JP4086689B2 - 光学的情報記録媒体とその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光の照射等により情報の記録、消去、書き換え、再生が可能な光学的情報記録媒体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を用いて情報を記録、消去、書き換え、再生する光学的情報記録媒体として、相変化型光学的情報記録媒体がある。相変化型光学的情報記録媒体への情報の記録、消去、書き換えには、記録材料が結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変化を生じる現象を利用する。一般に、情報を記録する場合は、高パワー(記録パワー)のレーザ光を照射し、記録材料を溶融させて急冷することにより、記録材料のレーザ光が照射された部分(レーザ光照射部)を非晶質相にして情報を記録する。一方、情報を消去する場合は、記録時より低パワー(消去パワー)のレーザ光を照射し、記録材料を昇温させて徐冷することにより、レーザ光照射部を結晶相にして記録されていた情報を消去する。従って、相変化型光学的情報記録媒体では、高パワーレベルと低パワーレベルとの間でパワーを変調させたレーザ光を記録材料に照射することで、記録されている情報を消去しながら新しい情報を記録すること、すなわち情報を書き換えることができる(例えば、角田義人他「光ディスクストレージの基礎と応用」電子情報通信学会編、1995年、第2章を参照。)。
【0003】
相変化型光学的情報記録媒体の一例としては、発明者らが商品化した4.7GB/DVD−RAM(DVD-Random Access Memory)が挙げられる。図6に、この4.7GB/DVD−RAMと同様の構成である光学的情報記録媒体101を示す。この光学的情報記録媒体101には、レーザ光入射側から順に、基板102、情報層103、接着層104、およびダミー基板105が配置されている。情報層103は、レーザ光入射側から順に配置された入射側保護膜106、入射側誘電体膜107、記録膜108、反入射側誘電体膜109、反入射側保護膜110、光吸収補正膜111、および反射膜112にて構成されている。
【0004】
入射側保護膜106と反入射側保護膜110は、光学距離を調節して記録膜108への光吸収効率を高めて記録膜108における結晶相と非晶質相との反射率変化を大きくすることで信号振幅を大きくする光学的な働きと、記録時に高温となる記録膜108と熱に弱い基板102およびダミー基板105との間を断熱する熱的な働きとがある。入射側保護膜106や反入射側保護膜110に一般的に用いられている80mol%ZnS−20mol%SiO2の混合物は、光透過率および屈折率が高く、低熱伝導率で断熱性も良く、さらに機械特性および耐湿性も良好である、優れた誘電体材料である。
【0005】
記録膜108には、例えば、Ge−Sn−Sb−Teを含む高速結晶化材料を用いることができる。このような材料により、初期記録書き換え性能のみならず、優れた記録保存性、書き換え保存性をも実現できる。
【0006】
入射側誘電体膜107および反入射側誘電体膜109は、入射側保護膜106と記録膜108、および反入射側保護膜110と記録膜108との間で生じる物質移動を防止する機能を有する。この物質移動とは、入射側保護膜106および反入射側保護膜110の材料に80mol%ZnS−20mol%SiO2を使用した場合に、レーザ光を記録膜108に照射して記録書き換えを繰り返すとSが記録膜108に拡散する現象のことである。Sが記録膜108に拡散すると、繰り返し書き換え性能が悪化する(例えば、非特許文献1参照。)。この繰り返し書き換え性能の悪化を防ぐには、Geを含む窒化物を入射側誘電体膜107および反入射側誘電体膜109に使用すると良い(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【0007】
以上のような技術により、優れた書き換え性能と高い信頼性を達成し、4.7GB/DVD−RAMを商品化するに至った。
【0008】
また、近年、光学的情報記録媒体のさらなる大容量化が要求されており、大容量化のための様々な技術が検討されている。具体的には、従来の赤色レーザより短波長の青紫色レーザを用いたり、レーザ光入射側に配置される基板の厚さを薄くして開口数(NA)が大きい対物レンズを使用したりすることによって、レーザ光のスポット径をより小さくし、高密度の記録を行う技術等が検討されている。このようにスポット径を小さくして記録を行うためには、小さな記録マークでも良好な形状に形成できる光学的情報記録媒体が必要となる。スポット径を小さくして記録を行うと、記録膜にレーザ光が照射される時間が相対的に短くなるため、記録膜の結晶化能が低下するからである。
【0009】
また、大容量化のための技術として、2つの情報層を備える光学的情報記録媒体を用いて記録容量を2倍に高め、これら2つの情報層に対し、光学的情報記録媒体の片面側から入射するレーザ光によって記録再生を行う技術も検討されている(例えば、特許文献3参照。)。片面側から入射するレーザ光にて2つの情報層を記録再生する光学的情報記録媒体では、レーザ光の入射側に配置された第1の情報層を透過したレーザ光を用いて、レーザ光入射側から遠くに配置された第2の情報層の記録再生を行うため、第1の情報層の記録膜を極めて薄くして光透過率を高める必要がある。しかし、記録膜を薄くすると、記録材料が結晶化する際に形成される結晶核が減少し、また、原子の移動できる距離が短くなる。このため、記録膜の膜厚が薄いほど結晶相が形成されにくくなり、結晶化速度が低下する。
【0010】
以上のように、光学的情報記録媒体の大容量化を実現するためには、記録膜の結晶化能の向上が重要な課題となる。発明者らの実験では、記録材料として、GeTe−Sb2Te3ライン上の擬二元系およびその近傍の組成においてGeの一部をSnで置換した組成の材料を用いることで、記録膜の結晶化速度が向上することが分かっている。しかしながら、置換するSnの量を増やしていくと結晶相と非晶質相との間の光学特性変化が小さくなるため、信号振幅が低下してしまうという問題が生じる。
【0011】
そこで、信号振幅を低下させること無く記録膜の結晶化能を高める手段として、記録膜の結晶化を促進する効果のある膜を記録膜に接するように設けることが有効である。発明者らの実験によると、少なくともCr、Zr、およびOを含む誘電体膜を記録膜に接するように設けることで、結晶化促進効果を高くできることが分かった。
【0012】
【非特許文献1】
山田、他6名、「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics)」、1998年、第37巻、p.2104−2110
【0013】
【特許文献1】
国際公開第WO97/34298号パンフレット
【0014】
【特許文献2】
特開平10−275360号公報
【0015】
【特許文献3】
特開平12−36130号公報
【0016】
【特許文献4】
特開平5−109115号公報
【0017】
【特許文献5】
特開平8−77604号公報
【0018】
【特許文献6】
特開2001−67722号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような誘電体膜を記録膜に接して設ける構成の場合、記録膜と誘電体膜との密着性があまり良好ではなく、特に記録膜に対しレーザ光入射側と反対側の面に設けられた誘電体膜は、記録膜に対してレーザ光入射側の面に設けられた誘電体膜よりも、記録膜との密着性が悪いことが確認された。また、情報層が複数設けられている光学的情報記録媒体の場合、最もレーザ光入射側に設けられる情報層は光透過率を高くするために薄く形成されるので、外部から水が浸入しやすく、誘電体膜と記録膜との密着性がより低下することも確認された。従って、記録膜の結晶化を促進する効果のある誘電体膜を記録膜に接するように設ける構成の場合、誘電体膜と記録膜との接着不良に起因する信頼性の低下が問題であった。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の光学的情報記録媒体は、基板と情報層とを含む光学的情報記録媒体であって、前記情報層が、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む第1の誘電体膜と、前記第1の誘電体膜上に設けられ、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する記録膜と、前記記録膜上に設けられ、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む第2の誘電体膜と、をレーザ光入射側からこの順に含んでおり、前記第1の誘電体膜のCr原子濃度が少なくとも6at%以上、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度が少なくとも9at%以上であって、且つ、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度が前記第1の誘電体膜のCr原子濃度よりも大きいことを特徴としている。
【0021】
また、本発明の第2の光学的情報記録媒体は、基板と情報層とを含む光学的情報記録媒体であって、前記情報層が、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、Si、およびOを含む第1の誘電体膜と、前記第1の誘電体膜上に設けられ、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する記録膜と、前記記録膜上に設けられ、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、Si、およびOを含む第2の誘電体膜と、をレーザ光入射側からこの順に含んでおり、前記第1の誘電体膜のCr原子濃度は少なくとも6at%以上、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度は少なくとも9at%以上であり、且つ、前記第2の誘電体膜のSi原子濃度が前記第1の誘電体膜のSi原子濃度よりも小さいことを特徴としている。
【0022】
本発明の第1の光学的情報記録媒体の製造方法は、本発明の第1の光学的情報記録媒体を製造するための方法であって、少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む第1のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングにより第1の誘電体膜を成膜する工程と、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する記録膜を成膜する工程と、少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む第2のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングにより第2の誘電体膜を成膜する工程と、を含み、前記第2のスパッタリングターゲットのCr原子濃度が、前記第1のスパッタリングターゲットのCr原子濃度より大きいことを特徴としている。
【0023】
本発明の第2の光学的情報記録媒体の製造方法は、本発明の第2の光学的情報記録媒体を製造するための方法であって、少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Si、Cr、およびOを含む第1のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングにより第1の誘電体膜を成膜する工程と、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する記録膜を成膜する工程と、少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Si、Cr、およびOを含む第2のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングにより第2の誘電体膜を成膜する工程と、を含み、前記第2のスパッタリングターゲットのSi原子濃度が、前記第1のスパッタリングターゲットのSi原子濃度より小さいことを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の光学的情報記録媒体によれば、第1の誘電体膜と記録膜との間の密着性および第2の誘電体膜と記録膜との間の密着性を、共に向上させることができる。一般的に第2の誘電体膜は第1の誘電体膜よりも記録膜から剥がれやすいが、本発明においては第2の誘電体膜のCr原子濃度を第1の誘電体膜のCr原子濃度よりも大きくすることにより、第2の誘電体膜と記録膜との間においても十分な密着性が得られる。このような第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との間の密着性の向上により、外部からの水の浸入等による膜剥がれが生じにくくなり、信頼性および耐湿性に優れた光学的情報記録媒体が得られる。また、本発明の第1の光学的情報記録媒体によれば、例えば初期のジッター値と長期保存後のジッター値との差が約2%以下と記録保存性が良好で、さらに、例えば初期のジッター値と長期保存後に情報を上書きした後のジッター値との差が約2%以下と書き換え保存性が良好な、光学的情報記録媒体を提供できる。
【0025】
本発明の第1の光学的情報記録媒体においては、前記第1の誘電体膜に含まれるM1、Cr、およびOを、組成式CrA1(M1)B1(100-A1-B1)と表記した場合に、前記A1およびB1が、
6<A1<29
9<B1<29
であり、
前記第2の誘電体膜に含まれるM1、Cr、およびOを、組成式CrA2(M1)B2(100-A2-B2)と表記した場合に、前記A2およびB2が、
11<A2<32
6<B2<24
であることが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜をこのように形成することにより、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好で、さらに記録書き換え性能も良好な光学的情報記録媒体が得られる。
【0026】
本発明の第1の光学的情報記録媒体においては、前記第1の誘電体膜がCr23と(M1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第1の混合物においてCr23が10mol%以上60mol%以下であり、前記第2の誘電体膜がCr23と(M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物においてCr23が20mol%以上80mol%以下であり、且つ、前記第2の混合物のCr23濃度(mol%)が、前記第1の混合物のCr23濃度(mol%)よりも大きいことが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜をこのように形成することにより、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好で、さらに記録書き換え性能も良好な光学的情報記録媒体が得られる。
【0027】
本発明の第1の光学的情報記録媒体においては、前記第1の誘電体膜のCr原子濃度と前記第2の誘電体膜のCr原子濃度との差が、3at%以上15at%以下であることが好ましい。これにより、膜剥がれが生じにくい、信頼性に優れた光学的情報記録媒体が得られる。
【0028】
本発明の第1の光学的情報記録媒体においては、前記第1の誘電体膜がさらにSiを含んでいてもよい。
【0029】
本発明の第1の光学的情報記録媒体においては、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜に(M1)、Cr、およびO以外の他の元素が含まれる場合、他の元素の含有量は1at%以下であることが好ましい。
【0030】
本発明の第2の光学的情報記録媒体によれば、第1の誘電体膜と記録膜との間の密着性および第2の誘電体膜と記録膜との間の密着性を、共に向上させることができる。一般的に第2の誘電体膜は第1の誘電体膜よりも記録膜から剥がれやすいが、本発明においては第2の誘電体膜のSi原子濃度を第1の誘電体膜のSi原子濃度よりも小さくすることにより、第2の誘電体膜と記録膜との間においても十分な密着性が得られる。このような第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との間の密着性の向上により、外部からの水の浸入等による膜剥がれが生じにくくなり、信頼性および耐湿性に優れた光学的情報記録媒体が得られる。また、本発明の第2の光学的情報記録媒体によれば、例えば初期のジッター値と長期保存後のジッター値との差が約2%以下と記録保存性が良好で、さらに、例えば初期のジッター値と長期保存後に情報を上書きした後のジッター値との差が約2%以下と書き換え保存性が良好な、光学的情報記録媒体を提供できる。
【0031】
本発明の第2の光学的情報記録媒体においては、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度を前記第1の誘電体膜のCr原子濃度よりも大きくすることが好ましい。記録膜から剥がれやすい第2の誘電体膜の密着性をより向上させるためである。
【0032】
本発明の第2の光学的情報記録媒体においては、前記第1の誘電体膜に含まれるM1、Cr、Si、およびOを、組成式SiC3CrA3(M1)B3(100-A3-B3-C3)と表記した場合に、前記A3、B3、およびC3が、
6<A3<32
1<B3
1<C3<13
であり、
前記第2の誘電体膜に含まれるM1、Cr、Si、およびOを、組成式SiC4CrA4(M1)B4(100-A4-B4-C4)と表記した場合に、前記A4、B4、およびC4が、
11<A4<35
1<B4
0<C4<11
であることが好ましい。さらに、A3<A4であることが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜をこのように形成することにより、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好で、さらに記録書き換え性能も良好な光学的情報記録媒体が得られる。
【0033】
本発明の第2の光学的情報記録媒体においては、前記第1の誘電体膜がSiO2とCr23と(M1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第1の混合物において、SiO2が5mol%以上40mol%以下、Cr23が10mol%以上70mol%以下、SiO2+Cr23が15mol%以上95mol%以下であり、前記第2の誘電体膜がSiO2とCr23と(M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物において、SiO2が35mol%以下、Cr23が20mol%以上80mol%以下、SiO2+Cr23が20mol%を超え、95mol%以下であり、且つ、前記第2の誘電体膜のSiO2濃度(mol%)が、前記第1の誘電体膜のSiO2濃度(mol%)よりもが小さいことが好ましい。さらに、前記第2の混合物のCr23濃度(mol%)が、前記第1の混合物のCr23濃度(mol%)よりも大きいことが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜をこのように形成することにより、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好で、さらに記録書き換え性能も良好な光学的情報記録媒体が得られる。
【0034】
本発明の第2の光学的情報記録媒体においては、前記第1の誘電体膜のSi原子濃度と前記第2の誘電体膜のSi原子濃度との差が、1at%以上10at%以下であることが好ましい。これにより、膜剥がれが生じにくい、信頼性に優れた光学的情報記録媒体が得られる。
【0035】
本発明の第2の光学的情報記録媒体においては、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜に(M1)、Cr、Si、およびO以外の他の元素が含まれる場合、他の元素の含有量は1at%以下であることが好ましい。
【0036】
本発明の第1および第2の光学的情報記録媒体においては、前記情報層を複数設けることもできる。これにより、信頼性および記録書き換え性能に優れた、大容量の光学的情報記録媒体が得られる。
【0037】
本発明の第1および第2の光学的情報記録媒体においては、前記記録膜が、SbおよびBiから選択される少なくとも一方の元素(M2)と、Geと、Teとを含み、前記M2、Ge、およびTeを組成式Gea(M2)bTe3+aと表記した場合に、
0<a≦60
1.5≦b≦7
であることが好ましい。記録膜の厚みが約12nm以下と薄い場合であっても、良好な記録再生性能が得られるからである。
【0038】
本発明の第1および第2の光学的情報記録媒体においては、前記Gea(M2)bTe3+aにおいて、前記Geの少なくとも一部が、SnおよびPbから選択される少なくとも一方の元素(M3)にて置換されていることが好ましい。Ge−M2−Te3元系組成のGeを置換した元素M3が結晶化能を向上させ、記録膜の厚みが約7nm以下と極めて薄い場合であっても、十分な書き換え性能が得られるからである。
【0039】
本発明の第1および第2の光学的情報記録媒体においては、前記記録膜が、SbおよびBiから選択される少なくとも一方の元素(M2)と、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Se、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W、Os、Ir、Pt、Gd、Td、DyおよびAuから選択される少なくとも一つの元素(M4)と、Geと、Teとを含み、前記M2、M4、Ge、およびTeを組成式(Gea(M2)bTe3+a100-c(M4)cと表記した場合に、
0<a≦60
1.5≦b≦7
0<c≦20
であることが好ましい。Ge−M2−Te3元系組成に添加された元素M4が記録膜の融点および結晶化温度を上昇させるので、記録膜の熱的安定性が向上するからである。
【0040】
本発明の第1および第2の光学的情報記録媒体においては、前記記録膜が、Sbと、Teと、Ag、In、Ge、Sn、Se、Bi、AuおよびMnから選択される少なくとも一つの元素(M5)とを含み、前記Sb、Te、およびM5を組成式(SbdTe100-d100-e(M5)eで表記した場合に、
50≦d≦95
0<e≦20
であることが好ましい。このような記録膜は融点が比較的低いので、比較的小さいレーザパワーであっても良好な記録特性が得られるからである。
【0041】
本発明の第1および第2の光学的情報記録媒体においては、前記情報層が、前記第1の誘電体膜のレーザ光入射側に、前記第1の誘電体膜に接して設けられた保護膜をさらに含み、前記保護膜が、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb25、Ta25、SiO2、Al23、Bi23、C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−N、ZnS、およびSiCから選択される少なくとも一つを含むことが好ましい。記録膜の酸化、腐食、および変形等を防止するためである。
【0042】
本発明の第1および第2の光学的情報記録媒体においては、前記情報層が、前記第2の誘電体膜のレーザ光入射側と反対側に設けられた反射膜をさらに含み、前記反射膜が、Ag、Au、CuおよびAlから選択される少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。記録膜に吸収される光量を増加させ、且つ記録膜で生じた熱を拡散させるためである。
【0043】
本発明の第1および第2の光学的情報記録媒体においては、前記情報層が、前記反射膜のレーザ光入射側と反対側に、前記反射膜に接して設けられた透過率調整膜をさらに含み、前記透過率調整膜が、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb25、Ta25、SiO2、Al23、Bi23、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−NおよびZnSから選択される少なくとも一つを含むことが好ましい。情報層が複数設けられている場合は、レーザ光入射側の面から遠くに配置された情報層にもレーザ光を到達させる必要がある。従って、このような場合に、情報層の透過率を高めることができる本構成は特に有効である。
【0044】
本発明の第1および第2の光学的情報記録媒体においては、前記情報層と異なる膜構成の他の情報層が含まれていてもよいが、この場合はレーザ光入射側の面に最も近くに配置された情報層(第1の情報層)が本発明の膜構成であることが好ましい。これは、多層構造の光学的情報記録媒体において、第1の情報層に含まれる記録膜は高透過率を得るために薄く形成されるので、第1の情報層としては、薄い記録膜でも結晶化能が高く、且つ信頼性の高い情報層が求められるからである。
【0045】
本発明の第1の光学的情報記録媒体の製造方法によれば、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性が良好な、信頼性の高い光学的情報記録媒体を作製することができる。
【0046】
本発明の第1の光学的情報記録媒体の製造方法においては、前記第1のスパッタリングターゲットに含まれるM1、Cr、およびOを、組成式CrD1(M1)E1100-D1-E1と表記した場合に、前記D1およびE1が、
3<D1<29
9<E1<31
であり、
前記第2のスパッタリングターゲットに含まれるM1、Cr、およびOを、組成式CrD2(M1)E2100-D2-E2と表記した場合に、前記D2およびE2が、
9<D2<32
6<E2<26
であることが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好で、且つ記録書き換え性能も良好な光学的情報記録媒体を作製できるからである。
【0047】
本発明の第1の光学的情報記録媒体の製造方法においては、前記第1のスパッタリングターゲットが、Cr23と(M1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第1の混合物においてCr23が5mol%以上60mol%以下であり、前記第2のスパッタリングターゲットが、Cr23と(M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物においてCr23が15mol%以上80mol%以下であり、且つ、前記第2の混合物のCr23濃度(mol%)が、前記第1の混合物のCr23濃度(mol%)よりも大きいことが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好で、且つ記録書き換え性能も良好な光学的情報記録媒体を作製できるからである。
【0048】
また、本発明の第2の光学的情報記録媒体の製造方法によれば、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性が良好な、信頼性の高い光学的情報記録媒体を作製することができる。
【0049】
本発明の第2の光学的情報記録媒体の製造方法においては、前記第2のスパッタリングターゲットのCr原子濃度が、前記第1のスパッタリングターゲットのCr原子濃度より大きいことが好ましい。第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好な光学的情報記録媒体を作製できるからである。
【0050】
本発明の第2の光学的情報記録媒体の製造方法においては、前記第1のスパッタリングターゲットに含まれるM1、Si、Cr、およびOを、組成式SiF3CrD3(M1)E3100-D3-E3F3で表記した場合に、前記D3、E3、およびF3が、
3<D3<32
1<E3
1<F3<13
であり、
前記第2のスパッタリングターゲットに含まれるM1、Si、Cr、およびOを、組成式SiF4CrD4(M1)E4100-D4-E4-F4と表記した場合に、前記D4、E4、およびF4が、
9<D4<35
1<E4
0<F4<11
であることが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好で、且つ記録書き換え性能も良好な光学的情報記録媒体を作製できるからである。
【0051】
本発明の第2の光学的情報記録媒体の製造方法においては、前記第1のスパッタリングターゲットがSiO2とCr23と(M1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第1の混合物において、SiO2が5mol%以上40mol%以下、Cr23が5mol%以上70mol%以下、SiO2+Cr23が10mol%以上95mol%以下であり、前記第2のスパッタリングターゲットがSiO2とCr23と(M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物において、SiO2が35mol%以下、Cr23が15mol%以上80mol%以下、SiO2+Cr23が10mol%を超え、95mol%以下であり、且つ、前記第2の混合物のSiO2濃度(mol%)が、前記第1の混合物のSiO2濃度(mol%)よりも小さいことが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好で、且つ記録書き換え性能も良好な光学的情報記録媒体を作製できるからである。
【0052】
また、複数の情報層を含む多層構造の光学的情報記録媒体を製造する場合に、その複数の情報層のうち少なくとも一つの情報層を、本発明の第1または第2の光学的情報記録媒体の製造方法を用いて作製することも可能である。
【0053】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0054】
(実施の形態1)
本発明の光学的情報記録媒体の実施の形態を説明する。図1に、本実施の形態の光学的情報記録媒体1の断面構成を示す。光学的情報記録媒体1は、レーザ光の照射によって情報の記録再生が可能な光学的情報記録媒体である。
【0055】
光学的情報記録媒体1においては、基板11上に情報層12が設けられ、さらに透明層13が設けられている。この光学的情報記録媒体1には、レーザ光が透明層13側から照射される。情報層12は、レーザ光照射側から、入射側保護膜14、入射側誘電体膜(第1の誘電体膜)15、記録膜16、反入射側誘電体膜(第2の誘電体膜)17、反入射側保護膜18、金属膜19、および反射膜20がこの順に積層されることにより形成されている。なお、誘電体膜および保護膜の名称において、入射側とは、記録膜16に対してレーザ光入射側に配置されていることを意味し、反入射側とは、記録膜16に対してレーザ光入射側と反対側に配置されていることを意味する。
【0056】
透明層13は、光硬化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂、または誘電体等からなり、使用するレーザ光に対して光吸収率が小さいことが好ましく、また、短波長域において複屈折率が小さいことが好ましい。また、透明層13に、透明な円盤状のポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、またはPMMA(ポリメチルメタクリレート)等の樹脂、或いはガラスを用いてもよい。これらの材料を使用する場合は、透明層13を、例えば、光硬化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂によって情報層12に貼り合わせることにより形成する。
【0057】
基板11は、透明で円盤状である。基板11には、例えば、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、またはPMMA等の樹脂、或いはガラスを用いることができるが、転写性および量産性に優れ、且つ低コストであることから、ポリカーボネートが特に好ましい。基板11の情報層12と接する面には、必要に応じてレーザ光を導くための案内溝が形成されていてもよい。基板11の情報層12と接する面と反対側の面は、平滑であることが好ましい。
【0058】
なお、基板11の厚さは、十分な強度があり、且つ光学的情報記録媒体1の全体の厚さが1200μm程度となるように、500μm〜1200μmの範囲内であることが好ましい。なお、透明層13の厚さが600μm程度(NA=0.6で良好な記録再生が可能な厚みである。)の場合、基板11の厚さは550μm〜650μmの範囲内であることが好ましい。また、透明層13の厚さが100μm程度(NA=0.85で良好な記録再生が可能な厚みである。)の場合、基板11の厚みは1050μm〜1150μmの範囲内であることが好ましい。
【0059】
レーザ光を集光した際のスポット径はレーザ光の波長λによって決定され、波長λが短いほどより小さなスポット径に集光可能である。このため、高密度記録の場合、レーザ光の波長λは450nm以下であることが好ましい。また、波長λが350nm未満の場合、透明層13等による光吸収が大きくなってしまう。このため、レーザ光の波長λは350nm以上が好ましい。
【0060】
次に、情報層12を構成する各膜について説明する。
【0061】
入射側保護膜14は、誘電体からなる。この入射側保護膜14は、記録膜16の酸化、腐食、変形等を防止する働きと、光学距離を調整して記録膜16の光吸収効率を高める働きと、記録前後の反射光量の変化を大きくして信号振幅を大きくする働きと、を有する。入射側保護膜14には、例えばTiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb22、Ta25、SiO2、Al23、Bi23等の酸化物を用いることができる。また、C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−Nなどの窒化物を用いることもできる。また、ZnSなどの硫化物やSiCなどの炭化物を用いることもできる。また、上記材料の混合物を用いることもできる。例えば、ZnSとSiO2との混合物(ZnS−SiO2)は、入射側保護膜14の材料として特に優れている。ZnS−SiO2は、非晶質材料で、屈折率が高く、成膜速度が速く、機械特性および耐湿性が良好である。
【0062】
入射側保護膜14の膜厚は、マトリクス法(例えば、久保田広著「波動光学」岩波書店、1971年、第3章を参照。)に基づく計算により、記録膜16が結晶相である場合と非晶質相である場合との間の反射光量の変化が大きくなり、且つ、記録膜16での光吸収が大きくなるという条件を満足するように決定することができる。
【0063】
入射側誘電体膜15は、繰り返し記録によって入射側保護膜14と記録膜16との間で生じる物質移動を防止する働きと、記録膜16の結晶化を促進させる働きと、を有する。入射側誘電体膜15は、記録膜16に接して設けられるため、記録の際に溶けない程度の高融点を有する材料であって、且つ記録膜16との密着性が良い材料であることが好ましい。記録の際に溶けない程度の高融点を有する材料であることは、高パワーのレーザ光を照射した際に入射側誘電体膜15の材料が溶融して記録膜16に混入しないようにするために必要な特性である。入射側誘電体膜15を構成する物質が記録膜16に混入すると、記録膜16の組成が変わり、書き換え性能が著しく低下するからである。また、カルコゲナイド材料からなる記録膜16と密着性が良い材料であることは、信頼性確保に必要な特性である。
【0064】
入射側誘電体膜15には、ZrおよびHfの少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む材料を用いる。このような材料の中でも、CrとOとがCr23の化合物を形成し、M1とOとが(M1)O2の化合物を形成して、Cr23と(M1)O2の混合物(第1の混合物)となっているものが好ましい。Cr23は記録膜16との密着性が良い材料である。また、ZrO2およびHfO2は、透明で融点が約2700〜2800℃と高く、且つ酸化物の中では熱伝導率が低い材料であるので、繰り返し書き換え性能の向上に繋がる。従って、これら2種類の酸化物からなる混合物を入射側誘電体膜15が含むことによって、繰り返し書き換え性能に優れ、且つ信頼性の高い光学的情報記録媒体を実現できる。なお、記録膜16との密着性を確保するため、混合物Cr23−(M1)O2中のCr23は10mol%以上であることが好ましい。また、Cr23の含有量が多くなると光吸収が増加する傾向にあるため、入射側誘電体膜15での光吸収を小さく保つために、Cr23は60mol%以下であることが好ましい。より好ましいCr23の含有量は、20mol%以上50mol%以下である。
【0065】
入射側誘電体膜15には、M1、Cr、およびOの元素の他に、さらにSiを含む材料を用いることもできる。このような材料の中でも、CrとOとが化合物Cr23を形成し、M1とOとが化合物(M1)O2を形成し、SiとOとが化合物SiO2を形成して、SiO2とCr23と(M1)O2との混合物(第1の混合物)となっているものが好ましい。SiO2を含むことにより、記録膜16の結晶化を促進する効果が高くなり、書き換え性能に優れた光学的情報記録媒体を実現できる。混合物SiO2−Cr23−(M1)O2中のSiO2は5mol%以上であることが好ましく、記録膜16との密着性を確保するため40mol%以下であることが好ましい。より好ましくは、10mol%以上35mol%以下である。また、混合物SiO2−Cr23−(M1)O2中のCr23の含有量は、10mol%以上70mol%以下であることが好ましい。また、良好な記録書き換え性能を確保するため、SiO2とCr23の含有量の和は95mol%以下であることが好ましい。
【0066】
入射側誘電体膜15の膜厚は、入射側誘電体膜15での光吸収によって光学的情報記録媒体1の記録前後の反射光量の変化が小さくならないよう、1nm〜10nmの範囲内であることが望ましく、2nm〜5nmの範囲内であることがより好ましい。
【0067】
反入射側誘電体膜17は、入射側誘電体膜15と同様に、繰り返し記録によって反入射側保護膜18と記録膜16との間で生じる物質移動を防止する働きと、記録膜16の結晶化を促進させる働きとを有するほか、光学距離を調整して記録膜16の光吸収効率を高める働きと、記録前後の反射光量の変化を大きくして信号振幅を大きくする働きをも有する。反入射側誘電体膜17には、入射側誘電体膜15と同様、M1、Cr、およびOの元素を含む材料を用いることが好ましい。このような材料の中でも、CrとOとが化合物Cr23を形成し、M1とOとが化合物(M1)O2を形成して、Cr23と(M1)O2の混合物(第2の混合物)になっていることが好ましい。反入射側誘電体膜17は、入射側誘電体膜15よりも記録膜16から剥がれやすいので、Cr原子濃度を入射側誘電体膜15よりも大きくして記録膜16との密着性を向上させる必要がある。従って、例えば、反入射側誘電体膜17が混合物Cr23−(M1)O2を含む場合は、混合物Cr23−(M1)O2中のCr23の含有量は、入射側誘電体膜15のそれより多い20mol%以上80mol%以下であることが好ましく、30mol%以上70mol%以下であることがより好ましい。これは、入射側誘電体膜15よりも水が浸入しやすい反入射側誘電体膜17は入射側誘電体膜15よりも記録膜16から剥がれやすいので、記録膜16と密着性の良好なCr23の含有量を増加させて密着性を向上させるためである。
【0068】
反入射側誘電体膜17には、入射側誘電体膜15と同様、M1、Cr、およびOの元素の他にさらにSiを含む材料を用いてもよい。このような材料の中でも、CrとOとが化合物Cr23を形成し、M1とOとが化合物(M1)O2を形成し、SiとOとが化合物SiO2を形成して、SiO2とCr23と(M1)O2との混合物(第2の混合物)になっていることが好ましい。混合物SiO2−Cr23−(M1)O2におけるSiO2の含有量は、記録膜16との密着性を向上させるために入射側誘電体膜15のそれより少ない35mol%以下であることが好ましく、5mol%以上30mol%以下であることがより好ましい。また、混合物SiO2−Cr23−(M1)O2中のCr23の含有量は、20mol%以上80mol%以下であることが好ましい。また、良好な記録書き換え性能を確保するため、SiO2とCr23の含有量の和は95mol%以下であることが好ましい。
【0069】
反入射側誘電体膜17の膜厚は、2nm〜75nmであることが好ましく、2nm〜40nmであることがより好ましい。反入射側誘電体膜17の膜厚をこの範囲内に形成することによって、記録膜16で発生した熱を効果的に反射膜20側に拡散させることができる。
【0070】
反入射側保護膜18には、入射側保護膜14と同様の系の材料を用いることができる。混合物ZnS−SiO2は、反入射側保護膜18としても優れた材料である。
【0071】
反入射側保護膜18の膜厚は、2nm〜75nmであることが好ましく、2nm〜40nmであることがより好ましい。反入射側保護膜18の膜厚をこの範囲内に形成することによって、記録膜16で発生した熱を効果的に反射膜20側に拡散させることができる。なお、反入射側保護膜18を設けない構成とすることも可能である。
【0072】
記録膜16は、レーザ光の照射によって結晶相と非晶質相との間で可逆的な相変化を起こす材料からなり、例えば、Ge−M2−Teを含む材料で形成できる。ただし、M2はSbおよびBiから選択される少なくと一方の元素である。具体的には、記録膜16は、例えば、組成式Gea(M2)bTe3+aで表される材料で形成できる。このような材料によれば、非晶質相が安定で信号振幅が大きく、融点の上昇と結晶化速度の低下が少ない記録膜を形成することができる。なお、Gea(M2)bTe3+aにおいて、aは、0<a≦60を満たすことが望ましく、4≦a≦23を満たすことがより好ましい。また、bは、非晶質相が安定で信号振幅が大きく、結晶化速度の低下が少なくなるように、1.5≦b≦7を満たすことが好ましく、1.5≦b≦3を満たすことがより好ましい。
【0073】
また、記録膜16は、Gea(M2)bTe3+aにおいて、Geの一部をSnおよびPbから選択される少なくとも一方の元素(M3)で置換した材料で形成してもよい。この材料を用いた場合、Geを置換したM3が結晶化能を向上させるため、記録膜16の膜厚が薄い場合でも十分な消去率が得られる。M3としては、毒性がない点でSnがより好ましい。なお、この場合も0<a≦60(より好ましくは4≦a≦23)、且つ1.5≦b≦7(より好ましくは1.5≦b≦3)であることが好ましい。なお、記録膜16にこの組成の材料を用いる場合、高線速(6m/s〜10m/s)での記録再生に対して特に有効である。
【0074】
また、記録膜16は、組成式(GeaM2bTe3+a100-cM4c(但し、M4はSi、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Se、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W、Os、Ir、Pt、Gd、Td、DyおよびAuから選ばれる少なくとも一つの元素)で表される材料で形成しても良い。この場合、添加された元素M4が記録膜の融点及び結晶化温度を上昇させるため、記録膜16の熱的安定性が向上する。このような材料では、0<c≦20であることが好ましく、2≦c≦10であることがより好ましい。また、0<a≦60(より好ましくは4≦a≦23)、且つ1.5≦b≦7(より好ましくは1.5≦b≦3)であることが好ましい。なお、記録膜16にこの組成の材料を用いる場合、低線速(3m/s〜4m/s)での記録再生に対して特に有効である。
【0075】
また、記録膜16は、組成式(SbdTe100-d100-e(M5)e(但し、M5はAg、In、Ge、Sn、Se、Bi、AuおよびMnから選択される少なくとも一つの元素)で表される材料で形成してもよい。dおよびeが、50≦d≦95および0<e≦20を満たす場合には、記録膜16が結晶相の場合と非晶質相の場合との間の光学的情報記録媒体1の反射率差を大きくできるので、良好な記録再生特性が得られる。65≦dの場合には、結晶化速度が特に速く、特に良好な消去率が得られる。また、80≦dの場合には、非晶質化が困難となる。従って、65≦d≦85であることがより好ましい。また、良好な記録再生性能を得るためには、結晶化速度を調整するためのM5を添加することが好ましい。eは、1≦e≦10であることがより好ましい。e≦10の場合には、複数の相が現れることを抑制できるため、繰り返し記録による特性劣化を抑制できる。
【0076】
記録膜16の膜厚は、記録感度を高くするため、6nm〜15nmの範囲内であることが好ましい。この範囲内においても、記録膜16が厚すぎる場合には、熱の面内方向への拡散による隣接領域への熱的影響が大きくなる。また、記録膜16が薄すぎる場合には、光学的情報記録媒体1の反射率が小さくなる。従って、記録膜16の膜厚は、8nm〜12nmの範囲内であることがより好ましい。
【0077】
反射膜20は、記録膜16に吸収される光量を増大させるという光学的な機能を有する。また、反射膜20は、記録膜16で生じた熱を速やかに拡散させ、記録膜16を非晶質化し易くするという熱的な機能も有する。さらに、反射膜20は、使用する環境から多層膜を保護するという機能も有する。
【0078】
反射膜20の材料には、例えば、Ag、Au、CuおよびAlといった熱伝導率が高い単体金属や、Al−Cr、Al−Ti、Au−Pd、Au−Cr、Ag−Pd、Ag−Pd−Cu、Ag−Pd−Ti、Ag−Ru−Au、Ag−Nd−Au、Ag−Nd−CuまたはCu−Siといった合金を用いることができる。特にAg合金は、熱伝導率が大きいため、反射膜20の材料として好ましい。反射膜20の膜厚は、熱拡散機能が十分となる30nm以上であることが好ましい。この膜厚範囲においても、反射膜20が200nmより厚い場合には、その熱拡散機能が大きくなりすぎて光学的情報記録媒体1の記録感度が低下する。従って、反射膜20の膜厚は30nm〜200nmの範囲内であることがより好ましい。
【0079】
反射膜20のレーザ入射側の界面に金属膜19を配置しても良い。この場合、金属膜19には、反射膜20について説明した材料より熱伝導率の低い材料を用いることができる。反射膜20にAg合金を用いた場合、金属膜19にAlまたはAl合金を用いることが好ましい。また、金属膜19の膜厚は3nm〜100nmであることが好ましく、10nm〜50nmであることがより好ましい。
【0080】
以上のような構成の光学的情報記録媒体1は、記録膜16と入射側および反入射側の誘電体膜15,17との密着性が良好で信頼性が高く、書き換え性能が良好で、且つ記録膜16の結晶化能の向上による大容量化が実現できる。
【0081】
(実施の形態2)
本発明の光学的情報記録媒体の別の実施の形態を説明する。図2に、本実施の形態の光学的情報記録媒体2の断面構成を示す。光学的情報記録媒体2は、複数の情報層を含んでおり、片面からのレーザ光の照射によって各情報層に対する情報の記録再生が可能な、多層構造の光学的情報記録媒体である。
【0082】
光学的情報記録媒体2においては、基板21上に第1〜第nまでのn個(nはn≧2を満たす自然数)の情報層221〜22nが積層され、さらに、透明層23が設けられている。なお、本明細書においては、レーザ光の入射側から数えて1番目の情報層を第1の情報層221、n番目の情報層を第nの情報層22nと記載する。互いに隣接する情報層は、光学分離層24を介して積層されている。光学的情報記録媒体2においては、第1の情報層221〜第(n−1)の情報層22n-1は、光透過性を有している。第nの情報層22nにまでレーザ光を到達させる必要があるからである。
【0083】
基板21および透明層23の材料には、それぞれ、実施の形態1で説明した基板11および透明層13と同様の材料を用いることができる。また、それらの形状および機能についても、実施の形態1の場合と同様である。
【0084】
光学分離層24は、光硬化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂、或いは誘電体等からなり、使用するレーザ光に対して光吸収率が小さいことが好ましく、短波長域において光学的に複屈折率が小さいことが好ましい。
【0085】
各情報層間に設けられる光学分離層24は、第1の情報層221、第2の情報層222、…、第nの情報層22nそれぞれのフォーカス位置を区別するために用いられる。光学分離層24の厚さは、対物レンズの開口数(NA)とレーザ光の波長λによって決定される焦点深度ΔZ以上であることが必要である。焦点の光強度の基準を無収差の場合の80%と仮定した場合、焦点深度ΔZはΔZ=λ/{2(NA)2}で近似できる。λ=400nm、NA=0.6の時、ΔZ=0.556μmとなり、±0.6μm以内は焦点深度内となる。そのため、この場合には、光学分離層24の厚さは1.2μm以上であることが必要である。また、対物レンズを用いてレーザ光を集光可能な範囲となるように、各情報層間の距離を設定することが望ましい。従って、光学分離層24の厚さは、対物レンズが許容できる公差内(例えば50μm以下)にすることが好ましい。
【0086】
光学分離層24において、レーザ光の入射側の表面には、必要に応じてレーザ光を導くための案内溝が形成されていてもよい。この場合、片側からのレーザ光の照射のみにより、第kの情報層(kは1<k≦nの自然数)22kを第1の情報層221〜第(k−1)の情報層22k-1を透過したレーザ光によって記録再生することが可能である。
【0087】
以下、第1の情報層221の構成について詳細に説明する。第1の情報層221には、レーザ光の入射側から順に配置された入射側保護膜25、入射側誘電体膜(第1の誘電体膜)26、記録膜27、反入射側誘電体膜(第2の誘電体膜)28、反射膜29、および透過率調整膜30が設けられている。
【0088】
入射側保護膜25には、実施の形態1で説明した入射側保護膜14と同様の材料を用いることができ、また、機能も入射側保護膜14と同様である。入射側保護膜25の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、記録膜27が結晶相である場合と非晶質相である場合との間の反射光量の変化が大きくなり、且つ、記録膜27での光吸収が大きくなるという条件を満足するように決定することができる。
【0089】
入射側誘電体膜26には、実施の形態1で説明した入射側誘電体膜15と同様の材料を用いることができ、また、機能および形状も入射側誘電体膜15と同様である。
【0090】
反入射側誘電体膜28には、実施の形態1で説明した反入射側誘電体膜17と同様の材料を用いることができ、また、機能および形状も反入射側誘電体膜17と同様である。
【0091】
記録膜27には、実施の形態1で説明した記録膜16と同様の材料を用いることができる。記録膜27の膜厚はなるべく薄くすることが好ましい。これは、第1の情報層221を透過したレーザ光にて情報の記録再生を行う情報層(第1の情報層221よりもレーザ光入射側から遠くに配置された情報層)に記録再生の際に必要なレーザ光量を到達させるために、第1の情報層221の透過率を高くする必要があるからである。例えば、組成式Gea(M2)bTe3+aで表される材料、Gea(M2)bTe3+aにおいてGeの一部を(M3)にて置換した材料、および組成式(Gea(M2)bTe3+a100-c(M4)cで表される材料の場合には、3nm〜9nmの範囲内であることが好ましく、4nm〜8nmの範囲内であることがより好ましい。また、記録膜27が組成式(SbdTe100-d100-e(M5)eで表される材料にて形成されている場合は、厚みは1nm〜7nmの範囲内であることが好ましく、2nm〜6nmの範囲内であることがより好ましい。
【0092】
反射膜29には、実施の形態1で説明した反射膜20と同様の材料を用いることができ、また、機能も反射膜20と同様である。反射膜29の膜厚は、第1の情報層221の透過率をできるだけ高くするため、3nm〜15nmの範囲内であることが好ましく、8nm〜12nmの範囲内であることがより好ましい。反射膜29の膜厚がこの範囲内にあることにより、その熱拡散機能が十分で、且つ第1の情報層221における十分な反射率が確保でき、さらに第1の情報層221の透過率も十分となる。
【0093】
透過率調整膜30は誘電体からなり、第1の情報層221の透過率を調整する機能を有する。この透過率調整膜30によって、記録膜27が結晶相である場合の第1の情報層221における透過率Tc(%)と、記録膜27が非晶質相である場合の第1の情報層221における透過率Ta(%)とを、共に高くすることができる。具体的には、透過率調整膜30を備える第1の情報層221では、透過率調整膜30が無い場合に比べて、透過率TcおよびTaが2%〜10%程度上昇する。また、透過率調整膜30は、記録膜27で発生した熱を効果的に拡散させる機能も有する。
【0094】
透過率調整膜30の屈折率n1および消衰係数k1は、第1の情報層221の透過率TcおよびTaを高める作用をより大きくするために、2.0≦n1、且つ、k1≦0.1を満たすことが好ましく、2.0≦n1≦3.0、且つ、k1≦0.05を満たすことがより好ましい。
【0095】
透過率調整膜30の膜厚d1は、(1/32)λ/n1≦d1≦(3/16)λ/n1または(17/32)λ/n1≦d1≦(11/16)λ/n1の範囲内であることが好ましく、(1/16)λ/n1≦d1≦(5/32)λ/n1または(9/16)λ/n1≦d1≦(21/32)λ/n1の範囲内であることがより好ましい。なお、例えばレーザ光の波長λと透過率調整膜30の屈折率n1とを350nm≦λ≦450nm、2.0≦n1≦3.0とすると、膜厚d1は3nm≦d1≦40nmまたは60nm≦d1≦130nmの範囲内であることが好ましく、7nm≦d1≦30nmまたは65nm≦d1≦120nmの範囲内であることがより好ましいことになる。膜厚d1をこの範囲内で選ぶことによって、第1の情報層221の透過率TcおよびTaを共に高くすることができる。
【0096】
透過率調整膜30には、例えば、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb25、Ta25、SiO2、Al23、Bi23等の酸化物を用いることができる。また、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−N等の窒化物を用いることもできる。また、ZnSなどの硫化物を用いることもできる。また、上記材料の混合物を用いることもできる。これらの中でも、特に、TiO2、またはTiO2を含む材料を用いることが好ましい。これらの材料は屈折率が大きく(n1=2.5〜2.8)、消衰係数も小さい(k1=0.0〜0.05)ため、第1の情報層221の透過率を高める作用が大きくなる。
【0097】
第1の情報層221の透過率TcおよびTaは、記録再生の際に必要なレーザ光量を第2の情報層222〜第nの情報層22nに到達させるため、40<Tc、且つ、40<Taを満たすことが好ましく、46<Tc、且つ、46<Taを満たすことがより好ましい。
【0098】
第1の情報層221の透過率TcおよびTaは、−5≦(Tc−Ta)≦5を満たすことが好ましく、−3≦(Tc−Ta)≦3を満たすことがより好ましい。透過率TcおよびTaがこの条件を満たすことにより、第2〜第nの情報層222〜22nに情報の記録再生を行う際、第1の情報層221における記録膜27の状態による透過率の変化の影響が小さくなるので、良好な記録再生特性が得られる。
【0099】
記録膜27が結晶相の時の第1の情報層221の反射率Rc1および記録膜27が非晶質相の時の第1の情報層221の反射率Ra1は、Ra1<Rc1を満たすことが好ましい。このことにより、情報が記録された状態よりも情報が記録されていない初期の状態で反射率が高く、安定に記録再生動作を行うことができる。また、反射率差(Rc1−Ra1)を大きくして良好な記録再生特性が得られるように、Rc1、Ra1は、0.1≦Ra1≦5、且つ、4≦Rc1≦15を満たすことが好ましく、0.1≦Ra1≦3、且つ、4≦Rc1≦10を満たすことがより好ましい。
【0100】
なお、本実施の形態の光学的情報記録媒体2に含まれる第1の情報層221以外の他の情報層の膜構造は、第1の情報層221と同様であってもよく、また、別の構造であってもよい。また、複数の情報層のうちの少なくとも一つを本実施の形態で説明した第1の情報層221と同様の膜構造とし、他の情報層は異なる構造であっても構わないが、レーザ光入射側の面に最も近い位置に配置される第1の情報層221を本実施の形態で説明した膜構造にすることが好ましい。また、第1の情報層221以外の他の情報層の何れか一つを、再生専用タイプの情報層(ROM(Read Only Memory))または1回のみ書き込み可能な追記型の情報層(WO(Write Once))としても良い。
【0101】
以上のような構成の光学的情報記録媒体2は、記録膜27と入射側および反入射側の誘電体膜26,28との密着性が良好で信頼性が高く、書き換え性能が良好で、且つ記録膜27の結晶化能の向上により大容量化が実現できる。
【0102】
(実施の形態3)
本発明の光学的情報記録媒体のさらに別の実施の形態を説明する。図3に、本実施の形態の光学的情報記録媒体3の断面構成を示す。光学的情報記録媒体3は、2つの情報層を含んでおり、片面からのレーザ光の照射によって各情報層に対する情報の記録再生が可能な多層構造の光学的情報記録媒体である。
【0103】
光学的情報記録媒体3は、基板31上に順次積層した、第2の情報層322、光学分離層34、第1の情報層321、および透明層33により構成されている。レーザ光は透明層33側から入射される。基板31、光学分離層34、第1の情報層321、および透明層33には、実施の形態1または2で説明した基板11,21、光学分離層24、第1の情報層221、透明層13,23と同様の材料を用いることができ、また、形状および機能も同様である。
【0104】
以下、第2の情報層322の構成について詳細に説明する。第2の情報層322には、レーザ光入射側から順に配置された入射側保護膜35、入射側誘電体膜(第1の誘電体膜)36、記録膜37、反入射側誘電体膜(第2の誘電体膜)38、反入射側保護膜39、金属膜40、および反射膜41が設けられている。第2の情報層322は、透明層33および第1の情報層321、および光学分離層34を透過したレーザ光によって情報の記録再生が行われる。
【0105】
入射側保護膜35には、実施の形態1で説明した入射側保護膜14と同様の材料を用いることができ、また、機能についても同様である。入射側保護膜35の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、記録膜37が結晶相である場合と非晶質相である場合との間の反射光量の変化が大きくなり、且つ記録膜37での光吸収が大きくなるという条件を満足するように決定することができる。
【0106】
入射側誘電体膜36には、実施の形態1で説明した入射側誘電体膜15と同様の材料を用いることができ、また、機能および形状も同様である。
【0107】
反入射側誘電体膜38には、実施の形態1で説明した反入射側誘電体膜17と同様の材料を用いることができ、また、機能および形状も同様である。
【0108】
記録膜37には、実施の形態1で説明した記録膜16と同様の材料を用いることができ、また、膜厚も同様である。
【0109】
反入射側保護膜39には、実施の形態1で説明した反入射側保護膜18と同様の材料を用いることができ、また、機能および形状も同様である。なお、反入射側保護膜39を設けない構成とすることも可能である。
【0110】
金属膜40には、実施の形態1で説明した金属膜19と同様の材料を用いることができ、また、機能および形状も同様である。なお、金属膜40を設けない構成とすることも可能である。
【0111】
反射膜41には、実施の形態1で説明した反射膜20と同様の材料を用いることができ、また、それらの機能および形状も同様である。
【0112】
以上のような構成の光学的情報記録媒体3は、第1の情報層321および第2の情報層322共に、入射側誘電体膜26,36および反入射側誘電体膜28,38と記録膜27,37との密着性が良好で信頼性が高く、書き換え性能が良好で、且つ記録膜27,37の結晶化能の向上による大容量化も実現できる。
【0113】
(実施の形態4)
本発明の光学的情報記録媒体のさらに別の実施の形態を説明する。図4に、本実施の形態の光学的情報記録媒体5の断面構成を示す。光学的情報記録媒体5は、複数の情報層を含んでおり、片面からのレーザ光の照射によって各情報層に対する記録再生が可能な多層構造の光学的情報記録媒体である。
【0114】
光学的情報記録媒体5では、実施の形態1〜3で説明した光学的情報記録媒体1〜3と異なり、基板51がレーザ光入射側に配置されている。この基板51上にn個の第1〜第nの情報層521〜52nが積層され、さらに、接着層53を介してダミー基板54が配置されている。n個の情報層521〜52nは、光学分離層55を介して互いに積層されている。
【0115】
基板51およびダミー基板54は、実施の形態1で説明した基板11と同様に、透明で円盤状の基板である。基板51およびダミー基板54には、例えば、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、またはPMMA等の樹脂、或いはガラスを用いることができる。
【0116】
基板51の第1の情報層521側の表面には、必要に応じてレーザ光を導くための案内溝が形成されていても良い。基板51の第1の情報層521側と反対側の表面は、平滑であることが好ましい。基板51およびダミー基板54の材料としては、転写性および量産性に優れ、低コストであることから、ポリカーボネートが特に好ましい。なお、基板51の厚さは、十分な強度があり、且つ光学的情報記録媒体5の厚さが全体で1200μm程度となるよう、500μm〜1200μmの範囲内であることが好ましい。
【0117】
接着層53は、光硬化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂からなり、使用するレーザ光に対して光吸収率が小さいことが好ましく、短波長域において光学的に複屈折率が小さいことが好ましい。
【0118】
なお、第1の情報層521の膜構成は実施の形態2で説明した第1の情報層221の膜構成と同様であり、各膜の材料、形状、および機能等についても同様である。また、光学分離層54は、実施の形態2で説明した光学分離層24と同様の材料を用いることができ、形状および機能も同様である。
【0119】
以上のようにレーザ光入射側に基板51が配置された光学的情報記録媒体5においても、実施例1〜3で説明した光学的情報記録媒体1〜3と同様の効果を相する。
【0120】
(実施の形態5)
本発明の光学的情報記録媒体の製造方法の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、実施の形態1で説明した光学的情報記録媒体1の製造方法について説明する。
【0121】
まず、基板11(例えば厚み1100μm)を用意し、成膜装置内に配置する。続いて、基板11上に情報層12を作製する。具体的には、基板11上にまず反射膜20を成膜する。この時、基板11にレーザ光を導くための案内溝が形成されている場合には、この案内溝が形成された面に反射膜20を成膜する。反射膜20は、反射膜20を構成する金属または合金からなるスパッタリングターゲットを、Arガス雰囲気中、またはArガスと反応ガス(酸素ガスおよび窒素ガスから選ばれる少なくとも一つのガス)との混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成できる。
【0122】
続いて、反射膜20上に、必要に応じて金属膜19を成膜する。金属膜19は、金属膜19を構成する金属または合金からなるスパッタリングターゲットを用い、反射膜20の場合と同様の方法で形成できる。
【0123】
続いて、金属膜19上(金属膜19を設けない構成の場合は反射膜20上)に、必要に応じて反入射側保護膜18を成膜する。反入射側保護膜18は、反入射側保護膜18を構成する化合物からなるスパッタリングターゲットを、Arガス雰囲気中、またはArガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成できる。また、反入射側保護膜18は、反入射側保護膜18を構成する元素を含む金属からなるスパッタリングターゲットを、Arガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングすることによっても形成できる。
【0124】
続いて、反入射側保護膜18上(反入射側保護膜18を設けない構成の場合は金属膜19上または反射膜20上)に、反入射側誘電体膜17を成膜する。反入射側誘電体膜17は、混合物Cr23−(M1)O2または混合物SiO2−Cr23−(M1)O2を含むスパッタリングターゲット(第2のスパッタリングターゲット)を用いて、スパッタリングにより形成できる。このスパッタリングターゲットに含まれる混合物がCr23−(M1)O2の場合、この混合物においてCr23が15mol%以上80mol%以下であることが好ましい。また、このスパッタリングターゲットに含まれる混合物がSiO2−Cr23−(M1)O2の場合、この混合物において、
SiO2:35mol%以下
Cr23:15mol%以上80mol%以下
SiO2+Cr23:15mol%を超え、95mol%以下
であることが好ましい。
【0125】
これらのようなスパッタリングターゲットを、Arガス雰囲気中、またはArガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって、反入射側誘電体膜17が形成できる。ここで、Cr23は(M1)O2やSiO2に対してスパッタリングで形成し易いため、スパッタリングターゲットのCr23の含有量は、所定の膜組成に対して若干少なくすることが好ましい。
【0126】
続いて、反入射側誘電体膜17上に、記録膜16を成膜する。記録膜16は、その組成に応じて、Ge−M2−Te合金からなるスパッタリングターゲット、またはGe−M2−Te−M3合金からなるスパッタリングターゲット、またはGe−M2−Te−M4合金からなるスパッタリングターゲット、またはSb−Te−M5合金からなるスパッタリングターゲットを、一つの電源を用いて、スパッタリングすることによって形成できる。
【0127】
記録膜16を成膜する場合のスパッタリングの雰囲気ガスには、Arガス、Krガス、Arガスと反応ガスとの混合ガス、またはKrガスと反応ガスとの混合ガスを用いることができる。また、記録膜16は、Ge、Te、M2、M3、M4、およびM5のうち必要な金属を含むスパッタリングターゲットを複数の電源を用いて同時にスパッタリングすることによって形成することもできる。また、記録膜16は、Ge、Te、M2、M3、M4、およびM5から必要な元素を組み合わせた2元系スパッタリングターゲットや3元系スパッタリングターゲットなどを、複数の電源を用いて同時にスパッタリングすることによって形成することもできる。これらの場合でも、Arガス雰囲気中、Krガス雰囲気中、Arガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中、またはKrガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成できる。
【0128】
続いて、記録膜16上に、入射側誘電体膜15を成膜する。入射側誘電体膜16は、混合物Cr23−(M1)O2または混合物SiO2−Cr23−(M1)O2を含むスパッタリングターゲット(第1のスパッタリングターゲット)を用いて、スパッタリングにて形成できる。このスパッタリングターゲットに含まれる混合物がCr23−(M1)O2である場合、この混合物においてCr23が5mol%以上60mol%以下であることが好ましい。また、このスパッタリングターゲットに含まれる混合物がSiO2−Cr23−(M1)O2である場合は、この混合物において、
SiO2:5mol%以上40mol%以下
Cr23:5mol%以上70mol%以下
SiO2+Cr23:10mol%以上95mol%以下
であることが好ましい。これらのようなスパッタリングターゲットを、Arガス雰囲気中、またはArガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって、入射側誘電体膜15が形成できる。ここでも、Cr23は(M1)O2やSiO2に対してスパッタリングで形成し易いため、スパッタリングターゲットのCr22の含有量は、所定の膜組成に対して若干少なくすることが好ましい。
【0129】
続いて、入射側誘電体膜15上に、入射側保護膜14を成膜する。入射側保護膜14は、入射側保護膜14を構成する化合物からなるスパッタリングターゲットを、Arガス雰囲気中、またはArガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成できる。また、入射側保護膜14は、入射側保護膜14を構成する元素を含む金属からなるスパッタリングターゲットを、Arガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングすることによっても形成できる。
【0130】
最後に、入射側保護膜14上に透明層13を形成する。透明層13は、光硬化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)または遅効性熱硬化型樹脂を入射側保護膜14上に塗布してスピンコートした後、樹脂を硬化させることによって形成できる。また、透明層13として、透明な円盤状のポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、またはPMMA等の樹脂、或いはガラスなどの基板を用いても良い。この場合、透明層13は、光硬化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂を入射側保護膜14上に塗布して、次に基板を入射側保護膜14上に密着させ、全体を回転させて樹脂を均一に延ばした(スピンコートした)後、樹脂を硬化させることによって形成できる。また、予め粘着性の樹脂を均一に塗布した基板を入射側保護膜14に密着させることもできる。
【0131】
なお、本実施の形態においては、各膜の成膜方法としてスパッタリング法を用いたが、これに限定されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)等を用いることも可能である。
【0132】
なお、入射側保護膜14を成膜した後、または透明層13を形成した後、必要に応じて、記録膜16の全面を結晶化させる初期化工程を行っても良い。記録膜16の結晶化は、レーザ光を照射することによって行うことができる。
【0133】
以上のようにして、光学的情報記録媒体1を製造できる。
【0134】
(実施の形態6)
本発明の光学的情報記録媒体の製造方法の別の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、実施の形態2で説明した光学的情報記録媒体2の製造方法について説明する。
【0135】
まず、基板21(例えば厚さ1100μm)上に、第nの情報層22n〜第2の情報層222の(n−1)層の情報層を、光学分離層24を介して順次積層する。各情報層は、単層膜または多層膜からなり、それらの各膜は、成膜装置内で材料となるスパッタリングターゲットを順次スパッタリングすることによって形成できる。また、光学分離層24は、光硬化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)または遅効性熱硬化型樹脂を情報層上に塗布し、スピンコートにより樹脂を均一に延ばし、その後で樹脂を硬化させることによって形成できる。なお、光学分離層24にレーザ光の案内溝を形成する場合は、表面に所定の形状の溝が形成された転写用基板(型)を硬化前の樹脂に密着させた後、基板21と転写用基板とを回転させてスピンコートし、その後に樹脂を硬化させ、さらにその後に転写用基板を硬化させた樹脂から剥がすことによって、表面に所定の案内溝が形成された光学分離層24を形成できる。
【0136】
このようにして、基板21上に、(n−1)層の情報層を光学分離層24を介して順次積層した後、さらに光学分離層24を形成したものを用意する。続いて、(n−1)層の情報層上に形成された光学分離層24上に、第1の情報層221を形成する。具体的には、まず、(n−1)層の情報層および光学分離層24が形成された基板21を成膜装置内に配置し、光学分離層24上に透過率調整膜30を成膜する。透過率調整膜30は、透過率調整膜30を構成する化合物からなるスパッタリングターゲットを、Arガス雰囲気中、またはArガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成できる。また、透過率調整膜30は、透過率調整膜30を構成する元素からなる金属をスパッタリングターゲットとして用い、Arガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングすることによっても形成できる。
【0137】
続いて、透過率調整膜30上に、反射膜29を成膜する。反射膜29は、実施の形態5で説明した反射膜20と同様の方法で形成できる。
【0138】
続いて、反射膜29上に、反入射側誘電体膜28を成膜する。反入射側誘電体膜28は、実施の形態5で説明した反入射側誘電体膜17と同様の方法で形成できる。
【0139】
続いて、反入射側誘電体膜28上に、記録膜27を成膜する。記録膜27は、実施の形態5で説明した記録膜16と同様の方法で形成できる。
【0140】
続いて、記録膜27上に、入射側誘電体膜26を成膜する。入射側誘電体膜26は、実施の形態5で説明した入射側誘電体膜15と同様の方法で形成できる。
【0141】
続いて、入射側誘電体膜26上に、入射側保護膜25を成膜する。入射側保護膜25は、実施の形態5で説明した入射側保護膜14と同様の方法で形成できる。
【0142】
最後に、入射側保護膜25上に透明層23を形成する。透明層23は、実施の形態5で説明した透明層13と同様の方法で形成できる。
【0143】
なお、入射側保護膜25を成膜した後、または透明層23を形成した後、必要に応じて、記録膜27の全面を結晶化させる初期化工程を行っても良い。記録膜27の結晶化は、レーザ光を照射することによって行うことができる。
【0144】
以上のようにして、光学的情報記録媒体2を製造できる。
【0145】
(実施の形態7)
本発明の光学的情報記録媒体の製造方法の別の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、実施の形態3で説明した光学的情報記録媒体3の製造方法について説明する。
【0146】
まず、基板31上に第2の情報層322を形成する。具体的には、まず、基板31(例えば厚さ1100μm)を用意し、成膜装置内に配置する。
【0147】
続いて、基板31上に反射膜41を成膜する。この時、基板31にレーザ光を導くための案内溝が形成されている場合には、案内溝が形成された面上に反射膜41を成膜する。反射膜41は、実施の形態5で説明した反射膜20と同様の方法で形成できる。
【0148】
続いて、反射膜41上に、必要に応じて金属膜40を成膜する。金属層40は、実施の形態5で説明した金属膜19と同様の方法で形成できる。
【0149】
続いて、金属膜40上(金属膜40を設けない場合は反射膜41上)に、必要に応じて反入射側保護膜39を成膜する。反入射側保護膜39は、実施の形態5で説明した反入射側保護膜18と同様の方法で形成できる。
【0150】
続いて、反入射側保護膜39上(反入射側保護膜39を設けない場合は、金属膜40上または反射膜41上)に、反入射側誘電体膜38を成膜する。反入射側誘電体膜38は、実施の形態5で説明した反入射側誘電体膜17と同様の方法で形成できる。
【0151】
続いて、反入射側誘電体膜38上に、記録膜37を成膜する。記録膜37は、実施の形態5で説明した記録膜16と同様の方法で形成できる。
【0152】
続いて、記録膜37上に、入射側誘電体膜36を成膜する。入射側誘電体膜36は、実施の形態5で説明した入射側誘電体膜15と同様の方法で形成できる。
【0153】
続いて、入射側誘電体膜36上に、入射側保護膜35を成膜する。入射側保護膜35は、実施の形態5で説明した入射側保護膜14と同様の方法で形成できる。
【0154】
以上のようにして、第2の情報層322を形成する。
【0155】
続いて、第2の情報層322の入射側保護膜35上に光学分離層34を形成する。光学分離層34は、実施の形態6で説明した光学分離層24と同様の方法で形成できる。
【0156】
なお、入射側保護膜35を成膜した後、または光学分離層34を形成した後に、必要に応じて、記録膜37の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。記録膜37の結晶化は、レーザ光を照射することによって行うことができる。
【0157】
続いて、光学分離層34上に第1の情報層321を形成する。具体的には、光学分離層34上に、透過率調整膜30、反射膜29、反入射側誘電体膜28、記録膜27、入射側誘電体膜26、および入射側保護膜25をこの順序で成膜する。これらの各膜は、実施の形態5で説明した方法で形成できる。
【0158】
最後に、入射側保護膜25上に透明層33を形成する。透明層33は、実施の形態5で説明した透明層13と同様の方法で形成できる。
【0159】
なお、入射側保護膜25を成膜した後、または透明層33を形成した後に、必要に応じて、記録膜27の全面を結晶化させる初期化工程を行っても良い。記録膜27の結晶化は、レーザ光を照射することによって行うことができる。
【0160】
また、第1の情報層321の入射側保護膜25を成膜した後、または透明層33を形成した後に、必要に応じて、第2の情報層322の記録膜37および第1の情報層321の記録膜27の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。この場合、第2の情報層322の記録膜37を先に結晶化させることが好ましい。
【0161】
以上のようにして、光学的情報記録媒体3を製造できる。
【0162】
(実施の形態8)
本発明の光学的情報記録媒体の製造方法のさらに別の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、実施の形態4で説明した光学的情報記録媒体5の製造方法について説明する。
【0163】
まず、基板51(例えば厚さ600μm)上に、第1の情報層521を形成する。この時、基板51にレーザ光を導くための案内溝が形成されている場合には、案内溝が形成された面上に第1の情報層521を形成する。具体的には、基板51を成膜装置内に配置し、実施の形態6で説明した第1の情報層221と逆の順番で、入射側保護膜25、入射側誘電体膜26、記録膜27、反入射側誘電体膜28、反射膜29、および透過率調整膜30を順次積層する。各膜の成膜方法は、実施の形態6で説明したとおりである。
【0164】
その後、第2の情報層522〜第nの情報層52nの(n−1)層の情報層を、光学分離層55を介して順次積層する。各情報層は、単層膜または多層膜からなり、それらの各膜は、実施の形態6で説明した方法と同様、成膜装置内で材料となるスパッタリングターゲットを順次スパッタリングすることによって形成できる。
【0165】
最後に、第nの情報層52nとダミー基板54とを、接着層53を用いて貼り合わせる。具体的には、光硬化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂を第nの情報層52n上に塗布し、この樹脂を介してダミー基板54を第nの情報層52n上に密着させてスピンコートした後、樹脂を硬化させると良い。また、ダミー基板54に予め粘着性の樹脂を均一に塗布しておき、それを第nの情報層52nに密着させることもできる。
【0166】
なお、ダミー基板54を密着させた後、必要に応じて、第1の情報層521の記録膜27の全面を結晶化させる初期化工程を行っても良い。記録膜27の結晶化は、レーザ光を照射することによって行うことができる。
【0167】
以上のようにして、光学的情報記録媒体5を製造できる。
【0168】
(実施の形態9)
実施の形態1〜4で説明した光学的情報記録媒体1、2、3、または5に対して情報の記録再生を行う方法について説明する。図5には、本実施の形態の記録再生方法に用いられる記録再生装置6の一部の構成が、模式的に示されている。記録再生装置6は、光学的情報記録媒体7を回転させるためのスピンドルモータ61と、半導体レーザ62を備える光学ヘッド63と、半導体レーザ62から出射されるレーザ光を集光する対物レンズ64とを含んでいる。光学的情報記録媒体7は、光学的情報記録媒体1、2、3、または5であり、一つの情報層または複数の情報層(例えば、光学的情報記録媒体3における第1の情報層321および第2の情報層322)を含んでいる。対物レンズ64は、レーザ光を光学的情報記録媒体7の情報層上に集光する。
【0169】
光学的情報記録媒体7への情報の記録、消去、および上書き記録は、レーザ光のパワーを、高パワーのピークパワー(Pp(mW))と低パワーのバイアスパワー(Pb(mW))とに変調させることによって行う。ピークパワーのレーザ光を照射することによって、情報層に含まれる記録膜の局所的な一部分に非晶質相が形成され、その非晶質相が記録マークとなる。記録マーク間では、バイアスパワーのレーザ光が照射され、結晶相(消去部分)が形成される。なお、ピークパワーのレーザ光を照射する場合には、パルスの列で形成する、いわゆるマルチパルスとするのが一般的である。なお、マルチパルスは、ピークパワーおよびバイアスパワーのパワーレベルだけで変調されても良いし、0mW〜ピークパワーの範囲のパワーレベルによって変調されても良い。
【0170】
また、ピークパワーおよびバイアスパワーの何れのパワーレベルよりも低く、そのパワーレベルでのレーザ光の照射によって記録マークの光学的な状態が影響を受けず、且つ光学的情報記録媒体7から記録マーク再生のための十分な反射光量が得られるパワーを再生パワー(Pr(mW))とし、再生パワーのレーザ光を照射することによって得られる光学的情報記録媒体7からの信号を検出器で読みとることにより、情報信号の再生が行われる。
【0171】
対物レンズ64の開口数(NA)は、レーザ光のスポット径を0.4μm〜0.7μmの範囲内に調整するため、0.5〜1.1の範囲内(より好ましくは、0.6〜1.0の範囲内)であることが好ましい。レーザ光の波長は、450nm以下(より好ましくは、350nm〜450nmの範囲内)であることが好ましい。情報を記録する際の光学的情報記録媒体7の線速度は、再生光による結晶化が起こりにくく、且つ十分な消去率が得られる3m/秒〜20m/秒の範囲内(より好ましくは、4m/秒〜15m/秒の範囲内)であることが好ましい。
【0172】
例えば、光学的情報記録媒体7が二つの情報層を備えた光学的情報記録媒体3である場合において、第1の情報層321に対して記録を行う際には、レーザ光の焦点を記録膜27に合わせ、透明層33を透過したレーザ光によって記録膜27に情報を記録する。情報の再生は、記録膜27によって反射され、透明層33を透過してきたレーザ光を用いて行う。一方、第2の情報層322に対して記録を行う際には、レーザ光の焦点を記録膜37に合わせ、透明層33、第1の情報層321、および光学分離層34を透過したレーザ光によって情報を記録する。情報の再生は、記録膜37によって反射され、光学分離層34、第1の情報層321、および透明層33を透過してきたレーザ光を用いて行う。
【0173】
なお、光学的情報記録媒体3の基板31および光学分離層34の表面にレーザ光を導くための案内溝が形成されている場合、情報は、レーザ光の入射側から近い方の溝面(グルーブ)に行われても良いし、遠い方の溝面(ランド)に行われても良い。また、グルーブとランドの両方に情報を記録しても良い。
【0174】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0175】
(実施例1〜6および比較例1〜4)
実施例1〜6および比較例1〜4の光学的情報記録媒体として、一層の情報層が設けられ、この情報層が図2に示した光学的情報記録媒体2の第1の情報層221である光学的情報記録媒体を作製した。つまり、光学的情報記録媒体2において、基板21と透明層23との間に第1の情報層221のみが設けられたものを作製した。実施例1〜6および比較例1〜4の光学的情報記録媒体は、情報層に含まれる入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28が共にCr、Zr、およびOの元素からなる(混合物Cr23−ZrO2にて形成されている)。ただし、Cr原子濃度(Cr23の含有量)は、各実施例および比較例ごとに異なる。
【0176】
具体的には、まず、基板21として、レーザ光を導くための案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ1100μm)を用意した。そして、そのポリカーボネート基板上に、透過率調整膜30としてTiO2膜(厚さ:20nm)、反射膜29としてAg−Pd−Cu膜、反入射側誘電体膜28としてCr23−ZrO2膜(厚さ:約10nm)、記録膜27としてG22Sb2Te25膜(厚さ:6nm)、入射側誘電体膜26としてCr23−ZrO2膜(厚さ:5nm)、入射側保護膜25としてZnS−SiO2膜(厚さ:約40nm、ZnS:80mol%、SiO2:20mol%)を、順次スパッタリング法によって積層した。最後に、紫外線硬化型樹脂(日本化薬(株)製 DVD−003)を入射側保護膜25上に塗布し、ポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ70μm)を入射側保護膜25に密着させてスピンコートした後、紫外線を照射して樹脂を硬化させることによって、透明層23を形成した。その後、記録膜27を結晶化させる初期化工程を行った。
【0177】
以上のようにして、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体層28のCr原子濃度がそれぞれ異なる実施例1〜6および比較例1〜4の光学的情報記録媒体を製造した。実施例1〜6および比較例1〜4の光学的情報記録媒体それぞれにおける入射側誘電体膜26および反入射側誘電体層28の材料は、表1に示されたとおりである。
【0178】
なお、実施例1〜6および比較例1〜4それぞれにおける入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、厳密に決定されたものである。具体的には、これらの厚さは、波長405nmにおいて、記録膜27が結晶相の時の情報層における反射率Rc1(基板の鏡面部における反射)ができるだけ4≦Rc1≦10の範囲内に収まるように、また、記録膜27が非晶質相の時の情報層における反射率Ra1(基板の鏡面部における反射)ができるだけ0.5≦Ra1≦3の範囲内に収まるように決定した。
【0179】
以上のように形成された実施例および比較例の光学的情報記録媒体それぞれについて、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28と記録膜27との密着性と、繰り返し書き換え性能とを評価した。
【0180】
まず、図5に示した記録再生装置6を用いて、各光学的情報記録媒体の記録書き換え回数を測定した。この時、レーザ光の波長は405nm、対物レンズ64の開口数(NA)は0.85、測定時のサンプルの線速度は5.0m/s、最短マーク長は0.149μm、基板の案内溝のトラックピッチは0.32μmとした。また、情報はグルーブに記録した。
【0181】
記録書き換え性能は、レーザ光をPpとPbの間でパワー変調し、(1−7)変調方式でマーク長0.149μm(2T)から0.596μm(8T)までのランダム信号を同じグルーブに連続記録し、各記録書き換え回数における前端ジッター(記録マーク前端部におけるジッター)、後端ジッター(記録マーク後端部におけるジッター)、および前端ジッターと後端ジッターとの平均ジッターをタイムインターバルアナライザーで測定することによって評価した。1回目のジッター値に対し3%増加する書き換え回数を、繰り返し書き換え性能の上限値とした。なお、PpとPbは、平均ジッター値が最も小さくなるように決定した。
【0182】
その後、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28の材料と、記録膜27との密着性を評価した。なお、密着性の評価は、記録書き換え性能を評価した部分を除いた領域で行った。具体的には、温度90℃、相対湿度80%の条件で恒湿槽に光学的情報記録媒体を100時間放置した後、光学顕微鏡で目視観察し、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28と記録膜27との間で剥離が発生していないか調べた。
【0183】
以上の評価結果を、表1に示す。なお、表1においては、xmol%Cr23−(100−x)mol%ZrO2の混合物を、(Cr23x(ZrO2100-xと表記した。
【0184】
【表1】
Figure 0004086689
【0185】
表1に示すように、実施例1〜6の光学的情報記録媒体においては、反入射側誘電体膜28のCr原子濃度は入射側誘電体膜26のCr原子濃度よりも大きく、且つ、入射側誘電体膜26のCr原子濃度は6at%以上で反入射側誘電体膜28のCr原子濃度は9at%以上である。また、入射側誘電体膜26の材料をx1mol%Cr23−(100−x1)mol%ZrO2と表記し、反入射側誘電体膜28の材料をx2mol%Cr23−(100−x2)mol%ZrO2と表記した場合、実施例1〜6の光学的情報記録媒体においては、10≦x1、20≦x2、およびx1<x2の関係を満たしている。このような実施例1〜6の光学的情報記録媒体は、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28と記録膜27との間で剥離が無く、密着性が十分であった。また、実施例1〜4の光学的情報記録媒体は繰り返し書き換え回数が1000回以上と良好であるのに対し、実施例5および6の光学的情報記録媒体の場合は500回とあまり良好ではなく、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28のCr23の含有量が多くなると、繰り返し書き換え回数は徐々に少なくなることが確認された。このことから、密着性が確保できれば、Cr23の含有量はできるだけ少ない方が良く、x1≦60、x2≦80が好ましいことがXも分かった。
【0186】
また、比較例1および2の光学的情報記録媒体は、反入射側誘電体膜28のCr原子濃度が入射側誘電体膜26のCr原子濃度よりも大きい(混合物Cr23−ZrO2においては、反入射側誘電体膜28のCr23含有量が入射側誘電体膜26のCr23含有量よりも大きい)。しかし、比較例1の場合は、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28のCr原子濃度(Cr23含有量)が共に少なすぎて、両誘電体膜26,28と記録膜27との間で剥離が発生した。比較例2の場合は、入射側誘電体膜26のCr原子濃度(Cr23含有量)が少なすぎて、入射側誘電体膜26と記録膜27との間で剥離が発生した。さらに、比較例3および4の光学的情報記録媒体は、反入射側誘電体膜28のCr原子濃度が入射側誘電体膜26のCr原子濃度以下であり、反入射側誘電体膜28のCr原子濃度(Cr23含有量)が少なすぎたため、反入射側誘電体膜28と記録膜27との間で剥離が生じた。
【0187】
(実施例7〜13および比較例5〜8)
実施例7〜13および比較例5〜8の光学的情報記録媒体として、一層の情報層が設けられ、この情報層が図2に示した光学的情報記録媒体2の第1の情報層221である光学的情報記録媒体を作製した。つまり、光学的情報記録媒体2において、基板21と透明層23との間に第1の情報層221のみが設けられたものを作製した。実施例7〜13および比較例5〜8の光学的情報記録媒体は、情報層に含まれる入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28が、共にSi、Cr、Zr、およびOの元素からなる(混合物SiO2−Cr23−ZrO2にて形成されている)。ただし、Si原子濃度およびCr原子濃度(SiO2の含有量およびCr23の含有量)は各実施例および比較例ごとに異なる。
【0188】
実施例7〜13および比較例5〜8の光学的情報記録媒体は、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28に用いた材料が異なる以外は、実施例1〜6および比較例1〜4の光学的情報記録媒体と同様に作製した。実施例7〜13および比較例5〜8の光学的情報記録媒体それぞれにおける入射側誘電体膜26および反入射側誘電体層28の材料は、表2に示されたとおりである。なお、表2においては、ymol%SiO2−xmol%Cr23−(100−x−y)mol%ZrO2の混合物を、(SiO2y(Cr23x(ZrO2100-x-yと表記した。
【0189】
以上のように形成された光学的情報記録媒体それぞれについて、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28と記録膜27との密着性と、繰り返し書き換え性能とを、実施例1〜6および比較例1〜4の場合と同様の方法で調べた。その結果も表2に示す。
【0190】
【表2】
Figure 0004086689
【0191】
表2に示すように、実施例7〜13の光学的情報記録媒体においては、反入射側誘電体膜28のSi原子濃度は入射側誘電体膜26のSi原子濃度よりも小さく、且つ、入射側誘電体膜26のCr原子濃度は6at%以上で反入射側誘電体膜28のCr原子濃度は9at%以上である。また、入射側誘電体膜26の材料をy1mol%SiO2−x1mol%Cr23−(100−x1−y1)mol%ZrO2と表記し、反入射側誘電体膜28の材料をy2mol%SiO2−x2mol%Cr23−(100−x2−y2)mol%ZrO2と表記した場合、実施例7〜13の光学的情報記録媒体においては、10≦x1、5≦y1≦40、15≦x1+y1≦95、20≦x2、0<y2≦35、20<x2+y2≦95の関係を満たし、さらにy1>y2の関係を満たしている。このような実施例7〜13の光学的情報記録媒体は、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28と記録膜27との間で剥離が無く、密着性が良好であった。また、実施例7〜12の光学的情報記録媒体は繰り返し書き換え回数が1000回以上と良好であるのに対し、実施例13の光学的情報記録媒体は繰り返し書き換え回数が500回とあまり良好ではなく、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28のSiO2の含有量が少なくなる、またはCr23の含有量が多くなると、繰り返し書き換え回数が徐々に少なくなることが確認できた。従って、このことから、密着性が確保できれば、Cr23量はできるだけ少なく(好ましくはx1≦60、且つx2≦70)、SiO2量はできるだけ多くした方が良いこともわかった。
【0192】
比較例5および6の光学的情報記録媒体は、入射側誘電体膜26のCr原子濃度が少なすぎるため、入射側誘電体膜26のSi原子濃度と反入射側誘電体膜28のSi原子濃度との関係にかかわらず、入射側誘電体膜26と記録膜27との間で剥離が発生し、密着性が不十分となったと考えられる。また、比較例5の場合は、反入射側誘電体膜28のCr原子濃度も少なすぎるため、反入射側誘電体膜28と記録膜27との間でも剥離が生じた。また、比較例7の光学的情報記録媒体は、反入射側誘電体膜28のSi原子濃度と入射側誘電体膜26のSi原子濃度とが同じであり、反入射側誘電体膜28のCr原子濃度が少なすぎるため、反入射側誘電体膜28と記録膜27との間で剥離が生じた。また、比較例8の光学的情報記録媒体は、反入射側誘電体膜28のSi原子濃度が入射側誘電体膜26のSi原子濃度よりも大きいため、反入射側誘電体膜28と記録膜27との間で剥離が生じた。
【0193】
なお、図3に示された光学的情報記録媒体3および図4に示された光学的情報記録媒体5についても、第1の情報層に対して同様の方法で密着性および繰り返し書き換え性能を評価したところ、同様の結果が得られた。
【0194】
(実施例14)
実施例14の光学的情報記録媒体として、図1に示した光学的情報記録媒体1を製造し、情報層12の特性を評価した。
【0195】
具体的には、まず、基板11として、レーザ光を導くための案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ1100μm)を用意した。そして、そのポリカーボネート基板上に、反射膜20としてAg−Pd−Cu膜(厚さ:80nm)、金属膜19としてAl膜(厚さ:5nm)、反入射側保護層18としてZnS−SiO2膜(厚さ:22nm、ZnS:80mol%、SiO2:20mol%)、反入射側誘電体膜17としてSiO2−Cr23−ZrO2膜(厚さ:5nm、SiO2:20mol%、Cr23:30mol%、ZrO2:50mol%)、記録膜16としてGe22Sb2Te25膜(厚さ:10nm)、入射側誘電体膜15としてSiO2−Cr23−ZrO2膜(厚さ:5nm、SiO2:35mol%、Cr23:30mol%、ZrO2:35mol%)、入射側保護膜14としてZnS−SiO2膜(厚さ:60nm、ZnS:80mol%、SiO2:20mol%)を、順次所定の組成のターゲットを用いてスパッタリングにより積層した。
【0196】
なお、入射側保護膜14および反入射側保護膜18の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、波長405nmにおいて、記録膜16が結晶相の時の反射光量が非晶質相の時の反射光量よりも大きく、且つ記録膜16が結晶相の時と非晶質相の時とで反射光量の変化がより大きく、且つ記録膜16の光吸収が大きくなるように、厳密に決定したものである。
【0197】
その後、紫外線硬化型樹脂を入射側保護膜14上に塗布し、次にポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ90μm)を入射側保護膜14に密着させてスピンコートした後、紫外線を照射して樹脂を硬化させることによって透明層13を形成した。最後に、記録膜16の全面を結晶化させる初期化工程を行った。
【0198】
以上のようにして、実施例14の光学的情報記録媒体を製造した。
【0199】
本実施例の光学的情報記録媒体について、実施例1〜13の光学的情報記録媒体の場合と同様の方法によって、密着性および繰り返し書き換え性能を評価した。その結果、両誘電体膜15,17と記録膜16との間で剥離は生じず、また、10000回以上の繰り返し書き換え回数が得られた。また、1回目のジッター値も9%と良好な値が得られた。
【0200】
(実施例15)
実施例15の光学的情報記録媒体として、図3に示された光学的情報記録媒体3を作製し、第1の情報層321および第2の情報層322それぞれの特性を評価した。
【0201】
まず、基板31上に第2の情報層322を形成した。具体的には、まず、基板31として、レーザ光を導くための案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ1100μm)を用意した。そして、そのポリカーボネート基板上に、反射膜41としてAg−Pd−Cu膜(厚さ:80nm)、金属膜40としてAl膜(厚さ:5nm)、反入射側保護膜39としてZnS−SiO2層(厚さ:22nm、ZnS:80mol%、SiO2:20mol%)、反入射側誘電体膜38としてSiO2−Cr23−ZrO2膜(厚さ:5nm、SiO2:20mol%、Cr23:30mol%、ZrO2:50mol%)、記録膜37としてGe22Sb2Te25膜(厚さ:10nm)、入射側誘電体膜26としてSiO2−Cr23−ZrO2膜(厚さ:5nm、SiO2:35mol%、Cr23:30mol%、ZrO2:35mol%)、入射側保護膜25としてZnS−SiO2膜(厚さ:60nm、ZnS:80mol%、SiO2:20mol%)を、スパッタリングによって順次積層した。
【0202】
なお、入射側保護膜35および反入射側保護膜39の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、波長405nmにおいて、記録膜37が結晶相の時の反射光量が非晶質相の時の反射光量よりも大きく、且つ記録膜37が結晶相の時と非晶質相の時とで反射光量の変化がより大きく、且つ記録膜37の光吸収が大きくなるように、厳密に決定したものである。
【0203】
次に、入射側保護膜35上に紫外線硬化型樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)が形成された転写用基板を配置してスピンコートし、樹脂を硬化させた後に転写用基板を剥がした。この工程によって、レーザ光を導く案内溝が表面(後の工程にて形成される第1の情報層321側の面)に形成された光学分離層34が形成された。続いて、記録膜37の全面を結晶化させる初期化工程を行った。
【0204】
次に、光学分離層34の上に第1の情報層321を形成した。具体的には、光学分離層34上に、透過率調整膜37としてTiO2膜(厚さ:20nm)、反射膜29としてAg−Pd−Cu膜(厚さ:10nm)、反入射側誘電体膜28としてSiO2−Cr23−ZrO2膜(厚さ:10nm、SiO2:20mol%、Cr23:30mol%、ZrO2:50mol%)、記録膜27としてGe22Sb2Te25膜(厚さ:6nm)、入射側誘電体膜26としてSiO2−Cr23−ZrO2膜(厚さ:5nm、SiO2:35mol%、Cr23:30mol%、ZrO2:35mol%)、入射側保護層25としてZnS−SiO2膜(厚さ:45nm、ZnS:80mol%、SiO2:20mol%)を、スパッタリングによって順次積層した。
【0205】
その後、紫外線硬化型樹脂を入射側保護膜25上に塗布し、次にポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ90μm)を入射側保護膜25に密着させてスピンコートした後、紫外線を照射して樹脂を硬化させることによって、透明層33を形成した。最後に、記録膜27の全面を結晶化させる初期化工程を行った。
【0206】
以上のようにして、実施例15の光学的情報記録媒体を製造した。
【0207】
本実施例の光学的情報記録媒体について、実施例1〜13の光学的情報記録媒体の場合と同様の方法によって、密着性および繰り返し書き換え性能を評価した。その結果、第1の情報層321および第2の情報層322共に、入射側誘電体膜および反入射側誘電体膜と記録膜との間で剥離が生じず、10000回以上の繰り返し書き換え回数が得られた。また、1回目のジッター値も第1の情報層321および第2の情報層322共に10%以下の良好な値が得られた。
【0208】
なお、実施例1〜15においては、入射側誘電体膜および反入射側誘電体膜に含まれる化合物(M1)O2としてZrO2を用いたが、HfO2を用いた場合、およびZrO2とHfO2とを半分ずつ含む混合物を用いた場合においても、同様の結果が得られた。
【0209】
なお、以上に説明した実施の形態および実施例においては、入射側誘電体膜および反入射側誘電体膜がそれぞれ記録膜に接して設けられた光学的情報記録媒体についてのみ述べたが、入射側誘電体膜と記録膜との間、反入射側誘電体膜と記録膜との間に、他の薄膜が設けられることもある。
【0210】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光学的情報記録媒体とその製造方法によれば、記録膜と記録膜の両側に配置された誘電体膜との密着性が向上するので、信頼性が高く記録した情報の長期保存が可能な光学的情報記録媒体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の光学的情報記録媒体の構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態2の光学的情報記録媒体の構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態3の光学的情報記録媒体の構成を示す断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態4の光学的情報記録媒体の構成を示す断面図である。
【図5】 本発明の光学的情報記録媒体に対して情報の記録再生を行う記録再生装置の一部構成を概略的に示す説明図である。
【図6】 従来の光学的情報記録媒体の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1,2,3,5 光学的情報記録媒体
6 記録再生装置
11 基板
12 情報層
13 透明層
14 入射側保護膜
15 入射側誘電体膜
16 記録膜
17 反入射側誘電体膜
18 反入射側保護膜
19 金属膜
20 反射膜
21 基板
221 第1の情報層
222 第2の情報層
22n 第nの情報層
23 透明層
24 光学分離層
25 入射側保護膜
26 入射側誘電体膜
27 記録膜
28 反入射側誘電体膜
29 反射膜
30 透過率調整膜
31 基板
321 第1の情報層
322 第2の情報層
33 透明層
34 光学分離層
35 入射側保護膜
36 入射側誘電体膜
37 記録膜
38 反入射側誘電体膜
39 反入射側保護膜
40 金属膜
41 反射膜
51 基板
521 第1の情報層
522 第2の情報層
52n 第nの情報層
53 接着層
54 ダミー基板
61 スピンドルモータ
62 半導体レーザ
63 光学ヘッド
64 対物レンズ

Claims (30)

  1. 基板と情報層とを含む光学的情報記録媒体であって、
    前記情報層が、
    ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む第1の誘電体膜と、
    前記第1の誘電体膜上に設けられ、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する記録膜と、
    前記記録膜上に設けられ、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む第2の誘電体膜と、をレーザ光入射側からこの順に含んでおり、
    前記第1の誘電体膜のCr原子濃度が少なくとも6at%以上、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度が少なくとも9at%以上であって、且つ、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度が前記第1の誘電体膜のCr原子濃度よりも大きいことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  2. 前記第1の誘電体膜に含まれるM1、Cr、およびOを、組成式CrA1(M1)B1(100-A1-B1)と表記した場合に、前記A1およびB1が、
    6<A1<29
    9<B1<29
    であり、
    前記第2の誘電体膜に含まれるM1、Cr、およびOを、組成式CrA2(M1)B2(100-A2-B2)と表記した場合に、前記A2およびB2が、
    11<A2<32
    6<B2<24
    である請求項1に記載の光学的情報記録媒体。
  3. 前記第1の誘電体膜が、Cr23と(M1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第1の混合物においてCr23が10mol%以上60mol%以下であり、
    前記第2の誘電体膜が、Cr23と(M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物においてCr23が20mol%以上80mol%以下であり、且つ、
    前記第2の混合物のCr23濃度(mol%)が、前記第1の混合物のCr23濃度(mol%)よりも大きい請求項1に記載の光学的情報記録媒体。
  4. 前記第1の誘電体膜のCr原子濃度と前記第2の誘電体膜のCr原子濃度との差が、3at%以上15at%以下である請求項1に記載の光学的情報記録媒体。
  5. 基板と情報層とを含む光学的情報記録媒体であって、
    前記情報層が、
    ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、Si、およびOを含む第1の誘電体膜と、
    前記第1の誘電体膜上に設けられ、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する記録膜と、
    前記記録膜上に設けられ、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、Si、およびOを含む第2の誘電体膜と、をレーザ光入射側からこの順に含んでおり、
    前記第1の誘電体膜のCr原子濃度は少なくとも6at%以上、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度は少なくとも9at%以上であり、且つ、前記第2の誘電体膜のSi原子濃度が前記第1の誘電体膜のSi原子濃度よりも小さいことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  6. 前記第2の誘電体膜のCr原子濃度が、前記第1の誘電体膜のCr原子濃度よりも大きい請求項5に記載の光学的情報記録媒体。
  7. 前記第1の誘電体膜に含まれるM1、Cr、Si、およびOを、組成式SiC3CrA3(M1)B3(100-A3-B3-C3)と表記した場合に、前記A3、B3、およびC3が、
    6<A3<32
    1<B3
    1<C3<13
    であり、
    前記第2の誘電体膜に含まれるM1、Cr、Si、およびOを、組成式SiC4CrA4(M1)B4(100-A4-B4-C4)と表記した場合に、前記A4、B4、およびC4が、
    11<A4<35
    1<B4
    0<C4<11
    である請求項5に記載の光学的情報記録媒体。
  8. 前記A3およびA4がA3<A4である請求項7に記載の光学的情報記録媒体。
  9. 前記第1の誘電体膜がSiO2とCr23と(M1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第1の混合物において、
    SiO2:5mol%以上40mol%以下
    Cr23:10mol%以上70mol%以下
    SiO2+Cr23:15mol%以上95mol%以下
    であり、
    前記第2の誘電体膜がSiO2とCr23と(M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物において、
    SiO2:35mol%以下
    Cr23:20mol%以上80mol%以下
    SiO2+Cr23:20mol%を超え、95mol%以下
    であり、且つ、
    前記第2の誘電体膜のSiO2濃度(mol%)が、前記第1の誘電体膜のSiO2濃度(mol%)よりも小さい請求項5に記載の光学的情報記録媒体。
  10. 前記第2の混合物のCr23濃度(mol%)が、前記第1の混合物のCr23濃度(mol%)よりも大きい請求項9に記載の光学的情報記録媒体。
  11. 前記第1の誘電体膜のSi原子濃度と前記第2の誘電体膜のSi原子濃度との差が、1at%以上10at%以下である請求項5に記載の光学的情報記録媒体。
  12. 前記情報層が複数設けられた請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  13. 前記記録膜が、SbおよびBiから選択される少なくとも一方の元素(M2)と、Geと、Teとを含み、前記M2、Ge、およびTeを組成式Gea(M2)bTe3+aと表記した場合に、
    0<a≦60
    1.5≦b≦7
    である請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  14. 前記Gea(M2)bTe3+aにおいて、前記Geの少なくとも一部が、SnおよびPbから選択される少なくとも一方の元素(M3)にて置換されている請求項13に記載の光学的情報記録媒体。
  15. 前記記録膜が、SbおよびBiから選択される少なくとも一方の元素(M2)と、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Se、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W、Os、Ir、Pt、Gd、Td、DyおよびAuから選択される少なくとも一つの元素(M4)と、Geと、Teとを含み、前記M2、M3、Ge、およびTeを組成式(Gea(M2)bTe3+a100-c(M4)cと表記した場合に、
    0<a≦60
    1.5≦b≦7
    0<c≦20
    である請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  16. 前記記録膜が、Sbと、Teと、Ag、In、Ge、Sn、Se、Bi、AuおよびMnから選択される少なくとも一つの元素(M5)とを含み、前記Sb、Te、およびM5を組成式(SbdTe100-d100-e(M5)eで表記した場合に、
    50≦d≦95
    0<e≦20
    である請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  17. 前記情報層が、前記第1の誘電体膜のレーザ光入射側に、前記第1の誘電体膜に接して設けられた保護膜をさらに含み、
    前記保護膜が、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb25、Ta25、SiO2、Al23、Bi23、C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−N、ZnS、およびSiCから選択される少なくとも一つを含む請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  18. 前記情報層が、前記第2の誘電体膜のレーザ光入射側と反対側に設けられた反射膜をさらに含み、
    前記反射膜が、Ag、Au、CuおよびAlから選択される少なくとも一つの元素を含む請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  19. 前記情報層が、前記反射膜のレーザ光入射側と反対側に、前記反射膜に接して設けられた透過率調整膜をさらに含み、
    前記透過率調整膜が、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb25、Ta25、SiO2、Al23、Bi23、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−NおよびZnSから選択される少なくとも一つを含む請求項18に記載の光学的情報記録媒体。
  20. 第1の情報層〜第nの情報層(nは2以上の自然数)がレーザ光入射側からこの順に積層された多層構造の光学的情報記録媒体であって、前記第1の情報層〜第nの情報層の少なくとも一つが前記情報層である請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  21. 前記第1の情報層が前記情報層である請求項20に記載の光学的情報記録媒体。
  22. 前記第1の誘電体膜がさらにSiを含む請求項1に記載の光学的情報記録媒体。
  23. 請求項1に記載の光学的情報記録媒体を製造する方法であって、
    少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む第1のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングにより第1の誘電体膜を成膜する工程と、
    レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する記録膜を成膜する工程と、
    少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む第2のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングにより第2の誘電体膜を成膜する工程と、を含み、
    前記第2のスパッタリングターゲットのCr原子濃度が、前記第1のスパッタリングターゲットのCr原子濃度より大きいことを特徴とする光学的情報記録媒体の製造方法。
  24. 前記第1のスパッタリングターゲットに含まれるM1、Cr、およびOを、組成式CrD1(M1)E1100-D1-E1と表記した場合に、前記D1およびE1が、
    3<D1<29
    9<E1<31
    であり、
    前記第2のスパッタリングターゲットに含まれるM1、Cr、およびOを、組成式CrD2(M1)E2100-D2-E2と表記した場合に、前記D2およびE2が、
    9<D2<32
    6<E2<26
    である請求項23に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  25. 前記第1のスパッタリングターゲットが、Cr23と(M1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第1の混合物においてCr23が5mol%以上60mol%以下であり、
    前記第2のスパッタリングターゲットが、Cr23と(M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物においてCr23が15mol%以上80mol%以下であり、且つ、
    前記第2の混合物のCr23濃度(mol%)が、前記第1の混合物のCr23濃度(mol%)よりも大きい請求項23に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  26. 請求項5に記載の光学的情報記録媒体を製造する方法であって、
    少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Si、Cr、およびOを含む第1のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングにより第1の誘電体膜を成膜する工程と、
    レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する記録膜を成膜する工程と、
    少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、Si、Cr、およびOを含む第2のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングにより第2の誘電体膜を成膜する工程と、を含み、
    前記第2のスパッタリングターゲットのSi原子濃度が、前記第1のスパッタリングターゲットのSi原子濃度より小さいことを特徴とする光学的情報記録媒体の製造方法。
  27. 前記第2のスパッタリングターゲットのCr原子濃度が、前記第1のスパッタリングターゲットのCr原子濃度より大きい請求項26に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  28. 前記第1のスパッタリングターゲットに含まれるM1、Si、Cr、およびOを、組成式SiF3CrD3(M1)E3100-D3-E3F3で表記した場合に、前記D3、E3、およびF3が、
    3<D3<32
    1<E3
    1<F3<13
    であり、
    前記第2のスパッタリングターゲットに含まれるM1、Si、Cr、およびOを、組成式SiF4CrD4(M1)E4100-D4-E4-F4と表記した場合に、前記D4、E4、およびF4が、
    9<D4<35
    1<E4
    0<F4<11
    である請求項26に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  29. 前記第1のスパッタリングターゲットがSiO2とCr23と(M1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第1の混合物において、
    SiO2:5mol%以上40mol%以下
    Cr23:5mol%以上70mol%以下
    SiO2+Cr23:10mol%以上95mol%以下
    であり、
    前記第2のスパッタリングターゲットがSiO2とCr23と(M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物において、
    SiO2:35mol%以下
    Cr23:15mol%以上80mol%以下
    SiO2+Cr23:10mol%を超え、95mol%以下
    であり、且つ、
    前記第2の混合物のSiO2濃度(mol%)が、前記第1の混合物のSiO2濃度(mol%)よりも小さい請求項26に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  30. 複数の情報層を含む多層構造の光学的情報記録媒体の製造方法であって、前記複数の情報層の少なくとも一つが、請求項23または26に記載の方法にて形成される光学的情報記録媒体の製造方法。
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