JP4154645B2 - 液晶組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気光学的液晶表示材料として有用なネマチック液晶組成物及び、これを用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置(LCD)は、電卓のディスプレイとして登場して以来、コンピューターの開発と歩みを同じくして、TN-LCD(捻れネマチック液晶表示装置)から、STN-LCDへと表示容量の拡大に対応してきた。STN-LCDは、シェファー(Scheffer)等[SID '85 Digest, 120頁(1985年)]、あるいは衣川等[SID '86 Digest, 122頁(1986年)]によって、開発され、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータなどの高情報処理用の表示に広く普及しはじめている。特に、各画素に薄膜トランジスタをつけたアクティブマトリクス液晶表示素子(AM-LCD)は、CRTにも代替できる高画質を備え、フラット化、省エネルギー化の後押しを受けて、もっとも将来性のあるディスプレイとして期待されている。アクティブ・マトリクス表示方式は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)あるいはMIM(メタル・インシュレータ・メタル)等が使われており、この方式には高電圧保持率であることが重要視されている。TN型液晶表示素子やSTN型液晶表示素子では、電圧印加により基板に平行且つ捻れた配向した液晶分子が、垂直に立ち上がることにより捻りが解消されることにより光の明暗をコントロールし表示を行っている。このように液晶分子が初期の捻れ状態から立ち上がった状態では、観察者の見る角度により捻れ状態が異なるためコントラスト低下及び色の反転が起こり、実効的な視野角が狭いという問題があった。
【0003】
広い視角特性を得るためにIPS(Inplane swiching)モードと組み合わせたスーパーTFT[Asia Display '95 Digest, p.707 1995年]、MVA(Multi-domainVertical Alingnment)に代表されるVA(Vertically Alingned)が提案されている。これら以外にも、OCB(Optically Compensated Birefringence mode;特開平7-84254号公報、SID93DIGEST,p277)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、PC、PSCT等にアクティブ・マトリクス表示方式を用いることが報告されている(以下、これらアクティブ・マトリクス表示方式の液晶表示素子を総称してTFT-LCDと呼称する)この様な表示素子に対応するために、現在も新しい液晶化合物あるいは液晶組成物、例えば特開平2-233626号公報、特表平4-501575号公報等の提案がなされている。
前述のIPS方式や、VA方式、ECB方式には従来使用されている比誘電率Δεが正の材料とは異なり、Δεが負の材料が使用される。表示特性改善のためには、液晶材料としてΔεが負で大きいことが要求されている。
【0004】
一方、近年の携帯化に伴いバックライトを用いない反射型の液晶表示素子が実用化されている。液晶表示素子においては、干渉縞の発生による着色やむらを防止するために、セル厚(d)と屈折率異方性(Δn)の積(Δn・d)をある値(0.5、1.0、1.6、2.2、通常前二者が用いられることが多い。)に設定する必要があるが、これはバックライトを使用したときのことであり、前述の反射型液晶表示素子においては、反射光をみるため同じセル厚であれば光路長が往復となるためdの値は2倍となり、その結果Δnとしては1/2の値が必要となる。セル厚を薄くすることにより、その干渉縞の発生による着色やむらを防止することはできるが限界があり、その結果として小さなΔnを有する液晶材料が必要となる。しかし、Δnの比較的小さな化合物に単純に置き換えた組成物ではΔnを十分に低減することはできず、前述のその他の液晶諸特性を悪化させてしまうなどの問題があり、新しい液晶組成物の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電気光学表示素子、特に上記の液晶表示素子において、絶対値の大きな負のΔεを有し、低い屈折率異方性を有し、高い電圧保持率を高温度まで維持できる液晶組成物及びこれを使用した液晶表示素子を提供する、若しくは従来より上記の欠点を改善した液晶組成物及び液晶表示素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、種々の液晶化合物を用いた液晶組成物を検討した結果以下の液晶組成物を見いだした。
【0007】
一般式(I)
【化4】
(式中R1は、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基を表し、この基は非置換もしくは置換基として少なくとも1個のハロゲンを有しており、そしてこれらの基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして酸素原子又は硫黄原子により置き換えられても良く、あるいはR1は水素原子を表し、
R2は、炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数2〜15のアルケニル基を表し、この基は非置換もしくは置換基として少なくとも1個のハロゲンを有しており、そしてこれらの基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして酸素原子又は硫黄原子により置き換えられても良い
【0008】
A及びBはそれぞれ独立して、
(a) 1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基又は2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基(この基中に存在する炭素原子は窒素原子により置き換えられていても良いが、窒素原子が隣接することはない)
(b) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基もしくは隣接していない2個以上のメチレン基は酸素原子及び/又は硫黄原子に置き換えられてもよい)
(c) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すが、
A又はBの少なくとも一つは2-フルオロ-1,4-フェニレン基、6-フルオロピリジン-2,5-ジイル基又は2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基を表し、
m及びnは、それぞれ独立して0、1又は2を表すがm+n≦3を満たし、
M及びNはそれぞれ独立して、-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-C≡C-、-(CH2)4-、-CH=CH-CH2CH2-、-CH2CH2-CH=CH- 又は単結合を表し、A、B、L、M及びNが複数存在する場合はそれらは同一でも良く異なっていても良い。)で表される化合物を1種もしくは2種以上を含有し、
【0009】
さらに一般式(II)
【化5】
(式中、R3及びR4は、それぞれ独立的に炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数2〜15のアルケニル基を表し、この基は非置換もしくは置換基として少なくとも1個のハロゲンを有しており、そしてこれらの基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして酸素原子又は硫黄原子により置き換えられても良い
C、D及びEはそれぞれ独立して、
(a) 1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基又は2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基(この基中に存在する炭素原子は窒素原子により置き換えられていても良いが、窒素原子が隣接することはない)
(b) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基もしくは隣接していない2個以上のメチレン基は酸素原子及び/又は硫黄原子に置き換えられてもよい)
(c) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、3-フルオロナフタレン-2,6-ジイル基、4-フルオロナフタレン-2,6-ジイル基、5-フルオロナフタレン-2,6-ジイル基、3,4-ジフルオロナフタレン-2,6-ジイル基、3,5-ジフルオロナフタレン-2,6-ジイル基、4,5-ジフルオロナフタレン-2,6-ジイル基、3,4,5-トリフルオロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、8-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、7,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
を表すが、C、D又はEの少なくとも一つは2-フルオロ-1,4-フェニレン基、6-フルオロピリジン-2,5-ジイル基又は2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基を表し、
lは0、1もしくは2を表し、
K及びPはそれぞれ独立的に-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-C≡C-、-(CH2)4-、-CH=CH-CH2CH2-、-CH2CH2-CH=CH- 又は単結合を表し、
E及びPが複数存在する場合はそれらは同一でも良く異なっていても良い。)で表される化合物を1種もしくは2種以上を含有することを特徴とする液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一例について説明する。
本発明の液晶組成物の誘電率異方性は、負であって絶対値が1以上が好ましく、負であって絶対値が2以上がより好ましい。また、一般式(I)の化合物を5質量%〜50質量%含有し、一般式(II)の化合物を5質量%〜90質量%含有することが好ましく、一般式(I)の化合物を5質量%〜50質量%含有し、一般式(II)の化合物を5質量%〜90質量%含有することが好ましく、一般式(I)の化合物を5質量%〜50質量%含有し、一般式(II)の化合物を5質量%〜90質量%含有し、一般式(III)
【0011】
【化6】
(式中、R5、R6は炭素原子数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ基を表し、F及びGはそれぞれ独立して
(a) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する炭素原子は窒素原子により置き換えられていても良いが、窒素原子が隣接することはない)
(b) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基もしくは隣接していない2個以上のメチレン基は酸素原子及び/又は硫黄原子に置き換えられてもよい)
(c) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表し、Qは-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-C≡C-、-(CH2)4- 又は単結合を表し、oは0、1又は2を表し、Q及びGが複数存在する場合は同一であっても異なっていても良い。)の化合物を5質量%〜50質量%含有することがより好ましい。
【0012】
これらの化合物は、一般式(I)の化合物を1種〜4種含有し、一般式(II)の化合物を1種〜10種含有することが好ましく、一般式(I)の化合物を1種〜4種含有し、一般式(II)の化合物を1種〜10種含有し、一般式(III)の化合物を1種〜10種含有することがより好ましい。
【0013】
本発明において一般式(I)の化合物は以下の態様が好ましい。
【0014】
R1は、炭素数1〜5のアルキル基又は水素原子を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
【0015】
R2は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8アルコキシアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数3〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルケニルオキシ基を表すことがより好ましく、アルケニル基の場合以下式(a)〜(e)の構造がさらに好ましい。
【0016】
【化7】
(構造式は右端で環に連結しているものとする。)
A及びBはそれぞれ独立して、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、6-フルオロピリジン-2,5-ジイル基又はトランス-1,4-シクロへキシレン基を表すことが好ましく、Bが2-フルオロ-1,4-フェニレン基、6-フルオロピリジン-2,5-ジイル基又は2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0017】
m及びnは、それぞれ独立して0又は1を表すことが好ましく、mは1を表すことがより好ましい。
【0018】
L、M及びNはそれぞれ独立して、-COO-、-OCO-、-CH2O-、-CH2CH2-、-C≡C-又は単結合を表すことが好ましく、CH2O-、-CH2CH2-、-C≡C-又は単結合を表すことがより好ましい。
【0019】
一般式(I)の化合物は具体的には以下の化合物が好ましい。
【化8】
(式中、R1aは、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を表し、R2aは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5アルコキシアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルケニルオキシ基を表し、Lは-COO-、-OCO-、-CH2O-、-CH2CH2-、-C≡C-又は単結合を表し、X1及びX2はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表すが、X1又はX2の少なくとも一つはフッ素原子を表す。)
【0020】
【化9】
(式中、R1aは、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を表し、R2aは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5アルコキシアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルケニルオキシ基を表し、Lは-COO-、-OCO-、-CH2O-、-CH2CH2-、-C≡C-又は単結合を表し、X1及びX2はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表すが、X1又はX2の少なくとも一つはフッ素原子を表す。)
【0021】
本発明において一般式(II)の化合物は以下の態様が好ましい。
R3及びR4は、それぞれ独立的に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8アルコキシアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数3〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルケニルオキシ基を表すことがより好ましく、アルケニル基の場合式(a)〜(e)の構造がさらに好ましい。
【0022】
C、D及びEはそれぞれ独立して、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、6-フルオロピリジン-2,5-ジイル基又はトランス-1,4-シクロへキシレン基を表すことが好ましい。
【0023】
lは0又は1を表すことが好ましく、lが1を表す場合Eは2-フルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基又は6-フルオロピリジン-2,5-ジイル基を表すことが好ましく、lが0を表す場合Dは2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基又は6-フルオロピリジン-2,5-ジイル基を表すことが好ましい。
【0024】
K及びPはそれぞれ独立的に-COO-、-OCO-、-CH2O-、-CH2CH2-、-C≡C-又は単結合を表すことが好ましく、CH2O-、-CH2CH2-、-C≡C-又は単結合を表すことがより好ましい。
【0025】
一般式(II)の化合物は具体的には以下の化合物が好ましい。
【化10】
(式中、R3a及びR4aはそれぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5アルコキシアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルケニルオキシ基を表し、Lは-COO-、-OCO-、-CH2O-、-CH2CH2-、-C≡C-又は単結合を表す。)
【0026】
【化11】
(式中、R3a及びR4aはそれぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5アルコキシアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルケニルオキシ基を表し、Lは-COO-、-OCO-、-CH2O-、-CH2CH2-、-C≡C-又は単結合を表す。)
本発明において一般式(III)の化合物は以下の態様が好ましい。
【0027】
R5、R6はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8アルコキシアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数3〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数3〜5のアルケニルオキシ基を表すことがより好ましく、アルケニル基の場合式(a)〜(e)の構造がさらに好ましい。
【0028】
F及びGはそれぞれ独立して1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロへキシレン基を表すことが好ましい。
【0029】
Qは-COO-、-OCO-、-CH2O-、-CH2CH2-、-C≡C-又は単結合を表すことが好ましく、-CH2CH2-、-C≡C-又は単結合を表すことがより好ましい。
oは0又は1を表すことが好ましい。
【0030】
一般式(III)の化合物は具体的には以下の化合物が好ましい。
(式中、R5、R6は炭素原子数1〜5のアルキル基もしくはアルコキシル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数3〜5のアルケニルオキシ基を表す。)又、上記の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶などを含有していてもよい。
【0031】
本発明の液晶組成物はAM-LCDに有用であるが、AM-LCDの中でもIPS方式や、VA方式、MVA方式、ECB方式の液晶表示素子に特に有用であり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
TN-I :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δε :誘電異方性
Δn :屈折率異方性
【0033】
(実施例1、比較例1)
以下に示すネマチック液晶組成物(実施例1)
【化12】
を調製した。また、比較例1として以下の液晶組成物を調整した。
【0034】
【化13】
【0035】
これらの液晶組成物の諸特性を測定した結果を表1に示す。
【表1】
表1に示すように、実施例1の液晶組成物は、比較例1の組成物と同等の誘電率異方性を有するにもかかわらず、屈折率異方性が低いことが解る。
【0036】
ここで作製した組成物を用いて、電圧保持率を測定したところ80℃で99%と高い値を示し、優れた表示特性を示す液晶表示装置を作成することができた。
【0037】
(実施例2、比較例2)
以下に示すネマチック液晶組成物(実施例2)
【化14】
を調製した。また、比較例2として以下の液晶組成物を調整した。
【0038】
【化15】
【0039】
これらの液晶組成物の諸特性を測定した結果を表1に示す。
【表2】
表2に示すように、実施例1の液晶組成物は、比較例1の組成物と同等の誘電率異方性を有するにもかかわらず、屈折率異方性が低いことが解る。
【0040】
ここで作製した組成物を用いて、電圧保持率を測定したところ80℃で99%と高い値を示し、優れた表示特性を示す液晶表示装置を作成することができた。
【0041】
【発明の効果】
本発明の液晶材料の組み合わせによって、絶対値の大きな負のΔεを有し、低い屈折率異方性を有し、高い電圧保持率を高温度まで維持できる液晶組成物が得られた。また、この組成物を液晶表示素子として用いた場合信頼性が高く優れたものであった。この液晶ディスプレイはIPS方式、VA方式、ECB方式等のAM-LCDとして非常に実用的である。
Claims (8)
- 一般式 (Ia-1) 、一般式( Ia-2 )、一般式( Ib-1 )〜一般式( Ib-5 )、
さらに一般式(II)
C、D及びEはそれぞれ独立して、
(a) 1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基又は2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基(この基中に存在する炭素原子は窒素原子により置き換えられていても良いが、窒素原子が隣接することはない)
(b) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基もしくは隣接していない2個以上のメチレン基は酸素原子及び/又は硫黄原子に置き換えられてもよい)
(c) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、3-フルオロナフタレン-2,6-ジイル基、4-フルオロナフタレン-2,6-ジイル基、5-フルオロナフタレン-2,6-ジイル基、3,4-ジフルオロナフタレン-2,6-ジイル基、3,5-ジフルオロナフタレン-2,6-ジイル基、4,5-ジフルオロナフタレン-2,6-ジイル基、3,4,5-トリフルオロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、8-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、7,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すが、l が 1 を表す場合 E は 2,3- ジフルオロ -1,4- フェニレン基を表し、 l が 0 を表す場合 D は 2,3- ジフルオロ -1,4- フェニレン基を表す、
lは0、1もしくは2を表し、
K及びPはそれぞれ独立的に-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-C≡C-、-(CH2)4-、-CH=CH-CH2CH2-、-CH2CH2-CH=CH- 又は単結合を表し、
E及びPが複数存在する場合はそれらは同一でも良く異なっていても良い。)で表される化合物を1種又は2種以上を含有し、
一般式 (III)
(a) 1,4- フェニレン基 ( この基中に存在する炭素原子は窒素原子により置き換えられていても良いが、窒素原子が隣接することはない )
(b) トランス -1,4- シクロへキシレン基 ( この基中に存在する 1 個のメチレン基もしくは隣接していない 2 個以上のメチレン基は酸素原子及び/又は硫黄原子に置き換えられてもよい )
(c) 1,4- シクロヘキセニレン基、 1,4- ビシクロ (2.2.2) オクチレン基、ピペリジン -1,4- ジイル基、ナフタレン -2,6- ジイル基、デカヒドロナフタレン -2,6- ジイル基及び 1,2,3,4- テトラヒドロナフタレン -2,6- ジイル基を表し、 Q は -COO- 、 -OCO- 、 -CH 2 O- 、 -OCH 2 - 、 -CH 2 CH 2 - 、 -CH=CH- 、 -C ≡ C- 、 -(CH 2 ) 4 - 又は単結合を表し、 o は 0 、 1 又は 2 を表し、 Q 及び G が複数存在する場合は同一であっても異なっていても良い。 ) で表される化合物を 1 種又は 2 種以上を含有し、誘電率異方性 ( Δε ) が負であってその絶対値が 1 以上であることを特徴とする液晶組成物。 - 一般式(I)の化合物の含有率が5〜50質量%の範囲であり、一般式(II)の化合物の含有率が5〜90質量%の範囲であり、一般式(III)の化合物の含有率が5〜50質量%の範囲である請求項1記載の液晶組成物。
- 一般式(I)の化合物を1種〜4種含有し、一般式(II)の化合物を1種〜10種含有し、一般式(III)の化合物を1種〜10種含有する請求項1又は2記載の液晶組成物。
- 一般式(I)において、R1が、炭素数1〜5のアルキル基又は水素原子を表し、R2が、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数3〜8のアルケニルオキシ基を表し、mが0又は1を表し、nが1を表し、Bが1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロへキシレン基を表す請求項1〜3の何れかに記載の液晶組成物。
- 一般式(II)において、D 及び E がそれぞれ独立して1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロへキシレン基を表し、一般式(III)において、F及びGがそれぞれ独立して1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロへキシレン基を表す請求項1〜4の何れかに記載の液晶組成物。
- 請求項1〜5の何れかに記載の液晶組成物を用いた液晶表示素子。
- 請求項1〜5の何れかに記載の液晶組成物を用いたアクティブマトリックス(AM)液晶表示素子。
- 請求項1〜5の何れかに記載の液晶組成物を用いたIPSモード又はVAモードの液晶表示素子。
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