JP4160121B2 - アンジオスタチン生成のための方法及び組成物 - Google Patents

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Description

本明細書は、1996年9月17日に出願された、係属中の出願番号第08/710,305号の出願の一部継続出願である。
発明の分野
本発明は、血管新生の阻害薬であるアンジオスタチンに関するものである。
発明の背景
クリングル1〜3、及びクリングル4の全てあるいは一部から成ると考えられる、プラスミノゲンのタンパク質分解性の断片であるアンジオスタチンは、血管新生、腫瘍細胞転移進行の強力な阻害薬である。これについてはO’Reilly et al.,Cell,79,315-328(1994)、国際特許出願第WO 95/29242号を参照のこと。アンジオスタチンは、腫瘍を持つマウスでin vivoにて見出される。O’Reilly et al.,Cell,79,315-328(1994)、O’Reilly et al.,Nature Med. 2,689-692(1996)を参照のこと。in vivoにてアンジオスタチンが生成される酵素機構については未だ解明されていない。
アンジオスタチンの活性を、プラスミノゲンのエラスターゼによるタンパク質限定分解によってin vitroにて得ることができる。Sottrup-Jensen et al.,in Progress in Chemical Fibrinolysis and Thrombolysis,3,191-209(Davidson et al.,eds. 1978)を参照のこと。最近の要約において、初期腫瘍を浸潤してエラスターゼ活性を放出するマクロファージによるアンジオスタチンの生成が提案されており、これによりプラスミノゲンが開裂してアンジオスタチン活性を有するタンパク質が生成する。Dong et al.,Proc. Am. Assoc. Cancer Res.,37 58(1996)を参照のこと。しかしながら、エラスターゼによるプラスミノゲンの限定切断は、アンジオスタチン活性を持つ一種類以上の断片を生じる一方で、エラスターゼは更にこの断片を不活性ペプチドに分解するため、in vivoにてアンジオスタチンを生成するのは恐らくこの酵素ではないものと考えられる。
上述したように、アンジオスタチンは、エラスターゼによるプラスミノゲンのタンパク質限定分解によってin vitroにて得ることが可能である。まず、エラスターゼがプラスミノゲンを開裂することによりクリングル1-3を含む断片が生じるが、この開裂がin vivoにてアンジオスタチンを生成する通常の開裂部位で起こるかどうかは不明である。従ってエラスターゼにより誘導されたアンジオスタチンの活性は、ヒトにおいて異なり、in vivo作用も異なる可能性がある。また、ペプチド切断部位が通常のアンジオスタチンと異なる場合には、免疫原性である可能性も考えられる。
アンジオスタチン生成の第2の手段は、プラスミノゲンのcDNAまたは遺伝子の、所望のクリングルドメインを原核細胞あるいは真核細胞内の発現ベクターによって発現させることによる。これについては国際特許出願第WO 95/29242号を参照のこと。適切な発現ドメインが不明であるため、このアプローチも限定される。この生成物もやはり免疫原性であることが考えられ、通常のin vivo酵素によるプラスミノゲンの切断によって生成した生成物と同様にはヒトにおいてプロセスされないことが考えられる。
最後に、アンジオスタチンが生成された動物の体液から、アンジオスタチンを単離することが可能である。これについては国際特許出願第WO 95/29242号を参照のこと。しかしこの方法では、アンジオスタチンを治療に足るほど多量に得ることは不可能であり、また、こうしたソースからの単離の際に、アンジオスタチンが感染性媒体によって汚染されてしまう可能性がある。
従って、多量の天然アンジオスタチンの生成方法が必要であることは明らかである。本明細書中における「天然アンジオスタチン」は、in vivoにて生成されたアンジオスタチンか、あるいは、どのように生成されたかに関わらずin vivoにて生成されたアンジオスタチンと同じであるアンジオスタチンとして定義される。
発明の概要
本発明は下記に示す方法を提供する。これらの方法は、癌細胞、初代内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞の培養によって得られた調整培地(CCM)が、プラスミノゲンまたはプラスミンと接触した際にアンジオスタチンが生成するという発見に基づいている。CCM内の活性因子は、プラスミノゲン活性化物質及びスルフヒドリル供与体と特定されている。従って、プラスミノゲン活性化物質及びスルフヒドリル供与体を使用して得られたアンジオスタチンは、in vivoにて生成したアンジオスタチンと同じであり、すなわちこれは天然アンジオスタチンである。
in vitroにてアンジオスタチンを生成するための本発明の1方法においては、アンジオスタチンを生成するためにプラスミンをスルフヒドリル供与体と接触させる。プラスミンはプラスミノゲンをプラスミノゲン活性化物質と接触させることで得られる。アンジオスタチンを生成するために、全ての反応物(プラスミノゲン、プラスミノゲン活性化物質、スルフヒドリル供与体)を同時に接触させることも可能であり、最も好都合である。
この方法で得られたアンジオスタチンは、残存する反応物と共に、あるいは、反応物から精製または部分精製して、ヒトを含む動物に必要に応じて投与することが可能である。アンジオスタチンを必要とする動物とは、血管新生疾患を有する動物である。
本発明はさらに、アンジオスタチン生成のための組成物を提供する。この組成物は、スルフヒドリル供与体及びプラスミノゲン活性化物質を含む。組成物の2つの実施例は、プラスミノゲン活性化物質の生成する能力を有する細胞を培養して得たCCMと、このような細胞の破砕物である。
本発明はさらに血管新生の治療方法を提供するが、この方法は、プラスミンのアンジオスタチンへの変換に有効な量のスルフヒドリル供与体を、血管新生疾患を有する動物に投与することを含む。プラスミンは、内因性プラスミノゲンから(一種類以上の)内因性プラスミノゲン活性化物質によって生成したものであってよい。また、この方法はさらに、有効量のプラスミンの投与を含んでもよい。またさらに別の実施例においては、内因性プラスミノゲンまたは投与された有効量のプラスミノゲンからプラスミンを生成するために、プラスミノゲン活性化物質を動物に投与する。
本発明はさらに、単独の、あるいはスルフヒドリル供与体と組合せたプラスミノゲン活性化物質が入った容器を提供する。この容器は、血管新生疾患を有する動物への、プラスミノゲン活性化物質またはプラスミノゲン活性化物質とスルフヒドリル供与体の組合せの投与を指示するラベルを有する。本発明はまた、スルフヒドリル供与体が入った容器を提供するが、この容器は、プラスミンのアンジオスタチンへの変換に有効な量のスルフヒドリル供与体の投与を指示するラベルを有する。
本発明はさらに、次の特徴を有するタンパク質を提供する。(a)プラスミノゲンの断片である。(b)N末端アミノ酸が、プラスミンのN末端アミノ酸と同じである;(c)C末端アミノ酸がクリングル5内に存在する;(d)血管新生を阻害する。ある実施例において、タンパク質は天然アンジオスタチンである。本発明はさらに、タンパク質をコーディングし、発現調節配列と機能的に連関したDNA分子、発現調節配列と機能的に連関したDNA分子を有するホスト細胞、ホスト細胞を培養することを含むタンパク質の生成方法を提供する。
タンパク質は、有効量を血管新生疾患を有する動物に投与することにより、血管新生疾患の治療に利用することができる。該疾患を有する動物の治療において、タンパク質をコードしているトランスジーンを投与することも可能である。トランスジーンによってコードされたタンパク質は天然アンジオスタチンであることが好ましい。
最後に、本発明は、タンパク質と選択的に結合する抗体を提供する。このような抗体は、これを含有する物質からタンパク質を精製するために使用できる。また、天然アンジオスタチンと選択的に結合するこのような抗体は、天然アンジオスタチンを検出あるいは定量化するための方法及びキットに使用できる。
【図面の簡単な説明】
第1A図: PC-3細胞によって生成された無血清調整培地による、プラスミノゲン及びプラスミンのアンジオスタチンへの変換を示すウエスタンブロットである。レーン1-分子量標準、レーン2-ヒトプラスミノゲン、レーン3-無調整RPMIで、37℃にて終夜インキュベートしたヒトプラスミノゲン、レーン4-PC-3細胞にて得たSFCMで、37℃にて終夜インキュベートしたヒトプラスミノゲン、レーン5-無調整RPMIでインキュベートしたプラスミノゲン、レーン6-PC-3細胞にて得たSFCMでインキュベートしたヒトプラスミノゲン。
第1B図: プラスミノゲンからのアンジオスタチンの生成が時間に依存するものであることを示すウエスタンブロットである。PC-3SFCMはプラスミノゲンと共にインキュベートされ、また、示された時間において少量を取り、ウエスタンブロット分析の前に速やかに冷凍した。3時間目でアンジオスタチンが微量に生成し、24時間目には完全に変換した。
第1C図: PC-3 SFCMによるアンジオスタチンの生成が濃度に依存するものであることを示すウエスタンブロットである。SFCMを異なる量の新鮮なRPMIで希釈し、プラスミノゲンと共に24時間インキュベートした。
第1D図: アンジオスタチン生成のSFCM量に対する関係を示すグラフである。バックグランドを差し引いて濃度計を走査することにより、アンジオスタチンシグナルを定量化した。18時間目において、生成したアンジオスタチンの量と反応混合物中に存在するPC-3 SFCMの量との間に直線関係が見られた。
第2図: プラスミノゲンをPC-3細胞が産生したSCFMと共にインキュベートすることにより生成したアンジオスタチンのアフィニティー精製後のウエスタンブロットである。レーン1-分子量標準;レーン2-無調整RPMIで、37℃にて終夜インキュベートして生成したヒトプラスミノゲン;レーン3-プラスミノゲンをPC-3と共にインキュベートして生成したアンジオスタチンであり、次にこれをリジン-セファロースで精製し、クーマシーブルーで染色することによりウエスタンブロットを用いて検出した;レーン4-プラスミノゲンをPC-3 SCFMと共にインキュベートして生成したアンジオスタチンであり、次にこれをリジン-セファロースで精製し、モノクローナル抗体K1-3をクリングル1-3に使用して、ウエスタンブロットにてこれを検出した。
第3A図-第3B図: PC-3 SCFMと共にインキュベートして生成したアンジオスタチンが、血管形成に重要なin vitro段階を阻害することを示すグラフである。
第3A図:内皮細胞の増殖を示す。このデータは平均値±標準偏差を示している。第3B図:ベーシック線維芽細胞成長因子(bFGF)誘発移動。誘発物質を含まない場合のバックグランド移動、及び刺激bFGFが存在する場合のバックグラウンド移動を示す。同時に、トリパンブルーエクスクルージョンによって毒性が測定され、全ての濃度において<10%であった。
第4A図-第4B図: プラスミノゲンをPC-3 SCFMと共にインキュベートして得られたアンジオスタチンが、in vitroにおけるヒト内皮細胞脈管形成を阻害することを示す写真である。ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を24ウェルディッシュ中のマトリゲルのゲル上にプレートし、無調整RPMIでPC-3 SFCMを使用して生成したアンジオスタチン15μg/mlで処理した。第4A図:コントロールとしてのHUVEC型枝分かれのネットワークである。第4B図:これに対して、PC-3 SFCMを用いて生成したアンジオスタチンにより、脈管ネットワークは著しく阻害された。
第5A図、第5B図: PC-3 SCFMを使用して生成したアンジオスタチンによる、in vivoにおける血管新生の阻害を示す写真である。第5A図:bFGFを含むヒドロンペレット(矢印で示す)が、埋没7日後に、陽性の新生血管反応を誘発した。第5B図:これに対して、bFGFと、PC-3 SFCM(矢印で示す)を使用して生成したアンジオスタチンを10μg/mlとを含むヒドロンペレットに向かった血管の成長は観られなかった。
第6図: 反応性レッド120-アガロースフロースルー分画、RPMIまたはRPMIアミノ酸と組合せた際に、反応性レッド120-アガロースからのバッチ溶出液が、アンジオスタチンを生成することを示すウエスタンブロットである。レーン1-SFCM+プラスミノゲン;レーン2-反応性レッド120-アガロースフロースルー分画+プラスミノゲン;レーン3-TBSへの透析後の反応性レッド120-アガロースバッチ溶出液+プラスミノゲン;レーン4-透析したバッチ溶出液+反応性レッド120-アガロースフロースルー分画+プラスミノゲン;レーン5-透析したバッチ溶出液+RPMI+プラスミノゲン;レーン6-透析したバッチ溶出液+RPMIビタミンミックス+プラスミノゲン;レーン7-透析したバッチ溶出液+RPMIアミノ酸ミックス+プラスミノゲン;レーン8-透析したバッチ溶出液+RPMIビタミンミックス及びアミノ酸ミックス+プラスミノゲン;レーン9-プラスミノゲン+無調整RPMI。
第7図: ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化物質(u-PA)活性及びプラスミノゲンアンジオスタチン変換活性(PACA)が、Hi-O陰イオン交換カラムからの勾配溶出液に共に溶出する。280nmにおける光学密度の値はいくつかのタンパク質ピークを示した。405nmにおいてプラスミン(Va1-Leu-Lys p-NA)の発色ペプチド基質の切断を測定することで、u-PA活性が決定された。ウエスタンブロットによりピークの値を示した分画をPACAについてアッセイした。
第8図: 沸騰させた反応性レッド120-アガロースフロースルー分画または新鮮なRPMI媒体にu-PAとプラスミノゲンを加えることによるアンジオスタチンの生成を示すウエスタンブロットである。レーン1-反応性レッド120-アガロースフロースルー分画+プラスミノゲン;レーン2-反応性レッド120-アガロースフロースルー分画+プラスミノゲン+u-PA;レーン3-反応性レッド120-アガロース沸騰フロースルー分画+プラスミノゲン;レーン4-反応性レッド120-アガロース沸騰フロースルー分画+プラスミノゲン+u-PA;レーン5-無調整RPMI+プラスミノゲン;レーン6-無調整RPMI+プラスミノゲン+u-PA。
第9図: プラスミノゲン活性化物質が存在する場合、反応性レッド120-アガロースフロースルー分画がアンジオスタチンを生成することを示すウエスタンブロットである。レーン1-反応性レッド120-アガロースフロースルー分画+プラスミノゲン;レーン2-反応性レッド120-アガロースフロースルー分画+プラスミノゲン+u-PA;レーン3-反応性レッド120-アガローセフロースルー分画+プラスミノゲン+t-PA。
第10図: u-PA及びグルタチオンによるアンジオスタチンの生成を示すウエスタンブロットである。レーン1-プラスミノゲン+u-PA;レーン2-プラスミノゲン+u-PA+グルタチオン5μM;レーン3-プラスミノゲン+u-PA+グルタチオン50μM;レーン4-プラスミノゲン+u-PA+グルタチオン100μM;レーン5-プラスミノゲン+u-PA+沸騰したグルタチオン5μM;レーン6-プラスミノゲン+u-PA+沸騰したグルタチオン50μM;レーン7-プラスミノゲン+u-PA+沸騰したグルタチオン100μM。
第11図: u-PAとD-ペニシラミンの組合せが、アンジオスタチンを生成することを示すウエスタンブロットである。レーン1-プラスミノゲン+D-ペニシラミン100μM;レーン2-プラスミノゲン+u-PA+D-ペニシラミン1005μM;レーン3-プラスミノゲン+u-PA+D-ペニシラミン1.0mM。
第12図: u-PA、t-PA、ストレプトキナーゼによるアンジオスタチンの生成を示すウエスタンブロットである。図面中で使用された略語の意味は次の通りである。
PLG = ヒトプラスミノゲン
uPA = ウロキナーゼタイププラスミノゲン活性化物質
tPA = 組織型プラスミノゲン活性化物質
SK = ストレプトキナーゼ
+ = N-アセチル-L-システイン有
- = N-アセチル-L-システイン無
第13図: プラスミノゲンからのプラスミンの生成と、予め生成し精製したプラスミンからのアンジオスタチンの生成とを示すウエスタンブロットである。レーン1-プラスミノゲン+u-PA-セファロース;レーン2-精製したプラスミノゲン+N-アセチル-L-システイン100μM。
第14図: コントロールマウス、及びN-アセチル-L-システイン(NAC)またはNAC+ウロキナーゼタイププラスミノゲン阻害薬で処置したマウスにおける、0〜21日目の初期腫瘍の平均の大きさ(mm3)を示すグラフである。
第15図: in vivoでのN-アセチル-L-システイン(NAC)によるアンジオスタチンの生成を示すウエスタンブロットである。レーン1-コントロールマウス#2からの血漿(1:20で希釈した);レーン2-コントロールマウス#3からの血漿(1:20で希釈した);レーン3-第1マウスからの血漿(1:20で希釈した)に、アフニティー精製した無細胞アンジオスタチンを加えたもの;レーン4-第2マウスからの血漿(1:20で希釈した)に、アフニティー精製した無細胞アンジオスタチンを加えたもの;レーン5-NAC-処理したマウス#1からの血漿(1:20で希釈した);レーン6-NAC-処理したマウス#2からの血漿(1:20で希釈した);レーン7-NAC-処理したマウス#3からの血漿(1:20で希釈した);レーン8-アフニティー精製した、無細胞アンジオスタチン。
第16図: シグナルペプチド(図示せず)切断後の、完全分子のアミノ酸配列を示すヒトプラスミノゲンを示す図である(Molecular Basis of Thrombosis and Hemostasis (High and Roberts,eds. 1995))。クリングル1-5(K1-K5)が示されている。プラスミノゲンからプラスミンへの活性化に必要な残分77、78と残分561、562の間の切断部位が、中黒矢印によって示されている。白抜き矢印は、遺伝子内のイントロンを表す。位置289におけるNに結合したオリゴ糖と、位置346における0に結合したグリカンも示されている。*は、プラスミンの触媒3つ組み残基のメンバーを示す(His603、Asp646、Ser741)。
本発明の好ましい実施例の詳細な説明
本発明は、天然アンジオスタチン生成のためのin vitroにおける方法を提供するものである。このような方法の1つは、プラスミノゲン活性化物質及びスルフヒドリル供与体にプラスミノゲンを接触させることを含む。これら3つの反応物を同時に使用することが可能である。また、プラスミンを生成するためにプラスミノゲンをプラスミノゲン活性化物質と接触させてもよく、次に、アンジオスタチンを生成するために、このプラスミンをスルフヒドリル供与体と接触させる。スルフヒドリル供与体と接触させる前に、プラスミンを少なくとも部分的に精製しておいてもよい。もちろん、プラスミンをスルフヒドリル供与体と接触させれば、プラスミンから直接アンジオスタチンを生成することができる。
プラスミノゲンを任意の動物種から得ることも可能である。しかし、アンジオスタチン投与に際しての免疫反応を防ぐために、アンジオスタチンによる治療を受ける動物種から得られたプラスミノゲンを使用することが好ましい。従って、アンジオスタチンを人間の治療に使用する場合には、ヒトプラスミノゲンを使用することが好ましい。
プラスミノゲンの生成方法は従来よく知られている。プラスミノゲンは市販もされている。プラスミノゲンは、組換えDNA、または他の、プラスミノゲンの調製において感染性媒体の混入を防止する技術によって調製されることが好ましい。
ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化物質、組織型プラスミノゲン活性化物質、ストレプトキナーゼといったあらゆるタイプのプラスミノゲン活性化物質を使用することが可能である。プラスミノゲン活性化物質は、どんな動物種から得たものでも構わない。プラスミノゲン活性化物質の生成方法は従来よく知られており、多くのプラスミノゲン活性化物質が市販されている。プラスミノゲン活性化物質は、組換えDNA、または他の、プラスミノゲンの調製において感染性の薬剤の封入を防止する技術によって調製されることが好ましい。
プラスミノゲンからプラスミンへの変換に有効な量と条件にて、プラスミノゲンをプラスミノゲン活性化物質と接触させる。これらの量及び条件は公知であるか、あるいは従来技術におけるように経験的に求めることが可能である。特に、プラスミノゲン1マイクログラムに対し約1ng/ml〜約1μg/mlのウロキナーゼプラスミノゲン活性化物質を用いた1mlの反応液では、37℃での約24時間のインキュベーション後に、プラスミノゲンはプラスミンへ完全に変換することがわかっている。
あらゆるスルフヒドリル供与体を使用することが可能である。スルフヒドリル供与体はよく知られており、市販もされている。適切なスルフヒドリル供与体としては、Lシステイン、Dシステイン、DLシステイン、NアセチルLシステイン、還元グルタチオン、Dペニシラミン、カプトプリルがある。スルフヒドリル供与体は、プラスミノゲン、及び/またはプラスミン、及び/またはアンジオスタチン、及び/または中間物質中のジスルフィド結合部分を還元または変化させる。
スルフヒドリル供与体は、プラスミンからアンジオスタチンへの変換に有効な量と条件において、単独で、またはプラスミノゲン及びプラスミノゲン活性化物質の存在下で、プラスミンと接触させられる。これらの量及び条件は公知であるか、あるいは従来技術におけるように経験的に求めることが可能である。特に、プラスミンの1マイクログラムに対し約10μM〜約1mMのスルフヒドリル供与体を用いた1mlの反応液では、約24時間にわたる37℃でのインキュベーション後に、プラスミノゲンはプラスミンへ完全に変換することがわかっている。
プラスミンは、上述したプラスミノゲン活性化物質によってプラスミノゲンから生成することが可能である。プラスミンとスルフヒドリル供与体と接触させる前に、反応物よりプラスミンを精製してもよい。プラスミンの精製方法は従来知られている(例えば、例4参照)。市販のプラスミン、または別の方法で生成したプラスミンも、上述の通りにプラスミンをスルフヒドリル供与体と接触させることにより、アンジオスタチンの生成に使用することが可能である。
本発明はさらに、アンジオスタチン生成のための組成物を提供する。この組成物は、上述したようにプラスミノゲン活性化物質とスルフヒドリル供与体を含む。プラスミノゲン活性化物質とスルフヒドリル供与体は、生理学的に認容されるあらゆる溶液(例えば、生理食塩水、緩衝液、培養液)に含まれていてもよく、あるいは、結晶性の、または凍結乾燥した形態であってもよい。治療的使用に適した組成物について下記に示す。
組成物は、プラスミノゲン活性化物質の生成が可能な細胞を培養することによって調製した調整培地(CCM)であってもよい。プラスミノゲン活性化物質を発現する、ヒトまたはヒト以外の動物の悪性細胞によって、プラスミノゲン及びプラスミンをアンジオスタチンに変換する能力を有するCCMを得ることが可能である。適切な悪性細胞には、ヒト前立腺癌株化細胞PC-3、DU-145、LN-Cap、ヒト乳癌株化細胞MDA-MB-231、MCF-7、ヒト神経膠腫株化細胞U-373、U-118、A-172、U-87、及び、マウスメラノーマ株化細胞B16F10がある。プラスミノゲン活性化物質を産生する多くの非悪性動物細胞が公知である。適切な非悪性細胞には、一次内皮細胞(例えば、ウシ大動脈内皮細胞)、平滑筋細胞(例えば、ウシ平滑筋細胞)、線維芽細胞が含まれる。さらに、プラスミノゲン活性化物質(例えばストレプトキナーゼ)を産生する細菌細胞が知られており、あらゆるタイプの細胞は、組換えDNA技術によってプラスミノゲン活性化物質を産生するように形質転換させることができる。適切な細胞及び細胞系が公知であり、従来の方法で、細胞寄託機関から購入することが可能である。
さらに、これらの細胞の適切な培養条件もよく知られている。使用する培養液はスルフヒドリル供与体を含んでいるか、または、スルフヒドリル供与体を調製後にCCMに添加してもよい。適切な培養液には、RPMI、DMEM等の市販の製品がある。CCMの調製は、通常の培養条件下で、プラスミノゲンまたはプラスミンをアンジオスタチンに変換する能力を有するCCMを生成するのに十分な時間にわたって単純に細胞を培養することによっても可能である。この時間は経験的に求められる。特に、哺乳類細胞を、単層形成後に、37℃で24〜72時間培養することが適切であることがわかっている。
別方法または、また追加方法として、プラスミノゲン活性化物質が合成されるのに十分な時間培養した後に細胞を破砕することも可能である。この時間は経験的に求められるが、単層が形成されるまで細胞を培養すれば十分である。プラスミノゲン及びプラスミンをアンジオスタチンに変換するために破砕液を使用することもできる。
これらの方法で生成したアンジオスタチンは、反応混合物から精製してもよい。タンパク質精製方法は従来よく知られている。特に、アンジオスタチンを、リジン-セファロース(Pharmacia社製)を使用しアフィニティークロマトグラフィーによって精製してもよい。残渣プラスミン活性は、例えば大豆トリプシンインヒビター-セファロース(Pharmacia社製)、アプロチニン-セファロース、またはその他の、セリンプロテアーゼまたはプラスミンの触媒ドメインを除去するためのアフィニティークロマトグラフィー法によって除去しなければならない。またアンジオスタチンは、これと選択的に結合する抗体を使って、反応混合物から精製することもできる(下記参照)。
これらの方法で生成したアンジオスタチン(天然アンジオスタチン)の特性が分かっている。このアンジオスタチンは、プラスミノゲンのクリングル1-3に特異的な単クローン抗体と反応する。また、in vitro及びin vivoにおける様々な試験によって評価されているように、血管新生を阻害することがわかっている。
また、アンジオスタチンがプラスミンのN末端配列を持っていることもわかっている。ヒトプラスミノゲンより生成されたアンジオスタチンについては、N末端配列はLys Val Tyr Leu Ser Glu Cys Lys Thr Glyであることがわかっている(配列ID NO:1)。他の動物のプラスミンの配列も公知である。従って、特定の動物の天然アンジオスタチンは、その動物のプラスミンと同じN末端配列を有するということになる。
非常に驚くことに、天然アンジオスタチンは、そのC末端アミノ酸をクリングル5内に持っていることがわかっている。特に、ヒトプラスミノゲンから生成されたアンジオスタチンは、C末端配列Cys Tyr Thr Thr Asn Pro Arg(配列ID NO:4)、またはCys Tyr Thr Thr Asn Pro Arg Lys(配列ID NO:5)を持っていることがわかっている(例6参照)。これらのC末端配列は、プラスミン切断部位として公知の、プラスミノゲンアミノ酸529または530(第16図)の後の部位における切断の結果得られる。従って、天然ヒトアンジオスタチンはクリングル5のほとんどを構成し、非還元条件下におけるポリアクリルアミドゲル電気泳動上の分子量50-60kdに一致する(第16図参照)。
アンジオスタチンはクリングル1〜3とクリングル4の全体または一部とを含んでいる(発明の背景参照)と考えられていたため、これらの発見は驚きであった。また、クリングル1〜4から成る分子は、活性を有するものの、その活性はクリングル1〜3から成る分子(PCT明細書WO96/35774参照)よりも弱いことが示されている。従って、天然アンジオスタチンがクリングル5の任意の部分を含むことは予測されていなかった。特に、天然アンジオスタチンがクリングル5の大部分を含むことは予測されてなかった。
現在では、天然アンジオスタチンを除いて、クリングル5の少なくとも一部を含むプラスミノゲン断片はアンジオスタチン活性を有する(すなわち、血管新生を阻害する)と考えられている。プラスミノゲン断片がクリングル5の大半を含んでいることが好ましい。また、プラスミノゲン断片がクリングル5の大部分を含んでいることがさらに好ましい。ここで「クリングル5の大半」とは、クリングル5の少なくとも50%(例えば、ヒトクリングル5では少なくとも40アミノ酸)を意味し、また、「クリングル5の大部分」とは、クリングル5の少なくとも75%(例えば、ヒトクリングル5では少なくとも60アミノ酸)を意味する。もちろん、プラスミノゲン断片が天然アンジオスタチンであることが、上述した理由からして最も好ましい。
他の動物からのプラスミノゲンの配列が知られている(例えばGenBankから入手可能)。ヒト(配列ID NO:6)、ウシ(配列ID NO:7)、イヌ(配列ID NO:8)、西ヨーロッパハリネズミ(配列ID NO:9)、ウマ(配列ID NO:10)、アカゲザル(配列ID NO:11)、マウス(配列ID NO:12)、ブタ(配列ID NO:13)のプラスミノゲンの配列を下記の配列表に示す(SWISS-PROT Protein Sequence Databaseよりダウンロード)。特定の動物の天然アンジオスタチンは、その動物のプラスミノゲンのクリングル5の大部分を含み、上述したヒト天然アンジオスタチンのC末端配列に対応したC末端配列を持っている。実際これらの配列の研究により、天然アンジオスタチンを生成する、ヒトプラスミノゲンの切断部位直後の配列は(配列ID NO:2、配列ID NO:3;下記の例6参照)、これら全てのプラスミノゲン配列内に保存されていることがわかった。
配列表からわかるように、イヌ(配列ID NO:8)とウマ(配列ID NO:10)のプラスミノゲンの配列は単一のクリングルドメインしか含んでいない。この単一クリングルドメインは、他のクリングル5ドメインに対するホモロジーから、クリングル5ドメインであると考えられ、他のプラスミノゲンのクリングル5ドメイン内で見つかった保存された配列を含む(配列表のハイライトされたアミノ酸を参照)。従って、本発明は、イヌとウマのプラスミノゲンのプラスミノゲン断片、及びクリングル5ドメインを含むあらゆるプラスミノゲンのプラスミノゲン断片を含む。
本発明のプラスミノゲン断片(プラスミンのN末端配列を持つもの、また、クリングル5内にC末端アミノ酸を持つもの)は、組換えDNA方法によって得ることができる。プラスミノゲン断片は天然アンジオスタチンであることが好ましい。さらに、プラスミノゲン断片は天然ヒトアンジオスタチンであることが最も好ましい。組換えDNA法と適切なホスト細胞、ベクター、ここで使用するその他の試薬は、従来よく知られているものである。
本発明のプラスミノゲン断片を得るための特定のホスト細胞の選択は、従来認識されている多くの要因に依存する。これらは例えば、イヌ発現ベクターとの適合性、プラスミノゲン断片の細胞への毒性、変換率、発現特性、生物学的安全性、コストを含む。特定のプラスミノゲン断片の発現において、全てのホストが同等に効果的であるとは限らないという理解に基づいてこれらの要因のバランスを適当にとらなけれなならない。
真核生物のホスト細胞は、本発明のプラスミノゲン断片の生成に適している。上述のガイドラインにおいて、有用な真核生物細胞として酵母、その他の菌類、動物細胞系、無傷動物の動物細胞、昆虫細胞、その他の従来の真核生物ホスト細胞が含まれる。
ホスト細胞は、本発明のプラスミノゲン断片をコードしたDNAを含むベクターを用いて形質転換することができる。コーディング配列は、ベクター上で発現調節配列と機能的に連関していなければならない。
ここで「機能的に連鎖する」とは、プラスミノゲン断片が発現されるようにDNA配列が連鎖していることを表す。連鎖は、配列の順序、配列の向き、異なる配列間のスペースを含み、最適な発現が得られるように実施されることが好ましい。
発現調節配列はプロモータを含んでいなければならない。ベクター内で使用されるプロモータは、ホスト細胞において転写活性を示すどんな配列のものであってよく、ホモまたはヘテロタンパク質、及び、細胞外、細胞内タンパク質をコードしている遺伝子から得ることが可能である。しかしながら、このプロモータは天然のプロモータのいずれかと同一である必要はない。プロモータは異なるプロモータの部分によって構成されていてもよく、また、部分的または全体的に合成されたものであってもよい。プロモータのデザイン用の手引きは、例えばHarley and ReynoldsによるNucleic Acids Res.,15、2343-61(1987)といったプロモータ構造の研究から得ることができる。また、転写開始点に対するプロモータの位置を最適化することができる。これについてはRoberts et al.,Proc. Natl Acad. Sci. USA76,760-4(1979)を参照のこと。プロモータは誘導性あるいは構成性のいずれであってよく、また強力なプロモータであることが好ましい。ここで「強力な」とは、プロモータがホスト細胞内において高い転写率を与えるということである。
コーディング配列は、ベクター内においてプロモータとの機能的連鎖と同様に、転写停止配列とも機能的に連鎖していなければならない。またコーディング配列は、プロモータ、転写停止配列以外にも、発現調節配列と機能的に連鎖させることが可能である。これらの更なる発現調節配列には、アクティベータ、エンハンサ、オペレータ、停止シグナル、キャップシグナル、ポリアデニル化シグナル、5’非翻訳配列、転写または翻訳の調節に関与するその他の配列及びシグナルを含む。
真核生物の翻訳開始配列の共通配列は、Kozak(Cell44,283-292(1986))によって、C(A/G)CCAUGGであると特定されている。特に−3位置(AまたはG)におけるこの配列からの逸脱は、特定のmRNAの翻訳に大きく影響する。ほとんど全ての高度に発現された哺乳類の遺伝子にはこの配列が使われている。一方、高度に発現された酵母mRNAはこの配列と異なり、かわりに配列(A/Y)A(A/U)AAUGUCUを有する(Cigan and Donahue,Gene59,1-18(1987))。これらの配列は、特定のホスト細胞に使用するための最適な配列を決定するために経験的に変更することができる。
本発明のプラスミノゲン断片をコードするDNAは、例えばManiatis et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1982)、Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)に述べられている標準的な方法を使って調製することができる。特に、プラスミノゲンをコードしているクローンが知られている。これについては例えば、GenBank PCT明細書WO 95/29242のBrowne et al.,Fibrinolysis,5,257-260(1991)を参照のこと。その他のクローンも従来の方法によって同定することができる。従来からあるクローンも、新規に同定されたクローンも、従来の方法を使って本発明のプラスミノゲン断片をコードするように変更することが可能である。
また、従来のプラスミノゲン配列を使った従来知られている標準技術を利用して、コーディング配列を合成することができる。例えば、DNA配列は、自動DNA合成機内でホスホアミダイトケミストリーによって合成され、精製、アニール、連結、適当なベクター内へのクローン化などを行うことが可能である。いくつかの理由から化学合成が好ましい。
化学合成が望ましい理由としては、まず、発現を最適化するために、DNA配列が発現するホストにとって好ましいコドンの使用が可能であるためである。改善された発現を得るために全てのコドンを変更する必要はないが、50%以上、最も好ましくは最低80%のコドンをホストに適したコドンに変更するべきである。多くのホスト細胞の好みのコドンが知られている。これについてはMaximizing Gene Expression,pages 225-85(Reznikoff & Gold,eds.,1986)を参照のこと。他のホスト細胞の好みのコドンは、従来の方法によって推定することができる。
また、化学合成したDNAを使用することにより、配列内の好都合な点において固有またはほぼ固有の制限部位を与える観点からのコドンの選択も可能である。これらの部位の使用により、合成コーディング配列を構成する便利な手段が得られる。さらに、メッセンジャーRNA転写産物、または他の不安定化配列によって形成された2次構造が転写または翻訳を妨害する場合、コドン選択を変更することで2次構造を除去することができる。
化学合成により、プラスミノゲン断片をコードしたDNA配列に対して、最適化された発現調節配列を使用することも可能となる。この方法によりプラスミノゲン断片の最適な発現が得られる。例えば、上述したように、プロモータを化学合成して転写開始点に対する位置を最適化することが可能である。
シグナルあるいはシグナルリーダー配列のDNAコードを、プラスミノゲン断片をコードするDNA配列の上流に配置することが可能である。シグナル配列またはシグナルリーダー配列は、配列が付着したタンパク質が、タンパク質が産生された細胞から分泌されることを可能にする、タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列である。適切なシグナルとシグナルリーダー配列はよく知られている。分泌されたタンパク質の方がしばしば精製し易いが、一般に、発現レベルは分泌なしで得られたタンパク質よりも低い。
プラスミノゲン断片を発現させるためのベクターは、組換えDNA法を都合よく行うことが可能であり、選択されたホスト細胞内でプラスミノゲン断片を発現することが可能な任意のベクターを用いることが可能である。ホスト細胞を形質転換させるために使用されるベクターは、1つ以上の、ホスト細胞内での複製を可能にする複製システムを備えていてもよい。特に、ホストが酵母である場合には、ベクターは酵母2u複製遺伝子REP 1-3、及び複写開始点を含んでいなければならない。
あるいは、本発明のプラスミノゲン断片をコードする配列を、ホスト細胞の染色体に組込むことを可能にする組込みベクターを使用することもできる。自己複製ベクターを使用した場合よりもホスト細胞内のコーディング配列のコピー数は少ないが、染色体に配列が組込まれた形質転換体は一般に非常に安定している。
ベクターが自己複製ベクターである場合、高レベルの発現を得るためにコピー数が多いプラスミドが好ましい。ここで「コピー数が多いプラスミド」とは、1つの細胞につき約100またはそれ以上の数で存在するものである。適切なコピー数が多いプラスミドは多く知られている。
このベクターはまた、DNA配列、及びベクターがホスト細胞内に存在する場合に現れる選択可能または特定可能な表現形をコードする配列(「選択マーカー」)の挿入のための固有の制限部位を有することが望ましい。ベクターが固有の制限部位を持っていない場合は、更なる操作により好適な形にするため、制限部位を導入または除去するように変更することができる。
本発明のプラスミノゲン断片をコードしたDNA配列を有するベクターを作成した後、これをホスト細胞の形質転換に使用する。数々のホスト細胞の変換方法が従来よく知られており、このうちのどの方法を利用しても構わない。
形質転換したホスト細胞は従来の方法で選択され、次に、プラスミノゲン断片の生成に有効な条件下で培養される。培養方法は、従来の方法からホスト細胞に合ったものを使用する。
従来の回収方法、及び、組換え細胞培養からタンパク質を精製する方法を用いて、発現したプラスミノゲン断片を回収することができる。特に、本発明のプラスミノゲン断片と選択的に結合する抗体を用いて断片を精製することができる(下記参照)。
本発明はさらに、血管新生疾患の治療方法を提供する。血管新生疾患とは、血管新生を伴って、または血管新生に依存して起こる疾患である。血管新生疾患は腫瘍性疾患(例えば腫瘍、腫瘍転移)、良性腫瘍(例えば血管腫、聴覚性神経腫、神経線維腫、トラコーマ、発熱性肉芽腫)、結合織障害(例えば関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症)、眼球血管新生疾患(例えば糖尿病性の網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性症、角膜移植片拒絶、新生血管緑内障、水晶体後部の線維組織形成)、循環器病、免疫不全(例えば慢性炎症、自己免疫)を含む。
血管新生疾患は、天然のアンジオスタチンの有効量、またはプラスミンのN末端配列を有し、クリングル5の少なくとも一部を含む別のプラスミノゲン断片の有効量を投与することにより治療することが可能である。天然アンジオスタチンが好ましいのは上述した理由による。
また血管新生疾患は、プラスミンをアンジオスタチンに変換させるのに十分な量のスルフヒドリル供与体を投与しても治療できる。プラスミノゲンからプラスミンを生成するために、有効量のプラスミノゲン活性化物質を動物に投与することもできる。動物の体内で内因的に見つかったプラスミノゲンまたはプラスミン、あるいは有効量のプラスミノゲンまたはプラスミンを動物に投与することも可能である。本発明によって治療可能な動物は、犬、猫、馬、その他の家畜、人間を含む哺乳類である。
血管新生疾患のための、様々な化合物の効果的な投薬形態、投与方法、投薬量は、経験的に決定され、このような決定は当業者が行う範囲のものである。当業者によれば、使用する特定の化合物の活性度、血管新生疾患の重症度、投与のルート、化合物の排泄量、治療期間、動物に投与されている他の薬剤の確認、年齢、動物のサイズと種属、その他医学的、獣医学的技術によって投薬量が異なることは認識される。一般に、本発明の化合物の適切な1日量は、治療効果を生む最低量ということになる。しかしながら、1日量は、治療を行う医師または獣医師により、健全な医学的判断の範囲内で決定される。所望であれば、効果的な1日量を、2回、3回、4回、5回、6回またはそれ以上の回数で、1日の内で適切な間隔をおいて投与することもできる。
本発明の化合物は治療目的で、経口、経鼻、経直腸、経膣、非経口(例えば静脈内、脊髄内、腹腔内、皮下、筋肉内)、大槽内、経皮的、頭蓋骨内、脳内、そして局所的(頬側的、舌下的を含む)を含む投与のあらゆる適切なルートで、動物患者に投与することができる。生分解性ポリマーへの組込みに続く、薬理学的薬剤の局所的な徐放のための、Bremらによって示されたLancet,345,1571(1995)と類似した生分解性ポリマーの使用も、好ましい投与方法である。薬剤を含浸させたポリマーの例えば腫瘍部位への埋没により、全身への作用を最小に抑えた局所的な作用が可能になる。
本発明の化合物を単独で投与することができるが、化合物を医薬製剤(組成物)として投与することが好ましい。本発明の医薬組成物は、1種類以上の医薬的に受入れられるキャリア、また任意に1種類以上の別の化合物、薬剤、その他の物質を含む混剤内における有効成分としての本発明の化合物を有する。各キャリアは、製剤の他の成分と適合性があり、患者に無害であるという意味において「認容できる」ものでなければならない。
本発明の医薬製剤は、経口、経鼻、経眼、局所的な、経直腸、経膣、及び/または非経口的な投与に適したものを含む。選択した投与のルートに関係なく、本発明の化合物は、当業者に知られた従来の方法で、医薬的に認容できる量に配合されている。
単一の投薬形態を製造するためにキャリア物質に混合する有効成分の量は、治療されるホスト、特定の投与方法、及び上述したそのた全ての要因によって変わる。単一容量の形を作るためにキャリア物質に混合する有効成分の量は、一般に、治療効果を生む最低量、または、癌のような致命的な疾患の治療効果を上げるための最大限量である。
医薬調合物または組成物の調合方法は、本発明の化合物を、キャリア、任意で1種類以上の付属成分と結合する段階を含む。調合物の製造は、一般に、本発明の化合物を、液体キャリア、または最終的に分割した固体キャリア、または両方と均一にまた密接に結合させ、次に、必要であれば製品を成形する。
経口投与に適した本発明の調合物は、カプセル、カシエ、ピル、錠剤、粉末、顆粒の形で、または水性、非水性の液体の溶液、懸濁液として、または油注水滴型、水中油滴型エマルジョンとして、あるいはエリキジール、シロップとして、または香錠(ゼラチンやグリセリン、またはショ糖やアカシアといった不活性塩基を使用)等の形態であってよく、各々が所定量の、本発明の化合物を有効成分として所定量含有している。本発明の化合物を大丸薬、舐剤、ペースト剤として投与することもできる。
経口投与(カプセル、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末、顆粒等)のための本発明の固体量形態において、有効成分は1つ以上の医薬的に容認できる、クエン酸ナトリウムまたはジカルシウムリン酸キャリア及び/または以下に示すもののいずれかと混合される。(1)デンプン、ラクトース、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール及び/またはケイ酸といった賦形剤またはエクステンダ;(2)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及び/またはアカシアといった結合剤;(3)グリセリンといった溶剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、炭酸ナトリウムといった崩壊剤;(5)パラフィンといった溶剤遅延剤;(6)四級アンモニウム化合物といった吸収促進剤;(7)例えばセチルアルコール、モノステアリン酸グリセロールといった湿潤剤;(8)カオリン、ベントナイト粘度といった吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、硫酸ラウリルナトリウム、及びその混合物といった潤滑剤;(10)着色剤。カプセル、錠剤、ピルの場合には、医薬組成物はさらに緩衝剤も含む。ポリマー量ポリエチレングリコール等と同様にラクトースや乳糖を賦形剤として使って、類似タイプの固体組成物を、ソフト及びハード充填ゼラチンカプセル内の賦形剤として採用することもできる。
錠剤は、任意で1種類以上の付属成分と共に、圧縮してまたは鋳型によって製造される。また、圧縮された錠剤は結合剤(例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えばグリコール酸ナトリウムデンプンまたは橋かけ結合したカルボシキメチルナトリウムセルロース)、界面活性または分散剤を使用して製造することができる。鋳型による錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化した化合物を適切な機械で成形して製造する。
錠剤、及び、その他の本発明による医薬組成物の固体投薬形態、すなわち糖衣錠、カプセル、ピル、顆粒剤は、腸溶コーティングや医薬調合技術でよく知られているその他のコーティングといったコーティング及びシェルによってスコアまたは作成することができる。また、これら有効成分がゆっくりと調節されて放出するように調合することも可能で、これには例えば、所望の放出割合を提供するための、割合の異なるヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、リポゾーム、及び/または微粒子を使用する。これらは、例えば細菌を保持するフィルタで濾過して滅菌してから使用する。これらの組成物に任意で乳白剤を含ませることもでき、また、任意で遅延する方法で、消化管内のある特定部分で有効成分のみを放出する、または有効成分を優先的に放出する組成物であってもよい。使用できる包理化合物には、例えば同義物質及びワックスがある。有効成分はマイクロカプセル化した形態であってもよい。
本発明による化合物の経口投与用の液体投薬形態は、医薬的に容認可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、エリキジールを含む。液体投薬形態は、有効成分に加え、次に示す従来より一般に使用されている不活性希釈剤を含んでもよい。例えば、水、またはその他の溶剤、可溶剤及び乳化剤であり、これらはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、エチルアセテート、ベンジルアルコール、安息香酸塩ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に綿実油、アメリカホドイモ油、コーン油、胚油、オリーブ油、ヒマシ油)、グリセリン、テトラハイドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、及びその混合物を含む。
経口組成物には、不活性希釈剤以外にも、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香料、着色料、芳香剤、防腐剤のような補助剤が含まれる。
懸濁液には、活性化合物に加えて、例えばエトキシ化したイソステアリルアルコール、ポリオキシエチレン、ソルビトールとソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタハイドロクサイド、ベントナイト、寒天、トラガカントゴム、そしてこれらの混合物といった懸濁剤が含まれる。
経直腸または経膣投与用の本発明による医薬組成物の調合物は、座薬であってもよく、この座薬の製造方法は、1種類以上の本発明の化合物を、室温では固体だが、体温では液体になるために直腸または膣腔内で溶解して活性化合物を放出する、例えばカカオバター、ポリエチレングリコール、座薬ワックス、サリチル酸塩を含む、1種類以上の適切な非刺激性賦形剤またはキャリアと混合する。膣投与に適した本発明の調合剤には、従来の適切なキャリアを含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー調合物も含まれる。
本発明による化合物の局所的または経皮的投与の投薬形態には、パウダー、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶剤、パッチ、吸入剤が含まれる。活性化合物は無菌状況において、医薬的に容認可能なキャリア、またあらゆる緩衝液、または必要となるかもしれない推進剤と混合される。
軟膏、ペースト、クリーム、ゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカントゴム、セルロース系薬物、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛、またはこれらの混合物といった賦形剤を含んでもよい。
パウダーとスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸塩カルシウム、ポリアミドパウダー、またはこれらの物質の混合物といった賦形剤を含んでもよい。スプレーはさらに、クロロフルオロハイドロカーボンのような一般的な推進剤、また、ブタン及びプロパンといった揮発性の置換されていない炭化水素を含むことができる。
経皮パッチにはさらに、本発明の化合物を身体に調節送達する利点がある。このような投薬形態は、溶解、分散によって作ることができ、またあるいは、本発明の化合物を、エラストママトリックス材料のような適切な媒質に組入れて作ることができる。本発明の化合物の皮膚にかけての流動を増加するために吸収エンハンサを使用することもできる。このような流動の速度は、速度調節膜を供給するか、ポリマーマトリックスまたはゲル内の化合物を分散することのいずれかによって調節できる。
非経口的投与に適した本発明の化合物の医薬的組成物には、使用直前に無菌の注射用溶液または分散への再構成が可能であり、調合物を、意図するレシピエントの血液、懸濁剤、濃縮剤のいずれかと等張にするための抗酸化物、緩衝液、溶質を含む、1種類以上の医薬的に容認可能な無菌等張性の水性または非水性溶液、分散、懸濁液またはエマルジョン、無菌パウダーと組合された1種類以上の本発明の化合物が含まれる。
本発明の医薬的組成物に利用できる、適切な水性または非水性キャリアの例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、またこれらの適当な混合物、オリーブ油のような植物油、オレイン酸エチルのような注射用の有機エステルが含まれる。例えば、レシチンのようなコーティング材料を使用することにより、また、推進の場合には必要な粒子サイズを保つことにより、さらに界面活性物質を使用することにより、適切な流動度が維持できる。
これらの組成物は、湿潤剤、乳化剤、分散剤といった補助剤を含むこともできる。また、組成物内に砂糖、塩素イオンナトリウム等といった等張剤を含むことも好ましい。さらに、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンのような、吸収を遅らせる薬剤を含有することにより、注射剤の医薬形態の吸収が延長される。
薬剤の効果を持続させるために、皮下または筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅らせることが好ましい場合もある。これは、水溶性の低い結晶性または非結晶性材料の液体懸濁液を使用することによって達成できる。薬剤の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度は結晶のサイズと形態に依存する。また、非経口的に投与された薬剤の吸収を遅らせるには、薬剤を油溶媒内で溶解または懸濁させる。
注射剤の沈着形態は、ポリ乳酸-ポリグリコライドといった生分解性ポリマー内に、その薬剤のマイクロカプセル化マトリックスを形成することで得られる。薬剤のポリマーに対する割合、また使用する特定のポリマーの性質によって、薬剤放出の速度を調節することができる。その他の生分解性ポリマーには、例えば、ポリ(オルトエステル)とポリ(アンヒドライド)が含まれる。沈殿した注射用調合物も、体組織と適合するリポゾームまたはマイクロエマルジョン内に薬剤を包括することにより得られる。注射用材料は、例えば細菌を保持したフィルタで濾過することで滅菌することができる。
この形態は、例えば、アンプル、バイアルといった単一量または複数量の密閉容器で呈され、これらは、使用直前に例えば注射用の水といった無菌の液体キャリアのみを必要とする凍結乾燥状態で保管することができる。即席の注射用溶液及び懸濁液は、上述した無菌パウダー、顆粒剤、錠剤から作ることができる。
血管新生疾患は遺伝子治療による治療も可能である。特に、プラスミンのN末端配列を有するプラスミノゲン断片をコードするDNAを有し、発現調節配列と機能的に連鎖したクリングル5の少なくとも一部を含むトランスジーンが、該疾患を患う動物に投与される。トランスジーンによってコーディングされたプラスミノゲン断片は天然アンジオスタチンであることが好ましい。本発明のプラスミノゲン断片のためのDNAコーディングの準備には、発現調節配列と機能的に連鎖した天然アンジオスタチンが含まれる。動物体内でトランスジーンが発現した結果、動物体内での血管新生を阻害するプラスミノゲン断片が生成される。
遺伝子治療の方法及び文献はよく知られている。Culver et al.,Gene Therapy: A Primer for Physicians(第2改訂版、1996年)、米国特許第5,521,291号、第5,460,831号、第5,559,099号、PCT明細書WO 95/29242、WO 96/14876、WO 96/35774等であり、これらは全て本明細書中で参照している。また、Kirshenbaum et al.,J. Clin. Invest.,92,381-387(1993)と、Kirshenbaum et al.,J. Clin. Invest.,99,288-296(1997)も参照のこと。特に、トランスジーン導入の適切な方法及び媒体が知られており、本発明のトランスジーンの導入にも利用することができる。
例えば、トランスジーンを所望の細胞内にin vitroにてトランスフェクトすることができ、また、好ましくは形質変換細胞数の増量後に、血管新生疾患を患う動物に形質変換した細胞を注射する。トランスジーンを細胞内にin vitroにてトランスフェクトする方法はよく知られており、電気穿孔法、裸のDNAの細胞への直接注入、微粒子銃、リポゾームまたは他の脂質ベースのキャリアによる導入、ウィルスベクターによる導入等が含まれる。
また、トランスジーンを、トランスジーンが動物の細胞を形質転換する方法で投与することもできる。トランスジーンをin vivoで導入する方法はよく知られており、所望の細胞、器官、腫瘍への裸DNAの直接注入、トランスジーン導入のためのリポゾーム及び他の脂質ベースキャリアの使用、トランスジーン導入のための非伝染性ウィルスベクター(例えば複製欠陥性のアデノウィルスベクター)の使用、トランスジーン導入のための標的媒体(特定の細胞、組織、器官、またはこれらに付着した腫瘍特異性抗体を持つリポゾームといった腫瘍との結合を可能にする、またはこれらにトランスジーンを導入する媒体)の使用等が含まれる。
本発明はまた、天然アンジオスタチンと選択的に結合する本発明のプラスミノゲン断片と選択的に結合する抗体を提供する。「撰択的に結合する」とは、抗体が、プラスミノゲンまたはプラスミンに対してではなく、天然アンジオスタチンのような本発明のプラスミノゲン断片と結合することを意味する。
本発明の範囲内の抗体には、ポリクローナル抗体、アフニティー精製した抗血清、モノクローナル抗体、抗原の結合が可能な抗体の断片(Fab,F(ab’)またはF(ab’)2)、従来のあらゆる抗体のアイソタイプまたはサブクラス、操作された抗体(例えば、組換えDNA技術によって作成された単鎖抗体)が含まれる。唯一必要なことは、最終抗体が、プラスミノゲン断片のための特異性を持ち、断片と選択的に結合することが可能であることである。
抗体及び抗体の断片の生成方法は従来よく知られている。例えば、本発明の抗体は、適切なホスト動物(ウサギ、ヤギ、ウマ、またはその他の哺乳類)に、補助剤と混合した本発明のプラスミノゲン断片を注射する。断片の注射は、抗血清の適切な滴定量が得られるまで続けられる。抗血清は収集され、さらに必要または所望であれば、従来技術を使って精製される。例えば、抗体をアフニティー精製すること、あるいはDE-52クロマトグラフィー等によって分割することができる。
しかし、本発明の抗体は、骨髄腫細胞といった不死株化細胞を持つ免疫化した動物(例えばラット、ハムスター、マウス、その他の哺乳類)から細胞を融合することによる、体細胞ハイブリッド形成法によって準備することが好ましい。融合された細胞はクローン化され、また、クローン化した融合細胞をスクリーニングすることによって適切な特異性のモノクローナル抗体を隔離することができる。モノクローナル抗体の作成方法は従来よく知られている。
本発明のプラスミノゲン断片と選択的に結合する抗体は、これを含有する液体からプラスミノゲン断片を精製するために使用できる。このような液体には、例えば、本発明の天然アンジオスタチン及びプラスミノゲン断片を生成するための本発明の方法を実施した結果得られたタイプの培地が含まれる(上述参照)。天然アンジオスタチンは体液中(血液、血漿、血清、サルビア、尿、腫瘍によって生じた液体)に見られる。
プラスミノゲン断片を精製するには、これを含有する液体を、特定の断片に特異性を持つ抗体と接触させる。この抗体は、断片を含有した液体と接触させる前に、固体表面に付着していることが好ましい。適切な固体表面は従来よく知られており、市販もされている。これには例えば、ガラス、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ラテックスビーズ、アガロースビーズ、ナイロンが含まれる。
抗体は、固体表面に共有結合的に付着していることが好ましい。固体表面に抗体を共有結合的に付着させる方法及び薬剤は、従来よく知られている。適切な薬剤としては、カルボジイミド、シアノボロハイドライド、ジイミドエステール、過ヨウ素酸塩、ハロゲン化アリキル、スクシンイミド、ジメチルピメリミジアーテ、ジマレンン酸イミドがある。Blair et al.,J. Immunol,Methods,59,129(1993); Blair et al.,Cancer,Res.,41,2700(1981); Gautheir et al.,J. Expr. Med.,156,766(1982)を参照のこと。
抗体のプラスミノゲン断片への結合を得るための他の条件と同様、反応物質の特定の濃縮、インキュベーションの温度及び時間は、液体内のプラスミノゲン断片の濃度、液体の性質といった要素によって変えることができる。当業者は、ルーチンの実験法を利用して、機能的及び最適な条件を決定することができるであろう。
抗体がプラスミノゲン断片と結合したら、残存する液体を、結合したプラスミノゲン断片と分離させる。次に、従来の方法を利用して、抗体からプラスミノゲン断片を遊離する。
抗体が付着した固体表面がカラム内にあることが最も好ましい。これは例えば、抗体が付着したアガロースビーズで充填したカラムである。プラスミノゲン断片を含有する液体が単純にカラムを通過し、液体内のプラスミノゲン断片がカラム内の抗体と結合してカラム内に保持される一方で、残りの液体はカラムを流過する。カラム洗浄の後に、プラスミノゲン断片が抗体から遊離される。
天然アンジオスタチンと選択的に結合する本発明の抗体は、血管新生疾患の診断のため、あるいはこの疾患の再発を監視するための、天然アンジオスタチンの検出または定量化にも使用することができる。該抗体は、体内におけるアンジオスタチンの活性機構の研究にも使用される。
天然アンジオスタチンは、体液(上述参照)、細胞及び組織(腫瘍組織、胎盤、子宮、脳、肝臓、腸)といった中に検出することができる。天然アンジオスタチンは、従来の抽出技術によって、または無処置の細胞、組織切片を使って、細胞、組織から遊離される。
液体内または抽出液内の天然アンジオスタチンは、従来のイムノアッセイ技術を使って検出、定量化することができる。このような技術には、凝集、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ、蛍光アッセイ、比色アッセイ等が含まれる。イムノアッセイは、競合的結合型式にて実施することができ、あるいはイムノメトリックアッセイであってもよい。これは同種あるいは異種アッセイであってもよい。適切な同種技術には、蛍光消光及び増光、エネルギー移動イムノアッセイ、二重抗体立体障害イムノアッセイ、基質標識イムノアッセイがある。
細胞または組織上の天然アンジオスタチンは、標準の免疫組織化学技術によって検出することができる。例えば、腫瘍を生検または収集し、天然アンジオスタチン生成部位を調べるためにミクロトームで組織切片を切取る。このような情報は、診断上、あるいは癌の検出及び治療における治療目的上有益であり、また、アンジオスタチンの活性モード研究における研究目的上有益である。
天然アンジオスタチンの検出、定量化には、天然アンジオスタチン(初代抗体)と選択的に結合する標準抗体、あるいは、別の抗体(2次抗体)またはプロテインAといった免疫グロブリンと結合する標識化合物を使用する。初代抗体、あるいは初代抗体と結合する化合物のいずれかの適切な標識化が公知である。これには、1)酵素(例えば、西洋わさび、ペルオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌性核酸分解酵素、デルタ-5-ステロイド異性化酵素、酵母アルコール脱水素酵素、αグリセロリン酸脱水素酵素、トリオースリン酸異性化酵素、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、ブドウ糖酸化酵素、βガラクトシダーゼ、RNA分解酵素、ウレアーゼ、カタラーゼ、ブドウ糖-6-リン酸脱水素酵素、グルコアミラーゼ及びアセチルコリンエステラーゼ);2)蛍光体(例えば、フルオレサミン、イソチオシアン酸塩、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、オルトフタルアルデヒド、フルオレサミン);3)放射性核種(例えば、125I);4)生物発光標識(例えば、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、エクオリン);5)化学発光標識(例えば、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、シュウ酸エステル);6)粒子標識(例えば金ナノ粒子);7)ビオチン/アビジンあるいはビオチン/ストレプトアビジン、が含まれる。これら標識の結合及び検出は、当業者に公知の標準技術を使って行うことができる。
他の条件と同様に、反応物質質の特異的な濃縮、インキュベーションの温度及び時間は、イムノアッセイあるいはイムノヒストケミカル技術のいずれに関わらず、サンプル内の天然アンジオスタチンの濃縮、サンプルの性質等の要因によって可変である。当業者は、ルーチン実験法を使用する一方で、各決定について機能的及び最適な条件を求めることができるであろう。
天然アンジオスタチンを検出あるいは定量化するためのテストキットも、本発明の一部である。テストキットは、本発明のイムノアッセイあるいはイムノヒストケミカル技術の実施に便利な試薬を入れた1つ以上の容器を組合せたパッケージである。テストキットの試薬に適した容器には、ビン、バイアル、試験管、マイクロタイタープレート、ディップスティック、条片、その他の固体表面がある。
テストキットは、天然アンジオスタチンと選択的に結合する抗体の容器を備えている。これらの抗体は上述したものを指す。抗体は溶液の状態または凍結乾燥した状態であってもよく、あるいは、固体表面に付着した状態であってもよく、レベル化、非レベル化された状態であってもよい。固体表面は上述したタイプのものを指し、抗体はやはり上述したように付着している。
テストキットはさらに、初代抗体と結合する上述の標識化合物が入った容器を備えている。この標識は上述したものを指す。
最後に、テストキットは、公知であり、商業的及び使用者の観点から望ましいその他の物質を備えてもよい。このような物質には、天然アンジオスタチンのサンプル(イムノアッセイを標準化するため、あるいは、イムノヒストケミカル技術によって細胞または組織と結合するためのもの)、緩衝液、酵素基質、希釈剤、及び、イムノアッセイ、イムノヒストケミカル技術を実施するための設備が含まれる。
実施例
例1 プラスミノゲンアンジオスタチン変換活性(PACA)を含む調整培地の調製
この例では、種々の細胞が、精製したヒトプラスミノゲンまたはプラスミンから生物活性を有するアンジオスタチンを生成できる酵素活性を示すということを立証する。プラスミノゲンまたはプラスミンを無血清調整培地(SFCM)と共にインキュベートすることによって生じた、アフィニティー精製したアンジオスタチンは、ヒト内皮細胞の増殖、血管新生因子である塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)により誘導される移動、内皮細胞血管新生、及びbFGF誘導角膜血管新生を阻害した。セリンプロテアーゼ阻害剤はアンジオスタチンの生成を阻害したが、金属プロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤、及びアスパラギン酸プロテアーゼは阻害しなかった。エラスターゼの特異的阻害剤であるElastatinalは、血管新生を阻害しなかった。このことは、プラスミノゲンからアンジオスタチンへの変換はエラスターゼによるものではないことを示している。その代わりに当該データは、セリンプロテアーゼ活性がアンジオスタチン生成に必要であることを示す。
A.方法
1.細胞培養 ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、20%仔ウシ血清[ハイクローンラボラトリーズ社(Hyclone Laboratories Inc.)・ユタ州ローガン(Logan)、#A-2151-L]、100U/mlペニシリンG、100mg/mlストレプトマイシン、L−グルタミン[以上ギブコビーアールエル社(Gibco BRL)]、2500Uヘパリン硫酸[フィッシャーサイエンティフィック社(Fisher Scientific)・イリノイ州アイタスカ(Itasca)]、及び50mg/ml内皮細胞成長サプリメント[コラボレイティブバイオメディカルリサーチ社(Collaborative Biomedical Research)・マサチューセッツ州ベッドフォード(Bedford)]を補ったRPMI培地で培養した。表1に記載した別の細胞は10%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリンG、100mg/mlストレプトマイシン[以上ギブコビーアールエル社(GibcoBRL)・メリーランド州ゲイサーズバーグ(Gaithersburg)所在]を補ったRPMI−1640にて培養した。細胞は5%CO2空気にて給湿インキュベータで37℃に保温した。SFCMを生成するため、コンフルエントに達した細胞の単層をリン酸緩衝塩溶液で2回洗浄し、続いて無血清RPMIを加えた。翌日、SFCMを収集し、不溶性の細胞片を除去するために3000rpmで15分間遠心した。
2.アンジオスタチンの生成 ヒト血漿[キャステリーノ、パウエル(Castellino & Powell)、Methods Enzymol、第80巻、365-78ページ(1981年)]をリジン−セファロースアフィニティクロマトグラフィーを行うことによって得た2μgのヒトプラスミノゲン、またはヒトプラスミン[#527624、カルバイオケム−ノババイオケム社(Calbiochem-Novabiochem Corp.)・カリフォルニア州ラ ホーヤ(La Jolla)所在]を、SFCMの100μlアリコートに加え、その混合物を37℃で一夜インキュベートした。アンジオスタチン生成を調べるため、アリコートをウエスタンブロットにより分析した(以下参照)。SFCMによるプラスミノゲンの開裂についても、プロテアーゼ阻害剤[ベーリンガーマンハイム社(Hoehringer Mannheim)・インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis)所在]の存在下で評価した。
3.ウエスタンブロット 試料は12%ポリアクリルアミドゲル[ノベックス社(NOVEX)・カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)所在]にのせ、トリス−グリシンランニングバッファー[レムリ(Laemmli)、Nature、第227巻、680-685ページ(1970)]にて非還元条件下で電気泳動にかけ、0.45μMフッ化ビニリデン(PVDF)膜[イモビロン社、ミリポア社(Immobilon,Milipore)・マサチューセッツ州ベッドフォード(Bedford)所在]に電気的に転移させた。次に膜を30分間ブロッキングバッファー(1%ウシ血清アルブミントリス緩衝塩溶液)に入れてブロッキングを行い、1対1000に希釈したヒトプラスミノゲンのクリングル1〜3(K1〜3)断片に対するモノクローナル抗体[VAP 230L、エンザイムリサーチラボラトリー社(Enzyme Research Laboratories,Inc.)・インディアナ州サウスベンド(South Bend)所在]でプローブ標識した。洗浄後、膜をアルカリ性フォスファターゼ共役ヤギ抗マウスIgG二次抗体[カークガードペリーラボラトリーズ(Kirkegaard & Perry Laboratories,KPL)社・メリーランド州ゲイサーズバーグ(Gaithersburg)所在]と30分間インキュベートし、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェートとニトロブルーテトラゾリウム(5-bromo-4-chloro-3indoyl-phosphate/nitroblue tetrazolium,KPL社)を用いて発色させた。
4.ザイモグラム分析 マトリックスの金属プロテアーゼ活性を検出するためのザイモグラム作成を上述の方法で行った[ホイセン、ダウドゥル(Heussen & Dowdle)、anal. Bioche. 第102巻、196-202ページ(1980年)]。
5.発色ペプチド基質 エラスターゼが存在しているかどうかを決定するため、50μlのSFCMを、0.3μMのエラスターゼ特異的な発色ペプチド基質(基質I:MeOSuc-Ala-Ala-Pro-Val-pNA、基質II:Boc-Ala-Ala-Pro-Ala-pNA、基質II:pGlu-Pro-Val-pNA、基質IV:Suc-Ala-Ala-Pro-Abu-pNA)[カルバイオケム−ノババイオケム社(Calbiochem-Novabiochem Corp.)]と37℃で2〜18時間インキュベートした。基質の開裂は405nmにおける吸光度を監視することによって[モレキュラーデバイス社(Molecular Devices)・カリフォルニア州メンローパーク(Menlo Park)所在]決定した。
6.アンジオスタチンのリジン−セファロース精製 生物活性についての解析に使用する精製アンジオスタチンを生成するために、ヒトプラスミノゲンを20μg/mlでPC−3 SFCMと37℃で一夜インキュベートした。反応生成物をリジンセファロースカラム[ファルマシア バイオテク社(Pharmacia Biotech)]にのせ、TBS(50mM Tris、pH7.5、150mM NaCl)で予め平衡化した。非特異的に結合したタンパク質を除去するためにTBSで洗浄した後、アンジオスタチンを0.2Mイプシロンアミノカプロン酸(EACA)TBS溶液で溶出した。溶出した画分はリン酸緩衝塩溶液に対して透析した(分子量カットオフ値12,000〜14,000)。残りのプラスミンを除去するため、アンジオスタチンを大豆トリプシン阻害剤アガロース[シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)・ミズーリ州セントルイス(St. Louis)所在]カラムにかけ、フロースルー分画を集め、濾過滅菌し、使用するまで−80℃に保存した。アンジオスタチンは、A1%/1cm=8.0を用いて、280nmにおける吸光度を測定することによって定量化した。サトゥラップ−イェンゼン等(Sottrup-Jensen et al.)のin Progress in Chemical Fibrinolysis and Thrombolysis第3巻、191-209ページ、ダビッドソン等(Davidson et al.)編(1978年)を参照されたい。精製アンジオスタチンはポリアクリルアミドゲルのクマシーブリリアントブルー染色や、ウエスタンブロットによる免疫学的検出によっても調べられる。エラスターゼから生成されたアンジオスタチンは、オライリー等(O’Reilly et al.)、Nature Med.第2巻、689-692ページ(1996年)に示されるようにヒト血漿から精製されたものであり、マサチューセッツ州ボストン、ハーバード大学小児病院のオライリー氏(M. S. O’Reilly)から供与された。
7.アンジオスタチンのマイクロシーケンス アンジオスタチンのバンドのNH2末端を決定するために、プラスミノゲンをPC−3 SFCMとインキュベートすることによって調製した10μg/mlのアフィニティー精製アンジオスタチンを、12%SDSポリアクリルアミドゲルにのせて電気泳動し、PVDF膜にエレクトロブロットし、クマシーブルーで染色した。バンドを切り出し、ポートン試料支持ディスクに載せ、フェニルチオヒダントイン解析と共にパルス液相シーケンサーを用いて配列決定した。
8.内皮細胞増殖アッセイ 細胞の増殖はCellTiter 96(商標)水溶性非放射性細胞増殖アッセイ[CellTiter 96TM AQ Non-Radioactive Cell Proliferation Assay,プロメガ社(Promega Corp.)・ウィスコンシン州マディソン(Madison)所在]を用いて決定した。ヒト内皮細胞は96ウェル組織培養プレート[ベクトンディッキンソン社(Becton Dickinson)・ニュージャージー州リンカンパーク(Lincoln Park)所在]に1ウェル当たり5.0×103個の濃度になるように培養した。翌日、新しい培地中の濃度1、5、8、10μg/mlのアンジオスタチンが3重ウェルに加えられた。アンジオスタチンが存在しないウェルはコントロールの役割をした。細胞を72時間培養し、増殖している細胞数を反映する490nmにおける吸光度を自動化マイクロリーダー[モレキュラーデバイス社(Molecular Devices)]を用いて測定した。結果は未処理のコントロール細胞数のパーセントとして報告される。
9.内皮細胞移動アッセイ プラスミノゲンをPC−3 SFCMとインキュベートして調製したアンジオスタチンが、血管新生因子であるbFGFに向かう内皮細胞の移動を阻害する能力を決定するために、上述のように[ダメロン等(Dameron et al.)Science 265、1582-84ページ(1994)]、ウシ毛細血管内皮細胞[マサチューセッツ州ボストン、ハーバード大学医学部のフォークマン博士(Dr. Folkman)より供与]を用いて、改良型ボイデン室にて移動アッセイを行った。細胞は10%ドナーウシ血清及び100mg/ml内皮細胞分裂促進物質濃度にしたダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)中で培養し、15節で使用した。移動について評価するために、細胞を0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を補給したDMEMにて一夜血清飢餓状態にし、収集し、DMEM/BSAに懸濁し、逆さにした改良ボイデンチャンバーでゼラチン化膿[ヌクレオポア社(Nucleopore Corp.)・カリフォルニア州プレサントン(Plesanton)所在]の下部表面に106/mlで播き、細胞接触が起こるよう1.5〜2時間インキュベートした。チャンバーを再び逆さにし、試験物質を上部ウェルに加え、チャンバーをさらに3〜4時間インキュベートした。その後腹を固定し、染色し、10個の高倍率の視野におけるフィルターの上部まで移動した細胞数を決定した。0.1%BSAのDMEMをネガティブコントロールとして使用し、10ng/mlのbFGF[ノエルブーク博士(Dr.Noel Bouck)により供与、ダメロン等(Dameron et al.)、Science、第265巻、1582-1584ページ(1994)に述べられるように調製]をポジティブコントロールとして使用した。
10.内皮細胞血管新生 HUVECを上述のように24ウェル組織培養プレートに入れたマトリゲル[Matrigel、国立歯科研究所所属のヒンダクラインマン(Hynda Kleinman)より供与]にプレート状に播いた[シュネイパー等(Schnaper et al.)J. Cell. Physiol.第156巻、235-246ページ(1993)参照]。PC−3 SFCMとインキュベートして調製した、未調整RPMI中のアンジオスタチンをウェルに加え、続いて最終濃度が50%HUVEC培地、50%RPMIの1.0ml当たり4.0×104個となるように細胞を加えた。アンジオスタチン条件またはコントロール条件の各々は3重でアッセイした。培地は37℃、5%CO2の恒湿大気にて16〜18時間インキュベートし、その後、ディフクイック液II(Diff-Quick Solution II)[バクスター社(Baxter)・イリノイ州マグローパーク(McGraw Park)所在]で固定した。血管の網様構造が見られる代表的部位をポラロイド顕微鏡写真用カメラを用いて最終倍率35倍で撮影した。次に、盲検者が各血管の長さを測定し、不完全な血管部分の補正を行うことにより、写真を定量化した。血管の全体の長さが各写真について決定され、平均的な血管長さが決定された。結果を平均値±平均値の標準誤差で示した。
11. 角膜血管新生アッセイ 角膜アッセイは上述されたように行った[ポルヴェリニ等(Polverini et al.)、Methods Enzymol、第198巻、440-450ページ(1991)]。簡単に説明すると、10μg/mlのbFGF若しくはbFGFに1または10μg/mlのアンジオスタチンを加えたものを含んだ5μlのハイドロンペレット[ハイドロンラボラトリーズ社(Hydron Laboratories)・ニュージャージー州ニューブランズウィック(New Brunswick)所在]を、麻酔したラットの角膜に移植した。7日後、ラットを屠殺し、角膜の血管をコロイド状カーボンで染色し、角膜について血管新生活性を調べた。
B.結果
1.調整培地によるアンジオスタチンの生成 ヒトプラスミノゲンをPC−3細胞によって生産されたSFCMとインキュベートした結果、約50kDaの位置に複数の免疫反応性のバンドが生じた(図1)。これは、オライリー等(O’Reilly et al.)、Cell第79巻、315-328ページ(1994年)によって観察されたバンドと同様であった。さらなる細胞系からSFCMを調べたところ、PC−3 SFCMと同様に複数のバンドが生じることが明らかになった(図示しない)。このような細胞系については以下表1に記載している。
当該産物がアンジオスタチンであるという最初の根拠は、プラスミノゲンのクリングル1〜3に対して特異的なモノクローナル抗体と免疫反応性があることと、開裂産物の大きさとに基づいている。プラスミノゲン開裂産物が生物活性のあるアンジオスタチンであるという次の確認は以下に述べられる。
PC−3 SFCMによるアンジオスタチンの生成は時間依存的である。3時間目からプラスミノゲン基質の有意な減少と、これに対応したアンジオスタチンの増加が始まり、24時間目までに完全にアンジオスタチンに変わる(図1B)。PC−3 SFCMを希釈した結果、アンジオスタチンの生成は比例して減小した(図1C及び1D)。
酵素前駆体プラスミノゲンの活性型であるプラスミンもアンジオスタチンに変換し得るかどうかを決定するために、プラスミンを潜在的な基質として評価した。プラスミンをPC−3 SFCMとインキュベートすると、プラスミノゲン由来のアンジオスタチンと区別が付かない産物を生じた(図1A)。速度論の研究において、プラスミンは8時間までに50%が変換し、24時間までに完全に変換するという、プラスミノゲンに匹敵する速度で変換した(図示しない)。このデータは、in vitroにおいてプラスミノゲン及びプラスミンが両方ともアンジオスタチンを生成し得る基質であることを示唆している。
Figure 0004160121
2.プラスミノゲン−アンジオスタチン変換活性を有する酵素クラス アンジオスタチン生成活性のタンパク質分解クラスを決定するため、PC−3 SFCMを様々なプロテアーゼ阻害剤存在下でプラスミノゲンとインキュベートした。プロテアーゼ阻害剤を、一夜インキュベートする前にSFCM/プラスミノゲン混合物に加えた。アンジオスタチン生成を阻害していることを確かめるため、試料はウエスタンブロットにより解析した。
セリンプロテアーゼ阻害剤のみがアンジオスタチン生成を阻害した(以下の表2を参照)。対照的に、他のクラスのプロテアーゼ阻害剤はいずれも有効ではなかった。
in vitroにおいて、アンジオスタチンは、エラスターゼによってプラスミノゲンを限定分解することによって生成することができる。サトゥラップ−イェンゼン等(Sottrup-Jensen et al.)のin Progress in Chemical Fibrinolysis and Thrombolysis第3巻、191-209ページ[ダビッドソン等(Davidson et al.)編(1978年)]、オライリー等(O’Reilly et al.)、Nature Med.第2巻、689-692ページ(1996年)、及びドング等(Dong et al.)、Proc. Am. Assoc. Cancer Res.第37巻、58ページ(1996年)を参照されたい。この研究において、アンジオスタチンの生成はエラスターゼの特異的阻害剤であるElastatinalによって阻害されなかった(以下の表2を参照)。その上、4つのエラスターゼ感受性発色基質とSFCMを共に24時間インキュベートしてもPC−3 SFCMにエラスターゼ活性は検出されなかった(図示しない)。これらのデータは、ヒトプラスミノーゲン−アンジオスタチン変換活性はエラスターゼの作用に依存しそうにないことを示す。さらに、ゼラチンザイモグラムより、PC−3 SFCMには活性型金属プロテアーゼも潜在型金属プロテアーゼも存在しないことが明らかになった。
Figure 0004160121
3.アンジオスタチンの精製 PC−3 SFCMより生じたアンジオスタチンをリジン−セファロース[オライリー等(O’Reilly et al.)、Nature Med.第2巻、689-692ページ(1996年)]にのせアフィニティー精製し、得られた産物をウエスタンブロット及びクマシーブルー染色(図2)によって調べた。3つのバンドすべてのアミノ末端配列はKVYLSECKTG(配列番号1)であり、この配列はプラスミノゲン分子の78番目〜87番目の残基に相当した。これにより、当該産物がプラスミノゲンの分子内断片であることが確認された。
4.PC−3 SFCMによって生じたアンジオスタチンの血管新生阻害 血管新生は、内皮細胞の増殖、移動、及び血管形成を含めた[フォークマン、シング(Folkman & Shing、J. Biol. Chem. 267、10931-10934ページ(1992)]、細胞プロセスのカスケードを代表するため、プラスミノゲンをPC−3 SFCMとインキュベートした結果生じた産物が生物活性を有するアンジオスタチンであることを確かめるために血管新生に関する多数のin vitroアッセイ及びin vivoアッセイを利用した。
PC−3 SFCMによって生じ、アフィニティー精製したアンジオスタチンは、ヒト内皮細胞の増殖を濃度依存的に抑制した。未処理コントロールの細胞増殖と比較して、有意な抑制は10μg/ml(p<0.05)にて観察された(図3A)。
PC−3 SFCMによって生じたアンジオスタチンは、0.35μg/mlのED50でウシ毛細血管内皮細胞(図3B)のbFGF誘導による移動も阻害した。PC−3 SFCMによって生じたアンジオスタチンの用量反応曲線はエラスターゼにより生じたアンジオスタチンの用量反応曲線と区別できなかった。移動の阻害は増殖を抑制するのに必要とされる濃度よりも10倍低い濃度で起こったが、この発見は、血管新生に関する他の阻害剤について報告されている。タカノ等(Takano et al.)、Cancer Res.第54巻、2654-2660ページ(1994)を参照されたい。これは、増殖アッセイが、移動アッセイとは対照的に、20%のウシ血清及び内皮細胞成長サプリメントを加えたRPMIで行われており、それゆえ多数の刺激となる因子を含んでいたという事実によるものかもしれない。
マトリゲル上の内皮細胞の血管形成は15μg/mlで有意に阻害された(図4A及びB)。未処理コントロールの血管の平均長さは674.5±54mmであり、対照的にPC−3 SFCMによって生産されたアンジオスタチンを与えた群では287.7±47mmであった(P<0.005)。
PC−3 SFCMによって生じたアンジオスタチンが角膜の血管新生に及ぼす影響をin vivoで決定するために、角膜血管新生アッセイにおいてbFGF誘導血管新生を阻害する能力について試験した。bFGFペレットは移植された角膜の100%に血管新生を誘導した(図5A)。対照的に、10μg/mlのアンジオスタチンは3匹の個体のうち3匹ともに、bFGF誘導血管新生反応を完全に阻害した。より低い1.0μg/mlの濃度では、アンジオスタチンは3匹中2匹において血管新生を完全に阻害し、3匹目の個体では部分的に阻害した。
以上をまとめると、これらのデータは、PC−3 SFCMによって生成されたアンジオスタチンが、in vitro、in vivoの血管新生の両方に対する強力な阻害剤であることを示す。
例2 プラスミノゲンからアンジオスタチンへの変換に関わる因子の特定。
ヒト前立腺ガンのPC−3細胞系を培養し、例1に示されるようにPC−3 SFCMを調製した。PC−3 SFCMまたは以下に特定される他の物質にてインキュベートすることにより例1に述べたようにアンジオスタチンが生成した。例1に述べたようにウエスタンブロットを行った。
PC−3 SFCMをリアクティブレッド120アガロースカラム(シグマケミカル社)(Sigma Chemical Co.)にかけた。ウエスタンブロットを用いた分析(図6)によって示されるように、フロースルー分画にはプラスミノゲン−アンジオスタチン生成活性(PACA)は見られなかった。結合した物質を製造者の示す手順にしたがって1M KCLにて溶出した後、6000〜8000ダルトンの分子カットオフ値にてトリス緩衝生理食塩水(TBS,20mM Tris,pH7.4,100mM NaCl)にて透析した。透析した分画においてPACAは検出されなかった(図6)。PACAがフロースルー分画及び溶出液のいずれにおいても検出されなかったことにより、プラスミノゲンまたはプラスミンからアンジオスタチンが生成するためには2つ以上の因子が必要であり、この因子はリアクティブレッド120アガロースクロマトグラフィで分離され、因子の内のあるものは溶出液中に存在し、またあるものはフロースルー分画中に含まれるという仮説が成り立つ。
この仮説を検証するため、透析した溶出液をフロースルー分画と再び混合した。再混合物はプラスミノゲンをアンジオスタチンに変換する活性を示した。溶出液にRPMI培地及びリアクティブレッド120アガロースフロースルー分画を加えると溶出液はアンジオスタチンを生成する能力を取り戻した。このことは、必要な因子はRPMIの成分であり、SFCMに固有のタンパク質または他の因子ではないことを示唆している。
補因子であることが予測される因子を更に特定するため、リアクティブレッド120アガロース溶出液を補う能力について、RPMIの各成分を評価した。補因子はRPMIアミノ酸混合物中に存在した(図6)。
どのアミノ酸がリアクティブレッド120アガロース溶出液にPACAを回復させる能力を有するかを調べるため、RPMI中の20種類のアミノ酸を個々に検定した。リアクティブレッド120アガロース溶出液にPACAを取り戻させる能力を有するアミノ酸はL−システインのみであった(データは示されていない)。
L−システインをリアクティブレッド120アガロース溶出液に加えることでアンジオスタチン生成活性が回復したことにより、補因子はスルフヒドリル供与体であるものとの仮説が立てられる。そこで薬理学的還元剤であるD−ペニシラミン及びカプトプリルを、リアクティブレッド120アガロース溶出液にPACAを取り戻させる能力について調べた。D−ペニシラミン100μlをリアクティブレッド120アガロース溶出液に加えることにより、アンジオスタチン生成活性が回復した。カプトリルによってもリアクティブレッド120アガロース溶出液にアンジオスタチン生成活性が取り戻された。
PC−3SFCMを50mM Tris,pH10.0及び20mM NaCl溶液にて希釈し、Hi−Qセファロースカラムアニオン交換樹脂(バイオラド社)(Bio Rad)にかけた。フロースルー分画にPACAは検出されなかった。
予備実験において300mM NaClによりHi−QセファロースからPACAが溶出することが示された。そこで結合した物質を20mMから300mMまでのNaCl直線勾配を用いて溶出した。PACA及びウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化物質(u−PA)活性が分画において測定された(生理学的なNaCl濃度にまで希釈した後)。u−PA活性及びPACAが共に単離された(図7)。リアクティブレッド120アガロース溶出液もやはりu−PAを含むことが調べられた。
例1にて触れたように、アンジオスタチンのNH2末端の開裂は、プラスミンによるGlu−プラスミノゲンの開裂によって生じる部位であるLys77において起きる。このことはプラスミノゲンからのアンジオスタチン生成においてはプラスミンの生成が必要な中間段階である可能性を示している。
リアクティブレッド120アガロース溶出液中の因子がu−PAであるかどうかを調べるため、リアクティブレッド120アガロース溶出液の代りにu−PAを用いて調べた。図8に示されるように、いずれもスルフヒドリル供与体である、沸騰させたリアクティブレッド120アガロースフロースルー分画またはRPMIの存在下にてu−PAによりアンジオスタチンが生成した。このことはプラスミノゲンのアンジオスタチンへの変換に必要な唯一のタンパク質はu−PAであることを示している。
次に、u−PA、組織型プラスミノゲン活性化物質(t−PA)及びストレプトキナーゼをリアクティブレッド120アガロースフロースルー分画と組み合わせ、PACAについて検定した。プラスミノゲン活性化物質単独ではプラスミノゲンからアンジオスタチンは生成しなかったが、フロースルー分画の存在下ではアンジオスタチンが生成した(図9)。これらのデータは、プラスミン生成がアンジオスタチン生成の中間段階であり、アンジオスタチン生成はどのプラスミノゲン活性化物質が存在するかには依存しないことを示している。
例3 プラスミノゲン活性化物質及びスルフヒドリル供与体を用いたアンジオスタチンの生成
プラスミノゲンのアンジオスタチンへの変換に必要な唯一のタンパク質がプラスミノゲン活性化物質であり、スルフヒドリル供与体が補因子として必要であることが示されたが、次にこれらの成分さえあればアンジオスタチンの生成に充分であることを示した。インキュベーションは全て、37℃のTris緩衝液中にて18時間行い、得られた試料を(例1に述べたように)ウエスタンブロットによりアンジオスタチンについて分析した。
u−PAをプラスミノゲン及び5μM以上の還元形グルタチオンと共にインキュベートした場合、アンジオスタチンが生成した(図10)。グルタチオンの非存在下ではアンジオスタチンの生成は見られなかった。
u−PAを100μMまたは1mMペニシラミンと組み合わせたものを用いた場合にも、アンジオスタチンの生成が見られた(図11)。
最後に、プラスミノゲン(0.2μM)を、u−PA(0.2nM)、t−PA(1.0nM)、またはストレプトキナーゼ(8.0nM)と組み合わせたものを100μLのN−アセチル−L−システインと共にインキュベートした場合、アンジオスタチンを生成した。N−アセチル−L−システインの非存在下ではプラスミノゲンはアンジオスタチンに変換されなかった。
これらのデータは、スルフヒドリル供与体の存在下では既知のプラスミノゲン活性化物質のそれぞれによってプラスミノゲンはアンジオスタチンに変換されるが、スルフヒドリル供与体が存在しない場合には変換されないことを示す。更にこれらのデータ及び例2のデータにより、生理学的還元剤(L−システイン、還元形グルタチオン)及び薬理学的還元剤(カプトプリル、D−ペニシラミン、N−アセチル−L−システイン)の存在下でアンジオスタチンが生成することが示された。
例4 アンジオスタチン生成におけるプラスミンの使用
Tris緩衝液に2μgのヒトプラスミノゲンを加えて100μlとしたものを、10μlのuPA−セファロース(カルバイオケム社、ラヨラ、カリフォルニア州)(Calbiochem,La Jolla,CA)と共に37℃にて2時間インキュベートした。このインキュベーションの後、試料を遠心分離してuPA−セファロースを沈降させ、プラスミンを含む上清を得た。クーマシー染色した還元形ポリアクリルアミドゲルを用いたこの上清の分析によりプラスミノゲンがプラスミンに完全に変換したことが確認された。単離したプラスミンを更に、100μMのN−アセチル−L−システインと共に37℃で18時間インキュベートし、試料を(例1に示したように)ウエスタンブロットを用いてアンジオスタチン生成について分析した。
結果を図13に示した。これらの結果は、プラスミノゲンからのアンジオスタチンの生成にはプラスミンが必要な中間物質であり、精製したプラスミンをスルフヒドリル供与体と共にインキュベートすることによりアンジオスタチンを生成することが可能であることを示している。
例5 プラスミノゲン活性化物質の存在下及び非存在下における、in vivoでの腫瘍のスルフヒドリル供与体処理
11頭の生後6〜8週間のメスベージュヌードマウス(タコニックラブ、ジャーマンタウン、ニューヨーク州)(Taconic Labs,Germantown,NY)の右脇腹に1.0×105個のネズミ血管内皮腫(EOMA)細胞(Dr.Robert Auerbach,Madoson,WIより提供)を100μlのリン酸緩衝液と共に皮下注射した。このEOMA腫瘍細胞を、10%ウシ胚血清(FBS)、100単位/mlペニシリンG、及び100mg/mlストレプトマイシン(ライフテクノロジー社、ゲイザースバーグ、メリーランド州)(Life Technologies Inc.,Gaithersburg,MD)を補ったダルベッコの改良培地(DMEM)に入れ、10%CO2を含む加湿したインキュベータ内にて37℃に保って培養した。腫瘍細胞を注射した日を0日目とした。
1日目から始めて、それぞれのマウスに以下を皮下注射した。
Figure 0004160121
週3回、組織用キャリパを用いてそれぞれのマウスの初期腫瘍の大きさを測定し、式(幅2×長さ×0.52)(O’Reilly et al.,Nature Medicine,2,689-692(1996))を用いて腫瘍の体積を求めた。結果を図14に示した。図に示されるように、NACによる処置及びuPA+NACによる処置のいずれにおいても、コントロールのグループと比較して平均の腫瘍の大きさは効果的かつ大幅に減少した。コントロールマウスの内の1匹が10日目に死亡し、更に別の1匹が17日目に死亡している点に注意されたい。NACまたはuPA+NACにて処理したマウスでは21日間の実験期間中に死亡したものはなかった。
2頭のコントロールマウス及び3頭のNAC処理マウスからマウスを殺した日に採取した血漿試料を(例1に述べたように)ウエスタンブロットを用いてアンジオスタチンについてアッセイした。コントロールの2頭のマウスには、アフィニティー精製した無細胞アンジオスタチン1.00mgを、1日目から始めて、マウスを殺す24時間前まで1日に2回づつ皮下注射した。アフィニティー精製された無細胞アンジオスタチンは、例3に述べられたように生成され、例1において述べたようにリシン−セファロースカラムにてアフィニティー精製した。結果を図15に示した。図に示されるように、マウスへのNACの投与によりin vivoにてアンジオスタチンが生成した。コントロールマウスにおいてはアンジオスタチンの生成は見られなかった(レーン1及び2)。
例6 天然アンジオスタチンのC末端配列の決定
ヒトプラスミノゲン(0.2μM)を組み換えヒトu−PA(0.2nM)(アボットラボラトリー社、ノースシカゴ、イリノイ州)(Abott Laboratories,North Chicago,IL)及び100μM N−アセチル−L−システインと共に37℃で一晩インキュベートした。これをリシン−セファロースカラム(例1参照)にかけ、フロースルー分画を集めて濃縮した。濃縮したフロースルー分画を少量づつにわけ、非還元的条件下でTrisグリシン緩衝液中で12%ポリアクリルアミドゲル(NOVEX,San Diego,CA)にて電気泳動し、0.45μm二フッ化ポリビニレン(PVDF)膜(Immobilon,Millipore,Bedford,MA)に電気的に移してクーマシーブルーにてタンパク質を染色した。
染色した膜にはフロースルー分画から得られた非常に明瞭な2本のバンドが約30kDの位置に見られた。他のバンドも見られたがこれらのバンドの染まり方は2本の30kDのバンドの染まり方と比較して非常に不明瞭なものであった。このことはフロースルー分画の主要な成分は2本の30kDのバンドに含まれることを示す。
2本の30kDのバンドのタンパク質のN末端の配列を例1に述べたように微小配列分析を用いて決定した。2本のバンドの内、より明瞭なもののN末端配列はLys Leu Tyr Asp Tyr Cys Asp Val(配列番号:2)であり、他方のバンドの配列はLeu Tyr Asp Tyr Cys Asp Val(配列番号:3)であった。これらの配列はプラスミノゲンのクリングル5に位置すること(図16参照)、及び2本のバンドが明瞭であることは、これらはC末端の天然アンジオスタチンを生じる際にプラスミノゲンの開裂によって放出された断片であることを示す証拠を与えるものである。
2個の30kDの断片のN末端の配列から、天然アンジオスタチンのC末端の配列はCys Tyr Thr Thr Asn Pro Arg(配列番号:4)またはCys Tyr Thr Thr Asn Pro Arg Lys(配列番号:5)であることが推測される。これらのC末端配列はヒトプラスミノゲンのアミノ酸529(Arg)または530(Lys)の後の位置における開裂によって生成するが、この部位はクリングル5にあり(図16参照)、プラスミン開裂部位として知られている。この部位における開裂により、天然アンジオスタチンを非還元的条件下でポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた場合に見られる分子量(50〜60kD)にほぼ等しいプラスミノゲン断片が与えられる。
ヒト天然アンジオスタチンのN末端配列(配列番号:1)は例1により与えられる。したがってヒト天然アンジオスタチンは、N末端配列が、
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であり、C末端配列が、
Figure 0004160121
または
Figure 0004160121
である、クリングル5の大部分を含むプラスミノゲン断片であることが示されたことになる。
Figure 0004160121
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Claims (8)

  1. 生物疾患を治療するための組成物であって、前記組成物は、治療有効量のプラスミノゲン活性化物質とスルフヒドリル供与体とからなり、かつヒトの体内に存在するアンジオスタチンの量を増大させるのに有効な組成物。
  2. 前記スルフヒドリル供与体は、システイン、N−アセチルシステイン、カプトプリル、D−ペニシラミン、及び還元形グルタチオンからなる群から選択される請求項に記載の組成物。
  3. 前記プラスミノゲン活性化物質は、ウロキナーゼ、スレプトキナーゼ、及び組織プラスミノゲン活性化物質からなる群から選択される請求項又はに記載の組成物。
  4. 前記新生物疾患は悪性新生物疾患である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記悪性新生物疾患は、悪性腫瘍である請求項に記載の組成物。
  6. 前記腫瘍は転移したものである請求項に記載の組成物。
  7. プラスミノゲンと組み合わせて使用される請求項1乃至6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. プラスミンと組み合わせて使用される請求項1乃至6のいずれか一項に記載の組成物。
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