JP4157893B2 - 耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材およびエンジン排気管 - Google Patents

耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材およびエンジン排気管 Download PDF

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Description

本発明は、耐高温酸化性に優れた、表面処理された純チタンまたはチタン合金、および耐高温酸化性が必要とされるエンジン排気管に関するものである。本発明で言うチタン材とは、圧延などの塑性加工や成形加工によって、板、条、線、管などの種々の形状とされた、純チタンまたはチタン合金のことを言う。また、本発明で言う表面処理チタン材とは、アルミ酸化物微粒子によるショットブラスト処理されたチタン材のことを言う。
チタン材は一般的な鉄鋼材料に比較して、比強度が高く、軽量化が強く指向されている自動車を中心とする輸送機分野への適用が進みつつある。その中でエンジン周りの排気系の排気管材料は、現在ステンレス鋼が主流であるが、上記軽量化目的のために排気管のチタン化が検討されつつある。しかしながら排気管の温度は部位によっては500℃以上の高温になるため、表面処理されないチタン材では、酸化の進行が早く、耐高温酸化性が劣るため、耐久性に問題がある。ここで、エンジン周りの排気系の排気管とは、自動車用や自動二輪用のマフラーにおける、エキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプ、触媒マフラー、プリマフラー、サイレンサー(メインマフラー)などのマフラー部品などを含むものである。
そのために、チタン材の耐高温酸化性 (以下、単に耐酸化性とも言う) を高めるために、従来から各種表面処理が提案されている。例えば、チタン合金表面にAl板をクラッド化した材料が提案されている(特許文献1参照)。また、チタン合金表面にAl−Ti系の蒸着めっきを施す方法が提案されている(特許文献2参照)。あるいは、チタン合金表面にPVD法によりTiCrAlN系皮膜を形成する方法なども提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、上記クラッド法ではコストが高い。また、蒸着法やPVD法では、処理コストが高い上に、前記排気管など、チタン材が管形状である場合に、管内面への耐酸化性皮膜形成が困難であるなどの問題を有している。
これに対して、チタン合金表面に、無機質バインダーとAl粉末とを付着させ、焼成して、材料内部への酸素の拡散を防止する酸素バリヤ被膜(耐酸化性皮膜)を形成する方法、あるいは前記焼成後に、Al粉末間に生じた空隙を埋めるためにクロム酸をベースとしたシール材にて封孔を実施する処理方法が提案されている(特許文献4参照)。更に、これを改良して、表面処理自体を安価で安全なものとした表面処理チタン材も提案されている。例えば、純チタン又はチタン基合金よりなる基材上に、5 μm 以上の耐酸化性焼成被覆層が形成された表面処理チタン材であって、焼成被覆層を、10at% 以下のSiを含むAl合金又は純Alよりなる粒子間に、金属元素M (但しM は、Ti、Zr、Cr、Si、Alの一種または二種以上)とC 及び/又はO からなる化合物が充填されているものとすることも提案されている(特許文献5参照)。
また、高温酸化性向上のために、チタン合金表面にAlの溶融めっきなどによるAl含有層を設け、更に、アルミナ、ガラス、金属玉などの硬質粒子でブラスト処理(空気圧で硬質粒子を投射)することにより、このAl含有層中に生じる空隙や不めっき部分を埋めて無くすことなども提案されている(特許文献6参照)。更に、Alを含有するチタン合金部材表面に、モリブデン、ニオブ、ケイ素、タンタル、タングステン、クロムなどの元素を含む微粒子をショットブラスト処理して、これら微粒子が分散した保護皮膜を形成することも提案されている(特許文献7参照)。
特開平10-99976号公報 (特許請求の範囲) 特開平6-88208 号公報 (特許請求の範囲) 特開平9-256138号公報 (特許請求の範囲) 特許第3151713 号公報 (特許請求の範囲) 特開2006-9115 号公報 (特許請求の範囲) 特開2005-36311号公報 (全文) 特開2000-34581号公報 (全文)
しかし、エンジン周りの排気系の排気管材料は、排ガスの温度が高くなるにつれ、より高温での高温酸化が生じる懸念がある。したがって、エンジン周りの排気系の排気管材料として、チタン材には、より高温での優れた耐高温酸化性が求められる。
これに対して、前記した特許文献5、6などの表面処理チタン材では、その耐高温酸化性は800℃程度の性能に限定される。一方、特許文献7のAlを含有するチタン合金部材表面に微粒子をショットブラスト処理した表面処理チタン材では、酸化条件を950℃の高温まで上げて試験し、高温酸化性が優れるとしている。
しかし、チタン合金部材表面に適用されている、モリブデン、ニオブ、ケイ素、タンタル、タングステン、クロムなどの金属単体粉末、合金粉末、酸化物粉末は高価であり、また、硬さもショットブラスト粒子としては十分ではないものが多く、このため保護皮膜を安価に、かつ安定的に、かつ効率的に形成することは難しい。また、これら粒子は特殊なものであるので入手性の問題がある。これらのことが、ショットブラスト処理の非効率性や処理の高価格化を招く。以上のことから、上記粒子は、一般工業的には、ショットブラスト粒子としてとして使用されていない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、800℃を越える、より高温の耐高温酸化性を向上させた表面処理チタン材や、この表面処理チタン材で構成されたエンジン排気管を安価かつ効率的に提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材の要旨は、純チタンまたはチタン合金であるチタン材の表面に、ショットブラスト粒子として汎用されているアルミ酸化物粒子によるショットブラスト処理層を有し、この処理層のアルミニウム平均濃度が4at%以上であることとする。
ここで、前記処理層のアルミニウム平均濃度を確保するためには、前記ショットブラスト処理されるアルミ酸化物粒子集合体が全体でアルミ酸化物を80質量%以上含むことが好ましい。そして、この場合でも、前記ショットブラスト処理されるアルミ酸化物粒子が単一粒子中にアルミ酸化物を80質量%以上含むことが更に好ましい。
本発明表面処理チタン材を、より耐高温酸化性に優れたものとするためには、基材である純チタンまたはチタン合金自身の耐高温酸化性を高めることが好ましい。
このためのチタン合金の成分としては、Siを0.15〜2質量%含む態様が好ましい。このためのチタン合金の組織としては、等軸結晶粒組織の平均結晶粒径が15μm以上である態様が好ましい。
また、チタン合金組織の他の態様として、基材であるチタン合金の耐高温酸化性を高めるために、チタン合金が針状組織を有する態様も好ましい。
また、基材である純チタンの耐高温酸化性を高めるために、純チタンが針状組織を有する態様も好ましい。
更に、上記目的を達成するための、本発明耐高温酸化性に優れたエンジン排気管の要旨は、排気管が上記表面処理チタン材で構成されていることである。
従来から、チタン材の耐高温酸化性を高めるために、Al系の各種表面処理を行なうことは、前記特許文献1〜5でも公知である。しかし、これらチタン材のAl系各種表面処理は、800℃程度の耐高温酸化性に対して効果を有するものであるが、800℃を越える850℃の、より高温の耐高温酸化性を実用的な意味で高めることができない。
これは、従来のAl系の各種表面処理では、本発明表面処理に比して、処理層の基材との一体化が弱く、800℃を越える850℃の、より高温の耐高温酸化性には効果が弱くなるものと推考する。
これに対して、本発明では、ショットブラスト処理によってアルミ酸化物粒子がチタン材中に埋め込まれ、チタンマトリックスとアルミ酸化物とが一体となった表面処理層を有しており、この表面処理層が、800℃を越える850℃の、より高温の耐高温酸化性を向上させる。
以下に、本発明の実施態様と、本発明の各要件の限定理由とを具体的に説明する。
(アルミ酸化物粒子ショットブラスト処理層)
本発明では、チタン材の800℃を越える、より高温の耐高温酸化性(以下、単に耐高温酸化性とも言う)を向上させるために、アルミ酸化物粒子を、ショットブラスト処理により、チタン材表面に高速で噴射投射する。そして、チタン材である純チタンまたはチタン合金の表面に、アルミ酸化物粒子を埋め込み、アルミ酸化物を主体とする基材チタンと一体となった処理層を形成する。前記した通り、このアルミ酸化物を主体とする基材チタンと一体となった処理層が、800℃を越える850℃などの、より高温の耐高温酸化性を向上させる。
(アルミニウム平均濃度)
このアルミ酸化物粒子の埋め込み層(ショットブラスト処理層)のアルミ酸化物含有量(アルミ酸化物濃度)は、アルミニウムとしての濃度として4at%以上とする。このアルミニウム平均濃度が4at%未満の場合、アルミ酸化物粒子のショットブラスト処理層における、アルミ酸化物含有量が不足し、純チタンやチタン合金などのチタン材の耐高温酸化性が不足する。また、耐高温酸化性も低下する。
このアルミニウム平均濃度の上限は特になく、アルミニウム平均濃度が高ければ高いほど、優れた耐高温酸化性の向上効果が期待できる。このため、実質的なアルミニウム平均濃度の上限は、ショットブラスト処理能力や処理条件の限界により決定される。なお、前記した特許文献6でも、アルミナなどの硬質粒子をショットブラスト処理しているが、これは、チタン合金表面のAl溶融めっきなどのAl含有層中に生じる空隙や不めっき部分を埋めて無くすためである。したがって、本発明のようにショットブラストされたアルミナをチタン表面に、あるいは特許文献6でもAl含有層中に埋め込むものでは決してない。即ち、ショットブラストされたアルミナは、チタン表面あるいは特許文献6のAl含有層表面に衝突後に順次脱落していく。
(アルミニウム平均濃度測定)
ショットブラスト処理層中のアルミニウム平均濃度 (含有量:at%) は、X線マイクロアナリシス分析(Electron Probe Micro Analysis 、略してEPMA)の中の波長分散方式(Wave Dispersive Spectroscopy、略してWDS )での表面定量分析により測定できる。より詳細には、最表面の分析部をX500〜X1000 に拡大し、まず定性分析により存在元素を調べた後、それぞれの存在量をZAF 法を用いた半定量分析により定量的に濃度を求めることが出来る。最表面の濃度は分析時の電子線の侵入深さにより変わるが、分析時の加速電圧を15kvの一定にすることで、1 〜2.5 μm 程度の電子線侵入深さとなる。したがって、本発明におけるアルミニウム平均濃度とは、ショットブラスト処理層表面から1 〜2.5 μm 程度の深さまでのアルミニウム平均濃度を意味する。以下、ショットブラスト処理層中のアルミニウム平均濃度とは、このように定義される濃度を意味する。
(ショットブラスト処理層厚み)
ショットブラスト処理層は、チタン表面における連続的な厚みを有する膜乃至層ではなく、不連続な厚みが大きく異なる膜乃至層となりやすい。このため、ショットブラスト処理層の実際の厚みを計測し、平均化して定量化する、あるいは好ましい厚みとして数値的に規定することは非常に困難である。また、連続的な厚みを有する膜乃至層となったとしても、厚みが大きく異なるために、同じく定量化することは非常に困難である。この点、チタン表面の任意の数箇所の100倍程度の光学顕微鏡による断面観察から計測して平均化した厚みとして敢えて言うならば、連続的な厚みを有する膜乃至層にせよ、不連続な膜乃至層にせよ、ショットブラスト処理層は平均で1 μm 以上の厚さが好ましい。一方、ショットブラスト処理層をあまり厚くすると、過度のショットブラストによりチタン基材の変形を招く恐れがあり、平均で20μm を越えて厚くする必要は無い。
(ショットブラスト処理)
チタン材である純チタンまたはチタン合金の表面に、アルミ酸化物粒子を埋め込み、アルミ酸化物を主体とする基材チタンと一体となった処理層を形成するためには、前提として、ショットブラスト処理を選択する。ショットブラスト処理によれば、チタン材表面に高速でアルミ酸化物粒子を噴射、投射でき、アルミ酸化物の基材へ埋め込むことができる。この結果、アルミ酸化物を主体とする基材チタンと一体となった処理層を形成できる。
これに対して、従来の蒸着法やPVD法、焼成法では、チタン材表面に高速でアルミ酸化物粒子を噴射、投射できず、アルミ酸化物の基材への埋め込み力が不足する。このため、チタン材表面に、アルミ酸化物からなる表面層は形成できるものの、この表面層にはチタン成分が殆ど含まれない。したがって、この表面層は、基材チタンとは組成的に分離乃至区分された表面層であり、本発明のアルミ酸化物を主体とする基材チタンと一体となった処理層を形成できない。
本発明のアルミ酸化物を主体とする基材チタンと一体となった処理層を形成するためには、ショットブラストの投射圧は3〜7気圧が好適である。この投射圧が低すぎる場合は、アルミ酸化物の基材への埋め込み力が不足する。この結果、表面での処理層の形成が十分でなく、また、処理層のアルミニウム平均濃度を4at%以上とすることも困難である。一方、この投射圧が高すぎると、チタン材自体(基材)の変形を招くだけではなく、処理層の厚さの増加も飽和してくるので不適である。
(アルミ酸化物粒子)
本発明でショットブラスト用に使用できるアルミ酸化物粒子としては、実質的に、アルミ酸化物が有効に作用する粒子集合体(粉体、粉末)であればよい。この具体的な態様として、粒子の集合体が100%アルミ酸化物粒子からならずとも、他の酸化物粒子や化合物粒子を含んでも良い。また、アルミ酸化物の単一粒子が、100%アルミ酸化物組成からならずとも、アルミ酸化物の単一粒子中に他の酸化物や化合物を含んでも良い。
但し、チタン材表面のショットブラスト処理層のアルミニウム平均濃度を4at%以上に確保するためには、ショットブラスト処理されるアルミ酸化物粒子集合体(粉体、粉末)が、全体でアルミ酸化物(Al2O3 )を80質量%以上含むことが好ましい。アルミ酸化物粒子集合体に、アルミ酸化物以外の、他の酸化物粒子や化合物を含む場合でも、単一粒子中にアルミ酸化物を多く含むアルミ酸化物粒子の、集合体に対する割合を多くして、集合体が全体でアルミ酸化物を80質量%以上含むようにする。
この際、前記ショットブラスト処理されるアルミ酸化物粒子が単一粒子としても、単一粒子中にアルミ酸化物(Al2O3 )を80質量%以上含むことが更に好ましい。言い換えると、アルミ酸化物単一粒子中の他の酸化物や化合物を20質量%未満に抑制することが好ましい。このように、アルミ酸化物単一粒子中にアルミ酸化物(Al2O3 )を80質量%以上含むことによって、前記粒子集合体全体としての、前記アルミ酸化物割合も確保できる。
アルミ酸化物以外の混合(混入)されやすい他の酸化物(不純物)としては、Na2O、TiO2、Fe2O3 、SiO2等がある。これらの酸化物は、粒子としてアルミ酸化物粒子の他に粒子集合体(粉体、粉末)に混合(混入)される場合でも、アルミ酸化物単一粒子中に成分として混合(混入)される場合でも、前記アルミ酸化物量を確保できる量とする。
なお、ここで、アルミ酸化物粒子の混合形態のように、アルミ酸化物を含まない他の粒子と混合して使用する場合も、高温塩害腐食抑制効果へのアルミ酸化物の寄与が主体となっている場合は本発明に含まれる。
ショットブラスト処理されるアルミ酸化物粒子は市販のものが使用できるが、本発明でショットブラスト用に使用できるアルミ酸化物粒子の粒径は、90%以上のアルミ酸化物粒子の粒径が180〜425μmの範囲程度が好ましい。90%以上のアルミ酸化物粒子の粒径が、これよりも、細かくあるいは粗くなると、アルミ酸化物をショットブラストによりチタン表面に埋め込みにくくなる。
これらアルミ酸化物粒子は、一般的に、溶湯直接粉化として、アトマイズ法や溶湯攪拌法、回転円盤滴下法、機械的粉化として、スタンプミル法、ボールミル法、振動ミル法、アトライター法など、公知の方法で製造される。
(適用チタン材)
本発明で言うチタン材とは、圧延などの塑性加工や成形加工によって、板、条、線、管などの種々の形状とされた、純チタンまたはチタン合金のことを言う。本発明では、表面処理される対象となるチタン材を限定するものではなく、用途の要求特性 (機械的性質等) に応じて、α合金、α−β合金、β合金などのチタン合金あるいは純チタン(JIS 1種〜4種)が使用できる。チタン合金としては、汎用される、Ti-1.5Al、Ti-0.5Al-0.45Si-0.2Nb 、Ti-6Al-4V 、Ti-3Al-2.5V 、Ti-15V-3Al-3Sn-3Cr、Ti-1Cu等や、これら合金成分を変更した合金が使用できる。
(耐高温酸化性に優れたチタン材)
また、特に排気管用途に使用する場合は、基材(母材)となるチタン材自身が上記した汎用されるチタン合金あるいは純チタンに対して、耐高温酸化性に優れていることが好ましい。これらの耐高温酸化性に優れるチタン材の好ましい態様を以下に説明する。
(Si含有)
成分的には、チタン合金がSiを0.15〜2質量%含む場合に、850℃などのより高温での耐高温酸化性が向上する。即ち、チタン合金として、Siを0.15〜2質量%含み、残部チタンおよび不可避的不純物からなることが好ましい。
Siは、耐高温酸化性の向上に効果がある。また、高温強度も向上させる。このためには、Siを0.15質量%以上含有させる。一方、Si含有量が2質量%を越えると、成形性の劣化が著しく、チタン合金の排気管への成形加工が困難となる。
(Nb、Mo、Cr)
Nb、Mo、Crも、Siよりは効果が劣るが、耐高温酸化性向上に有効であり、Siと複合添加(共存)することで相乗効果が期待できる。このため、更に、Nb、Mo、Crの内から選択される1種または2種以上を、前記Siとの合計含有量で2質量%以下含んでも良い。これらの元素のSiとの合計量が2質量%を超えると、成形性が劣化し、排気管への成形加工が困難となる。
(チタン材組織)
チタン材を、耐高温酸化性に優れさせるためには、以上説明した成分組成の他に、本発明のチタン材組織を以下に説明する好ましい態様とする。即ち、Si含有チタン合金最表面のSiの平均濃度を高める、チタン材組織の平均結晶粒径を大きくする、チタン材を針状組織とする、の内から1種または2種以上選択されるチタン合金組織とすることが好ましい。これらの組織を上記成分組成と適宜組み合わせて用いることで、相乗効果も期待できる。また、Alの添加は800℃以上の酸化環境では酸化スケールの剥離を誘発するので、例えば0.30質量%未満に添加量を制限する必要がある。これに対して、上記Si含有チタン合金最表面のSiの平均濃度を高める、チタン材組織の平均結晶粒径を大きくする、チタン材を針状組織といった方策を併用することで、高温等での機械的特性の調整のためのAlの添加を例えば0.30質量%以上に積極的に行うことができるようになる。
(最表面のSi濃化)
上記Si含有チタン合金最表面にSiを濃化させ、Siの平均濃度を高めるほど、耐高温酸化性に優れる。このためには、チタン合金最表面のSiの平均濃度を0.5at%以上とすることが好ましい。この最表面に濃化しているSiはチタン中に固溶したSiであってもよく、Ti5 Si3 等のTiとSiとの金属間化合物や、Siの酸化物、炭化物等の化合物形で存在してもよい。
この最表面のSi濃度は、基本的には、チタン合金(基材)のSi含有量とともに高くなるものであり、規定の範囲のSi含有量を満足して、通常通りチタン合金を製造すれば、チタン合金最表面のSiの平均濃度が0.5at%以上に濃化される可能性がある。しかし、一方で、製造方法によっては、酸素や炭素等の表面汚染層が数μm の深さまで存在するような場合があり、このような場合には、最表面に存在するSi量の平均濃度が0.5at%未満となり、優れた耐高温酸化性向上効果が望めない可能性も高い。それゆえ、チタン合金最表面のSi濃度は、チタン合金のSi含有量によって一律に決まるものではない。このため、チタン合金最表面のSiの平均濃度を0.5at%以上とする場合には、チタン合金の製造において、酸素や炭素等の表面汚染層が形成されないような製造条件を特に選択することが好ましい。
このチタン合金最表面のSi濃度は、X線マイクロアナリシス分析(Electron Probe Micro Analysis 、略してEPMA)の中の波長分散方式(Wave Dispersive Spectroscopy、略してWDS )での表面定量分析により測定できる。より詳細には、最表面の分析部をX500〜X1000 に拡大し、まず定性分析により存在元素を調べた後、それぞれの存在量をZAF 法を用いた半定量分析により定量的に濃度を求めることが出来る。最表面の濃度は分析時の電子線の侵入深さにより変わるが、分析時の加速電圧を15kvの一定にすることで、1 〜2.5 μm 程度の電子線侵入深さとなる。したがって、最表面のSi濃度とは、表面から1 〜2.5 μm 程度の深さまでのSiの平均濃度を意味する。以下、最表面のSi濃度とはこのように定義される濃度を意味する。
(等軸粒)
常法により製造した場合、チタン材組織は等軸粒となる。この等軸粒組織により、チタン合金の成形性や機械的特性(強度)などの特性が確保される。
(平均結晶粒径)
一方、この等軸粒組織の場合に、チタンの高温酸化性に対しては、その平均結晶粒径が大きく関与する。すなわち平均結晶粒径がある程度大きい方が耐高温酸化性が向上する。具体的には平均結晶粒径が15μm以上でこの効果が現れ、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上でこの効果は顕著になる。一方で、平均結晶粒径が過度に大きくなると、成形時の肌荒れの問題が生じるので、この問題が重要視される用途の場合には、平均結晶粒径の上限は150〜200μm程度となる。
耐高温酸化性に結晶粒径が影響する理由は、現時点では明確にできていないが高温酸化の進行のメカニズムに関係すると推測される。すなわち、高温に曝された際に生じるチタン表面からの酸素の拡散進入は、結晶粒界において起こりやすく、このため、粒界部の存在割合が小さい平均結晶粒径の大きい材料の方が高温酸化が抑制されるものと考えられる。
チタン材製造の常法と言える冷間圧延の圧下率は、材質で異なるが概ね20〜70%である。またその後実施される焼鈍の温度は600〜800℃であり、真空焼鈍のような焼鈍時間が数時間〜十数時間の長時間になる焼鈍では600〜700℃程度の低温側の温度条件が採用され、連続焼鈍酸洗のような短時間の処理では700〜800℃の高温側の温度条件が採用される。チタン合金の場合、合金元素が結晶粒成長を阻害する場合が多く、このような常法の範囲で、チタン材を冷間圧延、焼鈍しても、平均結晶粒径を15μm以上にすることは難しい。
これに対して、チタン合金の平均結晶粒径を15μm以上に大きくするためには、冷間圧延の圧下率を20%以下に小さくするとともに、焼鈍温度を825℃以上かつβ変態点以下の条件に高温化する。更に、好ましい圧下率は15%以下で、さらに好ましくは10%以下である。また、好ましい焼鈍温度は850℃以上、β変態点以下である。この焼鈍温度がβ変態点温度を越えると、後述する針状組織となる。したがって、部材の結晶粒を等軸粒にし、良好な成形性や機械的特性を工業的に安定して得ることを重視する場合には、焼鈍温度の上限は、β変態点温度以下とする。
(Al含有量との関係)
ここで、チタン材の組織を、その平均結晶粒径を15μm以上とした比較的粗大な等軸結晶粒組織とすれば、前記した通り、Alを0.30質量%未満に規制しなくても良い。即ち、これら比較的粗大な等軸結晶粒組織の作用により、耐高温酸化性が向上する分、Alによる耐高温酸化性低下作用が抑制される。そして、この効果は、チタン材の前記した平均結晶粒径が大きいほど大きくなる。
(結晶粒径の測定方法)
本発明で言う結晶粒径とは、チタン合金や純チタンなどのチタン材の圧延(L) 方向断面の平均結晶粒径である。この結晶粒径は、チタン材から採取した試料 (試験片) 断面を0.05〜0.1mm 粗研磨した後、鏡面研磨し、この後エッチングした表面を、100 倍の光学顕微鏡を用いて観察し、前記L 方向にラインインターセプト法で測定する。1 測定ライン長さは0.95mmとし、1 視野当たり各3 本で合計5 視野を観察することにより、全測定ライン長さを0.95×15mmとする。このように、板の先端部と後端部とを除く、チタン材中央部の任意の10箇所において測定した各平均結晶粒径を、更に平均化したものをチタン材の平均結晶粒径とする。
(針状組織)
ここで、これら等軸粒により、チタン合金や純チタンなどのチタン材の上記成形性や機械的特性などの特性を多少犠牲にしても差し支えのない用途の場合には、耐高温酸化性の更なる向上のために、チタン材をβ変態点以上で加熱して生成させた針状組織にしても良い。
一般的にチタン材の組織は、冷間圧延後β変態点以下で最終焼鈍されているので等軸組織を呈している。これに対して本発明では、耐高温酸化性に優れさせるために、チタン材の組織を、等軸粒ではなく、針状組織としても良い。この針状組織の形成法は、特に限定するものではなく、チタン材をβ変態点以上に加熱することにより得られる。例えばチタン材を冷間圧延後、β変態点以上に加熱後冷却することにより生成させることができる。また、冷間圧延後、等軸組織になるようにβ変態点以下で焼鈍され、もともと等軸組織を呈しているコイル、シート、加工成型部材等を、β変態点以上に再加熱、冷却することによっても生成させることができる。すなわち、最終加熱温度がβ変態点以上であれば、針状組織は得られる。
チタン材の組織を、上記等軸結晶粒組織ではなく、このような針状組織とした場合、等軸組織の場合のように平均結晶粒径を求めることはできない。このように、針状組織自体は、通常の平均結晶粒径やアスペクト比などで規定しにくいが、この針状組織の履歴である製造方法により明確に規定される。即ち、この針状組織は、純チタンまたはチタン合金をβ変態点以上に加熱する熱処理により生成した針状組織と規定される。チタン材の組織をこの針状組織とすれば、前記した通り、Alを0.30質量%未満に規制しなくても良い。これら針状組織により、耐高温酸化性が向上する分、Alによる耐高温酸化性低下が抑制される。
この針状組織は、前記した等軸粒における結晶粒径の制御と違って、冷間圧延の圧下率にかかわりなく(圧下率を制御しなくとも)、ただ、最終的にβ変態点以上の温度に加熱後、冷却することで、必然的に(簡便に)得られる。実際の用途からくる製品厚さの制約条件によっては、冷間圧延の圧下率を自由に選択、制御できないような場合も起こり得る。そのような場合には、耐高温酸化性を向上させるためには、等軸粒組織にこだわらず、この針状組織化を選択することも有用である。なお、上記加熱後の冷却は放冷で良く、急冷乃至強制冷却する必要は無い。
前記した通り、チタン材の組織を、その平均結晶粒径を15μm以上とした比較的粗大な等軸結晶粒組織とするか、チタン材を冷間圧延後、β変態点以上に加熱後冷却することにより生成した針状組織とした場合には、Alを0.30質量%未満に規制しなくても良い。これら比較的粗大な等軸結晶粒組織か針状組織による耐高温酸化性が向上する分、Alによる耐高温酸化性低下が抑制されるからである。したがって、チタン材が、これら比較的粗大な等軸結晶粒組織か針状組織を有する場合には、AlをSiとの合計含有量で2質量%以下含むことを許容する。
(製造方法)
本発明で用いるチタン材の製造方法は、上記製造方法の好ましい態様や、組織作り分けの条件はあるものの、その工程自体は、鋳塊溶製、熱間鍛造、熱延、焼鈍、冷間圧延、焼鈍あるいは熱処理等からなる常法により製造できる。そして、耐高温酸化性を向上させるための好ましい組織などの作り分けは、前記した通り、冷間圧延、焼鈍あるいは熱処理条件を変えて行なう。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより、下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
表2、3に記載した各チタン材の試験片の片面に対して、表1に示すa〜c の3 種のアルミ酸化物粒子粉末(集合体)を用いたショットブラスト処理を行った。そして、これらの試験片片面側のショットブラスト処理面について、800℃を越える、より高温の耐高温酸化性を評価した。
(チタン材の製造)
各チタン材については、各成分組成の約120gの鋳塊をボタンアーク炉にて溶製し、これら各鋳塊を、熱間鍛造、熱延、焼鈍、冷間圧延を常法にて行い、共通して、厚さ2mmの冷間圧延板を作製した。この冷延板を脱脂し、所定の温度と条件で焼鈍を行い組織を各々調整した。また、必要に応じて脱スケールを行なった。この冷間圧延板から2mmt ×25mmw ×25mml の試験片を採取した。なお、表3の中の21〜24の汎用純チタン、25〜29の汎用チタン合金は市販のものを用い、この中でも、21、22の汎用純チタンのみは、下記加熱による針状組織への調整のみを行なった。
(ショットブラスト処理)
ショットブラスト処理条件は、表4〜7に示す、各投射圧条件で行い、試験片面とショットブラストノズル間の距離は共通して約5cmとした。そして、共通して、試験片表面がほぼ均一なショットブラスト肌になるまで、各アルミ酸化物粒子粉末を、繰り返し、チタン材表面に高速で噴射投射した。投射時間は、各試験片について、共通して、片面2〜5秒とした。
(平均結晶粒径制御)
表2、3に記載したチタン材の内、試験片の平均結晶粒径が10μm以下(表1、2に<10と記載)の例は、チタン材の冷間圧延の圧下率を、常法の範囲内の概ね40%とした。また、その後実施される焼鈍条件も、800℃×均熱時間6 分の真空焼鈍とした。
これに対して、試験片の平均結晶粒径が15μmを越える例は、上記常法とは異なり、所望の平均結晶粒径の大きさによって、チタン合金の冷間圧延の圧下率を20%以下の範囲から選択して小さくするとともに、真空焼鈍における焼鈍温度を825℃以上かつβ変態点以下の条件範囲から選択して高温化した。均熱時間は6 分とした。この条件範囲内で、冷間圧延の圧下率をより小さくし、焼鈍温度をより高温化するほど、平均結晶粒径は大きくなる。
(針状組織)
また、表2、3に示す、針状組織を得た例は、冷間圧延の圧下率は常法の範囲内の概ね40%とし、冷延板を、チタン材のβ変態点を超える950℃で均熱時間6分間の真空加熱をした。なお、21、22の市販の汎用純チタンのみは、この加熱による針状組織への調整のみを行なった。針状組織を得た例は供試材から採取した試験片全体の組織が針状組織であった。
(最表面Siの平均濃度制御)
表2に示す、チタン合金最表面のSiの平均濃度が0.5at%以上である、最表面Siの濃化例は、概ね圧下率が40%の冷間圧延後、真空焼鈍に代えて、850℃で6分間大気焼鈍した後、チタン合金最表面に酸素や炭素等の表面汚染層を数μm の深さまで存在させないように、600℃の溶融ソルト(NaNO3 55質量% 、NaOH35質量% 、残KCl 、NaCl等を含有)に1分間浸漬した後、HF 1質量% 、HNO3 20 質量% 、60℃の水溶液に浸漬して、板厚で片面50μm 酸洗除去した後、直ちに水流により十分に撹拌された流水中に2 分浸漬し、次いで撹拌された80℃の水に3 分間浸漬し湯洗を実施して供試材とした。なお、酸洗後十分な流水浸漬と湯銭を実施したのは、酸洗後の洗浄が不十分となり、酸洗後のチタン表面に厚い酸化皮膜や酸洗液中の不純物の付着膜が形成され、表面Si濃度が低下するのを防ぐためである。
焼鈍後の、このような条件の酸洗処理を施し、200 μm 表面を酸洗溶削(片面100 μm )したことで、冷間圧延時に圧延油との反応で最表面に生じた酸素や炭素等の表面汚染層(濃化層)などが完全に除去され、またこれに加えて酸洗後十分な流水浸漬と湯銭を実施したため、その分、最表面のSi濃度が相対的に増加していると推考される。
この製造条件での試験片の平均結晶粒径は10μm以下であり、試験片の平均結晶粒径が15μmを越える例は、冷間圧延における圧下率を20%以下の範囲から選択し、より大きな平均結晶粒径を得たい場合には、より圧下率を小さくした。また、組織を針状組織とした例での、最表面Siの濃化は、上記大気焼鈍の工程のみをチタン合金のβ変態点を超える950℃で6分間の条件に代えて、後は、上記最表面Siの濃化のための同じ工程、条件で行なった。
(最表面Siの平均濃度測定)
表2に示す、各試験片の最表面のSi平均濃度(at%)は以下の方法で分析した。すなわち分析前のチタン試料に数分間アセトンによる超音波洗浄を施し、表面に付着している油分等の汚染物を除去した後、日本電子社製EPMA分析装置JXA-8900RLを用い分析した。分析倍率はX500、加速電圧は15kvとし、定性分析により表面に存在する元素を調べた後、存在元素の存在量をZAF 法を用いた半定量分析により求めた。
(ショットブラスト処理層のアルミニウム平均濃度測定)
表4〜7に示す、ショットブラスト処理層のアルミニウム平均濃度(表には平均Al含有量at%と記載)も、EPMA分析装置を用いた前記した分析方法により行なった。
(ショットブラスト処理層厚み)
表4〜7に示す各例とも、ショットブラスト処理層の厚みは、前記した断面観察による測定結果では、共通して、好ましい平均厚み1 μm 〜20μm の範囲内であった。
(耐高温酸化性)
表4〜7に示す、各試験片の耐高温酸化性は、高温酸化試験により評価した。即ち、これらの試験片を、800℃を越える850℃で100時間の高温大気中に曝した場合の、高温酸化試験前後における試験片の重量増加(酸化増量:mg/cm2 )を測定した。そして、重量増加が少ないものほど、850℃での耐高温酸化性に優れると評価した。
具体的には、重量増加が5 mg/cm2 以下を排気マフラー用として耐高温酸化性が非常に優れているとして◎、重量増加が20mg/cm2 以下であれば、排気マフラー用として耐高温酸化性が一応合格であり○と評価した。そして、重量増加が20mg/cm2 を越える場合には、排気マフラー用として耐高温酸化性が不合格であり、×と評価した。
表4に示す発明例1〜11、表5に示す発明例12〜15、16〜20、表6に示す発明例21〜24、25〜29は、アルミ酸化物粒子によるショットブラスト処理層を有し、この処理層のアルミニウム平均濃度が4at%以上であり、本発明の要件を満足する。また、表4〜6に示すショットブラスト処理も好ましい条件範囲内である。
この結果、これら発明例は、母材(基材)チタン材は同じだが、アルミ酸化物粒子によるショットブラスト処理層が無い、表4に示す比較例1〜11、表5に示す比較例12〜15、16〜20、表6に示す比較例21〜24、25〜29の各比較例に比して、各々850℃での耐高温酸化性に優れている。
また、これら発明例のショットブラスト処理層を100倍の光学顕微鏡で組織観察した結果、チタンマトリックス内にアルミ酸化物粒子が一体に埋め込まれた組織を有していた。
(成分、組織の影響)
なお、表4に示す発明例(比較例)1〜11、表5に示す発明例(比較例)12、13、19は、表2に示す通り、母材のチタン材が、Siを単独で含有させたり、更に、SiをNb、Mo、Crと複合添加した、Si入りチタン合金である。また、これに加えて、等軸粒平均結晶粒径を15μm以上に大きくしたり、最表面Si濃度を濃化させたり、等軸粒を針状組織化させたりしている。
また、表6に示す発明例(比較例)21、22の純チタンは、表3に示す通り、等軸粒を針状組織化させている。
これらの母材の耐高温酸化性向上手段によって、これらの表4に示す比較例1〜11、表5に示す比較例12、13、19、表6に示す比較例21、22は、アルミ酸化物粒子によるショットブラスト処理層が無くても、各々850℃での耐高温酸化性に優れている
ただ、これら各々対応する発明例と比較例との対比において、これら母材のチタン材にアルミ酸化物粒子によるショットブラスト処理した発明例は、850℃での耐高温酸化性に優れていることが分かる。
表7に示す、各比較例21〜24は、アルミ酸化物粒子によるショットブラスト処理層を有する。しかし、表1に示す、ショットブラスト処理されるアルミ酸化物粒子集合体中のアルミ酸化物が80質量%未満のcの粉末を用いているか、表7に示す通り、投射圧が2気圧と3気圧未満であり、好ましい条件から外れた条件で、ショットブラスト処理を行なっている。
このため、表7に示す、各比較例21、22は、ショットブラスト処理層のアルミニウム平均濃度は4at%未満と不足している。この結果、各比較例21、22は、母材の針状組織により、各々850℃での耐高温酸化性に優れているものの、ショットブラスト処理層による、850℃での耐高温酸化性の向上効果は見られない。
また、表7に示す、各比較例23〜24も、ショットブラスト処理層のアルミニウム平均濃度は4at%未満と不足している。この結果、各比較例23〜24は、母材に耐高温酸化性の向上効果が無ため、850℃での耐高温酸化性に劣っており、ショットブラスト処理層による、耐高温酸化性の向上効果は見られない。
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本発明によれば、800℃を越える、より高温での耐高温酸化性に優れたチタン合金およびエンジン排気管を提供できる。また、本発明は800℃を超えるより高温での耐酸化性に特に優れるが、800℃以下の環境においても、従来材よりも優れた耐酸化性を有し、有用であることは言うまでもない。

Claims (9)

  1. 純チタンまたはチタン合金であるチタン材の表面に、アルミ酸化物粒子によるショットブラスト処理層を有し、この処理層のアルミニウム平均濃度が4at%以上であることを特徴とする耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材。
  2. 前記ショットブラスト処理されるアルミ酸化物粒子集合体が全体でアルミ酸化物を80質量%以上含む、請求項1に記載の耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材。
  3. 前記ショットブラスト処理されるアルミ酸化物粒子が単一粒子中にアルミ酸化物を80質量%以上含む、請求項1または2に記載の耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材。
  4. 前記チタン材がSiを0.15〜2質量%含むチタン合金である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材。
  5. 前記チタン材が等軸結晶粒組織の平均結晶粒径が15μm以上であるチタン合金である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材。
  6. 前記チタン材が針状組織を有するチタン合金である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材。
  7. 前記チタン材が針状組織を有する純チタンである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材。
  8. 前記チタン材の用途がエンジン排気管である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の耐高温酸化性に優れた表面処理チタン材。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項の表面処理チタン材で構成されたエンジン排気管。
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