JP4156504B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents
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Description
この磁気記録媒体用ガラス基板には、一般に基板強度を上げるため、化学強化されたガラス基板や、結晶化によって基板強度を上げた結晶化ガラス基板が用いられている。
また、ガラス基板を用いた磁気記録媒体を磁気抵抗型ヘッドで再生する際、記録密度の向上を求めてヘッドのフライングハイト(浮上高さ)を下げると、再生の誤動作、あるいは、再生が不可能になる現象に遭遇することがあり、問題となっている。この原因は、磁気ディスク表面にガラス基板上のパーティクルによって形成された凸部が、サーマル・アスフェリティ(Thermal Asperity)となって、磁気抵抗型ヘッドに熱が発生し、ヘッドの抵抗値を変動させ、電磁変換に悪影響を与えていることがその原因である。
また、ガラス基板表面の高清浄化を高いレベルで達成した磁気記録媒体用ガラス基板の提供を第二の目的とする。
さらに、基板表面の異物に起因するトラブルを極力抑えた磁気記録媒体の提供を第三の目的とする。
特に、ガラス基板の内周端面及び外周端面に、遊離砥粒を含有した研磨液の吹き付けと研磨ブラシ等とを組み合わせることで、高精度の研磨が困難なガラス基板等の内周端面等の表面状態を簡便な方法で、またより低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。
また、ガラス基板の内周端面及びは外周端面における面取り部に加え側壁部も同時に低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。
構成1によれば、遊離砥粒を含有した研磨液を用いて研磨することで、ダイヤモンド砥石(固定砥粒)を用いた研磨や、化学エッチングを利用した研磨に比べ、ガラス基板等の内周端面及び外周端面の表面状態を低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。特に高精度の研磨が困難なガラス基板等の内周端面の表面状態を低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。ダイヤモンド砥石を用いた場合、被研磨表面の高い部分(突起の頂部)だけが削られるので平滑性が悪い。化学的エッチングによる場合は、クラックがエッチングで広がり窪みとなってパーティクルを捕捉しやすくなりガラス基板表面の高清浄化の障害になるとともに、ガラス基板端面の表面の平坦性が悪く摩過等による異物発生の原因となり、さらにクラックを完全に除去することが困難であるので抗折強度に劣る。
また、ガラス基板の内周端面部分及び外周端面部分に、遊離砥粒を含有した研磨液の供給と研磨ブラシ等とを組み合わせることで、特に高精度の研磨が困難なガラス基板等の内周端面等の表面状態を簡便な方法で、またより低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。また、ガラス基板全体を研磨液に浸す浸漬式による研磨に比べ、常に新鮮な研磨液がガラス基板の端面部分に供給されるので、研磨の加工速度が良好で、再現性が高く、高精度の研磨が可能である。
また、ガラス基板の内周端面及び外周端面における面取り部に加え側壁部も同時に低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。面取り部と側壁部の両方が平滑であれば本発明の効果はより大きい。
本発明の研磨方法によれば、ガラス基板の内周端面及び外周端面の表面粗さが、サーマル・アスフェリティを防止しうる程度、すなわち、Raで0.001〜0.5μm、好ましくは0.001〜0.1μm、Rmaxで0.01〜4μm、好ましくは0.01〜2μm,さらに好ましくは0.01〜1μmであるガラス基板を再現性良く得ることができる。
研磨液の液切れによる研磨不足や研磨不良を防止するには、研磨ブラシ又は研磨パッドの回転数を、100〜15000rpmにすると良い。
例えば、穴径の小さい内周端面等を回転ブラシで研磨しようとする場合、高速回転する回転ブラシによって研磨液が飛散してしまったり、回転ブラシの周囲が真空状態となって研磨剤が入らなかったりして被研磨面に研磨液が十分に行き渡らないといった可能性もあるが、傾斜を持たせたブラシ毛の配置と、特定方向の回転によって、また、さらには、研磨液の吹き付け流量を制御することによって、液切れによる研磨不足や研磨不良を防止することができた。
研磨ブラシのブラシ毛は、例えば、植毛する回転軸上に螺旋状に植毛する。
図1において、1は研磨対象である磁気ディスク用ガラス基板(以下MD基板という)、2は多数のMD基板1を収納する基板ケース、3は基板ケース2を回動自在に固定保持する回転保持台、4は多数枚重ねられたMD基板1の円孔部分(内周穴部)に挿入された回転ブラシ、5は研磨液を供給する研磨液供給部である。
なお、本発明の研磨装置は図1には図示していないが、研磨液供給部から供給した研磨液を回収する研磨液回収部と、回収した研磨液を清浄にし、再び研磨液供給部へと循環させる循環機構が装備されている。
まず、回転ブラシ4を基板ケース2の上から適当量退避させておき、基板ケース2に多数のMD基板1を、カラー21を上下に配置して締め付けカバー22を締め込むことによりクランプする。このとき、MD基板1の内周穴部の芯ずれは、基板ケース2の内周部とMD基板1の外周部との寸法差によるクリアランスで決定される。このクリアランスについては、作業性、基板ケース内周部の真円度により調整が必要だが、JIS B 0401(1986)における、はめあいのすきまばめから中間ばめの範囲が適正である。
ここで、セットするMD基板1は既に内外周の面取り加工等が済んだものである。
次に、回転ブラシ4のブラシ毛43がMD基板1の内周端面に当接するように、回転ブラシ4の押し付け量を調整する。この調整は、ブラシ毛43がカールしたナイロン繊維の場合にあっては、ブラシ毛43の先端位置がMD基板1の被研磨面に1〜5mm程度押しつけられた位置とする。
なお、エアシリンダ等を利用した機構によって、MD基板1の内周端面への押しつけによるブラシの接触圧を調整することが好ましい。具体的には、例えば、強いブラシ毛ではエアシリンダの空気圧を0.05〜0.1MPaの範囲とすることが好ましく、弱いブラシ毛ではエアシリンダの空気圧を0.05〜1MPaの範囲とすることが好ましい。
上記で得られたガラス基板の内周端面(面取部1b及び/側壁部1a)の表面粗さは、Rmax:0.5μm、Ra:0.03μmであった。
まず、ダウンドロー法で形成したシートガラスから、研削砥石で直径66mmφ、厚さ1.1mm、及び直径96mmφ、厚さ1.4mmの円盤状にそれぞれ切り出したアルミノシリケイトガラスからなるガラス基板を、比較的粗いダイヤモンド砥石で研削加工して、直径95mm(3.5インチ)φ、厚さ0.8mm及び直径65mm(2.5インチ)φ、厚さ0.6mmに成形した。
この場合、ダウンドロー法の代わりに、溶融ガラスを、上型、下型、胴型を用いてダイレクト・プレスして、円盤状のガラス基板を得てもよい。
図6に示すように、直径230mmφの回転ブラシ4(毛足10〜30mm)を700〜1000rpmで回転させ、積層したMD基板1を60rpmで回転させ、基板外周端面部分にだけ研磨液を供給して15分間研磨を行った。
なお、この端面研磨工程は、ガラス基板を重ね合わせて端面研磨する際にガラス基板の主表面にキズ等が付くことをより以上に避けるため、後述する第一研磨工程の前、あるいは、第二研磨工程の前後に行うことが好ましい。
次に、ラッピング装置を用い、粒度#1000のアルミナ砥粒を使用し、荷重Lを100kg程度に設定して、内転ギアと外転ギアを回転させることによって、ラッピングを行い、ガラス基板の両面の表面粗さ(Rmax)を2μm程度とした。
次に、第一研磨工程を施した。この第一研磨工程は、上述した砂掛け工程で残留したキズや歪みの除去を目的とするもので、研磨装置を用いて行った。
荷重:300g/cm2(L=238kg)
研磨時間:15分
除去量:30μm
下定盤回転数:40 rpm
上定盤回転数:35 rpm
内ギア回転数:14 rpm
外ギア回転数:29 rpm
次に、第一研磨工程で使用した研磨装置を用い、ポリシャを硬質ポリシャから軟質ポリシャ(ポリラックス:スピードファム社製)に替えて、第二研磨工程を実施した。研磨条件は、荷重を100g/cm2、研磨時間を5分、除去量を5μmとしたこと以外は、第一研磨工程と同様とした。
次に、上記研削、研磨工程を終えたガラス基板に化学強化を施した。
化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を400℃に加熱し、300℃に予熱された洗浄済みのガラス基板を約3時間浸漬して行った。この浸漬の際に、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるようにホルダーに収納した状態で行った。
さらに上記硫酸洗浄を終えたガラス基板を、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
上記の工程を経て得られた磁気記録媒体用ガラス基板の内周端面の表面粗さRaは図4に示す面取部1bで0.028μm、側壁部1aで0.030μmであった。外周端面における表面粗さRaは面取部で0.04μm、側壁部で0.07μmであった。また、ガラス基板の主表面の表面粗さRaは0.3〜0.7nm(AFMで測定)であった。電子顕微鏡(4000倍)で端面表面を観察したところ鏡面状態であった。
また、磁気記録媒体用ガラス基板の内周端面に異物やクラックは認められず、ガラス表面についても異物やサーマル・アスペリティの原因となるパーティクルは認められなかった。
さらに、図6に示す抗折強度試験機(島津オートグラフDDS−2000)を用い、抗折強度を測定したところ、12〜20kgであった。なお、化学強化レベルを変化させて同様に抗折強度を測定したところ、約10〜25kgであった。
上述した工程を経て得られた磁気ディスク用ガラス基板の両面に、インライン式のスパッタリング装置を用いて、AlNのスパッタによるテクスチャー層、Cr下地層、CrMo下地層、CoPtCrTa磁性層、C保護層を順次成膜してMRヘッド用磁気ディスクを得た。
その結果、外周端面における表面粗さRaは面取部で0.03μm、側壁部で0.01μmであり、また、内周端面における表面粗さRaは面取部で0.03μm、側壁部で0.01μmであった。
(比較例1)
その結果、実施例2における面取り加工直後の内外周端面の表面粗さと同程度であった。また、電子顕微鏡(4000倍)で端面表面を観察したところ荒削りした状態であり平滑性が極めて悪かった。
(比較例2)
その結果、エッチング処理前と比べ、Raで0.1μm程度、Rmaxで0.7μm程度悪化した。また、電子顕微鏡(4000倍)で端面表面を観察したところ、クラックがエッチングで広がり窪みとなってパーティクルを捕捉しやすい状態となっており、平坦性が悪く、クラックの残りが認められた。
次に、回転ブラシ4の回転数を適宜調整し、研磨液の流量を450ml/min(参考例3)、500ml/min(実施例4)、750ml/min(実施例5)、1000ml/min(実施例6)、3000ml/min(実施例7)、3200ml/min(参考例4)と変えたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板を作製した。その結果を表1に示す。測定枚数は100枚で、表面状態は、光学顕微鏡による表面観察で、スクラッチ等の傷がなかったものを「○」、スクラッチ等の傷があったものを「×」とした。
次に、回転ブラシ4の螺旋状に植毛されたブラシ毛43の傾斜角を1°(参考例5)、5°(実施例8)、15°(実施例9)、30°(実施例10)、35°(参考例6)と変えたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板を作製した。その結果を表2に示す。測定枚数は100枚で、光学顕微鏡による表面観察で、スクラッチ等の傷があったものを不良と判断し、不良率を算出した。
次に、遊離砥粒の種類等を適宜選択し、上述の端面研磨工程時に使用する遊離砥粒を含有した研磨液の粘度を、1.3cps(参考例7)、1.5cps(実施例11)、5.0cps(実施例12)、10.0cps(実施例13)、25.0cps(実施例14)、27.0cps(参考例8)と変えたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板を作製した。その結果を表3に示す。表面状態は、光学顕微鏡による表面観察で、スクラッチ等の傷がなかったものを「○」、スクラッチ等の傷があったものを「×」とした。
アルミノシリケートガラスの代わりにソーダライムガラス(実施例15)、ソーダアルミノケイ酸ガラス(実施例16)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを得た。
実施例2で得られた磁気ディスク用ガラス基板の両面に、Al(膜厚50オングストローム)/Cr(1000オングストローム)/CrMo(100オングストローム)からなる下地層、CoPtCr(120オングストローム)/CrMo(50オングストローム)/CoPtCr(120オングストローム)からなる磁性層、Cr(50オングストローム)保護層をインライン型スパッタ装置で形成した。
下地層をAl/Cr/Crとし、磁性層をCoNiCrTaとしたこと以外は実施例17と同様にして薄膜ヘッド用磁気ディスクを得た。
また、ZrO2の未溶解物が原因で生じるガラス基板表面の突起をなくすためには、モル%表示で、SiO2を57〜74%、ZnO2を0〜2.8%、Al2O3を3〜15%、LiO2を7〜16%、Na2Oを4〜14%含有する化学強化用ガラス等を使用することが好ましい。
このような組成のアルミノシリケートガラス等は、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れる。
また、本発明の研磨方法及び研磨装置は、ガラス状カーボン、結晶材料(単結晶材料を含む)、セラミック材料などの脆性材料や、金属材料等の研磨方法及び研磨装置としても利用できる。
1a 側壁部
1b 面取部
2 基板ケース
3 回転保持台
4 回転ブラシ
5 研磨液供給部
31 回転軸部
43 ブラシ毛
50 研磨液
Claims (6)
- 中心部に円孔を有する円板状の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス基板の外周端面及び内周端面に面取り加工を行う工程、前記面取り加工されたガラス基板の端面を研磨する工程、ガラス基板の主表面を研磨する工程、ガラス基板を化学強化処理する工程をこの順で含み、
前記ガラス基板の端面を研磨する工程は、前記ガラス基板を複数枚積み重ね、前記ガラス基板の内周端面部分に、粘度が1.5以上25.0cps以下で遊離砥粒を含有した研磨液を500ml/min以上供給するとともに、回転軸を備えて回転している傾斜角が2°以上で螺旋状にブラシ毛が植毛された研磨ブラシ又は研磨パッドを接触させて研磨する工程を含むことを特徴とする、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記研磨ブラシのブラシ毛に、カールした繊維を使用することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記ガラス基板の端面の表面粗さが、Raで0.001〜0.5μmとなるように端面を研磨することを特徴とする、請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 化学強化処理後のガラス基板の抗折強度が10kg〜25kgとなるように前記端面を研磨することを特徴とする、請求項1ないし3の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記ガラス基板はアルミノシリケイトガラスからなるガラス基板であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする、磁気ディスクの製造方法。
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