JP4152774B2 - 光情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光線等の光学的手段を用いて情報を高速かつ高密度に記録、再生する光学的情報記録媒体に関し、金属造形物または金属膜の耐候性を必要とする分野に応用、展開可能である。
【0002】
【従来の技術】
まず、この光ディスクの分野について説明する。
記録型光ディスクのうち、追記型記録ディスクは、一般にプラスチック基板/色素系、無機系記録材料/Ag系合金の冷却反射層のような機能的には2層構成の膜構成を持っている。ここで用いられている無機系追記記録材料はレーザー照射による反射率の違いにより記録した情報の識別を行なうことができる。
近年、書き換えおよび追記記録型光ディスクが頻繁に使われるようになり、書き込み速度の高線速化、高密度化がますます要求されるようになってきている。高線速化の流れでは、高反射率を確保することと、冷却速度の速い冷却反射層材料として熱伝導率の大きなAu、Ag、Cu、Al等のような材料が用いられており、特に、Agが多様化されているが、反射材料としてのAgは、塩素、酸素等の非金属元素あるいはこれらのイオンに対して活性であるために、それによる汚染や記録媒体として使用される環境下で充分な耐久性を持たないという問題があり、これを解決するため、AgにAu等の数%の金属元素例えばAu等を不純物として導入することで保存特性を向上できる(例えば、特許文献1参照。)という知見が有り、最も多用されている。また、高密度化の流れの中では、半導体レーザーの波長の短いもの使用し、さらに光ピックアップのNA(Numerical Aperture)を大きくとり記録レーザ・ビームを絞り込み高密度記録を狙うなどの方向が試みられている。(例えば、特許文献2参照。)
【0003】
一方、特許文献3,4では、記録層を2層にして記録容量を2倍にすることが試みられている。しかしながら、記録層や保護層等にSb、Teが入っており、環境に悪い材料を用いている。
【0004】
また、特許文献5には、無機酸化膜の光照射による、屈折率変化を利用して超解像効果になるように記録密度を向上させることが記載されており、特許文献6には、記録層(MO:Te−Fe−Co)と記録補助層を用いて、記録補助層(Pb−Te)の形状変化もしくは屈折率変化により、記録マークを小さく記録し、高密度にすることが記載されている。特許文献5,6とも高密度記録するために、記録補助層の形状変化でレンズ効果等で小さいマークを書くことが目的であり効果である。本発明では透過率が高い無機膜を用い記録層2層記録を行ない、反射率変化を検知して記録再生するものである。
また、特許文献7では、基板上に記録膜、透明誘電体を用いて記録する。この誘電体に炭化物、酸化物を使用している記録層には使用していない。
更に、我々は、耐硫化層として本発明と同じ材料Ti−C−O等を使用したものを開発済み(特許文献8)であるが、本発明とは構成、目的、効果が異なる。
【0005】
従来技術に記載のディスクでは、環境に悪いという問題がある。
環境に良い材料として、単体の金属層では薄く形成することが必須となる。記録層を酸化物とした場合は、青色波長で光学定数のkが小さいため、吸収小さいことと、比較としてZnS・SiOの高周波スパッタ法での比較で成膜速度が1/15〜1/3になってしまう。直流スパッタ化できる材料でも成膜速度は3/5〜4/5とZnS・SiOに比べて生産性が落ちてしまう。
一方、炭化物系とした場合は、光学定数kの値が酸化物系と比べ高く、吸収があるので、記録層として使える。また炭化物系はガラスプレスレンズの型材または型の表面層として用いられる材料が多く密着性が良くないものが多いと考えられる。さらに、炭化物系は熱衝撃には強いものの熱伝導性も高いものが多く、半導体レーザーから投入されるエネルギー・パワーが必要となると考えられる。そこで、あまり厚い膜厚は付けられない。
さらに、記録密度を向上させるためにレーザー波長として短波長(例えば405nm)の光を用いる場合、誘電体の材料の光学定数である屈折率n,消衰率kの値は波長により変化し、多くの場合短波長になればなるほどn,kの値ともに大きくなる傾向がある。そこで、高密度を狙いとした光情報記録媒体では積層する各層の光学的な膜厚を同じくするためには実際に形成する膜の厚みを薄く形成する必要が出てきて、特に記録層として用いる場合は、ピンホールや物質拡散を防ぐためには物理的にある程度の厚みが必要なため、記録層としての機能し難くなるという問題も生じてくる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−129260号公報(第2頁第1欄第2〜第24行目請求項1〜3)
【特許文献2】
WO99/00794号公報(第2頁第21行〜第3頁第3行目の請求項9〜11、第10頁第9〜第12行目)
【特許文献3】
特許第2661293号公報(第1頁第1欄第2〜第9行目 請求項1)
【特許文献4】
特開2002−133712号公報
【特許文献5】
特開2001−084643号公報(第1頁左下欄第2〜末行目 [要約])
【特許文献6】
特開平07−029206号公報(第2頁第1欄第2〜第7行目 請求項1、第3頁第4欄第5〜第10行目、第4欄第50〜第4頁第5欄第1行目)
【特許文献7】
特開平2000−149326号公報(第2頁第1欄第2〜第6行目、第4頁第5欄第12〜第26行目)
【特許文献8】
特願2002−334303号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、環境に悪くない材料を用いて、高線速・高感度に対応できる良好なディスク特性を有するとともに、保存安定性に優れた光学的情報記録用媒体を提供することを目的とする。具体的には、層構成全てに環境に良い材料を用い、生産効率的も維持し、光ディスクとしての記録特性を有するディスクを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「透明な基板上に青色波長(390nmから430nm)レーザー照射によって光学的に検知しうる変化を生じる記録薄膜層を設けた光学的情報記録媒体であって、記録層が少なくとも2層からなり、記録層がTi、Zr、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくともひとつの金属を含む炭化物と酸化物の混合物により構成された材料で形成されることを特徴とする光情報記録媒体」、(2)「基板上に基板材と屈折率が異なる誘電体層で記録層を挟んだ構成であり、誘電体層がTi、Zr、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくともひとつの金属を含む炭化物と酸化物の混合物により構成された材料で形成されることを特徴とする前記第(1)項に記載の光情報記録媒体」、(3)「基板上に基板材と屈折率が異なる誘電体層で記録層を挟み、光入射側とは反対側に反射層を設けた構成で、反射層の主成分がAgであることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の光情報記録媒体」、(4)「記録層はレーザー照射により屈折率変化し、検知し得うる変化が主として入射した光の反射、透過による反射率変化によることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の光情報記録媒体」、()「記録層の厚みが3〜20nmの範囲であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の光情報記録媒体」、()「記録層の透過率が30%以上60%以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れかに記載の光情報記録媒体」により達成される。
【0009】
上記課題は、本発明の()「炭化物と酸化物の混合ターゲットを用いスパッタリング法により炭化物と酸化物の混合物である記録層を形成することを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れかに記載の光情報記録媒体の製造方法」、()「炭化物ターゲットを用い酸素導入した不活性ガス雰囲気のスパッタリング法で炭化物と酸化物の混合物記録層を形成することを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れかに記載の光情報記録媒体の製造方法」、()「比抵抗が0.5Ωcm以下である炭化物ターゲットを用い、直流放電スパッタリングまたはパルス状の波形を有する直流放電スパッタリングにより炭化物と酸化物の混合物記録層を形成することを特徴とする前記第(8)項に記載の光情報記録媒体の製造方法」により達成される。
【0010】
以下に、本発明の構成について詳細に説明する。
上記第(1)の発明においては、透明な基板上に青色波長(390nmから430nm)レーザー照射によって光学的に検知しうる変化を生じる記録薄膜層を設けた光学的情報記録媒体に係るものであって、記録層が少なくとも2層からなり、記録層にTi、Zr、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくともひとつの金属を含む炭化物と酸化物の混合物により構成された材料で形成されている記録層を設けたものである。
【0011】
この記録層は、波長400nm程度の光照射で、屈折率と消衰係数kが変化して反射率変化が生じるものであり、材料自体は酸化物および炭化物で安定であって、組成は変化しないが、すこしアモルファス化すると推定される。この記録層は、例えば(ZrC80(ZrO20の場合、波長400nm程度で屈折率nが、2.25程度で消衰係数kは約0.5で光があたると、屈折率と消衰係数kが変化して反射率変化が生じる。その組成zの許容範囲は、(ZrC)x(ZrO100−xの場合、60≦x≦90、好ましくは70〜80at%であり、他の材料の場合もほぼ同じである。例えば後程記の実施例で各種の材料が用いられているが、例えば、
Ti−C−Oの場合、(TiC)x(TiO2)100−xの組成で、許容範囲は60≦x≦90、好ましくは70〜80at%で、実際に用いられたものは(TiC80(TiO20の組成のものであり、
Mo−C−Oの場合、(MoC)x(MoO100−xの組成で、許容範囲は60≦x≦90、好ましくは70〜80at%で、実際に用いられたものは(MoC80(MoO20の組成のものであり、
V−C−Oの場合、(VC)x(VO100−xの組成で、許容範囲は60≦x≦90、好ましくは70〜80at%で、実際に用いられたものは(VC80(VO20の組成のものであり、
Cr−C−Oの場合、(CrC)x(CrO100−xの組成で、許容範囲は60≦x≦90、好ましくは70〜80at%で、実際に用いられたものは(CrC80(CrO20の組成のものであり、
Nb−C−Oの場合、(NbC)x(NbO100−xの組成で、許容範囲は60≦x≦90、好ましくは70〜80at%で、実際に用いられたものは(NbC80(NbO20の組成のものであり、
Mn−C−Oの場合、(MnC)x(MnO100−xの組成で、許容範囲は60≦x≦90、好ましくは70〜80at%で、実際に用いられたものは(MnC80(MnO20の組成のものであり、
Si−C−Oの場合、(SiC)x(SiO100−xの組成で、許容範囲は60≦x≦90、好ましくは70〜80at%で、実際に用いられたものは(SiC80(SiO20の組成のものであり、
Ta−C−Oの場合、(TaC)x(TaO100−xの組成で、許容範囲は60≦x≦90、好ましくは70〜80at%で、実際に用いられたものはTaC80(TaO20の組成のものであった。
【0012】
また、第(2)の発明において、構成としては、基板上に基板材と屈折率が異なる誘電体層で記録層を挟んだ構成であり、誘電体層がTi、Zr、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくともひとつの金属を含む炭化物と酸化物の混合物により構成してもよい。
この誘電体層は、例えば(ZrC50(ZrO50程度と酸素量を多くして、波長400nm程度で屈折率nが、2.1程度で消衰係数kはほぼゼロ0のものであり、その組成の許容範囲は、(ZrC)x(ZrO100−xの場合、40≦x≦60at%であり、他の材料の場合もほぼ同じである。例えば後程記載の実施例で各種の材料が用いられているが、例えば、
Ti−C−Oの場合、(TiC)x(TiO100−xの組成で、許容範囲は40≦x≦60at%で、実際に用いられたものは(TiC50(TiO50の組成のものであり、
(ZrC)x(ZrO100−xの場合、40≦x≦60at%であり、他の材料の場合もほぼ同じである。例えば後程記載の実施例で各種の材料が用いられているが、例えば、
Mo−C−Oの場合、(TiC)x(TiO100−xの組成で、許容範囲は40≦x≦60at%で、実際に用いられたものは(MoC50(MoO50の組成のものであり、
V−C−Oの場合、(VC)x(VO100−xの組成で、許容範囲は40≦x≦60at%で、実際に用いられたものは(VC50(VO50の組成のものであり、
Cr−C−Oの場合、(CrC)x(CrO100−xの組成で、許容範囲は40≦x≦60at%で、実際に用いられたものは(CrC50(CrO50の組成のものであり、
Nb−C−Oの場合、(NbC)x(NbO100−xの組成で、許容範囲は40≦x≦60at%で、実際に用いられたものは(NbC50(NbO50の組成のものであり、
Mn−C−Oの場合、(MnC)x(MnO100−xの組成で、許容範囲は40≦x≦60at%で、実際に用いられたものは(MnC50(MnO50の組成のものであり、
Si−C−Oの場合、(SiC)x(SiO100−xの組成で、許容範囲は40≦x≦60at%で、実際に用いられたものは(SiC50(SiO50の組成のものであり、
Ta−C−Oの場合、(TaC)x(TaO100−xの組成で、許容範囲は40≦x≦60at%で、実際に用いられたものは(TaC50(Ta50の組成のものであった。
【0013】
また、第(3)を解決するために、反射層としては、光入射側とは反対側に反射層を設けた構成で、アモルファス化のための急冷却を必要とするので、熱伝導率が高く、青色波長にて透過する材料として、反射層の主成分としては、AgもしくはAlであることが必要である。
ここで、炭化物と酸化物の混合物とせずに、炭化物単体とした場合には第二誘電体層および金属のAgもしくはAl反射層との密着性が悪く、温湿度をかけた保存試験をした場合に多数の膜浮きや界面での膜剥がれが生ずることがあり、一方、酸化物単体では光学定数kは小さく記録感度的に有利(光学定数kが小さくなると、透過率が向上し記録層に届く光量(レーザー強度)が多くなる)なものの、成膜速度が低いので生産性が低下してしまうためである。
【0014】
また、第(4)の発明では、記録層はレーザー照射により屈折率変化し、検知し得うる変化としては、記録層構成として2層構成として入射した光が反射および透過して、記録層2層それぞれの記録したマークの変化が反射率変化により検知でき、記録容量が増加枚数多くなる。この点は、前記特開2002−129260号公報記載のものと決定的に違うところである。即ち、特開2002−129260号公報記載のものは単に反射率をあげる(単に数%アップ)ためにAgに添加物を入れているものであり、薄膜になっても光が当ったところは、光学的になにも変化しない材料である。
【0015】
また、記録層の特性として、記録消去時に記録材料の融点まで温度が上がるので記録層としても融点が550℃以上であることが要求されるため、これを満たすようにするためである。
【0016】
一方、製造方法として、(I)炭化物と酸化物の混合ターゲットを用い、スパッタリング法により炭化物と酸化物の混合物記録層を形成する方法(第()の発明)と、(II)炭化物ターゲットを用い酸素導入した不活性ガス雰囲気のスパッタリング法で炭化物と酸化物の混合物で記録層を形成する方法(()の発明と)を特に良好なものとして挙げたものである。
さらに、第()の発明においては、炭化物ターゲットを用い酸素導入した不活性ガス雰囲気のスパッタリング法で炭化物と酸化物の混合物記録層を形成する場合、炭化物単体は一般には比抵抗が小さく直流放電スパッタリングまたはパルス状の波形を有する直流放電スパッタリングを用いることができるという利点がある。ただし、比抵抗が0.5Ωcm以下であることが条件となる。ターゲットの比抵抗が0.5Ωcmより高い場合は放電が頻発し、正常に膜形成ができないことがあるためである。
【0017】
また、第()の発明に関し、記録層の厚みは3以上20nm以下の範囲であることが望ましい。記録層の厚みが3nm未満の場合は、膜厚も不均一であり、記録膜として有効に機能できない。
さらに、20nmを超えてしまうと、熱容量が大きく記録マークがにじむので高密度記録に不利となる。
【0018】
更に、第()の発明に関して、記録層の酸素量を増やすことで光透過率が向上するが、透過率が30%以上60%以下であることで2層記録が可能となる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、具体的に説明する。
(実施例1)
記録層が(TaC)70(O)30誘電体層(TaC)55(O)45を使用した実施例
基板として、光ディスクの溝情報を形成したNiスタンパを用い成形したポリカーボネートによる厚さが0.6mmのプラスチック基板を用いて、成膜室または成膜用ターゲットを多数持つ多層成膜用のマグネトロンスパッタ装置により、光ディスクの各層を順次成膜した。まず、第1誘電体層として(TaC)55(O)45を形成した。膜厚は約75nmとした。次に第1記録層として(TaC)70(O)30を膜厚10nmで形成した後、第2誘電体層を第1誘電体層と同組成の(TaC)55(O)45で15nmの膜厚で成膜した。次に、第1反射層のAg膜を10nm形成した後、紫外線硬化樹脂によるオーバーコート層を30μm形成した。
上記4層構成が第1記録構成である。2層なのでもう一方の第2記録層構成は第1構成同様にマクネトロンスパッタにて以下のように形成した。
0.6mmプラスチック基板に第2反射Ag膜を120nm、次に第4誘電体層として第1誘電体層、第2誘電体層と同じ組成の(TaC)55(O)45を20nm、第2記録層として(TaC)70(O)30を8nm形成した。また第3の誘電体層として第1誘電体層、第2誘電体層、第4誘電体層と同じ組成の(TaC)55(O)45を80nm形成した。さらに、0.6mm基板同士を紫外線硬化樹脂を用いて貼り合わせを行ない、中間層膜厚として30μmにして1.2mm板厚の光ディスクとして完成させた。
このように作製した光ディスクの特性を初期化処理後に特性評価装置(パルステック工業株式会社製 DDU−1000)により波長405nm、NA=0.65の評価装置にてした。
まず、反射率の評価を行なった。膜厚1400Åとしてガラスに成膜した純Agスパッタ膜を87.7%基準の反射率比較対象として用いた場合の換算値として12%の反射率となっていた。
次に、この光ディスクに記録線速6m/s,1−7変調、クロック周波数を64.5MHz、記録ストラテジーとしては単純ストラテジーで先頭パルス幅0.4T、マルチパルス0.4T、オフパルス幅:0.8T(Tはクロック周波数の逆数)、マルチパルス数はマーク(2Tから8T)をnTとするとn−2の数だけ光らせて記録した。
評価の結果、ジッター特性は初期ジッターが6.7%、モジュレーションは初期が65%である。
また、記録チェック後、この光情報記録媒体を80℃85%RHの高温高湿槽に300時間保管し、再度ジッターを測定したところ、それぞれ1%以下の変化であり問題となるレベルではなかった。また、膜の浮き・膜の剥がれやAg反射層の腐食と思われる黒班点とかは観察されなかった。
【0020】
(実施例2)
炭化物ターゲットから酸化雰囲気で形成
実施例1で炭化物と酸化物のターゲットを用い高周波スパッタリングによる記録層を成膜する代わりに、炭化物単体のターゲットを用いスパッタガスとしてArに加え酸素を導入した酸素雰囲気にて炭化物および酸化物混合のバリア層を形成した。酸素を加える割合はAr量に対し5〜20%とした。スパッタリングの方式は高周波スパッタとした。実施例1と同膜厚構成となるように積層して光ディスクを製作した。
結果は、ジッター特性はジッターが6.1%、モジュレーションは69%である。
また、同様に記録チェック後、この光情報記録媒体を80℃85%RHの高温高湿槽に300時間保管し、再度ジッターを測定したところ、それぞれ1%以下の変化であり問題となるレベルではなかった。また、膜の浮き・膜の剥がれやAg反射層の腐食と思われる黒班点とかは観察されなかった。
【0021】
(実施例3)
炭化物ターゲットから酸化雰囲気の直流スパッタにより記録層を形成
ターゲットの比抵抗を測定が0.003Ωcmの炭化物誘電体を用い、直流スパッタ法により酸化雰囲気で記録層組成として(TiC)70(O)30を形成した他は実施例1と同様にして光ディスクを製作した。評価結果は、ジッター特性はジッターが6.4%、モジュレーションは60%である。
また、同様に記録チェック後、この光情報記録媒体を80℃85%RHの高温高湿槽に300時間保管し、再度ジッターを測定したところ、それぞれ1%以下の変化であり問題となるレベルではなかった。また、膜の浮き・膜の剥がれやAg反射層の腐食と思われる黒班点とかは観察されなかった。
この実施例でパルス状の波形を有する直流放電スパッタリング方法において、カソードに成膜に有効な電圧を与える時間比率を全体の65%にしてテストしたところ、成膜速度が時間比率を少なくした割合に従って成膜速度は小さくなったが、メディア特性上は同様な結果となった。
【0022】
(実施例4)
記録層組成が(NbC)80(O)20での実施例
記録層組成として(NbC)80(O)20を第1記録層として8nm,第2記録層として12nm形成した。そのほかの膜厚構成は実施例1と同じにした。評価結果は、ジッター特性はジッターが6.7%、モジュレーションは62%である。
また、同様に記録チェック後、この光情報記録媒体を80℃85%RHの高温高湿槽に300時間保管し、再度ジッターを測定したところ、それぞれ1%以下の変化であり問題となるレベルではなかった。また、膜の浮き・膜の剥がれやAg反射層の腐食と思われる黒班点とかは観察されなかった。
【0023】
(比較例1)
S元素を含む誘電体層とAg反射膜による劣化の比較例
実施例1で誘電体層にZnSSiOのようにS元素を含む組成とした以外は全て同一の条件・同一材料・同一膜厚で光ディスクを形成した。初期のジッター、モジュレーション、繰り返し記録特性等はほぼ同じ値が得られた。この光ディスクに対して、実施例1と同様に80℃×85%RHの条件で今回は50時間の保存信頼性試験を行なったところ、腐食による多数のピンホールが発生し、その後メディアとして特性をチェックすることもできなかった。
【0024】
(比較例2)
請求項以外の材料の記録層で形成した実施例
Cu,Sb,Teなど相変化材料を記録層に用いた場合は、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)で、環境に問題となる材料で、量的には規制に入らなくても、量産して使用される場合は問題となる。
【0025】
(比較例3)
0.5Ωcm以上の比抵抗のターゲットの場合
ターゲット比抵抗が1.2Ωcmのターゲットを用い、実施例4と同じ条件で記録層を形成しようとしたところ、頻繁に異常放電が生じ成膜動作を継続することができず、光ディスク製作を断念した。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくともひとつの金属を含む炭化物と酸化物の混合物により構成された材料で形成されている記録層を設けることにより、環境によく、高速記録、高密度記録が可能で、保存特性もよい2層情報記録メディアが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関わる光ディスク構成を示した図である。
【符号の説明】
1 基板
2 第1誘電体
3 第1記録層
4 第2誘電体
5 第1反射
6 樹脂中間層
7 第3誘電体
8 第2記録層
9 第4誘電体
10 第2反射

Claims (9)

  1. 透明な基板上に青色波長(390nmから430nm)レーザー照射によって光学的に検知しうる変化を生じる記録薄膜層を設けた光学的情報記録媒体であって、記録層が少なくとも2層からなり、記録層がTi、Zr、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくともひとつの金属を含む炭化物と酸化物の混合物により構成された材料で形成されることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 基板上に基板材と屈折率が異なる誘電体層で記録層を挟んだ構成であり、誘電体層がTi、Zr、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくともひとつの金属を含む炭化物と酸化物の混合物により構成された材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 基板上に基板材と屈折率が異なる誘電体層で記録層を挟み、光入射側とは反対側に反射層を設けた構成で、反射層の主成分がAgであることを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 記録層はレーザー照射により屈折率変化し、検知し得うる変化が主として入射した光の反射、透過による反射率変化によることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光情報記録媒体。
  5. 記録層の厚みが3〜20nmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の光情報記録媒体。
  6. 記録層の透過率が30%以上60%以下であることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の光情報記録媒体。
  7. 炭化物と酸化物の混合ターゲットを用いスパッタリング法により炭化物と酸化物の混合物である記録層を形成することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の光情報記録媒体の製造方法。
  8. 炭化物ターゲットを用い酸素導入した不活性ガス雰囲気のスパッタリング法で炭化物と酸化物の混合物記録層を形成することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の光情報記録媒体の製造方法。
  9. 比抵抗が0.5Ωcm以下である炭化物ターゲットを用い、直流放電スパッタリングまたはパルス状の波形を有する直流放電スパッタリングにより炭化物と酸化物の混合物記録層を形成することを特徴とする請求項8に記載の光情報記録媒体の製造方法。
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