JP2003346382A - 光学的情報記録媒体とその製造方法 - Google Patents

光学的情報記録媒体とその製造方法

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JP2003346382A JP2003076302A JP2003076302A JP2003346382A JP 2003346382 A JP2003346382 A JP 2003346382A JP 2003076302 A JP2003076302 A JP 2003076302A JP 2003076302 A JP2003076302 A JP 2003076302A JP 2003346382 A JP2003346382 A JP 2003346382A
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孝史 西原
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理恵 児島
Noboru Yamada
昇 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 信頼性が高く、且つ記録した情報の長期保存
が可能な光学的情報記録媒体とその製造方法とを提供す
る。 【解決手段】 光学的情報記録媒体1には、Zrおよび
Hfから選択される少なくとも一方の元素(M1)、C
r、およびOを含む入射側誘電体膜(15)と、レーザ光
の照射によって光学特性が可逆的に変化する記録膜(1
6)と、ZrおよびHfから選択される少なくとも一方
の元素(M1)、Cr、およびOを含む反入射側誘電体
膜(17)と、をレーザ光入射側からこの順に含む情報層
(12)が設けられており、入射側誘電体膜(15)のCr
原子濃度が6at%以上、反入射側誘電体膜(17)のC
r原子濃度が9at%以上であって、且つ、反入射側誘
電体膜(17)のCr原子濃度が入射側誘電体膜(15)の
Cr原子濃度よりも大きい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光の照射等
により情報の記録、消去、書き換え、再生が可能な光学
的情報記録媒体およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】レーザ光を用いて情報を記録、消去、書
き換え、再生する光学的情報記録媒体として、相変化型
光学的情報記録媒体がある。相変化型光学的情報記録媒
体への情報の記録、消去、書き換えには、記録材料が結
晶相と非晶質相との間で可逆的に相変化を生じる現象を
利用する。一般に、情報を記録する場合は、高パワー
(記録パワー)のレーザ光を照射し、記録材料を溶融さ
せて急冷することにより、記録材料のレーザ光が照射さ
れた部分(レーザ光照射部)を非晶質相にして情報を記
録する。一方、情報を消去する場合は、記録時より低パ
ワー(消去パワー)のレーザ光を照射し、記録材料を昇
温させて徐冷することにより、レーザ光照射部を結晶相
にして記録されていた情報を消去する。従って、相変化
型光学的情報記録媒体では、高パワーレベルと低パワー
レベルとの間でパワーを変調させたレーザ光を記録材料
に照射することで、記録されている情報を消去しながら
新しい情報を記録すること、すなわち情報を書き換える
ことができる(例えば、角田義人他「光ディスクストレ
ージの基礎と応用」電子情報通信学会編、1995年、
第2章を参照。)。
【0003】相変化型光学的情報記録媒体の一例として
は、発明者らが商品化した4.7GB/DVD−RAM
(DVD-Random Access Memory)が挙げられる。図6に、
この4.7GB/DVD−RAMと同様の構成である光
学的情報記録媒体101を示す。この光学的情報記録媒
体101には、レーザ光入射側から順に、基板102、
情報層103、接着層104、およびダミー基板105
が配置されている。情報層103は、レーザ光入射側か
ら順に配置された入射側保護膜106、入射側誘電体膜
107、記録膜108、反入射側誘電体膜109、反入
射側保護膜110、光吸収補正膜111、および反射膜
112にて構成されている。
【0004】入射側保護膜106と反入射側保護膜11
0は、光学距離を調節して記録膜108への光吸収効率
を高めて記録膜108における結晶相と非晶質相との反
射率変化を大きくすることで信号振幅を大きくする光学
的な働きと、記録時に高温となる記録膜108と熱に弱
い基板102およびダミー基板105との間を断熱する
熱的な働きとがある。入射側保護膜106や反入射側保
護膜110に一般的に用いられている80mol%Zn
S−20mol%SiO2の混合物は、光透過率および
屈折率が高く、低熱伝導率で断熱性も良く、さらに機械
特性および耐湿性も良好である、優れた誘電体材料であ
る。
【0005】記録膜108には、例えば、Ge−Sn−
Sb−Teを含む高速結晶化材料を用いることができ
る。このような材料により、初期記録書き換え性能のみ
ならず、優れた記録保存性、書き換え保存性をも実現で
きる。
【0006】入射側誘電体膜107および反入射側誘電
体膜109は、入射側保護膜106と記録膜108、お
よび反入射側保護膜110と記録膜108との間で生じ
る物質移動を防止する機能を有する。この物質移動と
は、入射側保護膜106および反入射側保護膜110の
材料に80mol%ZnS−20mol%SiO2を使
用した場合に、レーザ光を記録膜108に照射して記録
書き換えを繰り返すとSが記録膜108に拡散する現象
のことである。Sが記録膜108に拡散すると、繰り返
し書き換え性能が悪化する(例えば、非特許文献1参
照。)。この繰り返し書き換え性能の悪化を防ぐには、
Geを含む窒化物を入射側誘電体膜107および反入射
側誘電体膜109に使用すると良い(例えば、特許文献
1および特許文献2参照。)。
【0007】以上のような技術により、優れた書き換え
性能と高い信頼性を達成し、4.7GB/DVD−RA
Mを商品化するに至った。
【0008】また、近年、光学的情報記録媒体のさらな
る大容量化が要求されており、大容量化のための様々な
技術が検討されている。具体的には、従来の赤色レーザ
より短波長の青紫色レーザを用いたり、レーザ光入射側
に配置される基板の厚さを薄くして開口数(NA)が大
きい対物レンズを使用したりすることによって、レーザ
光のスポット径をより小さくし、高密度の記録を行う技
術等が検討されている。このようにスポット径を小さく
して記録を行うためには、小さな記録マークでも良好な
形状に形成できる光学的情報記録媒体が必要となる。ス
ポット径を小さくして記録を行うと、記録膜にレーザ光
が照射される時間が相対的に短くなるため、記録膜の結
晶化能が低下するからである。
【0009】また、大容量化のための技術として、2つ
の情報層を備える光学的情報記録媒体を用いて記録容量
を2倍に高め、これら2つの情報層に対し、光学的情報
記録媒体の片面側から入射するレーザ光によって記録再
生を行う技術も検討されている(例えば、特許文献3参
照。)。片面側から入射するレーザ光にて2つの情報層
を記録再生する光学的情報記録媒体では、レーザ光の入
射側に配置された第1の情報層を透過したレーザ光を用
いて、レーザ光入射側から遠くに配置された第2の情報
層の記録再生を行うため、第1の情報層の記録膜を極め
て薄くして光透過率を高める必要がある。しかし、記録
膜を薄くすると、記録材料が結晶化する際に形成される
結晶核が減少し、また、原子の移動できる距離が短くな
る。このため、記録膜の膜厚が薄いほど結晶相が形成さ
れにくくなり、結晶化速度が低下する。
【0010】以上のように、光学的情報記録媒体の大容
量化を実現するためには、記録膜の結晶化能の向上が重
要な課題となる。発明者らの実験では、記録材料とし
て、GeTe−Sb2Te3ライン上の擬二元系およびそ
の近傍の組成においてGeの一部をSnで置換した組成
の材料を用いることで、記録膜の結晶化速度が向上する
ことが分かっている。しかしながら、置換するSnの量
を増やしていくと結晶相と非晶質相との間の光学特性変
化が小さくなるため、信号振幅が低下してしまうという
問題が生じる。
【0011】そこで、信号振幅を低下させること無く記
録膜の結晶化能を高める手段として、記録膜の結晶化を
促進する効果のある膜を記録膜に接するように設けるこ
とが有効である。発明者らの実験によると、少なくとも
Cr、Zr、およびOを含む誘電体膜を記録膜に接する
ように設けることで、結晶化促進効果を高くできること
が分かった。
【0012】
【非特許文献1】山田、他6名、「ジャパニーズ・ジャ
ーナル・オブ・アプライド・フィジクス(Japanese Jou
rnal of Applied Physics)」、1998年、第37
巻、p.2104−2110
【0013】
【特許文献1】国際公開第WO97/34298号パン
フレット
【0014】
【特許文献2】特開平10−275360号公報
【0015】
【特許文献3】特開平12−36130号公報
【0016】
【特許文献4】特開平5−109115号公報
【0017】
【特許文献5】特開平8−77604号公報
【0018】
【特許文献6】特開2001−67722号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな誘電体膜を記録膜に接して設ける構成の場合、記録
膜と誘電体膜との密着性があまり良好ではなく、特に記
録膜に対しレーザ光入射側と反対側の面に設けられた誘
電体膜は、記録膜に対してレーザ光入射側の面に設けら
れた誘電体膜よりも、記録膜との密着性が悪いことが確
認された。また、情報層が複数設けられている光学的情
報記録媒体の場合、最もレーザ光入射側に設けられる情
報層は光透過率を高くするために薄く形成されるので、
外部から水が浸入しやすく、誘電体膜と記録膜との密着
性がより低下することも確認された。従って、記録膜の
結晶化を促進する効果のある誘電体膜を記録膜に接する
ように設ける構成の場合、誘電体膜と記録膜との接着不
良に起因する信頼性の低下が問題であった。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の光学的情
報記録媒体は、基板と情報層とを含む光学的情報記録媒
体であって、前記情報層が、ZrおよびHfから選択さ
れる少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを
含む第1の誘電体膜と、前記第1の誘電体膜上に設けら
れ、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化す
る記録膜と、前記記録膜上に設けられ、ZrおよびHf
から選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、
およびOを含む第2の誘電体膜と、をレーザ光入射側か
らこの順に含んでおり、前記第1の誘電体膜のCr原子
濃度が少なくとも6at%以上、前記第2の誘電体膜の
Cr原子濃度が少なくとも9at%以上であって、且
つ、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度が前記第1の誘
電体膜のCr原子濃度よりも大きいことを特徴としてい
る。
【0021】また、本発明の第2の光学的情報記録媒体
は、基板と情報層とを含む光学的情報記録媒体であっ
て、前記情報層が、ZrおよびHfから選択される少な
くとも一方の元素(M1)、Cr、Si、およびOを含
む第1の誘電体膜と、前記第1の誘電体膜上に設けら
れ、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化す
る記録膜と、前記記録膜上に設けられ、ZrおよびHf
から選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、
Si、およびOを含む第2の誘電体膜と、をレーザ光入
射側からこの順に含んでおり、前記第1の誘電体膜のC
r原子濃度は少なくとも6at%以上、前記第2の誘電
体膜のCr原子濃度は少なくとも9at%以上であり、
且つ、前記第2の誘電体膜のSi原子濃度が前記第1の
誘電体膜のSi原子濃度よりも小さいことを特徴として
いる。
【0022】本発明の第1の光学的情報記録媒体の製造
方法は、本発明の第1の光学的情報記録媒体を製造する
ための方法であって、少なくとも、ZrおよびHfから
選択される少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およ
びOを含む第1のスパッタリングターゲットを用いて、
スパッタリングにより第1の誘電体膜を成膜する工程
と、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化す
る記録膜を成膜する工程と、少なくとも、ZrおよびH
fから選択される少なくとも一方の元素(M1)、C
r、およびOを含む第2のスパッタリングターゲットを
用いて、スパッタリングにより第2の誘電体膜を成膜す
る工程と、を含み、前記第2のスパッタリングターゲッ
トのCr原子濃度が、前記第1のスパッタリングターゲ
ットのCr原子濃度より大きいことを特徴としている。
【0023】本発明の第2の光学的情報記録媒体の製造
方法は、本発明の第2の光学的情報記録媒体を製造する
ための方法であって、少なくとも、ZrおよびHfから
選択される少なくとも一方の元素(M1)、Si、C
r、およびOを含む第1のスパッタリングターゲットを
用いて、スパッタリングにより第1の誘電体膜を成膜す
る工程と、レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に
変化する記録膜を成膜する工程と、少なくとも、Zrお
よびHfから選択される少なくとも一方の元素(M
1)、Si、Cr、およびOを含む第2のスパッタリン
グターゲットを用いて、スパッタリングにより第2の誘
電体膜を成膜する工程と、を含み、前記第2のスパッタ
リングターゲットのSi原子濃度が、前記第1のスパッ
タリングターゲットのSi原子濃度より小さいことを特
徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の第1の光学的情報記録媒
体によれば、第1の誘電体膜と記録膜との間の密着性お
よび第2の誘電体膜と記録膜との間の密着性を、共に向
上させることができる。一般的に第2の誘電体膜は第1
の誘電体膜よりも記録膜から剥がれやすいが、本発明に
おいては第2の誘電体膜のCr原子濃度を第1の誘電体
膜のCr原子濃度よりも大きくすることにより、第2の
誘電体膜と記録膜との間においても十分な密着性が得ら
れる。このような第1の誘電体膜および第2の誘電体膜
と記録膜との間の密着性の向上により、外部からの水の
浸入等による膜剥がれが生じにくくなり、信頼性および
耐湿性に優れた光学的情報記録媒体が得られる。また、
本発明の第1の光学的情報記録媒体によれば、例えば初
期のジッター値と長期保存後のジッター値との差が約2
%以下と記録保存性が良好で、さらに、例えば初期のジ
ッター値と長期保存後に情報を上書きした後のジッター
値との差が約2%以下と書き換え保存性が良好な、光学
的情報記録媒体を提供できる。
【0025】本発明の第1の光学的情報記録媒体におい
ては、前記第1の誘電体膜に含まれるM1、Cr、およ
びOを、組成式CrA1(M1)B1(100-A1-B1)と表記
した場合に、前記A1およびB1が、 6<A1<29 9<B1<29 であり、前記第2の誘電体膜に含まれるM1、Cr、お
よびOを、組成式CrA2(M1)B2(100-A2-B2)と表
記した場合に、前記A2およびB2が、 11<A2<32 6<B2<24 であることが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘
電体膜をこのように形成することにより、第1の誘電体
膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好
で、さらに記録書き換え性能も良好な光学的情報記録媒
体が得られる。
【0026】本発明の第1の光学的情報記録媒体におい
ては、前記第1の誘電体膜がCr23と(M1)O2
からなる第1の混合物を含み、前記第1の混合物におい
てCr23が10mol%以上60mol%以下であ
り、前記第2の誘電体膜がCr 23と(M1)O2とか
らなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物において
Cr23が20mol%以上80mol%以下であり、
且つ、前記第2の混合物のCr23濃度(mol%)
が、前記第1の混合物のCr23濃度(mol%)より
も大きいことが好ましい。第1の誘電体膜および第2の
誘電体膜をこのように形成することにより、第1の誘電
体膜および第2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良
好で、さらに記録書き換え性能も良好な光学的情報記録
媒体が得られる。
【0027】本発明の第1の光学的情報記録媒体におい
ては、前記第1の誘電体膜のCr原子濃度と前記第2の
誘電体膜のCr原子濃度との差が、3at%以上15a
t%以下であることが好ましい。これにより、膜剥がれ
が生じにくい、信頼性に優れた光学的情報記録媒体が得
られる。
【0028】本発明の第1の光学的情報記録媒体におい
ては、前記第1の誘電体膜がさらにSiを含んでいても
よい。
【0029】本発明の第1の光学的情報記録媒体におい
ては、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜に(M
1)、Cr、およびO以外の他の元素が含まれる場合、
他の元素の含有量は1at%以下であることが好まし
い。
【0030】本発明の第2の光学的情報記録媒体によれ
ば、第1の誘電体膜と記録膜との間の密着性および第2
の誘電体膜と記録膜との間の密着性を、共に向上させる
ことができる。一般的に第2の誘電体膜は第1の誘電体
膜よりも記録膜から剥がれやすいが、本発明においては
第2の誘電体膜のSi原子濃度を第1の誘電体膜のSi
原子濃度よりも小さくすることにより、第2の誘電体膜
と記録膜との間においても十分な密着性が得られる。こ
のような第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記録膜
との間の密着性の向上により、外部からの水の浸入等に
よる膜剥がれが生じにくくなり、信頼性および耐湿性に
優れた光学的情報記録媒体が得られる。また、本発明の
第2の光学的情報記録媒体によれば、例えば初期のジッ
ター値と長期保存後のジッター値との差が約2%以下と
記録保存性が良好で、さらに、例えば初期のジッター値
と長期保存後に情報を上書きした後のジッター値との差
が約2%以下と書き換え保存性が良好な、光学的情報記
録媒体を提供できる。
【0031】本発明の第2の光学的情報記録媒体におい
ては、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度を前記第1の
誘電体膜のCr原子濃度よりも大きくすることが好まし
い。記録膜から剥がれやすい第2の誘電体膜の密着性を
より向上させるためである。
【0032】本発明の第2の光学的情報記録媒体におい
ては、前記第1の誘電体膜に含まれるM1、Cr、S
i、およびOを、組成式SiC3CrA3(M1)B3
(100-A3-B3 -C3)と表記した場合に、前記A3、B3、お
よびC3が、 6<A3<32 1<B3 1<C3<13 であり、前記第2の誘電体膜に含まれるM1、Cr、S
i、およびOを、組成式SiC4CrA4(M1)B4
(100-A4-B4-C4)と表記した場合に、前記A4、B4、お
よびC4が、 11<A4<35 1<B4 0<C4<11 であることが好ましい。さらに、A3<A4であること
が好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜をこ
のように形成することにより、第1の誘電体膜および第
2の誘電体膜と記録膜との密着性がより良好で、さらに
記録書き換え性能も良好な光学的情報記録媒体が得られ
る。
【0033】本発明の第2の光学的情報記録媒体におい
ては、前記第1の誘電体膜がSiO 2とCr23と(M
1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第1の混
合物において、SiO2が5mol%以上40mol%
以下、Cr23が10mol%以上70mol%以下、
SiO2+Cr23が15mol%以上95mol%以
下であり、前記第2の誘電体膜がSiO2とCr23
(M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記第2
の混合物において、SiO2が35mol%以下、Cr2
3が20mol%以上80mol%以下、SiO2+C
23が20mol%を超え、95mol%以下であ
り、且つ、前記第2の誘電体膜のSiO2濃度(mol
%)が、前記第1の誘電体膜のSiO2濃度(mol
%)よりもが小さいことが好ましい。さらに、前記第2
の混合物のCr23濃度(mol%)が、前記第1の混
合物のCr23濃度(mol%)よりも大きいことが好
ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜をこのよ
うに形成することにより、第1の誘電体膜および第2の
誘電体膜と記録膜との密着性がより良好で、さらに記録
書き換え性能も良好な光学的情報記録媒体が得られる。
【0034】本発明の第2の光学的情報記録媒体におい
ては、前記第1の誘電体膜のSi原子濃度と前記第2の
誘電体膜のSi原子濃度との差が、1at%以上10a
t%以下であることが好ましい。これにより、膜剥がれ
が生じにくい、信頼性に優れた光学的情報記録媒体が得
られる。
【0035】本発明の第2の光学的情報記録媒体におい
ては、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜に(M
1)、Cr、Si、およびO以外の他の元素が含まれる
場合、他の元素の含有量は1at%以下であることが好
ましい。
【0036】本発明の第1および第2の光学的情報記録
媒体においては、前記情報層を複数設けることもでき
る。これにより、信頼性および記録書き換え性能に優れ
た、大容量の光学的情報記録媒体が得られる。
【0037】本発明の第1および第2の光学的情報記録
媒体においては、前記記録膜が、SbおよびBiから選
択される少なくとも一方の元素(M2)と、Geと、T
eとを含み、前記M2、Ge、およびTeを組成式Ge
a(M2)bTe3+aと表記した場合に、 0<a≦60 1.5≦b≦7 であることが好ましい。記録膜の厚みが約12nm以下
と薄い場合であっても、良好な記録再生性能が得られる
からである。
【0038】本発明の第1および第2の光学的情報記録
媒体においては、前記Gea(M2)bTe3+aにおい
て、前記Geの少なくとも一部が、SnおよびPbから
選択される少なくとも一方の元素(M3)にて置換され
ていることが好ましい。Ge−M2−Te3元系組成の
Geを置換した元素M3が結晶化能を向上させ、記録膜
の厚みが約7nm以下と極めて薄い場合であっても、十
分な書き換え性能が得られるからである。
【0039】本発明の第1および第2の光学的情報記録
媒体においては、前記記録膜が、SbおよびBiから選
択される少なくとも一方の元素(M2)と、Si、T
i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Se、
Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、S
n、Ta、W、Os、Ir、Pt、Gd、Td、Dyお
よびAuから選択される少なくとも一つの元素(M4)
と、Geと、Teとを含み、前記M2、M4、Ge、お
よびTeを組成式(Gea(M2)bTe3+a100 -c(M
4)cと表記した場合に、 0<a≦60 1.5≦b≦7 0<c≦20 であることが好ましい。Ge−M2−Te3元系組成に
添加された元素M4が記録膜の融点および結晶化温度を
上昇させるので、記録膜の熱的安定性が向上するからで
ある。
【0040】本発明の第1および第2の光学的情報記録
媒体においては、前記記録膜が、Sbと、Teと、A
g、In、Ge、Sn、Se、Bi、AuおよびMnか
ら選択される少なくとも一つの元素(M5)とを含み、
前記Sb、Te、およびM5を組成式(Sbd
100-d100-e(M5)eで表記した場合に、 50≦d≦95 0<e≦20 であることが好ましい。このような記録膜は融点が比較
的低いので、比較的小さいレーザパワーであっても良好
な記録特性が得られるからである。
【0041】本発明の第1および第2の光学的情報記録
媒体においては、前記情報層が、前記第1の誘電体膜の
レーザ光入射側に、前記第1の誘電体膜に接して設けら
れた保護膜をさらに含み、前記保護膜が、TiO2、Z
rO2、HfO2、ZnO、Nb25、Ta25、SiO
2、Al23、Bi23、C−N、Ti−N、Zr−
N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−
N、Al−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−N、Zn
S、およびSiCから選択される少なくとも一つを含む
ことが好ましい。記録膜の酸化、腐食、および変形等を
防止するためである。
【0042】本発明の第1および第2の光学的情報記録
媒体においては、前記情報層が、前記第2の誘電体膜の
レーザ光入射側と反対側に設けられた反射膜をさらに含
み、前記反射膜が、Ag、Au、CuおよびAlから選
択される少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。
記録膜に吸収される光量を増加させ、且つ記録膜で生じ
た熱を拡散させるためである。
【0043】本発明の第1および第2の光学的情報記録
媒体においては、前記情報層が、前記反射膜のレーザ光
入射側と反対側に、前記反射膜に接して設けられた透過
率調整膜をさらに含み、前記透過率調整膜が、Ti
2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb25、Ta
25、SiO2、Al23、Bi23、Ti−N、Zr
−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr
−N、Al−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−Nおよ
びZnSから選択される少なくとも一つを含むことが好
ましい。情報層が複数設けられている場合は、レーザ光
入射側の面から遠くに配置された情報層にもレーザ光を
到達させる必要がある。従って、このような場合に、情
報層の透過率を高めることができる本構成は特に有効で
ある。
【0044】本発明の第1および第2の光学的情報記録
媒体においては、前記情報層と異なる膜構成の他の情報
層が含まれていてもよいが、この場合はレーザ光入射側
の面に最も近くに配置された情報層(第1の情報層)が
本発明の膜構成であることが好ましい。これは、多層構
造の光学的情報記録媒体において、第1の情報層に含ま
れる記録膜は高透過率を得るために薄く形成されるの
で、第1の情報層としては、薄い記録膜でも結晶化能が
高く、且つ信頼性の高い情報層が求められるからであ
る。
【0045】本発明の第1の光学的情報記録媒体の製造
方法によれば、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と
記録膜との密着性が良好な、信頼性の高い光学的情報記
録媒体を作製することができる。
【0046】本発明の第1の光学的情報記録媒体の製造
方法においては、前記第1のスパッタリングターゲット
に含まれるM1、Cr、およびOを、組成式CrD1(M
1) E1100-D1-E1と表記した場合に、前記D1および
E1が、 3<D1<29 9<E1<31 であり、前記第2のスパッタリングターゲットに含まれ
るM1、Cr、およびOを、組成式CrD2(M1)E2
100-D2-E2と表記した場合に、前記D2およびE2が、 9<D2<32 6<E2<26 であることが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘
電体膜と記録膜との密着性がより良好で、且つ記録書き
換え性能も良好な光学的情報記録媒体を作製できるから
である。
【0047】本発明の第1の光学的情報記録媒体の製造
方法においては、前記第1のスパッタリングターゲット
が、Cr23と(M1)O2とからなる第1の混合物を
含み、前記第1の混合物においてCr23が5mol%
以上60mol%以下であり、前記第2のスパッタリン
グターゲットが、Cr23と(M1)O2とからなる第
2の混合物を含み、前記第2の混合物においてCr23
が15mol%以上80mol%以下であり、且つ、前
記第2の混合物のCr23濃度(mol%)が、前記第
1の混合物のCr23濃度(mol%)よりも大きいこ
とが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と
記録膜との密着性がより良好で、且つ記録書き換え性能
も良好な光学的情報記録媒体を作製できるからである。
【0048】また、本発明の第2の光学的情報記録媒体
の製造方法によれば、第1の誘電体膜および第2の誘電
体膜と記録膜との密着性が良好な、信頼性の高い光学的
情報記録媒体を作製することができる。
【0049】本発明の第2の光学的情報記録媒体の製造
方法においては、前記第2のスパッタリングターゲット
のCr原子濃度が、前記第1のスパッタリングターゲッ
トのCr原子濃度より大きいことが好ましい。第2の誘
電体膜と記録膜との密着性がより良好な光学的情報記録
媒体を作製できるからである。
【0050】本発明の第2の光学的情報記録媒体の製造
方法においては、前記第1のスパッタリングターゲット
に含まれるM1、Si、Cr、およびOを、組成式Si
F3CrD3(M1)E3100-D3-E3F3で表記した場合
に、前記D3、E3、およびF3が、 3<D3<32 1<E3 1<F3<13 であり、前記第2のスパッタリングターゲットに含まれ
るM1、Si、Cr、およびOを、組成式SiF4CrD4
(M1)E4100-D4-E4-F4と表記した場合に、前記D
4、E4、およびF4が、 9<D4<35 1<E4 0<F4<11 であることが好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘
電体膜と記録膜との密着性がより良好で、且つ記録書き
換え性能も良好な光学的情報記録媒体を作製できるから
である。
【0051】本発明の第2の光学的情報記録媒体の製造
方法においては、前記第1のスパッタリングターゲット
がSiO2とCr23と(M1)O2とからなる第1の混
合物を含み、前記第1の混合物において、SiO2が5
mol%以上40mol%以下、Cr23が5mol%
以上70mol%以下、SiO2+Cr23が10mo
l%以上95mol%以下であり、前記第2のスパッタ
リングターゲットがSiO2とCr23と(M1)O2
からなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物におい
て、SiO2が35mol%以下、Cr23が15mo
l%以上80mol%以下、SiO2+Cr23が10
mol%を超え、95mol%以下であり、且つ、前記
第2の混合物のSiO2濃度(mol%)が、前記第1
の混合物のSiO2濃度(mol%)よりも小さいこと
が好ましい。第1の誘電体膜および第2の誘電体膜と記
録膜との密着性がより良好で、且つ記録書き換え性能も
良好な光学的情報記録媒体を作製できるからである。
【0052】また、複数の情報層を含む多層構造の光学
的情報記録媒体を製造する場合に、その複数の情報層の
うち少なくとも一つの情報層を、本発明の第1または第
2の光学的情報記録媒体の製造方法を用いて作製するこ
とも可能である。
【0053】以下、本発明の実施の形態について、図面
を参照しながら説明する。
【0054】(実施の形態1)本発明の光学的情報記録
媒体の実施の形態を説明する。図1に、本実施の形態の
光学的情報記録媒体1の断面構成を示す。光学的情報記
録媒体1は、レーザ光の照射によって情報の記録再生が
可能な光学的情報記録媒体である。
【0055】光学的情報記録媒体1においては、基板1
1上に情報層12が設けられ、さらに透明層13が設け
られている。この光学的情報記録媒体1には、レーザ光
が透明層13側から照射される。情報層12は、レーザ
光照射側から、入射側保護膜14、入射側誘電体膜(第
1の誘電体膜)15、記録膜16、反入射側誘電体膜
(第2の誘電体膜)17、反入射側保護膜18、金属膜
19、および反射膜20がこの順に積層されることによ
り形成されている。なお、誘電体膜および保護膜の名称
において、入射側とは、記録膜16に対してレーザ光入
射側に配置されていることを意味し、反入射側とは、記
録膜16に対してレーザ光入射側と反対側に配置されて
いることを意味する。
【0056】透明層13は、光硬化型樹脂(特に紫外線
硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂、または誘
電体等からなり、使用するレーザ光に対して光吸収率が
小さいことが好ましく、また、短波長域において複屈折
率が小さいことが好ましい。また、透明層13に、透明
な円盤状のポリカーボネート、アモルファスポリオレフ
ィン、またはPMMA(ポリメチルメタクリレート)等
の樹脂、或いはガラスを用いてもよい。これらの材料を
使用する場合は、透明層13を、例えば、光硬化型樹脂
(特に紫外線硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹脂等の樹
脂によって情報層12に貼り合わせることにより形成す
る。
【0057】基板11は、透明で円盤状である。基板1
1には、例えば、ポリカーボネート、アモルファスポリ
オレフィン、またはPMMA等の樹脂、或いはガラスを
用いることができるが、転写性および量産性に優れ、且
つ低コストであることから、ポリカーボネートが特に好
ましい。基板11の情報層12と接する面には、必要に
応じてレーザ光を導くための案内溝が形成されていても
よい。基板11の情報層12と接する面と反対側の面
は、平滑であることが好ましい。
【0058】なお、基板11の厚さは、十分な強度があ
り、且つ光学的情報記録媒体1の全体の厚さが1200
μm程度となるように、500μm〜1200μmの範
囲内であることが好ましい。なお、透明層13の厚さが
600μm程度(NA=0.6で良好な記録再生が可能
な厚みである。)の場合、基板11の厚さは550μm
〜650μmの範囲内であることが好ましい。また、透
明層13の厚さが100μm程度(NA=0.85で良
好な記録再生が可能な厚みである。)の場合、基板11
の厚みは1050μm〜1150μmの範囲内であるこ
とが好ましい。
【0059】レーザ光を集光した際のスポット径はレー
ザ光の波長λによって決定され、波長λが短いほどより
小さなスポット径に集光可能である。このため、高密度
記録の場合、レーザ光の波長λは450nm以下である
ことが好ましい。また、波長λが350nm未満の場
合、透明層13等による光吸収が大きくなってしまう。
このため、レーザ光の波長λは350nm以上が好まし
い。
【0060】次に、情報層12を構成する各膜について
説明する。
【0061】入射側保護膜14は、誘電体からなる。こ
の入射側保護膜14は、記録膜16の酸化、腐食、変形
等を防止する働きと、光学距離を調整して記録膜16の
光吸収効率を高める働きと、記録前後の反射光量の変化
を大きくして信号振幅を大きくする働きと、を有する。
入射側保護膜14には、例えばTiO2、ZrO2、Hf
2、ZnO、Nb22、Ta25、SiO2、Al
23、Bi23等の酸化物を用いることができる。ま
た、C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−
N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−
Si−N、Ge−Cr−Nなどの窒化物を用いることも
できる。また、ZnSなどの硫化物やSiCなどの炭化
物を用いることもできる。また、上記材料の混合物を用
いることもできる。例えば、ZnSとSiO2との混合
物(ZnS−SiO2)は、入射側保護膜14の材料と
して特に優れている。ZnS−SiO2は、非晶質材料
で、屈折率が高く、成膜速度が速く、機械特性および耐
湿性が良好である。
【0062】入射側保護膜14の膜厚は、マトリクス法
(例えば、久保田広著「波動光学」岩波書店、1971
年、第3章を参照。)に基づく計算により、記録膜16
が結晶相である場合と非晶質相である場合との間の反射
光量の変化が大きくなり、且つ、記録膜16での光吸収
が大きくなるという条件を満足するように決定すること
ができる。
【0063】入射側誘電体膜15は、繰り返し記録によ
って入射側保護膜14と記録膜16との間で生じる物質
移動を防止する働きと、記録膜16の結晶化を促進させ
る働きと、を有する。入射側誘電体膜15は、記録膜1
6に接して設けられるため、記録の際に溶けない程度の
高融点を有する材料であって、且つ記録膜16との密着
性が良い材料であることが好ましい。記録の際に溶けな
い程度の高融点を有する材料であることは、高パワーの
レーザ光を照射した際に入射側誘電体膜15の材料が溶
融して記録膜16に混入しないようにするために必要な
特性である。入射側誘電体膜15を構成する物質が記録
膜16に混入すると、記録膜16の組成が変わり、書き
換え性能が著しく低下するからである。また、カルコゲ
ナイド材料からなる記録膜16と密着性が良い材料であ
ることは、信頼性確保に必要な特性である。
【0064】入射側誘電体膜15には、ZrおよびHf
の少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含
む材料を用いる。このような材料の中でも、CrとOと
がCr23の化合物を形成し、M1とOとが(M1)O
2の化合物を形成して、Cr23と(M1)O2の混合物
(第1の混合物)となっているものが好ましい。Cr 2
3は記録膜16との密着性が良い材料である。また、
ZrO2およびHfO2は、透明で融点が約2700〜2
800℃と高く、且つ酸化物の中では熱伝導率が低い材
料であるので、繰り返し書き換え性能の向上に繋がる。
従って、これら2種類の酸化物からなる混合物を入射側
誘電体膜15が含むことによって、繰り返し書き換え性
能に優れ、且つ信頼性の高い光学的情報記録媒体を実現
できる。なお、記録膜16との密着性を確保するため、
混合物Cr23−(M1)O2中のCr23は10mo
l%以上であることが好ましい。また、Cr23の含有
量が多くなると光吸収が増加する傾向にあるため、入射
側誘電体膜15での光吸収を小さく保つために、Cr2
3は60mol%以下であることが好ましい。より好
ましいCr23の含有量は、20mol%以上50mo
l%以下である。
【0065】入射側誘電体膜15には、M1、Cr、お
よびOの元素の他に、さらにSiを含む材料を用いるこ
ともできる。このような材料の中でも、CrとOとが化
合物Cr23を形成し、M1とOとが化合物(M1)O
2を形成し、SiとOとが化合物SiO2を形成して、S
iO2とCr23と(M1)O2との混合物(第1の混合
物)となっているものが好ましい。SiO2を含むこと
により、記録膜16の結晶化を促進する効果が高くな
り、書き換え性能に優れた光学的情報記録媒体を実現で
きる。混合物SiO2−Cr23−(M1)O2中のSi
2は5mol%以上であることが好ましく、記録膜1
6との密着性を確保するため40mol%以下であるこ
とが好ましい。より好ましくは、10mol%以上35
mol%以下である。また、混合物SiO2−Cr23
−(M1)O2中のCr23の含有量は、10mol%
以上70mol%以下であることが好ましい。また、良
好な記録書き換え性能を確保するため、SiO2とCr2
3の含有量の和は95mol%以下であることが好ま
しい。
【0066】入射側誘電体膜15の膜厚は、入射側誘電
体膜15での光吸収によって光学的情報記録媒体1の記
録前後の反射光量の変化が小さくならないよう、1nm
〜10nmの範囲内であることが望ましく、2nm〜5
nmの範囲内であることがより好ましい。
【0067】反入射側誘電体膜17は、入射側誘電体膜
15と同様に、繰り返し記録によって反入射側保護膜1
8と記録膜16との間で生じる物質移動を防止する働き
と、記録膜16の結晶化を促進させる働きとを有するほ
か、光学距離を調整して記録膜16の光吸収効率を高め
る働きと、記録前後の反射光量の変化を大きくして信号
振幅を大きくする働きをも有する。反入射側誘電体膜1
7には、入射側誘電体膜15と同様、M1、Cr、およ
びOの元素を含む材料を用いることが好ましい。このよ
うな材料の中でも、CrとOとが化合物Cr23を形成
し、M1とOとが化合物(M1)O2を形成して、Cr2
3と(M1)O2の混合物(第2の混合物)になってい
ることが好ましい。反入射側誘電体膜17は、入射側誘
電体膜15よりも記録膜16から剥がれやすいので、C
r原子濃度を入射側誘電体膜15よりも大きくして記録
膜16との密着性を向上させる必要がある。従って、例
えば、反入射側誘電体膜17が混合物Cr23−(M
1)O2を含む場合は、混合物Cr23−(M1)O2
のCr23の含有量は、入射側誘電体膜15のそれより
多い20mol%以上80mol%以下であることが好
ましく、30mol%以上70mol%以下であること
がより好ましい。これは、入射側誘電体膜15よりも水
が浸入しやすい反入射側誘電体膜17は入射側誘電体膜
15よりも記録膜16から剥がれやすいので、記録膜1
6と密着性の良好なCr23の含有量を増加させて密着
性を向上させるためである。
【0068】反入射側誘電体膜17には、入射側誘電体
膜15と同様、M1、Cr、およびOの元素の他にさら
にSiを含む材料を用いてもよい。このような材料の中
でも、CrとOとが化合物Cr23を形成し、M1とO
とが化合物(M1)O2を形成し、SiとOとが化合物
SiO2を形成して、SiO2とCr23と(M1)O 2
との混合物(第2の混合物)になっていることが好まし
い。混合物SiO2−Cr23−(M1)O2におけるS
iO2の含有量は、記録膜16との密着性を向上させる
ために入射側誘電体膜15のそれより少ない35mol
%以下であることが好ましく、5mol%以上30mo
l%以下であることがより好ましい。また、混合物Si
2−Cr23−(M1)O2中のCr23の含有量は、
20mol%以上80mol%以下であることが好まし
い。また、良好な記録書き換え性能を確保するため、S
iO2とCr23の含有量の和は95mol%以下であ
ることが好ましい。
【0069】反入射側誘電体膜17の膜厚は、2nm〜
75nmであることが好ましく、2nm〜40nmであ
ることがより好ましい。反入射側誘電体膜17の膜厚を
この範囲内に形成することによって、記録膜16で発生
した熱を効果的に反射膜20側に拡散させることができ
る。
【0070】反入射側保護膜18には、入射側保護膜1
4と同様の系の材料を用いることができる。混合物Zn
S−SiO2は、反入射側保護膜18としても優れた材
料である。
【0071】反入射側保護膜18の膜厚は、2nm〜7
5nmであることが好ましく、2nm〜40nmである
ことがより好ましい。反入射側保護膜18の膜厚をこの
範囲内に形成することによって、記録膜16で発生した
熱を効果的に反射膜20側に拡散させることができる。
なお、反入射側保護膜18を設けない構成とすることも
可能である。
【0072】記録膜16は、レーザ光の照射によって結
晶相と非晶質相との間で可逆的な相変化を起こす材料か
らなり、例えば、Ge−M2−Teを含む材料で形成で
きる。ただし、M2はSbおよびBiから選択される少
なくと一方の元素である。具体的には、記録膜16は、
例えば、組成式Gea(M2)bTe3+aで表される材料
で形成できる。このような材料によれば、非晶質相が安
定で信号振幅が大きく、融点の上昇と結晶化速度の低下
が少ない記録膜を形成することができる。なお、Gea
(M2)bTe3+aにおいて、aは、0<a≦60を満た
すことが望ましく、4≦a≦23を満たすことがより好
ましい。また、bは、非晶質相が安定で信号振幅が大き
く、結晶化速度の低下が少なくなるように、1.5≦b
≦7を満たすことが好ましく、1.5≦b≦3を満たす
ことがより好ましい。
【0073】また、記録膜16は、Gea(M2)bTe
3+aにおいて、Geの一部をSnおよびPbから選択さ
れる少なくとも一方の元素(M3)で置換した材料で形
成してもよい。この材料を用いた場合、Geを置換した
M3が結晶化能を向上させるため、記録膜16の膜厚が
薄い場合でも十分な消去率が得られる。M3としては、
毒性がない点でSnがより好ましい。なお、この場合も
0<a≦60(より好ましくは4≦a≦23)、且つ
1.5≦b≦7(より好ましくは1.5≦b≦3)であ
ることが好ましい。なお、記録膜16にこの組成の材料
を用いる場合、高線速(6m/s〜10m/s)での記
録再生に対して特に有効である。
【0074】また、記録膜16は、組成式(GeaM2b
Te3+a100-cM4c(但し、M4はSi、Ti、V、
Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Se、Zr、N
b、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、T
a、W、Os、Ir、Pt、Gd、Td、DyおよびA
uから選ばれる少なくとも一つの元素)で表される材料
で形成しても良い。この場合、添加された元素M4が記
録膜の融点及び結晶化温度を上昇させるため、記録膜1
6の熱的安定性が向上する。このような材料では、0<
c≦20であることが好ましく、2≦c≦10であるこ
とがより好ましい。また、0<a≦60(より好ましく
は4≦a≦23)、且つ1.5≦b≦7(より好ましく
は1.5≦b≦3)であることが好ましい。なお、記録
膜16にこの組成の材料を用いる場合、低線速(3m/
s〜4m/s)での記録再生に対して特に有効である。
【0075】また、記録膜16は、組成式(SbdTe
100-d100-e(M5)e(但し、M5はAg、In、G
e、Sn、Se、Bi、AuおよびMnから選択される
少なくとも一つの元素)で表される材料で形成してもよ
い。dおよびeが、50≦d≦95および0<e≦20
を満たす場合には、記録膜16が結晶相の場合と非晶質
相の場合との間の光学的情報記録媒体1の反射率差を大
きくできるので、良好な記録再生特性が得られる。65
≦dの場合には、結晶化速度が特に速く、特に良好な消
去率が得られる。また、80≦dの場合には、非晶質化
が困難となる。従って、65≦d≦85であることがよ
り好ましい。また、良好な記録再生性能を得るために
は、結晶化速度を調整するためのM5を添加することが
好ましい。eは、1≦e≦10であることがより好まし
い。e≦10の場合には、複数の相が現れることを抑制
できるため、繰り返し記録による特性劣化を抑制でき
る。
【0076】記録膜16の膜厚は、記録感度を高くする
ため、6nm〜15nmの範囲内であることが好まし
い。この範囲内においても、記録膜16が厚すぎる場合
には、熱の面内方向への拡散による隣接領域への熱的影
響が大きくなる。また、記録膜16が薄すぎる場合に
は、光学的情報記録媒体1の反射率が小さくなる。従っ
て、記録膜16の膜厚は、8nm〜12nmの範囲内で
あることがより好ましい。
【0077】反射膜20は、記録膜16に吸収される光
量を増大させるという光学的な機能を有する。また、反
射膜20は、記録膜16で生じた熱を速やかに拡散さ
せ、記録膜16を非晶質化し易くするという熱的な機能
も有する。さらに、反射膜20は、使用する環境から多
層膜を保護するという機能も有する。
【0078】反射膜20の材料には、例えば、Ag、A
u、CuおよびAlといった熱伝導率が高い単体金属
や、Al−Cr、Al−Ti、Au−Pd、Au−C
r、Ag−Pd、Ag−Pd−Cu、Ag−Pd−T
i、Ag−Ru−Au、Ag−Nd−Au、Ag−Nd
−CuまたはCu−Siといった合金を用いることがで
きる。特にAg合金は、熱伝導率が大きいため、反射膜
20の材料として好ましい。反射膜20の膜厚は、熱拡
散機能が十分となる30nm以上であることが好まし
い。この膜厚範囲においても、反射膜20が200nm
より厚い場合には、その熱拡散機能が大きくなりすぎて
光学的情報記録媒体1の記録感度が低下する。従って、
反射膜20の膜厚は30nm〜200nmの範囲内であ
ることがより好ましい。
【0079】反射膜20のレーザ入射側の界面に金属膜
19を配置しても良い。この場合、金属膜19には、反
射膜20について説明した材料より熱伝導率の低い材料
を用いることができる。反射膜20にAg合金を用いた
場合、金属膜19にAlまたはAl合金を用いることが
好ましい。また、金属膜19の膜厚は3nm〜100n
mであることが好ましく、10nm〜50nmであるこ
とがより好ましい。
【0080】以上のような構成の光学的情報記録媒体1
は、記録膜16と入射側および反入射側の誘電体膜1
5,17との密着性が良好で信頼性が高く、書き換え性
能が良好で、且つ記録膜16の結晶化能の向上による大
容量化が実現できる。
【0081】(実施の形態2)本発明の光学的情報記録
媒体の別の実施の形態を説明する。図2に、本実施の形
態の光学的情報記録媒体2の断面構成を示す。光学的情
報記録媒体2は、複数の情報層を含んでおり、片面から
のレーザ光の照射によって各情報層に対する情報の記録
再生が可能な、多層構造の光学的情報記録媒体である。
【0082】光学的情報記録媒体2においては、基板2
1上に第1〜第nまでのn個(nはn≧2を満たす自然
数)の情報層221〜22nが積層され、さらに、透明層
23が設けられている。なお、本明細書においては、レ
ーザ光の入射側から数えて1番目の情報層を第1の情報
層221、n番目の情報層を第nの情報層22nと記載す
る。互いに隣接する情報層は、光学分離層24を介して
積層されている。光学的情報記録媒体2においては、第
1の情報層221〜第(n−1)の情報層22n -1は、光
透過性を有している。第nの情報層22nにまでレーザ
光を到達させる必要があるからである。
【0083】基板21および透明層23の材料には、そ
れぞれ、実施の形態1で説明した基板11および透明層
13と同様の材料を用いることができる。また、それら
の形状および機能についても、実施の形態1の場合と同
様である。
【0084】光学分離層24は、光硬化型樹脂(特に紫
外線硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂、或い
は誘電体等からなり、使用するレーザ光に対して光吸収
率が小さいことが好ましく、短波長域において光学的に
複屈折率が小さいことが好ましい。
【0085】各情報層間に設けられる光学分離層24
は、第1の情報層221、第2の情報層222、…、第n
の情報層22nそれぞれのフォーカス位置を区別するた
めに用いられる。光学分離層24の厚さは、対物レンズ
の開口数(NA)とレーザ光の波長λによって決定され
る焦点深度ΔZ以上であることが必要である。焦点の光
強度の基準を無収差の場合の80%と仮定した場合、焦
点深度ΔZはΔZ=λ/{2(NA)2}で近似でき
る。λ=400nm、NA=0.6の時、ΔZ=0.5
56μmとなり、±0.6μm以内は焦点深度内とな
る。そのため、この場合には、光学分離層24の厚さは
1.2μm以上であることが必要である。また、対物レ
ンズを用いてレーザ光を集光可能な範囲となるように、
各情報層間の距離を設定することが望ましい。従って、
光学分離層24の厚さは、対物レンズが許容できる公差
内(例えば50μm以下)にすることが好ましい。
【0086】光学分離層24において、レーザ光の入射
側の表面には、必要に応じてレーザ光を導くための案内
溝が形成されていてもよい。この場合、片側からのレー
ザ光の照射のみにより、第kの情報層(kは1<k≦n
の自然数)22kを第1の情報層221〜第(k−1)の
情報層22k-1を透過したレーザ光によって記録再生す
ることが可能である。
【0087】以下、第1の情報層221の構成について
詳細に説明する。第1の情報層221には、レーザ光の
入射側から順に配置された入射側保護膜25、入射側誘
電体膜(第1の誘電体膜)26、記録膜27、反入射側
誘電体膜(第2の誘電体膜)28、反射膜29、および
透過率調整膜30が設けられている。
【0088】入射側保護膜25には、実施の形態1で説
明した入射側保護膜14と同様の材料を用いることがで
き、また、機能も入射側保護膜14と同様である。入射
側保護膜25の膜厚は、マトリクス法に基づく計算によ
り、記録膜27が結晶相である場合と非晶質相である場
合との間の反射光量の変化が大きくなり、且つ、記録膜
27での光吸収が大きくなるという条件を満足するよう
に決定することができる。
【0089】入射側誘電体膜26には、実施の形態1で
説明した入射側誘電体膜15と同様の材料を用いること
ができ、また、機能および形状も入射側誘電体膜15と
同様である。
【0090】反入射側誘電体膜28には、実施の形態1
で説明した反入射側誘電体膜17と同様の材料を用いる
ことができ、また、機能および形状も反入射側誘電体膜
17と同様である。
【0091】記録膜27には、実施の形態1で説明した
記録膜16と同様の材料を用いることができる。記録膜
27の膜厚はなるべく薄くすることが好ましい。これ
は、第1の情報層221を透過したレーザ光にて情報の
記録再生を行う情報層(第1の情報層221よりもレー
ザ光入射側から遠くに配置された情報層)に記録再生の
際に必要なレーザ光量を到達させるために、第1の情報
層221の透過率を高くする必要があるからである。例
えば、組成式Gea(M2)bTe3+aで表される材料、
Gea(M2)bTe3+aにおいてGeの一部を(M3)
にて置換した材料、および組成式(Gea(M2)bTe
3+a100-c(M4)cで表される材料の場合には、3n
m〜9nmの範囲内であることが好ましく、4nm〜8
nmの範囲内であることがより好ましい。また、記録膜
27が組成式(SbdTe100-d10 0-e(M5)eで表さ
れる材料にて形成されている場合は、厚みは1nm〜7
nmの範囲内であることが好ましく、2nm〜6nmの
範囲内であることがより好ましい。
【0092】反射膜29には、実施の形態1で説明した
反射膜20と同様の材料を用いることができ、また、機
能も反射膜20と同様である。反射膜29の膜厚は、第
1の情報層221の透過率をできるだけ高くするため、
3nm〜15nmの範囲内であることが好ましく、8n
m〜12nmの範囲内であることがより好ましい。反射
膜29の膜厚がこの範囲内にあることにより、その熱拡
散機能が十分で、且つ第1の情報層221における十分
な反射率が確保でき、さらに第1の情報層221の透過
率も十分となる。
【0093】透過率調整膜30は誘電体からなり、第1
の情報層221の透過率を調整する機能を有する。この
透過率調整膜30によって、記録膜27が結晶相である
場合の第1の情報層221における透過率Tc(%)と、
記録膜27が非晶質相である場合の第1の情報層221
における透過率Ta(%)とを、共に高くすることがで
きる。具体的には、透過率調整膜30を備える第1の情
報層221では、透過率調整膜30が無い場合に比べ
て、透過率TcおよびTaが2%〜10%程度上昇する。
また、透過率調整膜30は、記録膜27で発生した熱を
効果的に拡散させる機能も有する。
【0094】透過率調整膜30の屈折率n1および消衰
係数k1は、第1の情報層221の透過率TcおよびTa
高める作用をより大きくするために、2.0≦n1、且
つ、k1≦0.1を満たすことが好ましく、2.0≦n1
≦3.0、且つ、k1≦0.05を満たすことがより好
ましい。
【0095】透過率調整膜30の膜厚d1は、(1/3
2)λ/n1≦d1≦(3/16)λ/n1または(17
/32)λ/n1≦d1≦(11/16)λ/n1の範囲
内であることが好ましく、(1/16)λ/n1≦d1
(5/32)λ/n1または(9/16)λ/n1≦d1
≦(21/32)λ/n1の範囲内であることがより好
ましい。なお、例えばレーザ光の波長λと透過率調整膜
30の屈折率n1とを350nm≦λ≦450nm、
2.0≦n1≦3.0とすると、膜厚d1は3nm≦d1
≦40nmまたは60nm≦d1≦130nmの範囲内
であることが好ましく、7nm≦d1≦30nmまたは
65nm≦d1≦120nmの範囲内であることがより
好ましいことになる。膜厚d1をこの範囲内で選ぶこと
によって、第1の情報層221の透過率TcおよびTa
共に高くすることができる。
【0096】透過率調整膜30には、例えば、Ti
2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb25、Ta
25、SiO2、Al23、Bi23等の酸化物を用い
ることができる。また、Ti−N、Zr−N、Nb−
N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−
N、Ge−Si−N、Ge−Cr−N等の窒化物を用い
ることもできる。また、ZnSなどの硫化物を用いるこ
ともできる。また、上記材料の混合物を用いることもで
きる。これらの中でも、特に、TiO2、またはTiO2
を含む材料を用いることが好ましい。これらの材料は屈
折率が大きく(n1=2.5〜2.8)、消衰係数も小
さい(k1=0.0〜0.05)ため、第1の情報層2
1の透過率を高める作用が大きくなる。
【0097】第1の情報層221の透過率TcおよびTa
は、記録再生の際に必要なレーザ光量を第2の情報層2
2〜第nの情報層22nに到達させるため、40<
c、且つ、40<Taを満たすことが好ましく、46<
c、且つ、46<Taを満たすことがより好ましい。
【0098】第1の情報層221の透過率TcおよびTa
は、−5≦(Tc−Ta)≦5を満たすことが好ましく、
−3≦(Tc−Ta)≦3を満たすことがより好ましい。
透過率TcおよびTaがこの条件を満たすことにより、第
2〜第nの情報層222〜22nに情報の記録再生を行う
際、第1の情報層221における記録膜27の状態によ
る透過率の変化の影響が小さくなるので、良好な記録再
生特性が得られる。
【0099】記録膜27が結晶相の時の第1の情報層2
1の反射率Rc1および記録膜27が非晶質相の時の第
1の情報層221の反射率Ra1は、Ra1<Rc1を満たす
ことが好ましい。このことにより、情報が記録された状
態よりも情報が記録されていない初期の状態で反射率が
高く、安定に記録再生動作を行うことができる。また、
反射率差(Rc1−Ra1)を大きくして良好な記録再生特
性が得られるように、Rc1、Ra1は、0.1≦Ra1
5、且つ、4≦Rc1≦15を満たすことが好ましく、
0.1≦Ra1≦3、且つ、4≦Rc1≦10を満たすこと
がより好ましい。
【0100】なお、本実施の形態の光学的情報記録媒体
2に含まれる第1の情報層221以外の他の情報層の膜
構造は、第1の情報層221と同様であってもよく、ま
た、別の構造であってもよい。また、複数の情報層のう
ちの少なくとも一つを本実施の形態で説明した第1の情
報層221と同様の膜構造とし、他の情報層は異なる構
造であっても構わないが、レーザ光入射側の面に最も近
い位置に配置される第1の情報層221を本実施の形態
で説明した膜構造にすることが好ましい。また、第1の
情報層221以外の他の情報層の何れか一つを、再生専
用タイプの情報層(ROM(Read Only Memory))また
は1回のみ書き込み可能な追記型の情報層(WO(Writ
e Once))としても良い。
【0101】以上のような構成の光学的情報記録媒体2
は、記録膜27と入射側および反入射側の誘電体膜2
6,28との密着性が良好で信頼性が高く、書き換え性
能が良好で、且つ記録膜27の結晶化能の向上により大
容量化が実現できる。
【0102】(実施の形態3)本発明の光学的情報記録
媒体のさらに別の実施の形態を説明する。図3に、本実
施の形態の光学的情報記録媒体3の断面構成を示す。光
学的情報記録媒体3は、2つの情報層を含んでおり、片
面からのレーザ光の照射によって各情報層に対する情報
の記録再生が可能な多層構造の光学的情報記録媒体であ
る。
【0103】光学的情報記録媒体3は、基板31上に順
次積層した、第2の情報層322、光学分離層34、第
1の情報層321、および透明層33により構成されて
いる。レーザ光は透明層33側から入射される。基板3
1、光学分離層34、第1の情報層321、および透明
層33には、実施の形態1または2で説明した基板1
1,21、光学分離層24、第1の情報層221、透明
層13,23と同様の材料を用いることができ、また、
形状および機能も同様である。
【0104】以下、第2の情報層322の構成について
詳細に説明する。第2の情報層322には、レーザ光入
射側から順に配置された入射側保護膜35、入射側誘電
体膜(第1の誘電体膜)36、記録膜37、反入射側誘
電体膜(第2の誘電体膜)38、反入射側保護膜39、
金属膜40、および反射膜41が設けられている。第2
の情報層322は、透明層33および第1の情報層3
1、および光学分離層34を透過したレーザ光によっ
て情報の記録再生が行われる。
【0105】入射側保護膜35には、実施の形態1で説
明した入射側保護膜14と同様の材料を用いることがで
き、また、機能についても同様である。入射側保護膜3
5の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、記録膜
37が結晶相である場合と非晶質相である場合との間の
反射光量の変化が大きくなり、且つ記録膜37での光吸
収が大きくなるという条件を満足するように決定するこ
とができる。
【0106】入射側誘電体膜36には、実施の形態1で
説明した入射側誘電体膜15と同様の材料を用いること
ができ、また、機能および形状も同様である。
【0107】反入射側誘電体膜38には、実施の形態1
で説明した反入射側誘電体膜17と同様の材料を用いる
ことができ、また、機能および形状も同様である。
【0108】記録膜37には、実施の形態1で説明した
記録膜16と同様の材料を用いることができ、また、膜
厚も同様である。
【0109】反入射側保護膜39には、実施の形態1で
説明した反入射側保護膜18と同様の材料を用いること
ができ、また、機能および形状も同様である。なお、反
入射側保護膜39を設けない構成とすることも可能であ
る。
【0110】金属膜40には、実施の形態1で説明した
金属膜19と同様の材料を用いることができ、また、機
能および形状も同様である。なお、金属膜40を設けな
い構成とすることも可能である。
【0111】反射膜41には、実施の形態1で説明した
反射膜20と同様の材料を用いることができ、また、そ
れらの機能および形状も同様である。
【0112】以上のような構成の光学的情報記録媒体3
は、第1の情報層321および第2の情報層322共に、
入射側誘電体膜26,36および反入射側誘電体膜2
8,38と記録膜27,37との密着性が良好で信頼性
が高く、書き換え性能が良好で、且つ記録膜27,37
の結晶化能の向上による大容量化も実現できる。
【0113】(実施の形態4)本発明の光学的情報記録
媒体のさらに別の実施の形態を説明する。図4に、本実
施の形態の光学的情報記録媒体5の断面構成を示す。光
学的情報記録媒体5は、複数の情報層を含んでおり、片
面からのレーザ光の照射によって各情報層に対する記録
再生が可能な多層構造の光学的情報記録媒体である。
【0114】光学的情報記録媒体5では、実施の形態1
〜3で説明した光学的情報記録媒体1〜3と異なり、基
板51がレーザ光入射側に配置されている。この基板5
1上にn個の第1〜第nの情報層521〜52nが積層さ
れ、さらに、接着層53を介してダミー基板54が配置
されている。n個の情報層521〜52nは、光学分離層
55を介して互いに積層されている。
【0115】基板51およびダミー基板54は、実施の
形態1で説明した基板11と同様に、透明で円盤状の基
板である。基板51およびダミー基板54には、例え
ば、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、
またはPMMA等の樹脂、或いはガラスを用いることが
できる。
【0116】基板51の第1の情報層521側の表面に
は、必要に応じてレーザ光を導くための案内溝が形成さ
れていても良い。基板51の第1の情報層521側と反
対側の表面は、平滑であることが好ましい。基板51お
よびダミー基板54の材料としては、転写性および量産
性に優れ、低コストであることから、ポリカーボネート
が特に好ましい。なお、基板51の厚さは、十分な強度
があり、且つ光学的情報記録媒体5の厚さが全体で12
00μm程度となるよう、500μm〜1200μmの
範囲内であることが好ましい。
【0117】接着層53は、光硬化型樹脂(特に紫外線
硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹脂等の樹脂からなり、
使用するレーザ光に対して光吸収率が小さいことが好ま
しく、短波長域において光学的に複屈折率が小さいこと
が好ましい。
【0118】なお、第1の情報層521の膜構成は実施
の形態2で説明した第1の情報層221の膜構成と同様
であり、各膜の材料、形状、および機能等についても同
様である。また、光学分離層54は、実施の形態2で説
明した光学分離層24と同様の材料を用いることがで
き、形状および機能も同様である。
【0119】以上のようにレーザ光入射側に基板51が
配置された光学的情報記録媒体5においても、実施例1
〜3で説明した光学的情報記録媒体1〜3と同様の効果
を相する。
【0120】(実施の形態5)本発明の光学的情報記録
媒体の製造方法の実施の形態について説明する。本実施
の形態においては、実施の形態1で説明した光学的情報
記録媒体1の製造方法について説明する。
【0121】まず、基板11(例えば厚み1100μ
m)を用意し、成膜装置内に配置する。続いて、基板1
1上に情報層12を作製する。具体的には、基板11上
にまず反射膜20を成膜する。この時、基板11にレー
ザ光を導くための案内溝が形成されている場合には、こ
の案内溝が形成された面に反射膜20を成膜する。反射
膜20は、反射膜20を構成する金属または合金からな
るスパッタリングターゲットを、Arガス雰囲気中、ま
たはArガスと反応ガス(酸素ガスおよび窒素ガスから
選ばれる少なくとも一つのガス)との混合ガス雰囲気中
でスパッタリングすることによって形成できる。
【0122】続いて、反射膜20上に、必要に応じて金
属膜19を成膜する。金属膜19は、金属膜19を構成
する金属または合金からなるスパッタリングターゲット
を用い、反射膜20の場合と同様の方法で形成できる。
【0123】続いて、金属膜19上(金属膜19を設け
ない構成の場合は反射膜20上)に、必要に応じて反入
射側保護膜18を成膜する。反入射側保護膜18は、反
入射側保護膜18を構成する化合物からなるスパッタリ
ングターゲットを、Arガス雰囲気中、またはArガス
と反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングする
ことによって形成できる。また、反入射側保護膜18
は、反入射側保護膜18を構成する元素を含む金属から
なるスパッタリングターゲットを、Arガスと反応ガス
との混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングすること
によっても形成できる。
【0124】続いて、反入射側保護膜18上(反入射側
保護膜18を設けない構成の場合は金属膜19上または
反射膜20上)に、反入射側誘電体膜17を成膜する。
反入射側誘電体膜17は、混合物Cr23−(M1)O
2または混合物SiO2−Cr 23−(M1)O2を含む
スパッタリングターゲット(第2のスパッタリングター
ゲット)を用いて、スパッタリングにより形成できる。
このスパッタリングターゲットに含まれる混合物がCr
23−(M1)O2の場合、この混合物においてCr2
3が15mol%以上80mol%以下であることが好
ましい。また、このスパッタリングターゲットに含まれ
る混合物がSiO2−Cr23−(M1)O2の場合、こ
の混合物において、 SiO2:35mol%以下 Cr23:15mol%以上80mol%以下 SiO2+Cr23:15mol%を超え、95mol
%以下 であることが好ましい。
【0125】これらのようなスパッタリングターゲット
を、Arガス雰囲気中、またはArガスと反応ガスとの
混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって、
反入射側誘電体膜17が形成できる。ここで、Cr23
は(M1)O2やSiO2に対してスパッタリングで形成
し易いため、スパッタリングターゲットのCr23の含
有量は、所定の膜組成に対して若干少なくすることが好
ましい。
【0126】続いて、反入射側誘電体膜17上に、記録
膜16を成膜する。記録膜16は、その組成に応じて、
Ge−M2−Te合金からなるスパッタリングターゲッ
ト、またはGe−M2−Te−M3合金からなるスパッ
タリングターゲット、またはGe−M2−Te−M4合
金からなるスパッタリングターゲット、またはSb−T
e−M5合金からなるスパッタリングターゲットを、一
つの電源を用いて、スパッタリングすることによって形
成できる。
【0127】記録膜16を成膜する場合のスパッタリン
グの雰囲気ガスには、Arガス、Krガス、Arガスと
反応ガスとの混合ガス、またはKrガスと反応ガスとの
混合ガスを用いることができる。また、記録膜16は、
Ge、Te、M2、M3、M4、およびM5のうち必要
な金属を含むスパッタリングターゲットを複数の電源を
用いて同時にスパッタリングすることによって形成する
こともできる。また、記録膜16は、Ge、Te、M
2、M3、M4、およびM5から必要な元素を組み合わ
せた2元系スパッタリングターゲットや3元系スパッタ
リングターゲットなどを、複数の電源を用いて同時にス
パッタリングすることによって形成することもできる。
これらの場合でも、Arガス雰囲気中、Krガス雰囲気
中、Arガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中、または
Krガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリ
ングすることによって形成できる。
【0128】続いて、記録膜16上に、入射側誘電体膜
15を成膜する。入射側誘電体膜16は、混合物Cr2
3−(M1)O2または混合物SiO2−Cr23
(M1)O2を含むスパッタリングターゲット(第1の
スパッタリングターゲット)を用いて、スパッタリング
にて形成できる。このスパッタリングターゲットに含ま
れる混合物がCr23−(M1)O2である場合、この
混合物においてCr23が5mol%以上60mol%
以下であることが好ましい。また、このスパッタリング
ターゲットに含まれる混合物がSiO2−Cr23
(M1)O2である場合は、この混合物において、 SiO2:5mol%以上40mol%以下 Cr23:5mol%以上70mol%以下 SiO2+Cr23:10mol%以上95mol%以
下 であることが好ましい。これらのようなスパッタリング
ターゲットを、Arガス雰囲気中、またはArガスと反
応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングすること
によって、入射側誘電体膜15が形成できる。ここで
も、Cr23は(M1)O2やSiO2に対してスパッタ
リングで形成し易いため、スパッタリングターゲットの
Cr22の含有量は、所定の膜組成に対して若干少なく
することが好ましい。
【0129】続いて、入射側誘電体膜15上に、入射側
保護膜14を成膜する。入射側保護膜14は、入射側保
護膜14を構成する化合物からなるスパッタリングター
ゲットを、Arガス雰囲気中、またはArガスと反応ガ
スとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによ
って形成できる。また、入射側保護膜14は、入射側保
護膜14を構成する元素を含む金属からなるスパッタリ
ングターゲットを、Arガスと反応ガスとの混合ガス雰
囲気中で反応性スパッタリングすることによっても形成
できる。
【0130】最後に、入射側保護膜14上に透明層13
を形成する。透明層13は、光硬化型樹脂(特に紫外線
硬化型樹脂)または遅効性熱硬化型樹脂を入射側保護膜
14上に塗布してスピンコートした後、樹脂を硬化させ
ることによって形成できる。また、透明層13として、
透明な円盤状のポリカーボネート、アモルファスポリオ
レフィン、またはPMMA等の樹脂、或いはガラスなど
の基板を用いても良い。この場合、透明層13は、光硬
化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)や遅効性熱硬化型樹
脂等の樹脂を入射側保護膜14上に塗布して、次に基板
を入射側保護膜14上に密着させ、全体を回転させて樹
脂を均一に延ばした(スピンコートした)後、樹脂を硬
化させることによって形成できる。また、予め粘着性の
樹脂を均一に塗布した基板を入射側保護膜14に密着さ
せることもできる。
【0131】なお、本実施の形態においては、各膜の成
膜方法としてスパッタリング法を用いたが、これに限定
されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD
(Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular
Beam Epitaxy)等を用いることも可能である。
【0132】なお、入射側保護膜14を成膜した後、ま
たは透明層13を形成した後、必要に応じて、記録膜1
6の全面を結晶化させる初期化工程を行っても良い。記
録膜16の結晶化は、レーザ光を照射することによって
行うことができる。
【0133】以上のようにして、光学的情報記録媒体1
を製造できる。
【0134】(実施の形態6)本発明の光学的情報記録
媒体の製造方法の別の実施の形態について説明する。本
実施の形態においては、実施の形態2で説明した光学的
情報記録媒体2の製造方法について説明する。
【0135】まず、基板21(例えば厚さ1100μ
m)上に、第nの情報層22n〜第2の情報層222
(n−1)層の情報層を、光学分離層24を介して順次
積層する。各情報層は、単層膜または多層膜からなり、
それらの各膜は、成膜装置内で材料となるスパッタリン
グターゲットを順次スパッタリングすることによって形
成できる。また、光学分離層24は、光硬化型樹脂(特
に紫外線硬化型樹脂)または遅効性熱硬化型樹脂を情報
層上に塗布し、スピンコートにより樹脂を均一に延ば
し、その後で樹脂を硬化させることによって形成でき
る。なお、光学分離層24にレーザ光の案内溝を形成す
る場合は、表面に所定の形状の溝が形成された転写用基
板(型)を硬化前の樹脂に密着させた後、基板21と転
写用基板とを回転させてスピンコートし、その後に樹脂
を硬化させ、さらにその後に転写用基板を硬化させた樹
脂から剥がすことによって、表面に所定の案内溝が形成
された光学分離層24を形成できる。
【0136】このようにして、基板21上に、(n−
1)層の情報層を光学分離層24を介して順次積層した
後、さらに光学分離層24を形成したものを用意する。
続いて、(n−1)層の情報層上に形成された光学分離
層24上に、第1の情報層22 1を形成する。具体的に
は、まず、(n−1)層の情報層および光学分離層24
が形成された基板21を成膜装置内に配置し、光学分離
層24上に透過率調整膜30を成膜する。透過率調整膜
30は、透過率調整膜30を構成する化合物からなるス
パッタリングターゲットを、Arガス雰囲気中、または
Arガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリ
ングすることによって形成できる。また、透過率調整膜
30は、透過率調整膜30を構成する元素からなる金属
をスパッタリングターゲットとして用い、Arガスと反
応ガスとの混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングす
ることによっても形成できる。
【0137】続いて、透過率調整膜30上に、反射膜2
9を成膜する。反射膜29は、実施の形態5で説明した
反射膜20と同様の方法で形成できる。
【0138】続いて、反射膜29上に、反入射側誘電体
膜28を成膜する。反入射側誘電体膜28は、実施の形
態5で説明した反入射側誘電体膜17と同様の方法で形
成できる。
【0139】続いて、反入射側誘電体膜28上に、記録
膜27を成膜する。記録膜27は、実施の形態5で説明
した記録膜16と同様の方法で形成できる。
【0140】続いて、記録膜27上に、入射側誘電体膜
26を成膜する。入射側誘電体膜26は、実施の形態5
で説明した入射側誘電体膜15と同様の方法で形成でき
る。
【0141】続いて、入射側誘電体膜26上に、入射側
保護膜25を成膜する。入射側保護膜25は、実施の形
態5で説明した入射側保護膜14と同様の方法で形成で
きる。
【0142】最後に、入射側保護膜25上に透明層23
を形成する。透明層23は、実施の形態5で説明した透
明層13と同様の方法で形成できる。
【0143】なお、入射側保護膜25を成膜した後、ま
たは透明層23を形成した後、必要に応じて、記録膜2
7の全面を結晶化させる初期化工程を行っても良い。記
録膜27の結晶化は、レーザ光を照射することによって
行うことができる。
【0144】以上のようにして、光学的情報記録媒体2
を製造できる。
【0145】(実施の形態7)本発明の光学的情報記録
媒体の製造方法の別の実施の形態について説明する。本
実施の形態においては、実施の形態3で説明した光学的
情報記録媒体3の製造方法について説明する。
【0146】まず、基板31上に第2の情報層322
形成する。具体的には、まず、基板31(例えば厚さ1
100μm)を用意し、成膜装置内に配置する。
【0147】続いて、基板31上に反射膜41を成膜す
る。この時、基板31にレーザ光を導くための案内溝が
形成されている場合には、案内溝が形成された面上に反
射膜41を成膜する。反射膜41は、実施の形態5で説
明した反射膜20と同様の方法で形成できる。
【0148】続いて、反射膜41上に、必要に応じて金
属膜40を成膜する。金属層40は、実施の形態5で説
明した金属膜19と同様の方法で形成できる。
【0149】続いて、金属膜40上(金属膜40を設け
ない場合は反射膜41上)に、必要に応じて反入射側保
護膜39を成膜する。反入射側保護膜39は、実施の形
態5で説明した反入射側保護膜18と同様の方法で形成
できる。
【0150】続いて、反入射側保護膜39上(反入射側
保護膜39を設けない場合は、金属膜40上または反射
膜41上)に、反入射側誘電体膜38を成膜する。反入
射側誘電体膜38は、実施の形態5で説明した反入射側
誘電体膜17と同様の方法で形成できる。
【0151】続いて、反入射側誘電体膜38上に、記録
膜37を成膜する。記録膜37は、実施の形態5で説明
した記録膜16と同様の方法で形成できる。
【0152】続いて、記録膜37上に、入射側誘電体膜
36を成膜する。入射側誘電体膜36は、実施の形態5
で説明した入射側誘電体膜15と同様の方法で形成でき
る。
【0153】続いて、入射側誘電体膜36上に、入射側
保護膜35を成膜する。入射側保護膜35は、実施の形
態5で説明した入射側保護膜14と同様の方法で形成で
きる。
【0154】以上のようにして、第2の情報層322
形成する。
【0155】続いて、第2の情報層322の入射側保護
膜35上に光学分離層34を形成する。光学分離層34
は、実施の形態6で説明した光学分離層24と同様の方
法で形成できる。
【0156】なお、入射側保護膜35を成膜した後、ま
たは光学分離層34を形成した後に、必要に応じて、記
録膜37の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよ
い。記録膜37の結晶化は、レーザ光を照射することに
よって行うことができる。
【0157】続いて、光学分離層34上に第1の情報層
321を形成する。具体的には、光学分離層34上に、
透過率調整膜30、反射膜29、反入射側誘電体膜2
8、記録膜27、入射側誘電体膜26、および入射側保
護膜25をこの順序で成膜する。これらの各膜は、実施
の形態5で説明した方法で形成できる。
【0158】最後に、入射側保護膜25上に透明層33
を形成する。透明層33は、実施の形態5で説明した透
明層13と同様の方法で形成できる。
【0159】なお、入射側保護膜25を成膜した後、ま
たは透明層33を形成した後に、必要に応じて、記録膜
27の全面を結晶化させる初期化工程を行っても良い。
記録膜27の結晶化は、レーザ光を照射することによっ
て行うことができる。
【0160】また、第1の情報層321の入射側保護膜
25を成膜した後、または透明層33を形成した後に、
必要に応じて、第2の情報層322の記録膜37および
第1の情報層321の記録膜27の全面を結晶化させる
初期化工程を行ってもよい。この場合、第2の情報層3
2の記録膜37を先に結晶化させることが好ましい。
【0161】以上のようにして、光学的情報記録媒体3
を製造できる。
【0162】(実施の形態8)本発明の光学的情報記録
媒体の製造方法のさらに別の実施の形態について説明す
る。本実施の形態においては、実施の形態4で説明した
光学的情報記録媒体5の製造方法について説明する。
【0163】まず、基板51(例えば厚さ600μm)
上に、第1の情報層521を形成する。この時、基板5
1にレーザ光を導くための案内溝が形成されている場合
には、案内溝が形成された面上に第1の情報層521
形成する。具体的には、基板51を成膜装置内に配置
し、実施の形態6で説明した第1の情報層221と逆の
順番で、入射側保護膜25、入射側誘電体膜26、記録
膜27、反入射側誘電体膜28、反射膜29、および透
過率調整膜30を順次積層する。各膜の成膜方法は、実
施の形態6で説明したとおりである。
【0164】その後、第2の情報層522〜第nの情報
層52nの(n−1)層の情報層を、光学分離層55を
介して順次積層する。各情報層は、単層膜または多層膜
からなり、それらの各膜は、実施の形態6で説明した方
法と同様、成膜装置内で材料となるスパッタリングター
ゲットを順次スパッタリングすることによって形成でき
る。
【0165】最後に、第nの情報層52nとダミー基板
54とを、接着層53を用いて貼り合わせる。具体的に
は、光硬化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)や遅効性熱
硬化型樹脂等の樹脂を第nの情報層52n上に塗布し、
この樹脂を介してダミー基板54を第nの情報層52n
上に密着させてスピンコートした後、樹脂を硬化させる
と良い。また、ダミー基板54に予め粘着性の樹脂を均
一に塗布しておき、それを第nの情報層52nに密着さ
せることもできる。
【0166】なお、ダミー基板54を密着させた後、必
要に応じて、第1の情報層521の記録膜27の全面を
結晶化させる初期化工程を行っても良い。記録膜27の
結晶化は、レーザ光を照射することによって行うことが
できる。
【0167】以上のようにして、光学的情報記録媒体5
を製造できる。
【0168】(実施の形態9)実施の形態1〜4で説明
した光学的情報記録媒体1、2、3、または5に対して
情報の記録再生を行う方法について説明する。図5に
は、本実施の形態の記録再生方法に用いられる記録再生
装置6の一部の構成が、模式的に示されている。記録再
生装置6は、光学的情報記録媒体7を回転させるための
スピンドルモータ61と、半導体レーザ62を備える光
学ヘッド63と、半導体レーザ62から出射されるレー
ザ光を集光する対物レンズ64とを含んでいる。光学的
情報記録媒体7は、光学的情報記録媒体1、2、3、ま
たは5であり、一つの情報層または複数の情報層(例え
ば、光学的情報記録媒体3における第1の情報層321
および第2の情報層322)を含んでいる。対物レンズ
64は、レーザ光を光学的情報記録媒体7の情報層上に
集光する。
【0169】光学的情報記録媒体7への情報の記録、消
去、および上書き記録は、レーザ光のパワーを、高パワ
ーのピークパワー(Pp(mW))と低パワーのバイア
スパワー(Pb(mW))とに変調させることによって
行う。ピークパワーのレーザ光を照射することによっ
て、情報層に含まれる記録膜の局所的な一部分に非晶質
相が形成され、その非晶質相が記録マークとなる。記録
マーク間では、バイアスパワーのレーザ光が照射され、
結晶相(消去部分)が形成される。なお、ピークパワー
のレーザ光を照射する場合には、パルスの列で形成す
る、いわゆるマルチパルスとするのが一般的である。な
お、マルチパルスは、ピークパワーおよびバイアスパワ
ーのパワーレベルだけで変調されても良いし、0mW〜
ピークパワーの範囲のパワーレベルによって変調されて
も良い。
【0170】また、ピークパワーおよびバイアスパワー
の何れのパワーレベルよりも低く、そのパワーレベルで
のレーザ光の照射によって記録マークの光学的な状態が
影響を受けず、且つ光学的情報記録媒体7から記録マー
ク再生のための十分な反射光量が得られるパワーを再生
パワー(Pr(mW))とし、再生パワーのレーザ光を
照射することによって得られる光学的情報記録媒体7か
らの信号を検出器で読みとることにより、情報信号の再
生が行われる。
【0171】対物レンズ64の開口数(NA)は、レー
ザ光のスポット径を0.4μm〜0.7μmの範囲内に
調整するため、0.5〜1.1の範囲内(より好ましく
は、0.6〜1.0の範囲内)であることが好ましい。
レーザ光の波長は、450nm以下(より好ましくは、
350nm〜450nmの範囲内)であることが好まし
い。情報を記録する際の光学的情報記録媒体7の線速度
は、再生光による結晶化が起こりにくく、且つ十分な消
去率が得られる3m/秒〜20m/秒の範囲内(より好
ましくは、4m/秒〜15m/秒の範囲内)であること
が好ましい。
【0172】例えば、光学的情報記録媒体7が二つの情
報層を備えた光学的情報記録媒体3である場合におい
て、第1の情報層321に対して記録を行う際には、レ
ーザ光の焦点を記録膜27に合わせ、透明層33を透過
したレーザ光によって記録膜27に情報を記録する。情
報の再生は、記録膜27によって反射され、透明層33
を透過してきたレーザ光を用いて行う。一方、第2の情
報層322に対して記録を行う際には、レーザ光の焦点
を記録膜37に合わせ、透明層33、第1の情報層32
1、および光学分離層34を透過したレーザ光によって
情報を記録する。情報の再生は、記録膜37によって反
射され、光学分離層34、第1の情報層321、および
透明層33を透過してきたレーザ光を用いて行う。
【0173】なお、光学的情報記録媒体3の基板31お
よび光学分離層34の表面にレーザ光を導くための案内
溝が形成されている場合、情報は、レーザ光の入射側か
ら近い方の溝面(グルーブ)に行われても良いし、遠い
方の溝面(ランド)に行われても良い。また、グルーブ
とランドの両方に情報を記録しても良い。
【0174】
【実施例】以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳細
に説明する。
【0175】(実施例1〜6および比較例1〜4)実施
例1〜6および比較例1〜4の光学的情報記録媒体とし
て、一層の情報層が設けられ、この情報層が図2に示し
た光学的情報記録媒体2の第1の情報層221である光
学的情報記録媒体を作製した。つまり、光学的情報記録
媒体2において、基板21と透明層23との間に第1の
情報層221のみが設けられたものを作製した。実施例
1〜6および比較例1〜4の光学的情報記録媒体は、情
報層に含まれる入射側誘電体膜26および反入射側誘電
体膜28が共にCr、Zr、およびOの元素からなる
(混合物Cr23−ZrO2にて形成されている)。た
だし、Cr原子濃度(Cr23の含有量)は、各実施例
および比較例ごとに異なる。
【0176】具体的には、まず、基板21として、レー
ザ光を導くための案内溝(深さ20nm、トラックピッ
チ0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板
(直径120mm、厚さ1100μm)を用意した。そ
して、そのポリカーボネート基板上に、透過率調整膜3
0としてTiO2膜(厚さ:20nm)、反射膜29と
してAg−Pd−Cu膜、反入射側誘電体膜28として
Cr23−ZrO2膜(厚さ:約10nm)、記録膜2
7としてG22Sb2Te25膜(厚さ:6nm)、入射側
誘電体膜26としてCr23−ZrO2膜(厚さ:5n
m)、入射側保護膜25としてZnS−SiO2膜(厚
さ:約40nm、ZnS:80mol%、SiO2:2
0mol%)を、順次スパッタリング法によって積層し
た。最後に、紫外線硬化型樹脂(日本化薬(株)製 D
VD−003)を入射側保護膜25上に塗布し、ポリカ
ーボネート基板(直径120mm、厚さ70μm)を入
射側保護膜25に密着させてスピンコートした後、紫外
線を照射して樹脂を硬化させることによって、透明層2
3を形成した。その後、記録膜27を結晶化させる初期
化工程を行った。
【0177】以上のようにして、入射側誘電体膜26お
よび反入射側誘電体層28のCr原子濃度がそれぞれ異
なる実施例1〜6および比較例1〜4の光学的情報記録
媒体を製造した。実施例1〜6および比較例1〜4の光
学的情報記録媒体それぞれにおける入射側誘電体膜26
および反入射側誘電体層28の材料は、表1に示された
とおりである。
【0178】なお、実施例1〜6および比較例1〜4そ
れぞれにおける入射側誘電体膜26および反入射側誘電
体膜28の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、
厳密に決定されたものである。具体的には、これらの厚
さは、波長405nmにおいて、記録膜27が結晶相の
時の情報層における反射率Rc1(基板の鏡面部における
反射)ができるだけ4≦Rc1≦10の範囲内に収まるよ
うに、また、記録膜27が非晶質相の時の情報層におけ
る反射率Ra1(基板の鏡面部における反射)ができるだ
け0.5≦Ra1≦3の範囲内に収まるように決定した。
【0179】以上のように形成された実施例および比較
例の光学的情報記録媒体それぞれについて、入射側誘電
体膜26および反入射側誘電体膜28と記録膜27との
密着性と、繰り返し書き換え性能とを評価した。
【0180】まず、図5に示した記録再生装置6を用い
て、各光学的情報記録媒体の記録書き換え回数を測定し
た。この時、レーザ光の波長は405nm、対物レンズ
64の開口数(NA)は0.85、測定時のサンプルの
線速度は5.0m/s、最短マーク長は0.149μ
m、基板の案内溝のトラックピッチは0.32μmとし
た。また、情報はグルーブに記録した。
【0181】記録書き換え性能は、レーザ光をPpとPb
の間でパワー変調し、(1−7)変調方式でマーク長
0.149μm(2T)から0.596μm(8T)ま
でのランダム信号を同じグルーブに連続記録し、各記録
書き換え回数における前端ジッター(記録マーク前端部
におけるジッター)、後端ジッター(記録マーク後端部
におけるジッター)、および前端ジッターと後端ジッタ
ーとの平均ジッターをタイムインターバルアナライザー
で測定することによって評価した。1回目のジッター値
に対し3%増加する書き換え回数を、繰り返し書き換え
性能の上限値とした。なお、PpとPbは、平均ジッター
値が最も小さくなるように決定した。
【0182】その後、入射側誘電体膜26および反入射
側誘電体膜28の材料と、記録膜27との密着性を評価
した。なお、密着性の評価は、記録書き換え性能を評価
した部分を除いた領域で行った。具体的には、温度90
℃、相対湿度80%の条件で恒湿槽に光学的情報記録媒
体を100時間放置した後、光学顕微鏡で目視観察し、
入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28と記録
膜27との間で剥離が発生していないか調べた。
【0183】以上の評価結果を、表1に示す。なお、表
1においては、xmol%Cr23−(100−x)m
ol%ZrO2の混合物を、(Cr23x(ZrO2
100-xと表記した。
【0184】
【表1】
【0185】表1に示すように、実施例1〜6の光学的
情報記録媒体においては、反入射側誘電体膜28のCr
原子濃度は入射側誘電体膜26のCr原子濃度よりも大
きく、且つ、入射側誘電体膜26のCr原子濃度は6a
t%以上で反入射側誘電体膜28のCr原子濃度は9a
t%以上である。また、入射側誘電体膜26の材料をx
1mol%Cr23−(100−x1)mol%ZrO2
と表記し、反入射側誘電体膜28の材料をx2mol%
Cr23−(100−x2)mol%ZrO2と表記した
場合、実施例1〜6の光学的情報記録媒体においては、
10≦x1、20≦x2、およびx1<x2の関係を満たし
ている。このような実施例1〜6の光学的情報記録媒体
は、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28と
記録膜27との間で剥離が無く、密着性が十分であっ
た。また、実施例1〜4の光学的情報記録媒体は繰り返
し書き換え回数が1000回以上と良好であるのに対
し、実施例5および6の光学的情報記録媒体の場合は5
00回とあまり良好ではなく、入射側誘電体膜26およ
び反入射側誘電体膜28のCr23の含有量が多くなる
と、繰り返し書き換え回数は徐々に少なくなることが確
認された。このことから、密着性が確保できれば、Cr
23の含有量はできるだけ少ない方が良く、x1≦6
0、x2≦80が好ましいことがXも分かった。
【0186】また、比較例1および2の光学的情報記録
媒体は、反入射側誘電体膜28のCr原子濃度が入射側
誘電体膜26のCr原子濃度よりも大きい(混合物Cr
23−ZrO2においては、反入射側誘電体膜28のC
23含有量が入射側誘電体膜26のCr23含有量よ
りも大きい)。しかし、比較例1の場合は、入射側誘電
体膜26および反入射側誘電体膜28のCr原子濃度
(Cr23含有量)が共に少なすぎて、両誘電体膜2
6,28と記録膜27との間で剥離が発生した。比較例
2の場合は、入射側誘電体膜26のCr原子濃度(Cr
23含有量)が少なすぎて、入射側誘電体膜26と記録
膜27との間で剥離が発生した。さらに、比較例3およ
び4の光学的情報記録媒体は、反入射側誘電体膜28の
Cr原子濃度が入射側誘電体膜26のCr原子濃度以下
であり、反入射側誘電体膜28のCr原子濃度(Cr2
3含有量)が少なすぎたため、反入射側誘電体膜28
と記録膜27との間で剥離が生じた。
【0187】(実施例7〜13および比較例5〜8)実
施例7〜13および比較例5〜8の光学的情報記録媒体
として、一層の情報層が設けられ、この情報層が図2に
示した光学的情報記録媒体2の第1の情報層221であ
る光学的情報記録媒体を作製した。つまり、光学的情報
記録媒体2において、基板21と透明層23との間に第
1の情報層221のみが設けられたものを作製した。実
施例7〜13および比較例5〜8の光学的情報記録媒体
は、情報層に含まれる入射側誘電体膜26および反入射
側誘電体膜28が、共にSi、Cr、Zr、およびOの
元素からなる(混合物SiO2−Cr23−ZrO2にて
形成されている)。ただし、Si原子濃度およびCr原
子濃度(SiO2の含有量およびCr23の含有量)は
各実施例および比較例ごとに異なる。
【0188】実施例7〜13および比較例5〜8の光学
的情報記録媒体は、入射側誘電体膜26および反入射側
誘電体膜28に用いた材料が異なる以外は、実施例1〜
6および比較例1〜4の光学的情報記録媒体と同様に作
製した。実施例7〜13および比較例5〜8の光学的情
報記録媒体それぞれにおける入射側誘電体膜26および
反入射側誘電体層28の材料は、表2に示されたとおり
である。なお、表2においては、ymol%SiO2
xmol%Cr23−(100−x−y)mol%Zr
2の混合物を、(SiO2y(Cr23x(Zr
2100-x-yと表記した。
【0189】以上のように形成された光学的情報記録媒
体それぞれについて、入射側誘電体膜26および反入射
側誘電体膜28と記録膜27との密着性と、繰り返し書
き換え性能とを、実施例1〜6および比較例1〜4の場
合と同様の方法で調べた。その結果も表2に示す。
【0190】
【表2】
【0191】表2に示すように、実施例7〜13の光学
的情報記録媒体においては、反入射側誘電体膜28のS
i原子濃度は入射側誘電体膜26のSi原子濃度よりも
小さく、且つ、入射側誘電体膜26のCr原子濃度は6
at%以上で反入射側誘電体膜28のCr原子濃度は9
at%以上である。また、入射側誘電体膜26の材料を
1mol%SiO2−x1mol%Cr23−(100
−x1−y1)mol%ZrO2と表記し、反入射側誘電
体膜28の材料をy2mol%SiO2−x2mol%C
23−(100−x2−y2)mol%ZrO2と表記
した場合、実施例7〜13の光学的情報記録媒体におい
ては、10≦x1、5≦y1≦40、15≦x1+y1≦9
5、20≦x2、0<y2≦35、20<x2+y2≦95
の関係を満たし、さらにy1>y2の関係を満たしてい
る。このような実施例7〜13の光学的情報記録媒体
は、入射側誘電体膜26および反入射側誘電体膜28と
記録膜27との間で剥離が無く、密着性が良好であっ
た。また、実施例7〜12の光学的情報記録媒体は繰り
返し書き換え回数が1000回以上と良好であるのに対
し、実施例13の光学的情報記録媒体は繰り返し書き換
え回数が500回とあまり良好ではなく、入射側誘電体
膜26および反入射側誘電体膜28のSiO2の含有量
が少なくなる、またはCr23の含有量が多くなると、
繰り返し書き換え回数が徐々に少なくなることが確認で
きた。従って、このことから、密着性が確保できれば、
Cr23量はできるだけ少なく(好ましくはx1≦6
0、且つx2≦70)、SiO2量はできるだけ多くした
方が良いこともわかった。
【0192】比較例5および6の光学的情報記録媒体
は、入射側誘電体膜26のCr原子濃度が少なすぎるた
め、入射側誘電体膜26のSi原子濃度と反入射側誘電
体膜28のSi原子濃度との関係にかかわらず、入射側
誘電体膜26と記録膜27との間で剥離が発生し、密着
性が不十分となったと考えられる。また、比較例5の場
合は、反入射側誘電体膜28のCr原子濃度も少なすぎ
るため、反入射側誘電体膜28と記録膜27との間でも
剥離が生じた。また、比較例7の光学的情報記録媒体
は、反入射側誘電体膜28のSi原子濃度と入射側誘電
体膜26のSi原子濃度とが同じであり、反入射側誘電
体膜28のCr原子濃度が少なすぎるため、反入射側誘
電体膜28と記録膜27との間で剥離が生じた。また、
比較例8の光学的情報記録媒体は、反入射側誘電体膜2
8のSi原子濃度が入射側誘電体膜26のSi原子濃度
よりも大きいため、反入射側誘電体膜28と記録膜27
との間で剥離が生じた。
【0193】なお、図3に示された光学的情報記録媒体
3および図4に示された光学的情報記録媒体5について
も、第1の情報層に対して同様の方法で密着性および繰
り返し書き換え性能を評価したところ、同様の結果が得
られた。
【0194】(実施例14)実施例14の光学的情報記
録媒体として、図1に示した光学的情報記録媒体1を製
造し、情報層12の特性を評価した。
【0195】具体的には、まず、基板11として、レー
ザ光を導くための案内溝(深さ20nm、トラックピッ
チ0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板
(直径120mm、厚さ1100μm)を用意した。そ
して、そのポリカーボネート基板上に、反射膜20とし
てAg−Pd−Cu膜(厚さ:80nm)、金属膜19
としてAl膜(厚さ:5nm)、反入射側保護層18と
してZnS−SiO2膜(厚さ:22nm、ZnS:8
0mol%、SiO2:20mol%)、反入射側誘電
体膜17としてSiO2−Cr23−ZrO2膜(厚さ:
5nm、SiO2:20mol%、Cr23:30mo
l%、ZrO2:50mol%)、記録膜16としてG
22Sb2Te25膜(厚さ:10nm)、入射側誘電体
膜15としてSiO2−Cr23−ZrO2膜(厚さ:5
nm、SiO2:35mol%、Cr23:30mol
%、ZrO2:35mol%)、入射側保護膜14とし
てZnS−SiO2膜(厚さ:60nm、ZnS:80
mol%、SiO2:20mol%)を、順次所定の組
成のターゲットを用いてスパッタリングにより積層し
た。
【0196】なお、入射側保護膜14および反入射側保
護膜18の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、
波長405nmにおいて、記録膜16が結晶相の時の反
射光量が非晶質相の時の反射光量よりも大きく、且つ記
録膜16が結晶相の時と非晶質相の時とで反射光量の変
化がより大きく、且つ記録膜16の光吸収が大きくなる
ように、厳密に決定したものである。
【0197】その後、紫外線硬化型樹脂を入射側保護膜
14上に塗布し、次にポリカーボネート基板(直径12
0mm、厚さ90μm)を入射側保護膜14に密着させ
てスピンコートした後、紫外線を照射して樹脂を硬化さ
せることによって透明層13を形成した。最後に、記録
膜16の全面を結晶化させる初期化工程を行った。
【0198】以上のようにして、実施例14の光学的情
報記録媒体を製造した。
【0199】本実施例の光学的情報記録媒体について、
実施例1〜13の光学的情報記録媒体の場合と同様の方
法によって、密着性および繰り返し書き換え性能を評価
した。その結果、両誘電体膜15,17と記録膜16と
の間で剥離は生じず、また、10000回以上の繰り返
し書き換え回数が得られた。また、1回目のジッター値
も9%と良好な値が得られた。
【0200】(実施例15)実施例15の光学的情報記
録媒体として、図3に示された光学的情報記録媒体3を
作製し、第1の情報層321および第2の情報層322
れぞれの特性を評価した。
【0201】まず、基板31上に第2の情報層322
形成した。具体的には、まず、基板31として、レーザ
光を導くための案内溝(深さ20nm、トラックピッチ
0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板(直
径120mm、厚さ1100μm)を用意した。そし
て、そのポリカーボネート基板上に、反射膜41として
Ag−Pd−Cu膜(厚さ:80nm)、金属膜40と
してAl膜(厚さ:5nm)、反入射側保護膜39とし
てZnS−SiO2層(厚さ:22nm、ZnS:80
mol%、SiO2:20mol%)、反入射側誘電体
膜38としてSiO2−Cr23−ZrO2膜(厚さ:5
nm、SiO2:20mol%、Cr23:30mol
%、ZrO2:50mol%)、記録膜37としてGe
22Sb2Te 25膜(厚さ:10nm)、入射側誘電体膜
26としてSiO2−Cr23−ZrO2膜(厚さ:5n
m、SiO2:35mol%、Cr23:30mol
%、ZrO2:35mol%)、入射側保護膜25とし
てZnS−SiO2膜(厚さ:60nm、ZnS:80
mol%、SiO2:20mol%)を、スパッタリン
グによって順次積層した。
【0202】なお、入射側保護膜35および反入射側保
護膜39の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、
波長405nmにおいて、記録膜37が結晶相の時の反
射光量が非晶質相の時の反射光量よりも大きく、且つ記
録膜37が結晶相の時と非晶質相の時とで反射光量の変
化がより大きく、且つ記録膜37の光吸収が大きくなる
ように、厳密に決定したものである。
【0203】次に、入射側保護膜35上に紫外線硬化型
樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラッ
クピッチ0.32μm)が形成された転写用基板を配置
してスピンコートし、樹脂を硬化させた後に転写用基板
を剥がした。この工程によって、レーザ光を導く案内溝
が表面(後の工程にて形成される第1の情報層321
の面)に形成された光学分離層34が形成された。続い
て、記録膜37の全面を結晶化させる初期化工程を行っ
た。
【0204】次に、光学分離層34の上に第1の情報層
321を形成した。具体的には、光学分離層34上に、
透過率調整膜37としてTiO2膜(厚さ:20n
m)、反射膜29としてAg−Pd−Cu膜(厚さ:1
0nm)、反入射側誘電体膜28としてSiO2−Cr2
3−ZrO2膜(厚さ:10nm、SiO2:20mo
l%、Cr23:30mol%、ZrO2:50mol
%)、記録膜27としてGe22Sb2Te25膜(厚さ:
6nm)、入射側誘電体膜26としてSiO2−Cr 2
3−ZrO2膜(厚さ:5nm、SiO2:35mol
%、Cr23:30mol%、ZrO2:35mol
%)、入射側保護層25としてZnS−SiO2膜(厚
さ:45nm、ZnS:80mol%、SiO2:20
mol%)を、スパッタリングによって順次積層した。
【0205】その後、紫外線硬化型樹脂を入射側保護膜
25上に塗布し、次にポリカーボネート基板(直径12
0mm、厚さ90μm)を入射側保護膜25に密着させ
てスピンコートした後、紫外線を照射して樹脂を硬化さ
せることによって、透明層33を形成した。最後に、記
録膜27の全面を結晶化させる初期化工程を行った。
【0206】以上のようにして、実施例15の光学的情
報記録媒体を製造した。
【0207】本実施例の光学的情報記録媒体について、
実施例1〜13の光学的情報記録媒体の場合と同様の方
法によって、密着性および繰り返し書き換え性能を評価
した。その結果、第1の情報層321および第2の情報
層322共に、入射側誘電体膜および反入射側誘電体膜
と記録膜との間で剥離が生じず、10000回以上の繰
り返し書き換え回数が得られた。また、1回目のジッタ
ー値も第1の情報層32 1および第2の情報層322共に
10%以下の良好な値が得られた。
【0208】なお、実施例1〜15においては、入射側
誘電体膜および反入射側誘電体膜に含まれる化合物(M
1)O2としてZrO2を用いたが、HfO2を用いた場
合、およびZrO2とHfO2とを半分ずつ含む混合物を
用いた場合においても、同様の結果が得られた。
【0209】なお、以上に説明した実施の形態および実
施例においては、入射側誘電体膜および反入射側誘電体
膜がそれぞれ記録膜に接して設けられた光学的情報記録
媒体についてのみ述べたが、入射側誘電体膜と記録膜と
の間、反入射側誘電体膜と記録膜との間に、他の薄膜が
設けられることもある。
【0210】
【発明の効果】以上のように、本発明の光学的情報記録
媒体とその製造方法によれば、記録膜と記録膜の両側に
配置された誘電体膜との密着性が向上するので、信頼性
が高く記録した情報の長期保存が可能な光学的情報記録
媒体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の光学的情報記録媒体
の構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態2の光学的情報記録媒体
の構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態3の光学的情報記録媒体
の構成を示す断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態4の光学的情報記録媒体
の構成を示す断面図である。
【図5】 本発明の光学的情報記録媒体に対して情報の
記録再生を行う記録再生装置の一部構成を概略的に示す
説明図である。
【図6】 従来の光学的情報記録媒体の構成を示す断面
図である。
【符号の説明】
1,2,3,5 光学的情報記録媒体 6 記録再生装置 11 基板 12 情報層 13 透明層 14 入射側保護膜 15 入射側誘電体膜 16 記録膜 17 反入射側誘電体膜 18 反入射側保護膜 19 金属膜 20 反射膜 21 基板 221 第1の情報層 222 第2の情報層 22n 第nの情報層 23 透明層 24 光学分離層 25 入射側保護膜 26 入射側誘電体膜 27 記録膜 28 反入射側誘電体膜 29 反射膜 30 透過率調整膜 31 基板 321 第1の情報層 322 第2の情報層 33 透明層 34 光学分離層 35 入射側保護膜 36 入射側誘電体膜 37 記録膜 38 反入射側誘電体膜 39 反入射側保護膜 40 金属膜 41 反射膜 51 基板 521 第1の情報層 522 第2の情報層 52n 第nの情報層 53 接着層 54 ダミー基板 61 スピンドルモータ 62 半導体レーザ 63 光学ヘッド 64 対物レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 G11B 7/24 534M 534N 535 535G 535H 538 538E B41M 5/26 7/26 531 G11B 7/26 531 B41M 5/26 X (72)発明者 山田 昇 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA23 EA40 FA01 FA02 FA11 FA12 FA14 FA21 FA23 FA25 FB04 FB05 FB06 FB07 FB09 FB10 FB12 FB16 FB17 FB21 FB23 FB30 5D029 JA01 JB13 JB18 LA13 LA14 LA16 LA17 LB11 MA13 NA13 5D121 AA01 AA04 AA05 EE03 EE14 EE27

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と情報層とを含む光学的情報記録媒
    体であって、 前記情報層が、 ZrおよびHfから選択される少なくとも一方の元素
    (M1)、Cr、およびOを含む第1の誘電体膜と、 前記第1の誘電体膜上に設けられ、レーザ光の照射によ
    って光学特性が可逆的に変化する記録膜と、 前記記録膜上に設けられ、ZrおよびHfから選択され
    る少なくとも一方の元素(M1)、Cr、およびOを含
    む第2の誘電体膜と、をレーザ光入射側からこの順に含
    んでおり、 前記第1の誘電体膜のCr原子濃度が少なくとも6at
    %以上、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度が少なくと
    も9at%以上であって、且つ、前記第2の誘電体膜の
    Cr原子濃度が前記第1の誘電体膜のCr原子濃度より
    も大きいことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記第1の誘電体膜に含まれるM1、C
    r、およびOを、組成式CrA1(M1)B1
    (100-A1-B1)と表記した場合に、前記A1およびB1
    が、 6<A1<29 9<B1<29 であり、 前記第2の誘電体膜に含まれるM1、Cr、およびO
    を、組成式CrA2(M1)B2(100-A2-B2)と表記した
    場合に、前記A2およびB2が、 11<A2<32 6<B2<24 である請求項1に記載の光学的情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記第1の誘電体膜が、Cr23と(M
    1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第1の混
    合物においてCr23が10mol%以上60mol%
    以下であり、 前記第2の誘電体膜が、Cr23と(M1)O2とから
    なる第2の混合物を含み、前記第2の混合物においてC
    23が20mol%以上80mol%以下であり、且
    つ、 前記第2の混合物のCr23濃度(mol%)が、前記
    第1の混合物のCr23濃度(mol%)よりも大きい
    請求項1に記載の光学的情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記第1の誘電体膜のCr原子濃度と前
    記第2の誘電体膜のCr原子濃度との差が、3at%以
    上15at%以下である請求項1に記載の光学的情報記
    録媒体。
  5. 【請求項5】 基板と情報層とを含む光学的情報記録媒
    体であって、 前記情報層が、ZrおよびHfから選択される少なくと
    も一方の元素(M1)、Cr、Si、およびOを含む第
    1の誘電体膜と、 前記第1の誘電体膜上に設けられ、レーザ光の照射によ
    って光学特性が可逆的に変化する記録膜と、 前記記録膜上に設けられ、ZrおよびHfから選択され
    る少なくとも一方の元素(M1)、Cr、Si、および
    Oを含む第2の誘電体膜と、をレーザ光入射側からこの
    順に含んでおり、 前記第1の誘電体膜のCr原子濃度は少なくとも6at
    %以上、前記第2の誘電体膜のCr原子濃度は少なくと
    も9at%以上であり、且つ、前記第2の誘電体膜のS
    i原子濃度が前記第1の誘電体膜のSi原子濃度よりも
    小さいことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記第2の誘電体膜のCr原子濃度が、
    前記第1の誘電体膜のCr原子濃度よりも大きい請求項
    5に記載の光学的情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記第1の誘電体膜に含まれるM1、C
    r、Si、およびOを、組成式SiC3CrA3(M1)B3
    (100-A3-B3-C3)と表記した場合に、前記A3、B3、
    およびC3が、 6<A3<32 1<B3 1<C3<13 であり、 前記第2の誘電体膜に含まれるM1、Cr、Si、およ
    びOを、組成式SiC4CrA4(M1)B4
    (100-A4-B4-C4)と表記した場合に、前記A4、B4、お
    よびC4が、 11<A4<35 1<B4 0<C4<11 である請求項5に記載の光学的情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記A3およびA4がA3<A4である
    請求項7に記載の光学的情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記第1の誘電体膜がSiO2とCr2
    3と(M1)O2とからなる第1の混合物を含み、前記第
    1の混合物において、 SiO2:5mol%以上40mol%以下 Cr23:10mol%以上70mol%以下 SiO2+Cr23:15mol%以上95mol%以
    下 であり、 前記第2の誘電体膜がSiO2とCr23と(M1)O2
    とからなる第2の混合物を含み、前記第2の混合物にお
    いて、 SiO2:35mol%以下 Cr23:20mol%以上80mol%以下 SiO2+Cr23:20mol%を超え、95mol
    %以下 であり、且つ、 前記第2の誘電体膜のSiO2濃度(mol%)が、前
    記第1の誘電体膜のSiO2濃度(mol%)よりも小
    さい請求項5に記載の光学的情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記第2の混合物のCr23濃度(m
    ol%)が、前記第1の混合物のCr23濃度(mol
    %)よりも大きい請求項9に記載の光学的情報記録媒
    体。
  11. 【請求項11】 前記第1の誘電体膜のSi原子濃度と
    前記第2の誘電体膜のSi原子濃度との差が、1at%
    以上10at%以下である請求項5に記載の光学的情報
    記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記情報層が複数設けられた請求項1
    または5に記載の光学的情報記録媒体。
  13. 【請求項13】 前記記録膜が、SbおよびBiから選
    択される少なくとも一方の元素(M2)と、Geと、T
    eとを含み、前記M2、Ge、およびTeを組成式Ge
    a(M2)bTe3+aと表記した場合に、 0<a≦60 1.5≦b≦7 である請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  14. 【請求項14】 前記Gea(M2)bTe3+aにおい
    て、前記Geの少なくとも一部が、SnおよびPbから
    選択される少なくとも一方の元素(M3)にて置換され
    ている請求項13に記載の光学的情報記録媒体。
  15. 【請求項15】 前記記録膜が、SbおよびBiから選
    択される少なくとも一方の元素(M2)と、Si、T
    i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Se、
    Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、S
    n、Ta、W、Os、Ir、Pt、Gd、Td、Dyお
    よびAuから選択される少なくとも一つの元素(M4)
    と、Geと、Teとを含み、前記M2、M3、Ge、お
    よびTeを組成式(Gea(M2)bTe3+a100-c(M
    4)cと表記した場合に、 0<a≦60 1.5≦b≦7 0<c≦20 である請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  16. 【請求項16】 前記記録膜が、Sbと、Teと、A
    g、In、Ge、Sn、Se、Bi、AuおよびMnか
    ら選択される少なくとも一つの元素(M5)とを含み、
    前記Sb、Te、およびM5を組成式(Sbd
    100-d100-e(M5)eで表記した場合に、 50≦d≦95 0<e≦20 である請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  17. 【請求項17】 前記情報層が、前記第1の誘電体膜の
    レーザ光入射側に、前記第1の誘電体膜に接して設けら
    れた保護膜をさらに含み、 前記保護膜が、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、
    Nb25、Ta25、SiO2、Al23、Bi23
    C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、S
    i−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−
    N、Ge−Cr−N、ZnS、およびSiCから選択さ
    れる少なくとも一つを含む請求項1または5に記載の光
    学的情報記録媒体。
  18. 【請求項18】 前記情報層が、前記第2の誘電体膜の
    レーザ光入射側と反対側に設けられた反射膜をさらに含
    み、 前記反射膜が、Ag、Au、CuおよびAlから選択さ
    れる少なくとも一つの元素を含む請求項1または5に記
    載の光学的情報記録媒体。
  19. 【請求項19】 前記情報層が、前記反射膜のレーザ光
    入射側と反対側に、前記反射膜に接して設けられた透過
    率調整膜をさらに含み、 前記透過率調整膜が、TiO2、ZrO2、HfO2、Z
    nO、Nb25、Ta25、SiO2、Al23、Bi2
    3、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si
    −N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−
    N、Ge−Cr−NおよびZnSから選択される少なく
    とも一つを含む請求項18に記載の光学的情報記録媒
    体。
  20. 【請求項20】 第1の情報層〜第nの情報層(nは2
    以上の自然数)がレーザ光入射側からこの順に積層され
    た多層構造の光学的情報記録媒体であって、前記第1の
    情報層〜第nの情報層の少なくとも一つが前記情報層で
    ある請求項1または5に記載の光学的情報記録媒体。
  21. 【請求項21】 前記第1の情報層が前記情報層である
    請求項20に記載の光学的情報記録媒体。
  22. 【請求項22】 前記第1の誘電体膜がさらにSiを含
    む請求項1に記載の光学的情報記録媒体。
  23. 【請求項23】 請求項1に記載の光学的情報記録媒体
    を製造する方法であって、 少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも
    一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む第1のスパ
    ッタリングターゲットを用いて、スパッタリングにより
    第1の誘電体膜を成膜する工程と、 レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する記
    録膜を成膜する工程と、 少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも
    一方の元素(M1)、Cr、およびOを含む第2のスパ
    ッタリングターゲットを用いて、スパッタリングにより
    第2の誘電体膜を成膜する工程と、を含み、 前記第2のスパッタリングターゲットのCr原子濃度
    が、前記第1のスパッタリングターゲットのCr原子濃
    度より大きいことを特徴とする光学的情報記録媒体の製
    造方法。
  24. 【請求項24】 前記第1のスパッタリングターゲット
    に含まれるM1、Cr、およびOを、組成式CrD1(M
    1)E1100-D1-E1と表記した場合に、前記D1および
    E1が、 3<D1<29 9<E1<31 であり、 前記第2のスパッタリングターゲットに含まれるM1、
    Cr、およびOを、組成式CrD2(M1)E2
    100-D2-E2と表記した場合に、前記D2およびE2が、 9<D2<32 6<E2<26 である請求項23に記載の光学的情報記録媒体の製造方
    法。
  25. 【請求項25】 前記第1のスパッタリングターゲット
    が、Cr23と(M1)O2とからなる第1の混合物を
    含み、前記第1の混合物においてCr23が5mol%
    以上60mol%以下であり、 前記第2のスパッタリングターゲットが、Cr23
    (M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記第2
    の混合物においてCr23が15mol%以上80mo
    l%以下であり、且つ、 前記第2の混合物のCr23濃度(mol%)が、前記
    第1の混合物のCr23濃度(mol%)よりも大きい
    請求項23に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  26. 【請求項26】 請求項5に記載の光学的情報記録媒体
    を製造する方法であって、 少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも
    一方の元素(M1)、Si、Cr、およびOを含む第1
    のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング
    により第1の誘電体膜を成膜する工程と、 レーザ光の照射によって光学特性が可逆的に変化する記
    録膜を成膜する工程と、 少なくとも、ZrおよびHfから選択される少なくとも
    一方の元素(M1)、Si、Cr、およびOを含む第2
    のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング
    により第2の誘電体膜を成膜する工程と、を含み、 前記第2のスパッタリングターゲットのSi原子濃度
    が、前記第1のスパッタリングターゲットのSi原子濃
    度より小さいことを特徴とする光学的情報記録媒体の製
    造方法。
  27. 【請求項27】 前記第2のスパッタリングターゲット
    のCr原子濃度が、前記第1のスパッタリングターゲッ
    トのCr原子濃度より大きい請求項26に記載の光学的
    情報記録媒体の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記第1のスパッタリングターゲット
    に含まれるM1、Si、Cr、およびOを、組成式Si
    F3CrD3(M1)E3100-D3-E3F3で表記した場合
    に、前記D3、E3、およびF3が、 3<D3<32 1<E3 1<F3<13 であり、 前記第2のスパッタリングターゲットに含まれるM1、
    Si、Cr、およびOを、組成式SiF4CrD4(M1)
    E4100-D4-E4-F4と表記した場合に、前記D4、E4、
    およびF4が、 9<D4<35 1<E4 0<F4<11 である請求項26に記載の光学的情報記録媒体の製造方
    法。
  29. 【請求項29】 前記第1のスパッタリングターゲット
    がSiO2とCr2 3と(M1)O2とからなる第1の混
    合物を含み、前記第1の混合物において、 SiO2:5mol%以上40mol%以下 Cr23:5mol%以上70mol%以下 SiO2+Cr23:10mol%以上95mol%以
    下 であり、 前記第2のスパッタリングターゲットがSiO2とCr2
    3と(M1)O2とからなる第2の混合物を含み、前記
    第2の混合物において、 SiO2:35mol%以下 Cr23:15mol%以上80mol%以下 SiO2+Cr23:10mol%を超え、95mol
    %以下 であり、且つ、 前記第2の混合物のSiO2濃度(mol%)が、前記
    第1の混合物のSiO2濃度(mol%)よりも小さい
    請求項26に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  30. 【請求項30】 複数の情報層を含む多層構造の光学的
    情報記録媒体の製造方法であって、前記複数の情報層の
    少なくとも一つが、請求項23または26に記載の方法
    にて形成される光学的情報記録媒体の製造方法。
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