JP4154909B2 - 印刷装置 - Google Patents

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JP4154909B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材の片面に溶熱インクが塗布された帯状のインクリボンシートを円筒状の繰出用巻芯に巻回し、そのインクリボンシートの先端部を円筒状の巻取用巻芯に巻き付けてなるインクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットを用いて印刷動作を行う印刷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、熱転写方式のファクシミリ装置などに用いられるインクリボンは、相当な長さのインクリボンシートを紙管に巻き付けたロール構造からなり、消耗するごとに詰め替えられるようにインクリボンシートセットとして別売されている。また、インクリボンシートセットを所定形状の枠体に保持してなるインクリボンカセットとして別売されている。
【0003】
ところで、最近では規格品以外のインクリボンシートセットやインクリボンカセットも販売されているが、このような非規格品を使用した場合、良好な印刷結果が得られない、本体装置側の印刷ヘッドの寿命を短くしてしまうなど不具合を発生する虞がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ファクシミリ装置などは、ユーザによって詰め替えられたインクリボンシートセットやインクリボンカセットが規格品であるか否かを判別することができないので、結局のところ、ユーザ自身が規格品であるか否かを判断するしかなく、所望の画質が得られないなどの不具合の発生はユーザに甘受させるしかなかった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、外観形状を変えることなく容易に規格品であるか否かの判別が可能なインクリボンシートセット、インクリボンカセット、および装填されたインクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが規格品であるか否かを自動的に判別することのできる印刷装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、請求項1に記載した発明は、透過光量が透過率0%の透過光量から100%よりも小さい所定の透過率の透過光量の範囲内にある基材の片面に溶熱インクが塗布された帯状のインクリボンシートを円筒状の繰出用巻芯に巻回し、そのインクリボンシートの先端部を円筒状の巻取用巻芯に巻き付けてなるインクリボンシートセットもしくは前記インクリボンシートセットを所定の箱型形状の枠体に保持してなるインクリボンカセットが適用される印刷装置であって、前記インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填されると、前記インクリボンシートを給送して予め設定された所定の領域の溶熱インクを除去するインク除去手段と、前記インク除去手段による前記インクリボンシートの給送動作において前記インクリボンシートの溶熱インクが除去された領域が通過する経路の所定の位置に設けられ、当該溶熱インクの除去領域の透過光量を検出する透過光量検出手段と、前記透過光量検出手段で検出された透過光量に基づき前記インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが規格品であるか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
この印刷装置によれば、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填されると、インクリボンシートを給送して予め設定された所定の領域の溶熱インクが除去され、さらにその領域の透過光量が検出される。そして、その検出された透過光量に基づき装置本体に装填されたインクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが規格品であるか否かが判定されるので、インクリボンシートセットが規格品でない場合、ユーザにその旨を報知して規格品の使用を推奨することで、印刷の画質劣化や印刷ヘッドの寿命低下などを好適に防止することができる。
【0018】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の印刷装置において、前記インク除去手段は、前記インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填されると、前記インクリボンシートだけを給送させて空印字を行うことにより所定の領域の溶熱インクを除去するものである。
【0019】
この印刷装置によれば、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填されると、インクリボンシートだけを給送させて空印字を行うことにより透過光量検出用の所定領域の溶熱インクが除去されるので、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットの規格品/非規格品の判定のためだけに印刷用紙を無駄にすることがない。
【0020】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の印刷装置において、前記インク除去手段は、前記インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填された後の最初の印刷処理の1ページ目の印刷において、用紙の余白部分の所定の領域に対応する前記インクリボンシートの所定の領域の溶熱インクを用紙に転写することにより溶熱インクの除去を行うものである。
【0021】
この印刷装置によれば、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填されると、最初の印刷処理の1ページ目の印刷において、用紙の余白部分の所定の領域に対応するインクリボンシートの所定の領域の溶熱インクを用紙に転写することにより溶熱インクの除去が行われるので、この場合もインクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットの規格品/非規格品の判定のためだけに余分に印刷用紙を無駄にすることがない。
【0022】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の印刷装置において、前記インクリボンシートの所定の領域の溶熱インクの用紙への転写は、予め設定されたダミーの印刷データに基づいて行うものである。
【0023】
この印刷装置によれば、最初の印刷処理の1ページ目の用紙の余白領域に矩形などのダミーの図柄の印刷することでインクリボンシートの基材の透過光量検出用の領域における溶熱インクが除去されるので、1ページ目の印刷画像の品質を著しく低下させることがない。
【0024】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の印刷装置において、前記ダミーの印刷データは、透過光量検出用の図柄と透過光量非検出用の図柄とからなる印刷データで構成されていることを特徴とする。
【0025】
この印刷装置によれば、最初の印刷処理の1ページ目の用紙の余白領域には透過光量検出用の図柄と透過光量非検出用の図柄とからなるダミーの図柄(たとえば所定サイズの「■」からなる透過光量検出用の図柄と文字列からなる透過光量非検出用の図柄)が印刷されるので、1ページ目の用紙の余白領域に透過光量検出用の図柄が印刷されていても違和感がなく、印刷画像の品質低下がより軽減される。
【0026】
また、請求項に記載の発明は、請求項乃至のいずかに記載の印刷装置において、前記判定手段は、前記透過光量検出手段で検出された透過光量を予め設定された所定の閾値と比較し、前記透過光量が所定の閾値以下であるとき、規格品であると判定するものである。
【0027】
この印刷装置によれば、透過光量検出手段で検出された透過光量を予め設定された所定の閾値と比較し、透過光量が所定の閾値以下であるとき、規格品であると判定するので、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットの規格品/非規格品の判定を確実に行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係るインクリボンシートセットの斜視図、図2は、このインクリボンシートセットが用いられるファクシミリ装置の断面図である。
【0030】
図1に示すインクリボンシートセット10は、例えば熱転写方式のファクシミリ装置1に用いられるもので、図略のカセットカートリッジに装着した状態でファクシミリ装置1の内部に収められる。インクリボンシートセット10は、所定長の帯状のインクリボンシート13が円筒状の繰出用巻芯12に巻回され、その先端部が円筒状の巻取用巻芯11に巻き付けられたもので、この状態で単品として別売されるか、カセットカートリッジに収納されてインクリボンカセットとして別売りされる。
【0031】
通常、インクリボンシートセット10を購入した当初は、図1に示すように繰出用巻芯12にほとんどのインクリボンシート13が巻き付けられているが、使用を重ねるにつれて巻取用巻芯11に徐々に巻き取られる。そして、繰出用巻芯12に巻き付けられたインクリボンシート13がほとんど無くなると、新しいインクリボンシートセット10に交換される。
【0032】
ユーザは、ファクシミリ装置にセットされたインクリボンシートセット10を使い終わると、新しいインクリボンシートセット10を購入し、ファクシミリ装置内のインクリボンシートセット10を交換して印刷を続けることができる。
【0033】
インクリボンシート13は、図1の要部断面図に示すように、たとえばベースフィルムからなる基材15の片面全体に転写用の溶熱インク14を一様に塗布した構造からなる。そして、この溶熱インク14の塗布面が転写面(印刷面)13Aとして用いられる。
【0034】
基材15は、ベース層15bとカーボンが含有されたマット層15aとからなり、このマット層15aの上に溶熱インク14が塗布されている。本実施形態に係るインクリボンシート13は、基材15の透過光量が所定の透過光量(たとえば透過率が50%以下となる透過光量)以下となるように、ベース層15bがたとえば黒色に着色されている。このようにベース層15bを着色するのは、後述するように基材15の透過光量を検出することで、ファクシミリ装置などの印刷装置に新規にセットされたインクリボンシート13が規格品である否かを自動的に判別できるようにするためである。すなわち、非規格品のインクリボンシート13の基材15は透明であるため、規格品のインクリボンシート13の基材15を半透明もしくは不透明とすることにより規格品と非規格品とを識別可能にするものである。
【0035】
従って、基材15を所定の透過光量以下の半透明基材もしくは不透明基材と成し得るのであれば、ベース層15bの色は黒色に限定されるものではなく、任意に色を採用することができる。また、マット層15aにはインクリボンシート13の品質を保持するためにカーボン(炭素)が含有されているが、その炭素含有量を増加すると、マット層15aが黒くなり、これによっても基材15の透過光量が低下するので、マット層15aの炭素含有量を調整することで基材15の透過光量を所定の透過光量以下に設定するようにしてもよい。あるいはまた、マット層15aの炭素含有量とベース層15bの着色濃度とを調整することで基材15の透過光量を所定の透過光量以下に設定するようにしてもよい。
【0036】
図2は、ファクシミリ装置1にインクリボンシートセット10がセットされた状態を示す断面図である。
【0037】
ファクシミリ装置1にインクリボンシートセット10が装着された状態では、プラテンローラ2とサーマルヘッド3とが相対する位置を印刷位置Pとすると、この印刷位置Pより送り方向上流側(図2では左側)に繰出用巻芯12がセットされるとともに、送り方向下流側(図2では右側)に巻取用巻芯11がセットされる。繰出用巻芯12から巻取用巻芯11へと移動するインクリボンシート13の一部(図2に2点鎖線で示す)は、プラテンローラ2とサーマルヘッド3との間である程度の張力が加えられて張られた状態とされ、転写面13Aが受容紙4に密着した状態とされる。このとき、転写面13Aの密着部分は、サーマルヘッド3に熱せられることで溶熱インク14を受容紙4に付着させる。これにより、受容紙4の片面には、インクの転写部分と非転写部分からなる画像が形成される。
【0038】
さらに、ファクシミリ装置1の内部について見ると、印刷位置Pの近傍で送り方向下流側の所定の位置(以下、この位置を透過光量検出位置という。)に、インクリボンシート13の基材15の透過光量を検出するセンサとして反射型光センサ5が取り付けられている。後述するように、本実施形態に係るファクシミリ装置1は、新規のインクリボンシートセット10がセットされると、図3に示すように、最初の印刷の1ページ目の用紙4の上側余白領域の所定の位置に、たとえば1cm×2cm程度の矩形形状のマークMを印字し、このマークMの印字によりインクリボンシート13の溶熱インク14が除去された部分17の基材15の透過光量を反射型光センサ5で検出するようになっている。
【0039】
従って、反射型光センサ5は、印刷位置Pより送り方向下流側であって、インクリボンシート13のマークMに対応するインク除去部分17が通過する際、そのインク除去部分17にインクリボンシート13の下面側から対向する所定の位置に配置されている。一方、インクリボンシート13の上面側には、反射型光センサ5に対向させて反射板6が設けられている。より具体的には、反射板6は、インクリボンシートセット10をファクシミリ装置内にセット可能にするべく装置本体の上面に開閉可能に取り付けられたカバーの内側面の適所に取り付けられている。従って、カバーを閉じると、反射板6が反射型光センサ5に対して所定の間隔を設けて対向配置される。
【0040】
インクリボンシート13の基材15の透過光量検出処理においては、マークMの印字によりインクリボンシート13の溶熱インク14が除去された部分17がインクリボンシート13の巻取動作で透過光量検出位置に搬送されると、反射型光センサ5の投光部からインク除去部分17に向けて光が照射される。照射光の一部はインク除去部分17を透過した後、反射板6で全反射し、再度インク除去部分17を透過して反射型光センサ5の受光部に入射し、受光される。反射型光センサ5から出力される受光信号は、図略のA/D変換回路でデジタル信号に変換された後、ファクシミリ装置1の動作を制御するCPUに入力され、そのCPUで受光レベルに基づきインクリボンシートセット10の規格品/非規格品が判定される。すなわち、受光レベルが所定の閾値レベル以下であれば、規格品と判定され、受光レベルが所定の閾値レベルを超えていれば、非規格品と判定される。
【0041】
そして、非規格品であると判定されると、CPUの制御によりその後の印刷動作が禁止されたり、図示しないディスプレイパネルに、セットされたインクリボンシートセット10が規格品とは異なる旨のメッセージや印刷結果が良くなかったり、印刷ヘッドの寿命に対する悪影響を及ぼしたりするおそれがある旨のメッセージなどが表示される。なお、非規格のインクリボンシートセット10がセットされていても、取り敢えずは印刷動作を行うようにしても良い。
【0042】
図4は、ファクシミリ装置1の回路ブロック図である。
【0043】
ファクシミリ装置1の内蔵回路には、CPU20、ROM21、RAM22、インターフェイス回路30、A/D変換回路31、反射型光センサ5、印刷部40、カバー開閉スイッチ41および印刷開始スイッチ42が含まれる。CPU20、ROM21、RAM22、およびインターフェイス回路30は、バス線23により相互に接続されている。インターフェイス回路30には、印刷部40、カバー開閉スイッチ41および印刷開始スイッチ42が接続されている。CPU20には、A/D変換回路31を介して反射型光センサ5が接続され、この反射型光センサ5から出力される受光信号(アナログ信号)が、たとえば8ビットのデジタル信号に変換されてCPU20に入力されるようになっている。
【0044】
CPU20、ROM21、RAM22、およびインターフェイス回路30は、いわゆるマイコンとして機能するものであって、特にRAM22には、インクリボンに関するリボン残量記憶エリアとフィード(送り)量記憶エリアが設けられている。反射型光センサ5は、上述したように、インクリボンシート13のインク除去部分17の透過光量を検出し、その透過光量を示す検出信号をA/D変換回路31を介してCPU20に伝える。印刷部40においては、インクリボンシートセット10の給送動作などがCPU20により制御される。カバー開閉スイッチ41は、インクリボンシートセット10の交換などの際に開け閉めされるカセットカバー(図示略)の開閉状態を検出するものである。印刷開始スイッチ42は、ユーザの操作に応じて印刷開始された状態を検出するものである。
【0045】
次に、ファクシミリ装置1に新規のインクリボンシートセット10がセットされた際のインクリボンの判定処理について、図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0046】
新規のインクリボンシートセット10がセットされるとき、必ずカバーが開閉されるから、インクリボンの判定処理は、カバー閉の検出時に行われる。
【0047】
インクリボンシートセット10のカセットカバーが開け閉めされると、CPU20は、テンションをかけるためにインクリボンシート13をたとえば50mm程度送り出す(S1)。
【0048】
続いて、CPU20は、インクリボンシートセット10を新規に装着したか否かを問い合わせる画面を表示させる(S2)。この問合画面に対してユーザが操作を行い、新規装着でない旨が伝えられると(S3:NO)、印刷待機状態となり(S4:NOのループ)、ファクシミリ受信やユーザの操作によりコピー開始の指示が入力されると、受信データや原稿の読取データの通常の印刷処理が行われる(S5)。
【0049】
一方、問合画面に対してユーザが操作を行い、新規装着の旨が伝えられると(S3:YES)、CPU20は、リボン残量をフルにセットし直し(S6)、印刷待機状態となる(S7:NOのループ)。
【0050】
この印刷待機状態において、ファクシミリ受信やユーザの操作によりコピー開始の指示が入力されると、CPU20は、余白領域の所定位置にマークMが印字されるように印刷すべきデータにマークMのデータを付加して1ページ目の印刷データを作成する(S8)。続いて、CPU20は、1枚目の用紙4を給送し(S9)、その用紙の先頭位置が印刷位置Pに到達したタイミングで印刷データに基づきインクリボンシート13の溶熱インク14の用紙4への転写を開始する(S10)。
【0051】
CPU20は、用紙4およびインクリボンシート13を所定の速度で給送しながら、印刷データに基づきインクリボンシート13の溶熱インク14を用紙4に転写させて1ページ目の印刷を実行する。この1ページの印刷処理において、インクリボンシート13は巻取用巻芯11に巻き取られていくが、CPU20は、マークMの印字により溶熱インク14が除去されたインク除去部分17が印刷位置Pの下流側の透過光量検出位置に到達するタイミングで(S11:YES)、反射型光センサ5を動作させてインク除去部分17の透過光量を検出する(S12)。
【0052】
反射型光センサ5を動作させると、投光部から光がインク除去部分17に向けて照射され、当該インク除去部分17を透過した光は、反射板6で反射して再度インク除去部分17を透過して受光部で受光される。この受光に基づく受光信号は、A/D変換回路31でデジタル信号に変換されてCPU20に入力される。CPU20は、入力された受光信号のレベルを予め設定された閾値レベルと比較してセットされたインクリボンシートセット10が規格品であるか否かを判定する(S13)。
【0053】
すなわち、CPU20は、受光レベルと閾値レベルとを比較し、受光レベルが閾値レベル以下であると(S13:YES)、セットされたインクリボンシートセット10は規格品であると判定し(S14)、受光レベルが閾値レベルを超えていると(S13:NO)、セットされたインクリボンシートセット10は非規格品であると判定し(S15)、その旨の所定の報知処理を行う(S16)。
【0054】
そして、1ページ目の印刷が終了すると(S17:YES)、CPU20は次のページの印刷データがあるか否か判別し(S18)、次のページの印刷データがなければ(S18:NO)、印刷処理を終了し、次のページの印刷データがあれば(S18:YES)、次のページの印刷データの印刷処理を行い(S19)、全ページの印刷データの印刷処理が終了すると(S20:YES)、印刷処理を終了する。
【0055】
上記のように、本実施形態では、インクリボンシート13の基材15を半透明基材で構成し、新規のインクリボンシートセット10がファクシミリ装置1にセットされると、最初の印刷処理における1ページ目の印刷において、余白領域の所定の位置に所定のサイズのマークMを印字させることによりインクリボンシート13に溶熱インク14の除去部分17を形成するとともに、反射型光センサ5でそのインク除去部分17の透過光量を検出し、その検出値に基づきセットされたインクリボンシートセット10の規格品/非規格品を判定するようにしているので、インクリボンシートセット10に特別の判定部材を設けることなく、簡単な構成でインクリボンシートセット10の規格品/非規格品を判定することができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、基材15のインク除去部分17の透過光量を判定するに際し、光の色成分については特に言及しなかったが、白色だけでなく、赤、緑等の特定の色成分についての透過光量を用いてインクリボンシートセット10の判定を行うようしてもよい。あるいは複数種類の色成分についての透過光量を検出し、それらの検出値を用いてインクリボンシートセット10の判定を行うようにしてもよい。このような方法を用いれば、判定精度をより向上させることができる。
【0057】
また、上記実施形態では、インクリボンシート13にインク除去部分17を形成するために、1ページ目の用紙4の余白領域に1cm×2cm程度の「■」のマークMを印字させるようにしていたが、用紙4に印字されたマークMの不自然さを低減するため、図6(a)に示すように、マークMと同じ図柄のダミーマークM’を横方向に複数個配列するようにしてもよい。あるいはまた、同図(b)に示すように、マークMの隣にダミーの図柄を形成する領域4Aを設け、たとえば「■スズキ■」などのように、マークM「■」に隣接して名前などの透過光量の検出に用いられない図柄「スズキ■」を領域4Aに印字するようにしてもよい。また、この図柄はマークMに対する飾りであるから、名前だけでなく、○、△などの絵柄などを含む任意の図柄を採用することができる。また、ファクシミリ受信を印刷する場合は、余白領域に発信者や受信日時などが付加されるので、これらの情報にマークMを混入するようにしてもよい。
【0058】
また、マークMの形成位置は、上側の余白領域に限定されず、装置側に配設される反射型光センサ5の配設位置に応じて下側、左側、右側の余白領域に形成するようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態では、光センサとして反射型光センサを用いていたが、透過型光センサでもよく、一組の発光素子と受光素子とで光センサを構成してもよい。これらの場合は、図2において、光センサ5の位置に透過型光センサの投光部や発光素子を配置し、反射板6の位置に透過型光センサの受光部や受光素子を配置すればよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、新規のインクリボンシートセット10がファクシミリ装置1にセットされると、その後最初の印刷処理がされるときに、本来の印刷すべきデータとは異なるマークMを1枚目の余白領域に印字させてインクリボンシート13に透過光量検出用のインク除去部分17を形成し、そのインク除去部分17における基材15の透過光量を検出するようにしていたが、新規のインクリボンシートセット10がファクシミリ装置1にセットされると、その後最初の印刷処理を待つことなく、所定量だけインクリボンシート13を送ってマークMを空印字することにより透過光量検出用のインク除去部分17を形成し、そのインク除去部分17における基材15の透過光量を検出するようにしてもよい。
【0061】
このようにすれば、新規のインクリボンシートセット10がファクシミリ装置1にセットされると、直ちにインクリボンシートセット10の判定結果を得ることができる。
【0062】
また、上記実施の形態では、ファクシミリ装置を例に説明したが、本発明は、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットをセットして印刷を行う装置であれば、プリンタ、コピー機等の他の印刷機能を備えた任意の装置に適用することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載した発明の印刷装置によれば、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填されると、インクリボンシートの予め設定された所定の領域の溶熱インクを除去し、その領域の透過光量を検出して装置本体に装填されたインクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが規格品であるか否かを判定するようにしたので、インクリボンシートセットが規格品でない場合、ユーザにその旨を報知して規格品の使用を推奨することにより、印刷の画質劣化や印刷ヘッドの寿命低下などを好適に防止することができる。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
また、請求項に記載の発明の印刷装置によれば、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填されると、インクリボンシートだけを給送させて空印字を行うことにより透過光量検出用の所定領域の溶熱インクを除去するようにしたので、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットの規格品/非規格品の判定のためだけに印刷用紙を無駄にすることがない。
【0070】
また、請求項に記載の発明の印刷装置によれば、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填されると、最初の印刷処理の1ページ目の印刷において、用紙の余白部分の所定の領域に対応するインクリボンシートの所定の領域の溶熱インクを用紙に転写することにより溶熱インクの除去を行なうようにしたので、この場合もインクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットの規格品/非規格品の判定のためだけに余分に印刷用紙を無駄にすることがない。
【0071】
また、請求項に記載の発明の印刷装置によれば、最初の印刷処理の1ページ目の用紙の余白領域に矩形などのダミーの図柄の印刷することでインクリボンシートの基材の透過光量検出用の領域における溶熱インクを除去するようにしたので、1ページ目の印刷画像の品質を著しく低下させることがない。
【0072】
また、請求項に記載の発明の印刷装置によれば、最初の印刷処理の1ページ目の用紙の余白領域に透過光量検出用の図柄と透過光量非検出用の図柄とからなるダミーの図柄を印刷するようにしたので、1ページ目の用紙の余白領域に透過光量検出用の図柄が印刷されていても違和感がなく、印刷画像の品質低下がより軽減される。
【0073】
また、請求項に記載の発明の印刷装置によれば、透過光量検出手段で検出された透過光量を予め設定された所定の閾値と比較し、透過光量が所定の閾値以下であるとき、規格品であると判定するようにしたので、インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットの規格品/非規格品の判定を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るインクリボンシートセットの斜視図である。
【図2】 インクリボンシートセットが用いられるファクシミリ装置の断面図である。
【図3】 インクリボンシートの透過光量を検出するための溶熱インクの除去領域を示す要部斜視図である。
【図4】 ファクシミリ装置の回路ブロック図である。
【図5】 セットされたインクリボンシートセットが規格品であるか否かを判定する判定処理のフローチャートである。
【図6】 透過光量検出用に溶熱インクを除去するため、用紙に印刷されるダミーのマークもしくは図柄の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 ファクシミリ装置
2 プラテンローラ
3 サーマルヘッド
4 受容紙
5 光センサ(透過光量検出手段の構成要素)
6 反射板(透過光量検出手段の構成要素)
10 インクリボンシートセット
11,12 巻芯
13 インクリボンシート
13A 転写面(印刷面)
13B 反対面
14 溶熱イン
15 基材
15a マット層
15b ベース層

Claims (6)

  1. 透過光量が透過率0%の透過光量から100%よりも小さい所定の透過率の透過光量の範囲内にある基材の片面に溶熱インクが塗布された帯状のインクリボンシートを円筒状の繰出用巻芯に巻回し、そのインクリボンシートの先端部を円筒状の巻取用巻芯に巻き付けてなるインクリボンシートセット、もしくは前記インクリボンシートセットを所定の箱型形状の枠体に保持してなるインクリボンカセットが適用される印刷装置であって、
    前記インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填されると、前記インクリボンシートを給送して予め設定された所定の領域の溶熱インクを除去するインク除去手段と、
    前記インク除去手段による前記インクリボンシートの給送動作において前記インクリボンシートの溶熱インクが除去された領域が通過する経路の所定の位置に設けられ、当該溶熱インクの除去領域の透過光量を検出する透過光量検出手段と、
    前記透過光量検出手段で検出された透過光量に基づき前記インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが規格品であるか否かを判定する判定手段と、
    を備えたことを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項に記載の印刷装置において、
    前記インク除去手段は、前記インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填されると、前記インクリボンシートだけを給送させて空印字を行うことにより所定の領域の溶熱インクを除去するものであることを特徴とする、印刷装置。
  3. 請求項に記載の印刷装置において、
    前記インク除去手段は、前記インクリボンシートセットもしくはインクリボンカセットが装置本体に装填された後の最初の印刷処理の1ページ目の印刷において、用紙の余白部分の所定の領域に対応する前記インクリボンシートの所定の領域の溶熱インクを用紙に転写することにより溶熱インクの除去を行うものであることを特徴とする、印刷装置。
  4. 請求項に記載の印刷装置において、
    前記インクリボンシートの所定の領域の溶熱インクの用紙への転写は、予め設定されたダミーの印刷データに基づいて行うことを特徴とする、印刷装置。
  5. 請求項に記載の印刷装置において、
    前記ダミーの印刷データは、透過光量検出用の図柄と透過光量非検出用の図柄とからなる印刷データで構成されていることを特徴とする、印刷装置。
  6. 請求項乃至のいずれかに記載の印刷装置において、
    前記判定手段は、前記透過光量検出手段で検出された透過光量を予め設定された所定の閾値と比較し、前記透過光量が所定の閾値以下であるとき、規格品であると判定するものであることを特徴とする、印刷装置。
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