JP4113163B2 - 追記型光記録媒体および多層追記型光記録媒体 - Google Patents

追記型光記録媒体および多層追記型光記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、青紫色レーザーを用いて記録を行う追記型光記録媒体および多層追記型光記録媒体に関する。
光を使って情報を高密度に記録できる光記録媒体は、何度でも書き換え可能な相変化光記録媒体や、一度だけ記録可能な追記型光記録媒体が主流となっている。追記型の光記録媒体としては、Te化合物をはじめとしてカルコゲナイト元素などの無機系材料を記録層としたものや、シアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、金属ポルフィリン誘導体などの色素を有機材料中に分散させて記録層としたものが知られている。前者の無機系記録層は真空蒸着法、スパッタ法などのドライプロセスで代表される成膜法で形成され、後者の有機系記録層はスピンコーティング法、電解法などのウェットプロセスで作製される。このうち、スピンコーティング法はジクロロメタンのような溶媒に溶かした有機色素の溶液を基板の上に滴下し、基板を回転させることでその上に薄膜を作製するので一般に安価な方法である。
無機系材料を用いた追記型光記録媒体としては、強誘電体中に金属微粒子を分散させたBaTiO3−Au系の記録層を有するもの(特許文献1)や、高分子マトリックス中に金属微粒子を分散させたポリメチルメタクリレート(PMMA)−Au系の記録層を有するもの(特許文献2)が知られているが、これらは実用化されていない。
CD−RやDVD±Rとしてすでに市場に定着している現世代の追記型光ディスクは、全て有機色素を記録層に用いたもので、製造コストが安価なウェットプロセスで作製されている。これらの追記型光ディスクでは赤色レーザーダイオード(LD)を用いて記録再生を行う。有機色素を記録層として用いた追記型光ディスクの記録メカニズムは局所的な記録層の破壊によるものがほとんどである。すなわち記録光を対物レンズによって直径1μm程度に集光して記録層に照射すると、吸収された光は熱となって有機色素を局所的に蒸発または変形させる。再生時にこの部分に集光して照射された再生光は散乱されるため反射率が低下して記録マークとして認識される。上記のように吸収された記録光を効率的に熱に変換するために、光源波長に対して吸収率が大きな有機色素が選択される。CD−RやDVD±Rなどの追記型光ディスクでは、光源である780nmや650nmの波長近傍に吸収ピークを持つシアニン系やフタロシアニン系の有機色素が用いられている。
一方、次世代の追記型光ディスクに関する研究は広く行われているが、波長405nmの青紫色レーザーを用いること以外に確定している技術は少ない。そこで現世代と同様に次世代の波長である405nm近傍に吸収ピークを持つ有機色素の開発が待望されているが、高感度の有機色素は未だ発見されていない。さらに大容量記録のために注目されている多層記録に関しても有機色素は不利と考えられている。
このように次世代の青紫色レーザーに対して有効な有機色素が開発されていない状況で、無機系記録層を使った追記型光ディスクがいくつかの提案されている。例えばTe−O−Pdからなる記録層に使った追記型光ディスクは、レーザー照射された部分が結晶化することで記録が行われる(非特許文献1参照)。しかし、この記録材料には特定化学物質に指定されているTeが含まれているため、今後ますます厳しく規制されると予想される環境保護の観点からは好ましくないと考えられる。また、この材料は1986年に見出されたものであり、当時のレーザー波長である赤色領域の光に対しては効果的に記録が行える半面、他の波長に対しては最適化されているとはいえない。この点でも次世代の青紫色レーザーに対して有効な記録層材料が望まれている。
特開平7−98484号公報 特開2000−1049号公報 M. Unoら: Tech. Dig. ODS2003 (2003) MC5
本発明の目的は、青紫色レーザーに適した記録層を有する追記型光記録媒体および多層追記型光記録媒体を提供することにある。
本発明の一態様に係る追記型光記録媒体は、基板と、上記基板上に設けられ誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有する記録層と、上記記録層の少なくとも一方の面に接して形成され、誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有し、AuAg合金微粒子の含有率が上記記録層における含有率よりも高い界面層とを有することを特徴とする。
本発明の他の態様に係る追記型光記録媒体は、基板と、上記基板上に設けられ誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有する記録層、および上記記録層の少なくとも一方の面に接して形成され、誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有し、AuAg合金微粒子の含有率が上記記録層における含有率よりも高い界面層を1組とする複数組の情報層と、上記複数組の情報層の間に設けられた透明層とを有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る追記型光記録媒体は、青紫色レーザーに対して高感度でかつ高CNRを得ることができる。また、本発明の他の態様に係る多層追記型光記録媒体は、青紫色レーザーに対して高感度でかつ高CNRを得ることができるうえに、多層化によって容易に大容量化を実現できる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態において用いられる記録層は、誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有する。この記録層は、波長450nm以下のレーザー光(いわゆる青紫色レーザー光)を照射すると、AuAg合金微粒子の光学定数が変化することによって記録がなされる。具体的には、記録層中のAuAg合金微粒子が熱により粗大化するかまたは結晶学的に秩序化することによって反射率の変化を起こす。
記録層を構成する誘電体マトリックスとしては、SiO2、SiO、Al23、TiO2、Ta25、Nb25、Cr23などの酸化物、Si34、AlN、GeNなどの窒化物、SiC、TiCなどの炭化物、及びこれらのうち少なくとも2種以上を組み合わせた複合物が挙げられる。
記録層を構成する誘電体マトリックス中のAuAg合金微粒子はAuとAgを主成分とする合金からなり、AuとAgを80mol%以上含むことが好ましい。また、波長400nm近傍に吸収ピークを持たせるためにAgのモル含有率をAuのそれより高くすることが好ましい。すなわちAuAg合金微粒子はAgを50mol%以上、Auを50mol%未満の範囲で含むことが好ましく、さらにはAg70mol%以上Au30mol%未満であることが好ましい。記録層については誘電体マトリックス中のAuAg合金微粒子の含有率が5mol%以上50mol%未満であることが好ましい。この範囲外では光吸収に適した微粒子径が得られない。すなわち5mol%未満では光吸収が可能な粒径に成長できず、一方50mol%以上では成膜時に過剰に粒成長が起こり記録後の粒径変化が得られなくなる。
記録層の膜厚は5nm以上50nm以下であることが好ましく、10nm以上20nm以下であることがより好ましい。ただし、複数の記録層を有するいわゆる多層ディスクでは、透過率を確保するために記録層の膜厚は10nm以下であることが好ましい。記録層中のAuAg合金微粒子を効率的に粗大化または結晶学的に秩序化させるためには、記録層成膜時のプロセスを制御して誘電体マトリックスに適当な圧縮応力を持たせることも効果的である。
本発明の実施形態において用いられる界面層は、記録層の少なくとも一方の面に接して形成され、誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有し、AuAg合金微粒子の含有率が記録層における含有率よりも高く設定されている。界面層は、記録層中のAuAg合金微粒子が粗大化するかまたは結晶学的に秩序化するのを促進する作用を有する。
界面層は記録層の少なくとも一方の面に接して形成されていればよいので、記録層の片面のみに形成してもよいし、記録層の両面に形成してもよい。
界面層を構成する誘電体マトリックスとしては、SiO2、SiO、Al23、TiO2、Ta25、Nb25、Cr23などの酸化物、Si34、AlN、GeNなどの窒化物、SiC、TiCなどの炭化物、及びこれらのうち少なくとも2種以上を組み合わせた複合物が挙げられる。界面層の誘電体マトリックスは、記録層の誘電体マトリックスと同一の材料でも異なる材料でもよい。
界面層については誘電体マトリックス中のAuAg合金微粒子の含有率は、記録層中のAuAg合金微粒子の含有率より高く設定される。これは、記録層中のAuAg合金微粒子が光吸収に伴って成長する際に結晶成長促進効果を持たせるように、記録層に接する界面層中のAuAg合金微粒子の割合を可能な限り多くするためである。より具体的には、界面層のAuAg合金微粒子の含有率は記録層のそれより割合にして10〜20%の範囲で高いことが望ましい。すなわち記録層のAuAg含有率が5mol%の場合は界面層のそれは5.5〜6%であることが望まれる。或いは記録層のAuAg含有率が40mol%の場合は44〜48mol%であることが望まれる。このような範囲で界面層のAuAg含有率を高くすることで、界面層内のAuAg微粒子と記録層内のAuAg微粒子の接触割合が顕著に増大し記録層のAuAg粒成長を促進させる効果が大きくなる。
界面層を記録層の光入射側に配置した場合、AuAg合金微粒子の含有率が30mol%以上になると透過率が低下するため、界面層の膜厚を薄くして記録層への透過光量を確保する必要がある。この観点から、界面層の膜厚は0.5nm以上5nm未満であることが好ましい。なお、膜厚が0.5nm未満の界面層は、連続膜として形成することが困難になる。界面層についても、成膜時のプロセスを制御して誘電体マトリックスに適当な圧縮応力を持たせれば、記録層中のAuAg合金微粒子の粗大化または秩序化を促進させるのに効果的である。
上述したように、本発明の実施形態に係る追記型光記録媒体は、波長450nm以下のレーザー光を照射すると、記録層中のAuAg合金微粒子が熱により粗大化または結晶学的に秩序化する。ここで、レーザー照射前のAuAg合金微粒子は、結晶性が不完全で、その光学定数はデータブックなどに記載のバルク結晶のそれとは異なる。これに対して、レーザー照射後はAuAg合金微粒子の粗大化または秩序化が起こり、光学定数がバルク結晶のそれに近くなる。このようにレーザー照射前後に、AuAg合金微粒子の光学定数が変化するため、記録層の反射率変化が引き起こされる。このとき記録層に接した界面層はAuAg合金微粒子の粗大化または秩序化を促進させる効果を持つため、高速の記録が可能となる。なお、界面層は膜厚が記録層よりも薄いため、十分な粒径を有するAuAg合金微粒子は含まれていない。このため、レーザー光が照射されても光吸収量が少なく、界面層中のAuAg合金微粒子が光学定数の変化を起こすことはない。
本発明の他の実施形態に係る多層追記型光記録媒体は、誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有する記録層、および上記記録層の少なくとも一方の面に接して形成され、誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有し、AuAg合金微粒子の含有率が上記記録層における含有率よりも高い界面層を1組とする複数組の情報層と、複数組の情報層の間に設けられた透明層とを有する。
たとえば、光入射側に2層の界面層の間に記録層を挟んだ第1情報層を配置し、透明層を介して、光入射側から見て奥側に2層の界面層の間に記録層を挟んだ第2情報層を配置した2層媒体が挙げられる。透明層には、透明誘電体層、半透明反射層、透明樹脂層などが含まれる。各記録層に集光させるレーザー光を分離するために、透明層には焦点深度以上の膜厚が要求される。現行DVDに用いられている対物レンズの開口率(NA)0.6や次世代のNA0.65〜0.85を想定すれば、透明層の膜厚は10〜50μmであることが望ましい。
このような2層媒体では、第2情報層が十分な光を吸収できるように、第1情報層は50%程度の透過率を持つよう光学設計される。第1情報層にレーザー光を集光させた場合、約50%を透過させた残りのうち約10%を反射光として利用し、さらに残りの約40%を吸収光として利用する。一方、第2情報層に集光する場合、第1情報層を透過した50%の光から反射光が得られる。例えば第2情報層への吸収を約30%とすれば約20%の反射率が得られる。これらの見積もりは、記録層以外に吸収がないと仮定した場合で、実際にはわずかながらも吸収が発生する。このように2層媒体では限られた光量を2つの記録層で利用する必要があるが、本発明の実施形態に係る多層追記型光記録媒体は高感度で光を吸収できるため良好な記録特性が期待できる。
本発明の実施形態に係る追記型光記録媒体は、通常の物理蒸着法、たとえばRFマグネトロンスパッタ法やDCマグネトロンスパッタ法で作製できる。誘電体マトリックスとAuAg合金微粒子からなる記録層または界面層は、誘電体マトリックス材料のターゲットとAuAg合金ターゲットを同一真空チャンバー内で同時スパッタすることで得られる。また、形成しようとする記録層または界面層に相当する、所望の割合の誘電体マトリックス材料とAuAg合金で構成された複合ターゲットをスパッタしてもよい。
図1に本発明の一実施形態に係る追記型光記録媒体の断面図を示す。この追記型光記録媒体は、樹脂、ガラスなどの基板1上に各種の膜を成膜することにより作製されている。まず、光学干渉層2をRFマグネトロンスパッタにより成膜する。誘電体マトリックス材料とAgAu合金をそれぞれRFマグネトロンスパッタとDCマグネトロンスパッタによって同時成膜し、誘電体マトリックス3b中にAgAu合金微粒子3aを分散させた下部界面層3を形成する。また、下部界面層3の条件とは異なる条件で、誘電体マトリックス材料とAgAu合金をそれぞれRFマグネトロンスパッタとDCマグネトロンスパッタによって同時成膜し、誘電体マトリックス4b中にAgAu合金微粒子4aを分散させた記録層4を形成する。再度、誘電体マトリックス材料とAgAu合金をそれぞれRFマグネトロンスパッタとDCマグネトロンスパッタによって同時成膜し、誘電体マトリックス5b中にAgAu合金微粒子5aを分散させた上部界面層5を形成する。その後、光学干渉層6をRFマグネトロンスパッタによって、反射層7をDCマグネトロンスパッタによって成膜する。上述したように、下部界面層3と上部界面層5はいずれか一方だけを設けてもよい。また、必要に応じて光学干渉層2、光学干渉層6及び反射層7のいずれかを省いても追記型光記録媒体としての機能を発揮することができる。
図1の追記型光記録媒体の記録層4は波長400nm前後に吸収ピークを持っている。成膜直後は記録層4中のAuAg合金微粒子4aが不完全に成長しているためその粒径は1〜3nmと小さい。このような状態では、AuAg合金微粒子4aの電子状態はバルク結晶のそれとはほど遠い特殊な状態になっている。このようなAuAg合金微粒子4aを含む記録層4に波長400nm前後のレーザーを照射すると、AuAg合金微粒子4aの粗大化または結晶学的な秩序化が促進される。その結果、AuAg合金微粒子4aの電子状態はバルクAuAg合金のそれに近くなり、誘電率ひいては光学定数がバルク材料のそれに近くなる。本発明の実施形態に係る追記型光記録媒体では以上のような過程を経て記録が行われる。未記録部に照射された再生光は不完全なAuAg合金微粒子の結晶性を反映した光学反射を示し、記録部に照射された再生光は秩序化したAuAg合金微粒子の光学定数を反映した光学反射を示す。この反射光強度の違いを利用して記録情報を読み取ることができる。また、本発明の実施形態に係る追記型光記録媒体は全て無機系材料で構成されているため、有機系材料で懸念されるような光に対する劣化がほとんどなく、長期間にわたる安定した情報保存が可能となる。
以下、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
以下のようにして図1に示すような構造を有する追記型光記録媒体を作製した。トラックピッチ0.4μmの溝が形成されたポリカーボネイト(PC)基板1を用意した。このPC基板1上に、Si34をRFマグネトロンスパッタ(パワー1kW)により成膜して厚さ約50nmの光学干渉層2を形成した。Al23とAg70mol%−Au30mol%合金をそれぞれRFマグネトロンスパッタ(パワー2kW)とDCマグネトロンスパッタ(パワー0.2kW)によって同時成膜して、厚さ約3nmのAuAg合金微粒子分散Al23からなる下部界面層3を形成した。SiO2とAg70mol%−Au30mol%合金をそれぞれRFマグネトロンスパッタ(パワー2kW)とDCマグネトロンスパッタ(パワー0.18kW)によって同時成膜して、厚さ約10nmのAuAg合金微粒子分散SiO2からなる記録層4を形成した。再度、Al23とAg70mol%−Au30mol%合金をそれぞれRFマグネトロンスパッタ(パワー2kW)とDCマグネトロンスパッタ(パワー0.2kW)によって同時成膜して、厚さ約3nmのAuAg合金微粒子分散Al23からなる上部界面層5を形成した。さらに、Si34をRFマグネトロンスパッタ(パワー1kW)により成膜して厚さ約10nmの光学干渉層6を形成した後、AlTiをDCマグネトロンスパッタ(パワー1.0kW)により成膜して厚さ約100nmの反射層7を形成した。成膜後の基板の成膜面にUV硬化樹脂を塗布し、ダミー用PC基板を貼り合わせ追記型ディスクとして完成させた。なお、記録層および界面層についてAg70mol%−Au30mol%合金微粒子の含有率を分析した結果、記録層のそれは38mol%、界面層のそれは43mol%であった。
得られたディスクの記録再生評価を実施した。評価条件を表1に示す。記録に際しては図2に示すようにピークパワーとボトムパワーの二値の記録パワーをもつマルチパルスパターンを用いた。
Figure 0004113163
再生パワーを0.7mW、ボトムパワーを0.5mWとし、ピークパワーを変化させて3T(Tは信号の長さを表す指標である)のマークを記録した後、再生した。3T−CNR(carrier-to-noise ratio)のピークパワー依存性を図3に示す。図3に示されるように、3T−CNRはピークパワー4mWでほぼ飽和しており感度の高さが証明された。
この記録された領域を連続再生したときの3T−CNRの再生パワー依存性を図4に示す。図4の縦軸は再生パワーを徐々に増加させて同一トラックを10万回連続再生したときの3T−CNRの低下を表している。図4に示されるように、再生パワー1.5mWまでCNRに低下は認められず、十分な再生安定性を持っていることが明らかである。
また、線速を4〜15m/sの範囲で変化させたところ(記録周波数を変化させるがビット長は一定に保つ)、全線速域で48dB以上の3T−CNRを示し、高感度特性が証明された。
SiO2マトリックスとAg70mol%−Au30mol%合金微粒子からなる本実施例の記録層を上記と同様の方法でSi基板に作製して光学定数を測定した。図5(A)および(B)に示すように屈折率、消衰係数とも波長に対してブロードな変化を示した。Maxwell-Garnettの理論式(J. C. Maxwell-Garnett: Philos. Trans. R. Soc. London Ser. A 203 (1904) 385.)に基づき、図5の結果と、既知のSiO2の光学定数を用いて、Ag70mol%−Au30mol%合金微粒子の屈折率および消衰係数を逆演算して導き出した。その結果、屈折率0.4、消衰係数1.5が得られた。データブックから得られるバルクAgの光学定数(屈折率0.17、消衰係数1.95)とは明らかに異なっていることから、記録層のSiO2マトリックス中には不完全なAg70mol%−Au30mol%合金微粒子が含まれていることが傍証された。
このディスクを分解して透過電子顕微鏡(TEM)観察を行った。媒体の断面構造をTEM観察したところ、記録前は平均直径2nmのAg70mol%−Au30mol%合金微粒子が、記録後は平均直径4nmのAg70mol%−Au30mol%合金微粒子がそれぞれ観察された。また、記録条件が異なる記録部分では、直径がほとんど変わらないものの単結晶のような電子線回折像を示すAg70mol%−Au30mol%合金微粒子も認められた。一方、未記録部分のAg70mol%−Au30mol%合金微粒子は非晶質に近い電子線回折像を示した。このように本実施例の追記型光記録媒体は、記録層中の金属微粒子が記録前後でその直径または結晶性に変化を起こしていることが明らかになった。
実施例2
実施例1と同じ構成で、2つの界面層の膜厚を0〜20nmの範囲で変化させたディスクを8種類作製した。これらのディスクについて表1の条件で評価した。記録条件を最適化したときの3T−CNRの界面層膜厚依存性を図6に示す。界面層膜厚が0.5nm以上5nm未満ではほぼ50dBの良好な特性が得られている。一方、界面層を設けない場合(膜厚0nm)にはAuAg合金微粒子の粗大化または秩序化が促進されないため、わずか20dBのCNRしか得られなかった。また、界面層膜厚が5nmを超える場合には透過光量が低下して反射率差が小さくなるためCNRが徐々に低下している。
実施例3
実施例1と同じ構成で、界面層中のAuAg合金微粒子含有率を0〜70mol%の範囲で変化させたディスクを多種類作製した。これらのディスクについて表1の条件で評価した。図7に、3T−CNRの、界面層中のAuAg合金微粒子含有率依存性を示す。図7から、界面層中のAuAg合金微粒子含有率が40〜50mol%の範囲では約50dBの良好な3T−CNRが得られることがわかる。これに対して、AuAg合金微粒子含有率が40mol%未満の場合は含有率の低下とともにCNRが低下している。これは、界面層中のAuAg合金微粒子含有率が記録層中のAuAg合金微粒子含有率38mol%よりも小さくなるとともに、粒径も小さくなり、記録層中の微粒子成長促進効果が薄れたためと考えられる。一方、界面層中のAuAg合金微粒子含有率が50mol%を超えると透過率が低下するため、含有率の増加とともにCNRが低下している。このように、本実施例における追記型光記録媒体は界面層のAuAg合金微粒子含有率が40〜50mol%の範囲で、すなわち50mol%以下でかつ記録層のAuAg合金微粒子の含有率38mol%を下回らない範囲で良好な特性を示した。
実施例4
図8に示すように、いずれも実施例1と同じ構成を有する、第1情報層を含む第1ディスク(L0)および第2情報層を含む第2ディスク(L1)を貼り合わせた片面二層ディスクを作製した。
第1ディスク(L0)は、反射層7として厚さ約100nmのAlTiの代わりに厚さ約10nmのAgを用いた以外は実施例1と同様にして作製した。
第2ディスク(L1)は、実施例1と同じ構成の積層膜を実施例1と逆順に成膜することにより、すなわちPC基板11上にAlTi反射層17、光学干渉層16、上部界面層15、記録層14、下部界面層13、光学干渉層12を成膜して作製した。
第1ディスク(L0)と第2ディスク(L1)を成膜面同士を対向させ、厚さ約30μmのUV硬化樹脂層21を介して貼り合わせた。
この片面二層ディスクは、基板10を介して2つの記録層4、14に独立してレーザーを集光することができる。このため情報記録容量を実施例1〜3に比べて倍化することができる。この片面二層ディスクについて表1の条件で評価したところ、3T−CNRは48〜50dBの良好な結果を示した。このように本発明に係る追記型光記録媒体は多層化することも可能で大容量化を容易に達成できる。
比較例
実施例1と同じ構成で、記録層のみ以下に示す構成とした4種のディスクA〜Dを作製した。ディスクA〜Dの記録層の誘電体マトリックスはいずれのディスクもSiO2であるが、誘電体マトリックス中に分散させる金属微粒子を以下のように変えた。
ディスクA:Ag40mol%−Au60mol%
ディスクB:Al
ディスクC:Sb
ディスクC:Te。
これらのディスクについて表1の条件を使って評価した。その結果を表2にまとめて示す。ディスクA、ディスクBは似た傾向を示している。これらのディスクの記録層に用いたいずれの微粒子も評価機の光源波長である405nmに対して吸収が少ないため、記録に大きなパワーを要し、かつ微粒子の変化も小さいため実施例1〜4に比べてCNRが低い。このうちディスクAは、上記実施例のディスクの記録層に含まれる微粒子と同じ元素を含むが、Agの比率が低いため吸収ピークがずれており、高CNRが得られていない。ディスクCとDは微粒子の融点が比較的低いため低パワーで記録できるが、ディスクA、Bと同様に上記波長での吸収が小さいため微粒子の光学変化が小さくCNRは低い。このように本発明で提案した以外の材料で構成した記録層では満足な特性が得られないことが明らかになった。
Figure 0004113163
本発明の一実施形態に係る追記型光記録媒体を示す断面図。 本発明の実施例で作製した追記型光記録媒体に記録を行う際に用いた記録パワーを示す図。 実施例1のディスクについて3T−CNRのピークパワー依存性を示す図。 実施例1のディスクについて3T−CNRの再生パワー依存性を示す図。 実施例1のディスクにおける記録層の屈折率および消衰係数の光学スペクトル図。 実施例2のディスクについて3T−CNRの界面層膜厚依存性を示す図。 実施例3のディスクについて3T−CNRの、界面層中のAuAg合金微粒子含有率依存性を示す図。 実施例4のディスクを示す断面図。
符号の説明
1…PC基板、2…Si34光学干渉層、3…AgAu合金微粒子分散Al23下部界面層、4…AgAu合金微粒子分散SiO2記録層、5…AgAu合金微粒子分散Al23上部界面層、6…Si34光学干渉層、7…反射層、11…PC基板、12…Si34光学干渉層、13…AgAu合金微粒子分散Al23下部界面層、14…AgAu合金微粒子分散SiO2記録層、15…AgAu合金微粒子分散Al23上部界面層、16…Si34光学干渉層、17…反射層、21…UV硬化樹脂層。

Claims (5)

  1. 基板と、
    上記基板上に設けられ誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有する記録層と、
    上記記録層の少なくとも一方の面に接して形成され、誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有し、AuAg合金微粒子の含有率が上記記録層における含有率よりも高い界面層と
    を有することを特徴とする追記型光記録媒体。
  2. 上記記録層の厚さが5nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の追記型光記録媒体。
  3. 上記界面層の厚さが0.5nm以上5nm未満であることを特徴とする請求項1に記載の追記型光記録媒体。
  4. 上記記録層におけるAuAg合金微粒子の含有率が5mol%以上50mol%未満であることを特徴とする請求項1に記載の追記型光記録媒体。
  5. 基板と、
    上記基板上に設けられ誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有する記録層、および上記記録層の少なくとも一方の面に接して形成され、誘電体マトリックス中にAuAg合金微粒子を分散させた構造を有し、AuAg合金微粒子の含有率が上記記録層における含有率よりも高い界面層を1組とする複数組の情報層と、
    上記複数組の情報層の間に設けられた透明層と
    を有することを特徴とする多層追記型光記録媒体。
JP2004205858A 2004-07-13 2004-07-13 追記型光記録媒体および多層追記型光記録媒体 Expired - Fee Related JP4113163B2 (ja)

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