JPH0331860Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は歯車式変速機に用いられるキー式シン
クロメツシユ機構のキー抜落防止構造に関するも
のである。

（従来の技術） 通常のキー式シンクロメツシユ機構では、シン
クロナイザハブの両側の夫々に、シンクロナイザ
リング及び噛合ギヤが配され、スリーブ及びシン
クロナイザキーは両側の噛合ギヤに向けてシフト
動されるように構成されている。

しかし第３図に示すように、シンクロナイザハ
ブａの一方の側Ｐにのみ、シンクロナイザリング
ｂ及び噛合ギヤｃが配され、スリーブｄ及びシン
クロナイザキーｅが前記噛合ギヤｃ側Ｐにのみシ
フト動するように構成される場合もある。この場
合には、シンクロナイザハブａのリム部ｆが側壁
部ｇ外周より前記噛合ギヤｃ側Ｐに向けて突出す
るシンクロナイザハブａが用いられることが多
い。

そして従来は、第３図に示すようにシンクロナ
イザキーｅを案内支持するキー溝ｈをリム部ｆに
のみ形成し、キー溝加工時に前記側壁部ｇの手前
位置で溝加工を停止するようにしていた。これは
シンクロナイザキーｅが図のＱ方向に移動するの
を、前記側壁部ｇの当接によつて阻止し、キー抜
落を防止するためである。

（考案が解決しようとする問題点） しかし上記従来例によると、キー溝加工を前記
側壁部ｇの手前位置で停止するようにして行わな
ければならず、その加工が複雑となつてコストア
ツプを招くと共に、キー溝の寸法精度が悪くなる
という問題がある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決するため、シンクロ
ナイザハブの一方の側にのみ、シンクロナイザリ
ング及び噛合ギヤが配され、スリーブ及び複数の
シンクロナイザキーが前記噛合ギヤ側にのみシフ
ト動すると共に、シンクロナイザハブのリム部が
側壁部外周より前記噛合ギヤ側に向けて一方向に
のみ突出するキー式シンクロメツシユ機構におい
て、各シンクロナイザキーを案内支持する複数の
キー溝を前記リム部及び前記側壁部を貫通するよ
うにして前記シンクロナイザハブに形成し、且つ
前記キー溝にラジアル方向に突入する複数の突出
部が外周に形成されたワツシヤプレートを、前記
リム部内に挿入して、前記側壁部に接する位置に
おいてシンクロナイザハブに固定したことを特徴
とする。

（作用） 上記構成によれば、キー溝をリム部及び側壁部
を貫通するようにしてシンクロナイザハブに形成
できるので、加工能率及び加工精度の向上を図る
ことができる。

又ワツシヤプレートの突出部がキー溝内に突入
して、シンクロナイザキーの第１図Ｑ方向の移動
を阻止し、しかもワツシヤプレートはＱ方向の動
きをその背面に接するシンクロナイザハブの側壁
部によつて拘束されているので、シンクロナイザ
キーの抜落を確実に防止することができる。

（実施例） 第１図及び第２図に示す本考案の実施例は、回
転軸１と噛合ギヤ２との動力伝達に用いるキー式
シンクロメツシユ機構に係るものである。

図において、３は前記回転軸１に固定されたシ
ンクロナイザハブ、４はシンクロナイザリング、
５はシンクロナイザキー、６はスリーブ、７はシ
ンクロナイザキーをスリーブ６の内周面に圧接さ
せるシンクロナイザスプリング、８はスリーブ６
をシフト動させるフオークである。

前記シンクロナイザハブ３の一方の側にのみ、
シンクロナイザリング４及び噛合ギヤ２が配さ
れ、スリーブ６及びシンクロナイザキー５は前記
噛合ギヤ側Ｐにのみシフト動する。

又シンクロナイザハブ３のリム部９は側壁部１
０の外周より前記噛合ギヤ側Ｐに向けて突出する
ように形成されている。又シンクロナイザハブ３
はそのボス部１１において前記回転軸１に固定さ
れているが、シンクロナイザハブ３を回転軸１に
一体形成することも可能である。

前記シンクロナイザハブ３には、３箇所におい
て、リム部９及び側壁部１０を貫通するようにし
て軸方向のキー溝１２が形成されている。又前記
リム部９内には、第２図に示すように、前記キー
溝１２に対応する外周部位に、キー溝１２内に突
入する突出部１３が形成されたワツシヤプレート
１４が挿入され、前記側壁部１０に接する位置で
固定されている。この固定手段としては、ワツシ
ヤプレート１４自身の有する弾性力を利用する圧
入手段を用いると好適であるが、接着剤を用いる
などしてワツシヤプレート１４を固定してもよ
い。ワツシヤプレート１４を側壁部１０に接する
ようにして固定すると、キー溝１２内に突入して
いる前記突出部１３が、キー溝１２内部を側壁部
１０に形成された部分とリム部９に形成された部
分とに仕切る隔壁となる。従つて、前記キー溝１
２内のリム部９に形成された部分に案内支持され
るシンクロナイザキー５の第１図Ｑ方向の動き
は、前記突出部１３によつて阻止されるので、キ
ー抜落防止を確実に図ることができる。

（考案の効果） 本考案は上記構成、作用を有するので、シンク
ロナイザハブのキー溝の加工能率、加工精度を向
上させることができる。しかもキー溝の加工能率
向上によるコストダウン額の方が、ワツシヤプレ
ートを用いることにより生ずるコストアツプ額よ
りも大きいので、製造コストを低減することがで
きる。又ワツシヤプレートはリム部内において側
壁部に接する位置において側壁部に支持されると
共に、ワツシヤプレートの複数の突出部が各キー
溝内に投入した状態で拘束支持されるので、ワツ
シヤプレートの固定は安定強固となる。しかもシ
ンクロナイザキーに対するストツパとしての作用
を営む突出部はワツシヤプレートの本体部によつ
て強固に支持され、且つ十分なストツパ面積をと
ることができるので、シンクロナイザキーに対す
るストツパー作用を良好なものとすることができ
る。更に、ワツシヤプレートをリム内部に組付け
る作業は、各突出部を各キー溝に対応させた状態
でワツシヤプレートをリム部内に軸方向に押し込
むことにより行うことができる結果、その作業を
簡単、迅速に行なうことができると共に、予めワ
ツシヤプレートをシンクロナイザハブに組付けて
おくことができるので、組付作業性にすぐれてい
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す縦断面図、第２
図はその要部を分解して示す中央縦断斜視図、第
３図は従来例の縦断面図である。 ２…噛合ギヤ、３…シンクロナイザハブ、４…
シンクロナイザリング、５…シンクロナイザキ
ー、６…スリーブ、９…リム部、１０…側壁部、
１２…キー溝、１３…突出部、１４…ワツシヤプ
レート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シンクロナイザハブの一方の側にのみ、シンク
   ロナイザリング及び噛合ギヤが配され、スリーブ
   及び複数のシンクロナイザキーが前記噛合ギヤ側
   にのみシフト動すると共に、シンクロナイザハブ
   のリム部が側壁部外周より前記噛合ギヤ側に向け
   て一方向にのみ突出するキー式シンクロメツシユ
   機構において、各シンクロナイザキーを案内支持
   する複数のキー溝を前記リム部及び前記側壁部を
   貫通するようにして前記シンクロナイザハブに形
   成し、且つ前記各キー溝にラジアル方向に突入す
   る複数の突出部が外周に形成されたワツシヤプレ
   ートを、前記リム部内に挿入して、前記側壁部に
   接する位置においてシンクロナイザハブに固定し
   たことを特徴とするキー式シンクロメツシユ機構
   のキー抜落防止構造。