JP4155420B2 - 撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器 - Google Patents
撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撓み噛み合い式歯車装置に関するものであり、更に詳しくは、慣性質量の小さい偏平なオルダム機能付き波動発生器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6(A)に示すように、典型的な撓み噛み合い式歯車装置100は、環状の剛性内歯歯車102と、この内側に配置されているカップ状の可撓性外歯歯車103と、この内側に嵌め込まれている楕円形輪郭の波動発生器104とを備えている。波動発生器104によって、カップ状の可撓性外歯歯車103の外歯形成部分は楕円形に撓められ、当該楕円形状の長軸方向の両端部分において可撓性外歯歯車の外歯が剛性内歯歯車の内歯に対して噛み合った状態とされる。
【0003】
波動発生器104には入力回転軸(図示せず)が連結されており、波動発生器104が回転すると、両歯車102、103の2ヵ所の噛み合い位置が円周方向に移動する。この結果、外歯と内歯の歯数差に応じた相対回転が両歯車102、103の間に発生する。一般には剛性内歯歯車102が固定され、カップ状の可撓性外歯歯車103に連結された出力回転軸(図示せず)から、両歯車の歯数差に応じて大幅に減速された回転が取り出される。
【0004】
このように、撓み噛み合い式歯車装置においては、波動発生器に入力回転軸が連結され、カップ状の可撓性外歯歯車には出力回転軸が連結されるので、双方の回転軸の心ずれを吸収するためのオルダム機構あるいは調心機構を備えた形式のものが知られている。一般には、波動発生器にオルダム機構が組み込まれる。
【0005】
図6(B)も参照して説明すると、オルダム機能付きの波動発生器104は、可撓性外歯歯車の内側に嵌め込まれるボールベアリング202と、このボールベアリング202の内輪202aの内側に嵌め込まれた環状のプラグ203と、このプラグ203の内側に挿入された環状のハブ204とを備えている。ハブ204には軸孔204aが形成され、ここに、入力回転軸210が取り付けられる。環状のハブ204の一端には半径方向の外側に広がったフランジ204bが形成されており、このフランジ204bとプラグ203の間に環状のインサート205が挟まれている。
【0006】
このように軸線方向に配列されたフランジ204bと、インサート205と、プラグ203によってオルダム機構が構成されている。すなわち、フランジ204bに形成した一対の係合溝204c、204dと、インサート205に形成した一対の係合突起205c、205dとの間の係合によって、ハブ204は、インサート205に対して、係合溝の配列方向に僅かにスライド可能である。同様に、インサート205に形成した一対の係合突起205a、205bと、プラグ203に形成した一対の係合溝203a、203bとの間の係合によって、インサート204はプラグ203に対して、係合溝の配列方向に僅かにスライド可能である。この結果、入力回転軸が連結されるハブ204がプラグ203に対して、半径方向の何れの方向に対しても僅かに移動可能となったオルダム機構が構成される。
【0007】
一方、本願人は、実用新案登録第2535495号公報において、軸線方向に部材を配列する代わりに、半径方向に部材を配列することにより、慣性質量の低減化を図ったオルダム型波動発生器を提案している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記の実用新案登録公報に開示されているオルダム型波動発生器と同様に、慣性質量の小さいオルダム機能付き波動発生器を提案することにある。
【0009】
また、本発明の課題は、慣性質量が小さく、しかも、偏平なオルダム機能付き波動発生器を提案することにある。
【0010】
さらに、本発明の課題は、オルダム機能を実現するための機構を単純化することにより、廉価に製造可能なオルダム機能付き波動発生器を提案することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置された環状の可撓性外歯歯車と、この内側に嵌め込まれた波動発生器とを有し、当該波動発生器は前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて、当該可撓性外歯歯車の外歯を、前記剛性内歯歯車の内歯に対して部分的に噛み合わせると共に、当該噛み合い部分を円周方向に移動させることにより、前記外歯と内歯の歯数差に応じた相対回転を前記可撓性外歯歯車と剛性内歯歯車の間に発生させるようになっている撓み噛み合い式歯車装置において、前記波動発生器を次のように構成することにより、オルダム機能を付与している。
【0012】
すなわち、前記波動発生器は、第1の剛性部材と、第2の剛性部材と、第3の剛性部材と、転がり軸受けと、前記第1、第2および第3の剛性部材の軸線方向のずれを防止するずれ防止部材とを有している。これらの部材は、前記波動発生器の中心から半径方向の外側に向けて、この順序で同心状態に配置されている。
【0013】
また、前記第2の剛性部材には第1の挿入孔が形成され、前記第3の剛性部材には第2の挿入孔が形成されている。
【0014】
さらには、前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔には、前記第1の剛性部材が、前記第2の剛性部材に対して第1の方向にのみスライド可能に挿入されている。
【0015】
さらにまた、前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔には、前記第2の剛性部材が、前記第3の剛性部材に対して前記第1の方向とは直交する第2の方向にのみスライド可能に挿入されている。
【0016】
さらには、ずれ防止部材としては、前記第1、第2および第3の剛性部材の軸線方向の両端面に配置した一対の環状板と、これらの環状板を前記第1ないし第3の剛性部材の両端面に締結固定している締結金具とを備えた構成のものを採用している。
【0017】
ここで、前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔および前記第1の剛性部材の輪郭形状を矩形形状とした場合には、前記第1の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅に比べて前記第1の剛性部材の長さが短く、前記第2の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅と前記第1の剛性部材の長さが実質的に等しくなるようにすればよい。また、前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔および前記第2の剛性部材の輪郭形状も矩形形状として、前記第2の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅に比べて前記第2の剛性部材の長さが短く、前記第1の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅と前記第2の剛性部材の長さが実質的に等しくなるようにすればよい。
【0018】
本発明において、特に、剛性部材および挿入孔が正方形に近い矩形形状の場合には、第2の挿入孔に対して第2の剛性部材をどの向きに装着すべきか、また、第1の挿入孔に対して第1の剛性部材をどの向きで装着すべきかは、装着作業において目視によって直ちに認識できない場合があり、誤った向きで装着されるおそれがある。このような不具合を回避するためには、前記第1の挿入孔に対する前記第1の剛性部材の組み込み状態を規制する第1の規制手段、および前記第2の挿入孔に対する前記第2の剛性部材の組み込み状態を規制する第2の規制手段の双方あるいは一方を配置することが望ましい。
【0019】
第2の規制手段としては、前記第2の挿入孔の前記第1の方向の開口幅に比べて、前記第2の剛性部材の前記第2の方向の長さの方を長くした構成のものを採用することができる。このような規制手段が備わっていれば、第2の挿入孔に対して第2の剛性部材は正しい向きの場合にのみ装着可能であり、90度回転した状態では装着できないので、誤った向きでの装着を防止できる。
【0020】
同様に、第1の規制手段としてもは、前記第1の挿入孔の前記第2の方向の開口幅に比べて、前記第1の剛性部材の前記第1の方向の長さの方を長くした構成のものを採用することができる。
【0021】
ここで、芯だし作業を簡単に行うためなどの観点からは、最も外側に配置される第3の剛性部材には正方形の第2の挿入孔を同心状態で形成することが望ましい。この場合には、上記の規制手段としては次の構成のものを採用することができる。
【0022】
まず、第2の規制手段としては、前記第2の剛性部材の前記第2の方向の両端に位置する2辺にそれぞれ形成した一対の突起と、前記第2の挿入孔の前記一対の突起のそれぞれに対峙する各辺に形成した一対の溝とを有し、前記第2の方向における前記一対の突起の先端間の長さが、前記第2の挿入孔の幅よりも長い構成のものを採用することができる。
【0023】
この代わりに、第2の規制手段として、前記第2の挿入孔の四隅のうち一か所の入り隅の面取り形状を異なったものとし、前記第2の剛性部材の四隅のうち一か所の出隅の面取り形状を異なったものとし、これら面取り形状の異なった入り隅と出隅とが対峙した状態でのみ、前記第2の挿入孔に前記第2の剛性部材を装着可能とした構成のものを採用してもよい。
【0024】
同様に、第1の挿入孔が正方形の場合には、第1の規制手段として、前記第1の剛性部材の前記第1の方向の両端に位置する2辺にそれぞれ形成した一対の突起と、前記第1の挿入孔の前記一対の突起のそれぞれに対峙する各辺に形成した一対の溝とを有し、前記第1の方向における前記一対の突起の先端間の長さが、前記第1の挿入孔の幅よりも長い構成のものを採用することができる。
【0025】
この代わりに、第1の規制手段として、前記第1の挿入孔の四隅のうち一か所の入り隅の面取り形状を異なったものとし、前記第1の剛性部材の四隅のうち一か所の出隅の面取り形状を異なったものとし、これら面取り形状の異なった入り隅と出隅とが対峙した状態でのみ、前記第1の挿入孔に前記第1の剛性部材を装着可能とした構成のものを採用することも可能である。
【0026】
また、典型的な撓み噛み合い式歯車装置においては楕円形状の波動発生器が使用されるが、この場合には、前記第3の剛性部材の輪郭形状を楕円形状とすればよい。
【0027】
本発明のオルダム機能付き波動発生器では、重量のある主要構成部品、すなわち第1〜第3の剛性部材が半径方向に同心状に配列されているので、最も外側に位置する第3の剛性部材の重量を低減することにより慣性質量を大幅に低減できる。
【0028】
また、主要構成部品が半径方向に同心状に配列されているので、これらの部品を偏平なものにすることにより、波動発生器を簡単に偏平化できる。
【0029】
さらに、第1〜第3の剛性部材の外周面および内周面を利用してオルダム機構が構成されているので、これら第1〜第3の剛性部材には、突起、溝等が不要となり、単純な形状をしている。従って、これらの部材を廉価な焼結体として製造することも可能となるので、波動発生器を廉価に製造できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明を適用した撓み噛み合い式歯車装置を説明する。
【0031】
まず、図1〜図3を参照して、本発明を適用可能な撓み噛み合い式歯車装置を説明する。図1(A)には本発明を適用可能なカップ型撓み噛み合い式歯車装置の断面を示してあり、図1(B)には、その波動発生器の側面を示してある。これらの図に示すように、カップ型撓み噛み合い式歯車装置1は、環状の剛性内歯歯車2と、この内側に配置されたカップ状の可撓性外歯歯車3と、この内側に嵌め込まれた楕円形輪郭の波動発生器4とを有している。剛性内歯歯車2は、その内周面に内歯2aが形成されている。カップ状の可撓性外歯歯車3は、円筒状の胴部31と、この胴部31の一端を封鎖している環状のダイヤフラム32と、このダイヤフラム32の内周縁に連続している環状のボス33と、胴部31の開口端の外周面に形成された外歯34とを備えている。外歯34は内歯2aに噛み合い可能であり、内歯2aに対して2n枚(nは正の整数)少ない歯数に設定されている。通常は2枚少ない歯数とされている。
【0032】
波動発生器4は可撓性外歯歯車3を楕円状に撓めて、当該可撓性外歯歯車3の外歯34を、剛性内歯歯車2の内歯2aに対して2ヵ所で噛み合わせると共に、当該噛み合い部分を円周方向に移動させることにより、外歯34と内歯2aの歯数差に応じた相対回転を可撓性外歯歯車3と剛性内歯歯車2の間に発生させるようになっている。一般には、波動発生器4に入力回転軸(図示せず)が連結され、剛性内歯歯車2が固定され、可撓性外歯歯車3のボス33に出力回転軸(図示せず)が連結され、この出力回転軸を介して大幅に減速された回転が取り出される。減速原理は公知であるので、その説明は省略する。
【0033】
本例の波動発生器4は、ハブ41(第1の剛性部材)と、インサート42(第2の剛性部材)と、ウエーブプラグ43(第3の剛性部材)と、ウエーブベアリング44(転がり軸受け)と、ハブ41、インサート42およびウエーブプラグ43の装置軸線1aの方向へのずれを防止するずれ防止手段45とを備えている。本例のずれ防止手段45は、ハブ41、インサート42およびウエーブプラグ43の両端面に配置した一対の環状板451、452と、これらの環状板451、452をこれらの部材41〜43の両端面に締結固定しているピン等の締結金具453とから構成されている。図示の例では、4本の締結ピンによって、一対の環状板451、452が固定されている。
【0034】
ここで、図2を参照して、ハブ41、インサート42およびウエーブプラグ43について更に詳しく説明する。図2(A)には、波動発生器4のみを取り出して示してあり、また、各部材41〜43の形状が分かるようにするために、ずれ防止手段44を省略して示してある。
【0035】
この図に示すように、各部材41〜44は波動発生器4の中心4aから半径方向の外側に向けて、同心状態に配置されている。最も内側に位置するハブ41は、その中心に軸孔41aが形成されており、ここに、入力回転軸(図示せず)が連結固定される。この外側に位置するインサート42には第1の挿入孔42aが形成されており、この外側に位置するウエーブプラグには第2の挿入孔43aが形成されている。
【0036】
インサート42に形成した第1の挿入孔42aには、ハブ41が、図において矢印Aで示すように波動発生器の中心を通る第1の方向にのみスライド可能な状態で挿入されている。同様に、ウエーブプラグ43に形成した第2の挿入孔43aには、インサート42が、矢印Bで示すように第1の方向Aとは直交する方向にのみスライド可能な状態で挿入されている。ウエーブプラグ43の外形輪郭形状は楕円形であり、ウエーブベアリング44の内側に嵌め込まれている。
【0037】
本例では、ハブ41の外形輪郭形状を正方形とし、これが挿入されているインサート42の第1の挿入孔42aは、第2の方向の幅はハブ41が丁度嵌まり込む寸法に設定され、第1の方向Aの幅は第2の方向Bに比べて僅かに幅広の寸法に設定されている。この結果、ハブ41は、第1の方向Aにのみ僅かにスライド可能である。
【0038】
同様に、インサート42の外形輪郭形状を正方形とし、これが挿入されているウエーブプラグ43の第2の挿入孔43aは、第1の方向の幅がインサート42が丁度嵌まり込む寸法に設定され、第2の方向Bの幅は第1の方向Aに比べて僅かに幅広の寸法に設定されている。この結果、インサート42は、第2の方向にのみ僅かにスライド可能である。
【0039】
図2(B)には上記の三部材41〜43の関係を誇張して示してある。この図から良く分かるように、ハブ41はインサート42に対して第1の方向Aにのみスライド可能であり、インサート42はウエーブプラグ43に対して第2の方向Bにのみスライド可能となっているので、ハブ41は、ウエーブプラグ43に対しては、全体として、波動発生器の中心に対して半径方向に僅かに相対移動可能となっている。換言すると、オルダム機構あるいは調心機構が構成されている。
【0040】
以上説明したように、本例の撓み噛み合い式歯車装置の波動発生器4は、半径方向に同心状態に配置したハブ41、インサート42およびウエーブプラグ43によってオルダム機能が実現されている。最も外側に位置しているウエーブプラグ43は、その内周縁の側の部分は幅広であり、ウエーブベアリング44の内輪44aを支持している部分は幅が狭い。よって、波動発生器4の質量の大部分は波動発生器の中心側に位置しており、慣性質量が小さい。また、半径方向に配列した三部材41〜43によってオルダム機構を構成しているので、軸線1aの方向の寸法を小さくできる。すなわち、偏平な波動発生器4を実現できる。さらに、オルダム機構を構成するために三部材41〜43に凹凸部分を形成する必要がないので、これらの部材41〜43を単純な形状にできる。この結果、これらの部材を焼結体とすることができ、製造価格を低減できる。
【0041】
(インサート、ハブを正しい向きで挿入するための規制手段)
ここで、図2(B)において、第2の剛性部材であるインサート42は正方形であるので、90度旋回した状態でも第2の挿入孔43aに挿入することができる。しかし、このようにすると、インサート42およびハブ41は共に第2の方向Bにのみスライド可能となってしまい、オルダム機構を構成できない。このようなに誤った向きでインサート42が第2の挿入孔43aに挿入されることのないように、次のような構成からなる規制手段(第2の規制手段)を配置することが望ましい。
【0042】
すなわち、図3に示すように、第2の挿入孔43aの第1の方向Aの開口幅43Aに比べて、第2の剛性部材であるインサート42の第2の方向Aの長さ42Bの方を長くした構成からなる規制手段を配置すればよい。このような規制手段が備わっていれば、第2の挿入孔43aに対してインサート42は正しい向きでのみ挿入可能となり、誤った向きでの挿入を防止できる。
【0043】
同様に、第1の挿入孔42aに対する第1の剛性部材であるハブ41の装着時の向きを正しい方向となるように規制するためには、上記の規制手段と同様な規制手段(第1の規制手段)を配置すればよい。すなわち、第1の挿入孔42aの第2の方向Bの開口幅42Bに比べて、第1の剛性部材であるハブ41の第1の方向Aの長さ41Aの方を長くした構成のものを採用すればよい。
【0044】
次に、上記構成の撓み噛み合い式歯車装置に本発明を適用した場合の例を説明する。波動発生器4の芯だし作業を簡単に行うためなどの観点から、最も外側に配置される楕円形輪郭のウエーブプラグ43(第3の剛性部材)には、図4(A)に示すように、当該波動発生器の中心4aを中心とする芯だし時の仮想円が内接する正方形の第2の挿入孔43aを形成する。
【0045】
この場合には、正方形の当該挿入孔43aに挿入されるインサート42を適切な向きで当該挿入孔43aに挿入させるための規制手段(第2の規制手段)としては次の構成のものを採用すればよい。
【0046】
図4(A)を参照して説明すると、規制手段は、第2の剛性部材であるインサート420の第2の方向Bの両端に位置する2辺にそれぞれ形成した一対の突起421、422と、第2の挿入孔430aの一対の突起421、422のそれぞれに対峙する各辺に形成した一対の溝431、432とを有し、第2の方向Bにおける一対の突起421、422の先端間の長さ423が、第2の挿入孔430aの幅433よりも長い構成となっている。溝431、432は、インサート420が必要量だけ第1の方向Aに移動できる深さに設定されている。
【0047】
このように規制手段を構成した場合には、図4(B)に示すように、第2の挿入孔420aに対してインサート430が90度旋回した誤った向きで挿入されようとした場合に、一対の突起421、422が第2の挿入孔420aの両側の縁に当たる。よって、このような向きでインサート430を挿入することは不可能である。従って、誤った向きのままで、インサートが組み付けられてしまうことを防止できる。
【0048】
このように第2の規制手段を構成する代わりに、図5に示すように規制手段を構成してもよい。まず、第3の剛性部材であるウエーブプラグ4300に形成した第2の挿入孔4300aの四隅のうち一か所の入り隅4301の面取り形状を他の隅とは異なったものとする。また、第2の剛性部材であるインサート4200の四隅のうち一か所の出隅4201の面取り形状を他の隅とは異なったものとする。
【0049】
これら面取り形状の異なった入り隅4301と出隅4201とが対峙した状態でのみ、第2の挿入孔4300aにインサート4200を装着可能とする。すなわち、インサート4200の中心から出隅4201までの距離L2を、他の出隅、例えば出隅4202までの距離L1よりも短くする。また、これに対応させて、第2の挿入孔4300aの中心から入り隅4301までの距離も他の入り隅、例えば入り隅4302までの距離よりも短くする。これに加えて、対応する出隅4201と入り隅4301の面取り形状を相補的な形状とする。また、挿入孔4300aの他の3つの入り隅の面取り形状を同一とし、これらの面取り形状を、インサート4200の他の3つの出隅の面取り形状と相補的な形状とする。
【0050】
このように規制手段を構成した場合においても、インサート4200は、その出隅4201が、挿入孔4300aの入り隅4301に対峙した向きでしか、挿入できないので、誤った向きのままで当該インサート4200が装着されてしまうことが防止される。
【0051】
なお、図4および図5において、第2の剛性部材であるインサート420、4200に形成した第1の挿入孔420a、4200aを正方形とした場合には、上記の各規制手段を、第1の挿入孔に対して第1の剛性部材であるハブ410、4100を正しい向きで挿入するための規制手段として適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の撓み噛み合い式歯車装置の波動発生器では、オルダム機構を構成するための部材を半径方向に配列した構成を採用すると共に、波動発生器の中心側に質量の大半が位置するようにしてある。従って、慣性質量の小さなオルダム機能付き波動発生器を実現できる。
【0053】
また、オルダム機構を構成するための部材を半径方向に配列すると共に、これらの部材を軸線方向の両側から挟み込むことにより軸線方向の相対ずれを防止した構成を採用しているので、偏平なオルダム機能付き波動発生器を実現することができる。
【0054】
さらに、波動発生器を構成している各部材の外周面と、これらの部材に形成した挿入孔の内周面とを利用してオルダム機構を構成しているので、各部材の形状を凹凸等の無い単純なものにすることができる。よって、これらの部材を焼結体とすることができ、廉価に製造可能なオルダム機能付き波動発生器を実現することができる。
【0055】
これに加えて、本発明において、第2の剛性部材を第2の挿入孔に対して正しい向きでのみ挿入可能とした規制手段を備えているので、その挿入作業時に第2の剛性部材の向きを気にする必要がなく、挿入作業が簡単になり、また、誤った向きで装着されることが確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用可能な撓み噛み合い式歯車装置の断面図およびその波動発生器の側面図である。
【図2】 図1の波動発生器のオルダム機構を構成している各部品を示すための側面図、および各部材の形状およびスライド方向を分かり易く示す説明図である。
【図3】 図1の波動発生器のオルダム機構を構成している各部品を正しい向きで組み込むための規制手段を示す説明図である。
【図4】 本発明を適用した規制手段を示す説明図である。
【図5】 本発明を適用した更に別の構成の規制手段を示す説明図である。
【図6】 従来のオルダム機能付き波動発生器を備えた撓み噛み合い式歯車装置の断面図、およびオルダム機能を構成している各部品の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
1 撓み噛み合い式歯車装置
1a 装置軸線
2 剛性内歯歯車
2a 内歯
3 可撓性外歯歯車
31 胴部
32 ダイヤフラム
33 ボス
34 外歯
4 波動発生器
4a 波動発生器の中心
41、410、4100 ハブ(第1の剛性部材)
42、420、4200 インサート(第2の剛性部材)
42a、420a、4200a 第1の挿入孔
43、430、4300 ウエーブプラグ(第3の剛性部材)
43a、430a、4300a 第2の挿入孔
44 ウエーブベアリング(転がり軸受け)
45 ずれ防止手段
451、452 環状板
453 締結金具
421、422 突起
431、432 溝
4201 出隅
4301 入り隅
A 第1の方向
B 第2の方向
Claims (16)
- 環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置された環状の可撓性外歯歯車と、この内側に嵌め込まれた波動発生器とを有し、当該波動発生器は前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて、当該可撓性外歯歯車の外歯を、前記剛性内歯歯車の内歯に対して部分的に噛み合わせると共に、当該噛み合い部分を円周方向に移動させることにより、前記外歯と内歯の歯数差に応じた相対回転を前記可撓性外歯歯車と剛性内歯歯車の間に発生させるようになっている撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記波動発生器は、第1の剛性部材と、第2の剛性部材と、第3の剛性部材と、転がり軸受けと、前記第1、第2および第3の剛性部材の軸線方向のずれを防止するずれ防止手段とを有しており、
前記波動発生器の中心から半径方向の外側に向けて、前記第1の剛性部材、第2の剛性部材、第3の剛性部材、および転がり軸受けがこの順序で同心状態に配置されており、
前記第2の剛性部材には第1の挿入孔が形成され、前記第3の剛性部材には第2の挿入孔が形成されており、
前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔には、前記第1の剛性部材が、前記第2の剛性部材に対して第1の方向にのみスライド可能に挿入されており、
前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔には、前記第2の剛性部材が、前記第3の剛性部材に対して前記第1の方向とは直交する第2の方向にのみスライド可能に挿入されており、
前記ずれ防止手段は、前記第1、第2および第3の剛性部材の軸線方向の両端面に配置した一対の環状板と、これらの環状板を前記第1ないし第3の剛性部材の両端面に締結固定している締結金具とを備えていることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項1に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔および前記第1の剛性部材の輪郭形状は矩形形状であり、
前記第1の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅に比べて前記第1の剛性部材の長さが短く、前記第2の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅と前記第1の剛性部材の長さが実質的に等しくなっており、
前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔および前記第2の剛性部材の輪郭形状は矩形形状であり、
前記第2の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅に比べて前記第2の剛性部材の長さが短く、前記第1の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅と前記第2の剛性部材の長さが実質的に等しいことを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項2に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記第1の挿入孔に対する前記第1の剛性部材の組み込み状態を規制する第1の規制手段、および前記第2の挿入孔に対する前記第2の剛性部材の組み込み状態を規制する第2の規制手段のうちの少なくとも一方の規制手段を有していることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項3に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記第2の規制手段を有しており、
当該第2の規制手段は、前記第2の挿入孔の前記第1の方向の開口幅に比べて、前記第2の剛性部材の前記第2の方向の長さの方を長くした構成であることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項3または4に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記第1の規制手段を有しており、
当該第1の規制手段は、前記第1の挿入孔の前記第2の方向の開口幅に比べて、前記第1の剛性部材の前記第1の方向の長さの方を長くした構成であることを特徴とする噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項3に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記第2の規制手段を有していると共に、前記第2の挿入孔は正方形であり、
前記第2の規制手段は、前記第2の剛性部材の前記第2の方向の両端に位置する2辺にそれぞれ形成した一対の突起と、前記第2の挿入孔の前記一対の突起のそれぞれに対峙する各辺に形成した一対の溝とを有し、前記第2の方向における前記一対の突起の先端間の長さは、前記第2の挿入孔の幅よりも長いことを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項3または6に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記第1の規制手段を有していると共に、前記第1の挿入孔は正方形であり、
前記第1の規制手段は、前記第1の剛性部材の前記第1の方向の両端に位置する2辺にそれぞれ形成した一対の突起と、前記第1の挿入孔の前記一対の突起のそれぞれに対峙する各辺に形成した一対の溝とを有し、前記第1の方向における前記一対の突起の先端間の長さは、前記第1の挿入孔の幅よりも長いことを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項3に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記第2の規制手段を有していると共に、前記第2の挿入孔は正方形であり、
前記第2の規制手段は、前記第2の挿入孔の四隅のうち一か所の入り隅の面取り形状を異なったものとし、前記第2の剛性部材の四隅のうち一か所の出隅の面取り形状を異なったものとし、これら面取り形状の異なった入り隅と出隅とが対峙した状態でのみ、前記第2の挿入孔に前記第2の剛性部材を装着可能とした構成からなっていることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項3または8に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記第1の規制手段を有していると共に、前記第1の挿入孔は正方形であり、
前記第1の規制手段は、前記第1の挿入孔の四隅のうち一か所の入り隅の面取り形状を異なったものとし、前記第1の剛性部材の四隅のうち一か所の出隅の面取り形状を異なったものとし、これら面取り形状の異なった入り隅と出隅とが対峙した状態でのみ、前記第1の挿入孔に前記第1の剛性部材を装着可能とした構成からなっていることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項1ないし9のうちの何れかの項に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記第3の剛性部材の輪郭形状は楕円形状であることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置された環状の可撓性外歯歯車と、この内側に嵌め込まれた波動発生器とを有し、当該波動発生器は前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて、当該可撓性外歯歯車の外歯を、前記剛性内歯歯車の内歯に対して部分的に噛み合わせると共に、当該噛み合い部分を円周方向に移動させることにより、前記外歯と内歯の歯数差に応じた相対回転を前記可撓性外歯歯車と剛性内歯歯車の間に発生させるようになっている撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
当該波動発生器は、第1の剛性部材と、第2の剛性部材と、第3の剛性部材と、転がり 軸受けと、前記第1、第2および第3の剛性部材の軸線方向のずれを防止するずれ防止手段とを有しており、
前記波動発生器の中心から半径方向の外側に向けて、前記第1の剛性部材、第2の剛性部材、第3の剛性部材、および転がり軸受けがこの順序で同心状態に配置されており、
前記第2の剛性部材には第1の挿入孔が形成され、前記第3の剛性部材には第2の挿入孔が形成されており、
前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔には、前記第1の剛性部材が、前記第2の剛性部材に対して第1の方向にのみスライド可能に挿入されており、
前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔には、前記第2の剛性部材が、前記第3の剛性部材に対して前記第1の方向とは直交する第2の方向にのみスライド可能に挿入されており、
前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔および前記第1の剛性部材の輪郭形状は矩形形状であり、前記第1の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅に比べて前記第1の剛性部材の長さが短く、前記第2の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅と前記第1の剛性部材の長さが実質的に等しくなっており、
前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔および前記第2の剛性部材の輪郭形状は矩形形状であり、前記第2の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅に比べて前記第2の剛性部材の長さが短く、前記第1の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅と前記第2の剛性部材の長さが実質的に等しく、
前記波動発生器は、更に、前記第2の挿入孔に対する前記第2の剛性部材の組み込み状態を規制する第2の規制手段を有しており、
前記第2の挿入孔は正方形であり、
前記第2の規制手段は、前記第2の剛性部材の前記第2の方向の両端に位置する2辺にそれぞれ形成した一対の突起と、前記第2の挿入孔の前記一対の突起のそれぞれに対峙する各辺に形成した一対の溝とを有し、前記第2の方向における前記一対の突起の先端間の長さは、前記第2の挿入孔の幅よりも長いことを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置された環状の可撓性外歯歯車と、この内側に嵌め込まれた波動発生器とを有し、当該波動発生器は前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて、当該可撓性外歯歯車の外歯を、前記剛性内歯歯車の内歯に対して部分的に噛み合わせると共に、当該噛み合い部分を円周方向に移動させることにより、前記外歯と内歯の歯数差に応じた相対回転を前記可撓性外歯歯車と剛性内歯歯車の間に発生させるようになっている撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
当該波動発生器は、第1の剛性部材と、第2の剛性部材と、第3の剛性部材と、転がり軸受けと、前記第1、第2および第3の剛性部材の軸線方向のずれを防止するずれ防止手段とを有しており、
前記波動発生器の中心から半径方向の外側に向けて、前記第1の剛性部材、第2の剛性部材、第3の剛性部材、および転がり軸受けがこの順序で同心状態に配置されており、
前記第2の剛性部材には第1の挿入孔が形成され、前記第3の剛性部材には第2の挿入孔が形成されており、
前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔には、前記第1の剛性部材が、前記第2の剛性部材に対して第1の方向にのみスライド可能に挿入されており、
前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔には、前記第2の剛性部材が、前記第3の剛性部材に対して前記第1の方向とは直交する第2の方向にのみスライド可能に挿入されており、
前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔および前記第1の剛性部材の輪郭形状は矩形形状であり、前記第1の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅に比べて前記第1の剛性部材の長さが短く、前記第2の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅と前記第1の剛性部材の長さが実質的に等しくなっており、
前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔および前記第2の剛性部材の輪郭形状は矩形形状であり、前記第2の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅に比べて前記第2の剛性部材の長さが短く、前記第1の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅と前記第2の剛性部材の長さが実質的に等しく、
前記波動発生器は、更に、前記第1の挿入孔に対する前記第1の剛性部材の組み込み状態を規制する第1の規制手段を有しており、
前記第1の挿入孔は正方形であり、
前記第1の規制手段は、前記第1の剛性部材の前記第1の方向の両端に位置する2辺にそれぞれ形成した一対の突起と、前記第1の挿入孔の前記一対の突起のそれぞれに対峙する各辺に形成した一対の溝とを有し、前記第1の方向における前記一対の突起の先端間の長さは、前記第1の挿入孔の幅よりも長いことを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置された環状の可撓性外歯歯車と、この内側に嵌め込まれた波動発生器とを有し、当該波動発生器は前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて、当該可撓性外歯歯車の外歯を、前記剛性内歯歯車の内歯に対して部分的に噛み合わせると共に、当該噛み合い部分を円周方向に移動させることにより、前記外歯と内歯の歯数差に応じた相対回転を前記可撓性外歯歯車と剛性内歯歯車の間に発生させるようになっている撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
当該波動発生器は、第1の剛性部材と、第2の剛性部材と、第3の剛性部材と、転がり軸受けと、前記第1、第2および第3の剛性部材の軸線方向のずれを防止するずれ防止手段とを有しており、
前記波動発生器の中心から半径方向の外側に向けて、前記第1の剛性部材、第2の剛性部材、第3の剛性部材、および転がり軸受けがこの順序で同心状態に配置されており、
前記第2の剛性部材には第1の挿入孔が形成され、前記第3の剛性部材には第2の挿入孔が形成されており、
前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔には、前記第1の剛性部材が、前記第2の剛性部材に対して第1の方向にのみスライド可能に挿入されており、
前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔には、前記第2の剛性部材が、前記第3の剛性部材に対して前記第1の方向とは直交する第2の方向にのみスライド可能に挿入されており、
前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔および前記第1の剛性部材の輪郭形状は矩形形状であり、前記第1の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅に比べて前記第1の剛性部材の長さが短く、前記第2の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅と前記第1の剛性部材の長さが実質的に等しくなっており、
前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔および前記第2の剛性部材の輪郭形状は矩形形状であり、前記第2の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅に比べて前記第2の剛性部材の長さが短く、前記第1の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅と前記第2の剛性部材の長さが実質的に等しく、
前記波動発生器は、更に、前記第2の挿入孔に対する前記第2の剛性部材の組み込み状態を規制する第2の規制手段を有しており、
前記第2の挿入孔は正方形であり、
前記第2の規制手段は、前記第2の挿入孔の四隅のうち一か所の入り隅の面取り形状を異なったものとし、前記第2の剛性部材の四隅のうち一か所の出隅の面取り形状を異なったものとし、これら面取り形状の異なった入り隅と出隅とが対峙した状態でのみ、前記第2の挿入孔に前記第2の剛性部材を装着可能とした構成からなっていることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置された環状の可撓性外歯歯車と、この内側に嵌め込まれた波動発生器とを有し、当該波動発生器は前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて、当該可撓性外歯歯車の外歯を、前記剛性内歯歯車の内歯に対して 部分的に噛み合わせると共に、当該噛み合い部分を円周方向に移動させることにより、前記外歯と内歯の歯数差に応じた相対回転を前記可撓性外歯歯車と剛性内歯歯車の間に発生させるようになっている撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
当該波動発生器は、第1の剛性部材と、第2の剛性部材と、第3の剛性部材と、転がり軸受けと、前記第1、第2および第3の剛性部材の軸線方向のずれを防止するずれ防止手段とを有しており、
前記波動発生器の中心から半径方向の外側に向けて、前記第1の剛性部材、第2の剛性部材、第3の剛性部材、および転がり軸受けがこの順序で同心状態に配置されており、
前記第2の剛性部材には第1の挿入孔が形成され、前記第3の剛性部材には第2の挿入孔が形成されており、
前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔には、前記第1の剛性部材が、前記第2の剛性部材に対して第1の方向にのみスライド可能に挿入されており、
前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔には、前記第2の剛性部材が、前記第3の剛性部材に対して前記第1の方向とは直交する第2の方向にのみスライド可能に挿入されており、
前記第2の剛性部材の前記第1の挿入孔および前記第1の剛性部材の輪郭形状は矩形形状であり、前記第1の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅に比べて前記第1の剛性部材の長さが短く、前記第2の方向においては、前記第1の挿入孔の開口幅と前記第1の剛性部材の長さが実質的に等しくなっており、
前記第3の剛性部材の前記第2の挿入孔および前記第2の剛性部材の輪郭形状は矩形形状であり、前記第2の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅に比べて前記第2の剛性部材の長さが短く、前記第1の方向においては、前記第2の挿入孔の開口幅と前記第2の剛性部材の長さが実質的に等しく、
前記波動発生器は、更に、前記第1の挿入孔に対する前記第1の剛性部材の組み込み状態を規制する第1の規制手段を有しており、
前記第1の挿入孔は正方形であり、
前記第1の規制手段は、前記第1の挿入孔の四隅のうち一か所の入り隅の面取り形状を異なったものとし、前記第1の剛性部材の四隅のうち一か所の出隅の面取り形状を異なったものとし、これら面取り形状の異なった入り隅と出隅とが対峙した状態でのみ、前記第1の挿入孔に前記第1の剛性部材を装着可能とした構成からなっていることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項11ないし14のうちのいずれかの項に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記ずれ防止手段は、前記第1、第2および第3の剛性部材の軸線方向の両端面に配置した一対の環状板と、これらの環状板を前記第1ないし第3の剛性部材の両端面に締結固定している締結金具とを備えていることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。 - 請求項11ないし15のうちのいずれかの項に記載の撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器において、
前記第3の剛性部材の輪郭形状は楕円形状であることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置のオルダム機能付き波動発生器。
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