JP4157485B2 - セメント組成物及び急硬グラウト材 - Google Patents

セメント組成物及び急硬グラウト材 Download PDF

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Description

本発明は、主に、土木・建築分野、特に、早期強度発現性が必要とされる箇所に使用されるセメント組成物、及び急硬グラウト材に関する。
土木・建築分野において、セメント系のグラウト材は多量に使用されている。特に、空港、港湾、及び道路等におけるコンクリート舗装版下の空隙部の充填や、トンネル工事における支保工と地山との隙間への充填など、その用途は多岐に及んでいる。
そして、これら用途に用いるグラウト材は短時間で強度発現することや材料分離が無いことなど、その要求はますます厳しいものとなっている。
一方、セメント系の材料には微量ではあるがクロムが含まれており、また、セメント製造時に、産業廃棄物の処理量が増加したことなどにより、クロム含有量が比較的多いセメントもまれに見られているる。
水質汚濁防止法では、下水や河川等の公共用水域に排出される水の排水及び地下に浸透する水を規制する目的で、人体に悪影響をおよぼす有害物質について排水基準値が定められている。
通常のセメント硬化体からは排水基準値(0.5mg/l)を超えるような量の六価クロムは溶出しないが、例えば、トンネルを構築するにおいて、上部に構造物があったり、土被りが薄い場合、土被り部の緩み防止や切羽の崩壊を防止する目的で、支保工を建て込んだ後に支保工の外周面と地山との空隙に袋体を装填し、その袋体内にモルタル充填材を圧入して、周囲地山にプレロードを導入し地山の変形を防止する工法のように、袋体にモルタル充填材を圧入後、袋の網目より若干量のペーストが滲み出すことがあることや、地山に水脈が存在したり、湧水がある場合には、モルタルが固化する前にモルタルを充填した袋体表面が水により洗われることにより六価クロムの溶出が容易な条件となることが考えられ、排水基準値を超える量の六価クロムが溶出することも懸念される(特許文献1参照)。
しかしながら、この用途に用いるモルタル充填材の六価クロムの溶出に関して、抜本的な対策は施されていないのが実状である。
六価クロムは、還元剤や吸着剤等によってその溶出量を低減する方法が提案されている。ところが、これら還元剤や吸着剤は、セメント・コンクリート分野へ利用するには、あまりにも高価なものであり、ほとんど利用されていないのが実状である。
高炉スラグのうち、高炉水砕スラグを粉末化した高炉水砕スラグ粉末が、六価クロムの還元剤として作用することも知られている。
さらには、周囲地山にプレロードを導入し地山の変形を防止する工法では、土被り部の緩み防止や切羽の崩壊を防止するため、袋体にグラウト材を圧入する際、圧入時は、流動性に優れること、材料分離がないこと、及び可使時間が確保されることが、また、圧入後は、短時間で強度発現すること、収縮がないことなどが必要とされている。
本発明者は、鋭意努力を重ね、特定の急硬グラウト材を用いることにより、また、特定の工法を用いることにより、前記課題が解消できるという知見を得て本発明を完成するに至った。
特開平07−293195号公報
本発明は、特に、地山変形防止工法において、袋体にグラウト材を圧入時には、流動性に優れ、高充填性を確保し、材料分離がなく、可使時間が確保され、また、圧入後は、短時間で強度発現し、収縮がなく、袋体からの有害な六価クロム溶出量の低減が可能となる急硬グラウト材を提供することにある。
本発明は、セメント、CaO/Al モル比が0.75〜3であり、ブレーン比表面積値が3,000〜9,000cm /gであるカルシウムアルミネート化合物、ブレーン比表面積値が3,000〜9,000cm /gである無水セッコウ、非硫酸態イオウの含有量が0.5%以上であり、ガラス化率が30%以下であり、ブレーン比表面積値が4,000cm /g以上である高炉徐冷スラグ粉末、及びブレーン比表面積値が4,000〜12,000cm /gであり、遊離石灰−アウイン−無水セッコウ系及び/又は遊離石灰−アウイン−カルシウムアルミノフェライト−無水セッコウ系である膨張材からなる結合材において、カルシウムアルミネート化合物と無水セッコウからなる急硬成分が結合材100部中10〜50部、高炉徐冷スラグ粉末が結合材100部中5〜50部、膨張材が結合材100部中1〜5部である結合材と、結合材100部に対し凝結調整剤0.1〜2部を含有してなるセメント組成物であり、セメント組成物と、結合材100部に対して50〜250部の細骨材、及び水/結合材比が60%以下である水からなる急硬グラウト材である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
本発明で使用するカルシウムアルミネート化合物(以下、CA化合物という)とは、CaOとAl2O3を主成分とする化合物を総称するものであり、その具体例としては、例えば、CaO・2Al2O3、CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、11CaO・7Al2O3・CaF2、及び3CaO・3Al2O3・CaSO4などと表される結晶性のカルシウムアルミネート類や、CaOとAl2O3を主成分とする非晶質の化合物が挙げられる。
CA化合物のCaO/Al2O3モル比は、0.75〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。0.75未満では充分な初期強度発現性が得られない場合があり、CaO/Al2O3モル比が3を超えると充分な流動性や可使時間が得られない場合がある。
CA化合物を得る方法としては、CaO原料とAl2O3原料等をロータリーキルンや電気炉等によって熱処理して得る方法が挙げられる。
CA化合物を製造する際のCaO原料としては、例えば、石灰石や貝殻等の炭酸カルシウム、消石灰等の水酸化カルシウム、及び生石灰等の酸化カルシウムを挙げられる。
また、Al2O3原料としては、例えば、ボーキサイトやアルミ残灰と呼ばれる産業副産物のほか、アルミ粉等が挙げられる。
CA化合物を工業的に得る場合、不純物が含まれることがあり、その具体例としては、例えば、Li2O、Na2O、K2O、MgO、TiO2、MnO、Fe2O3、SiO2、P2O5、S、及びFなどが挙げられる。これらの不純物の存在は本発明の目的を実質的に阻害しない範囲、例えば、不純物の合計が10%以下では特に問題とはならない。
また、CA化合物としては、4CaO・Al2O3・Fe2O3、6CaO・2Al2O3・Fe2O3、及び6CaO・Al2O3・2Fe2O3などのカルシウムアルミノフェライト、2CaO・Fe2O3やCaO・Fe2O3などのカルシウムフェライト、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2やアノーサイトCaO・Al2O3・2SiO2などのカルシウムアルミノシリケート、メルビナイト3CaO・MgO・2SiO2、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2、及びモンチセライトCaO・MgO・SiO2などのカルシウムマグネシウムシリケート、トライカルシウムシリケート3CaO・SiO2、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO2、ランキナイト3CaO・2SiO2、及びワラストナイトCaO・SiO2などのカルシウムシリケート、カルシウムチタネートCaO・TiO2、遊離石灰、並びに、リューサイト(Na2O、K2O)・Al2O3・SiO2などを含む場合がある。本発明ではこれらの結晶質又は非晶質が混在することも可能である。
CA化合物の粒度は特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で、3,000〜9,000cm2/gが好ましく、4,000〜8,000cm2/gがより好ましい。3,000cm2/g未満では初期強度発現性が充分でない場合があり、9,000cm2/gを超えると流動性や可使時間の確保が困難になる場合がある。
本発明で使用するセッコウ類とは、無水、半水、及び二水の各セッコウを総称するものであり、特に限定されるものではないが、強度発現性の面から、無水又は半水セッコウの使用が好ましく、無水セッコウの使用がより好ましい。
セッコウ類の粒度は、特に限定されるものではないが、通常、ブレーン値で3,000〜9,000cm2/gが好ましく、4,000〜8,000cm2/gがより好ましい。3,000cm2/g未満では寸法安定性が悪くなる場合があり、9,000cm2/gを超えると流動性の確保が困難になる場合がある。
セッコウ類の使用量は、CA化合物とセッコウ類からなる急硬成分100部中、30〜70部が好ましく、40〜60部がより好ましい。30部未満では可使時間の確保が困難になる場合があり、70部を超えると初期強度の発現性が充分でない場合や寸法安定性が悪くなる場合がある。
本発明において、CA化合物とセッコウ類からなる急硬成分の配合割合は、セメント、カルシウムアルミネート類、セッコウ類、高炉徐冷スラグ粉末、及び膨張材からなる結合材100部中、10〜50部が好ましい。この範囲外では、初期強度の発現性が充分でない場合や可使時間の確保が困難な場合や硬化体が長期的に不安定な場合がある。
本発明で使用する高炉徐冷スラグ粉末(以下、徐冷スラグ粉という)は徐冷されて結晶化した高炉スラグの粉末である。
徐冷スラグ粉の成分は高炉水砕スラグと同様の組成を有しており、具体的には、CaO、Al2O3、SiO2、及びMgOなどを主要な化学成分とし、その他の成分として、Na2O、TiO2、MnO、Fe2O3、及びP2O5などが挙げられる。
また、化合物としては、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2とアケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2の混晶である、いわゆるメリライトを主成分とし、その他、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO2、ランキナイト3CaO・2SiO2、及びワラストナイトCaO・SiO2などのカルシウムシリケート、メルビナイト3CaO・MgO・2SiO2、及びモンチセライトCaO・MgO・SiO2などのカルシウムマグネシウムシリケート、アノーサイトCaO・Al2O3・2SiO2、リューサイト(Na2O、K2O)・Al2O3・SiO2、スピネルMgO・Al2O3、マグネタイトFe3O4、並びに、硫化カルシウムCaSや硫化鉄FeSなどの硫化物等を含む場合がある。これら硫化物は徐冷スラグを粉砕することにより粒子表面に露出し、水と接した際にチオ硫酸イオンや亜硫酸イオンとして溶出し、六価クロム還元性能を発揮する。
本発明では、徐冷スラグ粉のうち、例えば、硫化物、多硫化物、イオウ、チオ硫酸、及び亜硫酸等のように非硫酸態イオウとして存在するイオウ(以下、単に非硫酸態イオウという)を0.5%以上含むものを粉末化した徐冷スラグ粉を用いる。非硫酸態イオウが0.5%未満では、本発明の効果、即ち、六価クロムの還元性能が充分に得られない場合がある。非硫酸態イオウは、0.5%以上であり、0.7%以上が好ましく、0.9%以上がより好ましい。非硫酸態イオウ量は、全イオウ量、単体イオウ量、硫化物態イオウ量、チオ硫酸態イオウ量、及び硫酸態イオウ量(三酸化イオウ)を、山口と小野の方法により定量することによって、また、硫酸態イオウ量(三酸化イオウ)と硫化物態イオウ量については、JIS R 5202に定められた方法により定量することによって求められる(「高炉スラグ中硫黄の状態分析」、山口直治、小野昭紘、製鉄研究、第301号、pp.37-40、1980参照)。
本発明で使用する徐冷スラグ粉のガラス化率は30%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。ガラス化率が30%を超えると、本発明の効果、即ち、六価クロムの還元性能が充分に得られない場合がある。ガラス化率が高い場合、ほぼ同量の非硫酸態イオウを含有していても、結晶質である徐冷スラグに比しガラス化率の高いスラグ粉はチオ硫酸イオンなどの溶出が少なく、六価クロムの還元性能は小さい。本発明でいうガラス化率(X)は、X(%)=(1−S/S0)×100として求められる。ここで、Sは粉末X線回折法により求められる徐冷スラグ粉中の主要な結晶性化合物であるメリライト(ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2とアケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2の混晶)のメインピークの面積であり、S0は徐冷スラグ粉を1,000℃で3時間加熱し、その後、5℃/分の冷却速度で冷却したもののメリライトのメインピークの面積を表す。
徐冷スラグ粉の粉末度は特に限定されるものではないが、ブレーン値で、4,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましく、6,000cm2/g以上が最も好ましい。ブレーン値が4,000cm2/g未満では、本発明の効果、即ち、六価クロムの還元性能が充分に得られない場合がある。
徐冷スラグ粉の使用量は特に限定されるものではないが、通常、結合材100部中、5〜50部が好ましく、10〜30部がより好ましい。5部未満では本発明の効果が充分に得られない場合があり、50部を超えて使用すると強度発現性が悪くなる場合がある。
本発明で使用する膨張材としては、遊離石灰−水硬性化合物−無水セッコウ系の膨張材が使用可能である。
ここで、水硬性化合物としては、アウイン、カルシウムフェライト、カルシウムアルミノフェライト、カルシウムシリケート、及びカルシウムアルミネートなどが挙げられ、そのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
膨張材の粒度は、ブレーン値で4,000〜12,000cm2/gが好ましく、6,000〜10,000cm2/gがより好ましい。4,000cm2/g未満ではブリーディングの抑制効果が充分でなく、また、12,000cm2/gを超えると充分な収縮補償効果が得られないだけでなく、流動性の保持性が悪くなることがある。
膨張材の使用量は、結合材100部中、1〜5部が好ましく、1.5〜3部がより好ましい。1部未満では寸法安定性の付与効果とブリーディングの抑制効果が充分でなく、5部を超えると、流動性の低下が大きくなる場合や過剰な膨張を起こす場合がある。
本発明で使用する凝結調整剤は特に限定されるものではなく、その具体例としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びコハク酸等のオキシカルボン酸又はそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びアルミニウムの塩等の有機酸、さらに、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び重炭酸アンモニウムなどのアルカリ炭酸塩が挙げられ、有機酸やアルカリ炭酸塩とも単独で使用可能であるが、充分な可使時間と初期強度発現性の双方を満足する面から、有機酸とアルカリ炭酸塩の併用が好ましい。
凝結調整剤の使用量は特に限定されるものではないが、通常、結合材100部に対して、0.1〜2部が好ましく、0.3〜1部がより好ましい。0.1部未満では可使時間の確保が困難な場合があり、2部を超えると強度発現性が悪くなる場合がある。
本発明では、CA化合物、セッコウ類、徐冷スラグ粉、及び膨張材をセメント混和材として使用する。
なお、凝結調整剤は、通常、セメントとセメント混和材に配合されるが、セメント混和材中に含有させることも可能である。
ここで使用するセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、石灰石粉末等を混合したフィラーセメント、並びに、廃棄物利用セメント、いわゆるエコセメントなどが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
本発明で使用する細骨材は特に限定されるものではなく、例えば、ケイ砂系や石灰石系等の一般的な細骨材が使用可能である。
細骨材の使用量は、結合材100部に対して、50〜250部が好ましい。50部未満では単位容積当りの結合材量が多くなり、経済的に不利になるばかりでなく、例えば、袋体に取付けたモルタル注入口の簡易型逆止弁の間隙を骨材により充分充填できず、セメントミルク成分が流出してしまい、正常な動作をしない場合があり、また逆に、250部を超えると材料分離抵抗性や流動性を確保することが難しい場合がある。
本発明で使用する水の量は、水/結合材は60%以下が好ましく、55%以下がさらに好ましい。60%を超えると材料分離抵抗性が低下するばかりでなく、強度低下を招く場合がある。
本発明では、セメント、CA化合物、セッコウ類、徐冷スラグ粉、膨張材、凝結調節剤、及び細骨材の他に、減水剤、ベントナイトなどの粘土鉱物、高炉水砕スラグ粉末、石灰石粉末、フライアッシュ、及びシリカフュームなどの混和材料、無機硫酸塩、消泡剤、増粘剤、防凍剤、収縮低減剤、並びに、高分子エマルジョンのうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
本発明において、各材料の混合方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及びナウタミキサなどの使用が可能である。
本発明の急硬グラウト材を用いることにより、ノンブリーディングで材料分離が無く、流動性の大きな低下も無く、30分以上の可使時間を確保した上で、短時間での強度発現性を有し、収縮がなく、さらには、硬化体からの六価クロムの溶出量が著しく少なく、環境を汚染することがないなどの効果を奏する。
以下、本発明を実験例に基づいてさらに説明する。
表1に示すセメント、CA化合物、セッコウ類、膨張材、及び徐冷スラグ粉を含む各種スラグ、並びに、結合材100部に対して、凝結調整剤0.7部を配合してセメント組成物を調製した。調製したセメント組成物100部に対して、細骨材を200部になるように混合して、水/結合材50%の水を添加混合して急硬グラウト材を調製し、その急硬グラウト材の流動性、可使時間、圧縮強度、及び六価クロムの溶出量を測定した。結果を表1に併記する。なお、比較のため徐冷スラグ粉の代わりに石灰石微粉末を配合して同様に行った。結果を表1に併記する。
<使用材料>
セメント :市販の普通ポルトランドセメント3銘柄の等量混合物、比重3.15
CA化合物:CaO/Al2O3モル比1.70、ブレーン値5,000cm2/g
セッコウ類:市販の無水セッコウ、ブレーン値4,000cm2/g
スラグA :徐冷スラグ粉、非硫酸態イオウ0.9%、ブレーン値6,000cm2/g、ガラス化率5%、比重3.00
スラグB :徐冷スラグ粉、スラグAを水に浸漬してエイジングし、非硫酸態イオウを0.7%にしたもの、ブレーン値6,000cm2/g、ガラス化率5%、比重3.00
スラグC :徐冷スラグ粉、スラグAを水に浸漬してエイジングし、非硫酸態イオウを0.5%にしたもの、ブレーン値6,000cm2/g、ガラス化率5%、比重3.00
スラグD :高炉水砕スラグ粉、非硫酸態イオウ0.6%、ブレーン値6,000cm2/g、ガラス化率97%、比重2.90
膨張材イ :遊離石灰−アウイン−無水セッコウ系膨張材、ブレーン値8,000cm2/g
石灰石微粉末:新潟県青海鉱山産石灰石の粉砕品、ブレーン値6,000cm2/g、比重2.71
凝結調整剤:試薬1級のクエン酸25部と試薬1級の炭酸カリウム75部の混合物
細骨材 :新潟県青海鉱山産石灰石粉砕品、最大粒径4.0mm、粗粒率2.62
水 :水道水
<測定方法>
流動性:土木学会規準(JSCE-F 541)のJ14漏斗によるモルタルの流下時間の練上り直後値と30分後の値、流下時間が2.5〜7秒が好ましく、2.5〜5秒がより好ましい。7秒を超えると袋体に急硬グラウト材を充填するときの作業性が損なわれる場合がある。
可使時間:自記温度記録計使用、練上りからモルタルの温度が2℃上昇するまでの時間
圧縮強度:材齢2時間後の一軸圧縮強度を測定。
六価クロム溶出量:混練直後のまだ固まらない状態と、固化後の硬化体について、環境庁告示第46号に記載の方法に準拠して測定、ただし、混練直後のまだ固まらない状態の六価クロム溶出量は、モルタル50gを採取し、純水500ccを加えて振とうし、6時間後に固液分離して液相中の六価クロム濃度を測定
Figure 0004157485
セメント48部、CA化合物10部、セッコウ類10部、膨張材2部、及び表2に示すブレーン値のスラグA30部を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
Figure 0004157485
セメント48部、CA化合物10部、セッコウ類10部、スラグA30部、及び膨張材2部を使用し、表3に示す水/結合材比と結合材/細骨材比を使用し、流動性、可使時間、及び圧縮強度を測定し、材料分離抵抗性と耐漏洩性を観察したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
<測定方法>
材料分離抵抗性:練上り後15分間静置し容器底部への骨材の沈降の程度を触感で判定。◎は材料分離なし、○は微小の材料分離が認められるが使用上問題がない、×は材料分離有り。
耐漏洩性 :地山変形防止工法に用いる袋体にモルタルを充填し、充填終了後、0.1MPa圧力を保ち、モルタル注入口に取付けられた簡易型逆止弁からの逆流の程度で判定、◎は漏洩なし、○は漏洩が微量あるが使用上問題がない、×は多量に漏洩
Figure 0004157485
CA化合物10部、セッコウ類10部、スラグA30部、及び表4に示すセメントと膨張材を使用し、流動性、可使時間、及び圧縮強度を測定し、ブリーディング、材料分離抵抗性、及び膨張率を観察したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
<使用材料>
膨張材ロ :遊離石灰−アウイン−カルシウムアルミノフェライト−無水セッコウ系膨張材、ブレーン値8,000cm2/g
<測定方法>
ブリーディング:土木学会基準JSCE-F 522(ポリエチレン法)に準じ測定
膨張量 :JIS A 6202 に準じ測定、ただし、養生は20℃封緘養生とした。マイナス(-)は収縮、プラス(+)は膨張を示す。
Figure 0004157485

Claims (2)

  1. セメント、CaO/Al モル比が0.75〜3であり、ブレーン比表面積値が3,000〜9,000cm /gであるカルシウムアルミネート化合物、ブレーン比表面積値が3,000〜9,000cm /gである無水セッコウ、非硫酸態イオウの含有量が0.5%以上であり、ガラス化率が30%以下であり、ブレーン比表面積値が4,000cm /g以上である高炉徐冷スラグ粉末、及びブレーン比表面積値が4,000〜12,000cm /gであり、遊離石灰−アウイン−無水セッコウ系及び/又は遊離石灰−アウイン−カルシウムアルミノフェライト−無水セッコウ系である膨張材からなる結合材において、カルシウムアルミネート化合物と無水セッコウからなる急硬成分が結合材100部中10〜50部、高炉徐冷スラグ粉末が結合材100部中5〜50部、膨張材が結合材100部中1〜5部である結合材と、結合材100部に対し凝結調整剤0.1〜2部を含有してなるセメント組成物
  2. 請求項1に記載のセメント組成物と、結合材100部に対して50〜250部の細骨材、及び水/結合材比が60%以下である水からなる急硬グラウト材。
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