JP4155720B2 - 含フッ素リチオオキシラン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬・農薬の中間体、機能性物質などの製造においてトリフルオロメチル基をオキシラン環に有するリチオオキシランとそれを用いた含フッ素化合物の製造に関する。
【0002】
【従来技術】
オキシラン環にトリフルオロメチル基を有する多数の化合物が知られており、例えば次のような化合物が挙げられる。
【0003】
【化10】
Figure 0004155720
【0004】
文献(Chem.Ber.1992,125,1273-1281)には、アルゴン雰囲気下−78℃において、ジイソプロピルアミンを溶解したエーテル中にノルマルヘキサンに溶解したnBuLiを加え、30分後R−(+)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルエステル・エーテル溶液を−72℃を超えないようにして滴下し、一旦−35℃とした後、再度−70℃を超えない温度でヨードのエーテル溶液を滴下し、水を加えDBUを加えて、(R,R)−3−トリフルオロメチルオキシラン−2−カルボン酸−エチルエステルを得ることが記載されている。また、このエステルにグリニヤー試薬を作用させて(2R,3R)−4−ブチル−2,3−エポキシ−1,1,1−トリフルオロ−4−オクタノールが得られることを記載している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記文献記載の方法ではオキシラン環にさらに置換基を導入することはできない。そこで、本発明は、オキシラン環にトリフルオロメチル基を有する新規な中間体を提供し、さらにそれを用いた3または4置換のオキシラン環及びオレフィンの製造方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を加えたところ、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンをグリニヤール試薬と反応させ加水分解して得られるジクロロメチル−トリフルオロメチル−R1−メタノールに有機リチウム化合物を−98℃で反応させそこへ求電子剤を作用させるとトリフルオロメチル基を含めて3または4置換のオキシランが生成することを見いだし、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、一般式(4)、
【0008】
【化11】
Figure 0004155720
【0009】
(式中、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(該アリール基は t −ブチル基に置換されていてもよい)、又はヘテロ環式基を表し、R2は、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を表す。)で表されるリチオオキシランである。
【0010】
また、本発明は、R 1 がPh(CH 2 2 −(Phはフェニル基を表す。)、PhC≡C−(Phはフェニル基を表す。)、4 -t Bu- 6 4 −( Bu はブチル基を表す。)、又は(E) - PhCH = CH−(Phはフェニル基を表す。)である上記に記載のリチオオキシランである。
【0011】
また、本発明は、溶媒中において一般式(1)、
【0012】
【化12】
Figure 0004155720
【0013】
(式中、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(該アリール基は t −ブチル基に置換されていてもよい)又はヘテロ環式基を表し、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。)で表されるアルコールと一般式(2)、
2−Li (2)
(式中、R2は、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を表す。)で表される有機リチウム化合物を反応させることからなる、上記に記載のリチオオキシランの製造方法である。
【0014】
また、本発明は一般式(1)、
【0015】
【化13】
Figure 0004155720
【0016】
(式中、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(該アリール基は t −ブチル基に置換されていてもよい)、又はヘテロ環式基を表し、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。)で表されるアルコールを一般式(2)、
2−Li (2)
(式中、R2は、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を表す。)で表される有機リチウム化合物と反応させ、次いで該反応系中に、一般式(8)
6 −CO−R 7 (8)
(式中、R 6 、R 7 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環式基、アルコキシ基又は水素原子を表す。ただしR 6 、R 7 は同時に水素原子ではない。)で表されるカルボニル化合物、ハロゲン化アルキル、トリアルキルシランおよび水からなる群より選ばれる求電子剤を加えて反応させることからなる、一般式(3)、
【0017】
【化14】
Figure 0004155720
【0018】
(式中、R3は、
求電子剤が前記カルボニル化合物の場合は一般式(11)
【0019】
【化15】
Figure 0004155720
【0020】
(式中、R 6 、R 7 は、一般式(8)に同じ)で表される基であり、
求電子剤がハロゲン化アルキルの場合はアルキル基、
求電子剤がトリアルキルシランの場合はトリアルキルシリル基、
求電子剤が水の場合は水素原子である。
1、R2はそれぞれ一般式(1)、一般式(2)に同じ。)で表されるオキシランの製造方法である。
【0021】
また、本発明は、一般式(1)、
【0022】
【化16】
Figure 0004155720
【0023】
(式中、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(該アリール基は t −ブチル基に置換されていてもよい)又はヘテロ環式基を表し、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。)で表されるアルコールを一般式(2)、
2−Li (2)
(式中、R2は、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を表す。)で表される有機リチウム化合物と反応させ、次いで一般式(5)、
4BZ2 (5)
(式中、R4アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であり、Zは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はアルコキシ基を表す。)で表される有機ホウ素化合物を反応させることからなる、一般式(6)、
【0024】
【化17】
Figure 0004155720
【0025】
(式中、R1、R2、R4はそれぞれ前記と同じ。)で表されるオレフィンの製造方法である。
【0026】
また、本発明は、一般式(1)、
【0027】
【化18】
Figure 0004155720
【0028】
(式中、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(該アリール基は t −ブチル基に置換されていてもよい)又はヘテロ環式基を表し、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。)で表されるアルコールを一般式(13)、
5−(CH22−Li (13)
(式中、R5アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環式基を表す。)で表される有機リチウム化合物と反応させ、次いで−78℃以上の温度にすることからなる一般式(7)、
【0029】
【化19】
Figure 0004155720
【0030】
(式中、R1、R5は前記と同じ。)で表されるアリルアルコールの製造方法である。
【0031】
また、本発明は、R 1 がPh(CH 2 2 −(Phはフェニル基を表す。)、PhC≡C−(Phはフェニル基を表す。)、4 -t Bu- 6 4 −( Bu はブチル基を表す。)、又は(E) - PhCH = CH−(Phはフェニル基を表す。)である上記に記載の方法である。
【0032】
本発明にかかる一般式(1)
【0033】
【化20】
Figure 0004155720
【0034】
で表されるアルコールにおいて、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、 アリール基(該アリール基は t −ブチル基に置換されていてもよい)又はヘテロ環式基である。Xは塩素、臭素又はヨウ素である。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1〜5の直鎖又は分岐を有する基である。アリール基としてはフェニル基、Ph(CH 2 2 −(Phはフェニル基を表す。)、PhC≡C−(Phはフェニル基を表す。)、4 -t Bu- 6 4 −( Bu はブチル基を表す。)、又は(E) - PhCH = CH−(Phはフェニル基を表す。)が挙げられる。
【0035】
特に好ましい基としては、炭素数1〜5の直鎖又は分岐を有するアルキル基である。
【0036】
一般式(1)で表されるアルコールは、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンをグリニヤール試薬R1MgXと反応させ次いで加水分解することで得ることができる(特願2000−402896)。
【0037】
本発明にかかる一般式(2)
2−Li (2)
で表される有機リチウム化合物において、R2は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基である。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1〜5の直鎖または分岐を有する基である。
【0038】
2としては、嵩高い基よりも比較的嵩の低い基が好ましく、特に好ましい基としては、炭素数1〜5の直鎖アルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
【0039】
本発明に係る求電子剤としては、カルボニル化合物、例えば、ケトン、アルデヒド、エステルなど、ハロゲン化アルキル、トリアルキルシラン、又はである
【0040】
カルボニル化合物は一般式(8)
6−CO−R7 (8)
(式中、R6、R7は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環式基、アルコキシ基又は水素原子を表す。但し、R6とR7は同時に水素原子ではい。)で表される化合物である。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、としては、炭素数1〜5の直鎖または分岐を有する基である。
【0041】
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基又はそれらの環水素原子がフッ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環式基、アルコキシ基、三級アミノ基等で置換した基が挙げられる。
【0042】
ヘテロ環式基としては、酸素、窒素、イオウ原子を有するものが挙げられる。
【0043】
本発明の方法のうち、オキシランの製造方法は、次の式(9)で表す様に(a)、(b)の二段階の反応で表すことができる。
【0044】
【化21】
Figure 0004155720
【0045】
(a)で表される反応は次の様にして行い、一般式(4)で表されるリチオオキシランを得ることができる。不活性な溶媒中で低温において一般式(1)で表されるアルコールに一般式(2)で表される有機リチウム化合物R2Liを加えることで行う。このとき攪拌してもよい。このときの温度は、−78℃以下がよく−90℃程度以下が好ましい。−98℃は温度調節が比較的容易であるので好ましい。−78℃を超えると一般式(4)で表されるリチオオキシランが分解することがあるので好ましくない。溶媒は−78℃以下好ましくは−100℃で液体である反応において不活性な溶媒が使用でき、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどを例示できこれらは併せて使用することができる。(b)で表される反応は、(a)の反応の生成物を単離することなく続けて行うことができる。(a)の反応に続けて求電子試薬(E)を低温で反応系に加える。このときの温度は、−78℃以下がよく−90℃程度以下が好ましい。−98℃は温度調節が比較的容易であるので好ましい。−78℃を超えると一般式(4)で表されるリチオオキシランが分解することがあるので好ましくない。このとき攪拌してもよく、その後徐々に昇温する。所定の温度になったあと、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液などの停止剤を加える。
【0046】
得られた反応液は抽出、脱水・乾燥、蒸留、溶媒留去、カラムクロマトグラフィなどの有機合成における慣用の精製法により精製すると一般式(3)で表されるオキシランを得ることができる。
【0047】
本反応の方法で求電子剤(E)が、前記一般式(8)
6−CO−R7 (8)
である場合、R3は一般式(11)
【0048】
【化22】
Figure 0004155720
【0049】
(式中、R6、R7は式(8)に同じ。)で表される基である。求電子剤としてハロゲン化アルキル、トリアルキルシラン、水使用すると、それぞれR3はアルキル基、トリアルキルシリル基、水素原子となる。
【0050】
本発明の方法で得られる一般式(3)で表されるオキシランは種々の反応における試剤として適用できる。本発明の方法のうち、3または4置換オレフィンの製造方法は、次の式(10)で表す様に(a)、(c)の二段階の反応で表すことができる。
【0051】
【化23】
Figure 0004155720
【0052】
(c)で表される反応は、(a)の反応の生成物を単離することなく続けて行うことができる。(a)の反応に続けて一般式(5)
4BZ2 (5)
(式中、R4アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であり、Zはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はアルコキシ基を表す。)で表される有機ホウ素化合物を低温で反応系に加える。このときの温度は、−78℃以下がよく−90℃程度以下が好ましい。−98℃は温度調節が比較的容易であるので好ましい。−78℃を超えると一般式(4)で表されるリチオオキシランが分解することがあるので好ましくない。このとき攪拌してもよく、その後徐々に昇温し、反応試剤の種類によっては150℃または溶媒の還流温度まで加熱することも好ましい。所定の温度になったあと、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液などの停止剤を加える。
【0053】
得られた反応液は抽出、脱水・乾燥、蒸留、溶媒留去、カラムクロマトグラフィなどの有機合成における慣用の精製法により精製すると一般式(6)で表されるオレフィンを得ることができる。
【0054】
(a)で得られた一般式(4)で表されるリチオオキシランを他の試剤を加えることなく室温まで昇温するとアリルアルコールが得られる。一般式(2)の有機リチウム化合物として一般式(13)、
5−(CH22−Li (13)
(式中、R5アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環式 を表す。)で表される有機リチウム化合物を使用すると、一般式(7)
【0055】
【化24】
Figure 0004155720
【0056】
(式中、R1、R5は前記と同じ。)で表されるアリルアルコールを得ることができる 。
【0057】
以下に実施例をもって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限ら れない。
【0058】
【実施例】
〔基質合成〕
新たに蒸留した3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロアセトン(DCTFA)23ml(28mmol)に0℃でR1MgBr(30mmol)のTHF溶液を加えた。この混合液を0℃で10〜30分間攪拌してから氷浴を取り外した。その後終夜で攪拌を続けてから反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え反応停止した。得られた水溶液をジエチルエーテルで3回抽出した。抽出液を集めて無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、真空で溶媒を除去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開液、ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して対応するアルコールを得た。
〔実施例1〜15〕オキシランの合成
基質合成で得られたアルコール(1mmol)のTHF溶液(5ml)に有機リチウム化合物(R2Li)(3mmol)のヘキサン溶液(1.9ml、1.56M)を−98℃で加え、この混合液を−98℃で15分間攪拌した。そこへ求電子剤(表1においてEで表し、反応後−R3で表す。)(1.5mmol)のTHF溶液(2ml)を−98℃で加えてから3時間にわたって−78℃まで徐々に昇温し、その後、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え反応停止した。得られた水溶液をジエチルエーテルで3回抽出した。抽出液を集めて無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、真空で溶媒を除去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開液、ヘキサン:酢酸エチル=10:1)とゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)で精製して対応するオキシランを得た。反応に使用した試剤と生成物、収率を表1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0004155720
【0060】
以下に生成物のスペクトルデータを示す。
実施例1:(E)-3-ブチル-2-フェネチル-2-トリフルオロメチルオキシラン
[(E)-3-Butyl-2-phenethyl-2-trifluoromethyloxirane]
【0061】
【化25】
Figure 0004155720
【0062】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.94 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.25-1.72 (m, 6H), 2.07(t, J = 9.0 Hz, 2H), 2.86 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 3.26 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 7.21-7.38 (m, 5H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -75.4 (s, 3F)。
実施例2:(E)-3-ブチル-2-フェニルエチニル-2-トリフルオロメチルオキシラン[(E)-3-Butyl-2-phenylethynyl-2-trifluoromethyloxirane]
【0063】
【化26】
Figure 0004155720
【0064】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.95 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.37-1.63 (m, 4H), 1.79-1.90 (m, 2H), 3.44 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 7.34-7.42 (m, 3H), 7.49-7.54 (m,2H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -75.8 (s, 3F)。
実施例3:(Z)-2-ブチル-2-(ヒドロキシジフェニル)メチル-3-フフェニルエチニル-3-トリフルオロメチルオキシラン
[(Z)-2-Butyl-2-(hydroxydiphenyl)methyl-3-phenylethynyl-3-trifluoromethyloxira ne]
【0065】
【化27】
Figure 0004155720
【0066】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.29-0.47 (m, 1H), 0.52 (t, J = 7.2Hz, 3H),0.79-0.94 (m, 2H), 0.98-1.26 (m, 1H), 1.83 (dt, J = 12.2, 4.8 Hz, 1H), 2.26 (dt, J = 13.0, 4.8 Hz, 1H), 3.23 (brs, 1H), 7.24-7.52 (m, 15H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -60.6 (s, 3F)。
実施例5:(Z)-2-ブチル-2-(ヒドロキシジフェニル)メチル-3-(E)-スチリル-3-トリフルオロメチルオキシラン
[(Z)-2-Butyl-2-(hydroxydiphenyl)methyl-3-(E)-styryl-3-trifluoromethyloxirane ]
【0067】
【化28】
Figure 0004155720
【0068】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.09-0.26 (m, 1H), 0.38 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.48-0.88 (m, 3H), 1.69 (dt, J = 10.8, 5.4 Hz, 2H), 3.47 (brs, 1H), 6.44 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.27-7.48 (m, 15H);19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -60.7 (s, 3F)。
実施例6:(E)-2-(ジメチルフェニル)シリル-2-ブチル-3-フェニルエチニル-3-トリフルオロメチルオキシラン
[(E)-2-(Dimethylphenyl)silyl-2-Butyl-3-phenylethynyl-3-trifluoromethyloxirane
【0069】
【化29】
Figure 0004155720
【0070】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.46 (s, 3H), 0.52 (s, 3H), 0.71 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.89-1.62 (m, 5H), 1.90 (dt, J = 12.2, 4.5 Hz, 1H), 7.29-7.64(m, 10H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -70.4 (s, 3F)。
実施例7:(E)-2-ブチル-2-メチル-3-フェニルエチニル-3-トリフルオロメチルオキシラン
[(E)-2-Butyl-2-methyl-3-phenylethynyl-3-trifluoromethyloxirane]
【0071】
【化30】
Figure 0004155720
【0072】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.94 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.26-1.60 (m, 4H), 1.54 (s, 3H), 1.72-1.96 (m, 2H), 7.26-7.40 (m, 3H), 7.43-7.51 (m, 2H);
19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -67.9 (s, 3F)。
実施例8:(Z)-2-アリル-2-ブチル-3-フェニルエチニル-3-トリフルオロメチルオキシラン
[(Z)-2-Allyl-2-butyl-3-phenylethynyl-3-trifluoromethyloxirane]
【0073】
【化31】
Figure 0004155720
【0074】
4H), 1.73-2.07 (m, 2H), 2.48-2.70 (m, 2H), 5.17 (s, 1H), 5.23 (dt, J = 4.6, 1.2 Hz, 1H), 5.84 (dt, J = 17.0, 7.0 Hz, 1H), 7.29-7.39 (m, 3H), 7.42-7.49 (m, 2H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -67.2 (s, 3F)。
実施例10:(Z)-2-ブチル-2-(ヒドロキシジエチル)メチル-3-フェニルエチニル-3-トリフルオロメチルオキシラン
[(Z)-2-Butyl-2-(hydroxydiethyl)methyl-3-phenylethynyl-3-trifluoromethyloxiran e]
【0075】
【化32】
Figure 0004155720
【0076】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.93 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.99 (t, J = 7.6 Hz, 6H), 1.23-1.57 (m, 5H), 1.64-1.82 (m, 4H), 1.88 (brs, 1H), 2.05-2.28(m, 1H), 7.24-7.39 (m, 3H), 7.44-7.50 (m, 2H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -60.0 (s, 3F)。
実施例12:(E)-3-メチル-2-フェニルエチニル-2-トリフルオロメチルオキシラン
[(E)-3-Methyl-2-phenylethynyl-2-trifluoromethyloxirane]
【0077】
【化33】
Figure 0004155720
【0078】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 1.57 (d, J = 5.2 Hz, 3H), 3.57 (q, J = 5.2 Hz, 1H), 7.27-7.37 (m, 3H), 7.41-7.55 (m, 2H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -75.8 (s, 3F)。
実施例13:(Z)-2-ブチル-2-メチル-3-フェニルエチニル-3-トリフルオロメチルオキシラン
[(Z)-2-Butyl-2-methyl-3-phenylethynyl-3-trifluoromethyloxirane]
【0079】
【化34】
Figure 0004155720
【0080】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.93 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.26-1.52 (m, 4H), 1.62 (s, 3H), 1.75-1.86 (m, 2H), 7.28-7.42 (m, 3H), 7.47-7.53 (m, 2H);
19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -67.7 (s, 3F)。
実施例14:(E)-3-フェニル-2-フェニルエチニル-2-トリフルオロメチルオキシラン
[(E)-3-Phenyl-2-phenylethynyl-2-trifluoromethyloxirane]
【0081】
【化35】
Figure 0004155720
【0082】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 4.51 (s, 1H), 7.27-7.36 (m, 4H), 7.37-7.52 (m, 6H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -75.6 (s, 3F)。
実施例15:(E)-2-フェニルエチニル-2-トリフルオロメチル-3-ビニルオキシラン[(E)-2-Phenylethynyl-2-trifluoromethyl-3-vinyloxirane]
【0083】
【化36】
Figure 0004155720
【0084】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 3.89 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.59-5.95 (m, 3H), 7.29-7.46 (m, 3H), 7.49-7.59 (m, 2H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -75.9 (s,3F)。
実施例16:(Z)-2-ブチル-2-(ヒドロキシジフェニル)メチル-3-フェネチル-3-トリフルオロメチルオキシラン
[(Z)-2-Butyl-2-(hydroxydiphenyl)methyl-3-phenethyl-3-trifluoromethyloxirane]
【0085】
【化37】
Figure 0004155720
【0086】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.11-0.22 (m, 1H), 0.52 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.66-0.98 (m, 4H), 1.79-1.96 (m, 2H), 2.23-2.38 (m, 1H), 2.96 (t, J = 9.6 Hz, 2H), 3.40 (brs, 1H), 7.18-7.45 (m, 15H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -59.7 (s, 3F)。
〔オレフィンの合成〕
〔実施例17〜20〕
基質合成で得られたアルコール(1mmol)のTHF溶液(5ml)に有機リチウム化合物(R2Li)(3mmol)のヘキサン溶液(1.9ml、1.56M)を−98℃で加え、この混合液を−98℃で15分間攪拌した。そこへ有機ホウ素化合物(2mmol)を−98℃で加えてから終夜にわたって徐々に室温(約25℃)まで昇温し、その後加熱して4時間還流させた。次いで、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え反応停止した。得られた水溶液をジエチルエーテルで3回抽出した。抽出液を集めて無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、真空で溶媒を除去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開液、ヘキサン:ジエチルエーテル=10:1)で精製して対応するオレフィンを得た。反応に使用した試剤と生成物、収率を表2に示す。
【0087】
【表2】
Figure 0004155720
【0088】
以下に生成物のスペクトルデータを示す。
実施例17:(E)-4-エチル-1-フェニル-3-トリフルオロメチルオクト-3-エン-1-イン
[(E)-4-Ethyl-1-phenyl-3-trifluoromethyloct-3-en-1-yne]
【0089】
【化38】
Figure 0004155720
【0090】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.95 (t, J =7.0 Hz, 3H), 1.10 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.36-1.62 (m, 4H), 2.38 (ddq, J = 7.5, 1.6, 1.6 Hz, 2H), 2.45-2.53 (m, 2H), 7.28-7.35 (m, 3H), 7.38-7.48 (m, 2H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -58.0 (s, 3F)。
実施例18:(Z)-1-4-ジフェニル-3-トリフルオロメチルオクト-3-エン-1-イン[(Z)-1-4-Diphenyl-3-trifluoromethyloct-3-en-1-yne]
【0091】
【化39】
Figure 0004155720
【0092】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.89 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.27-1.44 (m, 4H), 2.80 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 7.10-7.21 (m, 2H), 7.27-7.40 (m, 6H), 7.46-7.53 (m, 2H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -57.2 (s, 3F)。
実施例19:(3Z, 5E)-4-ブチル-1-フェニル-3-トリフルオロメチルデカ-3,5-ジエン-1-イン
[(3Z, 5E)-4-Butyl-1-phenyl-3-trifluoromethyldec-3,5-diene-1-yne]
【0093】
【化40】
Figure 0004155720
【0094】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.92 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.96 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.27-1.60 (m, 8H), 2.21 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 2.67 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 6.17 (dt, J = 15.6, 7.8 Hz, 1H), 6.59 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 7.28-7.34 (m,3H), 7.39-7.50 (m, 2H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -56.0 (s,3F)。
実施例20:(Z)-1-フェニル-4-フェニルエチニル-3-トリフルオロメチルオクト-3-エン-1-イン
[(Z)-1-phenyl-4-phenylethynyl-3-trifluoromethyloct-3-en-1-yne]
【0095】
【化41】
Figure 0004155720
【0096】
1H NMR (200 MHz, CDCl3,δ) : 0.99 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.42 (tq, J = 7.2, 7.1 Hz, 2H), 1.74 (tt, J = 7.4, 7.2 Hz, 2H), 2.70 (t, J = 7.4 Hz, 2H),7.32-7.41 (m, 6H), 7.44-7.53 (m, 4H); 19F NMR (188 MHz, CDCl3,δ) : -61.1 (s, 3F)。
【0097】
〔実施例21〕(E)−アリルアルコールの合成
基質合成で得られたアルコール(1mmol)のTHF溶液(5ml)にブチルリチウム(nBuLi)(3mmol)のヘキサン溶液(1.9ml、1.56M)を−98℃で加えた。この混合液を−98℃で15分間攪拌してから終夜にわたって徐々に室温(約25℃)まで昇温した。その後、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え反応停止した。得られた水溶液をジエチルエーテルで3回抽出した。抽出液を集めて無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、真空で溶媒を除去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開液、ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して対応するアリルアルコールを得た。
【0098】
【発明の効果】
本発明のリチオオキシランは求電子剤に対して活性であるため、種々の反応に適用してトリフルオロメチル基を有機化合物に導入できるという効果を奏する。

Claims (7)

  1. 一般式(4)、
    Figure 0004155720
    (式中、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(該アリール基は t −ブチル基に置換されていてもよい)、又はヘテロ環式基を表し、R2は、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を表す。)で表されるリチオオキシラン。
  2. 1 がPh(CH 2 2 −(Phはフェニル基を表す。)、PhC≡C−(Phはフェニル基を表す。)、4 -t Bu- 6 4 −( Bu はブチル基を表す。)、又は(E) - PhCH = CH−(Phはフェニル基を表す。)である請求項1に記載のリチオオキシラン。
  3. 溶媒中において一般式(1)、
    Figure 0004155720
    (式中、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(該アリール基は t −ブチル基に置換されていてもよい)、又はヘテロ環式基を表し、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。)で表されるアルコールと一般式(2)、
    2−Li (2)
    (式中、R2は、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を表す。)で表される有機リチウム化合物を反応させることからなる、請求項1に記載のリチオオキシランの製造方法。
  4. 一般式(1)、
    Figure 0004155720
    (式中、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(該アリール基は t −ブチル基に置換されていてもよい)、又はヘテロ環式基を表し、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。)で表されるアルコールを一般式(2)、
    2−Li (2)
    (式中、R2は、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を表す。)で表される有機リチウム化合物と反応させ、次いで該反応系中に、
    一般式(8)
    6 −CO−R 7 (8)
    (式中、R 6 、R 7 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環式基、アルコキシ基又は水素原子を表す。但し、R 6 、R 7 は同時に水素原子ではない。)で表されるカルボニル化合物、
    ハロゲン化アルキル、
    トリアルキルシラン
    および水
    からなる群より選ばれる求電子剤を加えて反応させる
    ことからなる、一般式(3)、
    Figure 0004155720
    (式中、 3 は、求電子剤が前記カルボニル化合物の場合は一般式(11)
    Figure 0004155720
    (式中、R 6 、R 7 は、一般式(8)に同じ)で表される基であり、
    求電子剤がハロゲン化アルキルの場合はアルキル基、
    求電子剤がトリアルキルシランの場合はトリアルキルシリル基、
    求電子剤が水の場合は水素原子
    である。R1、R2はそれぞれ一般式(1)、一般式(2)に同じ。)で表されるオキシランの製造方法。
  5. 一般式(1)、
    Figure 0004155720
    (式中、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(該アリール基は t −ブチル基に置換されていてもよい)、又はヘテロ環式基を表し、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。)で表されるアルコールを一般式(2)、
    2−Li (2)
    (式中、R2は、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を表す。)で表される有機リチウム化合物と反応させ、次いで一般式(5)、
    4BZ2 (5)
    (式中、R4アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であり、Zは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はアルコキシ基を表す。)で表される有機ホウ素化合物を反応させることからなる、一般式(6)、
    Figure 0004155720
    (式中、R1、R2、R4はそれぞれ前記と同じ。)で表されるオレフィンの製造方法。
  6. 一般式(1)、
    Figure 0004155720
    (式中、 1 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(該アリール基 t −ブチル基に置換されていてもよい)、又はヘテロ環式基を表し、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。)で表されるアルコールを一般式(13)、
    5−(CH22−Li (13)
    (式中、R5アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環式基を表す。)で表される有機リチウム化合物と反応させ、次いで−78℃以上の温度にすることからなる一般式(7)、
    Figure 0004155720
    (式中、R1、R5は前記と同じ。)で表されるアリルアルコールの製造方法。
  7. 1 がPh(CH 2 2 −(Phはフェニル基を表す。)、PhC≡C−(Phはフェニル基を表す。)、4 -t Bu- 6 4 −( Bu はブチル基を表す。)、又は(E) - PhCH = CH−(Phはフェニル基を表す。)である請求項3〜6の何れかに記載の方法。
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