JP4156504B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、研磨方法及び研磨装置に関し、特に磁気記録媒体用ガラス基板等の内周端面及び外周端面の研磨に好適に使用できる研磨方法及び研磨装置等に関する。
磁気ディスク等の磁気記録媒体用基板としては、アルミニウム基板が広く用いられてきたが、磁気ディスクの小型・薄板化と、高密度記録化に伴い、アルミニウム基板に比べ基板表面の平坦性及び基板強度に優れたガラス基板に徐々に置き換わりつつある。
この磁気記録媒体用ガラス基板には、一般に基板強度を上げるため、化学強化されたガラス基板や、結晶化によって基板強度を上げた結晶化ガラス基板が用いられている。
また、磁気ヘッドの方も高密度記録化に伴って、薄膜ヘッドから、磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)、大型磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)へと推移してきている。したがって、ガラス基板を用いた磁気記録媒体を磁気抵抗型ヘッドで再生することが、これからの大きな潮流となることが予想されている。
このように磁気ディスクは高密度記録化のため種々の改良が加えられており、このような磁気ディスクの進歩に伴って、磁気記録媒体用ガラス基板にも次々に新しい課題が発生してきている。その一つにガラス基板表面の高清浄化がある。これは、ガラス基板表面に異物が付着していると、ガラス基板表面上に形成する薄膜の膜欠陥の原因となったり、薄膜表面の凸部となって、適正なグライド・ハイトが得られないといった問題を引き起こす。
また、ガラス基板を用いた磁気記録媒体を磁気抵抗型ヘッドで再生する際、記録密度の向上を求めてヘッドのフライングハイト(浮上高さ)を下げると、再生の誤動作、あるいは、再生が不可能になる現象に遭遇することがあり、問題となっている。この原因は、磁気ディスク表面にガラス基板上のパーティクルによって形成された凸部が、サーマル・アスフェリティ(Thermal Asperity)となって、磁気抵抗型ヘッドに熱が発生し、ヘッドの抵抗値を変動させ、電磁変換に悪影響を与えていることがその原因である。
上述したような磁気記録媒体用ガラス基板表面の異物の原因は、ガラス基板の端面の表面状態が平滑でないため、この端面が樹脂製ケースの壁面と擦過し、この擦過によって発生する樹脂やガラスのパーティクルや、ガラス基板の内周端面及び外周端面部に捕捉されるその他のパーティクルが、表面に付着することが大きな要因となっている。特に、ガラス基板の内周端面は外周端面に比べ表面状態が粗いのでパーティクルを捕捉しやすく、ガラス基板表面の高清浄化の障害になっていることを本発明者らは突き止めた。
なお、ガラス基板の端面部に発生するクラックを化学的エッチングで除去して基板強度の向上を図る技術が提案されているが(特許文献1)、この場合、クラックの深さは減少するがクラックがエッチングで広がり窪みとなってパーティクルを捕捉しやすくなり、かえってガラス基板表面の高清浄化の障害になるという問題がある。また、化学的エッチングによるものなので端面部の表面精度を高いレベルでコントロールすることが困難であるという問題もある。さらに、クラックを完全に除去することが困難であり抗折強度が十分でないという問題がある。
特開平7−230621号公報
本発明は上述した背景の下になされたものであり、ガラス基板等の端面の表面状態を低コストで効率よく高いレベルで平滑にでき、特に研磨が困難なガラス基板等の内周端面の表面状態を低コストで効率よく高いレベルで平滑にでき、したがって基板表面の高清浄化を高いレベルで達成しうる研磨方法及び研磨装置の提供を第一の目的とする。
また、ガラス基板表面の高清浄化を高いレベルで達成した磁気記録媒体用ガラス基板の提供を第二の目的とする。
さらに、基板表面の異物に起因するトラブルを極力抑えた磁気記録媒体の提供を第三の目的とする。
上記目的を達成するために本発明は以下の構成としてある。
(構成1)中心部に円孔を有する円板状のガラス基板の内周端面部分及び/又は外周端面部分に、遊離砥粒を含有した研磨液を供給するとともに、前記ガラス基板の内周端面及び/又は外周端面に研磨ブラシ又は研磨パッドを回転接触させて研磨することを特徴とする研磨方法。
(構成2)複数枚のガラス基板の内周端面及び/又は外周端面が同時に研磨されるようにガラス基板を複数枚重ねて研磨を行うことを特徴とする構成1記載の研磨方法。
(構成3)前記遊離砥粒を含有した研磨液を、500ml/min〜3000ml/minの流量で供給して研磨を行うことを特徴とする構成1又は2記載の研磨方法。
(構成4)前記研磨ブラシのブラシ毛は回転軸に垂直な平面に対し傾斜を持たせて配設されており、前記研磨液が複数枚重ねたガラス基板の円孔部分に吸い込まれる方向に研磨ブラシを回転させることを特徴とする構成1乃至3記載の研磨方法。
(構成5)前記研磨ブラシのブラシ毛の傾斜角が、2°〜30°であることを特徴とする構成4記載の研磨方法。
(構成6)前記遊離砥粒を含有した研磨液の粘度が、1.5〜25cpsであることを特徴とする構成1乃至5記載の研磨方法。
(構成7)中心部に円孔を有する円板状のガラス基板を複数枚重ねて保持する保持手段と、該保持手段を回転させる回転手段と、前記複数枚重ねられたガラス基板の円孔部分に挿入される回転ブラシと、前記複数枚重ねられたガラス基板の円孔部分に研磨液を供給する研磨液供給手段とを備えたことを特徴とする研磨装置。
(構成8)中心部に円孔を有する円板状のガラス基板を複数枚重ねて保持する保持手段と、該保持手段を回転させる回転手段と、前記複数枚重ねられたガラス基板の外周に接触する回転ブラシと、前記複数枚重ねられたガラス基板の外周端面部分に研磨液を供給する研磨液供給手段とを備えたことを特徴とする研磨装置。
(構成9)構成1乃至6記載の研磨方法によりガラス基板の内周端面及び/又は外周端面を研磨する工程を有することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
(構成10)構成9記載の磁気記録媒体用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
なお、本発明でいう内周端面及び外周端面には、図4に示すように、面取りした面取り部1bと、側壁部1aとをそれぞれ含む。
以上説明したように本発明の研磨方法及び研磨装置によれば、ガラス基板等の内周端面及び/又は外周端面の表面状態を低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。したがって、基板表面の高清浄度化とともに、抗折強度の向上を図ることができる。
特に、ガラス基板の内周端面及び外周端面に、遊離砥粒を含有した研磨液の吹き付けと研磨ブラシ等とを組み合わせることで、高精度の研磨が困難なガラス基板等の内周端面等の表面状態を簡便な方法で、またより低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。
また、ガラス基板の内周端面及びは外周端面における面取り部に加え側壁部も同時に低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。
また、本発明の研磨装置によれば、ガラス基板の保持手段回転運動及び回転ブラシの回転運動と研磨液の供給とにより、簡便な装置で、ガラス基板の内周端面及や外周端面の表面状態を他の装置に比べより低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。
さらに本発明の磁気記録媒体によれば、ガラス基板表面の異物による問題を回避でき、特に、磁気抵抗型ヘッド又は大型磁気抵抗型ヘッド対応の磁気記録媒体として好適な磁気記録媒体が得られる。
(作用)
構成1によれば、遊離砥粒を含有した研磨液を用いて研磨することで、ダイヤモンド砥石(固定砥粒)を用いた研磨や、化学エッチングを利用した研磨に比べ、ガラス基板等の内周端面及び外周端面の表面状態を低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。特に高精度の研磨が困難なガラス基板等の内周端面の表面状態を低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。ダイヤモンド砥石を用いた場合、被研磨表面の高い部分(突起の頂部)だけが削られるので平滑性が悪い。化学的エッチングによる場合は、クラックがエッチングで広がり窪みとなってパーティクルを捕捉しやすくなりガラス基板表面の高清浄化の障害になるとともに、ガラス基板端面の表面の平坦性が悪く摩過等による異物発生の原因となり、さらにクラックを完全に除去することが困難であるので抗折強度に劣る。
また、ガラス基板の内周端面部分及び外周端面部分に、遊離砥粒を含有した研磨液の供給と研磨ブラシ等とを組み合わせることで、特に高精度の研磨が困難なガラス基板等の内周端面等の表面状態を簡便な方法で、またより低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。また、ガラス基板全体を研磨液に浸す浸漬式による研磨に比べ、常に新鮮な研磨液がガラス基板の端面部分に供給されるので、研磨の加工速度が良好で、再現性が高く、高精度の研磨が可能である。
また、ガラス基板の内周端面及び外周端面における面取り部に加え側壁部も同時に低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。面取り部と側壁部の両方が平滑であれば本発明の効果はより大きい。
本発明の研磨方法によれば、ガラス基板の内周端面及び外周端面の表面粗さが、サーマル・アスフェリティを防止しうる程度、すなわち、Raで0.001〜0.5μm、好ましくは0.001〜0.1μm、Rmaxで0.01〜4μm、好ましくは0.01〜2μm,さらに好ましくは0.01〜1μmであるガラス基板を再現性良く得ることができる。
構成2によれば、複数枚のガラス基板の内周端面及び/又は外周端面が同時に研磨されるようにガラス基板を複数枚重ねて研磨を行うことにより、より低コスト化及び効率化が実現できる。
構成3によれば、遊離砥粒を含有した研磨液を、500ml/min〜3000ml/minの流量で供給(吹き掛け等)して研磨を行うことによって、常にガラス基板の内周端面及び/又は外周端面と、研磨ブラシや研磨パッドとの間に研磨液が介在された状態で研磨を行うことができるので、高精度の研磨が可能になるとともに、研磨ブラシ等が直接ガラス基板に接触してできる傷等の研磨不良を防止することができる。研磨液を供給する流量が500ml/min未満の場合、十分に研磨液が研磨ブラシ等に行き渡らないので、研磨ブラシ等が直接ガラス基板と接触することになり研磨不足や研磨不良(傷)が発生するので好ましくない。また、研磨液を供給する流量が3000ml/minを超える場合、研磨の加工速度が上がらないので好ましくない。
研磨液の液切れによる研磨不足や研磨不良を防止するには、研磨ブラシ又は研磨パッドの回転数を、100〜15000rpmにすると良い。
構成4によれば、研磨ブラシのブラシ毛は回転軸に垂直な平面に対し傾斜を持たせて配設(配置、植毛等)されており、研磨液が複数枚重ねたガラス基板の円孔部分に研磨液が吸い込まれるように研磨ブラシを回転させることにより、研磨液の液切れによる研磨不足や研磨不良を防止でき、高精度の研磨が可能となる。
例えば、穴径の小さい内周端面等を回転ブラシで研磨しようとする場合、高速回転する回転ブラシによって研磨液が飛散してしまったり、回転ブラシの周囲が真空状態となって研磨剤が入らなかったりして被研磨面に研磨液が十分に行き渡らないといった可能性もあるが、傾斜を持たせたブラシ毛の配置と、特定方向の回転によって、また、さらには、研磨液の吹き付け流量を制御することによって、液切れによる研磨不足や研磨不良を防止することができた。
構成5によれば、研磨ブラシのブラシ毛の傾斜角は、2°〜30°にすることが好ましい。ブラシ毛の傾斜角をこの範囲にすることによって、研磨液の流動を促し常に新鮮な研磨液を供給することができ、研磨効率、再現性及び研磨精度を高めることができる。ブラシ毛の傾斜角が2°未満の場合、研磨液が被研磨面に十分に行き渡らず研磨不良による不良率が高くなるので好ましくない。また、ブラシ毛の傾斜角が30°を超える場合、研磨の加工速度が遅くなるので好ましくない。
研磨ブラシのブラシ毛は、例えば、植毛する回転軸上に螺旋状に植毛する。
構成6によれば、遊離砥粒を含有した研磨液の粘度を1.5〜25cps(20℃)の範囲とすることで、研磨効率、再現性及び研磨精度を高めることができるとともに、被研磨面にスクラッチ等の傷をつける恐れを著しく軽減できる。同様の観点から、遊離砥粒を含有した研磨液の粘度は1.8〜5cps(20℃)の範囲とすることがより好ましい。
構成7によれば、高精度の研磨が困難なガラス基板等の内周端面の表面状態を、簡便な装置で、また他の装置に比べより低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。
構成8によれば、ガラス基板等の外周端面の表面状態を、簡便な装置で、また他の装置に比べより低コストで効率よく高いレベルで平滑にできる。なお、複数枚重ねられたガラス基板の外周に接触する回転ブラシは、複数本とすることで効率を高めることが可能である。
構成9によれば、ガラス基板表面の高清浄化を高いレベルで達成しうるとともに、抗折強度に優れた磁気記録媒体用ガラス基板を製造できる。
構成10によれば、磁気記録媒体用ガラス基板表面の高清浄化及び抗折強度の向上を図っているので、磁気記録媒体とした場合、ガラス基板表面に端面に起因する異物が付着することがないのでガラス基板表面上に形成する薄膜の膜欠陥がなく、また、グライド・ハイトを低くできる。
以下、実施例にもとづき本発明をさらに具体的に説明する。
図1は本発明の一実施例に係る研磨装置の断面図、図2は図1における軸受け部分のA−A線方向の断面図、図3は回転ブラシ及びブラシ毛を示す模式図、図4は磁気ディスク用ガラス基板を切断して見たときの斜視図である。以下、これらの図面を参照して本発明の研磨方法及び研磨装置を磁気ディスク用ガラス基板の内周端面の研磨に適用した場合の一例について説明する。
まず、本発明の研磨装置の一例について説明する。
図1において、1は研磨対象である磁気ディスク用ガラス基板(以下MD基板という)、2は多数のMD基板1を収納する基板ケース、3は基板ケース2を回動自在に固定保持する回転保持台、4は多数枚重ねられたMD基板1の円孔部分(内周穴部)に挿入された回転ブラシ、5は研磨液を供給する研磨液供給部である。
基板ケース2は、軸方向上部からカラー21を介して締め付けカバー22を締め込むことで、各MD基板1どうしの主表面間の摩擦係数により、基板ケース2や回転ブラシ4の回転に影響されることなくMD基板1を保持する機構を有する。
回転保持台3は、回転軸部31の回転軸32に結合され、その回転軸32を回転駆動する回転駆動装置34によって正逆の双方向に回転できるようになっている。なお、この回転駆動装置34はその回転数を可変できるようになっており、研磨目的に応じた適切な回転数を選定できるようになっている。また、回転軸部31における回転軸カバー33に設けられたエアー供給口35からエアー供給路36を通じてエアーを供給することにより、エアーシール部37あるいはエアーカーテン等を形成して、研磨液が回転軸32に流入するのを防ぐ。
回転ブラシ4は、回転駆動装置41の回転軸42に接続されており、正逆の双方向に回転可能に構成されている。但し、研磨中は、通常、研磨液が下方向(MD基板が積み重ねられた状態における下方向)に吸い込まれる方向にのみ回転させる。回転ブラシ4は、初期状態においては回転ブラシ4の回転中心の位置が、基板ケース2の回転中心と一致するように設定されている。また、回転ブラシ4は、ブラシ毛43のMD基板1への接触長さを加減するため、エアシリンダ等を利用した機構(図示せず)によって、MD基板1の内周端面への押しつけ、つまりブラシの回転軸方向に対し垂直方向への押しつけ量が調整可能に構成されている。なお、回転ブラシ4は固定で、基板ケース2を移動させて押しつけ量を調整することもできる。回転ブラシ4は、カム機構(図示せず)によって、上記内周端面への押しつけと同時にブラシの回転軸方向に沿って往復しつつ揺動運動ができるように構成されている。
なお、回転ブラシ4は、図1及び図2に示すように、少なくとも回転駆動装置側の回転軸44とは反対側の回転軸45に回転軸を固定する軸受46を設け、この軸受に回転軸を挿入することにより、端面の研磨時においても回転軸がずれることがなく研磨することができ、表面粗さ、サイズにばらつきがない高精度な研磨を行うことができるので好ましい。軸受としては、べアリング、ボ−ル軸受、ころ軸受、すべり軸受など公知の軸受を使用することができる。なお、軸受は、回転ブラシを挿入する際のガイド部材としての役割も果たす。この場合、軸受の入口の内径を広くすることができ、これにより回転ブラシの回転軸を軸受に挿入し易くなるので好ましい。また、軸受は、複数設けることができ、回転駆動装置側の回転軸にも設けることができる。
回転ブラシ4は、図1に示すように、ブラシ毛43を螺旋状に植毛したものであり、ブラシ毛の傾斜角(図3(a)に示す螺旋状に植毛したブラシ毛43の傾斜角α)は2°〜30°である。また、ブラシ毛43としては、図3(b)に示す蛇行形にカールさせたナイロン繊維(直径0.1〜0.3mm、長さ5〜10mm)が使用されているが、ナイロン繊維の代わりに塩化ビニル繊維、豚毛、ピアノ線、ステンレス製繊維などを用いてもよい。硬度が低い繊維、あるいは柔軟性の高い繊維を利用すれば、ブラシ毛の弾性変形によって擦る力が過大になることを防止でき、スクラッチなどの傷の発生をより良好に防止できる。また、カールさせた繊維は、窪み等に対する接触性がよく、例えば、図4に示すMD基板の面取り部1bをより効率よく研磨することが可能になるが、面取り部1bの研磨の効率をそれ程考慮しなければカールのない直線状の繊維を利用してもよい。なお、ブラシ毛43として、樹脂に研磨剤を混入しこれを成形してブラシ毛に研磨剤を含有したものを用いれば、研磨速度をさらに高めることができる。
研磨剤としては、酸化セリウムが使用されているが、他にも酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン等の研磨剤を用いることもできる。好ましくは、被研磨物の材料(MD基板)に近い硬さのものが望ましく、ガラス基板の場合、酸化セリウムが望ましい。研磨剤が硬すぎるとガラス基板端面に傷を与えることになってしまい好ましくない。また、研磨剤が軟らかすぎるとガラス基板端面を鏡面にすることができなくなるので好ましくない。研磨剤の平均粒径としては、1〜5μmが好ましい。1μm未満の場合、研磨剤がガラス基板を研削する力が弱く、回転ブラシの先端が直接ガラス基板端面に接触した状態で研磨されることが多くなるので、MD基板の面取り形状を制御することが難しく、端面(側壁面)と面取り部の間の箇所が、だれてしまうので好ましくない。また、5μmを超える場合、研磨剤の粒径が大きいので表面粗さが大きくなるので好ましくない。
研磨パッドとしては、例えば、スウェード、ベロアを素材とする軟質ポリシャや、硬質ベロア、ウレタン発砲、ピッチ含浸スウェード等の硬質ポリシャなどが挙げられる。
研磨液供給部による研磨液の供給の態様は特に制限されず、例えば、1本の水流、シャワー、水滴等によって、吹き掛け、吹き付け、放水、塗布する態様などが挙げられる。
なお、本発明の研磨装置は図1には図示していないが、研磨液供給部から供給した研磨液を回収する研磨液回収部と、回収した研磨液を清浄にし、再び研磨液供給部へと循環させる循環機構が装備されている。
次に、上記研磨装置を用いた研磨方法の一例について説明する。
まず、回転ブラシ4を基板ケース2の上から適当量退避させておき、基板ケース2に多数のMD基板1を、カラー21を上下に配置して締め付けカバー22を締め込むことによりクランプする。このとき、MD基板1の内周穴部の芯ずれは、基板ケース2の内周部とMD基板1の外周部との寸法差によるクリアランスで決定される。このクリアランスについては、作業性、基板ケース内周部の真円度により調整が必要だが、JIS B 0401(1986)における、はめあいのすきまばめから中間ばめの範囲が適正である。
上記MD基板1を多数セットした基板ケース2を、回転保持台3にセットする。
ここで、セットするMD基板1は既に内外周の面取り加工等が済んだものである。
次いで、基板ケース2の回転中心と同一線上にある回転ブラシ4(螺旋状に植毛された傾斜角2°のブラシ毛)を図1のようにMD基板1の内周部に挿入する。回転ブラシ4の停止位置はセットされたMD基板1の最下部1’から最上部1”までの範囲が回転ブラシ4のブラシ毛43の植毛範囲内に収まる位置とする。
続いて、研磨液供給部5からMD基板の内周部に向けて、500ml/min〜3000ml/minの流量の研磨液を、ブラシの回転によって生じる下方向への吸い込みを利用して供給する。
次に、回転ブラシ4のブラシ毛43がMD基板1の内周端面に当接するように、回転ブラシ4の押し付け量を調整する。この調整は、ブラシ毛43がカールしたナイロン繊維の場合にあっては、ブラシ毛43の先端位置がMD基板1の被研磨面に1〜5mm程度押しつけられた位置とする。
なお、エアシリンダ等を利用した機構によって、MD基板1の内周端面への押しつけによるブラシの接触圧を調整することが好ましい。具体的には、例えば、強いブラシ毛ではエアシリンダの空気圧を0.05〜0.1MPaの範囲とすることが好ましく、弱いブラシ毛ではエアシリンダの空気圧を0.05〜1MPaの範囲とすることが好ましい。
次に、回転保持台3と回転ブラシ4とを互いに逆方向に回転させた状態で、研磨を行う。この場合、好ましい回転ブラシの回転数は空転時で100〜15000rpmである。本実施例では、回転保持台3の回転数は60rpmとし、回転ブラシ4の回転数は4000rpm(空転時は10000rpm)とし、研磨時間は約10分とした。そして、所定量の研磨が終了したら、装置を止め、基板ケース2を取り出す。なお、この基板ケース2の取り外しの際は、回転ブラシ4を基板ケース2の脱着に干渉しない位置へ移動させておく必要がある。最後に、取り出した基板ケース2からMD基板1をセットしたときと逆の順番で取り出す。
評価
上記で得られたガラス基板の内周端面(面取部1b及び/側壁部1a)の表面粗さは、Rmax:0.5μm、Ra:0.03μmであった。
以下の工程を経て磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体を製造した。
(1)第1砂掛け工程
まず、ダウンドロー法で形成したシートガラスから、研削砥石で直径66mmφ、厚さ1.1mm、及び直径96mmφ、厚さ1.4mmの円盤状にそれぞれ切り出したアルミノシリケイトガラスからなるガラス基板を、比較的粗いダイヤモンド砥石で研削加工して、直径95mm(3.5インチ)φ、厚さ0.8mm及び直径65mm(2.5インチ)φ、厚さ0.6mmに成形した。
この場合、ダウンドロー法の代わりに、溶融ガラスを、上型、下型、胴型を用いてダイレクト・プレスして、円盤状のガラス基板を得てもよい。
なお、アルミノシリケイトガラスとしては、モル%表示で、SiOを57〜74%、ZnOを0〜2.8%、Alを3〜15%、LiOを7〜16%、NaOを4〜14%、を主成分として含有する化学強化用ガラスを使用した。
次いで、ガラス基板に砂掛け加工を施した。この砂掛け工程は、寸法精度及び形状精度の向上を目的としている。砂掛け加工は、ラッピング装置を用いて行い、砥粒の粒度を#400として行った。
詳しくは、粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重Lを100kg程度に設定して、内転ギアと外転ギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)(JIS B 0601で測定)6μm程度にラッピングした。
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中心部に円孔(直径20mmφ)を開けるとともに、外周端面及び内周端面に所定の面取り加工を施した。このときのガラス基板の内外周端面の表面粗さは、Rmaxで14μm程度であった。
(2)端面研磨工程
に示すように、直径230mmφの回転ブラシ4(毛足10〜30mm)を700〜1000rpmで回転させ、積層したMD基板1を60rpmで回転させ、基板外周端面部分にだけ研磨液を供給して15分間研磨を行った。
次いで、実施例1に示す研磨装置及び研磨方法を用いてガラス基板の内周端面を研磨した。
なお、この端面研磨工程は、ガラス基板を重ね合わせて端面研磨する際にガラス基板の主表面にキズ等が付くことをより以上に避けるため、後述する第一研磨工程の前、あるいは、第二研磨工程の前後に行うことが好ましい。
上記端面研磨を終えたガラス基板を水洗浄した。
(3)第2砂掛け工程
次に、ラッピング装置を用い、粒度#1000のアルミナ砥粒を使用し、荷重Lを100kg程度に設定して、内転ギアと外転ギアを回転させることによって、ラッピングを行い、ガラス基板の両面の表面粗さ(Rmax)を2μm程度とした。
上記砂掛け加工を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
(4)第一研磨工程
次に、第一研磨工程を施した。この第一研磨工程は、上述した砂掛け工程で残留したキズや歪みの除去を目的とするもので、研磨装置を用いて行った。
詳しくは、ポリシャ(研磨布)として硬質ポリシャ(セリウムパッドMHC15:スピードファム社製)を用い、以下の研磨条件で第一研磨工程を実施した。
研磨液:酸化セリウム+水
荷重:300g/cm(L=238kg)
研磨時間:15分
除去量:30μm
下定盤回転数:40 rpm
上定盤回転数:35 rpm
内ギア回転数:14 rpm
外ギア回転数:29 rpm
上記第一研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
(5)第二研磨工程
次に、第一研磨工程で使用した研磨装置を用い、ポリシャを硬質ポリシャから軟質ポリシャ(ポリラックス:スピードファム社製)に替えて、第二研磨工程を実施した。研磨条件は、荷重を100g/cm、研磨時間を5分、除去量を5μmとしたこと以外は、第一研磨工程と同様とした。
上記第二研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
(6)化学強化工程
次に、上記研削、研磨工程を終えたガラス基板に化学強化を施した。
化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を400℃に加熱し、300℃に予熱された洗浄済みのガラス基板を約3時間浸漬して行った。この浸漬の際に、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるようにホルダーに収納した状態で行った。
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板表層のリチウムイオン、ナトリウムイオンは、化学強化溶液中のナトリウムイオン、カリウムイオンにそれぞれ置換されガラス基板は強化される。
ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さは、約100〜200μmであった。
上記化学強化を終えたガラス基板を、20℃の水槽に浸漬して急冷し約10分間維持した。
上記急冷を終えたガラス基板を、約40℃に加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行った。
さらに上記硫酸洗浄を終えたガラス基板を、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
評価
上記の工程を経て得られた磁気記録媒体用ガラス基板の内周端面の表面粗さRaは図4に示す面取部1bで0.028μm、側壁部1aで0.030μmであった。外周端面における表面粗さRaは面取部で0.04μm、側壁部で0.07μmであった。また、ガラス基板の主表面の表面粗さRaは0.3〜0.7nm(AFMで測定)であった。電子顕微鏡(4000倍)で端面表面を観察したところ鏡面状態であった。
また、磁気記録媒体用ガラス基板の内周端面に異物やクラックは認められず、ガラス表面についても異物やサーマル・アスペリティの原因となるパーティクルは認められなかった。
さらに、図6に示す抗折強度試験機(島津オートグラフDDS−2000)を用い、抗折強度を測定したところ、12〜20kgであった。なお、化学強化レベルを変化させて同様に抗折強度を測定したところ、約10〜25kgであった。
(7)磁気ディスク製造工程
上述した工程を経て得られた磁気ディスク用ガラス基板の両面に、インライン式のスパッタリング装置を用いて、AlNのスパッタによるテクスチャー層、Cr下地層、CrMo下地層、CoPtCrTa磁性層、C保護層を順次成膜してMRヘッド用磁気ディスクを得た。
得られた磁気ディスクについて異物により磁性層等の膜に欠陥が発生していないことを確認した。また、グライドテストを実施したところ、ヒット(ヘッドが磁気ディスク表面の突起にかすること)やクラッシュ(ヘッドが磁気ディスク表面の突起に衝突すること)は認められなかった。さらに、磁気抵抗型ヘッドで再生試験を行ったところ、サーマル・アスペリティによる再生の誤動作は認められなかった。
回転ブラシの代わりに研磨パッドを用いて内外周端面の研磨を行ったこと以外は実施例2と同様にして磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体を得た。
その結果、外周端面における表面粗さRaは面取部で0.03μm、側壁部で0.01μmであり、また、内周端面における表面粗さRaは面取部で0.03μm、側壁部で0.01μmであった。
(比較例1)
回転ブラシの代わりにダイヤモンド砥石を用いて内周端面の研磨を行ったこと以外は実施例2と同様にして磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体を得た。
その結果、実施例2における面取り加工直後の内外周端面の表面粗さと同程度であった。また、電子顕微鏡(4000倍)で端面表面を観察したところ荒削りした状態であり平滑性が極めて悪かった。
(比較例2)
回転ブラシの代わりに化学的エッチングによって内外周端面のエッチング処理を行ったこと以外は実施例2と同様にして磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体を得た。
その結果、エッチング処理前と比べ、Raで0.1μm程度、Rmaxで0.7μm程度悪化した。また、電子顕微鏡(4000倍)で端面表面を観察したところ、クラックがエッチングで広がり窪みとなってパーティクルを捕捉しやすい状態となっており、平坦性が悪く、クラックの残りが認められた。
実施例4〜7、及び参考例3〜4
次に、回転ブラシ4の回転数を適宜調整し、研磨液の流量を450ml/min(参考例3)、500ml/min(実施例4)、750ml/min(実施例5)、1000ml/min(実施例6)、3000ml/min(実施例7)、3200ml/min(参考例4)と変えたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板を作製した。その結果を表1に示す。測定枚数は100枚で、表面状態は、光学顕微鏡による表面観察で、スクラッチ等の傷がなかったものを「○」、スクラッチ等の傷があったものを「×」とした。
Figure 0004156504
表1に示すように、研磨液の流量が450ml/minの場合に、端面にスクラッチ状の傷があることが確認された。これは、研磨液の流量が500ml/min未満の場合、研磨液が研磨ブラシに十分に行き渡らないので、研磨ブラシが直接ガラス基板端面に接触することになり、傷が発生したものと考えられる。また、研磨液の流量が3000ml/minを超える場合、スクラッチ状の傷は発生しないものの、研磨の加工速度が上がらないので好ましくない。
実施例8〜10、及び参考例5〜6
次に、回転ブラシ4の螺旋状に植毛されたブラシ毛43の傾斜角を1°(参考例5)、5°(実施例8)、15°(実施例9)、30°(実施例10)、35°(参考例6)と変えたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板を作製した。その結果を表2に示す。測定枚数は100枚で、光学顕微鏡による表面観察で、スクラッチ等の傷があったものを不良と判断し、不良率を算出した。
Figure 0004156504
表2に示すように、ブラシ毛43の傾斜角が1°の場合に、端面にスクラッチ状の傷がある研磨不良が発生し、不良率が高くなった。これは、ブラシ毛の傾斜角が2°未満の場合、研磨液が被研磨面に十分に行き渡らず、研磨ブラシが直接ガラス基板端面に接触するものが多くなり、不良率が高くなったものと考えられる。また、ブラシ毛の傾斜角が30°を超える場合、傾斜角が小さい場合よりは研磨液がブラシ毛に沿って浸透しやすくなっているものの、常にブラシ毛がガラス基板端面に接触した状態にならないので、研磨の加工速度が遅くなるので好ましくない。
実施例11〜14、及び参考例7〜8
次に、遊離砥粒の種類等を適宜選択し、上述の端面研磨工程時に使用する遊離砥粒を含有した研磨液の粘度を、1.3cps(参考例7)、1.5cps(実施例11)、5.0cps(実施例12)、10.0cps(実施例13)、25.0cps(実施例14)、27.0cps(参考例8)と変えたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板を作製した。その結果を表3に示す。表面状態は、光学顕微鏡による表面観察で、スクラッチ等の傷がなかったものを「○」、スクラッチ等の傷があったものを「×」とした。
Figure 0004156504
表3に示すように、研磨液の粘度が1.3cps、27.0cpsのものには、端面にスクラッチ状の傷があることが確認された。これは、粘度が1.5cps未満の場合、研磨時にブラシとガラス基板との間に砥粒が介在されていない箇所が発生し、ブラシが直接ガラス基板に接触することによってできた傷と考えられる。また、25.0cpsを超える場合は、粘度が大きいために、回転ブラシを回転させる回転駆動装置に加わる負荷が大きくなるとともに、研磨剤が凝集しやすくなり、凝集した研磨剤がブラシとガラス基板との間に介在され研磨されることによってできた傷と考えられる。
実施例15〜16
アルミノシリケートガラスの代わりにソーダライムガラス(実施例15)、ソーダアルミノケイ酸ガラス(実施例16)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを得た。
その結果、ソーダライムガラスの場合、ガラス基板の外周端面と内周端面の表面粗さは、アルミノシリケートガラスに比べやや粗面ではあったが、実用上問題はなかった。
実施例17
実施例2で得られた磁気ディスク用ガラス基板の両面に、Al(膜厚50オングストローム)/Cr(1000オングストローム)/CrMo(100オングストローム)からなる下地層、CoPtCr(120オングストローム)/CrMo(50オングストローム)/CoPtCr(120オングストローム)からなる磁性層、Cr(50オングストローム)保護層をインライン型スパッタ装置で形成した。
上記基板を、シリカ微粒子(粒経100オングストローム)を分散した有機ケイ素化合物溶液(水とIPAとテトラエトキシシランとの混合液)に浸し、焼成することによってSiOからなるテクスチャー機能を持った保護層を形成し、さらに、この保護層上をパーフロロポリエーテルからなる潤滑剤でディップ処理して潤滑層を形成して、MRヘッド用磁気ディスクを得た。
上記磁気ディスクについて実施例2と同様のことが確認された。
実施例18
下地層をAl/Cr/Crとし、磁性層をCoNiCrTaとしたこと以外は実施例17と同様にして薄膜ヘッド用磁気ディスクを得た。
上記磁気ディスクについて上記実施例と同様のことが確認された。
以上好ましい実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施例に限定されるものではない。
例えば、ガラス基板の種類や磁性層の種類は実施例のものに限定されない。
ガラス基板の材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。
アルミノシリケートガラスとしては、SiO:62〜75重量%、Al:5〜15重量%、LiO:4〜10重量%、NaO:4〜12重量%、ZrO:5.5〜15重量%を主成分として含有するとともに、NaO/ZrOの重量比が0.5〜2.0、Al/ZrOの重量比が0.4〜2.5である化学強化用ガラス等が好ましい。
また、ZrOの未溶解物が原因で生じるガラス基板表面の突起をなくすためには、モル%表示で、SiOを57〜74%、ZnOを0〜2.8%、Alを3〜15%、LiOを7〜16%、NaOを4〜14%含有する化学強化用ガラス等を使用することが好ましい。
このような組成のアルミノシリケートガラス等は、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れる。
磁性層としては、例えば、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPtや、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrTaPt、CoCrPtSiOなどの磁性薄膜が挙げられる。磁性層は、磁性膜を非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割してノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrTaPt/CrMo/CoCrTaPtなど)としてもよい。
磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)又は大型磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)対応の磁性層としては、Co系合金に、Y、Si、希土類元素、Hf、Ge、Sn、Znから選択される不純物元素、又はこれらの不純物元素の酸化物を含有させたものなども含まれる。
また、磁性層としては、上記の他、フェライト系、鉄−希土類系や、SiO、BNなどからなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子が分散された構造のグラニュラーなどであってもよい。また、磁性層は、内面型、垂直型のいずれの記録形式であってもよい。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、ガラス基板端面から発生する微細なパーティクルを嫌う光磁気ディスク用のガラス基板や、光ディスクなどの電子光学用ディスク基板としても利用できる。
また、本発明の研磨方法及び研磨装置は、ガラス状カーボン、結晶材料(単結晶材料を含む)、セラミック材料などの脆性材料や、金属材料等の研磨方法及び研磨装置としても利用できる。
本発明の一実施例に係る研磨装置を示す断面図である。 図1における軸受け部分のA−A線方向の断面図である。 回転ブラシ及びブラシ毛を示す模式図であり、(a)は正面図、(b)は部分断面図である。 磁気ディスク用ガラス基板を切断して見たときの斜視図である。 外周端面の研磨の様子を示す平面図である。 抗折強度試験機を示す断面図である。
符号の説明
1 MD基板
1a 側壁部
1b 面取部
2 基板ケース
3 回転保持台
4 回転ブラシ
5 研磨液供給部
31 回転軸部
43 ブラシ毛
50 研磨液

Claims (6)

  1. 中心部に円孔を有する円板状の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記ガラス基板の外周端面及び内周端面に面取り加工を行う工程、前記面取り加工されたガラス基板の端面を研磨する工程、ガラス基板の主表面を研磨する工程、ガラス基板を化学強化処理する工程をこの順で含み、
    前記ガラス基板の端面を研磨する工程は、前記ガラス基板を複数枚積み重ね、前記ガラス基板の内周端面部分に、粘度が1.5以上25.0cps以下で遊離砥粒を含有した研磨液を500ml/min以上供給するとともに、回転軸を備えて回転している傾斜角が2°以上で螺旋状にブラシ毛が植毛された研磨ブラシ又は研磨パッドを接触させて研磨する工程を含むことを特徴とする、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記研磨ブラシのブラシ毛に、カールした繊維を使用することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記ガラス基板の端面の表面粗さが、Raで0.001〜0.5μmとなるように端面を研磨することを特徴とする、請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 化学強化処理後のガラス基板の抗折強度が10kg〜25kgとなるように前記端面を研磨することを特徴とする、請求項1ないし3の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記ガラス基板はアルミノシリケイトガラスからなるガラス基板であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする、磁気ディスクの製造方法。
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