真空タンク（図示せず）を連結す
るパイプ、９はパイプ８のストツプバルブ、矢印
ａはヒータ３の移動方向、矢印ｂは型の移動方向
を示す。 上記のように構成された装置では、シート１は
型５が下がつた状態でヒータ３が前進（図では左
方向へ動く）することにより、両面から加熱され
軟化する。次に、ヒータ３が後退し、型５が上昇
し、型５、支持治具７、シート１、バルブ９で型
５に設けた穴６を通じて、密閉系を構成した後、
バルブ９を開き、パイプ８により導入される真空
圧により穴６を通して、シート１を型５に延伸密
着させ、成型品が当該樹脂の熱軟化温度以下に冷
却された後、型５を下降させて成型品を得てい
た。 しかしながら、上記の示す従来装置での成型品
の製造は、シート１の板厚が大きくなると、熱可
塑性樹脂の温度伝導率が低いことから、加熱軟化
に長い時間を要するという欠点がある。また、こ
の加熱時間を短縮するためにヒータの温度を高く
すると、シート１の表面が著しく高温となり、表
面が酸化され、成型品に変色と強度低下が生ずる
という欠点がある。 この発明は上記従来の欠点を解消し、表面特性
と強度に優れた合成樹脂からなる成型品を製造す
る方法を提供することを目的としている。 以下この発明の実施例を図面によつて詳細に説
明する。 第２図はこの発明による一実施例を示す断面図
であり、図で、１０は熱可塑性樹脂を圧縮溶融す
る押出機、１１はコートハンガーダイに代表され
るシート押出ダイ、１２は押出機１０と押出ダイ
１１を連結するアダプタ、１３は押出ダイ直後に
設置した温度調節された冷却ロール、１４はシー
ト保持ロール、１５はシート１の引き取りロー
ル、１６はシート搬送ロール、１７はシート１の
ガイドロール、１８はシート１を型５の外周に密
着させる固定クランパーであり、ｃはシート１の
移動方向、ｄは５の移動方向、ｅはシート保持ロ
ール１４の移動方向を示す。 上記のように構成されたこの発明の装置では、
シート１は当該樹脂を押出機１０で圧縮溶融さ
せ、アダプタ１２を介して押出ダイ１１から所定
の板厚で押出され、押出ダイ直後に設置した冷却
ロール１３により両表面が冷却された後、複数の
ロール１４，１６により構成されたシート搬送装
置に移り、当該樹脂の熱軟化温度以上に温度を保
持しながら、成形型５とクランパー１８により構
成された成形装置で真空成形される。なお、冷却
ロール１３はシート１の押出速度と等しい周速で
駆動装置により回転され、ロール１４，１６は成
形時間に押出されるシート長を吸収するために、
矢印ｅの方向に動き、引き取りロール１５の回転
と連動して、元位置に復帰する。ここで、ロール
１７は押出ダイ側と成形機側のシートレベルを一
定に保持する働きを持つ。シート１は成型品が必
要とする長さをシート保持装置１４，１６で貯め
られた後、引き取りロール１５により、型５の上
に移動し、型５とクランパー１８、保持治具７、
バルブ９により穴６を通して密閉系が構成された
後、バルブ９を開くことにより真空タンク（図示
せず）と連結されたパイプ８からの真空圧によ
り、穴６を介して型５に延伸吸引され密着する。
成型品は型内で当該樹脂の熱軟化温度以下に冷却
された後、型５が下降することにより、引き取り
ロール５により、成形装置外へ搬送される。 ここで、冷却ロール１３は押出ダイ直後でシー
ト１の表面温度を低下させ、シート１の表面酸化
を防止する効果を持つが、第３図、第４図で詳細
に説明する。 第３図は第２図の押出装置から押出されたシー
トの時間温度変化を示す。図でＡは板厚方向の中
央部の温度変化曲線、Ｂはシート表面の温度変化
曲線である。図で明らかなように、シート１の表
面温度は徐々に低下するため極めて表面酸化を受
け易い欠点がある。 第４図はこの発明による冷却ロールを用いた実
施例の時間温度変化で、図でA′はシート１の板
厚方向の中央部の温度変化曲線、B′は表面の温
度変化曲線である。図で明らかなように、冷却ロ
ール１３によりシート１の温度は低下し、特に表
面温度は冷却ロール温度に低下した後、中央部か
らの熱伝導により徐々に回復する。このため、シ
ート表面温度が高温を保持している時間は、冷却
ロールを使用しない場合に比較して極めて短時間
となり、表面酸化は著しく減少し変色、強度低下
の小さい優れた成型品が得られる利点がある。ま
た、シート１の板厚方向の温度分布は、図に示す
様に均一度が高く、真空成形性に優れ低温で成形
することが出来ることから、成形サイクルタイム
が大巾に減少し、生産性が向上する利点がある。 表１はABS樹脂の従来法による成型品と、本
実施例による成型品から試験試料を切り出し測定
した結果である。表１から明らかなように本実施
例による成型品は、従来法による成型品に比較し
て物性が優れており、合わせて押出したシートを
冷却再加熱を行なわずに成形できることから、使
用エネルギーが大きく低減する利点がある。

【表】 なお、上記比較は同一ABS樹脂、同一型を使
用して得た成型品の同一サンプルの値であり、ま
た、変色特性については同一ABS樹脂の射出成
形板を標準とした。 また、シート１を型５に吸引する代わりに、パ
イプ８を大気に開放した状態で、シート１の型５
の反対側から圧縮空気を用いてシート１を型５に
密着させても優れた成型品が得られ、真空圧より
も大きな圧力を加えることにより、成型品の型転
写性が向上する利点がある。 なお、成形の際に真空圧と圧縮空気の圧力を併
用すると、シート１と型５の密着性が著しく向上
し、型転写性に優れた成型品が得られる。 ところで上記説明では、冷蔵庫のような断熱箱
体の箱形成型品の製造の場合について述べたが、
その他の熱可塑性樹脂成型品の製造にも利用でき
ることはいうまでもない。 この発明は以上説明したとおり、押出装置の直
後に冷却ロールを設けることにより、押出装置か
ら押出されたシートを直接成形し、表面特性と強
度に優れた成型品を安価に製造できる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の製造装置の概要を示す構成図、
第２図はこの発明の一実施例を示す構成図、第３
図は押出ダイから大気中に押出されたシートの時
間温度変化特性図、第４図はこの発明による冷却
ロールを設けた場合のシートの時間温度変化特性
図である。 図において、１は熱可塑性樹脂のシート、５は
型、６は型を貫通する小径の穴、１０は押出機、
１１は押出ダイ、１３は冷却ロール、１４はシー
ト保持装置、１５は引き取りロール、１７はガイ
ドロール、１８はシート固定クランプである。な
お、各図中同一符号は同一または相当部分を示
す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 押出機と押出ダイ、これらを連結するアダブ
   タからなる押出装置から押出された熱可塑性樹脂
   シートの表面を押出ダイ押出直後で当該樹脂の溶
   融温度以下に冷却後、該シート温度を当該樹脂の
   熱軟化温度以上に保持しつつ、成型物に対応する
   型面を有した金型を使用し気体圧を用いて成形す
   ることにより成型物を得ることを特徴とする合成
   樹脂成型品の製造方法。 ２ 真空成形により成型物を得るようにした特許
   請求の範囲第１項記載の合成樹脂成型品の製造方
   法。 ３ 圧空成形を用いて成型物を得るようにした特
   許請求の範囲第１項記載の合成樹脂成型品の製造
   方法。 ４ 成形に真空と圧空を用いた真空圧空成形法に
   より成型物を得ることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載の合成樹脂成型品の製造方法。