JP3257393B2 - (e)−アリルシランの製造方法 - Google Patents

(e)−アリルシランの製造方法

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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品、バイオ製
品製造の中間体として有用な(E)−アリルシラン、特
に光学活性の(E)−アリルシランの新規な製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
アリルシランの製造方法としては、下記の反応による方
法が知られている。
【0003】
【化3】
【0004】しかし、上記〜の従来の合成法におい
ては、得られるアリルシランの立体配置を制御し、かつ
ケイ素及び炭素上に種々の置換基を導入することは困難
であり、この点の解決が要望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記要望に応えるため鋭意検討を行った結
果、下記一般式(1)で示されるアリルオキシジシラン
を3級アルキルイソシアニド−パラジウム触媒の存在
下、不活性非極性溶媒中で反応させた後、有機リチウム
化合物で処理することにより、下記一般式(2)で示さ
れる(E)−アリルシランが得られること、この場合、
原料のアリルオキシジシランとして光学活性体を用いる
ことにより、光学活性(E)−アリルシランが得られる
こと、また下記式(1)において、R1,R2,R3を適
宜選定することにより、炭素及びケイ素上に種々の置換
基を有する(E)−アリルシランが得られることを見い
出し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
【化4】 (式中、R1,R2,R3は互いに同一又は異種の置換又
は非置換の炭素数1〜10の一価炭化水素基を示し、P
hはフェニル基を示す。)
【0007】従って、本発明は、上記式(1)のアリル
オキシジシランを3級アルキルイソシアニド−パラジウ
ム触媒の存在下、不活性非極性溶媒中で反応させた後、
有機リチウム化合物で処理することを特徴とする上記式
(2)で示される(E)−アリルシランの製造方法を提
供する。またこの場合、アリルオキシジシランとして光
学活性アリルオキシジシランを用いることにより、光学
活性(E)−アリルシランを製造する方法を提供する。
【0008】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の(E)−アリルシランの製造方法においては、
下記一般式(1)で示されるアリルオキシジシランを原
料として使用する。
【0009】
【化5】
【0010】ここで、R1,R2,R3は、それぞれ独立
に置換又は非置換の炭素数1〜10の一価炭化水素基を
示し、Phはフェニル基を示す。一価炭化水素基として
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基などが挙げられる。アルキル基としてはメチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ヘキシ
ルなどを例示することができ、シクロアルキル基として
はシクロヘキシル等、アリール基としてはフェニル、ト
リル、キシリル等を例示することができる。また、置換
の一価炭化水素基としては、その炭素原子結合水素原子
の一部又は全部をフッ素等のハロゲン原子などで置換し
た基を挙げることができる。
【0011】上記式(1)のアリルオキシジシランは、
例えば下記一般式(3)のアリルアルコールと下記一般
式(4)のハロゲノジシランとを反応させることによ
り、得ることができる(反応式(A))。
【0012】
【化6】 (式中、R1,R2,R3,Phは上記と同様の意味を示
し、Xはハロゲン原子を示す。)
【0013】ここで、Xのハロゲン原子としては、塩
素、臭素、ヨウ素などを挙げることができるが、中でも
塩素が好ましい。
【0014】なお、反応式(A)において、式(3)の
アリルアルコールとして光学活性アリルアルコールを用
いれば、光学活性アリルオキシジシラン(1a)又は
(1b)を得ることができる。
【0015】
【化7】
【0016】本発明は上記式(1)のアリルオキシジシ
ランを3級アルキルイソシアニドとパラジウム化合物と
の混合物である3級アルキルイソシアニド−パラジウム
触媒の存在下、不活性非極性溶媒中で反応させる。
【0017】ここで、3級イソシアニドとしては、te
rt−ブチルイソシアニド、1,1,3,3−テトラメ
チルブチルイソシアニド、1−アダマンチルイソシアニ
ド等を例示することができる。その使用量は、原料のア
リルオキシジシランに対して5〜50モル%とすること
が好ましい。
【0018】また、パラジウム化合物としては、PdL
f(式中、Lは配位子を示し、fはパラジウムの遊離価
を満足する数である。)で示されるものが用いられ、具
体的には下記のものを例示することができる。
【0019】
【化8】
【0020】上記パラジウム化合物の使用量は、アリル
オキシジシランに対して0.5〜10モル%とすること
が好ましい。
【0021】不活性非極性溶媒としては、ヘキサン、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、これらの1
種を単独で又は2種以上を混合して使用し得る。その使
用量は特に制限されず、適宜選定される。
【0022】上記アリルオキシジシランの上記触媒存在
下における上記溶媒中での反応は、乾燥窒素、アルゴン
等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。また、反応
温度は50〜180℃が好ましく、反応温度が低すぎる
と触媒活性が弱く、反応が完結せず、反応温度が高すぎ
ると触媒が分解し易くなり、反応が遅くなるおそれがあ
る。なお、反応時間は特に制限されないが、通常1〜3
時間である。
【0023】本発明においては、上記反応後、反応混合
物からパラジウム成分を除去してから、又はそのまま有
機リチウム化合物を作用させることにより、下記一般式
(2)で示される(E)−アリルシランを得るものであ
る。
【0024】ここで、上記反応混合物からパラジウム成
分を除去する場合には、反応混合物をフロリジル、シリ
カゲル等のカラムを通すことによって行うことができる
が、これに限定されるものではない。
【0025】有機リチウム化合物としては、n−ブチル
リチウム、sec−ブチルリチウム、フェニルリチウム
等を例示することができる。その使用量は、原料のアリ
ルオキシジシラン1モルに対して1.1〜2.0モルと
することが好ましい。
【0026】この反応において、反応溶媒としては、テ
トラヒドロフラン、2−メチルヒドロフラン、ジエチル
エーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等を
用いることができる。また、反応雰囲気は乾燥窒素、ア
ルゴン等の不活性雰囲気が好ましく、反応温度は−50
℃〜15℃とすることが好ましい。反応時間は、通常3
0分〜2時間である。
【0027】上述したように、本発明によれば、式
(1)のアリルオキシジシランから式(2)の(E)−
アリルシランを得ることができる。
【0028】
【化9】
【0029】この場合、アリルオキシジシランとして上
記式(1a)や(1b)の光学活性アリルオキシジシラ
ンを用いることにより、例えば下記式に示すように光学
活性(E)−アリルシランを得ることができる。
【0030】
【化10】
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、ケイ素及び炭素上に種
々の置換基を有する(E)−アリルシランを容易かつ確
実にしかも高収率で製造できると共に、光学活性の
(E)−アリルシランを確実に製造でき、得られた
(E)−アリルシランは、医薬品、バイオ製品製造の中
間体等として有用である。
【0032】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記実施例に制限されるものではな
い。なお、下記例において、Meはメチル基、Etはエ
チル基、iPrはイソプロピル基、tBuはtert−ブ
チル基、nHexはn−ヘキシル基、cHexはシクロヘ
キシル基、Phはフェニル基を示す。
【0033】〔実施例1〕窒素雰囲気下、パラジウム
(II)アセチルアセトナート1.3mg(0.004
2mmol)と1,1,3,3−テトラメチルブチルイ
ソシアニド0.0029ml(0.017mmol)と
を混合し、室温で5分間撹拌した。この混合物にトルエ
ン0.4ml及び下記式(i)の化合物100mg
(0.212mmol)(光学純度99.7ee%)を
加え、120℃で1時間撹拌した。
【0034】
【化11】
【0035】次に、得られた混合物を室温まで冷却した
後、フロリジルカラムを通し、パラジウム成分を除去し
た。更に、溶媒を減圧留去し、テトラヒドロフラン1m
lを加えて0℃に冷却した。この溶液に1.64モルの
n−ブチルリチウム0.19ml(0.31mmol)
を加え、0℃で30分間撹拌した後、水100μlを加
えて失活させた。ジエチルエーテルで抽出し、減圧留去
後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)
に付したところ、下記式(ii)の生成物51mg(光
学純度97.3ee%)が得られた(収率87%)。
【0036】
【化12】
【0037】化合物(ii)の物性値 1 H NMR(CDCl3)δ 0.25(s,3H)、
0.27(s,3H)、0.87(t,J=6.4H
z,3H)、1.03−1.71(m,14H)、5.
11−5.32(m,2H)、7.32−7.41
(m,3H)、7.45−7.56(m,2H)13 C NMR(CDCl3)δ −5.1,−4.2,
14.1,18.1,22.7,29.0,29.1,
29.3,31.8,32.5,123.0,127.
5,128.7,132.0,134.1,138.
4.元素分析値(C1830Si) 計算値 C 78.75%, H 11.02% 実測値 C 78.68%, H 11.00%
【0038】〔実施例2〕下記式(iii)の化合物1
00mg(0.212mmol)(光学純度96.0e
e%)を用い、実施例1のn−ブチルリチウムの代わり
に1.82モルのフェニルリチウム0.17ml(0.
31mmol)を使用して実施例1と同様な操作を行っ
たところ、下記式(iv)の生成物49mg(光学純度
95.4ee%)が得られた(収率84%)。
【0039】
【化13】
【0040】〔実施例3〕下記式(v)の化合物113
mg(0.212mmol)(光学純度>99.0ee
%)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行ったとこ
ろ、下記式(vi)の生成物68mg(光学純度96.
3ee%)が得られた(収率95%)。
【0041】
【化14】
【0042】化合物(vi)の物性値 1 H NMR(CDCl3)δ 0.32(s,3H)、
0.33(s,3H)、0.86(t,J=6.6H
z,3H)、1.07−1.64(m,10H)、1.
91(dt,J=9.2,3.7Hz,1H)、6.0
3(dd,J=15.8,9.2Hz,1H)、6.1
9(d,J=15.8Hz,1H)、7.12−7.5
8(m,10H)13 C NMR(CDCl3)δ −4.9,−4.2,
14.0,22.6,29.1,29.6,31.7,
34.0,125.6,126.2,127.9,12
8.4,129.0,132.9,134.1,13
7.8,138.5.元素分析値(C2332Si) 計算値 C 82.07%, H 9.58% 実測値 C 81.90%, H 9.65%
【0043】〔実施例4〕下記式(vii)の化合物1
15mg(0.212mmol)(光学純度99.8e
e%)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行ったと
ころ、下記式(viii)の生成物70mg(光学純度
98.0ee%)が得られた(収率96%)。
【0044】
【化15】
【0045】化合物(viii)の物性値 1 H NMR(CDCl3)δ 0.25(s,3H)、
0.26(s,3H)、0.87(t,J=6.6H
z,3H)、0.93−1.48(m,15H)、1.
55−1.78(m,6H)、1.83−2.01
(m,1H)、5.04−5.25(m,2H)、7.
30−7.38(m,3H)、7.44−7.53
(m,2H)13 C NMR(CDCl3)δ −5.0,−4.3,
14.1,22.6,26.2,26.3,28.9,
29.0,29.1,31.8,32.4,33.6,
33.7,41.1,127.5,128.3,12
8.7,134.1,135.1,138.5.元素分析値(C2338Si) 計算値 C 80.62%, H 11.18% 実測値 C 80.47%, H 11.19%
【0046】〔実施例5〕下記式(ix)の化合物98
mg(0.212mmol)(光学純度98.2ee
%)を用いた以外は実施例2と同様な操作を行ったとこ
ろ、下記式(x)の生成物48mg(光学純度94.8
ee%)が得られた(収率85%)。
【0047】
【化16】
【0048】化合物(x)の物性値 1 H NMR(CDCl3)δ 0.22(s,3H)、
0.25(s,3H)、1.66(dd,J=6.3,
1.5Hz,3H)、3.06(d,J=9.8Hz,
1H)、5.35(ddq,J=15.0,6.3,
0.9Hz,1H)、5.75(ddq,J=15.
0,9.8,1.5Hz,1H)、6.88−7.41
(m,10H)13 C NMR(CDCl3)δ −4.7,−4.3,
18.1,42.4,124.0,124.5,12
7.4,128.1,129.0,129.9,13
4.3,137.1,142.4.元素分析値(C1822Si) 計算値 C 81.14%, H 8.32% 実測値 C 81.38%, H 8.57%
【0049】〔実施例6〕窒素雰囲気下、パラジウム
(II)アセチルアセトナート1.3mg(0.004
2mmol)と1,1,3,3−テトラメチルブチルイ
ソシアニド0.0029ml(0.017mmol)と
を混合し、室温で5分間撹拌した。この混合物にトルエ
ン0.4ml及び下記式(xi)の化合物96mg
(0.212mmol)を加え、120℃で2時間撹拌
した。得られた混合物を室温まで冷却した後、フロリジ
ルカラムを通し、パラジウム成分を除去した。更に、溶
媒を減圧留去し、テトラヒドロフラン1mlを加えて0
℃に冷却した。この溶液に1.64モルのn−ブチルリ
チウム0.19ml(0.31mmol)を加え、0℃
で30分間撹拌した後、水100μlを加えて失活させ
た。ジエチルエーテルで抽出し、減圧留去後、シリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)に付したとこ
ろ、下記式(xii)の生成物47mgが得られた(収
率88%)。
【0050】
【化17】
【0051】化合物(xii)の物性値 1 H NMR(CDCl3)δ −0.10(s,3
H)、−0.08(s,3H)、0.89(s,9
H)、0.91(t,J=8.0Hz,3H)、1.0
3−1.62(m,11H)、1.65(d,J=4.
6Hz,3H)、5.12−5.31(m,2H)13 C NMR(CDCl3)δ −7.1,−7.0,
14.1,17.6,18.0,22.7,27.3,
29.2,29.3,29.8,31.2,31.9,
122.4,133.4.元素分析値(C1634Si) 計算値 C 75.50%, H 13.46% 実測値 C 75.48%, H 13.49%
【0052】〔実施例7〕窒素雰囲気下、パラジウム
(II)アセチルアセトナート1.3mg(0.004
2mmol)と1−アダマンチルイソシアニド17mg
(0.096mmol)とを混合し、室温で5分間撹拌
した。この混合物にキシレン0.5ml及び下記式(x
iii)の化合物105mg(0.212mmol)を
加え、150℃で2日間撹拌した。その後の操作を実施
例6と同様に行ったところ、下記式(xiv)の生成物
35mgが得られた(収率55%)。
【0053】
【化18】
【0054】化合物(xiv)の物性値 1 H NMR(CDCl3)δ 0.88(t,J=
6.4Hz,3H)、0.98−1.84(m,35
H)、5.13−5.42(m,2H)13 C NMR(CDCl3)δ 11.2,14.1,
18.0,19.1,22.7,29.2,29.7,
29.8,30.0,31.9,122.3,133.
6.元素分析値(C1940Si) 計算値 C 76.94%, H 13.59% 実測値 C 76.67%, H 13.74%
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 J.Am.Chem.Soc.,1996 年3月27日,Vol.118,No.12, P3061−62 J.Am.Chem.Soc., 1991,Vol.113,P3987−88 J.Chem.Soc.,Perki n Trans.1,1992,P3331−49 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 7/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1,R2,R3は互いに同一又は異種の置換又
    は非置換の炭素数1〜10の一価炭化水素基を示し、P
    hはフェニル基を示す。)で示されるアリルオキシジシ
    ランを3級アルキルイソシアニド−パラジウム触媒の存
    在下、不活性非極性溶媒中で反応させた後、有機リチウ
    ム化合物で処理することを特徴とする下記一般式(2) 【化2】 (式中、R1,R2,R3上記と同様の意味を示す。)で
    示される(E)−アリルシランの製造方法。
  2. 【請求項2】 アリルオキシジシランが光学活性アリル
    オキシジシランであり、得られる(E)−アリルシラン
    が光学活性(E)−アリルシランである請求項1記載の
    製造方法。
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Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
J.Am.Chem.Soc.,1991,Vol.113,P3987−88
J.Am.Chem.Soc.,1996年3月27日,Vol.118,No.12,P3061−62
J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1992,P3331−49

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