JP4158496B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真原理を用いたカラープリンタの画像形成に用いられる画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやカラープリンタ普及により、オフィスや各家庭でより多くのカラー画像がプリンタによって印刷される機会が取り扱われるようになってきた。
【0003】
図12はホストコンピュータ50とカラープリンタ1の接続形態の説明図である。カラープリンタ1はIEEE1284などのインターフェース53、あるいはLAN51やインターネット52などのネットワークを介してホストコンピュータ50と接続しており、印刷データやプリンタのステータス情報などの送受信を行っている。
【0004】
図13は、プリンタの構成図である。2はホストコンピュータ50から送れれた画像データを解釈し印刷イメージを生成するコントローラ部、3は印字データを電子写真原理を用いて記録媒体上に形成するプリンタエンジンである。
【0005】
コントローラ部の構成および動作を簡単に説明する。4はホストコンピュータ50とのデータ送受信をつかさどるインターフェース部、5は印刷データの解釈を行うインタプリタ部、6は印刷画像イメージをメモリ上に形成するラスタライザ部、7は印刷画像イメージを圧縮する圧縮器、8は圧縮印刷画像イメージを伸長する伸長器である。ホストコンピュータ50から送られてきた画像データは、インターフェース部4を介してインタプリタ部5へ入力される。インタプリタ部5は画像データを解釈し描画データを作成する、ラスタライザ部6は描画データに基いて1ページを複数ライン単位に分割したバンドメモリ(図示せず)上に印刷画像イメージを展開する。展開された印刷画像イメージは膨大なサイズとなるため、一旦圧縮器7によって圧縮メモリ(図示せず)に圧縮保存される。圧縮メモリに1ページ分の印刷画像イメージの蓄積が完了すると、プリンタエンジン3の動作を開始させ、一旦保存された圧縮印刷画像イメージを伸長器8により伸長しながらプリンタエンジン3へ送る。
【0006】
次にプリンタエンジン3の構成および動作を簡単に説明する。
【0007】
9はレーザ照射を制御するレーザ駆動装置、10は多角形に鏡面加工されたポリゴンミラー、11はレーザによって電子潜像を形成する感光体、12はシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(以下C,M,Y,Kと記述)の各現像器、16は各現像器12で形成されたトナー像を転写してCMYKトナー画像を保持する中間転写体、17は記録用紙を収めたペーパーカセット、19は用紙に転写されたトナー像を用紙に加熱定着させる定着器である。レーザ駆動装置9はコントローラ部2から送られてきたデータに従ってレーザの点滅制御しながら高速回転しているポリゴンミラー10へ向けてレーザ照射を行う。レーザ反射光は感光体11上へ照射され、感光体11上に潜像が形成される。このときポリゴンミラー10の回転により画像の主走査ラインが形成されている。潜像は現像器12によってCMYKトナーの像として形成される。各感光体11上のトナー像は一旦中間転写体16に転写される。ここで感光体11、現像器12は、中間転写体16の駆動方向に対して直列的に配置されているため、中間転写体は1回の回転で1ページのCMYKトナーが重なった画像を保持することが出来る。記録用紙13は中間転写体の動きに同期して用紙カセット17から搬送さる。転写器18によってトナー像は中間転写体16から記録用紙13上に転写され、その後、定着器19によって加熱されに定着し、最終的な出力画像を得る。
【0008】
図14は、従来の画像処理装置の説明図でる。
【0009】
なお、図14の画像処理装置は、図2のインタプリタ部5に含まれ、デバイスカラーへの色変換と、2値化を行う。20はRGB色信号をCMYK色信号に変換する色変換部、21はエンジン出力特性を補正するためのガンマ補正部、22はスクリーン閾値マトリクスとの比較を行って画像を2値化するスクリーン処理部である。次に各部の動作について説明する。ホストコンピュータ50から送られてくるRGB画像データは、プリンタのデバイスカラーであるCMYKのデータに変換する必要があり、色変換部20によって変換を行っている。ここでRGB信号、CMY信号ともに0から255のレベルを持った256階調データであり後述するCMYKの2値信号と区別するために、図14にはR(255)のように記述している。色変換部20ではRGB信号とCMYK信号との対応関係は非線型性が強いため、代表的な色の対応関係をルックアップテーブル(以下LUTと記述)として持ち、代表点以外については代表点を内挿して求めることでRGB信号からCMYK信号への変換を行っている。なお、ここではLUTを用いてCMYK4色の値を求めているが、LUTでCMYの3色の値を求めた後、下色除去処理によってCMYKを求めることもある。
【0010】
色変換部20の出力であるCMYK信号はさらに、ガンマ補正部21によって補正が行われる。図15(a)は出力濃度特性を示す図、図15(b)はガンマ補正カーブを示す図である。電子写真の原理を用いたプリンタエンジンでは、出力信号と出力画像の濃度が図15(a)のように非線型な関係となり、更にトナーや印刷プロセスに用いられる部材の材質により異なるため、色変換とは独立してCMYKの出力レベル調整を行う必要がある。図15(a)の逆関数になる図15(b)をCMYKの夫々でガンマ補正テーブルとして持ち、CMYKを変換することにより、出力の直線性が得られることになる。
【0011】
次に、スクリーン処理部22でCMYK各プレーン毎に2値化を行う。図16はスクリーンマトリクスの一例を示す図であり、画像の画素レベルに対する各閾値をマトリクス上に並べている。CMYKそれぞれ別々に閾値の並びを変えたものを用い、スクリーンマトリクスの閾値を超える画素を1、閾値を下回る画素を0とすることで、CMYK夫々の2値データを得る。図14にはCMYK2値データであることを示すため、C(2)又はCMYK(2)のように記述している。プリンタエンジン3のレーザ駆動はこの2値データに基づいて行われる。
【0012】
ところで、ホストコンピュータ50のOSとして広く用いられているWindows(R)のオブジェクト描画にRaster Operationという処理(以下ROP処理と記述)がある。ROPとは2つ以上の描画オブジェクト(ラスター画像)の重ねあわせ時に行われる論理演算処理のことである。ROP処理は画像の上下関係をつけた上書きのみでなく、各オブジェクトに対して、AND、OR、NOT、XOR等の論理演算処理を行って透かしや反転などの効果を与えることを可能としている。但し、このROP処理はRGB画像に対して定義されたものであり、プリンタのデバイスカラーであるC,M,Y,Kデータに対してはその補色をとって演算処理を行う。しかし、CMYKの2値データに対して処理した場合ROP処理が正しく行われず不都合を生じることがあるため、色変換においてKの生成を行わずCMY2値データを用いる必要があることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0013】
図17は従来の画像処理装置の別な例を示す図である。CMY出力とする色変換部20を備えた画像処理装置を備えており、色変換部20においてRGB/CMY変換を行い、ROP処理を施してCMYの印刷イメージを生成する。しかし、CMY2値データをそのままプリンタエンジンへ送りCMY画像として出力画像を得た場合、黒画像はCMY3色の量ね合わさった画像として生成されることになるが、3色のトナーを量ね合わせた黒は色づいて見えるといった問題や、各色の印字位置が僅かにずれが生じた場合には黒画像の周囲に色が出てしまうという問題、あるいはトナーの総量が多くなりすぎ印刷プロセスにおいて転写が正常に行われない、定着したトナーが固まりとなって剥がれ落ちる、3倍のトナーが必要であり経済的でない等多くの問題が生じる。
【0014】
これを解決するために、2値化されたCMYデータのうち、同じ画素位置でCMYデータが1となる部分の画素をKを1とし、CMYを0に置換える処理を行うという、単純な2値CMY/2値CMYK変換が考えられる。
【0015】
図18はこの処理を加えた従来の画像処理部の構成図である。20はRGB色信号をCMY色信号に変換する色変換部、21はエンジン出力特性を補正するためのガンマ補正部、22はスクリーン閾値マトリクスとの比較を行って画像を2値化するスクリーン処理部、24はROP処理を行うROP処理部、55はCMY重畳画素をKに置換えるK置換処理部である。
【0016】
図19はK置換処理部の動作の説明図であり、図19(a)はCプレーン、図19(b)はMプレーン、図19(c)はYプレーンを現しており、それぞれの画素を線網掛けして示している。図19(d)はCMYの3プレーンを重ねて図示したものであり中央の画素がCMYの重なりになっているため、この画素がK画素に置換えられる。図19(e)はK置換処理後のCプレーン、図19(f)はK置換処理後のMプレーン、図19(g)はK置換処理後のYプレーン、図19(h)はK置換処理後のKプレーンである。
【0017】
電子写真の原理を用いたプリンタエンジンでは、小ドットを形成しようとした場合、レーザの点灯時間が短くなることから、潜像形成が十分に行われず、結果として小ドットが縮退し、更に小さくなる、あるいはドットが消滅してしまう場合がある。図19に示した例では、図19(a)〜(c)に示すように、K置換処理前ではC,Mは共に3画素の連結として、またYは2画素の連結として形成されていた画素が、K置換処理後には図19(e)〜(h)に示すように、全てが1画素の孤立画素(斜めに並んだ画素は連結性が低く、夫々孤立しているとみなす)となる。K置換処理前には図19(d)のようにCMYで構成されていた画像が、それぞれが孤立画素となることにより、印刷出力上では全ての画素が消滅してしまうのである。この現象を広い範囲で見た場合、スクリーンの周期性により、CMYスクリーンがこの様な重なり方をする部分が大きな周期で現われ、ドット抜けが周期的に発生することになり、単一の色として滑らかに再現されるべき画像においてはテクスチャとなって目に見えるものになるという問題が生じる。CMYの重なりがKに置き換わる際に、置換されなかったCMYが周囲画素と連結が保たれてドットの縮退が無い場合であっても、CMYが重なった位置でのみ黒とする方式ではKの発生が孤立画素となって生じることが多く、K孤立画素の縮退は避けられない。また、CMYの重なりで発生したKはエンジン特性を補正するためのガンマ補正が全く行われないため、その再現性はプリンタエンジン特性の影響を大きく受けると言った問題も生じる。
【0018】
一方、ROP処理を行った後の2値のCMY画像に対して、小領域を設定し、小領域の黒濃度を求め、その黒濃度を基いて新たにCMYKパターンを求めるという方法がある(例えば特許文献1参照)。
【0019】
このような方法は、例えばある色で塗られた矩形画像が白い背景上にあるとき、小領域を矩形内部に設置する場合と、小領域を矩形のエッジ部分を跨いで設定する場合では、黒濃度が異なり、同じ色に対して黒濃度を正しく検出できない場合が生じてしまう。また、黒濃度を検出するためある程度おおきな領域を設定する必要があるが、この領域に黒で描かれた文字や線画が存在する場合この領域での黒濃度が増加し上記と同様の問題が生じる。さらに、Kパターンの発生が必ずしも文字や線画上にならないため、文字や線画が劣化するということがある。
【0020】
【特許文献1】
特開2000−341547号公報
【非特許文献1】
橋詰 隆、宇根 清 ”Windows(R)に対応したPDLの色処理−Raster Operationの対応 −”、富士ゼロックステクニカルレポート No.12 1998 特集論文、[平成14年2月15日検索] インターネット <URL : http://www.fujixerox.co.jp/randd/12/24_hasid/tr101j.html>
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの点を改善するものであり、デバイスカラーに対してROP処理を正しく行いながらも、画質劣化を与えること無い画像処理装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入力信号をシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の色信号に変換する色変換手段と、前記色信号にガンマ補正を行うガンマ補正手段と、閾値比較により前記色信号を2値化する2値化手段と、前記2値化された色信号のうちブラックの画素をシアン、マゼンタ、イエローの画素との論理和をとってこれらの色信号に重畳し3色の重畳色信号に変換する重畳手段と、予め定義された論理演算を前記重畳色信号に対して行う論理演算手段と、前記論理演算手段の出力であるシアン、マゼンタ、イエローの3色の色信号のビットパターンがすべて同じである場合は前記ビットパターンをブラックとして出力し前記3色の色信号を0として分離色信号に変換し、一方、前記色信号のビットパターンが異なる場合は、シアン、マゼンタ、イエローがともに1であるときブラックが出力され、前記論理演算手段の出力であるシアン、マゼンタ、イエローの3色の色信号および前記出力されたブラックそれぞれにおいて起点となる画素から同様のビットパターンが現われる画素までを1周期とし、着目画素の前後の所定周期離れた位置に画素が存在する場合に周期性ありと判定し、前記判定されたシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの周期性に基づいてブラックの発生およびシアン、マゼンタ、イエローの除去を決定して分離色信号に変換する分離手段を有する画像処理装置とした。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、入力信号をシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の色信号に変換する色変換手段と、前記色信号にガンマ補正を行うガンマ補正手段と、閾値比較により前記色信号を2値化する2値化手段と、前記2値化された色信号のうちブラックの画素をシアン、マゼンタ、イエローの画素との論理和をとってこれらの色信号に重畳し3色の重畳色信号に変換する重畳手段と、予め定義された論理演算を前記重畳色信号に対して行う論理演算手段と、前記論理演算手段の出力であるシアン、マゼンタ、イエローの3色の色信号のビットパターンがすべて同じである場合は前記ビットパターンをブラックとして出力し前記3色の色信号を0として分離色信号に変換し、一方、前記色信号のビットパターンが異なる場合は、シアン、マゼンタ、イエローがともに1であるときブラックが出力され、前記論理演算手段の出力であるシアン、マゼンタ、イエローの3色の色信号および前記出力されたブラックそれぞれにおいて起点となる画素から同様のビットパターンが現われる画素までを1周期とし、着目画素の前後の所定周期離れた位置に画素が存在する場合に周期性ありと判定し、前記判定されたシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの周期性に基づいてブラックの発生およびシアン、マゼンタ、イエローの除去を決定して分離色信号に変換する分離手段とを有する構成を採る
これにより、3色以下の画像に対して予め定義された論理演算を少なくとも4色の画像に対して正常に実行できるとともに、一旦重畳した画像を画質劣化を招くこと無く分離でき、きれいな出力画像を得ることができる。
【0026】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、色変換手段の入力信号が無彩色であるときにシアン、マゼンタ、イエローの値を0としてブラックのみを出力する構成を採り、これにより無彩色で描画される画像はすべてブラック単色で印字することができる
【0027】
(実施の形態1)
図1〜図11を用いて説明する。
【0028】
ホストコンピュータとカラープリンタの接続形態や、カラープリンタの構成や動作は、従来の技術で説明したものと同様であるので省略する。
【0029】
図1は本発明による画像処理装置の説明図である。
【0030】
20はRGB色信号をCMYK色信号に変換する色変換部、21はエンジン出力特性を補正するためのガンマ補正部、22はスクリーン閾値マトリクスとの比較を行って画像を2値化するスクリーン処理部、23はK画像をCMYに重畳する重畳処理部、24はRasterOperation処理を行うROP処理部、25はCMY画像からK成分画像を分離しCMYK画像を生成する分離処理部である。
【0031】
なお、図1の画像処理装置は、その各機能部が図13のインタプリタ部5とラスタライザ部6に別れて存在し、これを表すために点線で囲い、図13と同様の番号を付している。
【0032】
次に各部の動作について説明する。ホストコンピュータから送られてくる画像データはRGB信号であるため、これを印刷に用いるデバイスカラーであるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)への色変換を色変換部20によって行う。ここでRGB信号、CMYK信号ともに0から255のレベルを持った256階調データである。RGB信号とCMYK信号との対応関係は非線型性が強いため、代表的な色の対応関係をルックアップテーブル(以下LUTと記述)として持ち、代表点以外については代表点を内挿して求めることでRGB信号からCMYK信号への変換を行っている。また色変換部20におけるRGB信号からCMYK信号への変換において、R,G,Bの各信号レベルが等しいとき、すなわち、無彩色が入力された場合にはC,M,Y出力を0としKのみを出力するようにしている。R=G=BとなるLUTの白点と黒点を結んだ対角上の格子点の出力が、C=M=Y=0、K=k(但しkは0から255の値)とするようにし、無彩色ではこの対角上の格子点のみの点を使って内挿を実施するようにすることで、無彩色の入力に対しては常にKのみの出力となる。
【0033】
色変換部20の出力であるCMYK信号はさらに、ガンマ補正部21によって補正が行われる。電子写真の原理を用いたプリンタエンジンでは、入力信号と出力画像の濃度が非線型な関係となり、更にトナーや印刷プロセスに用いられる部材の材質により異なるため、色変換とは独立してCMYKの出力レベル調整を行う必要がある。
【0034】
入力信号と出力画像の濃度の逆関数に相当する関数をCMYKの夫々でガンマ補正テーブルとして持ち、CMYKを変換することにより、出力の直線性が得られることになる。次に、スクリーン処理部22でCMYK各プレーン毎に2値化を行う。スクリーンマトリクスとしてCMYKそれぞれ別々に閾値の並びを変えたものを用い、スクリーンマトリクスの閾値を超える画素を1、閾値を下回る画素を0とすることで、CMYK夫々の2値データを得る。
【0035】
次に、重畳処理部23により、KプレーンをCMYの各プレーンに重畳する。重畳は、KプレーンのデータをCMY各プレーンのデータに対してOR演算を施し、Kプレーンの情報をCMYプレーンに重ねる処理である。
【0036】
なお、Kプレーン自体のデータはここで破棄され、CMYデータのみが、次のROP処理部24に送られる。ROP処理部24はCMYプレーンのデータに対して行われる。ROP演算は元来RGB系のデータに対して定義されているため、CMYのデータを一旦補色処理(反転処理)を施し、指定の論理演算を実行し、その結果を反転する処理を行うことで、正常なROP演算を実施している。
【0037】
ROP処理されたCMYデータは次に続く分離処理部25へ入力される。分離処理部25はCMY画像に重畳されたK画像の成分を分離して、K画像を再生成し、CMY画像はK画像成分を除去した画像として再生成する。
【0038】
ここで、K分離処理について説明する。
【0039】
重畳処理部23においてK画像はCMY各プレーンのデータにOR演算によって含まれているため、CMY各プレーンの画素がONのときK画素をONとすることで基本的にはK画像の生成が行われる。特に、色変換部20の出力においてC,M,Y成分が0、すなわち無彩色である場合には、C、M、Yの各プレーンに元のKの画像がORされC、M、Yプレーンともに同じ画素パターンとなっているため、同じ画素パターンが続く場合には全てがK画素に置き換わることになる。黒の文字や線画に対しては本処理が施されることにより、完全にK画素のデータに置換えることが出来る。
【0040】
一方、色変換部20の出力においてC,M,Y成分が存在する場合、すなわち有彩色である場合には、K画素が重畳された以外に、元々CMYスクリーンの重なりにより生ずるCMYの重畳画素もあり、全てをK画素として生成した場合、画質が変化してしまう。特にCMYスクリーンの重なりで生じた黒画素は孤立ドットとなることが多く、また黒画素を除去したCMYも孤立ドットとして残る場合が多いため、結果的にドット抜けとなって画質劣化を引き起こすことがある。分離処理部25はこの様な現象を回避するために、スクリーン処理部で用いたCMYKの各スクリーン周期性を利用したK成分の分離を行っている。
【0041】
図2は分離処理部25の構成図である。
【0042】
26はCMYの画素パターンを調べて黒画素を検出する黒画素検出部、27はCプレーンデータの周期性検出を行うCプレーン周期性検出部、28はMプレーンデータの周期性の検出を行うMプレーン周期性検出部、29はYプレーンデータの周期性検出を行うYプレーン周期性検出部、30はC,M,Yの論理積をとるAND演算器、31はKプレーンデータの周期性検出を行うKプレーン周期性検出部、32はKデータを生成すると共にK分離を行った後のCMYデータを生成するCMYデータ生成部である。
【0043】
次に、分離処理部25の各部の動作について述べる。黒画素検出部26はROP処理が行われた2値のCMYデータを受けとり、これらの各プレーンのパターンを調べ、各プレーンのパターンが等しいときには同パターンをKとして発生し、C,M,Yプレーンのデータを0とする。例えば、8ビット毎にパターンを調べる場合、C,M,Yのパターンがいずれも00101100であるような場合、Kのビットパターンを00101100とし、C、M、Yのビットパターンは00000000とする。これにより、黒文字などは黒単色で出力されることになる。なお、CMYの入力ビットパターンが等しい場合には、上記の出力が分離処理部25の最終出力となるが、ビットパターンが異なる場合には、CMYKデータ生成部32の出力が分離処理部25の最終出力となる。
【0044】
次に、Cプレーン周期性検出部26の処理の説明を行う。先ずスクリーン周期について説明を行う。図3はスクリーン周期の説明図であり、(a)はCスクリーン周期、(b)はMスクリーン周期、(c)はYスクリーン周期、(d)はKスクリーン周期を説明する図である。Cスクリーン周期を代表して説明する。今、画素Aを起点とし場合、Pc画素離れたところに同様のパターンが現われるとき、すなわちこの場合は画素Bに現われているため、画素Aから画素Bまでの画素数PcがCプレーンの周期であるとする。同様に、M,Y,Kスクリーン周期はそれぞれPm,Py,Pkとなる。
【0045】
図4は周期性検出の説明図であり、CMYK各プレーンを代表してYプレーン周期検出部29の説明を行う。いま、着目画素cに画素が存在する場合、画素cを起点として、前後Py画素離れた位置、即ち1周期離れた位置である画素bおよび画素dに画素が存在するか否かを検知することで周期性判定の要因とする。スクリーン閾値の設定や、原画像の階調変化により前後Py離れた点だけの検出では周期性を判定できない場合も考慮し、2周期以上離れたの点も検出して周期性を判断することも行い、ここでは2周期離れた点の検出の場合は画素aおよび画素cの画素の有無も周期性判定の要因に含むことにしている。即ち、着目画素cに対して前後にスクリーン1周期分離れた位置に画素が存在する場合、または、前方もしくは後方に対してスクリーン1周期分および2周期分離れた位置に画素が存在する場合に着目画素cは周期性ありと判定する。
【0046】
図5は周期性検出(周期性有り)の説明図であり、(a)は着目画素の前後1周期離れた位置に画素があるために周期ありとみなされた例、(b)は着目画素の後ろ1周期および2周期離れた位置に画素があるために周期ありとみなされた例を示している。
【0047】
また、図6は周期性検出(周期性無し)の説明図であり、(a)は着目画素の後ろ1周期および2周期離れた位置のいずれにも画素が無く周期性なしとみなされた例、(b)着目画素の前後2周期離れた位置には画素があるが1周期離れた位置には画素が無く周期性なしとみなされた例を示している。
【0048】
Cプレーン周期性検出部27及びMプレーン周期性検出部28の処理については、周期が異なる以外Yプレーン周期性検出部29と同様である。
【0049】
次に、C、M、Yの入力データはAND演算器30によりAND演算を行う。AND演算を行うことによりCMYとにも1である画素、すなわち黒画素が抽出される。この出力はKプレーン周期性検出部31に入力される。Kプレーン周期性検出部31は、検出周期をPkとする以外は、先に説明したYプレーン周期性検出部と同様の動きを行い、周期Pkの周期性の有無を検出する。
【0050】
次に、CMYKデータ生成部32はCプレーン周期性検出部27、Mプレーン周期性検出部28、Yプレーン周期性検出部29およびKプレーン周期性検出部31の出力に基いて、K画素生成及びCMY画素の除去を行う。この処理は、基本的には、CMY画素が重なった画素をK画素とするがCMYの全プレーンで周期性ありと判定された画素はK発生しないようにする、またK画素を発生した画素はCMY画素の除去を行うがCMY各プレーンでの周期性判定の結果に応じてCMY画素の除去を行わないようにするというものである。図11の表はCMYKデータ生成部32の動作を現したものであり、この表に基いてKの画素発生、CMYの画素除去を決定する。以上により生成されたCMYKプレーンの画像データが分離処理部の出力データとなる。
【0051】
以上動作について、画像の一例を用いて説明する。
【0052】
図7は2値化画像拡大図である。各桝目は600dpiの1画素を1画素を表しており、(a)はCプレーン、(b)はMプレーン、(c)はYプレーン及び(d)はKプレーンを表している。図1のスクリーン処理部23の出力に対応する。
【0053】
図8は重畳処理部の出力画像を示す図である。重畳処理部24によってKの画像がCMYに重畳され、CMYのみの画像となっている。CMYの画像であるから、続くROP処理部25での処理は正常に行うことが出来る。
【0054】
図9は分離処理部の動作を説明する図である。C,M,Y各プレーンともに画素が存在する画素(すなわち黒画素)を太線で囲っている。黒画素は、重畳処理部24によって発生されたもの及び、重畳前の2値画像のC,M,Y各プレーンデータの重なりによって発生したものの双方を含んでおり、分離処理はこれらの黒画素を対象とする。(d)にもCMYの重なった画素の位置太線でを記している。
【0055】
画素P1について説明する。画素P1は画素パターン(画素P1を含む周辺のビットパターン)がCMYプレーン間異なるため、分離処理部25の黒画素検出部26においては処理が成されず、Cプレーン周期性検出部27、Mプレーン周期性検出部28、Yプレーン周期性検出部29によって、またKプレーン周期性検出部31によって各プレーンの周期性を検出する。
【0056】
検出周期はC,Mは10画素周期、Yは6画素周期、Kは4画素周期を検出するように動作する。
【0057】
画素P1はC,M,Yプレーンで周期性あり、Kプレーンは周期性無しと判断され、CMYデータ生成部32は図11の表に基いて、CMYプレーンに画素を発生させ、Kプレーンに画素を発生させないように働く。
【0058】
また、別な例として画素P2について説明する。画素P2もP1と同様に各周期性検出器で周期性の検出が行われる。画素P2はCでは周期性ありと判定されるが、M,Yプレーンでは周期性無しと判断され、Kプレーンは周期性ありと判断される。CMYデータ生成部32は図19の表に基いて、Cプレーン及びKプレーンに画素を発生させるように働く。
【0059】
上記の動作を全ての処理対象画素に施した結果を図10に示す。分離処理部25によって図7の処理前のC,M,Y,Kスクリーンの状態に近い状態で戻っており、画質劣化をほとんど起こすこと無く、スクリーンが分離されている様子がわかる。
【0060】
なお、上記の説明において色変換はLUTとその内挿を用いてCMYK4色の値を求めているが、LUTでCMYの3色の値を求めた後、下色除去処理によってCMYKの4色として求めることも可能である。この場合、下地除去処理は無彩色では全てがK単色に成るような処理となっていればグレーは黒単色となる。
【0061】
また、各プレーンの周期性検出部の説明において、各画素の周期性検出は着目画素に対して主走査方向(水平方向)にある画素の存在の有無に基いて行うように述べたが、着目画素に対して副走査方向にスクリーン周期もしくはその倍数分離れた位置の画素の有無を検出して画素の周期性の判定を行ってもよい。
【0062】
また、本発明の画像処理装置は専用のハードウェアを用いて実現することも出来るが、一般的なCPUとROMやRAMとにより構成して同じ処理を実現することが可能である。
【0063】
また、本発明の実施の形態では、プリンタエンジンを電子写真を用いたカラープリンタに対して述べているが、プリンタエンジンが必ずしも電子写真を用いたものでなくても構わないことは言うまでもない。
【0064】
【発明の効果】
以上の述べたことから明らかなように本発明は、重畳により4色のデバイスカラーを重畳して一旦3色に変換し、これに対してROP処理を行っているので、不具合のない演算結果を得ることが出来る。
【0065】
また、分離部において画像スクリーンの周期性を利用して画像のON/OFF制御を行っているので、画素が孤立点となりにくく画素消滅がほとんど無いことから、テクスチャ発生等の画質劣化を抑制することが可能となる。
【0066】
また、スクリーン重畳前であればC,M,Y,Kデータを独立に扱うことが出来、C、M、Y成分のみならずK成分に対してもガンマ補正を施すことが出来る。
【0067】
また、色変換において無彩色を黒1色に単色化しているので、グレーの画像が黒単色で印刷されグレーバランスが崩れることが無く、特にガンマ補正によりC,M,Yが独立に調整された場合もグレーが変化することが無い、また黒からグレーへの変化および無彩色から有彩色への変化が滑らかになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像処理装置の説明図
【図2】分離処理部の構成図
【図3】スクリーン周期の説明図
【図4】周期性検出の説明図
【図5】周期性検出(周期性有り)の説明図
【図6】周期性検出(周期性無し)の説明図
【図7】2値化画像拡大図
【図8】重畳処理部の出力画像を示す図
【図9】分離処理部の動作を説明する図
【図10】分離処理部の処理結果を示す図
【図11】CMYKデータ生成部の動作表を示す図
【図12】ホストコンピュータとカラープリンタの接続形態の説明図
【図13】プリンタの構成図
【図14】従来の画像処理装置の説明図
【図15】(a)出力濃度特性を示す図(b)ガンマ補正カーブを示す図
【図16】スクリーンマトリクスの一例を示す図
【図17】従来の画像処理装置の別な例を示す図
【図18】従来の画像処理部の構成図
【図19】K置換処理部の動作の説明図
【符号の説明】
1 カラーレーザプリンタ
2 コントローラ部
3 プリンタエンジン
4 インターフェース部
5 インタプリタ部
6 ラスタライザ部
7 圧縮器
8 伸長器
9 レーザ駆動装置
10 ポリゴンミラー
11 感光体
12 現像器
13 記録用紙
16 中間転写体
17 ペーパーカセット
18 転写器
19 定着器
20 色変換部
21 ガンマ補正部
22 スクリーン処理部
23 重畳処理部
24 ROP処理部
25 分離処理部
26 黒画素検出部
27 Cプレーン周期性検出部
28 Mプレーン周期性検出部
29 Yプレーン周期性検出部
30 AND演算器
31 Kプレーン周期性検出部
32 CMYデータ生成部

Claims (2)

  1. 入力信号をシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の色信号に変換する色変換手段と、前記色信号にガンマ補正を行うガンマ補正手段と、閾値比較により前記色信号を2値化する2値化手段と、前記2値化された色信号のうちブラックの画素をシアン、マゼンタ、イエローの画素との論理和をとってこれらの色信号に重畳し3色の重畳色信号に変換する重畳手段と、予め定義された論理演算を前記重畳色信号に対して行う論理演算手段と、前記論理演算手段の出力であるシアン、マゼンタ、イエローの3色の色信号のビットパターンがすべて同じである場合は前記ビットパターンをブラックとして出力し前記3色の色信号を0として分離色信号に変換し、一方、前記色信号のビットパターンが異なる場合は、シアン、マゼンタ、イエローがともに1であるときブラックが出力され、前記論理演算手段の出力であるシアン、マゼンタ、イエローの3色の色信号および前記出力されたブラックそれぞれにおいて起点となる画素から同様のビットパターンが現われる画素までを1周期とし、着目画素の前後の所定周期離れた位置に画素が存在する場合に周期性ありと判定し、前記判定されたシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの周期性に基づいてブラックの発生およびシアン、マゼンタ、イエローの除去を決定して分離色信号に変換する分離手段を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記色変換手段は入力信号が無彩色であるときにシアン、マゼンタ、イエローの値を0としてブラックのみを出力することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
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