JP4070650B2 - 追記型光情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録時及び非記録時における環境劣化の生じない無機材料により構成された追記型光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、映像用、音楽用又はコンピューター用のストレージとして、光記録媒体が頻繁に用いられる様になっている。特に、CD−R/RW、DVD−R/RW、DVD+R/RWなどである。光ディスクは作り易く製造工程が安定している点及びCD−ROM、DVD−ROMとの互換性の良い点から広く普及するに至っている。これら記録可能な光記録媒体の中でも、追記型記録媒体は工程が簡略であり製造コストが安価である点や、使用される際の改ざん防止性が良好である点などから最も普及が進んでいる。上記CD−R、DVD−R、DVD+Rは記録材料的には、主に有機色素を用いた記録層を感熱発色させる方法により記録がなされている。
有機色素を用いたタイプは、一般に、基板上に有機色素等からなる記録層(光吸収層)を設け、更にその上にアルミ、金、銀等からなる反射層を設けた構成となっている。外部エネルギーとしてレーザ光を照射することにより、上記記録層を変形或いは変性させて光学特性を変化させ、情報を記録するものである。そして、記録部分と未記録部分との反射率差を利用して情報を光学的に再生する。
【0003】
一方で、無機材料によりこの追記型情報光記録媒体を構成しようという試みがある。無機材料による追記型光記録方式が注目されるに至った経緯は、CDからDVDへと記録密度が高くなるに従い、有機色素では相変化型に代表される無機材料に比較してマークエッジ記録の制御性が悪く、エッジが設定位置に正しい形状で且つ鮮明に形成され難いと考えられたためである。(特許文献1)
この無機材料による追記型光情報記録媒体に関する最近の特許公報としては、反応により分解しガスを発生するタイプの材料構成によるもの(特許文献2)、反応により光学特性が変化し記録部と非記録部との反射率差によるもの(特許文献3〜5)、その中でも特に、反応のための機能層を有するもの(特許文献6)や光照射に伴う変形により記録を行うもの(特許文献7)、相変化材料の光学特性の変化により記録するもの(特許文献1)などが挙げられる。
【0004】
【特許文献1】
国際公開99/30908号パンフレット、第4頁、18〜26行
【特許文献2】
特開平5−40959号公報
【特許文献3】
特開平5−334720号公報
【特許文献4】
特開平11−227334号公報
【特許文献5】
国際公開00/4536号パンフレット
【特許文献6】
特開2002−117576号公報
【特許文献7】
特開2002−298431号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高密度のマークエッジ記録に対応でき、相変化材料を用いた場合に比べて構成が単純であり、有機色素を用いた場合に比べて長期保存性の良い、無機記録材料を用いた追記型光情報記録媒体及びその製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は次の1)〜)の発明(以下、本発明1〜という)によって解決される。
1) 透明基板上に、Si、Ti、Ta、Zrから選ばれる少なくとも一つの金属の炭化物と該金属の酸化物の混合体からなり、レーザ光を照射することにより光学的に変化し信号の記録及び読み出しを行うことができる記録層を有することを特徴とする追記型光情報記録媒体。
2) 記録層に隣接した誘電体層を有することを特徴とする1)記載の追記型光情報記録媒体。
) 誘電体層がZnSを主成分とし、TiO、SiO、ZrOから選ばれる少なくとも一つを含む材料からなることを特徴とする2)記載の追記型光情報記録媒体。
) 誘電体層中のZnSの比率が60〜95モル%であることを特徴とする)記載の追記型光情報記録媒体。
Si、Ti、Ta、Zrから選ばれる少なくとも一つの金属の炭化物と該金属の酸化物の混合物をターゲットとしRFスパッタ法で記録層を成膜することを特徴とする1)〜)の何れかに記載の追記型光情報記録媒体の製造方法。
Si、Ti、Ta、Zrから選ばれる少なくとも一つの金属の炭化物と該金属の酸化物の混合物(但し、比抵抗0.5Ω・cm以下)をターゲットとして直流又はパルス状の電圧波形を持つ直流スパッタにより記録層を成膜することを特徴とする1)〜)の何れかに記載の追記型光情報記録媒体の製造方法。
Si、Ti、Ta、Zrから選ばれる少なくとも一つの金属の炭化物のみ、又は、前記金属の炭化物と前記金属の酸化物(但し、比抵抗0.5Ω・cm以下)の混合物をターゲットとし、酸素を導入した雰囲気下で直流又はパルス状の電圧波形を持つ直流スパッタにより記録層を成膜することを特徴とする1)〜)の何れかに記載の追記型光情報記録媒体の製造方法。
【0007】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明者等は、相変化材料を用いる場合に比べて構成が単純で、しかも長期保存特性を確保できる材料として、光吸収があり融点が高く安定な材料を検討した。このような材料としては各金属の窒化物又は炭化物を挙げることができるが、単に窒化物又は炭化物を用いただけでは融点と光吸収性は高いものの導電性もあるため所定のエネルギーを加えた場合に、その導電性により熱の拡散が生じ、本発明の目的であるマークエッジ制御性を得る点で有効でないと考えられた。更に、炭化物はガラス・プレス・レンズの型材にも使われる材料であり、光情報記録媒体で通常良く用いられる誘電体材料(カルコゲン成分を含みSiO、TiOやZnO等ガラスを含む混合体)或いは酸素原子を有する有機基板との密着性が必ずしも良好でない。そこで、光吸収性があり導電性を小さくでき、更に誘電体ガラス及び有機材料(透明基板及び耐環境保護層を想定)との密着性を併せ持つ記録材料を探求した結果、金属の炭化物と金属の酸化物の混合体が好ましいことを突き止め本発明に至った。この混合体を用いると、炭化物により光吸収性を確保でき酸化物の混合によって導電性の低下及び誘電体や有機材料との密着性向上を図ることができる。記録及び読み出しに用いる光としては広い波長範囲のものを使用できるが、600〜800nm程度が好ましい。
【0008】
更に、反射率の調整やダイナミックレンジ(記録有無の反射率差)向上のために、記録層に隣接して誘電体層を設けることが好ましい。
また、金属としてはSi、Ti、Ta、Zrから選ばれる少なくとも一つを用いる。これらの元素は、それぞれの炭化物の融点が非常に高く(2810〜3880℃)、室温程度では極めて安定であるため優れている。
また、上記記録層は、光透過率が20〜70%であり、かつ混合体の屈折率nが2.0以上であることが好ましい。光透過率が20%未満では、取り出せる信号反射率が極端に低くなり、反射率差を読み取るのに誤差を生じてしまう。また、70%を越えると、照射した光エネルギーが記録層に充分に吸収されず透過してしまうので、記録した信号の反射率差を取り出し難くなる。そこで透過と吸収のバランスの上でこの反射率差を有効に利用できる範囲として上記20〜70%の範囲が良い。また、記録層の屈折率nに関して、nが2.0未満では所定の光エネルギーを照射した際の光学変化が絶対値として小さくなり、信号振幅が取り難くなる。炭化物と酸化物の組成割合だけで単純に光透過率が同じになる訳ではないので、組成割合ではなく光透過率、即ち光吸収の比率により規定するのが好ましい。また、2層以上の記録層を有する多層光情報記録媒体を作製することも可能であるが、その場合には、最初に光が入射する記録層の光透過率がレーザ光照射方向奥側に位置する記録層の記録特性に大きく影響するので、該最初に光が入射する記録層の光透過率を40〜70%とすることが好ましい。
記録層の膜厚は、通常5〜30nm程度、好ましくは10〜20nmとする。
【0009】
誘電体層としては、ZnSを主成分とし、TiO、SiO、ZrOから選ばれる少なくとも一つを含む材料を用いると良い。また、誘電体層中のZnSの比率は60〜95モル%とすることが好ましい。95モル%を越えると、青紫波長である405nmの光透過率が低くなると共に、ZnS単体の特性とほぼ同じとなるため結晶化し易く耐環境性が悪くなってしまう。また、60モル%未満では成膜速度及び屈折率nが小さくなり過ぎるため生産効率が落ちると共に、同じ光学膜厚を得るためには膜厚を厚くする必要が出てくる。
誘電体層の膜厚は、通常、下部誘電体層(記録層と基板の間)が30〜200nm程度、上部誘電体層が10〜20nm程度である。
記録層の成膜方法としては、金属の炭化物と金属の酸化物の混合物をターゲットとしRFスパッタ法で形成する方法、比抵抗0.5Ω・cm以下の金属の炭化物と酸化物の混合物をターゲットとし、直流又はパルス状の電圧波形を持つ直流スパッタにより成膜する方法、比抵抗0.5Ω・cm以下の金属の炭化物又は、炭化物と酸化物の混合物をターゲットとし、酸素を導入した雰囲気下で直流又はパルス状の電圧波形を持つ直流スパッタにより成膜する方法などがある。
【0010】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。例えばレーザ光波長は660nmに限らず、780nmなどでも同等の結果が得られる。
【0011】
実施例1
図1に示す層構造の追記型光ディスクを次のようにして作製した。
先ず、案内溝を設けた清浄で透明なポリカーボネート基板1(厚さ0.6mm、トラックピッチ0.74μm、溝幅0.37μm、溝深さ310Å)の上に、記録層3として、厚さ20nmのSiCとSiOの混合膜を形成した。
次に、記録層の上面に紫外線硬化型樹脂を塗布した後、塗布面に紫外線を照射し、厚さ4μmの耐環境保護層6を形成した。
更に、UV接着剤を用いて同じ0.6mmのブランク板と貼り合わせ、厚さが1.2mmのディスクを完成させた。
記録層は、SiCとSiOの混合体ターゲットを用いて、Arをその分圧が5×10−3Torrとなるように導入し、酸素は導入せずに、デュティー80%のパルス状電圧波形を持つ直流スパッタにより形成した。このターゲットの組成は、SiC:SiO=95:5(モル%)であり、比抵抗は5mΩ・cmであった。
記録層の屈折率nは波長660nmで2.1であり、光透過率は波長660nmで65%であった。
作製された光ディスクの記録層は非晶質状態であった。
この光ディスクを線速度3.5m/secで回転させ、波長660nm、NA0.65、照射パワー8〜10mW、単純矩形波で、パルス幅が20〜25nsecのレーザ光を照射して記録を行い、最短マーク長が0.4μm(CD系の約1/2のマーク長)の、8−16変調方式のランダム信号を記録した。反射率は15%、モジュレーション60%である。
このランダムパターン記録を行ったときのジッターは8.3%であり、書き込み、再生共に特にトラブルは発生しなかった。再生用レーザ光のパワーは0.5mWとした。
次に、記録チェック後の光ディスクを80℃85%RHの高温高湿槽に400時間保管し、再度ジッターを測定したところ、それぞれ0.2%以下の変化であり問題となるレベルではなかった。また、膜の浮き・膜の剥がれや異常と思われる班点状変色の発現などは観察されなかった。
【0012】
実施例2
図2に示す層構造の追記型光ディスクを作製した。
先ず、案内溝を設けた清浄で透明なポリカーボネート基板1(厚さ0.6mm、トラックピッチ0.74μm、溝幅0.37μm、溝深さ310Å)の上に、ZnS・SiO〔70:30(モル%)〕からなる誘電体層2を膜厚50〜100nmの範囲で10nmきざみで各条件1枚ずつRFスパッタリングにより形成した。
次に、記録層3として厚さ20nmのZrCとZrOの混合膜を形成した。次に、記録層の上面に紫外線硬化型樹脂を塗布した後、塗布面に紫外線を照射し、厚さ4μmの耐環境保護層6を形成した。
更に、UV接着剤を用いて同じ0.6mmのブランク板と貼り合わせ、厚さが1.2mmのディスクを完成させた。
記録層3は、ZrCとZrO混合体のターゲットを用いて、Ar分圧が5×10−3Torrとなるように導入し、デュティー80%のパルス状電圧波形を持つ直流スパッタにより形成した。このターゲットの組成は、ZrC80原子%、ZrO20原子%であり、比抵抗は6.5mΩ・cmであった。出来上がった記録層の屈折率nは波長660nmで2.5であった。また、光透過率は波長660nmで30%であった。
作製された光ディスクの記録層は、別途作製した記録層の単膜をX線回折することにより評価した結果、非晶質状態であった。
この光ディスクを線速度3.5m/secで回転させ、波長660nm、NA0.65、照射パワー8〜10mW、単純矩形波で、パルス幅が20〜25nsecのレーザ光を照射して記録を行い、最短マーク長が0.4μm(CD系の約1/2のマーク長)の、8−16変調方式のランダム信号を記録した。反射率はZnS・SiO誘電体層の厚みによって変化し70〜80nmでボトム値が約6%となり、相変化光記録媒体のように誘電体層の厚みにより反射率の調整が可能であることが解った。更に、ボトム値でモジュレーションが最大となり73%が得られた。反射率の変化とモジュレーションの変化を図4及び図5に示す。
このランダムパターン記録を行ったときのジッターは8.2%であり、書き込み、再生共に特にトラブルは発生しなかった。再生用レーザ光のパワーは0.5mWとした。
次に、記録チェック後の光ディスクを80℃85%RHの高温高湿槽に400時間保管し、再度ジッターを測定したところ、それぞれ0.3%以下の変化であり問題となるレベルではなかった。また、膜の浮き・膜の剥がれや異常と思われる班点状変色の発現などは観察されなかった。
【0013】
実施例3
本発明の光情報記録媒体の記録原理を検討するため、次のようなテストを行った。
実施例2で誘電体層の上に積層した記録層の上側に、更に、熱変形を阻止する目的でZnS・SiOからなる膜厚12〜14nmの誘電体層を形成した。
更に、その上面に紫外線硬化型樹脂を塗布した後、塗布面に紫外線を照射して厚さ4μmの耐環境保護層6を形成し、厚さ0.6mmの単板ディスクを作製した。そして、レーザ照射による熱変形が光学的コントラストを生ずる原因なのか、それとも他の光学的特性変化が原因なのかをチェックした。
その結果、光記録層の上に誘電体層を積層した場合は、若干モジュレーションが増大した。そこで、本発明者等は本発明の光記録の原理は熱変形ではないものと判断した。また、相変化を起こす材料とも考えられないため、まだ記録原理の特定はできていないが、レーザ光照射により確実に反射率変化が読み取れるので、炭化物・酸化物混合体中のフォトダークニング(原子配列変化による記録)によるものではないかと予想される。
【0014】
実施例4(最初に光が入射する記録層の光透過率が40〜70%である例)
実施例1で用いたポリカーボネート樹脂基板からなる第1基板上に、下部誘電体層(膜厚80nm)、記録層(膜厚10nm)、上部誘電体層(膜厚12nm)の各層をスパッタリングにより順次形成し、記録層を誘電体層で挟んだ図3に示す層構成の光ディスクを作製した(以下、第1情報層という)。誘電体層はZnS・SiO〔80:20(モル%)〕とした。記録層はTiC55原子%、TiO45原子%からなるターゲットを用いて酸素を導入しないRFスパッタリングにより形成した。別途測定したところでは、第1情報層の記録層の光透過率は波長660nmで60%であった。
次に、第1基板と同様の基板を第2基板として、その上に反射層(膜厚100nm)、誘電体層(膜厚12nm)、光記録層(膜厚12nm)、誘電体層(膜厚100nm)の各層を順次形成した(以下、第2情報層という)。誘電体層にはZnS・SiO〔80:20(モル%)〕、記録層には第1情報層と同様な組成の材料、反射層にはAgの比率が95原子%以上のAg合金を用いてスパッタリングにより形成した。
次に、第1情報層の膜面上に紫外線硬化樹脂を塗布し、第2基板の第2情報層面側を貼り合わせてスピンコートし、第1基板側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させて中間層とし、2つの情報層を有する2層光ディスク(2層追記型光情報記録媒体)を作製した。中間層の厚さは50μmとした。
作成された各光ディスクについて、波長660nmで、実施例1〜2と同様に第1情報層の評価を行ったところ、実施例2と比べて、反射率が約10%以上向上し18〜22%になった。その他の特性は、モジュレーションが63%、ランダムパターンを記録したときのジッターが8.3%であり、書き込み、再生共に特にトラブルは発生しなかった。再生用レーザ光のパワーは0.8mWとした。更に、第2情報層についても、同様の波形パターンにより記録を行い評価したところ反射率が10〜15%になった。その他の特性は、モジュレーションが60%、ランダムパターンを記録したときのジッターが8.7%であり、書き込み、再生共に特にトラブルは発生しなかった。
次に、記録チェック後の光ディスクを80℃85%RHの高温高湿槽に400時間保管し、再度ジッターを測定したところ、それぞれ0.2%以下の変化であり問題となるレベルではなかった。また、膜の浮き・膜の剥がれや異常と思われる班点状変色の発現などは観察されなかった。
【0015】
実施例5
TiC95原子%、TiO5原子%からなるターゲットを用い、Arガスに加え2.5sccmの流量で酸素を導入して(Ar分圧が5×10−3Torr、酸素分圧が5.2×10−4Torr)スパッタリングを行い記録層を形成した他は、実施例4と同様にして光ディスクを作製した。上記組成のターゲットの比抵抗は4.5mΩ・cmであった。
上記のようにして形成した記録層(Tiの炭化物と酸化物混合膜)の特性は、実施例4で形成した記録層の特性とほぼ同じであった。即ち、屈折率nは波長660nmで2.74であり、nの値は高くなったが、光透過率は波長660nmで59%と実施例4と同等であった。
また、実施例4と同様にして第1情報層の評価を行ったところ、反射率18〜22%、モジュレーション62%、ランダムパターンを記録したときのジッターは8.35%であり、書き込み、再生共に特にトラブルは発生しなかった。再生用レーザ光のパワーは0.8mWとした。更に、第2情報層についても、実施例4と同様に、書き込み、再生共に特にトラブルは発生しなかった。
高温高湿槽による保存特性評価を行った結果も実施例4と同じであった。
【0016】
実施例6
TaC80原子%、Ta20原子%からなるターゲットを用い、Arガスに加え3.5sccmの流量で酸素を導入して(Ar分圧が4×10−3Torr、酸素分圧が7.2×10−4Torr)スパッタリングを行って記録層を形成した他は、実施例4と同様にして光ディスクを作製した。上記組成のターゲットの比抵抗は0.51mΩ・cmであった。
上記のようにして形成した記録層(Taの炭化物と酸化物混合膜)の特性は、実施例4で形成した記録層の特性とほぼ同じであった。即ち、屈折率nは波長660nmで2.3であり、光透過率は波長660nmで61%と実施例4と同等であった。
また、実施例4と同様にして第1情報層の評価を行ったところ、反射率18.5〜22.5%、モジュレーション61.5%、ランダムパターンを記録したときのジッターは8.3%であり、書き込み、再生共に特にトラブルは発生しなかった。再生用レーザ光のパワーは0.8mWとした。更に、第2情報層についても、実施例4と同様に、書き込み、再生共に特にトラブルは発生しなかった。
高温高湿槽による保存特性評価を行った結果も実施例4と同じであった。
【0017】
実施例7
記録層用のターゲットとして、SiCとTiOの混合体ターゲットを用いた他は、全て実施例1と同様にして光ディスクを製作した。このターゲットの組成は、SiC:TiO=80:20(モル%)であり、比抵抗は7mΩ・cmであった。スパッタガスとして、Arをその分圧が5×10−3Torrとなるように導入し、酸素は導入せずに、デュティー80%のパルス状電圧波形を持つ直流スパッタにより形成した。
記録層の屈折率nは波長660nmで2.3であり、光透過率は波長660nmで65%であった。
作製された光ディスクの記録層は非晶質状態であった。
この光ディスクを線速度3.5m/secで回転させ、波長660nm、NA0.65、照射パワー8〜10mW、単純矩形波で、パルス幅が20〜25nsecのレーザ光を照射して記録を行い、最短マーク長が0.4μm(CD系の約1/2のマーク長)の、8−16変調方式のランダム信号を記録した。反射率は16%、モジュレーション60%である。
このランダムパターン記録を行ったときのジッターは8.4%であり、書き込み、再生共に特にトラブルは発生しなかった。再生用レーザ光のパワーは0.5mWとした。
次に、記録チェック後の光ディスクを80℃85%RHの高温高湿槽に400時間保管し、再度ジッターを測定したところ、それぞれ0.2%以下の変化であり問題となるレベルではなかった。また、膜の浮き・膜の剥がれや異常と思われる班点状変色の発現などは観察されなかった。
また、ターゲットをSiCとZrO〔SiC:ZrO=80:20(モル%)〕、又はSiCとTa〔SiC:Ta=80:20(モル%)〕に変えた場合についても、ほぼ同様の結果が得られた。
【0018】
実施例8
誘電体層2の材料をZnS・SiO〔70:30(モル%)〕からZnS・TiO〔70:30(モル%)〕に変えた他は、実施例2と同様にして追記型光ディスクを作製したところ、SiOに比較してTiOの方が屈折率が大きいので、図4及び図5のカーブが14nm左にズレたカーブとなった。
同様に、ZnS・ZrO〔70:30(モル%)〕を用い場合は、図4及び図5のカーブが5nm左にズレたカーブとなった。
次に、記録チェック後の光ディスクを80℃85%RHの高温高湿槽に400時間保管し、再度ジッターを測定したところ、それぞれ0.3%以下の変化であり問題となるレベルではなかった。また、膜の浮き・膜の剥がれや異常と思われる班点状変色の発現などは観察されなかった。
【0019】
比較例1
記録層用のターゲットをSiC単体とした他は、実施例1と同様にして光ディスクを作製した。このターゲットの比抵抗はSiCとSiOの混合体ターゲットよりも小さく2mΩ・cmであった。このターゲットを用いて、実施例1と同様にして記録層を形成した。この記録層の特性は、膜厚20nmの場合、屈折率nが波長660nmで2.5であった。このときの光透過率は、波長660nmで55%であった。
次いで、実施例1と同様にして1.2mm厚の光ディスクを完成させた。
この光ディスクを波長660nmのレーザを用いて評価したところ、ジッター値が12〜20%であり、しかも安定した値が得られなかった。そこで、この光ディスクと同一構造のテストサンプルを再度作製し、同じ条件で記録した後に分解して走査型電子顕微鏡で観察したところ、盛り上がるような変形と膜の剥離と思われる膜浮きが生じていた。
また、貼り合わせ・ジッター評価を行った光ディスクの反射率は18%、モジュレーションは45%であった。
更に、この光ディスクを80℃85%RHの高温高湿槽に400時間保管したところ、記録したマークの反射率反転等が生じて、明瞭なアイパターンが観察できないばかりか、ジッターを測定できるレベルではなかった。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、高密度のマークエッジ記録に対応でき、相変化材料を用いた場合に比べて構成が単純であり、有機色素を用いた場合に比べて長期保存性の良い、無機記録材料を用いた追記型光情報記録媒体を提供できる。また、反射率を調整することにより多層の光情報記録媒体とすることもできる。
更に、本発明5〜7によれば、本発明の追記型光情報記録媒体を容易に製造できる他、炭化物と酸化物の比率を自由に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の光ディスクの層構造の断面を示す図。
【図2】実施例2の光ディスクの層構造の断面を示す図(基板側のみ誘電体有り)。
【図3】実施例4の光ディスクの層構造の断面を示す図(誘電体で光記録層を挟んだ図)。
【図4】実施例2の光ディスクの反射率の変化を示す図。
【図5】実施例2の光ディスクのモジュレーションの変化を示す図。
【符号の説明】
1 基板
2 下部誘電体層
3 炭化物と酸化物の混合体からなる記録層
4 上部誘電体層
5 反射層
6 耐環境保護層

Claims (7)

  1. 透明基板上に、Si、Ti、Ta、Zrから選ばれる少なくとも一つの金属の炭化物と該金属の酸化物の混合体からなり、レーザ光を照射することにより光学的に変化し信号の記録及び読み出しを行うことができる記録層を有することを特徴とする追記型光情報記録媒体。
  2. 記録層に隣接した誘電体層を有することを特徴とする請求項1記載の追記型光情報記録媒体。
  3. 誘電体層がZnSを主成分とし、TiO、SiO、ZrOから選ばれる少なくとも一つを含む材料からなることを特徴とする請求項記載の追記型光情報記録媒体。
  4. 誘電体層中のZnSの比率が60〜95モル%であることを特徴とする請求項記載の追記型光情報記録媒体。
  5. Si、Ti、Ta、Zrから選ばれる少なくとも一つの金属の炭化物と該金属の酸化物の混合物をターゲットとしRFスパッタ法で記録層を成膜することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の追記型光情報記録媒体の製造方法。
  6. Si、Ti、Ta、Zrから選ばれる少なくとも一つの金属の炭化物と該金属の酸化物の混合物(但し、比抵抗0.5Ω・cm以下)をターゲットとして直流又はパルス状の電圧波形を持つ直流スパッタにより記録層を成膜することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の追記型光情報記録媒体の製造方法。
  7. Si、Ti、Ta、Zrから選ばれる少なくとも一つの金属の炭化物のみ、又は、前記金属の炭化物と前記金属の酸化物(但し、比抵抗0.5Ω・cm以下)の混合物をターゲットとし、酸素を導入した雰囲気下で直流又はパルス状の電圧波形を持つ直流スパッタにより記録層を成膜することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の追記型光情報記録媒体の製造方法。
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