JP3639218B2 - 相変化光記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ビームを照射して情報の記録・再生を行う相変化光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクは大容量性、高速アクセス性、媒体可般性を兼ね備えた記録媒体として、昨今のパーソナルコンピューター、情報ネットワークの隆盛を支えており、今後ともその大容量化が期待されている。光ディスクの中で、相変化光記録媒体は、オーバーライトが容易なこと、繰り返し記録回数が多いこと、光学系の構成が単純で低価格の装置が製造しやすいこと、再生専用型光ディスクとの互換性が取りやすいこと、などの特長から、CD−RW、DVD−RAM、DVD−RWなどとして実用化されている。
【0003】
相変化光記録媒体の記録・再生の原理は以下の通りである。記録時には、初期状態が結晶質の記録層に比較的高出力で単パルスのレーザービームを照射して記録部位を融点以上まで加熱した後、急速に冷却して非晶質記録マークを形成する。再生時には記録情報として記録部位の反射率変化を読み取る。消去時には記録層に記録時よりも低出力・長パルスのレーザービームを照射して、結晶化温度以上・融点未満に保持した後、冷却して結晶化させる。
【0004】
相変化光記録媒体の基本構造は、光が入射される透明基板上に第1透明誘電体層、記録層、第2透明誘電体層および金属反射層を形成したものである。この基本構造の改良の1つとして、記録層の上下に結晶化促進層を形成した構造が知られている。
【0005】
透明誘電体層および金属反射層は、媒体中での光の多重干渉を利用して非晶質状態と結晶状態の光学コントラストを助長する機能、記録層の酸化を防止する機能、およびオーバーライト繰り返しによる記録層の劣化を防止する機能を担う。また、金属反射層は光学的な反射以外にも、相変化光記録媒体の熱伝導調整において重要な役割を持っている。すなわち、記録層で吸収された熱を急速に放熱することにより非晶質マークの形成を助けている。
【0006】
相変化記録媒体の記録密度を向上させる技術としては、ランド・グルーブ(L/G)記録やマーク長記録などが提案され、光源波長の短波長化も有効であると考えられている。
【0007】
また、相変化記録媒体の記録容量をさらに高める技術として、1枚のディスクに2層の記録層を設けてそれぞれの記録層に独立に記録する、いわゆる片面2層媒体が提案されている(例えば、2000年相変化記録研究会シンポジウム講演論文集、pp.90−95、pp.96−101)。上記論文集のpp.90−95に記載されている媒体の構造を説明する。以下においては所望の記録・再生特性を得るために記録層とその上下に設けられる各層を含めて情報層という。
【0008】
この片面2層媒体は、光入射側の基板上に、ZnS−SiO2透明誘電体層/GeN結晶化促進層/GeSbTeSn第1記録層/GeN結晶化促進層/ZnS−SiO2透明誘電体層/Ag合金反射層を含む第1情報層、35μmのUV硬化樹脂層、ZnS−SiO2透明誘電体層/GeN結晶化促進層/GeSbTeSn第2記録層/GeN結晶化促進層/ZnS−SiO2透明誘電体層/Ag合金反射層を含む第2情報層を積層した構造を有する。
【0009】
上記の片面2層媒体では、UV樹脂の膜厚が厚く、光ピックアップの焦点深度を越えているため、第1記録層および第2記録層に独立にフォーカシングすることができる。したがって、それぞれの記録層に独立に記録・再生が可能である。このため、片面に1層の記録層のみを持つ媒体(片面1層媒体)に比べ、約2倍の記録密度を実現でき、今後の高密度記録方式として期待されている。
【0010】
こうした片面2層媒体では、第2情報層に焦点を結ぶ光は第1情報層を通過するため、第1情報層は第2情報層への記録に必要とされるエネルギーを有する光を透過する必要があり、第1情報層の透過率は50%以上に設定される。このため、第1情報層には、上述した一般的な片面1層媒体に用いられている厚さ数十nm以上の金属反射層を設けることができない。この結果、金属反射層による放熱作用も得られなくなり、クロスイレースが起こりやすくなるため、トラックピッチを詰められないという問題が生じる。
【0011】
ここで、クロスイレースについてより詳細に説明する。クロスイレースとは、トラックピッチをレーザースポットの全半値幅(FWHM)付近まで狭くした場合に、あるトラックに記録して記録マークを形成した後に隣接トラックに記録することによって、先に記録したトラックの記録マークの一部が消去される現象である。クロスイレースの主な原因の1つは、隣接トラックへの記録の際に過大なパワーが与えられ、先に記録されたトラックにレーザービームの端部が重なり、直接的に加熱されることにある。
【0012】
次に、クロスイレースを低減するために必要な条件について説明する。図13は記録時の記録層の溶融・再結晶化の様子を模式的に示す平面図である。この図において、Wmはマーク幅、Wcは溶融幅である。
【0013】
上述したように記録時には記録層を融点以上に昇温して溶融し、室温まで急冷して、結晶構造がランダムな非晶質マークを形成する。一方、消去時(結晶化時)には、記録層を融点未満・結晶化温度以上に昇温した後、徐冷して、非晶質マークを秩序のある結晶質状態に戻す。このことからわかるように、記録過程においても記録層は冷却時に結晶化可能な温度域を通過するため、溶融再結晶化が起こり得る。溶融再結晶化は、記録層が融点直下付近の温度を通過する際に、結晶部(マーク周縁部)から溶融部(マーク中心部)へ向けて起こる結晶成長である。ここで、良好なCNR値を得るためには、ある程度の大きさのマーク幅が必要である。これはレーザースポッとのFWHM程度の大きさである。融点直下での結晶成長は、どのような記録層材料を用いても完全に除去することはできないので、適切な大きさのマーク幅を得るためにはマーク幅よりも広い領域を溶融させなければならない。したがって、クロスイレースの低減には、図13のWmとWcとの差をできるだけ狭めること、すなわち再結晶領域を狭め、良好なCNRを得るために必要な溶融領域を広げないことが重要である。
【0014】
再び情報層の基本構造に着目すると、記録層を挟んで透明誘電体層を設けることは、光学的に再生信号をエンハンスするためのきわめて有効な手段であるため、実用的な相変化光記録媒体では事実上必須の要件である。透明誘電体層としては、繰り返し記録・消去に対する適性から、ZnS−SiO2混合膜が好ましいが、ある程度以上の膜厚に設定しないと、良好な光学コントラストが得られない。
【0015】
このように記録層の上下が低熱伝導率の厚い透明誘電体層で挟まれ、しかも厚い金属反射膜を設けることができずに、記録層が断熱的な条件にある場合、記録層の冷却速度が小さくなる。このため、図13に示した溶融部分Wmのうち再結晶化する部分の占める割合が特に大きくなる。したがって、クロスイレースが著しくなり、トラックピッチを詰められなくなる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、相変化光記録層を含む情報層を2層以上有する相変化光記録媒体において、光入射側の情報層に含まれる記録層でのクロスイレースを低減し、トラックピッチを詰めて高密度記録を可能にすることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に係る相変化光記録媒体は、光照射により結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化を起こす記録層を含む情報層が2層以上積層され、光入射側に配置されている情報層が、透明誘電体層、記録層、透明誘電体層、透過型反射層、および透明放熱層の順で積層されたことを特徴とする。
【0018】
本発明の第2の態様に係る相変化光記録媒体は、光照射により結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化を起こす記録層を含む情報層が2層以上積層され、光入射側に配置されている情報層が、透明誘電体層、記録層、透明誘電体層、透明放熱層および透過型反射層の順で積層されたことを特徴とする。
【0019】
本発明の第3の態様に係る相変化光記録媒体は、光照射により結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化を起こす記録層を含む情報層が2層以上積層され、光入射側に近い情報層が、熱伝導率が1.0W/mK以上、消衰係数が0.5以下である透明放熱層を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の第4の態様に係る相変化光記録媒体は、光照射により結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化を起こす記録層を含む情報層が2層以上積層され、光入射側に配置されている情報層が、光吸収性層、透明誘電体層、記録層、透明誘電体層および高熱伝導率層の順で積層されたことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る相変化光記録媒体は、光照射により結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化を起こす記録層を含む情報層が2層以上(n層、n≧2)積層されている。典型的には、いわゆる片面2層媒体を含む。本明細書において、情報層とは、所望の記録・再生特性を得るために1つの記録層とその上下に設けられる各層を含めて積層体のことをいう。各情報層は光ビームの焦点深度以上の間隔を隔てて積層されており、隣り合う情報層間には厚さ約10μm以上の分離層が設けられる。
【0022】
記録層の材料としては、光照射により結晶状態と非結晶状態との間を可逆的に遷移し、両状態間で光学特性が異なる材料が用いられる。相変化記録材料としては、例えばGe−Sb−Te系材料、In−Sb−Te系材料などが挙げられる。また、これらの材料に、Co、Pt、Pd、Au、Ag、Ir、Nb、Ta、V、W、Ti、Cr、Zr、Bi、Snなどから選択される少なくとも1種の元素を微量に添加してもよい。
【0023】
本発明に係る相変化光記録媒体では、光入射側に配置されている第1情報層全体の透過率が50%以上と高いことが好ましい。このため、第1情報層に含まれる記録層の膜厚は約5〜10nmとすることが好ましく、約5〜7nmとすることがより好ましい。また、光入射側から見て、第1情報層から第n情報層までの各情報層に含まれる記録層の膜厚をt1、…、tnとすると、tn≧tn-1≧…t2≧t1の関係を満たすことが好ましい。
【0024】
記録層の上下には透明誘電体層が設けられる。透明誘電体層は相変化光記録層を機械的、化学的に保護するとともに、情報層の光学特性を調整する干渉膜として機能する。透明誘電体層の材料としては、典型的にはZnS−SiO2混合膜が用いられるが、特に限定されない。
【0025】
なお、記録層の上下にそれぞれ結晶化促進層を挟んで透明誘電体層を設けてもよい。結晶化促進層は、結晶核発生を促進させて、オーバーライト消去特性を向上させる作用を有する。結晶化促進層の材料としては、典型的にはGeNなどが用いられるが、特に限定されない。
【0026】
図1を参照して、第1の態様に係る相変化光記録媒体の一例を説明する。図1の相変化光記録媒体は、第1の基板1、第1の情報層2、分離層3、第2の情報層、4および第2の基板5が積層された構造を有する。光は第1の基板1側から入射される。第1の情報層2は、光入射側から透明誘電体層21、第1記録層22、透明誘電体層23、透過型反射層24、および透明放熱層25が積層されたものである。第2の情報層4は、光入射側から透明誘電体層41、第2記録層42、透明誘電体層43、および反射層44が積層されたものである。
【0027】
図2を参照して、第2の態様に係る相変化光記録媒体の一例を説明する。図2の相変化光記録媒体では、第1の情報層2は光入射側から透明誘電体層21、第1記録層22、透明誘電体層23、透明放熱層25および透過型反射層24が積層されたものである。すなわち、透明放熱層25と透過型反射層24との積層順序が図1と逆になっている以外は、図1と同様な構造を有する。
【0028】
透明放熱層25は第1記録層2に吸収された熱を効率的に放熱して記録マーク形成を容易にする機能を有する。上記の機能を発揮するために、透明放熱層25の熱伝導率は1.0W/mK以上であることが好ましく、10W/mK以上であることがより好ましく、20W/mK以上であることがさらに好ましい。
【0029】
透明放熱層25は2層目以降の情報層への透過光量を確保するために、その消衰係数が0.5以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。なお、薄膜の消衰係数は成膜法および成膜条件により著しく異なるため、上記の消衰係数の値はエリプソメーターなどによって測定される実測値である。
【0030】
透明放熱層25の材料は、AlN、Al2O3、Si3N4、SiO2、Ta2O5、TaO、ZrO2、ZnO、TiO2、SiC、およびこれらの複合材料からなる群より選択される。透明放熱層25の膜厚は情報層を形成する各層の光学設計に依存するが、透過率を考慮すれば膜厚は50nm以下であることが好ましい。
【0031】
透過型反射層24は照射された光ビームを反射して光エネルギーを効率よく利用するために設けられる。透過型反射層24の材料としてはAg、Agを主成分とする合金が好ましく、このほかにもAl、Alを主成分とする合金、Au、Auを主成分とする合金を用いることができる。これらの材料からなる透過型反射層24の熱伝導率は、通常、透明放熱層25の熱伝導率よりも高い。
【0032】
分離層3は2層以上の記録層に独立して記録・消去・再生を行う際、各記録層に光ビームの焦点を合わせるために必要であり、上述したように厚さは約10μm以上に設定される。分離層の材料としては、消衰係数kが0.1以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下の透明材料が用いられる。たとえば、紫外線硬化樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などの樹脂材料、またはSiO2、Al2O3、TaO、TiO2、V2O5、CaO、ZrO2、Pb2O3、SnO2、CoO、CuO、Cu2O、AgO、ZnO、Fe2O3などの酸化物、Si3N4、SiON、SiAlONなどの窒化物、MgF2、CaF2などの弗化物が適している。ただし、膜厚10μm以上の分離相を形成するためには、塗布により成膜できる樹脂材料がより好ましい。また、必要に応じて、これらの材料を混合するか、積層して用いてもよい。
【0033】
本発明の実施形態に係る相変化光記録媒体では透過型反射層24と透明放熱層25の配置は図1および図2のいずれでもよいが、第1記録層22における記録部(非晶質部)と未記録部(結晶質部)との振幅(反射率差)を最大にするためには、以下のような基準で積層構造を決定すればよい。すなわち、透明放熱層25の屈折率が2.0以下の場合、図1に示すように透明放熱層25を透過型反射層24に対して光入射側と反対側に配置することが好ましい。逆に、透明放熱層25の屈折率が2.0以上の場合、図2に示すように透明放熱層25を透過型反射層24に対して光入射側に配置することが好ましい。
【0034】
次に、図3を参照して、第4の態様に係る相変化光記録媒体の一例を説明する。図3の相変化光記録媒体は、第1の基板1、第1の情報層2、分離層3、第2の情報層、4および第2の基板5が積層された構造を有する。第1の情報層2は、光入射側から光吸収性層26、透明誘電体層21、第1記録層22、透明誘電体層23、および高熱伝導率層27が積層されたものである。第2の情報層4は、光入射側から透明誘電体層41、第2記録層42、透明誘電体層43、および反射層44が積層されたものである。
【0035】
高熱伝導率層27は第1記録層22からの熱流を促進して急冷を実現する作用を有する。高熱伝導率層27は熱伝導率が10W/mK以上であることが好ましく、50W/mK以上であることがより好ましい。高熱伝導率層27の膜厚は光吸収率が高くなりすぎないように設定される。高熱伝導率層27の材料としては、Agを主成分とする合金たとえばAgCu、AgPd、AgPdCu、AgTi、Alを主成分とする合金たとえばAlTi、AlMo、AlCr、およびAu、Cu、AgAu、AuCuなど上述した透過型反射層に相当する材料を用いることができる。また、高熱伝導率層の材料として、上述した透明放熱層に相当する熱伝導率の高い誘電体層たとえばAlN、C、ZnOなどを用いることもできる。特に、高熱伝導率の透明誘電体層を用いることは、第1の情報層2全体の透過率と冷却能を高める上で好ましい。
【0036】
上述したように第2情報層は、第1情報層を介して記録・読み出しを行うため、第2記録層が受ける光は必ず第1情報層による減衰を受ける。このため、第2記録層に記録するための熱源としてのパワーが低下する。また、たとえば第1情報層の透過率が50%である場合、第2記録層の反射光強度は元の光強度に対して約50%×50%=25%となり、直接的に記録・読み出しが可能な場合に比べて、信号強度の点でも不利になる。このため、第1記録層および第2記録層の両方における記録および読み出し光強度の有効利用の観点から、第1情報層による減衰を可能な限り減らすことが重要である。したがって、第1情報層による減衰を抑制する観点から、第1記録層の膜厚をできるだけ薄くするとともに、他の光吸収性層も用いないことが有利であると予想されていた。
【0037】
しかし、本発明者らが光学シミュレーションにより詳細に検討した結果、特定の条件を満たす光吸収性層を設けた場合でも、透過光の減衰にほとんど影響がないだけでなく、記録時の急冷を助けて記録密度に有利な影響を与えることを見出した。
【0038】
以下、光吸収性層26の作用について説明する。記録層の上下に設けられる透明誘電体層の膜厚は、入射光の位相を調整して、記録層が非晶質状態であるときの反射率と記録層が結晶状態であるときの反射率との差(反射率差)が最大になるように最適化される。本発明者らは、光吸収性層を設けた場合、光入射側から遠い第1記録層と高熱伝導率層との間の透明誘電体層(もし形成されている場合には結晶化促進層も含む)の膜厚を薄くでき、加熱された第1記録層の急冷に有利になることを見出した。ここで重要なのは、結晶化促進層の有無および材料に拘わらず、第1記録層から高熱伝導率層までの距離である。
【0039】
すなわち、記録レベルのレーザービームが照射されたとき、記録層ではビーム中心からビームの半値幅程度の範囲が溶融し、引き続き冷却される。このとき、第1記録層から高熱伝導率層への熱流が生じ、高熱伝導率層内で横方向の熱流が生じて冷却能を発揮する。ところが、低熱伝導率の透明誘電体層の膜厚が厚い場合には、透明誘電体層が蓄熱効果を持つため、高熱伝導率層が存在しても溶融後の第1記録層を効率的に冷却することができない。このため、溶融後の第1記録層の急冷が不十分になって再結晶化が著しくなる。この結果、適正なCNRが得られる記録パワーが過大になり、クロスイレースの原因となる。
【0040】
これに対して、光吸収性層を設けた場合には、第1記録層から高熱伝導率層までの距離を短くできるとともに、第1記録層から光吸収性層への熱流も生じさせることができる。
【0041】
実験結果から、光源波長が405nm、対物レンズNAが0.65の条件では、第1記録層から高熱伝導率層までの距離が約10〜20nmの場合に、第1記録層を効果的に冷却できることがわかっている。第1記録層から高熱伝導率層までの距離をできるだけ短くするためには、光入射側に光吸収性層を設けることが好ましい。光吸収性膜の光学定数として複素屈折率をn−ik(iは虚数単位、kは消衰係数)で表したとき、nが小さいほど好ましく、n≦0.5を満たすことが好ましい。また、k≧1.0を満たすことが好ましい。このような条件を満たす光吸収性層26の材料としては、Ag、Agを主成分とする合金が好ましいが、Al、Alを主成分とする合金などを用いることもできる。
【0042】
さらに、光吸収性層と、透過型反射層および透明放熱層とを併用した態様も好ましい。たとえば図4に示す相変化光記録媒体では、第1の情報層2が光入射側から光吸収性層26、透明誘電体層21、第1記録層22、透明誘電体層23、透過型反射層24および透明放熱層25を積層した構造を有する。また、図5に示す相変化光記録媒体では、第1の情報層2が光入射側から光吸収性層26、透明誘電体層21、第1記録層22、透明誘電体層23、透明放熱層25および透過型反射層24を積層した構造を有する。
【0043】
なお、特開平10−188346号には、トラッキング・フォーカシングの安定性を高めるために、光入射側の基板と透明誘電体層との間に高屈折率または高消衰係数の層を設けることが開示されている。しかし、この公知例は、片面1層媒体に関するものであり、光透過性のない厚い反射層を形成することを前提としている。このため、片面2層型の記録媒体に必要な特性などを考慮した検討がなされていない。
【0044】
本発明の実施形態に係る相変化光記録媒体に用いられる各層は、一般的に物理蒸着法により形成することができる。具体的には、RFスパッタリング、DCスパッタリング、電子ビーム蒸着、抵抗加熱蒸着、分子線エピタキシー(MBE)などの成膜法を用いることができる。特に、透明放熱層の熱伝導率と光学定数は、成膜プロセスによってもある程度制御することができる。例えば、窒化物からなる透明放熱層をRFスパッタにより成膜する場合、RF出力、スパッタガス圧、窒素添加量などを適宜変えることにより、熱伝導率および光学特性が異なる膜を得ることができる。また、成膜後に、各層の表面をバイアススパッタして改質すると、ある程度熱伝導率を変化させることができる。
【0045】
本発明の実施形態に係る2層以上の情報層を有する相変化光記録媒体は例えば以下のような方法により製造することができる。ランド・グルーブ形状を有する第1の樹脂基板上に上述した成膜法のいずれかを用い、透明誘電体層、第1記録層、透明誘電体層、透明放熱層および透過型反射層を成膜する。一方、ランド・グルーブ形状を有する第2の樹脂基板上に上述した成膜法のいずれかを用い、反射層、透明誘電体層、第2記録層および透明誘電体層を成膜する。第1の樹脂基板に形成された透過型反射層上にUV硬化樹脂をスピナーで塗布し、第2の樹脂基板に形成された透明誘電体層と接着する。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1
以下のようにして、図2に示した構造を有する相変化光ディスクを製造した。
【0047】
成膜装置内に厚さ0.59mmのポリカーボネート(PC)からなる第1の基板1を入れ、5×10-4(Pa)まで排気した。ZnS(80)−SiO2(20)ターゲットに1kWのRF電力を印加して厚さ約30nmの透明誘電体層21を成膜した。Ge2Sb2Te5ターゲットに200WのRF電力を印加して厚さ約7nmの第1記録層22を成膜した。ZnS(80)−SiO2(20)ターゲットに1kWのRF電力を印加して厚さ約25nmの透明誘電体層23を成膜した。(Ar+10%N2)ガス雰囲気でAlNターゲットに1kWのRF電力を印加して厚さ約10nmの透明放熱層25を成膜した。Ag98Pd1Cu1ターゲットに1kWのDC電力を印加して厚さ約10nmの透過型反射層24を成膜した。以上のようにして第1の基板1上に第1情報層2を形成した。
【0048】
成膜装置内に厚さ0.6mmのポリカーボネート(PC)からなる第2の基板5を入れ、5×10-4(Pa)まで排気した。AlMoターゲットに1kWのDC電力を印加して厚さ約100nmの反射層44を成膜した。ZnS(80)−SiO2(20)ターゲットに500WのRF電力を印加して厚さ約30nmの透明誘電体層43を成膜した。Ge2Sb2Te5ターゲットに200WのRF電力を印加して厚さ約15nmの第2記録層42を成膜した。ZnS(80)−SiO2(20)ターゲットに1kWのRF電力を印加して厚さ約90nmの透明誘電体層41を成膜した。以上のようにして第2の基板5上に第2情報層4を形成した。
【0049】
第1情報層2の透過型反射層24上にUV硬化樹脂を約20μmの厚さになるように調整してスピナーで塗布した後、第2情報層4の透明誘電体層41と接着した。このUV硬化樹脂が分離層3となる。得られた光ディスクをディスクAと呼ぶ。
【0050】
比較例1として、図6に示すように透明放熱層25を設けていない以外は図2と同様な構造を有する光ディスクを製造した。具体的な層構成は、光が入射する第1の基板1側から、ZnS−SiO2(30nm)/Ge2Sb2Te5(7nm)/ZnS−SiO2(25nm)/Ag98Pd1Cu1(10nm)/UV硬化樹脂(20μm)/ZnS−SiO2(90nm)/Ge2Sb2Te5(15nm)/ZnS−SiO2(30nm)/AlMo(100nm)とした。得られた光ディスクをディスクBと呼ぶ。
【0051】
これらのディスクAおよびBに対して下記表1に示す評価条件でディスク特性を調べた。
【0052】
【表1】
【0053】
これらのディスクに対して連続した5トラックにランダムパターンをオーバーライトしたときのジッター特性を調べた。
【0054】
図7にディスクAおよびBの第1記録層のランドまたはグルーブにおけるランダムジッターの消去パワー(Pe)依存性を示す。実施例1のディスクAは、2.0mWから3.5mWの範囲で9%以下の良好なジッター特性を示している。これに対して、比較例1のディスクBは15%以上のジッターを示している。ディスクBの第1情報層では、第1記録層からの放熱が不十分であるため、記録マークがうまく形成されなかったと考えられる。
【0055】
図8にディスクAおよびBのオーバーライト特性を示す。ディスクAでは、第1記録層および第2記録層ともに、105回までジッターがほとんど変化しなかった。これに対して、ディスクBでは、105回以上で第1記録層のジッター増加が観測された。
【0056】
このように実施例1の相変化光ディスクは、クロスイレースが少なく、良好なオーバーライトジッター特性を示すことが明らかになった。
【0057】
実施例2
透明放熱層として種々の膜厚を有するAl2O3を用い、実施例1とほぼ同様な方法で図1と類似の構造を有する相変化光ディスクを製造した。厚さ0.58mmの第1のPC基板上に、第1情報層としてZnS−SiO2(30nm)/GeN結晶化促進層(5nm)/Ge2Sb2Te5(8nm)/GeN結晶化促進層(5nm)/ZnS−SiO2(20nm)/Ag99Pd1(12nm)/Al2O3を成膜した。厚さ0.6mmの第2のPC基板上に、第2情報層としてAu(30nm)/GeN結晶化促進層(40nm)/Ge40Sb10Te50(25nm)/TiO2(60nm)/SiO2(100nm)/ZnS−SiO2(70nm)を成膜した。これらの基板どうしを厚さ約40μmのUV硬化樹脂を介して膜面で貼り合わせ、光ディスクを製造した。
【0058】
実施例1と同じ条件で、ジッター特性を調べた。図9に、第1情報層のAl2O3透明放熱層の膜厚に対する5トラックランダムジッターの変化を示す。Al2O3膜厚が5〜15nmの範囲では約8%のジッターが得られている。Al2O3膜厚が5nm未満では適切な放熱が行われず、マーク形成が不完全なため、ジッターが増加したと考えられる。Al2O3膜厚が15nmを超えると光学的なコントラストが不十分なため、ジッターが増加したと考えられる。
【0059】
このように本実施例の相変化光ディスクは、良好なジッター特性を示し、設計マージンが広いことも明らかになった。
【0060】
実施例3
透明放熱層としてSiCを用い、実施例1とほぼ同様な方法で図1と類似の構造を有する相変化光ディスクを製造した。厚さ0.1mmの第1のPC基板上に、第1情報層としてZnS−SiO2(30nm)/GeN(5nm)/Ge5Sb76Te19(6nm)/GeN(5nm)/ZnS−SiO2(35nm)/Au(8nm)/SiC(10nm)を成膜した。厚さ1.1mmの第2のPC基板上に、第2情報層としてAg98Pd1Cu1(100nm)/ZnS−SiO2(70nm)/GeSiN(5nm)/Ge2Sb2Te5(18nm)/GeSiN(5nm)/ZnS−SiO2(70nm)を成膜した。これらの基板どうしを厚さ約20μmのUV硬化樹脂を介して膜面で貼り合わせ、光ディスクを製造した。
【0061】
下記表2に示すように、対物レンズNAを0.85とした評価条件で、さらに高密度の記録を試みた。
【0062】
【表2】
【0063】
図10にランダムジッターのビット長依存性を示す。ビット長0.11μm以上で10%以下のジッターが得られており、高い線記録密度を示した。
【0064】
このように本実施例の相変化光ディスクは、高い線密度でも良好なジッター特性を示すことが明らかになった。
【0065】
実施例4
光吸収性層として厚さ8nmのAg膜を設けた場合と設けない場合とで光学計算を行った結果を説明する。
【0066】
PC基板上に、Ag(8nm)/ZnS−SiO2/GeN(5nm)/GeSbTe(6nm)/GeN(6nm)/ZnS−SiO2/AgPdCu(8nm)を成膜した。
【0067】
比較例2として、PC基板上に、Ag光吸収性層を除いて、上記と同じ層を成膜した。
【0068】
これらの光ディスクについて、記録層の上下に設けたZnS−SiO2の膜厚をパラメータとして結晶質部と非晶質部との反射率差を求めた。ここで、記録層について結晶質部の反射率をRc、非晶質部の反射率をRaとする。このとき、現実に観測される相変化光記録媒体としての反射率は、記録層の上下に設けられる透明誘電体層の膜厚調整により、Rc>Raとすることもできるし、Ra>Rcとすることもできる。ただし、Ra>Rcになるようにすれば、結晶質部の光吸収率(Ac)が非晶質部の光吸収率(Aa)を上回る(Ac/Aa>1)ようにすることが容易になり、非晶質部と結晶質部との溶融潜熱の差を補って均一な温度分布を実現できるため好ましい。
【0069】
記録層の上および下に設けたZnS−SiO2の膜厚をそれぞれ縦軸および横軸として、結晶質部と非晶質部との反射率差を求めて等高線を作成した。図11は実施例4の結果、図12は比較例2の結果である。
【0070】
上述したRa>Rcとなる好ましい条件での結果は以下の通りである。実施例4の光ディスク(図11)では、6%以上の反射率差(Ra−Rc)が得られる記録層上のZnS−SiO2の膜厚範囲(図中矢印で表示)は6〜45nmであった。一方、比較例2の光ディスク(図12)では、対応する膜厚範囲は25〜35nmであった。このように、実施例4の光ディスクでは第1記録層から高熱伝導率層までの距離が短い急冷構成をとり得ることが明らかとなった。
【0071】
なお、Rc>Raとなる条件では、それぞれの図中の二重矢印で示すように、比較例2のように光吸収性層がない場合(図12)でも第1記録層から高熱伝導率層までの距離が短い急冷構成をとり得る。ただし、実施例4のように光吸収性層を設けた場合(図11)の方が、反射率差のマージンが広いことは明らかである。このことから、Rc>Raの場合でも、透明誘電体層の膜厚の微調整により感度の調整が可能になるという効果が得られることがわかる。
【0072】
実施例5
表3に示す積層構成を有する相変化光ディスクを以下のようにして作製した。0.35μmピッチのランド・グルーブ(幅1:1)形状を有する厚さ0.6mmのPC基板上に、スパッタリングにより、Ag(8nm)光吸収性層/ZnS−SiO2透明誘電体層/GeN(5nm)結晶化促進層/GeSbTe(5nm)記録層/GeN(5nm)結晶化促進層/ZnS−SiO2透明誘電体層/AgPd(6nm)高熱伝導率層を成膜した。この積層構成は図3の第1情報層に相当する。本実施例では片面2層媒体の第1情報層のみ評価するために、第2情報層は形成せずに、薄いAl層を成膜して基板単独の反射率をミラー面で20%とした第2のPC基板を貼り合わせた。
【0073】
AgPdの熱伝導率を真空理工(株)製PIT−1により光交流法で測定したところ、240W/mKであった。
【0074】
作製した光ディスクのミラー面の反射率を、初期化前後で測定し、反射率差を調べた。媒体設計にあたり、反射率差に基づいて記録層を上下から挟む2つのZnS−SiO2の膜厚を最適化した。その結果、記録層上のZnS−SiO2の膜厚を15nmと薄くすることができ、第1記録層から高熱伝導率層までの距離(GeN結晶化促進層とZnS−SiO2層との合計)を20μmと短くすることができた。また、非晶質部と結晶質部との反射率差を9.3%と高くすることができた。設計上のAc/Aaの値も1.4と十分高くすることができた。
【0075】
上記の光ディスクについて、波長405nmのレーザーダイオード、NA=0.65の対物レンズを備えたディスク評価装置を用い、線速7.4m/s、1T相当のクロック周波数を704MHzとして、記録消去特性を調べた。まず、消去パワーを2.5mW一定とし、3Tマーク列を形成した後、14Tマーク列をオーバーライトし、両者のCNRと3T信号の消去率を測定した。
【0076】
14TCNRが飽和レベルに達していることと、3T信号の消去率が極大に近いことを条件として最適記録パワーを求めた。次に、上記と別のトラックに3T信号を書き込んだ後、両側の隣接トラックに最疎パターンを10回オーバーライトした。このときのキャリアレベルの低下量をクロスイレースとして測定した。
【0077】
記録消去特性評価の結果、最適記録パワーは6mWであった。また、高い反射率差を反映してCNRは53.9dBと高かった。クロスイレースが低いのは、最適記録パワーが低いことを反映して溶融部が狭いことによると考えられる。透過電子顕微鏡によるマーク観察では、溶融部のほとんどが非晶質マークになっていることが確認された。このことから、上記のように低いパワーにおいても高いCNRが得られたのは、溶融再結晶化部の占める割合が小さいためであると考えられる。
【0078】
なお、本実施例においてはGeN結晶化促進層を設けているが、この層は5nmと薄く、かつ誘電体であるので全体の反射率にはほとんど寄与しない。したがって、結晶化促進層の有無は本発明の効果にとって本質的な影響をもたない。
【0079】
実施例6
表3に示すように、光吸収性層をAgTi(8nm)、高熱伝導率層をAlTi(6nm)とした以外は実施例5と同様にして相変化光ディスクを製造した。AlTiの熱伝導率は95W/mKであった。この場合、記録層上のZnS−SiO2の膜厚を10nmと薄くすることができた。
【0080】
実施例5と同様に評価を行った。最適記録パワーは6.5mWであった。このパワーでCNR、クロスイレースを評価したところ、CNRが52.5、クロスイレースが−0.6dBであった。
【0081】
実施例7
表3に示すように、高熱伝導率層をAlN(100nm)とした以外は実施例5と同様にして相変化光ディスクを製造した。光吸収性層はAr+N2混合ガス中でAlNターゲットをスパッタリングすることにより成膜した。AlNの熱伝導率は25W/mKであった。この場合、記録層上のZnS−SiO2の膜厚を10nmと薄くすることができた。
【0082】
実施例5と同様に評価を行った。最適記録パワーは5.5mWであった。このパワーでクロスイレースを評価したところ、−0.1dBと特に低く優れた値を示した。
【0083】
【表3】
【0084】
実施例8
表4に示すように、高熱伝導率層としてAgPd透過型反射層(6nm)およびAlN透明放熱層(100nm)を用いた以外は実施例5と同様にして図4に示す構造を有する相変化光ディスクを製造した。この場合、記録層上のZnS−SiO2の膜厚を15nmと薄くすることができた。また、非晶質部と結晶質部との反射率差を9.2%と高くすることができた。
【0085】
実施例5と同様に評価を行った。最適記録パワーは5.8mWであった。このパワーでCNR、クロスイレースを評価したところ、CNRが54.4と高く、クロスイレースが0dBと非常に優れた値を示した。
【0086】
実施例9
表4に示すように、高熱伝導率層としてAlN透明放熱層(100nm)およびAgPd透過型反射層(6nm)を用いた以外は実施例5と同様にして図5に示す構造を有する相変化光ディスクを製造した。この場合、記録層上のZnS−SiO2の膜厚を10nmと薄くすることができた。
【0087】
実施例5と同様に評価を行った。最適記録パワーは5.3mWであった。このパワーでクロスイレースを評価したところ、クロスイレースが0dBと非常に優れた値を示した。
【0088】
比較例3
表4に示すように、光吸収性層を設けず、高熱伝導率層(透過型反射層)としてAgPdCu(10nm)を用いた以外は実施例5と同様にして相変化光ディスクを製造した。この場合、記録層上のZnS−SiO2の膜厚を30nmにしなければならず薄くすることができなかった。
【0089】
実施例5と同様に評価を行った。最適記録パワーは8.5mWであった。透過電子顕微鏡観察から、冷却時に溶融部の外延部から再結晶化が発生し、最終的に残る非晶質部の面積の割合が小さくなっており、これが最適記録パワーを高くしている理由である。このパワーでクロスイレースを評価したところ、−2.4dBと悪い結果を示した。これは上記の記録パワーでは溶融部が隣接トラックにかかるためであると思われる。8.5mWより低い記録パワーを用いた場合、CNRが低く、データを記録したときのエラーレートが大幅に増大するため、実用することができない。なお、高熱伝導率層の膜厚を10nmより薄くしても反射率差を高めることはできなかった。
【0090】
【表4】
【0091】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、相変化光記録層を含む情報層を2層以上有する相変化光記録媒体において、光入射側の情報層に含まれる記録層でのクロスイレースを低減し、トラックピッチを詰めて高密度記録を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の態様に係る相変化光記録媒体の断面図。
【図2】本発明の第2の態様に係る相変化光記録媒体の断面図。
【図3】本発明の第4の態様に係る相変化光記録媒体の断面図。
【図4】本発明の他の態様に係る相変化光記録媒体の断面図。
【図5】本発明のさらに他の態様に係る相変化光記録媒体の断面図。
【図6】比較例の相変化光記録媒体の断面図。
【図7】実施例1および比較例1の相変化光ディスクについて、第1記録層のランダムジッターの消去パワー依存性を示す図。
【図8】実施例1および比較例1の相変化光ディスクについて、オーバーライト特性を示す図。
【図9】実施例2の相変化光ディスクについて、第1情報層の透明放熱層膜厚に対するランダムジッターの変化を示す図。
【図10】実施例3の相変化光ディスクについて、ランダムジッターのビット長依存性を示す図。
【図11】実施例4の相変化光ディスクについて、記録層の上および下に設けたZnS−SiO2の膜厚をそれぞれ縦軸および横軸とする、結晶質部と非晶質部との反射率差の等高線を示す図。
【図12】比較例2の相変化光ディスクについて、記録層の上および下に設けたZnS−SiO2の膜厚をそれぞれ縦軸および横軸とする、結晶質部と非晶質部との反射率差の等高線を示す図。
【図13】記録時の記録層の溶融・再結晶化の様子を模式的に示す平面図。
【符号の説明】
1…第1の基板
2…第1の情報層
21…透明誘電体層
22…第1記録層
23…透明誘電体層
24…透過型反射層
25…透明放熱層
26…光反射性層
27…高熱伝導率層
3…分離層
4…第2の情報層
41…透明誘電体層
42…第2記録層
43…透明誘電体層
44…反射層
5…第2の基板
Claims (4)
- 光照射により結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化を起こす記録層を含む情報層が2層以上積層され、光入射側に配置されている情報層が、透明誘電体層、記録層、透明誘電体層、透過型反射層、および透明放熱層の順で積層されたことを特徴とする相変化光記録媒体。
- 光照射により結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化を起こす記録層を含む情報層が2層以上積層され、光入射側に配置されている情報層が、透明誘電体層、記録層、透明誘電体層、透明放熱層および透過型反射層の順で積層されたことを特徴とする相変化光記録媒体。
- 光照射により結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化を起こす記録層を含む情報層が2層以上積層され、光入射側に近い情報層が、熱伝導率が1.0W/mK以上、消衰係数が0.5以下である透明放熱層を含むことを特徴とする相変化光記録媒体。
- 光照射により結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化を起こす記録層を含む情報層が2層以上積層され、光入射側に配置されている情報層が、光吸収性層、透明誘電体層、記録層、透明誘電体層および高熱伝導率層の順で積層されたことを特徴とする相変化光記録媒体。
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