JP2003323743A - 情報記録媒体とその製造方法 - Google Patents
情報記録媒体とその製造方法Info
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- G11B7/24—Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material
- G11B7/2403—Layers; Shape, structure or physical properties thereof
- G11B7/24035—Recording layers
- G11B7/24038—Multiple laminated recording layers
Abstract
も、高い信頼性と良好な繰り返し書き換え性能が確保さ
れた情報記録媒体を提供する。 【解決手段】 基板1の表面に、記録層4ならびに誘電
体層2および6が形成され、記録層4が光の照射または
電気的エネルギーの印加によって、結晶相と非晶質相と
の間で相変態を生じるものであり、誘電体層2および6
が、例えば式(ZrO2)M(Cr2O3)100-M(mol
%)(式中、20≦M≦80である)で表される材料か
ら成るZr−Cr−O系材料層である。
Description
気的に情報を記録し、消去し、書き換え、および再生す
る情報記録媒体ならびにその製造方法に関するものであ
る。
ァイルとして使える、大容量な書き換え型相変化情報記
録媒体である、4.7GB/DVD−RAMを開発し
た。これは既に商品化されている。
ば日本国特許公開公報2001−322357号(特許
文献1)に開示されている。この公報に開示されている
DVD−RAMの構成を、図10に示す。図10に示す
情報記録媒体31は、基板1の一方の表面に、第1の誘
電体層102、第1の界面層103、記録層4、第2の
界面層105、第2の誘電体層106、光吸収補正層
7、および反射層8がこの順に形成されている7層構造
を有する。この情報記録媒体において、第1の誘電体層
は、第2の誘電体層よりも、入射されるレーザ光により
近い位置に存在する。第1の界面層と第2の界面層も同
じ関係を有する。このように、本明細書においては、情
報記録媒体が、同じ機能を有する層を2以上含む場合、
入射されるレーザ光から見て近い側にあるものから、順
に「第1」「第2」「第3」・・・と称する。
06は、光学距離を調節して記録層4の光吸収効率を高
め、結晶相の反射率と非晶質相の反射率との差を大きく
して信号振幅を大きくする機能を有する。従来誘電体層
の材料として使用している、ZnS−20mol%Si
O2は非晶質材料で、熱伝導率が低く、透明であって且
つ高屈折率を有する。また、ZnS−20mol%Si
O2は、膜形成時の成膜速度が大きく、機械特性および
耐湿性も良好である。このように、ZnS−20mol
%SiO2は、誘電体層を形成するのに適した優れた材
料である。
層106の熱伝導率が低いと、記録層4にレーザ光が入
射した際に、熱を、記録層4から反射層8の方へ厚さ方
向において速やかに拡散させることができ、熱が誘電体
層102または106の面内方向に拡散しにくくなる。
即ち、誘電体層によって記録層4がより短い時間で冷却
されることとなり、非晶質マーク(記録マーク)が形成
され易くなる。記録マークが形成されにくい場合は、高
いピークパワーで記録する必要があり、記録マークが形
成され易い場合は低いピークパワーで記録できる。誘電
体層の熱伝導率が低い場合は、低いピークパワーで記録
できるので、情報記録媒体の記録感度は高くなる。一
方、誘電体層の熱伝導率が高い場合は、高いピークパワ
ーで記録するので、情報記録媒体の記録感度は低くな
る。情報記録媒体中の誘電体層は、熱伝導率を精度良く
測定できないほど、薄い膜の形態で存在する。そのた
め、発明者らは、誘電体層の熱伝導率の大きさを知る相
対的な判断基準として、情報記録媒体の記録感度を採用
している。
む、高速で結晶化する材料を用いて形成する。かかる材
料を記録層4として有する情報記録媒体は、優れた初期
記録性能を有するだけでなく、優れた記録保存性および
書き換え保存性をも有する。相変化情報記録媒体は、記
録層4が結晶相と非晶質相との間で可逆的相変態を生じ
ることを利用して情報の記録、消去および書き換えを行
う。高パワーのレーザ光(ピークパワー)を記録層4に
照射して急冷すると、照射部が非晶質相となり記録マー
クが形成される。低パワーのレーザ光(バイアスパワ
ー)を照射して記録層を昇温して徐冷すると、照射部が
結晶相となり記録されていた情報は消去される。ピーク
パワーレベルとバイアスパワーレベルとの間でパワー変
調したレーザ光を記録層に照射することにより、既に記
録されている情報を消去しながら新しい情報に書き換え
ていくことができる。繰り返し書き換え性能は、ジッタ
値が実用上問題の無い範囲で書き換えを繰り返し得る最
大回数で表される。この回数が多いほど、繰り返し書き
換え性能が良いといえる。特に、データファイル用の情
報記録媒体は、優れた繰り返し書き換え性能を有するこ
とが望まれる。
05は、第1の誘電体層102と記録層4との間、およ
び第2の誘電体層106と記録層4との間で生じる物質
移動を防止する機能を有する。ここで物質移動とは、レ
ーザ光を記録層に照射して繰り返し書き換えている間
に、第1及び第2の誘電体層ZnS−20mol%Si
O2のSが記録層に拡散していく現象をいう。多量のS
が記録層に拡散すると、記録層の反射率低下を引き起こ
し、繰り返し書き換え性能が悪化する。この現象は既に
知られている(非特許文献1、N. Yamada et al. Japan
ese Journal of Applied Physics Vol.37 (1998) pp. 2
104-2110参照)。また、日本国特許公開公報平10−2
75360号(特許文献2)および国際公開第WO97
/34298パンフレット(特許文献3)には、この現
象を防止する界面層を、Geを含む窒化物を使用して形
成することが開示されている。
態であるときの光吸収率Acと非晶質状態であるときの
光吸収率Aaの比Ac/Aaを調整し、書き換え時にマ
ーク形状が歪まないようにする働きがある。反射層8
は、光学的には記録層4に吸収される光量を増大させる
機能を有し、熱的には記録層4で生じた熱を速やかに拡
散させて急冷し、記録層4を非晶質化し易くするという
機能を有する。反射層8はまた、多層膜を使用環境から
保護する機能を有している。
は、それぞれが上述のように機能する7つの層を積層し
た構造とすることによって、4.7GBという大容量に
おいて、優れた繰り返し書き換え性能と高い信頼性を確
保し、商品化に至ったものである。
料としては、予てより種々のものが提案されている。例
えば、日本国特許公開公報平5−109115号(特許
文献4)には、光情報記録媒体において、耐熱保護層
が、1600K以上の融点をもつ高融点元素と低アルカ
リガラスとの混合物により形成されていることが開示さ
れている。同公報には、高融点元素として、Nb、M
o、Ta、Ti、Cr、Zr、およびSiが挙げられて
いる。また、同公報には、低アルカリガラスはSi
O2、BaO、B2O3またはAl2O3を主成分とするも
のであることが開示されている。
(特許文献5)には、光情報記録媒体において、耐熱保
護層がSiよりも融点の高い窒化物、炭化物、酸化物、
硫化物のうちの少なくとも1種の化合物と、低アルカリ
ガラスとの混合物により形成されていることが開示され
ている。同公報には、高融点の化合物として、Nb、Z
r、Mo、Ta、Ti、Cr、Si、Zn、Alの炭化
物、酸化物、硫化物が例示されている。また、同公報に
は、低アルカリガラスがSiO2、BaO、B2O3、A
l2O3を主成分とするものであることが開示されてい
る。
(特許文献6)には、再生専用の情報記録媒体におい
て、誘電体層がCe、La、Si、In、Al、Ge、
Pb、Sn、Bi、Te、Ta、Sc、Y、Ti、Z
r、V、Nb、Cr、およびWより成る群より選ばれた
少なくとも一元素の酸化物、Cd、Zn、Ga、In、
Sb、Ge、Sn、Pb、Biより成る群より選ばれた
少なくとも一元素の硫化物、またはセレン化物等より成
ることが開示されている。
号(特許文献7)には、光記録媒体において、第1の界
面制御層および第2の界面制御層が、Al、Si、T
i、Co、Ni、Ga、Ge、Sb、Te、In、A
u、Ag、Zr、Bi、Pt、Pd、Cd、P、Ca、
Sr、Cr、Y、Se、La、Liから成る元素群のう
ち1種以上を含む窒化物、酸化物、炭化物、および硫化
物から選択されることが開示されている。
請求の範囲)
囲)
求の範囲)
求の範囲)
の範囲)
請求の範囲)
of Applied Physics Vol.37(1998) pp. 2104-2110
び第2の誘電体層をZnS−20mol%SiO2を用
いて形成した場合、Sの拡散防止のために誘電体層と記
録層との間には界面層が必然的に必要となる。しかしな
がら、媒体の価格を考慮すると、媒体を構成する層の数
は1つでも少ないことが望ましい。層の数が少ないと、
材料費の削減、製造装置の小型化、および製造時間短縮
による生産量の増加を実現することができ、媒体の価格
低減につながる。
て、第1の界面層および第2の界面層のうち、少なくと
も1つの界面層を無くす可能性について検討した。その
場合、繰り返し記録による誘電体層から記録層へのSの
拡散が生じないよう、ZnS−20mol%SiO2以
外の材料で誘電体層を形成する必要があると、発明者は
考えた。さらに、誘電体層の材料については、カルコゲ
ナイド材料である記録層との密着性が良いこと、上記7
層構造のものと同等かそれ以上の高記録感度が得られる
こと、透明であること、および記録の際に溶けないよう
に高融点を有することが望まれる。
された場合でも、界面層を設けなくとも、誘電体層から
記録層へ物質が移動せず、且つ記録層との密着性が良好
である誘電体層が設けられた、優れた繰り返し書き換え
性能を有する情報記録媒体を提供することを主たる課題
としてなされたものである。
電体層から記録層へ物質が移動する問題については言及
していない。したがって、これらの公報は、本発明が解
決しようとする課題および当該課題を解決する手段、即
ち具体的な組成を教示していないことに留意すべきであ
る。
例で説明するように、種々の化合物を使用して、誘電体
層を形成し、誘電体層の記録層への密着性、および情報
記録媒体の繰り返し書き換え性能を評価した。その結
果、界面層を介さずに直接記録層の上下に誘電体層を設
ける場合、記録層に拡散し易い誘電体層、例えば従来の
ZnS−20mol%SiO2で誘電体層を形成した場
合、記録層への密着性は良いが、媒体の繰り返し書き換
え性能が悪いということが判った。また、例えば、Zr
O2は、熱伝導率が低く、また融点が高いため、これを
誘電体層として使用すれば、情報記録媒体の記録感度を
高くでき、また優れた繰り返し書き換え性能を確保でき
る。しかし、ZrO2を用いて誘電体層を形成した場
合、記録層への密着性が悪いという結果が得られた。そ
の他の種々の酸化物、窒化物、硫化物、およびセレン化
物を用いて、誘電体層を記録層に接して形成した情報記
録媒体について、誘電体層の記録層への密着性および繰
り返し書き換え性能を評価した。しかし、1種類の酸化
物、窒化物、硫化物、またはセレン化物を用いて誘電体
層を形成した場合には、良好な密着性と良好な繰り返し
書き換え性能とを両立させることはできなかった。
種類以上の化合物を組み合わせて、誘電体層を形成する
ことを検討した。その結果、ZrO2とCr2O3の組み
合わせが、記録層と接する誘電体層の構成材料として適
していることを見出し、さらにZrとCrの含有量が特
定範囲内にあるときに、界面層を形成する必要がないこ
とを見出し、本発明に至った。
み、前記記録層が光の照射または電気的エネルギーの印
加によって、結晶相と非晶質相との間で相変態を生じる
情報記録媒体であって、Zr、CrおよびOを含む材料
から成るZr−Cr−O系材料層をさらに含み、当該Z
r−Cr−O系材料層において、Zrの含有量が30原
子%以下であり、Crの含有量が7原子%以上37原子
%以下である、情報記録媒体を提供する。
とによって、あるいは電気的エネルギーを印加すること
によって、情報を記録再生する媒体である。一般に、光
の照射は、レーザ光(即ち、レーザビーム)を照射する
ことにより実施され、電気的エネルギーの印加は記録層
に電圧を印加することにより実施される。以下、本発明
の情報記録媒体を構成するZr−Cr−O系材料層を、
より具体的に説明する。なお、以下の説明においては、
単に「Zr−Cr−O系材料層」というときは、Zrお
よびCrの含有量が前記の割合で含まれている層を指す
ことに留意されたい。
は、式(1):
(式中、QおよびRはそれぞれ、0<Q≦30、7≦R
≦37の範囲内にあり、 且つ20≦Q+R≦60である) で表される材料から実質的に成るZr−Cr−O系材料
層を、構成要素として含むものである。ここで、「原子
%」とは、式(1)が、Zr、CrおよびO原子を合わ
せた数を基準(100%)として表された組成式である
ことを示している。以下の式においても「原子%」の表
示は、同様の趣旨で使用されている。
各原子が、どのような化合物として存在しているかは問
われない。このような式で材料を特定しているのは、薄
膜に形成した層の組成を調べるに際し、化合物の組成を
求めることは難しく、現実には、元素組成(即ち、各原
子の割合)のみを求める場合が多いことによる。式
(1)で表される材料において、Zrの殆どはOととも
にZrO2として存在し、Crの殆どはOとともにCr2
O3として存在していると考えられる。
成るZr−Cr−O系材料層は、情報記録媒体中におい
て、記録層と隣接する2つの誘電体層のうち、いずれか
一方の誘電体層として存在することが好ましく、両方の
誘電体層として存在することがより好ましい。上述の範
囲でZr、CrおよびOを含む誘電体層は、融点が高く
且つ透明である。また、この層は、ZrO2が優れた繰
り返し書き換え性能を確保し、Cr2O3がカルコゲナイ
ド材料である記録層との密着性を確保する。したがっ
て、この情報記録媒体は、界面層が無くても、記録層と
誘電体層との間で剥離が生じず、また、優れた繰り返し
書き換え性能を示す。あるいは、式(1)で表される材
料の層は、情報記録媒体において、記録層と誘電体層と
の間に位置する界面層としてもよい。
r−O系材料層は、式(11):
(11)は、Zr−Cr−O系材料層がZrO2とCr2
O3との混合物から成る場合に、2つの化合物の好まし
い割合を表している。ここで、「mol%」とは、式
(11)が、各化合物の総数を基準(100%)として
表わされた組成式であることを示している。以下の式に
おいても「mol%」の表示は、同様の趣旨で使用され
ている。
る層も、記録層と隣接する2つの誘電体層のうち、いず
れか一方の誘電体層として存在することが好ましく、両
方の誘電体層として存在することがより好ましい。式
(11)で表される材料から実質的に成る層を誘電体層
とすることによる効果は、式(1)で表される材料に関
連して説明したとおりである。
r−O系材料層は、Siをさらに含み、式(2):
7≦V≦37、および0<T≦14の範囲内にあり、且
つ20≦U+V+T≦60である) で表される材料から実質的に成る層であってよい。
よびOの各原子が、どのような化合物として存在してい
るかは問われず、このような式で材料を特定しているの
は、式(1)と同じ理由による。式(2)で表される材
料において、Siの殆どはOとともにSiO2として存
在していると考えられる。
層も、記録層と隣接する2つの誘電体層のうち、いずれ
か一方の誘電体層として存在することが好ましく、両方
の誘電体層として存在することがより好ましい。Siを
含むZr−Cr−O系材料層を誘電体層とする情報記録
媒体においては、誘電体層と記録層との良好な密着性が
確保され、また、優れた繰り返し書き換え性能が確保さ
れることに加えて、より高い記録感度が実現される。こ
れはSiを含むことによって、層の熱伝導率が低くなる
ことによると考えられる。あるいは、式(2)で表され
る材料から実質的に成る層は、情報記録媒体において、
記録層と誘電体層との間に位置する界面層としてもよ
い。
は、式(21):
20≦Y≦60の範囲内にあり、且つ60≦X+Y≦9
0である) で表される材料から実質的に成る層であってよい。式
(21)は、Siを含むZr−Cr−O系材料層が、Z
rO2、Cr2O3、およびSiO2の混合物から成る場合
に、3つの化合物の好ましい割合を示している。式(2
1)で表される材料から実質的に成る層も、記録層と隣
接する誘電体層のうち、いずれか一方の誘電体層として
存在することが好ましく、両方の誘電体層として存在す
ることがより好ましい。あるいは、式(21)で表され
る材料から実質的に成る層は、情報記録媒体において、
記録層と誘電体層との間に位置する界面層としてもよ
い。
る層を誘電体層とする場合、SiO 2は、情報記録媒体
の記録感度を高める機能を有する。その場合、式(2
1)において、60≦X+Y≦90とすることにより、
記録層との良好な密着性を確保する。SiO2の割合
は、X+Yをこの範囲で変化させることによって調整さ
れ、それにより、SiO2の割合を適切に選択して記録
感度を調整することができる。さらに、式(21)にお
いて、20≦X≦70、および20≦Y≦60にするこ
とにより、ZrO2およびCr2O3を適切な割合で層中
に存在させることができる。したがって、式(21)で
表される材料から実質的に成る誘電体層は、透明であっ
て、記録層との密着性に優れるとともに、情報記録媒体
が、良好な記録感度および繰り返し書き換え性能を有す
ることを確保する。
SiO2を略等しい割合で含んでもよい。その場合、こ
の材料は、下記の式(22):
と、構造が安定なZrSiO4が形成される。式(2
2)で表される材料から実質的に成る層も、記録層と隣
接する誘電体層のうち、いずれか一方の誘電体層として
存在することが好ましく、両方の誘電体層として存在す
ることがより好ましい。式(22)において、Zを25
≦Z≦67の範囲とすることにより、ZrSiO4およ
びCr2O3が適切な割合で層中に存在する。したがっ
て、式(22)で表される材料から実質的に成る誘電体
層は、透明であって、且つ記録層との密着性に優れると
ともに、情報記録媒体が、良好な記録感度および繰り返
し書き換え性能を有することを確保する。あるいは、式
(22)で表される材料から実質的に成る層は、情報記
録媒体において、記録層と誘電体層との間に位置する界
面層としてもよい。
前記記録層が光の照射または電気的エネルギーの印加に
よって、結晶相と非晶質相との間で相変態を生じる情報
記録媒体であって、式(3):
C、EおよびFはそれぞれ、20≦C≦60、20≦E
≦60、および10≦F≦40の範囲内にあり、且つ6
0≦C+E+F≦90である) で表されるZr−Cr−Zn−O系材料から実質的に成
る層をさらに含んでいる情報記録媒体を提供する。以下
の説明においては、式(3)で表される材料から実質的
に成る層を、単に「Zr−Cr−Zn−O系材料層」と
呼ぶ場合がある。
層もまた、記録層と隣接する2つの誘電体層のうち、い
ずれか一方の誘電体層として存在することが好ましく、
両方の誘電体層として存在することがより好ましい。式
(3)で表される材料は、式(21)で表される材料と
同様に、ZrO2、Cr2O3およびSiO2を含む。した
がって、この材料によれば、透明性、および記録層への
密着性に優れた誘電体層が形成され、また、この誘電体
層を含む情報記録媒体は、良好な記録感度および繰り返
し書き換え性能を有する。式(3)で表される材料は、
成分Dとして、ZnS、ZnSeまたはZnOを含むの
で、この材料で形成される誘電体層は、カルコゲナイド
材料から成る記録層との密着性がより向上したものとな
る。さらにまた、薄膜状態で非晶質状態になり易いZr
O2−Cr2O3−SiO2系材料に、結晶状態になり易い
ZnSまたはZnSeを添加することにより、記録感度
をさらに向上させることができる。あるいは、式(3)
で表される材料から実質的に成る層は、情報記録媒体に
おいて、記録層と誘電体層との間に位置する界面層とし
てもよい。
び20≦E≦60とすることにより、ZrO2およびC
r2O3を適切な割合で層中に存在させることができる。
式(3)において、10≦F≦40にすることにより、
情報記録媒体の繰り返し書き換え性能を損なうことな
く、成分Dによる効果(例えば密着性の向上等)が達成
される。また、式(3)において、C+E+Fを60以
上90以下の範囲で変化させることにより、SiO2の
割合を適切に調整して、記録感度を調整することができ
る。
iO2を略等しい割合で含んでよい。その場合、この材
料は、下記の式(31):
AおよびBはそれぞれ、25≦A≦54、および25≦
B≦63の範囲内にあり、且つ50≦A+B≦88であ
る) で表される。前述のようにZrO2とSiO2を略等しい
割合で含むことにより、安定な構造のZrSiO4が形
成される。式(31)で表される材料から実質的に成る
層も、記録層と隣接する誘電体層のうち、いずれか一方
の誘電体層として存在することが好ましく、両方の誘電
体層として存在することがより好ましい。式(31)に
おいて、AおよびBをそれぞれ、25≦A≦54、およ
び25≦B≦63とすることにより、ZrSiO4およ
びCr2O3が適切な割合で層中に存在する。したがっ
て、式(31)で表される材料から実質的に成る誘電体
層は、透明であって、且つ記録層との密着性に優れると
ともに、情報記録媒体が良好な記録感度および繰り返し
書き換え性能を有することを確保する。また、式(3
1)で表される材料が誘電体層に含まれる場合には、S
iO2および成分Dが、情報記録媒体の記録感度を高く
し、成分Dが誘電体層の記録層への密着性をより向上さ
せる。あるいは、式(31)で表される材料から実質的
に成る層は、情報記録媒体において、記録層と誘電体層
との間に位置する界面層としてもよい。
において、相変態が可逆的に生じるものであることが好
ましい。即ち、本発明の情報記録媒体は、書き換え型情
報記録媒体として好ましく提供される。
には、Ge−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−Te、G
e−Bi−Te、Ge−Sn−Bi−Te、Ge−Sb
−Bi−Te、Ge−Sn−Sb−Bi−Te、Ag−
In−Sb−TeおよびSb−Teから選択される、い
ずれか1つの材料を含むことが好ましい。これらはいず
れも高速結晶化材料である。したがって、これらの材料
で記録層を形成すると、高密度且つ高転送速度で記録で
き、また、信頼性(具体的には記録保存性または書き換
え保存性)の点でも優れた情報記録媒体が得られる。
層を有するものであってよい。そのような情報記録媒体
は、例えば、基板の一方の表面の側に、2つの記録層が
誘電体層および中間層等を介して積層された、片面2層
構造を有するものである。片面2層構造の情報記録媒体
は、片側から光を照射して、2つの記録層に情報を記録
するものである。この構造によれば、記録容量を大きく
することが可能となる。あるいは、本発明の情報記録媒
体は、基板の両方の面に記録層が形成されたものであっ
てよい。
膜厚は15nm以下であることが望ましい。15nmを
超えると、記録層に加えられた熱が面内に拡散し、厚さ
方向に拡散しにくくなる。
面に、第1の誘電体層、記録層、第2の誘電体層、およ
び反射層がこの順に形成された構成を有するものであっ
てよい。この構成を有する情報記録媒体は、光の照射に
より記録される媒体である。本明細書において、「第1
の誘電体層」とは、入射される光に対してより近い位置
にある誘電体層をいい、「第2の誘電体層」とは、入射
される光に対してより遠い位置にある誘電体層をいう。
即ち、照射される光は、第1の誘電体層から、記録層を
経由して、第2の誘電体層に到達する。この構成の情報
記録媒体は、例えば、波長660nm付近のレーザ光で
記録再生する場合に用いられる。
場合、第1の誘電体層および第2の誘電体層のうち少な
くとも1つの誘電体層が、上記Zr−Cr−O系材料層
(具体的には、上記式(1)、(11)、(2)、(2
1)および(22)で表される材料のいずれか1つから
実質的に成る層)、または上記Zr−Cr−Zn−O系
材料層(具体的には、上記式(3)または(31)で表
される材料から実質的に成る層)である。好ましくは、
両方の誘電体層が、上記Zr−Cr−O系材料層または
上記Zr−Cr−Zn−O系材料層である。その場合、
両方の誘電体層は、同一組成の層としてよく、あるいは
異なる組成の層としてよい。
面に、反射層、第2の誘電体層、記録層、および第1の
誘電体層がこの順に形成された構成を有するものであっ
てよい。この構成は、光が入射する基板の厚さを薄くす
る必要がある場合に採用される。具体的には、波長40
5nm付近の短波長のレーザ光で記録再生する場合に、
対物レンズの開口数NAを例えば0.85と大きくし
て、焦点位置を浅くする場合に、この構成の情報記録媒
体が使用される。このような波長および開口数NAを使
用するには、光が入射する基板の厚さを、例えば60〜
120μm程度にする必要がある。そのような薄い基板
の表面には、層を形成することが困難である。したがっ
て、この構成の情報記録媒体は、光が入射されない基板
を支持体として、その一方の表面に反射層等を順次形成
することにより形成されたものとして特定される。
場合、第1の誘電体層および第2の誘電体層のうち少な
くとも1つの誘電体層が、上記Zr−Cr−O系材料
層、または上記Zr−Cr−Zn−O系材料層である。
好ましくは、両方の誘電体層が、上記Zr−Cr−O系
材料層または上記Zr−Cr−Zn−O系材料層であ
る。その場合、両方の誘電体層は、同一組成の層として
よく、あるいは異なる組成の層としてよい。
造する方法として、上述したZr−Cr−O系材料層
を、スパッタリング法で形成する工程を含む製造方法を
提供する。スパッタリング法によれば、スパッタリング
ターゲットの組成と略同じ組成を有するZr−Cr−O
系材料層を形成できる。したがって、この製造方法によ
れば、スパッタリングターゲットを適切に選択すること
により、所望の組成のZr−Cr−O系材料層を容易に
形成できる。
して、下記の式(10):
11≦K≦36の範囲内にあり、且つ34≦J+K≦4
0である) で表される材料から実質的に成るものを使用できる。式
(10)は、後述する式(110)で表される材料を元
素組成で表した式に相当する。したがって、このターゲ
ットによれば、上記式(10)で表される材料から実質
的に成る層を形成することができる。
組成は、スパッタリング装置、スパッタリング条件、お
よびスパッタリングターゲットの寸法等によって、スパ
ッタリングターゲットの元素組成と異なる場合がある。
そのような差異が、上記式(10)で表される材料から
成るスパッタリングターゲットを使用した場合に生じる
としても、形成される層の元素組成は、少なくとも上記
式(1)で表されるものとなる。
は、スパッタリングターゲットとして、式(110):
これは、スパッタリングターゲットの組成を、ZrO2
とCr2O3の割合で表した式に相当する。このようにス
パッタリングターゲットを特定しているのは、通常、Z
r、CrおよびOを含む材料から成るスパッタリングタ
ーゲットは、この2つの化合物の組成が表示されて、販
売されていることによる。また、発明者は、市販のスパ
ッタリングターゲットのX線マイクロアナライザーで分
析して得た元素組成が、表示されている組成から算出さ
れる元素組成と略等しくなることを(即ち、組成表示
(公称組成)が適正であること)を確認している。した
がって、このスパッタリングターゲットによれば、式
(11)で表される材料から実質的に成る層が形成され
る。
は、Siを含むZr−Cr−O系材料層を形成するため
に、スパッタリングターゲットとして、式(20):
30、2≦L≦12の範囲内にあり、且つ34≦G+H
+L≦40である) で表される材料から実質的に成るものを用いてよい。こ
のスパッタリングターゲットを使用すれば、式(21)
または式(2)で表される材料から実質的に成る層が形
成される。
は、スパッタリングターゲットとして、式(210):
び20≦y≦60の範囲内にあり、且つ60≦x+y≦
90である) で表される材料から実質的に成るものを使用してよい。
このようにスパッタリングターゲットを特定しているの
は、Zr、Cr、SiおよびOを含む材料から成るスパ
ッタリングターゲットが、通常、ZrO2、Cr2O3、
およびSiO2の組成が表示されて、販売されているこ
とによる。発明者らは、式(210)のように組成が表
示されているターゲットについても、組成表示(即ち、
公称組成)が適正であることを確認している。したがっ
て、このスパッタリングターゲットによれば、式(2
1)で表される材料から実質的に成る層が形成される。
グターゲットは、ZrO2とSiO2を略等しい割合で含
むものであってよい。その場合、スパッタリングターゲ
ットは、式(220):
ッタリングターゲットによれば、式(22)で示される
材料から実質的に成る層が形成される。
造する方法として、上述した、Zr−Cr−Zn−O系
材料層を、スパッタリングで形成する工程を含む製造方
法を提供する。スパッタリング法によれば、スパッタリ
ングターゲットと実質的に同じ組成である、Zr−Cr
−Zn−O系材料層を形成できる。具体的には、スパッ
タリングターゲットとして、下記の式(30):
c、eおよびfはそれぞれ、20≦c≦60、および2
0≦e≦60、10≦f≦40の範囲内にあり、且つ6
0≦c+e+f≦90である) で表される材料から実質的に成るものを使用してよい。
このようにスパッタリングターゲットを特定しているの
は、Zr、Cr、SiおよびOに加えて、成分Dを含む
ターゲットが、ZrO2、Cr2O3、SiO2、および成
分Dの組成が表示されて、販売されていることによる。
このスパッタリングターゲットによれば、式(3)で示
される材料から実質的に成る層が形成される。
ターゲットは、ZrO2とSiO2を略等しい割合で含む
ものであってよい。その場合、スパッタリングターゲッ
トは、式(310):
aおよびbはそれぞれ、25≦a≦54、および25≦
b≦63の範囲内にあり、且つ50≦a+b≦88であ
る) で表される材料から実質的に成るものである。このスパ
ッタリングターゲットによれば、式(31)で示される
材料から実質的に成る層が形成される。
面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は例示的
なものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されな
い。
して、レーザ光を用いて情報の記録および再生を実施す
る、光情報記録媒体の一例を説明する。図1に、その光
情報記録媒体の一部断面を示す。
一方の表面に、第1の誘電体層2、記録層4、第2の誘
電体層6、光吸収補正層7、および反射層8がこの順に
形成され、さらに接着層9でダミー基板10が接着され
た構成を有する。この構成の情報記録媒体は、波長66
0nm付近の赤色域のレーザビームで記録再生する、
4.7GB/DVD−RAMとして使用できる。この構
成の情報記録媒体には、基板1側からレーザ光12が入
射され、それにより情報の記録及び再生が実施される。
情報記録媒体25は、第1の界面層103および第2の
界面層105を有していない点において図10に示す従
来の情報記録媒体31と相違する。
2および第2の誘電体層6がともに、Zr−Cr−O系
材料層またはZr−Cr−Zn−O系材料層である。
あること、2)融点が高く、記録の際に溶融しないこ
と、および3)カルコゲナイド材料である記録層との密
着性が良好であることが要求される。透明であること
は、基板1側から入射されたレーザ光12を通過させて
記録層4に到達させるために必要な特性である。この特
性は、特に入射側の第1の誘電体層に要求される。高い
融点は、ピークパワーレベルのレーザ光を照射したとき
に、誘電体層の材料が記録層に混入しないことを確保す
るために必要な特性である。誘電体層の材料が記録層に
混入すると、繰り返し書き換え性能が著しく低下する。
カルコゲナイド材料である記録層との密着性が良好であ
ることは、情報記録媒体の信頼性を確保するために必要
な特性である。さらに、誘電体層の材料は、得られる情
報記録媒体が、従来の情報記録媒体(即ち、ZnS−2
0mol%SiO2から成る誘電体層と記録層との間に
界面層が位置する媒体)と同等かそれ以上の記録感度を
有するように選択する必要がある。
r2O3の混合物から実質的に成る層であることが好まし
い。ZrO2は、透明で、高い融点(約2700℃)を
有し、且つ酸化物の中では熱伝導率が低い材料である。
Cr2O3は、カルコゲナイド材料である記録層との密着
性が良い。したがって、この2種類の酸化物の混合物を
含む層を第1および第2の誘電体層2および6とし、こ
れらを図示するように記録層4と接するように形成する
ことによって、繰り返し書き換え性能に優れ、且つ記録
層と誘電体層との間の密着性が良好である、情報記録媒
体25を実現し得る。ZrO2とCr2O3の混合物は、
上記式(11)、即ち、(ZrO2)M(Cr2O3)
100-M(mol%)で表される。この混合物において、
Cr2O3含有量(即ち、100−M)は20mol%以
上であることが好ましい。Cr2O3が多すぎると、情報
記録媒体の記録感度が低くなるので、Cr2O3の含有量
は80mol%以下が好ましい。より好ましくは、30
mol%以上50mol%以下である。
Siを含むZr−Cr−O系材料層であってよい。Si
を含むZr−Cr−O系材料層は、ZrO2、Cr2O3
およびSiO2の混合物から実質的に成っていることが
好ましい。この混合物は、上記式(21)、即ち、(Z
rO2)X(Cr2O3)Y(SiO2)100-X-Yで表され
る。この式において、XおよびYはそれぞれ、20≦X
≦70、および20≦Y≦60の範囲内にあり、60≦
X+Y≦90である。
範囲を示す。図7において、座標は(ZrO2,Cr2O
3,SiO2)である。この図において、式(21)で表
される材料は、a(70,20,10)、b(40,2
0,40)、c(20,40,40)、d(20,6
0,20)、e(30,60,10)で囲まれる範囲
(線上を含む)内の材料である。
は、情報記録媒体の記録感度を高める。また、SiO2
の割合を調整することにより、記録感度を調整すること
が可能となる。SiO2によって記録感度を高くするた
めには、混合物中のSiO2の含有量は、10mol%
以上であることが好ましい。一方、SiO2の含有量が
多いと記録層4との密着性が悪くなるため、SiO2の
含有量は40mol%以下であることが好ましい。Zr
O2およびCr2O3が奏する機能は、先に説明したとお
りであり、適切な割合で混合されることにより、情報記
録媒体の性能を適切なものとする。ZrO2−Cr2O3
−SiO2混合物の場合、Cr2O3の含有量は20mo
l%以上60mol%以下であることが好ましく、Zr
O2の含有量は20mol%以上70mol%以下であ
ることが好ましい。第1の誘電体層2と第2の誘電体層
6は、それぞれSiO2の含有量が異なる混合物から成
る層であってよい。例えば、第1の誘電体層2を(Zr
O2)50(Cr2O3)30(SiO2)20(mol%)と
し、第2の誘電体層6を(ZrO2)40(Cr2O3)20
(SiO2)40(mol%)としてよい。
て、ZrO2とSiO2の含有量が略等しい場合には、Z
rSiO4が含まれていることが好ましい。ZrSiO4
は、化学量論組成の安定した複合化合物である。ZrS
iO4が形成されている混合物は、上記式(22)、即
ち(ZrSiO4)Z(Cr2O3)100-Z(mol%)で
表される。この式において、Zは、25≦Z≦67の範
囲内にある。ZrO2とSiO2を略等しい割合で含む
と、ZrSiO4が生成され、より結合の強いZrO2−
SiO2系が得られる。記録層との密着性をより良好に
し、且つ情報記録媒体の繰り返し書き換え性能と高い記
録感度を確保するためには、Zは、33≦Z≦50の範
囲内にあることがより好ましい。
2、Cr2O3、およびSiO2の混合物に、ZnS、Zn
SeまたはZnOをさらに含む混合物から実質的に成る
層である。この混合物は、上記式(3)、即ち、(Zr
O2)C(Cr2O3)E(D)F(SiO2)100-C-E-F(m
ol%)で表される。この式において、C、EおよびF
はそれぞれ、20≦C≦60、20≦E≦60、および
10≦F≦40の範囲内にあり、且つ60≦C+E+F
≦90である。混合物が成分Dを含むことにより、この
混合物からなる層は、記録層4とより良好に密着する。
また、ZnSおよびZnSeは薄膜でも結晶性が強く、
非晶質のZrO2−Cr2O3−SiO2混合物に添加され
ると、混合物の熱伝導率をさらに低下させる。したがっ
て、ZnSおよびZnSeを含む混合物で第1および第
2誘電体層2および6を形成すると、情報記録媒体の記
録感度をより高くし得る。このように4種の材料を混合
することにより、記録消去の条件(媒体の線速度および
レーザ光の波長)に適した記録感度を有し、また、密着
性および繰り返し書き換え性能にも優れた情報記録媒体
を実現できる。
2とSiO2を略等しい割合で含んでもよい。そのような
混合物は、上記式(31)、即ち、(ZrSiO4)
A(Cr 2O3)B(D)100-A-B(mol%)で表され
る。この式において、AおよびBはそれぞれ、25≦A
≦54、および25≦B≦63の範囲内にあり、50≦
A+B≦88である。ZrO2とSiO2を略等しい割合
で含むことにより、ZrSiO4が形成され、より結合
の強いZrO2−SiO2系が得られる。それにより、記
録消去の条件により適した記録感度を有し、また、密着
性および繰り返し書き換え性能にも優れた情報記録媒体
を実現できる。
は、各々の光路長(即ち、誘電体層の屈折率nと誘電体
層の膜厚dとの積nd)を変えることにより、結晶相の
記録層4の光吸収率Ac(%)と非晶質相の記録層4の
光吸収率Aa(%)、記録層4が結晶相であるときの情
報記録媒体25の光反射率Rc(%)と記録層4が非晶
質相であるときの情報記録媒体25の光反射率Ra
(%)、記録層4が結晶相である部分と非晶質相である
部分の情報記録媒体25の光の位相差Δφを調整する機
能を有する。記録マークの再生信号振幅を大きくして、
信号品質を上げるためには、反射率差(|Rc−Ra
|)または反射率比(Rc/Ra)が大きいことが望ま
しい。また、記録層4がレーザ光を吸収するように、A
cおよびAaも大きいことが望ましい。これらの条件を
同時に満足するように第1の誘電体層2および第2の誘
電体層6の光路長を決定する。それらの条件を満足する
光路長は、例えばマトリクス法(例えば久保田広著「波
動光学」岩波新書、1971年、第3章を参照)に基づ
く計算によって正確に決定することができる。
材料、およびZr−Cr−Zn−O系材料は、その組成
に応じて異なる屈折率を有する。概して、これらの材料
は、1.8〜2.5の範囲内の屈折率を有する。誘電体
層の屈折率をn、膜厚をd(nm)、レーザ光12の波
長をλ(nm)とした場合、光路長ndは、nd=aλ
で表される。ここで、aは正の数とする。情報記録媒体
25の記録マークの再生信号振幅を大きくして信号品質
を向上させるには、例えば、15%≦Rc且つRa≦2
%であることが好ましい。また、書き換えによるマーク
歪みを無くす又は小さくするには、1.1≦Ac/Aa
であることが好ましい。これらの好ましい条件が同時に
満たされるように第1の誘電体層2および第2の誘電体
層6の光路長(aλ)を、マトリクス法に基づく計算に
より正確に求めた。得られた光路長(aλ)、ならびに
λおよびnから、誘電体層の厚さdを求めた。その結
果、第1の誘電体層2の厚さは、好ましくは100nm
〜200nmであり、より好ましくは130nm〜17
0nmであることが判った。また、第2の誘電体層6の
厚さは、好ましくは20nm〜70nmであり、より好
ましくは30nm〜60nmであることが判った。
る。誘電体層および記録層等を形成する側の表面には、
レーザ光を導くための案内溝が形成されていてもよい。
案内溝を基板に形成した場合、基板の断面を見ると、グ
ルーブ部とランド部とが形成される。グルーブ部は2つ
の隣接するランド部の間に位置するともいえる。したが
って、案内溝が形成された表面は、側壁でつながれた頂
面と底面とを有することとなる。本明細書において、底
面を「グルーブ面」と呼び、頂面を「ランド面」と呼
ぶ。したがって、図1〜図6において、面23はグルー
ブ面に相当し、面24はランド面に相当する。レーザ光
12の方向において、グルーブ面は常にレーザ光12に
近い側にあり、ランド面は常にレーザ光から遠い側にあ
る。記録マークは、記録層において、グルーブ面に相当
する記録層の表面に記録されるか(グルーブ記録)、ラ
ンド面に相当する記録層の表面に記録されるか(ランド
記録)、あるいはグルーブおよびランド両方の面に相当
する記録層の表面に記録される(ランド−グルーブ記
録)。図1に示す態様において基板1のグルーブ面23
とランド面24の段差は、40nm〜60nmであるこ
とが好ましい。後述する図2、図3および図6に示す態
様の情報記録媒体を構成する基板1においても、グルー
ブ面23とランド面24との段差はこの範囲であること
が好ましい。また、層を形成しない側の表面は、平滑で
あることが望ましい。基板1の材料として、ポリカーボ
ネート、アモルファスポリオレフィンもしくはPMMA
のような樹脂、またはガラスを挙げることができる。成
形性、価格、および機械強度を考慮すると、ポリカーボ
ネートが好ましく使用される。図示した形態において、
基板1の厚さは、0.5〜0.7mm程度である。
ギーの印加によって、結晶相と非晶質相との間で相変態
を起こし、記録マークが形成される層である。相変態が
可逆的であれば、消去や書き換えを行うことができる。
可逆的相変態材料としては、高速結晶化材料である、G
e−Sb−TeもしくはGe−Sn−Sb−Teを用い
ることが好ましい。具体的には、Ge−Sb−Teの場
合、GeTe−Sb2Te3擬二元系組成であることが好
ましく、その場合、4Sb2Te3≦GeTe≦50Sb
2Te3であることが好ましい。GeTe<4Sb2Te3
の場合、記録前後の反射光量の変化が小さく、読み出し
信号の品質が低下する。50Sb2Te3<GeTeの場
合、結晶相と非晶質相間の体積変化が大きく、繰り返し
書き換え性能が低下する。Ge−Sn−Sb−Teは、
Ge−Sb−Teよりも結晶化速度が速い。Ge−Sn
−Sb−Teは、例えば、GeTe−Sb2Te3擬二元
系組成のGeの一部をSnで置換したものである。記録
層4において、Snの含有量は、20原子%以下である
ことが好ましい。20原子%を越えると、結晶化速度が
速すぎて、非晶質相の安定性が損なわれ、記録マークの
信頼性が低下する。Snの含有量は記録条件に合わせて
調整することができる。
e−Sn−Bi−Te、Ge−Sb−Bi−Te、また
はGe−Sn−Sb−Bi−TeのようなBiを含む材
料で形成することもできる。BiはSbよりも結晶化し
やすい。したがって、Sbの少なくとも一部をBiで置
換することによっても、記録層の結晶化速度を向上させ
ることができる。
e3の混合物である。この混合物においては、8Bi2T
e3≦GeTe≦25Bi2Te3であることが好まし
い。GeTe<8Bi2Te3の場合、結晶化温度が低下
し、記録保存性が劣化しやすくなる。25Bi2Te3<
GeTe の場合、結晶相と非晶質相間の体積変化が大
きく、繰り返し書き換え性能が低下する。
TeのGeの一部をSnで置換したものに相当する。S
nの置換濃度を調整して、記録条件に合わせて結晶化速
度を制御することが可能である。Sn置換は、Bi置換
と比較して、記録層の結晶化速度の微調整により適して
いる。記録層において、Snの含有量は10原子%以下
であることが好ましい。10原子%を越えると、結晶化
速度が速くなりすぎるために、非晶質相の安定性が損な
われ、記録マークの保存性が低下する。
Sb−TeのGeの一部をSnで置換し、さらにSbの
一部をBiで置換したものに相当する。これは、GeT
e、SnTe、Sb2Te3およびBi2Te3の混合物に
相当する。この混合物においては、Sn置換濃度とBi
置換濃度を調整して、記録条件に合わせて結晶化速度を
制御することが可能である。Ge−Sn−Sb−Bi−
Teにおいては、4(Sb−Bi)2Te3≦(Ge−S
n)Te≦25(Sb−Bi)2Te3であることが好ま
しい。(Ge−Sn)Te<4(Sb−Bi)2Te3の
場合、記録前後の反射光量の変化が小さく、読み出し信
号品質が低下する。25(Sb−Bi) 2Te3<(Ge
−Sn)Teの場合、結晶相と非晶質相間の体積変化が
大きく、繰り返し書き換え性能が低下する。また、記録
層において、Biの含有量は10原子%以下であること
が好ましく、Snの含有量は20原子%以下であること
が好ましい。BiおよびSnの含有量がそれぞれこの範
囲内にあれば、良好な記録マークの保存性が得られる。
の他に、Ag−In−Sb−Te、Ag−In−Sb−
Te−Ge、およびSbを70原子%以上含むSb−T
e−Geが挙げられる。
公報平7−25209公報(特許第2006849号)
に開示されるように、TeOx+α(αはPd、Ge等
である)を用いることが好ましい。記録層が非可逆的相
変態材料である情報記録媒体は、記録が一度だけ可能で
ある、いわゆるライトワンスタイプのものである。その
ような情報記録媒体においても、記録時の熱により誘電
体層中の原子が記録層中に拡散して、信号の品質を低下
させるという問題がある。したがって、本発明は、書き
換え可能な情報記録媒体だけでなく、ライトワンス型の
情報記録媒体にも好ましく適用される。
5nm以下であることが好ましく、12nm以下である
ことがより好ましい。
4が結晶状態であるときの光吸収率Acと非晶質状態で
あるときの光吸収率Aaの比Ac/Aaを調整し、書き
換え時にマーク形状が歪まないようにする働きがある。
光吸収補正層7は、屈折率が高く、且つ適度に光を吸収
する材料で形成されることが好ましい。例えば、屈折率
nが3以上6以下、消衰係数kが1以上4以下である材
料を用いて、光吸収補正層7を形成できる。具体的に
は、Ge−Cr、およびGe−Mo等の非晶質のGe合
金、Si−Cr、Si−Mo、およびSi−W等の非晶
質のSi合金、Te化物、ならびにTi、Zr、Nb、
Ta、Cr、Mo、W、SnTe、およびPbTe等の
結晶性の金属、半金属及び半導体材料から選択される材
料を使用することが好ましい。光吸収補正層7の膜厚
は、20nm〜80nmであることが好ましく、30n
m〜50nmであることがより好ましい。
れる光量を増大させ、熱的には記録層4で生じた熱を速
やかに拡散させて記録層4を急冷し、非晶質化し易くす
る機能を有する。さらに、反射層8は、記録層4および
誘電体層2および6を含む多層膜を使用環境から保護す
る。反射層8の材料としては、例えば、Al、Au、A
g、およびCu等の熱伝導率の高い単体金属材料が挙げ
られる。反射層8は、その耐湿性を向上させる目的で、
ならびに/あるいは熱伝導率または光学特性(例えば、
光反射率、光吸収率または光透過率)を調整する目的
で、上記の金属材料から選択される1つまたは複数の元
素に、他の1つまたは複数の元素を添加した材料を使用
して形成してよい。具体的には、Al−Cr、Al−T
i、Ag−Pd、Ag−Pd−Cu、Ag−Pd−T
i、またはAu−Cr等の合金材料を用いることができ
る。これらの材料は何れも耐食性に優れ且つ急冷機能を
有する優れた材料である。同様の目的は、反射層8を2
以上の層で形成することによっても達成され得る。反射
層8の厚さは50〜180nmであることが好ましく、
60nm〜100nmであることがより好ましい。
層9は、ダミー基板10を反射層8に接着するために設
けられる。接着層9は、耐熱性及び接着性の高い材料、
例えば、紫外線硬化性樹脂等の接着樹脂を用いて形成し
てよい。具体的には、アクリル樹脂を主成分とする材料
またはエポキシ樹脂を主成分とする材料で、接着層9を
形成してよい。また、必要に応じて、接着層9を形成す
る前に、紫外線硬化性樹脂よりなる、厚さ5〜20μm
の保護層を反射層8の表面に設けてもよい。接着層9の
厚さは好ましくは15〜40μmであり、より好ましく
は20〜35μmである。
械的強度を高めるとともに、第1の誘電体層2から反射
層8までの積層体を保護する。ダミー基板10の好まし
い材料は、基板1の好ましい材料と同じである。ダミー
基板10を貼り合わせた情報記録媒体25において、機
械的な反り、および歪み等が発生しないように、ダミー
基板10と基板1は、実質的に同一材料で形成され、同
じ厚さを有することが好ましい。
録層を有する片面構造ディスクである。本発明の情報記
録媒体は、2つの記録層を有してよい。例えば、実施の
形態1において反射層8まで積層したものを、反射層8
同士を対向させて、接着層を介して貼り合わせることに
よって、両面構造の情報記録媒体が得られる。この場
合、2つの積層体の貼り合わせは、接着層を遅効性樹脂
で形成し、圧力と熱の作用を利用して実施する。反射層
8の上に保護層を設ける場合には、保護層まで形成した
積層体を、保護層同士を対向させて貼り合わせることに
より、両面構造の情報記録媒体を得る。
を製造する方法を説明する。情報記録媒体25は、案内
溝(グルーブ面23とランド面24)が形成された基板
1を成膜装置に配置し、基板1の案内溝が形成された表
面に第1の誘電体層2を成膜する工程(工程a)、記録
層4を成膜する工程(工程b)、第2の誘電体層6を成
膜する工程(工程c)、光吸収補正層7を成膜する工程
(工程d)および反射層8を成膜する工程(工程e)を
順次実施し、さらに、反射層8の表面に接着層9を形成
する工程、およびダミー基板10を貼り合わせる工程を
実施することにより、製造される。以下の説明を含む本
明細書において、各層に関して、「表面」というとき
は、特に断りのない限り、各層が形成されたときの露出
している表面(厚さ方向に垂直な表面)を指すものとす
る。
に、第1の誘電体層2を成膜する工程aを実施する。工
程aは、スパッタリングにより実施される。スパッタリ
ングは、高周波電源を用いて、Arガス雰囲気中または
Arガスと酸素との混合ガス雰囲気中で実施する。
ットとしては、上記の式(110)、即ち、(Zr
O2)m(Cr2O3)100-m(mol%)で表され、m
が、20≦m≦80の範囲内にある材料から実質的に成
るターゲットを使用できる。このターゲットによれば、
上記式(11)で表される材料から実質的に成る層が形
成される。
式(210)、即ち、(ZrO2)x(Cr2O3)y(S
iO2)100-x-y(mol%)で表され、xおよびyがそ
れぞれ、20≦x≦70、および20≦y≦60の範囲
内にあり、且つ60≦x+y≦90である材料から実質
的に成るものであってよい。このターゲットによれば、
上記式(21)で表される材料から実質的に成る層が形
成される。
上記式(220)、即ち、(ZrSiO4)z(Cr
2O3)100-z(mol%)で表され、zが25≦z≦6
7の範囲内にある材料から実質的に成るものであってよ
い。このターゲットによれば、式(22)で表される材
料から実質的に成る層が形成される。
上記式(30)、即ち、(ZrO2)c(Cr2O3)
e(D)f(SiO2)100-c-e-f(mol%)で表され、
Dが、ZnS、ZnSeまたはZnOであり、c、eお
よびfがそれぞれ、20≦c≦60、および20≦e≦
60、10≦f≦40の範囲内にあり、且つ60≦c+
e+f≦90である材料から実質的に成るものであって
よい。このターゲットによれば、式(3)で表される材
料から実質的に成る層が形成される。
上記式(310)、即ち、(ZrSiO4)a(Cr
2O3)b(D)100-a-b(mol%)で表され、Dが、Z
nS、ZnSeまたはZnOであり、aおよびbがそれ
ぞれ、25≦a≦54、および25≦b≦63の範囲内
にあり、且つ50≦a+b≦88である材料から実質的
に成るものであってよい。このターゲットによれば、式
(31)で表される材料から実質的に成る層が形成され
る。
2の表面に、記録層4を成膜する。工程bもまた、スパ
ッタリングにより実施される。スパッタリングは、直流
電源を用いて、Arガス雰囲気中、またはArガスとN
2ガスの混合ガス雰囲気中で実施する。スパッタリング
ターゲットは、Ge−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−
Te、Ge−Bi−Te、Ge−Sn−Bi−Te、G
e−Sb−Bi−Te、Ge−Sn−Sb−Bi−T
e、Ag−In−Sb−TeおよびSb−Teのうち、
いずれか1つの材料を含むものを使用する。成膜後の記
録層4は非晶質状態である。
に、第2の誘電体層6を成膜する。工程cは、工程aと
同様に実施される。第2の誘電体層6は、第1の誘電体
層2とは、異なる材料から成るスパッタリングターゲッ
トを用いて形成してよい。
6の表面に、光吸収補正層7を成膜する。工程dにおい
ては、直流電源または高周波電源を用いて、スパッタリ
ングを実施する。スパッタリングターゲットとして、G
e−Cr、およびGe−Mo等の非晶質Ge合金、Si
−CrおよびSi−Mo等の非晶質Si合金、Te化
物、ならびにTi、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、
W、SnTe、およびPbTe等の結晶性の金属、半金
属、および半導体材料から選択される材料から成るもの
を用いる。スパッタリングは、一般には、Arガス雰囲
気中で実施する。
の表面に、反射層8を成膜する。工程eはスパッタリン
グにより実施される。スパッタリングは、直流電源また
は高周波電源を用いて、Arガス雰囲気中で実施する。
スパッタリングターゲットとしては、Al−Cr、Al
−Ti、Ag−Pd、Ag−Pd−Cu、Ag−Pd−
Ti、またはAu−Cr等の合金材料より成るものを使
用できる。
パッタリング工程である。したがって、工程a〜eは、
1つのスパッタリング装置内において、ターゲットを順
次変更して連続的に実施してよい。あるいは、工程a〜
eはそれぞれ独立したスパッタリング装置を用いて実施
してよい。
ら反射層8まで順次積層した基板1をスパッタリング装
置から取り出す。それから、反射層8の表面に、紫外線
硬化性樹脂を例えばスピンコート法により塗布する。塗
布した紫外線硬化性樹脂に、ダミー基板10を密着させ
て、紫外線をダミー基板10側から照射して、樹脂を硬
化させ、貼り合わせ工程を終了させる。
じて初期化工程を実施する。初期化工程は、非晶質状態
である記録層4を、例えば半導体レーザを照射して、結
晶化温度以上に昇温して結晶化させる工程である。初期
化工程は貼り合わせ工程の前に実施してもよい。このよ
うに、工程a〜e、接着層の形成工程、およびダミー基
板の貼り合わせ工程を順次実施することにより、実施の
形態1の情報記録媒体25を製造することができる。
して、レーザ光を用いて情報の記録および再生を実施す
る、光情報記録媒体の別の例を説明する。図2に、その
光情報記録媒体の一部断面を示す。
一方の表面に、第1の誘電体層2、記録層4、第2の界
面層105、第2の誘電体層106、光吸収補正層7、
および反射層8がこの順に形成され、さらに接着層9で
ダミー基板10が接着された構成を有する。図2に示す
情報記録媒体26は、第1の界面層103を有していな
い点において、図10に示す従来の情報記録媒体31と
相違する。また、情報記録媒体26は、記録層4の上に
第2の界面層105を介して第2の誘電体層106が積
層されている点において、図1に示す実施の形態1の情
報記録媒体25と相違する。情報記録媒体26において
は、第1の誘電体層2が、実施の形態1と同様に、Zr
−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Zn−O系材料
層である。その他、図2において、図1で使用した符号
と同じ符号は、同じ要素を表し、図1を参照して説明し
た材料および方法で形成されるものである。したがっ
て、図1に関連して既に説明した要素については、その
詳細な説明を省略する。
電体層106を、従来の情報記録媒体で使用されていた
ZnS−20mol%SiO2で形成した構成に相当す
る。したがって、第2の界面層105は、繰り返しの記
録により第2の誘電体層106と記録層4との間で生じ
る物質移動を防止するために設けられる。第2の界面層
105はSi−N、Al−N、Zr−N、Ti−N、G
e−NもしくはTa−N等の窒化物またはこれらを含む
窒化酸化物、あるいはSiC等の炭化物で形成される。
あるいは、第2の界面層105は、Zr−Cr−O系材
料層またはZr−Cr−Zn−O系材料層であってもよ
い。界面層の厚さは1〜10nmであることが好まし
く、2〜7nmであることがより好ましい。界面層の厚
さが大きいと、基板1の表面に形成された第1の誘電体
層2から反射層8までの積層体の光反射率および光吸収
率が変化して、記録消去性能に影響を与える。
を製造する方法を説明する。情報記録媒体26は、基板
1の案内溝が形成された表面に第1の誘電体層2を成膜
する工程(工程a)、記録層4を成膜する工程(工程
b)、第2の界面層105を成膜する工程(工程f)、
第2の誘電体層106を成膜する工程(工程g)、光吸
収補正層7を成膜する工程(工程d)および反射層8を
成膜する工程(工程e)を順次実施し、さらに反射層8
の表面に接着層9を形成する工程、およびダミー基板1
0を貼り合わせる工程を実施することにより、製造され
る。工程a、b、d、およびeは、実施の形態1に関連
して説明したとおりであるから、ここではその説明を省
略する。以下、実施の形態1の情報記録媒体の製造にお
いて実施されない工程のみ、説明する。
れ、記録層4の表面に第2の界面層105を成膜する工
程である。工程fにおいては、高周波電源を用いて、ス
パッタリングを実施する。スパッタリングは、例えば、
Geを含むスパッタリングターゲットを用いて、Arガ
スとN2ガスの混合ガス雰囲気中で実施する、反応性ス
パッタリングであってよい。この反応性スパッタリング
によれば、Ge−Nを含む界面層が記録層4の表面に形
成される。
05の表面に、第2の誘電体層106を成膜する。工程
gにおいては、高周波電源を使用し、例えばZnS−2
0mol%SiO2から成るスパッタリングターゲット
を用いて、Arガス雰囲気中、またはArガスとO2ガ
スの混合ガス雰囲気中で、スパッタリングを実施する。
それにより、ZnS−20mol%SiO2から成る層
が形成される。その後、ダミー基板10を貼り合わせる
工程が終了した後、実施の形態1に関連して説明したよ
うに、必要に応じて初期化工程を実施して、情報記録媒
体26を得る。
して、レーザ光を用いて情報の記録および再生を実施す
る、光情報記録媒体のさらに別の例を説明する。図3
に、その光情報記録媒体の一部断面を示す。
一方の表面に、第1の誘電体層102、第1の界面層1
03、記録層4、第2の誘電体層6、光吸収補正層7、
および反射層8がこの順に形成され、さらに接着層9で
ダミー基板10が接着された構成を有する。図3に示す
情報記録媒体27は、第2の界面層105を有していな
い点において、図10に示す従来の情報記録媒体31と
相違する。また、情報記録媒体27は、基板1と記録層
4の間に第1の誘電体層102と第1の界面層103が
この順に積層されている点において、図1に示す実施の
形態1の情報記録媒体25と相違する。情報記録媒体2
7においては、第2の誘電体層6が、実施の形態1と同
様に、Zr−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Zn
−O系材料層である。その他、図3において、図1で使
用した符号と同じ符号は、同じ要素を表し、図1を参照
して説明した材料および方法で形成されるものである。
したがって、図1で既に説明した要素については、その
詳細な説明を省略する。
電体層102を、従来の情報記録媒体で使用されていた
ZnS−20mol%SiO2で形成した構成に相当す
る。したがって、第1の界面層103は、繰り返しの記
録により第1の誘電体層102と記録層4との間で生じ
る物質移動を防止するために設けられる。第1の界面層
103の好ましい材料および厚さは、図2を参照して説
明した実施の形態2の情報記録媒体26の第2の界面層
105と同じである。したがって、それについての詳細
な説明は省略する。
を製造する方法を説明する。情報記録媒体27は、基板
1の案内溝が形成された面に第1の誘電体層102を成
膜する工程(工程h)、第1の界面層103を成膜する
工程(工程i)、記録層4を成膜する工程(工程b)、
第2の誘電体層6を成膜する工程(工程c)、光吸収補
正層7を成膜する工程(工程d)および反射層8を成膜
する工程(工程e)を順次実施し、さらに反射層8の表
面に接着層9を形成する工程、およびダミー基板10を
貼り合わせる工程を実施することにより、製造される。
工程b、c、d、およびeは、実施の形態1に関連して
説明したとおりであるから、ここではその説明を省略す
る。以下、実施の形態1の情報記録媒体の製造において
実施されない工程のみ、説明する。
102を成膜する工程である。その具体的な方法は、実
施の形態2の製造方法に関連して説明した工程gと同様
である。工程iは、第1の誘電体層102の表面に第1
の界面層103を成膜する工程である。その具体的な方
法は、実施の形態2の製造方法に関連して説明した工程
fと同様である。その後、ダミー基板10を貼り合わせ
る工程が終了した後、実施の形態1に関連して説明した
ように、必要に応じて初期化工程を実施して、情報記録
媒体27を得る。
して、レーザ光を情報の記録および再生を実施する、光
情報記録媒体のさらに別の例を説明する。図4に、その
光情報記録媒体の一部断面を示す。
1の一方の表面に反射層8、第2の誘電体層6、記録層
4、および第1の誘電体層2をこの順に形成し、さらに
接着層9でダミー基板110が接着された構成を有す
る。この情報記録媒体28は、第1の界面層103およ
び第2の界面層105を有していない点において図10
に示す従来の情報記録媒体31と相違する。また、この
構成の情報記録媒体は、光吸収補正層7を有していない
点において図1に示す構成の情報記録媒体25と相違す
る。
基板110側からレーザ光12が入射され、それにより
情報の記録および再生が実施される。情報記録媒体の記
録密度を高くするためには、短波長のレーザ光を使用す
るとともに、レーザビームをより絞り込んで、記録層に
小さな記録マークを形成する必要がある。ビームを絞り
込むためには、対物レンズの開口数NAをより大きくす
ることが必要となる。しかし、NAが大きくなると、焦
点位置が浅くなる。そこで、レーザ光が入射する基板を
薄くする必要がある。図4に示す情報記録媒体28にお
いて、レーザ光が入射される側のダミー基板110は、
記録層等を形成する際の支持体として機能する必要がな
いため、その厚さを小さくすることができる。したがっ
て、この構成によれば、より高密度の記録が可能な大容
量情報記録媒体28を得ることができる。具体的には、
この構成によれば、波長約405nmの青紫色域のレー
ザ光を記録再生に使用する、容量が25GBの情報記録
媒体を得ることができる。
第2の誘電体層2および6は、実施の形態1と同様に、
Zr−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Zn−O系
材料層である。Zr−Cr−O系材料層およびZr−C
r−Zn−O系材料層は、反射層等の形成順序および記
録容量に関係無く、誘電体層として適用される。Zr−
Cr−O系材料層およびZr−Cr−Zn−O系材料層
に含まれる材料は、実施の形態1に関連して説明したと
おりであるから、それらについての詳細な説明は省略す
る。
短い波長のレーザ光で記録再生するのに適している。し
たがって、第1および第2の誘電体層2および6の厚さ
は、例えば、λ=405nmであるときの好ましい光路
長から求める。情報記録媒体28の記録マークの再生信
号振幅を大きくして信号品質を向上させるために、例え
ば20%≦Rc且つRa≦5%を満足するように第1の
誘電体層2および第2の誘電体層6の光路長ndをマト
リクス法に基づく計算により厳密に決定した。その結
果、前述のような屈折率を有するZr−Cr−O系材料
またはZr−Cr−Zn−O系材料層を第1および第2
の誘電体層2および6とする場合、第1の誘電体層2の
厚さは好ましくは30nm〜100nmであり、より好
ましくは50nm〜80nmであることが判った。ま
た、第2の誘電体層6の厚さは、好ましくは3nm〜5
0nmであり、より好ましくは10nm〜30nmであ
ることが判った。
様、透明な円盤状の板である。基板101の反射層等を
形成する側の表面には、レーザ光を導くための案内溝が
形成されていてもよい。案内溝を形成した場合、実施の
形態1と同様に、面23をグルーブ面23と呼び、面2
4をランド面と呼ぶ。基板101においてグル−ブ面2
3とランド面24の段差は、10nm〜30nmである
ことが好ましく、15nm〜25nmであることがより
好ましい。また、層を形成しない側の表面は、平滑であ
ることが望ましい。基板101の材料としては、実施の
形態1の基板1の材料と同じ材料を挙げることができ
る。基板101の厚さは、好ましくは1.0〜1.2m
m程度である。基板101の好ましい厚さは、実施の形
態1の基板1のそれよりも大きい。これは、後述するよ
うに、ダミー基板110の厚さが薄いために、基板10
1で情報記録媒体の強度を確保する必要があることによ
る。
明な円盤状の板である。前述のように、図4に示す構成
によれば、ダミー基板110の厚さを小さくすることに
よって、短波長のレーザ光で記録することが可能とな
る。したがって、ダミー基板110の厚さは、40μm
〜110μmであることが好ましい。接着層9とダミー
基板110を合わせた厚さが50μm〜120μmであ
ることがより好ましい。
ネート、アモルファスポリオレフィン、またはPMMA
のような樹脂で形成することが好ましく、特にポリカー
ボネートで形成することが好ましい。また、ダミー基板
110は、レーザ光12入射側に位置するため、光学的
には短波長域における複屈折が小さいものであることが
好ましい。
成することが好ましい。接着層9の厚さは5〜15μm
であることが好ましい。接着層9がダミー基板110の
機能を兼ね備え、50μm〜120μmの厚さとなるよ
うに形成できれば、ダミー基板110を省略することも
できる。
た要素は、既に実施の形態1に関連して説明したとおり
であるので、その説明を省略する。
は、例えば、第1の誘電体層のみをZr−Cr−O系材
料層またはZr−Cr−Zn−O系材料層とし、第2の
誘電体層をZnS−20mol%SiO2で形成して、
第2の誘電体層と記録層との間に第2の界面層を形成し
得る。また、この形態の情報記録媒体の別の変形例にお
いては、第2の誘電体層のみをZr−Cr−O系材料ま
たはZr−Cr−Zn−O系材料層とし、第1の誘電体
層をZnS−20mol%SiO2として、第1の誘電
体層と記録層との間に第1の界面層を形成し得る。
の製造方法を説明する。情報記録媒体28は、案内溝
(グルーブ面23とランド面24)が形成された基板1
01を成膜装置に配置し、基板101の案内溝が形成さ
れた表面に反射層8を成膜する工程(工程e)、第2の
誘電体層6を成膜する工程(工程c)、記録層4を成膜
する工程(工程b)、および第1の誘電体層2を成膜す
る工程(工程a)を順次実施し、さらに、第1の誘電体
層2の表面に接着層9を形成する工程、およびダミー基
板110を貼り合わせる工程を実施することにより、製
造される。
案内溝が形成された面に、反射層8を成膜する。工程e
を実施する具体的な方法は、実施の形態1に関連して説
明したとおりである。次に、工程c、工程b、および工
程aをこの順に実施する。工程c、bおよびaを実施す
る具体的な方法は、実施の形態1に関連して説明したと
おりである。この形態の情報記録媒体の製造方法におい
ては、各工程の実施順序が、実施の形態1の情報記録媒
体の製造方法におけるそれと異なる。
から第1の誘電体層2まで順次積層した基板101を、
スパッタリング装置から取り出す。それから、第1の誘
電体層2の上に、紫外線硬化性樹脂を例えばスピンコー
ト法により塗布する。塗布した紫外線硬化性樹脂に、ダ
ミー基板110を密着させて、紫外線をダミー基板11
0側から照射して樹脂を硬化させ、貼り合わせ工程を終
了させる。接着層9を、60μm〜120μmの厚さと
なるように形成し、これに紫外線を照射することによっ
て、ダミー基板110を貼り合わせる工程を省略するこ
とができる。
じて初期化工程を実施する。初期化工程の方法は、実施
の形態1に関連して説明したとおりである。
して、レーザ光を用いて記録および再生を実施する、光
情報記録媒体のさらに別の例を説明する。図5に、その
光情報記録媒体の一部断面を示す。
1の一方の表面に第2情報層22、中間層16、および
第1情報層21がこの順に形成され、さらに接着層9を
介してダミー基板110が積層された構成である。より
詳しくは、第2情報層22は、基板101の一方の表面
に第2の反射層20、第5の誘電体層19、第2の記録
層18、および第4の誘電体層17がこの順に形成され
て成る。中間層16は、第4の誘電体層17の表面に形
成される。第1情報層21は、この中間層16の表面
に、第3の誘電体層15、第1の反射層14、第2の誘
電体層6、第1の記録層13、および第1の誘電体層2
がこの順に形成されて成る。この形態においても、レー
ザ光12は、ダミー基板110の側から入射される。ま
た、この形態の情報記録媒体においては、2つの記録層
にそれぞれ情報を記録できる。したがって、この構成に
よれば、上記実施の形態4の2倍程度の容量を有する、
情報記録媒体を得ることができる。具体的には、この構
成によれば、例えば、波長405nm付近の青紫色域の
レーザ光を記録再生に使用する、容量が50GBの情報
記録媒体を得ることができる。
ー基板110を通過したレーザ光12によって行われ
る。第2情報層22における記録再生は、ダミー基板1
10、第1情報層21および中間層16を通過したレー
ザ光12によって実施される。
ても、第5の誘電体層19、第4の誘電体層17、第2
の誘電体層6、および第1の誘電体層2はいずれも、Z
r−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Zn−O系材
料層であることが好ましい。それらの材料層を使用すれ
ば、第1の記録層13と第1の誘電体層2との間、第1
の記録層13と第2の誘電体層6との間、第2の記録層
18と第4の誘電体層17との間、第2の記録層18と
第5の誘電体層19との間の界面層が不要となる。Zr
−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Zn−O系材料
層の具体的な材料は、実施の形態1に関連して説明した
とおりであるから、それらについての詳細な説明は省略
する。
は、反射層と記録層との間で断熱層として機能する。そ
のため、第5および第2の誘電体層19および6は、式
(ZrO2)X(Cr2O3)Y(SiO2)100-X-Y(即
ち、式(21))で表される材料、または式(Zr
O2)C(Cr2O3)E(D)F(SiO2)100-C-E-F(即
ち、式(3))で表される材料から実質的に成る層であ
ることが好ましい。また、第5および第2の誘電体層1
9および6の膜厚は、好ましくは3nm〜50nmであ
り、より好ましくは10nm〜30nmである。
2は、それぞれ第2情報層22および第1情報層21に
おいて、レーザ光12が、記録層18および13に到達
する前に入射される層である。そのため、第4および第
1の誘電体層17および2は、透明で、且つ熱伝導率の
低い材料から成ることが望ましい。そのような材料は、
上記式(21)および式(3)で表される材料である。
第4および第1の誘電体層17および2の膜厚は、好ま
しくは30nm〜100nmであり、より好ましくは5
0nm〜80nmである。
造の情報記録媒体においても、記録層の両側に位置する
誘電体層をZr−Cr−O系材料層またはZr−Cr−
Zn−O系材料層とすることによって、誘電体層を界面
層を介することなく、記録層と直接的に接するように形
成できる。したがって、本発明によれば、片面2層構造
の情報記録媒体についても、全体を構成する層の数を減
らすことができる。また、誘電体層を上記特定の材料層
とすることにより、屈折率や媒体の記録感度を調整し
て、情報記録媒体の種類に応じて最適化することができ
る。
の反射層14との間に位置する。第3の誘電体層15
は、第1情報層21の光透過率を高める機能を有するよ
う、透明で、高い屈折率を有することが好ましい。ま
た、第3の誘電体層15は、反射層と同様に、第1の記
録層13の熱を速やかに拡散させる機能を有するよう
に、熱伝導率がより高い材料から成ることが好ましい。
これらの条件を満足する材料は、TiO2およびCr2O
3である。また、(ZrO2)M(Cr2O3)100-M(即
ち、上記式(11))で表される材料も好ましく用いら
れる。式(11)で表される材料で第3の誘電体層15
を形成する場合は、Cr2O3の割合が40mol%以上
となる条件で、組成を変化させることにより、熱伝導率
を調整することが好ましい。TiO2、Cr2O3、また
は(ZrO2)M(Cr2O3)100-Mを使用すると、2.
4〜2.8の大きな屈折率が得られる。第3の誘電体層
15の膜厚は10nm〜30nmであることが好まし
い。
と同様のものである。したがって、ここでは、基板10
1に関する詳細な説明を省略する。
層8と同様のものである。また、第2の記録層18は、
実施の形態1の記録層4と同様のものである。したがっ
て、ここでは、第2の反射層20および第2の記録層1
8に関する詳細な説明を省略する。
ーザ光の焦点位置と、第2情報層22における焦点位置
とが有意に異なるようにするために設けられる。中間層
16には、必要に応じて第1情報層21側に案内溝が形
成されている。中間層16は、紫外線硬化性樹脂で形成
することができる。中間層16は、レーザ光12が効率
よく第2情報層22に到達するよう、記録再生する波長
λの光に対して透明であることが望ましい。中間層16
の厚さは、対物レンズの開口数NAとレーザ光波長λに
より決定される焦点深度ΔZ以上であることを要する。
ΔZは、ΔZ=λ/{2(NA)2}で近似できる。λ
=405nm、NA=0.85の時、ΔZ=0.28μ
mとなる。さらに、この値の±0.3μmの範囲内は焦
点深度の範囲に含まれるので、中間層16は、0.8μ
m以上の厚さであることを要する。また、中間層16の
厚さは、第1情報層21の第1の記録層13および第2
情報層22の第2の記録層18間の距離が、対物レンズ
の集光可能な範囲内にあるように、ダミー基板110の
厚さと合わせて、使用する対物レンズについて許容でき
る基板厚公差内にすることが好ましい。したがって、中
間層の厚さは10μm〜40μmであることが好まし
い。
層、積層して構成してよい。具体的には、第4の誘電体
層17を保護する層と、案内溝を有する層との2層構成
にしてよい。
熱を速やかに拡散させる機能を有する。また、第2情報
層22を記録再生する際には、第1情報層21を透過し
たレーザ光12を使用するので、第1情報層21は全体
として高い光透過率を有する必要があり、好ましくは、
45%以上の光透過率を有する。そのため、第1の反射
層14は、第2の反射層20と比較して、その材料およ
び厚さが限定される。第1の反射層14の光吸収を少な
くするために、第1の反射層14は、厚さを薄くして、
小さい消衰係数、および大きい熱伝導率を有することが
望ましい。具体的には、第1の反射層14は、好ましく
は、Agを含む合金で、膜厚が5nm以上15nm以下
となるように形成される。
の高い光透過率を確保するために、第2の記録層18と
比較して、その材料および膜厚が限定される。第1の記
録層13は、好ましくは、その結晶相における透過率と
その非晶質相における透過率の平均が45%以上になる
ように形成する。そのため、第1の記録層13の膜厚は
7nm以下とすることが好ましい。第1の記録層13を
構成する材料は、このように薄い膜厚であっても、溶融
急冷によって良好な記録マークが形成され、品質の高い
信号が再生できること、ならびに昇温徐冷により記録マ
ークを消去できることを確保し得るように、選択され
る。具体的には、可逆的相変態材料であるGeTe−S
b2Te3系材料のようなGe−Sb−Te、またはGe
Te−Sb 2Te3系材料のGeの一部をSnで置換した
Ge−Sn−Sb−Teで、第1の記録層13を形成す
ることが好ましい。GeTe−Bi2Te3系材料のよう
なGe−Bi−Te、またはGe−Bi−TeのGeの
一部をSnで置換したGe−Sn−Bi−Teを用いる
こともできる。
様、透明な紫外線硬化性樹脂で形成することが好まし
い。接着層9の厚さは5〜15μmであることが好まし
い。
ー基板110と同様のものである。したがって、ここで
はダミー基板に関する詳細な説明を省略する。また、こ
の形態においても、接着層9がダミー基板110の機能
を兼ね備え、50μm〜120μmの厚さとなるように
形成できれば、ダミー基板110を省略することもでき
る。
つ有する構成の情報記録媒体を説明した。複数の記録層
を有する情報記録媒体は、この構成に限定されず、情報
層を3つ以上含む構成とすることも可能である。また、
図示した形態の変形例は、例えば2つの情報層のうち、
一つを可逆的相変態を生じる記録層を有する情報層と
し、一つを非可逆的相変態を生じる記録層を有する情報
層としたものである。
おいては、3つの情報層のうち一つを再生専用の情報層
とし、一つを可逆的相変態を生じる記録層を有する情報
層とし、一つを非可逆的相変態を生じる記録層を有する
情報層とすることも可能である。このように、情報層を
2以上有する情報記録媒体には、種々の形態のものがあ
る。いずれの形態においても、誘電体層をZr−Cr−
O系材料層またはZr−Cr−Zn−O系材料層とする
ことによって、記録層と誘電体層との間に界面層を設け
る必要を無くすことができる。
を製造する方法を説明する。情報記録媒体29は、基板
101に第2の反射層20を成膜する工程(工程j)、
第5の誘電体層19を成膜する工程(工程k)、第2の
記録層18を成膜する工程(工程l)、および第4の誘
電体層17を成膜する工程(工程m)を順次実施した
後、第4の誘電体層17の表面に中間層16を形成する
工程を実施し、それから中間層16の表面に第3の誘電
体層15を成膜する工程(工程n)、第1の反射層14
を成膜する工程(工程o)、第2の誘電体層6を成膜す
る工程(工程p)、第1の記録層13を成膜する工程
(工程q)、および第1の誘電体層2を成膜する工程
(工程r)を順次実施し、さらに、第1の誘電体層2の
表面に接着層9を形成する工程、およびダミー基板11
0を貼り合わせる工程を実施することにより、製造され
る。
工程に相当する。工程jは、基板101の案内溝が形成
された面に、第2の反射層20を成膜する工程である。
工程jは、実施の形態1の工程eと同様にして実施され
る。次に、工程kを実施して、第2の反射層20の表面
に、第5の誘電体層19を成膜する。工程kは、実施の
形態1の工程cと同様にして実施される。次に、工程l
を実施して、第5の誘電体層19の表面に、第2の記録
層18を成膜する。工程lは、実施の形態1の工程bと
同様にして実施される。最後に、工程mを実施して、第
2の記録層18の表面に、第4の誘電体層17を成膜す
る。工程mは、実施の形態1の工程aと同様にして実施
される。
た基板101を、スパッタリング装置から取り出し、中
間層16を形成する。中間層16は次の手順で形成され
る。まず、第4の誘電体層17の表面に、紫外線硬化性
樹脂を例えばスピンコートにより塗布する。次に、案内
溝が形成されたポリカーボネート基板の案内溝側を、紫
外線硬化性樹脂に密着させる。その状態で紫外線を照射
して樹脂を硬化させた後、案内溝が形成されたポリカー
ボネート基板を剥離する。それにより、案内溝が紫外線
硬化性樹脂に転写されて、図示するような案内溝を有す
る中間層16が形成される。別法において、中間層16
は、第4の誘電体層17を保護する層を紫外線硬化性樹
脂で形成し、その上に案内溝を有する層を形成すること
により、形成してよい。その場合、得られる中間層は2
層構造である。
スパッタリング装置に配置して、中間層16の表面に第
1情報層21を形成する。第1情報層21を形成する工
程は、工程n〜rに相当する。
に、第3の誘電体層15を成膜する工程である。工程n
においては、高周波電源を使用し、TiO2またはCr2
O3から成るスパッタリングターゲットを用いて、Ar
ガス雰囲気中またはArガスとO2ガスの混合ガス雰囲
気中で、スパッタリングを実施する。あるいは、工程n
においては、ZrO2およびCr2O3の混合物から成る
スパッタリングターゲットを用いて、Arガス雰囲気中
で、スパッタリングを実施してよい。あるいは、工程n
においては、TiまたはCrから成るスパッタリングタ
ーゲットを用いて、ArガスとO2ガスの混合ガス雰囲
気中にて反応性スパッタリングを実施してよい。
15の表面に第1の反射層14を成膜する。工程oにお
いては、直流電源を使用し、Agを含む合金のスパッタ
リングターゲットを用いて、Arガス雰囲気中でスパッ
タリングを実施する。
4の表面に第2の誘電体層6を成膜する。工程pは、工
程kと同様にして実施される。
6の表面に第1の記録層13を成膜する。工程qにおい
ては、直流電源を使用し、Ge−Sb−Te、Ge−S
n−Sb−Te、Ge−Bi−Te、Ge−Sn−Bi
−Te、Ge−Sb−Bi−Te、およびGe−Sn−
Sb−Bi−Teから選択されるいずれか1つの材料を
含むスパッタリングターゲットを用いて、Arガス雰囲
気中またはArガスとN2ガスの混合ガス雰囲気中でス
パッタリングを実施する。
3の表面に第1の誘電体層2を成膜する。工程rは工程
mと同様にして実施される。このように、工程n〜rを
順次実施して、第1情報層21を形成する。
スパッタリング装置から取り出す。それから、第1の誘
電体層2の表面に、紫外線硬化性樹脂を例えばスピンコ
ート法により塗布する。塗布した紫外線硬化性樹脂に、
ダミー基板110を密着させて、紫外線をダミー基板1
10側から照射して樹脂を硬化させ、貼り合わせ工程を
終了させる。実施の形態5の情報記録媒体の製造方法に
おいても、実施の形態4の情報記録媒体の製造方法と同
様にして、ダミー基板110を貼り合わせる工程を省略
することもできる。
じて、第2情報層22および第1情報層21の初期化工
程を実施する。初期化工程は、中間層を形成する前もし
くは後に、第2情報層22について実施し、ダミー基板
110の貼り合わせ工程の前もしくは後に、第1情報層
21について実施してよい。初期化工程を実施する方法
は、実施の形態1に関連して説明したとおりである。
して、レーザ光を用いて情報の記録および再生を実施す
る情報記録媒体のさらに別の例を説明する。図6に、そ
の光情報記録媒体の一部断面を示す。
一方の表面に、第1の誘電体層102、第1の界面層
3、記録層4、第2の界面層5、第2の誘電体層10
6、光吸収補正層7、および反射層8がこの順に形成さ
れ、さらに接着層9でダミー基板10が接着された構成
を有する。図6に示す情報記録媒体30においては、第
1および第2の界面層3および5を、Zr−Cr−O系
材料層またはZr−Cr−Zn−O系材料層としてい
る。その他、図6において、図1で使用した符号と同じ
符号は、同じ要素を表し、図1を参照して説明した材料
および方法で形成されるものである。したがって、図1
を参照して既に説明した要素については、その詳細な説
明を省略する。
2の誘電体層102および106を、従来の情報記録媒
体で使用されていたZnS−20mol%SiO2で形
成した構成に相当する。このような構成において、Zr
−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Zn−O系材料
層は、第1および第2の界面層3および5として使用で
きる。第1および第2の界面層3および5の好ましい材
料は、実施の形態1の第1および第2の誘電体層2およ
び6のそれと同じである。したがって、それらについて
の詳細な説明は省略する。第1および第2の界面層3お
よび5の厚さは、記録消去性能に影響を与えないよう
に、1〜10nmであることが好ましく、約2〜7nm
であることがより好ましい。Zr−Cr−O系材料層ま
たはZr−Cr−Zn−O系材料層である界面層は、従
来のGeを含む窒化物から成る界面層と比較して、材料
コストが安価である、消衰係数が小さい(透明性が高
い)、ならびに融点が高く熱的に安定であるといった利
点を有する。
を製造する方法を説明する。情報記録媒体30は、基板
1の案内溝が形成された面に第1の誘電体層102を成
膜する工程(工程h)、第1の界面層3を成膜する工程
(工程s)、記録層4を成膜する工程(工程b)、第2
の界面層5を成膜する工程(工程t)、第2の誘電体層
106を成膜する工程(工程g)、光吸収補正層7を成
膜する工程(工程d)および反射層8を成膜する工程
(工程e)を順次実施し、さらに反射層8の表面に接着
層9を形成する工程、およびダミー基板10を貼り合わ
せる工程を実施することにより、製造される。工程b、
dおよびeは、実施の形態1に関連して説明したとおり
であり、工程gは実施の形態2に関連して説明したとお
りであり、工程hは実施の形態3に関連して説明したと
おりであるから、ここでは、その説明を省略する。
第1の界面層3を成膜する工程である。工程sは、実施
の形態1の工程aと同様にして実施される。工程tは、
記録層4の表面に第2の界面層5を成膜する工程であ
る。工程tは、実施の形態1の工程cと同様にして実施
される。
報記録媒体の実施形態として、レーザ光で記録再生する
光情報記録媒体を説明した。本発明の光情報記録媒体は
これらの形態に限定されない。本発明の光情報記録媒体
は、Zr−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Zn−
O系材料層を、構成層の1つとして、好ましくは記録層
と接するように設ける限りにおいて、任意の形態をとり
うる。また、本発明の光情報記録媒体は、種々の波長で
記録するのに適している。したがって、本発明の光情報
記録媒体は、例えば、波長630〜680nmのレーザ
光で記録再生するDVD−RAMまたはDVD−R、お
よび波長400〜450nmのレーザ光で記録再生する
大容量光ディスク等であってよい。
して、電気的エネルギーを印加して情報の記録および再
生を実施する情報記録媒体の一例を示す。図8に、その
情報記録媒体の一部断面を示す。
02、記録部203および上部電極204がこの順に形
成されたメモリ207である。メモリ207の記録部2
03は、円柱状の記録層205および記録層205を取
り囲む誘電体層206を含む構成を有する。先に図1〜
図6を参照して説明した光情報記録媒体とは異なり、こ
の形態のメモリ207においては、記録層205および
誘電体層206は、同一面上に形成され、それらは積層
された関係にない。しかし、記録層205および誘電体
層206はともに、メモリ207においては、基板20
1、下部および上部電極202および204を含む積層
体の一部を構成しているから、それぞれ「層」と呼び得
るものである。したがって、本発明の情報記録媒体に
は、記録層と誘電体層が同一面上にある形態のものも含
まれる。
などの半導体基板、またはポリカーボネート基板、Si
O2基板およびAl2O3基板などの絶縁性基板を、基板
201として使用できる。下部電極202および上部電
極204は、適当な導電材料で形成される。下部電極2
02および上部電極204は、例えば、Au、Ag、P
t、Al、Ti、WおよびCrならびにこれらの混合物
のような金属をスパッタリングすることにより形成され
る。
電気的エネルギーを印加することによって、相変化する
材料から成り、相変化部と称することもできる。記録層
205は、電気的エネルギーを印加することによって生
じるジュール熱によって、結晶相と非晶質相との間で相
変化する材料で形成される。記録層205の材料として
は、例えば、Ge−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−T
e、Ge−Bi−Te、Ge−Sn−Bi−Te、Ge
−Sb−Bi−TeおよびGe−Sn−Sb−Bi−T
e系材料が使用され、より具体的には、GeTe−Sb
2Te3系又はGeTe−Bi2Te3系材料が使用され
る。
は、上部電極204および下部電極202との間に電圧
を印加することによって、記録層205に流れた電流が
周辺部に逃げることを防止し、記録層205を電気的お
よび熱的に絶縁する機能を有する。したがって、誘電体
層206は、断熱部と称することもできる。誘電体層2
06は、Zr−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Z
n−O系材料層であり、具体的には、上記式(1)、
(11)、(2)、(21)、(22)、(3)または
(31)で表される材料から実質的に成る層である。Z
r−Cr−O系材料層およびZr−Cr−Zn−O系材
料層は、高融点であること、加熱された場合でも材料層
中の原子が拡散しにくいこと、ならびに熱伝導率が低い
ことから、好ましく用いられる。
例において、その作動方法とともにさらに説明する。
造方法において用いられるZr−Cr−O系スパッタリ
ングターゲットの公称組成(換言すれば、市販に際して
ターゲットメーカーが公に表示している組成)、その分
析組成、およびこのターゲットを用いて得られるZr−
Cr−O系材料層の分析組成の関係について試験により
確認した。
であるZrO2−Cr2O3系材料から成るスパッタリン
グターゲットの組成分析を行い、その公称組成と分析組
成との相違を調べた。より詳細には、式(110):
び80)2種類のスパッタリングターゲットを粉末状に
し、X線マイクロアナライザ−法により組成分析を行っ
た。この結果、スパッタリングターゲットの分析組成
が、化合物基準(本試験では酸化物基準)の式(11
0)ではなく、元素基準の式(10):
す。また、スパッタリングターゲットの公称組成(mo
l%)は酸化物の比を示した酸化物基準で表記される
が、この公称組成に基づいて、元素基準での換算組成
(原子%)を理論計算により求めた。計算した換算組成
(原子%)を表1に付記する。
O3)100-m(mol%)の式(110)により公称組成
が表記されるスパッタリングターゲットの粉末を分析し
た結果、m=20のターゲットについてZr4Cr35O
61(原子%)、m=80のターゲットについてZr23C
r12O65(原子%)という分析組成が得られた。これら
分析組成は公称組成(mol%)の換算組成(原子%)
とほぼ等しかった。従って、(ZrO2)m(Cr2O3)
100-m(mol%)の式(110)により表記する場合
に、mが20≦m≦80を満たすターゲット組成は、Z
rJCrKO100- J-K(原子%)の式(10)により表記
する場合に、JおよびKが、3≦J≦24、11≦K≦
36、34≦J+K≦40を満たすことがわかる。
を有するスパッタリングターゲットを用いてスパッタリ
ング法により誘電体層としてZr−Cr−O系材料層を
形成し、この誘電体層をX線マイクロアナライザ−法に
より組成分析した。この結果、誘電体層の分析組成が、
酸化物基準の式(11):
析組成を表1に示す。
公称組成を有するスパッタリングターゲット(直径10
0mm、厚み6mm)を一般的な成膜装置(スパッタリ
ング装置)に取り付け、0.13Paの圧力下、Arガ
ス(100%)の雰囲気中で、高周波電源を用いて50
0Wのパワーでスパッタリングすることによって、Si
基板上に500nmの厚さで形成した。
%)の式(110)によって表記されるスパッタリング
ターゲットを用いてスパッタリング法により形成した誘
電体層の分析組成は、スパッタリングターゲットの換算
組成および分析組成のいずれにも極めて近かった。
おけるQおよびRは、スパッタリングターゲットの分析
組成の式(10)におけるJおよびKと同様に、3≦Q
≦24、11≦R≦36、34≦Q+R≦40を満たす
ことが望ましい。しかしながら、誘電体層の組成は、成
膜装置の構造や成膜条件、スパッタリングターゲットの
大きさ、雰囲気ガスの組成等により、同じスパッタリン
グターゲットをスパッタリングしても違いが生じること
が起こり得る。このような可能性を考慮した結果、上記
式(1)におけるQおよびRは、0<Q≦30、7<R
≦37、20≦Q+R≦60を満たすことが好ましく、
より好ましくは3≦Q≦24、11≦R≦36、34≦
Q+R≦40を満たす。
rおよびCrは、一般的には、それぞれZrO2および
Cr2O3の形態で誘電体層にて安定に存在していると考
えられる。よって、本試験のようにスパッタリングター
ゲットの分析により検出されたZrおよびCrの含有量
と誘電体層の分析により検出されたZrおよびCrの含
有量とがほぼ等しい場合、スパッタリングターゲットの
公称組成(mol%)は、該スパッタリングターゲット
を用いてスパッタリング法により形成された誘電体層の
組成(mol%)と同様であると考えられる。この結
果、(ZrO2)m(Cr2O3)100-m(mol%)の式
(110)で公称組成が表記されるスパッタリングター
ゲットを用いてスパッタリング法により形成した誘電体
層(Zr−Cr−O系材料層)は、(ZrO2)M(Cr
2O3)100-M(mol%)の式(11)で表記され、こ
こで、Mは、式(110)におけるmと実質的に同じで
あると考えられる。
材料の1つであるZrO2−Cr2O3−SiO2系材料か
ら成るスパッタリングターゲットの組成分析を行い、試
験1と同様に、その公称組成と分析組成との相違を調べ
た。より詳細には、式(210):
20且つy=60;x=70且つy=20;およびx=
30且つy=30)3種類のスパッタリングターゲット
を粉末状にし、試験1と同様に分析した。この結果、ス
パッタリングターゲットの分析組成が、酸化物基準の式
(210)ではなく、元素基準の式(20):
す。また、試験1と同じく、スパッタリングターゲット
の公称組成に基づいて計算した換算組成(原子%)を表
2に付記する。尚、表2に示す換算組成において、全て
の元素の割合の合計は必ずしも100%になっていない
が、換算組成は適宜四捨五入して計算して得たためであ
る。
O3)y(SiO2)100-x-y(mol%)の式(210)
により公称組成が表記されるスパッタリングターゲット
の粉末を分析した結果、x=20且つy=60のターゲ
ットについてZr4.8Cr29Si4.5O61.7(原子%)、
x=70且つy=20のターゲットについてZr20. 6C
r11.8Si2.5O65.1(原子%)、x=30且つy=3
0のターゲットについてZr8Cr17Si11O64(原子
%)という分析組成が得られた。これら分析組成は公称
組成(mol%)の換算組成(原子%)とほぼ等しかっ
た。従って、(ZrO2)x(Cr2O3)y(SiO2)
100-x-y(mol%)の式(210)により表記する場
合に、xおよびyが、60≦x+y≦90、20≦x≦
70および20≦y≦60を満たすターゲット組成は、
ZrGCrHSiLO100-G-H-L(原子%)の式(20)に
より表記する場合に、G、HおよびLが、4≦G≦2
1、11≦H≦30、2≦L≦12、34≦G+H+L
≦40を満たすことがわかる。
を有するスパッタリングターゲットを用いてスパッタリ
ング法により誘電体層としてZr−Cr−O系材料層を
形成し、この誘電体層を、試験1と同様に組成分析し
た。この結果、誘電体層の分析組成が、酸化物基準の式
(21):
100-X-Y(mol%)...(21) ではなく、元素基準の式(2):
析組成を表2に示す。
公称組成を有するスパッタリングターゲットを試験1と
同様の条件でスパッタリングすることによって、炭素
(C)基板上に500nmの厚さで形成した。
100-x-y(mol%)の式(210)によって表記され
るスパッタリングターゲットを用いてスパッタリング法
により形成した誘電体層の分析組成は、試験1の場合と
同様に、スパッタリングターゲットの換算組成および分
析組成のいずれにも極めて近かった。
おけるU、VおよびTは、スパッタリングターゲットの
分析組成の式(20)におけるG、HおよびLと同様
に、4≦U≦21、11≦V≦30、2≦T≦12、3
4≦U+V+T≦40を満たすことが望ましい。しかし
ながら、試験1の場合と同様の可能性を考慮した結果、
上記式(2)におけるU、VおよびTは、0<U≦3
0、7<V≦37、0<T≦14、20≦U+V+T≦
60を満たすことが好ましく、より好ましくは4≦U≦
21、11≦V≦30、2≦T≦12、34≦U+V+
T≦40を満たす。
r、CrおよびSiは、一般的には、それぞれZr
O2、Cr2O3およびSiO2の形態で誘電体層にて安定
に存在していると考えられる。よって、試験1と同様の
考察により、(ZrO2)x(Cr 2O3)y(SiO2)
100-x-y(mol%)の式(210)で公称組成が表記
されるスパッタリングターゲットを用いてスパッタリン
グ法により形成した誘電体層(Zr−Cr−O系材料
層)は、(ZrO2)X(Cr2O3)Y(SiO2)100-X-
Y(mol%)の式(21)で表記され、ここで、Xお
よびYは、式(210)におけるxおよびyと実質的に
同じであると考えられる。
リングターゲットの公称組成から得た換算組成は分析組
成に極めて近く、また、本発明者らが採用した条件でZ
r−Cr−O系材料層を形成する限り、誘電体層の分析
組成にも近かったので、スパッタリングターゲットの換
算組成(原子%)を、該ターゲットを用いたスパッタリ
ングにより形成した誘電体層の組成(原子%)とみなし
て実質的に差し支えない。また、本発明者らが採用した
条件でZr−Cr−O系材料層を形成する限り、スパッ
タリングターゲットの公称組成(mol%)を、誘電体
層の組成(mol%)とみなして実質的に差し支えな
い。
O系材料層について試験したが、Zr−Cr−Zn−O
系材料層についてもこれと同様であると考えられる。
タリングターゲットの組成を公称組成(mol%)で表
し、特に言及しない限り、スパッタリングターゲットお
よび該スパッタリングターゲットを用いるスパッタリン
グ法により形成したZr−Cr−O系材料層またはZr
−Cr−Zn−O系材料層の組成(mol%)は同じも
のと考えた。尚、以下の実施例では、スパッタリングタ
ーゲットおよびZr−Cr−O系材料層またはZr−C
r−Zn−O系材料層の組成を化合物基準(mol%)
でのみ表記するが、当業者であれば化合物基準の組成
(mol%)に基づいて元素基準の組成(原子%)を容
易に換算することができるであろう。
するに至るまでの予備試験として、実施の形態1にて図
1を参照しながら上述した情報記録媒体25と同様の構
造を有し、第1の誘電体層および第2の誘電体層が互い
に同じ組成を有する材料から成る情報記録媒体を、これ
ら誘電体層の材料を表3に示すように種々変化させて作
製した。
明するが、理解を容易にするために、各構成要素の参照
番号として図1の情報記録媒体25における構成要素と
同じ番号を用いるものとする(尚、後述の実施例の情報
記録媒体についてもこれと同様に、対応する情報記録媒
体における構成要素と同じ番号を用いるものとする)。
ックピッチ(基板の主面に平行な面内におけるグルーブ
表面およびランド表面の中心間距離)0.615μmの
案内溝が片側表面に予め設けられた、直径120mm、
厚み0.6mmの円形のポリカーボネート基板を準備し
た。
2)20(mol%)の第1の誘電体層2を150nmの
厚さで、Ge27Sn8Sb12Te53(原子%)の記録層
4を9nmの厚さで、(ZnS)80(SiO2)20(m
ol%)の第2の誘電体層6を50nmの厚さで、Ge
80Cr20(原子%)の光吸収補正層7を40nmの厚さ
で、Ag−Pd−Cuの反射層8を80nmの厚さで、
スパッタリング法により以下のようにして順次成膜し
た。
は、(ZnS)80(SiO2)20(mol%)の組成を
有するスパッタリングターゲット(直径100mm、厚
み6mm)を成膜装置に取り付け、パワー400Wで、
Arガス(97%)とO2ガス(3%)との混合ガスを
導入して高周波スパッタリングを行った。スパッタ時の
圧力は約0.13Paとした。
Te−Sb2Te3擬二元系組成のGeの一部をSnで置
換したGe−Sn−Sb−Te系材料から成るスパッタ
リングターゲット(直径100mm、厚み6mm)を成
膜装置に取り付け、パワー100Wで、Arガス(97
%)とN2ガス(3%)との混合ガスを導入して直流ス
パッタリングを行った。スパッタ時の圧力は約0.13
Paとした。
の誘電体層2および第2の誘電体層6が実質的に同じ組
成を有するように、層厚さを変えたこと以外は上記の第
1の誘電体層2を成膜する工程と同様にして、実施し
た。
は、Ge80Cr20(原子%)の組成を有する材料から成
るスパッタリングターゲット(直径100mm、厚み6
mm)を成膜装置に取り付け、パワー300Wで、Ar
ガス(100%)を導入して直流スパッタリングを行っ
た。スパッタ時の圧力は約0.4Paとした。
−Pd−Cuの組成を有する材料から成るスパッタリン
グターゲット(直径100mm、厚み6mm)を成膜装
置に取り付け、パワー200Wで、Arガス(100
%)を導入して直流スパッタリングを行った。スパッタ
時の圧力は約0.4Paとした。
体層2、記録層4、第2の誘電体層6、光吸収補正層7
および反射層8を順次成膜して積層体を形成した後、紫
外線硬化性樹脂を反射層8の上に塗布し、塗布した紫外
線硬化性樹脂の上に、ダミー基板10として直径120
mm、厚み0.6mmの円形のポリカーボネート基板を
密着させた。そして、ダミー基板10の側から紫外線を
照射して樹脂を硬化させた。これにより、硬化した樹脂
から成る接着層9が30μmの厚さで形成され、ダミー
基板10を接着層9を介して積層体に貼り合わせた。
10nmの半導体レーザを使って、情報記録媒体25の
記録層4を、半径22〜60mmの範囲の環状領域内で
ほぼ全面に亘って結晶化させた。これにより初期化工程
が終了し、サンプル番号1−1の情報記録媒体25の作
製が完了した。
電体層6の材料が表3に示す材料から成る点を除いてサ
ンプル番号1−1の情報記録媒体25と同様の構成を有
する、サンプル番号1−2〜1−16の情報記録媒体2
5を作製した。これら情報記録媒体25は、第1の誘電
体層および第2の誘電体層の成膜工程を変更した点を除
いて、上記のサンプル番号1−1の情報記録媒体25の
場合と同様にして作製した。
媒体25を作製するために、第1の誘電体層2および第
2の誘電体層6の成膜工程において、SiO2、Zn
S、(ZnSe)80(SiO2)20(mol%)、Zn
Se、(ZnO)80(SiO2) 20(mol%)、Zn
O、Cr2O3、(Cr2O3)50(SiO2)50(mol
%)、ZrO2、ZrSiO4、(ZrO2)80(Si
O2)20(mol%)、Ge90Cr10(原子%)、(B
i2O3)80(SiO2)20(mol%)、TeO2、およ
び(TeO2)80(SiO2)20(mol%)の組成を有
する材料から成るスパッタリングターゲット(いずれも
直径100mm、厚み6mm)をそれぞれ用いた。
トとして用いる材料の融点等に応じて調節し、具体的に
は、サンプル番号1−2については1kW、サンプル番
号1−3〜1−7についてはサンプル番号1−1と同じ
く400W、サンプル番号1−8〜1−12については
500W、サンプル番号1−13については300W、
サンプル番号1−14〜1−16については200Wと
した。スパッタ時の圧力は、サンプル番号1−13で約
1.33Paとしたが、その他のサンプルではサンプル
番号1−1と同じく約0.13Paとした。成膜装置に
導入するガスには、サンプル番号1−2および1−14
〜1−16についてはサンプル番号1−1と同じくAr
ガス(97%)とO2ガス(3%)との混合ガスを用
い、サンプル番号1−3〜1−12についてはArガス
(100%)を用い、サンプル番号1−13について
は、Arガス(60%)とN2ガス(40%)との混合
ガスを用いた。
において、サンプル番号1−13の情報記録媒体の場合
には混合ガス中のN2がスパッタリングターゲットから
スパッタされたGeおよびCrと反応してGe−Cr−
Nの誘電体層を形成した。他のサンプルの場合には、成
膜された誘電体層は、用いたスパッタリングターゲット
と実質的に同じ組成を有するであろうと考えた。
な、第1の誘電体層102と記録層4との間および第2
の誘電体層106と記録層4との間に、第1の界面層1
03および第2の界面層105をそれぞれ備える従来の
構成の情報記録媒体31を作製した。第1の界面層10
3および第2の界面層105はいずれもGe−Cr−N
から成り、厚さ5nmで形成した。
の界面層103および第2の界面層105を成膜した点
を除いてサンプル番号1−1の情報記録媒体と同様の作
製条件により作製した。第1の界面層103の成膜工程
においては、Ge90Cr10(原子%)の組成を有する材
料から成るスパッタリングターゲット(直径100m
m、厚み6mm)を成膜装置に取り付け、パワー300
Wで、Arガス(60%)とN2ガス(40%)との混
合ガスを導入して、約1.33Paの圧力下、高周波ス
パッタリングを行った。この結果、混合ガス中のN2が
スパッタリングターゲットからスパッタされたGeおよ
びCrと反応してGe−Cr−Nの第1の界面層103
を形成した。第2の界面層105の成膜工程もこれと同
様の条件で実施した。
−1〜1−16の情報記録媒体25および比較例(従来
構成)の情報記録媒体31について、誘電体層の密着性
および情報記録媒体の繰り返し書き換え性能を評価し
た。後述するように、密着性は剥離の有無により、繰り
返し書き換え性能は繰り返し回数により評価した。これ
らの結果を表3に示す。尚、サンプル番号1−1〜1−
16の情報記録媒体25および比較例の情報記録媒体3
1はいずれも本発明の範囲に属するものでない。
性の評価は、高温高湿条件下での剥離の有無に基づいて
行った。具体的には、初期化工程後の情報記録媒体25
を、温度90℃で相対湿度80%の高温高湿槽に100
時間放置した後、記録層とこれに接する誘電体層の間、
より詳細には記録層4と第1の誘電体層2および第2の
誘電体層6の少なくとも一方との間で剥離が発生してい
ないか、光学顕微鏡を使って目視で調べた。もちろん、
剥離の無いものが密着性の評価が高く、剥離の有るもの
は密着性の評価が低い。
え性能の評価は、繰り返し回数を指標として行い、繰り
返し回数は以下の条件で決定した。
に、情報記録媒体25を回転させるスピンドルモータ
と、レーザ光12を発する半導体レーザを備えた光学ヘ
ッドと、レーザ光12を情報記録媒体25の記録層4上
に集光させる対物レンズとを具備した一般的な構成の情
報記録システムを用いた。情報記録媒体25の評価にお
いては、波長660nmの半導体レーザと開口数0.6
の対物レンズを使用し、4.7GB容量相当の記録を行
った。情報記録媒体25を回転させる線速度は8.2m
/秒とした。また、後述の平均ジッタ値を求める際のジ
ッタ値の測定には、タイムインターバルアナライザーを
用いた。
件を決めるために、ピークパワー(Pp)およびバイア
スパワー(Pb)を以下の手順で設定した。上記のシス
テムを用いて、レーザ光12を、高パワーレベルのピー
クパワー(mW)と低パワーレベルのバイアスパワー
(mW)との間でパワー変調しながら情報記録媒体25
に向けて照射して、マーク長0.42μm(3T)〜
1.96μm(14T)のランダム信号を(グルーブ記
録により)記録層4の同一のグルーブ表面に10回記録
した。そして、前端間のジッタ値および後端間のジッタ
値を測定し、これらの平均値として平均ジッタ値を求め
た。バイアスパワーを一定の値に固定し、ピークパワー
を種々変化させた各記録条件について平均ジッタ値を測
定し、ピークパワーを徐々に増加させて、ランダム信号
の平均ジッタ値が13%に達したときのピークパワーの
1.3倍のパワーを仮にPp1と決めた。次に、ピーク
パワーをPp1に固定し、バイアスパワーを種々変化さ
せた各記録条件について平均ジッタ値を測定し、ランダ
ム信号の平均ジッタ値が13%以下となったときの、バ
イアスパワーの上限値および下限値の平均値をPbに設
定した。そして、バイアスパワーをPbに固定し、ピー
クパワーを種々変化させた各記録条件について平均ジッ
タ値を測定し、ピークパワーを徐々に増加させて、ラン
ダム信号の平均ジッタ値が13%に達したときのピーク
パワーの1.3倍のパワーをPpに設定した。このよう
にして設定したPpおよびPbの条件で記録した場合、
例えば10回繰り返し記録において、8〜9%の平均ジ
ッタ値が得られた。システムのレーザパワー上限値を考
慮すれば、Pp≦14mW、Pb≦8mWを満足するこ
とが望ましい。
し回数は、本実施例では平均ジッタ値に基づいて決定し
た。上記のようにして設定したPpとPbとでレーザ光
をパワー変調しながら情報記録媒体25に向けて照射し
て、マーク長0.42μm(3T)〜1.96μm(1
4T)のランダム信号を(グルーブ記録により)同一の
グルーブ表面に所定回数繰り返して連続記録した後、平
均ジッタ値を測定した。繰り返し回数は、1、2、3、
5、10、100、200および500回、1000〜
10000回の範囲では1000回毎、ならびに200
00〜100000回の範囲では10000回毎とし
た。平均ジッタ値が13%に達したときを繰り返し書き
換えの限界として判断し、このときの繰り返し回数によ
り繰り返し書き換え性能を評価した。もちろん、繰り返
し回数が大きいほど繰り返し書き換え性能が高い。情報
記録媒体が、コンピュータの外部メモリとして用いられ
る場合には、繰り返し回数は10万回以上が好ましく、
画像音声レコーダ用途であれば1万回以上が好ましい。
1−12の情報記録媒体のうち、剥離が無い(密着性が
高い)情報記録媒体(即ち、サンプル番号1−1および
1−3〜1−9)については繰り返し回数が10000
0回に全く満たない(繰り返し書き換え性能が低い)の
に対して、剥離が有る(密着性が低い)情報記録媒体
(即ち、サンプル番号1−2および1−10〜1−1
2)については繰り返し回数が100000回を上回る
(繰り返し書き換え性能が高い)という傾向が見られ
た。
4の情報記録媒体については、ピークパワー14mW以
下では十分な記録マークが形成できず、よって、低記録
感度であった。この理由としては、これらサンプルにお
ける誘電体層の材料の熱伝導率が、他のサンプルのもの
に比べて高いことが予想された。
6の情報記録媒体では書き換えができず、記録時に誘電
体層の材料が溶けて記録層に混ざっていた。これは、こ
れらサンプルにおける誘電体層の材料の融点が他の材料
のものよりも低いためと考えられる。
録媒体(これは界面層を備える)では、剥離が無く、且
つ、繰り返し回数も100000回以上であって、密着
性および繰り返し書き換え性能が共に高かった。
録層に接する誘電体層の材料として、酸化物、窒化物、
セレン化物、硫化物、またはこれらのいずれかとSiO
2とを組み合わせた混合物を用いたサンプル番号1−1
〜1−16の情報記録媒体のうち、高い密着性および高
い繰り返し書き換え性能を同時に満足するものは存在し
なかった。しかしながら、本実施例で明らかになったこ
とは、ZrO2を含む材料を誘電体層の材料に用いた情
報記録媒体(サンプル番号1−10〜1−12)は繰り
返し書き換え性能に優れており、ZnS、ZnO、Zn
Se、Cr2O3を含む材料を誘電体層の材料に用いた情
報記録媒体(サンプル番号1−1および1−3〜1−
9)は記録層との密着性に優れていることであった。特
に、Cr2O3から成る材料を誘電体層の材料に用いた情
報記録媒体(サンプル番号1−8)では、繰り返し書き
換え性能について10000回の書き換え回数が得られ
ていることから、ZrO2とCr2O3との混合物を誘電
体層材料とすることにより、高い密着性および高い繰り
返し書き換え性能を同時に達成することが期待できた。
よび高い繰り返し書き換え性能を同時に達成することを
目的として、密着性に優れた材料と繰り返し書き換え性
能に優れた材料との混合物を誘電体層の材料に用いた情
報記録媒体を作製した。具体的には、実施例1の酸化
物、セレン化物、硫化物のうち2つを組み合わせた混合
物(表4を参照のこと)を誘電体層の材料とした。本実
施例においても、実施例1と同様に、第1の誘電体層お
よび第2の誘電体層が互いに同じ組成を有する材料から
成る情報記録媒体25を、これら誘電体層の材料を表4
に示すように種々変化させて作製した。
2の誘電体層の材料が表4に示す材料から成る点を除い
て、実施例1の情報記録媒体25と同様の構成とし、第
1および第2の誘電体層の成膜工程を変更した点を除い
てこれと同様にして作製した。サンプル番号2−1〜2
−8の情報記録媒体を作製するために、第1の誘電体層
および第2の誘電体層の成膜工程において、表4に示す
所定の組成を有する材料から成るスパッタリングターゲ
ット(直径100mm、厚み6mm)をそれぞれ用い
た。また、第1の誘電体層および第2の誘電体層の成膜
工程において、パワーは、サンプル番号2−1および2
−2については500W、サンプル番号2−3〜2−8
については400Wとし、圧力は、いずれのサンプルに
ついても約0.13Paとし、成膜装置に導入するガス
には、いずれのサンプルについてもArガス(100
%)を用いた。
層は、用いたスパッタリングターゲットと実質的に同じ
組成を有すると見なした。尚、特に言及しない限り、後
述の実施例についても同様とする。
−1〜2−8の情報記録媒体について、実施例1と同様
にして、誘電体層の密着性および情報記録媒体の繰り返
し書き換え性能を評価した。これらの結果を表4に示
す。尚、サンプル番号2−1〜2−8の情報記録媒体の
うち、サンプル番号2−1および2−2の情報記録媒体
が本発明の範囲に属するものである。
2−8の情報記録媒体の全てについて、剥離が発生せ
ず、よって、密着性が改善された。これら情報記録媒体
のうち、ZrO2−Cr2O3系の材料を誘電体層の材料
に用いたもの(サンプル番号2−1および2−2)が繰
り返し回数が大きく、繰り返し書き換え性能が極めて優
れていた。この結果によれば、記録層に接する誘電体層
として、ZrO2とCr2O3とを混合した材料から成る
層(Zr−Cr−O系材料層)を用いた場合、記録層と
誘電体層との間に界面層を設けない構成の情報記録媒体
において、高い密着性および高い繰り返し書き換え性能
が同時に達成された。
やかに熱を拡散させるためには、誘電体層は低い熱伝導
率を示すことが好ましい。実施例2では、繰り返し書き
換え性能については誘電体層材料としてZrO2−Cr2
O3の系の材料を用いた情報記録媒体(サンプル番号2
−1および2−2)が極めて優れていた。これら情報記
録媒体のピークパワー(Pp)を比較すると、サンプル
番号2−1の情報記録媒体については13mW、サンプ
ル番号2−2の情報記録媒体については13.5mWで
あり、Cr2O3の含有割合(酸化物基準)が高い方がP
pも高かった。一方、ZrO2−ZnS、ZrO2−Zn
O、ZrO2−ZnSeの系の材料を誘電体層の材料に
用いた情報記録媒体(サンプル番号2−3〜2−8)で
は、繰り返し書き換え性能は劣るものの、Ppはいずれ
も11mW〜12mWの範囲内にあり、よって、高記録
感度であったことから、これらの系の材料の方がZrO
2−Cr2O3の系の材料よりも熱伝導率が低いことが予
想された。このような結果から、ZrO2−Cr2O3の
系の材料とZrO2−ZnS、ZrO2−ZnO、ZrO
2−ZnSeの系の材料のいずれかとを混合した材料を
誘電体層の材料に用いることにより、高い密着性および
高い繰り返し書き換え性能が同時に達成されることに加
えて、高記録感度化が期待できた。また、結晶性の強い
ZnS、ZnSeの結晶成長を抑えるためには、非晶質
であるSiO2をこれらにあわせて混合することも検討
した。
情報記録媒体を実現することを目的として、ZrO2−
Cr2O3の系の材料とZrO2−ZnS、ZrO2−Zn
O、ZrO2−ZnSeの系の材料のいずれかとを混合
したものを誘電体層の材料に用い、また、結晶性の強い
ZnS、ZnSeの結晶成長を抑えることを目的とし
て、非晶質であるSiO2をさらに混合したものを誘電
体層の材料に用いた情報記録媒体を作製した。本実施例
においても、実施例1と同様に、第1の誘電体層と第2
の誘電体層が互いに同じ組成を有する材料から成る情報
記録媒体25を、これら誘電体層の材料を表5に示すよ
うに種々変化させて作製した。
じく、第1および第2の誘電体層の材料が表5に示す材
料から成る点を除いて、実施例1の情報記録媒体25と
同様の構成とし、第1および第2の誘電体層の成膜工程
を変更した点を除いてこれと同様の条件で作製した。サ
ンプル番号3−1〜3−9の情報記録媒体を作製するた
めに、第1の誘電体層および第2の誘電体層の成膜工程
において、表5に示す所定の組成を有する材料から成る
スパッタリングターゲット(直径100mm、厚み6m
m)をそれぞれ用いた。また、第1の誘電体層および第
2の誘電体層の成膜工程において、パワーは、サンプル
番号3−1、3−2および3−6については500W、
サンプル番号3−3〜3−5および3−7〜3−9につ
いては400Wとし、圧力は、いずれのサンプルについ
ても約0.13Paとし、成膜装置に導入するガスは、
いずれのサンプルについてもArガス(100%)とし
た。
−1〜3−9の情報記録媒体について、実施例1と同様
にして誘電体層の密着性および情報記録媒体の繰り返し
書き換え性能を評価した。これらの結果を、繰り返し書
き換え性能の評価の際に求めたピークパワー(Pp)と
共に表5に示す。比較のために、実施例1にて作製した
図10に示す従来構成の情報記録媒体31についても同
様に評価した結果も表5に示す(後述の実施例に関する
表6〜10も同様とする)。尚、サンプル番号3−1〜
3−9の情報記録媒体はいずれも本発明の範囲に属する
ものである。
よび3−2の情報記録媒体では、剥離がなく、且つ繰り
返し回数が100000回以上に維持されたが、ZrO
2−Cr2O3系材料を誘電体層の材料に用いたサンプル
番号3−1の情報記録媒体のPpが13.2mWである
のに対して、ZrO2−Cr2O3系材料にSiO2を混合
した材料を誘電体層の材料に用いたサンプル番号3−2
の情報記録媒体ではPpを12.5mWにまで下げるこ
とができた。サンプル番号3−2の誘電体層の材料に含
まれるCr2O3のうち10mol%の部分をZnS、Z
nSeまたはZnOで置き換えた材料を誘電体層の材料
に用いたサンプル番号3−3〜3−5の情報記録媒体に
おいては、Ppをさらに下げることができ、サンプル番
号3−3の情報記録媒体では11.5mWの低いPpが
得られた。
記録媒体では、誘電体層の材料を、ZrO2とSiO2を
ほぼ等しい割合で含むZrSiO4の系の材料とした。
誘電体層材料の組成はmol%単位での酸化物基準で表
記されるので、例えば(ZrO2)35(Cr2O3)
30(SiO2)35(mol%)は、(ZrSiO4)
35(Cr2O3)30(モル比)となり、それを100%換
算すれば(ZrSiO4)54(Cr2O3)46(mol
%)(サンプル番号3−6の誘電体層の材料)となる。
このようなサンプル番号3−6〜3−9の情報記録媒体
でも、11〜12mWの低いPpが得られた。特に、C
r2O3の一部をZnSで置き換えた材料を誘電体層の材
料に用いたサンプル番号3−7の情報記録媒体では、比
較例の従来構成の情報記録媒体31と同等の密着性(剥
離)、繰り返し書き換え性能(繰り返し回数)、および
Ppが得られた。また、本実施例にて作製したサンプル
番号3−1〜3−9の情報記録媒体の(凹凸のない平面
部における)Rc実測値は15%〜17%であり、Ra
実測値は2%以下であった。
して、ZrO2−Cr2O3の系またはZrO2−Cr2O3
−SiO2の系の材料から成る層(Zr−Cr−O系材
料層)を用いた場合、またはZrO2−Cr2O3−Si
O2にZnS、ZnSeまたはZnOを混合した系の材
料から成る層(Zr−Cr−Zn−O系材料層)を用い
た場合、第1および第2の界面層を設けない構成(よっ
て従来よりも層数の少ない構成)の図1に示す情報記録
媒体25において、第1および第2の界面層を備える図
10に示す従来構成の情報記録媒体31と同等の性能が
得られた。
電体層の材料に同じ組成の材料を用いたが、Zr−Cr
−O系材料およびZr−Cr−Zn−O系材料から選択
される互いに組成の異なる層を第1および第2の誘電体
層に用いることもできる。その場合にも本実施例の結果
と同程度に良好な性能が得られた。
r2O3の系の材料について誘電体層に用いるのに適した
組成範囲を調べるために、表6に示すように、第2の誘
電体層の材料におけるZrO2とCr2O3との含有率
(モル%)を種々変化させて情報記録媒体を作製した。
本実施例の情報記録媒体は、実施の形態3にて図3を参
照しながら上述した情報記録媒体27と同様の構造と
し、よって、第1の誘電体層および第2の誘電体層が異
なる組成を有する材料から成り、第1の誘電体層と記録
層との間に第1の界面層を備えるものとした。
して作製した。まず、実施例1と同様の基板1を準備
し、この基板1の上に、(ZnS)80(SiO2)
20(mol%)の第1の誘電体層102を150nmの
厚さで、Ge−Cr−Nの第1の界面層103を5nm
の厚さで、Ge27Sn8Sb12Te53(原子%)の記録
層4を9nmの厚さで、ZrO2の第2の誘電体層6を
50nmの厚さで、Ge80Cr20(原子%)の光吸収補
正層7を40nmの厚さで、Ag−Pd−Cuの反射層
8を80nmの厚さで、スパッタリング法により順次成
膜した。ここで、第1の誘電体層102および第1の界
面層103の各材料は、図10を参照しながら上述した
従来の情報記録媒体31におけるものと同様である。
電体層102の成膜工程と記録層4の成膜工程との間に
第1の界面層103の成膜工程を追加した点ならびに第
2の誘電体層6の成膜工程を変更した点を除いて、実施
例1のサンプル番号1−1の情報記録媒体の場合と同様
にして作製した。第1の界面層103を成膜する工程
は、実施例1にて上述した比較例の従来構成の情報記録
媒体31の作製方法における第1の界面層を成膜する工
程と同様にして実施した。また、第2の誘電体層6の成
膜工程は、サンプル番号4−1〜4−11の情報記録媒
体を作製するために表6に示す所定の組成を有するスパ
ッタリングターゲット(直径100mm、厚み6mm)
をそれぞれ用い、いずれのサンプルについても、成膜装
置に導入するガスをArガス(100%)とし、パワー
を500Wとし、圧力を約0.13Paとして実施し
た。尚、第1の誘電体層102を成膜する工程は、実施
例1にて上述したサンプル番号1−1の情報記録媒体2
5の作製方法における第1の誘電体層2を成膜する工程
と同様であり、従来構成の情報記録媒体31の作製方法
における第1の誘電体層2を成膜する工程と同様でもあ
る。
−1〜4−11の情報記録媒体27について、誘電体層
の密着性および情報記録媒体の繰り返し書き換え性能
を、実施例1にて上述したのとほぼ同様にして評価した
が、本実施例では、密着性の評価は、記録層4とこれに
接する第2の誘電体層6との間で剥離が発生していない
かどうか調べることにより実施した。これらの結果を、
繰り返し書き換え性能の評価の際に求めたピークパワー
(Pp)と共に表6に示す。尚、サンプル番号4−1〜
4−11の情報記録媒体のうち、サンプル番号4−3〜
4−9の情報記録媒体が本発明の範囲に属するものであ
る。
が80mol%以下の割合でZrO 2を含むサンプル番
号4−3〜4−11の情報記録媒体では、剥離が発生し
なかった。また、第2の誘電体層の材料が20mol%
以上の割合でZrO2を含むサンプル番号4−1〜4−
9の情報記録媒体では、100000回以上の繰り返し
回数が得られ、さらに、Pp≦14.0mWを満たし
た。従って、サンプル番号4−3〜4−9の情報記録媒
体で、高い密着性および高い繰り返し書き換え性能が得
られると共に、低いピークパワーが得られた。本実施例
の結果から、誘電体層の材料には、ZrO2−Cr2O3
系では、ZrO2を20〜80mol%で含む組成範囲
の材料が好ましいことが確認された。
r2O3−SiO2の系の材料について誘電体層に用いる
のに適した組成範囲を調べるために、表7に示すよう
に、第2の誘電体層の材料におけるZrO2とCr2O3
とSiO2との含有率(モル%)を種々変化させて情報
記録媒体を作製した。本実施例の情報記録媒体は、実施
例4の情報記録媒体と同様の構造とし、第2の誘電体層
の成膜工程にて、サンプル番号5−1〜5−12の情報
記録媒体を作製するために表7に示す所定の組成を有す
るスパッタリングターゲットをそれぞれ用いた点を除い
て実施例4と同様の条件で作製した。この際、実施例4
の結果から、ZrO2の含有率が20mol%以上、且
つCr2O3の含有率が20mol%以上となる範囲で、
SiO2の含有率を変えた。
−1〜5−12の情報記録媒体について、実施例4と同
様にして誘電体層の密着性および情報記録媒体の繰り返
し書き換え性能を評価した。これらの結果を、繰り返し
書き換え性能の評価の際に求めたピークパワー(Pp)
と共に表7に示す。尚、サンプル番号5−1〜5−12
の情報記録媒体のうち、サンプル番号5−1〜5−4お
よび5−7〜5−12の情報記録媒体が本発明の範囲に
属するものである。
がSiO2を10mol%以上40mol%以下の割合
で含むサンプル番号5−1〜5−4および5−7〜5−
12の情報記録媒体で、剥離が発生せず、高い密着性お
よび高い繰り返し書き換え性能が得られると共に、低い
ピークパワーが得られた。本実施例の結果から、誘電体
層の材料には、ZrO2−Cr2O3−SiO2系では、Z
rO2を20〜70mol%、Cr2O3を20〜60m
ol%、およびSiO2を10〜40mol%で含む組
成範囲の材料が好ましいことが確認された。
iO2を略等しい割合で含む、ZrSiO4−Cr2O3の
系の材料について誘電体層に用いるのに適した組成範囲
を調べるために、第2の誘電体層の材料を、表8に示す
ようにZrSiO4とCr2O3との含有率(モル%)を
種々変化させて情報記録媒体を作製した。本実施例の情
報記録媒体は、実施例5と同じく、実施例4の情報記録
媒体と同様の構造とした。作製方法は実施例5の場合と
同様であるので説明を省略する。この際、ZrO2およ
びSiO2の含有率が20mol%以上50mol%以
下の範囲(従って、ZrSiO4の構成割合が25mo
l%以上100mol%以下の範囲)で、Cr2O3の含
有率を変えた。
−9および5−12の情報記録媒体は、上記の実施例5
の情報記録媒体に対応するものである。表7に記載のサ
ンプル番号5−4、5−9および5−12の情報記録媒
体の第2の誘電体層の材料について、(ZrO2)
40(Cr2O3)20(SiO2)40(mol%)は(Zr
SiO4)67(Cr2O3)33(mol%)に、(Zr
O2)30(Cr2O3)40(SiO 2)30(mol%)は
(ZrSiO4)43(Cr2O3)57(mol%)に、
(ZrO2)20(Cr2O3)60(SiO2)20(mol
%)は(ZrSiO4)25(Cr2O3)75(mol%)
に換算した。
−4、5−9、5−12および6−1〜6−4の情報記
録媒体について、実施例4と同様にして誘電体層の密着
性および情報記録媒体の繰り返し書き換え性能を評価し
た。これらの結果を、繰り返し書き換え性能の評価の際
に求めたピークパワー(Pp)と共に表8に示す。尚、
サンプル番号5−4、5−9、5−12および6−1〜
6−4の情報記録媒体のうち、サンプル番号5−4、5
−9、5−12、6−3、および6−4の情報記録媒体
が本発明の範囲に属するものである。
6−2の情報記録媒体を除いて、剥離が発生せず、高い
密着性および高い繰り返し書き換え性能が得られると共
に、低いピークパワーが得られた。本実施例の結果か
ら、誘電体層の材料には、ZrSiO4−Cr2O3系で
は、ZrSiO4を25〜67mol%で含む組成範囲
の材料が好ましいことが確認された。
r2O3−ZnS−SiO2の系の材料について誘電体層
に用いるのに適した組成範囲を調べるために、第2の誘
電体層の材料を、表9に示すようにZrO2とCr2O3
とZnSとSiO2との含有率(モル%)を種々変化さ
せて情報記録媒体を作製した。本実施例の情報記録媒体
は、実施例5と同じく、実施例4の情報記録媒体と同様
の構造とした。作製方法は、第2の誘電体層の成膜工程
においてパワーを400Wとしたこと以外は、実施例5
の場合と同様であるので説明を省略する。この際、実施
例4の結果から、ZrO2の含有率が20mol%以
上、且つCr2O3の含有率が20mol%以上の範囲
で、ZnSとSiO2の含有率を変えた。
−1〜7−16の情報記録媒体について、実施例4と同
様にして誘電体層の密着性および情報記録媒体の繰り返
し書き換え性能を評価した。これらの結果を、繰り返し
書き換え性能の評価の際に求めたピークパワー(Pp)
と共に表9に示す。尚、サンプル番号7−1〜7−16
の情報記録媒体のうち、サンプル番号7−2〜7−4お
よび7−6〜7−16の情報記録媒体が本発明の範囲に
属するものである。
がZnSを50mol%の割合で含むサンプル番号7−
1の情報記録媒体で、繰り返し回数が1000回であっ
た。また、第2の誘電体層の材料がSiO2を50mo
l%の割合で含むサンプル番号7−5の情報記録媒体で
は、剥離が発生していた。その他のサンプル番号の情報
記録媒体では、剥離が発生せず、高い密着性および高い
繰り返し書き換え性能が得られると共に、低いピークパ
ワーが得られた。従って、本実施例の結果から、誘電体
層の材料には、ZrO2−Cr2O3−ZnS−SiO2系
では、ZrO2を20〜60mol%で、Cr2O3を2
0〜60mol%で、ZnSを10〜40mol%で、
SiO2を10〜40mol%で含む組成範囲の材料が
好ましいことが確認された。
r2O3−ZnSe−SiO2の系の材料について誘電体
層に用いるのに適した組成範囲を調べるために、ZrO
2とCr2O3とZnSeとSiO2との含有率(モル%)
の異なる種々の材料を誘電体層に用いた情報記録媒体を
作製した。この材料は、実施例7で調べた材料におい
て、ZnSに代えてZnSeを含むものである。実施例
7と同様の評価を行ったところ、ZrO2−Cr2O3−
ZnSe−SiO2系では、ZrO2を20〜60mol
%で、Cr2O3を20〜60mol%で、ZnSeを1
0〜40mol%で、SiO2を10〜40mol%で
含む組成範囲の材料が好ましいことが確認された。
r2O3−ZnO−SiO2の系の材料について誘電体層
に用いるのに適した組成範囲を調べるために、ZrO2
とCr2O3とZnOとSiO2との含有率(モル%)の
異なる種々の材料を誘電体層に用いた情報記録媒体を作
製した。この材料は、実施例7で調べた材料において、
ZnSに代えてZnOを含むものである。実施例7と同
様の評価を行ったところ、ZrO2−Cr2O3−ZnO
−SiO2系では、ZrO2を20〜60mol%で、C
r2O3を20〜60mol%で、ZnOを10〜40m
ol%で、SiO2を10〜40mol%で含む組成範
囲の材料が好ましいことが確認された。
O4−Cr2O3−ZnSの系の材料について誘電体層に
用いるのに適した組成範囲を調べるために、第2の誘電
体層の材料を、表10に示すようにZrSiO4とCr2
O3とZnSとの含有率(モル%)を種々変化させて情
報記録媒体を作製した。本実施例の情報記録媒体は、実
施例5と同じく、実施例4の情報記録媒体と同様の構造
とした。作製方法は、第2の誘電体層の成膜工程におい
てパワーを400Wとしたこと以外は、実施例5の場合
と同様であるので説明を省略する。この際、ZrSiO
4の含有率が25mol%以上、且つCr2O3の含有率
が25mol%以上の範囲で、ZnSの含有率を変え
た。
−1〜8−10の情報記録媒体について、実施例4と同
様にして誘電体層の密着性および情報記録媒体の繰り返
し書き換え性能を評価した。これらの結果を、繰り返し
書き換え性能の評価の際に求めたピークパワー(Pp)
と共に表10に示す。尚、サンプル番号8−1〜8−1
0の情報記録媒体はいずれも本発明の範囲に属するもの
である。
〜8−10の全ての情報記録媒体で、剥離が発生せず、
高い密着性および高い繰り返し書き換え性能が得られる
と共に、低いピークパワーが得られた。従って、本実施
例の結果から、誘電体層の材料には、ZrSiO4−C
r2O3−ZnS系では、ZrSiO4を25〜54mo
l%で、Cr2O3を25〜63mol%で、ZnSを1
2〜50mol%で含む組成範囲の材料が好ましいこと
が確認された。
O4−Cr2O3−ZnSeの系の材料について誘電体層
に用いるのに適した組成範囲を調べるために、ZrSi
O4とCr2O3とZnSeとの含有率(モル%)の異な
る種々の材料を誘電体層に用いた情報記録媒体を作製し
た。この材料は、実施例10で調べた材料において、Z
nSに代えてZnSeを含むものである。実施例10と
同様の評価を行ったところ、ZrSiO4−Cr2O3−
ZnSe系では、ZrSiO4を25〜54mol%
で、Cr2O3を25〜63mol%で、ZnSeを12
〜50mol%で含む組成範囲の材料が好ましいことが
確認された。
O4−Cr2O3−ZnOの系の材料について誘電体層に
用いるのに適した組成範囲を調べるために、ZrSiO
4とCr2O3とZnOとの含有率(モル%)の異なる種
々の材料を誘電体層に用いた情報記録媒体を作製した。
この材料は、実施例10で調べた材料において、ZnS
に代えてZnOを含むものである。実施例10と同様の
評価を行ったところ、実施例10と同様に、ZrSiO
4−Cr2O3−ZnO系では、ZrSiO4を25〜54
mol%で、Cr2O3を25〜63mol%で、ZnO
を12〜50mol%で含む組成範囲の材料が好ましい
ことが確認された。
態2にて図2を参照しながら上述した情報記録媒体26
と同様の構造を有し、第1の誘電体層および第2の誘電
体層が互いに異なる組成を有する材料から成る情報記録
媒体を作製した。
して作製した。まず、基板1として、深さ56nm、ト
ラックピッチ(基板の主面に平行な面内におけるグルー
ブ表面およびランド表面の中心間距離)0.615μm
の案内溝が片側表面に予め設けられた、直径120m
m、厚み0.6mmの円形のポリカーボネート基板を準
備した。
33(Cr2O3)40(ZnS)27(mol%)の第1の誘
電体層2を150nmの厚さで、Ge27Sn8Sb12T
e53(原子%)記録層4を9nmの厚さで、Ge−Cr
−Nの第2の界面層105を3nmの厚さで、(Zn
S)80(SiO2)20(mol%)の第2の誘電体層1
06を50nmの厚さで、Ge80Cr20(原子%)の光
吸収補正層7を40nmの厚さで、Ag−Pd−Cuの
反射層8を80nmの厚さで、スパッタリング法により
順次成膜した。ここで、第2の界面層105および第2
の誘電体層106の各材料は、図10を参照しながら上
述した従来の情報記録媒体31におけるものと同様であ
る。
電体層2の成膜工程を変更した点ならびに記録層4の成
膜工程と第2の誘電体層106の成膜工程との間に第2
の界面層105の成膜工程を追加した点を除いて、実施
例1のサンプル番号1−1の情報記録媒体の場合と同様
にして作製した。第1の誘電体層2の成膜工程において
は、(ZrSiO4)33(Cr2O3)40(ZnS)
27(mol%)の組成を有するスパッタリングターゲッ
ト(直径100mm、厚み6mm)を成膜装置に取り付
け、パワー400Wで、Arガス(100%)を導入し
て、約0.13Paの圧力下、高周波スパッタリングを
行った。第2の界面層105を成膜する工程は、実施例
1にて上述した比較例の従来構成の情報記録媒体31の
作製方法における第2の界面層105を成膜する工程と
同様にして実施した。尚、第2の誘電体層106を成膜
する工程は、実施例1にて上述したサンプル番号1−1
の情報記録媒体25の作製方法における第2の誘電体膜
6を成膜する工程と同様であり、従来構成の情報記録媒
体31の作製方法における第2の誘電体層106を成膜
する工程と同様でもある。
−1の情報記録媒体26について、誘電体層の密着性お
よび情報記録媒体の繰り返し書き換え性能を、実施例1
にて上述したのとほぼ同様にして評価したが、本実施例
では、密着性の評価は、記録層4とこれに接する第1の
誘電体層2との間で剥離が発生していないかどうか調べ
ることにより実施した。また、繰り返し書き換え性能の
評価は、グルーブ記録だけでなくランド記録も行って
(即ち、ランド−グルーブ記録により)グルーブ記録お
よびランド記録のそれぞれについて繰り返し回数を調べ
ることにより実施した。これらの結果を、繰り返し書き
換え性能の評価の際に求めたピークパワー(Pp)およ
びバイアスパワー(Pb)と共に表11に示す。加え
て、比較のために、実施例1にて作製した図10に示す
従来構成の情報記録媒体31について同様に評価した結
果も表11に示す。
材料のみに(ZrSiO4)33(Cr2O3)40(Zn
S)27(mol%)を用い、基板1の上にスパッタリン
グ法により形成する層(即ち、反射層8までの層)の層
数を6層とした本実施例のサンプル番号9−1の情報記
録媒体26で、総数を7層とした比較例の従来構成の情
報記録媒体31と同等の密着性、繰り返し回数、ピーク
パワー、およびバイアスパワーが得られた。尚、本実施
例では、第1の誘電体層2として、(ZrSiO 4)33
(Cr2O3)40(ZnS)27(mol%)の組成を有す
る材料から成る層(Zr−Cr−Zn−O系材料層)を
用いたが、この組成は一例であり、ZrSiO4−Cr2
O3−ZnS系の材料では、実施例10に示すような組
成範囲に亘って、本実施例と同様に良好な結果が得られ
た。さらに、第1の誘電体層2として、Zr−Cr−O
系材料層または他のZr−Cr−Zn−O系材料層を用
いてもよい。
態4にて図4を参照しながら上述した情報記録媒体28
と同様の構造を有する情報記録媒体を作製した。
して作製した。まず、基板101として、深さ21n
m、トラックピッチ(基板の主面に平行な面内における
グルーブ表面およびグルーブ表面の中心間距離)0.3
2μmの案内溝が片側表面に予め設けられた、直径12
0mm、厚み1.1mmの円形のポリカーボネート基板
を準備した。
の反射層8を80nmの厚さで、(ZrSiO4)
54(Cr2O3)46(mol%)の第2の誘電体層6を1
6nmの厚さで、Ge37.5Sb11Te51.5(原子%)の
記録層4を11nmの厚さで、(ZrSiO4)54(C
r2O3)46(mol%)の第1の誘電体層2を68nm
の厚さで、スパッタリング法により順次成膜した。
ンプル番号1−1の情報記録媒体の作製方法におけるも
のと同様の条件で実施した。
は、(ZrSiO4)54(Cr2O3)46(mol%)の
組成を有する材料から成るスパッタリングターゲット
(直径100mm、厚み6mm)を成膜装置に取り付
け、パワー500Wで、Arガス(100%)を導入し
て、約0.13Paの圧力下、高周波スパッタリングを
行った。
−Sb−Te系材料から成るスパッタリングターゲット
(直径100mm、厚み6mm)を成膜装置に取り付
け、パワー100Wで、Arガス(97%)とN2ガス
(3%)の混合ガスを導入して直流スパッタリングを行
った。スパッタ時の圧力は約0.13Paとした。
の誘電体層2および第2の誘電体層6が実質的に同じ組
成を有するように、層厚さを変えたこと以外は上記の第
2の誘電体層6を成膜する工程と同様にして、実施し
た。
8、第2の誘電体層6、記録層4および第1の誘電体層
2を順次成膜して積層体を形成した後、紫外線硬化性樹
脂を第1の誘電体層2の上に塗布し、塗布した紫外線硬
化性樹脂の上に、ダミー基板110として直径120m
m、厚み90μmの円形のポリカーボネート基板を密着
させた。そして、ダミー基板110の側から紫外線を照
射して樹脂を硬化させた。これにより、硬化した樹脂か
ら成る接着層9が10μmの厚さで形成され、ダミー基
板110を接着層9を介して積層体に貼り合わせた。
70nmの半導体レーザを使って、情報記録媒体28の
記録層4を、半径22〜60mmの範囲の環状領域内で
ほぼ全面に亘って結晶化させた。これにより初期化工程
が終了し、サンプル番号10−1の情報記録媒体28の
作製が完了した。
と記録層4との間および第2の誘電体層6と記録層4と
の間に、Ge−Cr−Nの第1の界面層103および第
2の界面層105をそれぞれ備え、且つ、第1の誘電体
層2および第2の誘電体層6に代えて、(ZnS)
80(SiO2)20(mol%)の第1の誘電体層102
および第2の誘電体層106を備える点を除いて、本実
施例の情報記録媒体と同様の構成を有する、比較例の情
報記録媒体を作製した(図示せず)。第1の界面層10
3および第2の界面層105はいずれも厚さ5mmで形
成した。
層103および第2の界面層105を成膜する工程なら
びに第1の誘電体層102および第2の誘電体層106
を成膜する工程を、実施例1にて作製した比較例の従来
構成の情報記録媒体31の作製方法におけるものと同様
にして実施した点を除いて、本実施例の情報記録媒体の
作製方法と同様にして作製した。
0−1の情報記録媒体28および比較例の情報記録媒体
(図示せず)について、誘電体層の密着性および情報記
録媒体の繰り返し書き換え性能を評価した。これらの結
果を、繰り返し書き換え性能の評価の際に求めたピーク
パワー(Pp)と共に表12に示す。
誘電体層の密着性の評価は実施例1と同様の条件で行っ
た。これに対して、情報記録媒体28の繰り返し書き換
え性能の評価は、実施例1と同じく繰り返し回数を指標
とした点は共通するが、実施例1とは異なる条件によっ
た。
の評価に際し、実施例1の場合と同様の構成の情報記録
システムにて、波長405nmの半導体レーザと開口数
0.85の対物レンズを使用し、23GB容量相当の記
録を行った。情報記録媒体28を回転させる線速度は5
m/秒とした。また、CNR(即ち、信号振幅とノイズ
の比)および消去率の測定には、スペクトラムアナライ
ザーを用いた。
件を決めるために、ピークパワー(Pp)およびバイア
スパワー(Pb)を以下の手順で設定した。レーザ光1
2を、高パワーレベルのピークパワー(mW)と低パワ
ーレベルのバイアスパワー(mW)との間でパワー変調
しながら情報記録媒体28に向けて照射して、マーク長
0.16μmの2T信号を記録層4の同一のグルーブ表
面に10回記録した。2T信号を10回記録した後、C
NRを測定した。2T信号の10回記録の際、バイアス
パワーを一定の値に固定し、ピークパワーを種々変化さ
せた各記録条件についてCNRを測定し、信号振幅が飽
和するときの最小のピークパワーの1.2倍のパワーを
Ppに設定した。また、上記と同様にして2T信号を1
0回記録した後、信号を再生して2T信号の振幅を測定
し、さらに、該グルーブ表面に9T信号を1回重ね書き
し、信号を再生して2T信号の振幅を測定し、10回記
録後に測定した振幅を基準とする2T信号の減衰率を消
去率として求めた。2T信号の10回記録および9T信
号の1回重ね書きの際、ピークパワーを先に設定したP
pに固定し、バイアスパワーを種々変化させた各パワー
条件について、以上のように定義される消去率を求め、
消去率が25dB以上となるバイアスパワー範囲の中心
値をPbに設定した。システムのレーザパワー上限値を
考慮すれば、Pp≦7mW、Pb≦3.5mWを満足す
ることが望ましい。
し回数は、本実施例ではCNRおよび消去率に基づいて
決定した。上記のようにして設定したPpとPbとでレ
ーザ光をパワー変調しながら情報記録媒体28に向けて
照射して、2T信号を同一のグルーブ表面に所定回数繰
り返して連続記録した後、CNRを測定し、また、消去
率を求めた。消去率は、上記と同様に、所定回数記録し
た後およびその上に9T信号を1回重ね書きした後に2
T信号を測定し、所定回数記録した後に測定した2T信
号の振幅に対する、9T信号を1回重ね書きした後に測
定した2T信号の振幅の減衰率により求めた。繰り返し
回数は、1、2、3、5、10、100、200、50
0、1000、2000、3000、5000、700
0、10000回とした。10回繰り返した場合のCN
Rおよび消去率を基準として、CNRが2dB低下する
か、または消去率が5dB低下したときを繰り返し書き
換えの限界と判断し、このときの繰り返し回数により繰
り返し書き換え性能を評価した。もちろん、繰り返し回
数が大きいほど繰り返し書き換え性能が高い。情報記録
媒体28の繰り返し回数は1万回以上が好ましい。
録媒体28では、図1に示すような情報記録媒体25と
比べて、基板上への各層の成膜順が逆であること、記録
条件(レーザ波長やレンズの開口数)が異なること、な
らびに記録容量が約5倍に増えていることに関係なく、
第1の誘電体層2および第2の誘電体層6として、(Z
rSiO4)54(Cr2O3)46(mol%)の組成を有
する材料から成る層(Zr−Cr−O系材料層)を用い
ることによって、界面層を設けることなく、良好な性能
が得られた。また、本実施例にて作製したサンプル番号
10−1の情報記録媒体28の(凹凸のない平面部にお
ける)Rc実測値は20%であり、Ra実測値は3%で
あった。表12から、サンプル番号10−1の情報記録
媒体28は、第1および第2の界面層を設けた比較例の
情報記録媒体と同等の性能を示すことが確認された。
録媒体28では、第1および第2の誘電体層の双方にZ
rSiO4−Cr2O3の系の材料から成る層を用いた
が、他のZr−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Z
n−O系材料層を用いてもよい。
第1および第2の誘電体層の双方にZr−Cr−O系材
料層(またはZr−Cr−Zn−O系材料層)を用いる
こととしたが、本発明はこれに限定されない。一例とし
て、第1および第2の誘電体層のいずれか一方にZr−
Cr−O系材料層(またはZr−Cr−Zn−O系材料
層)を用い、他方の誘電体層に、例えば従来の(Zn
S)80(SiO2)20(mol%)の組成を有する材料
を用い、該他方の誘電体層と記録層との間に界面層を設
ける構成としてもよい。この場合においても、本実施例
と同様な結果が得られた。従って、誘電体層としてZr
−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Zn−O系材料
層を用いることにより、従来、第1および第2の誘電体
層と記録層との間にそれぞれ用いていた2つの界面層の
うち少なくとも一方、好ましくは双方を減らすことがで
き、且つ、比較例の情報記録媒体と同等の性能を確保す
ることができる。
態5にて図5を参照しながら上述した情報記録媒体29
と同様の構造を有する情報記録媒体を作製した。
して作製した。まず、実施例14と同様の基板101を
準備し、この基板101の上に、Ag−Pd−Cuの第
2の反射層20を80nmの厚さで、(ZrSiO4)
54(Cr2O3)46(mol%)の第5の誘電体層19を
16nmの厚さで、Ge45Sb4Te51(原子%)の第
2の記録層18を11nmの厚さで、(ZrSiO4)
54(Cr2O3)46(mol%)の第4の誘電体層17を
68nmの厚さで、スパッタリング法により順次成膜し
た。これにより、基板101の上に、第2情報層22が
形成された。
よび第4の誘電体層17を成膜する工程は、実施例14
の情報記録媒体28の作製方法における、反射層8、第
2の誘電体層6、第1の誘電体層2を成膜する工程と同
様の条件でそれぞれ実施した。また、第2の記録層18
を成膜する工程は、異なる組成のスパッタリングターゲ
ットを用いたこと以外は、実施例14の情報記録媒体2
8の作製方法における記録層4を成膜する工程と同様の
条件で実施した。
ンコートにより、紫外線硬化性樹脂を塗布し、塗布した
紫外線硬化性樹脂の上に、表面に案内溝が設けられたポ
リカーボネート基板を、その案内溝を密着させて配置す
る。そして、ポリカーボネート基板の側から紫外線を照
射して樹脂を硬化させ、ポリカーボネート基板を中間層
16から剥離した。これにより、硬化した樹脂から成
り、溝を転写した中間層16が30μmの厚さで形成さ
れた。
70nmの半導体レーザを使って、第2情報層22の第
2の記録層18を、半径22〜60mmの範囲の環状領
域内でほぼ全面に亘って結晶化させた。
層16の上に、TiO2の第3の誘電体層15を15n
mの厚さで、Ag−Pd−Cuの第1の反射層14を1
0nmの厚さで、(ZrSiO4)43(Cr2O3)
57(mol%)の第2の誘電体層6を12nmの厚さ
で、Ge40Sn5Sb4Te51(原子%)の第1の記録層
13を6nmの厚さで、(ZrSiO4)43(Cr
2O3)57(mol%)の第1の誘電体層2を45nmの
厚さで、スパッタリング法により順次成膜した。これに
より、第1情報層21が形成された。
ては、TiO2の組成を有する材料から成るスパッタリ
ングターゲット(直径100mm、厚み6mm)を用
い、パワー400Wで、Arガス(97%)とO2ガス
(3%)との混合ガスを導入して、約0.13Paの圧
力下、高周波スパッタリングを行った。
さを変えたこと以外は、上記の第2の反射層20の成膜
工程と同様の条件で実施した。
rSiO4)43(Cr2O3)57の組成を有する材料から
成るスパッタリングターゲット(直径100mm、厚み
6mm)を成膜装置に取り付け、パワー500Wで、A
rガス(100%)を導入して、約0.13の圧力下、
高周波スパッタリングを行った。
は、Ge−Sn−Sb−Te系材料から成るスパッタリ
ングターゲット(直径100mm、厚み6mm)を成膜
装置に取り付け、パワー50Wで、Arガス(100
%)を導入して、直流スパッタリングを行った。スパッ
タ時の圧力は約0.13Paとした。
の誘電体層2および第2の誘電体層6が実質的に同じ組
成を有するように、層厚さを変えたこと以外は上記の第
2の誘電体層6を成膜する工程と同様にして、実施し
た。
誘電体層2まで成膜して積層体を形成した後、紫外線硬
化性樹脂を第1の誘電体層2の上に塗布し、塗布した紫
外線硬化性樹脂の上に、ダミー基板110として直径1
20mm、厚み65μmの円形のポリカーボネート基板
を密着させた。そして、ダミー基板110の側から紫外
線を照射して樹脂を硬化させた。これにより、硬化した
樹脂から成る接着層9が10μmの厚さで形成され、ダ
ミー基板110を接着層9を介して積層体に貼り合わせ
た。
波長670nmの半導体レーザを使って、第1情報層2
1の第1の記録層13を、半径22〜60mmの範囲の
環状領域内でほぼ全面に亘って結晶化させた。これによ
り、サンプル番号11−1の情報記録媒体29の作製が
完了した。
1−1の情報記録媒体29について、第1情報層21お
よび第2情報層22毎に、誘電体層の密着性および情報
記録媒体の繰り返し書き換え性能を評価した。これらの
結果を、繰り返し書き換え性能の評価の際に求めたピー
クパワー(Pp)およびバイアスパワー(Pb)と共に
表13に示す。
誘電体層の密着性の評価は実施例1と同様の条件で行っ
たが、第1情報層21と第2情報層22のそれぞれにつ
いて剥離の有無を調べた点で異なる。また、情報記録媒
体29の繰り返し書き換え性能の評価は、実施例14と
ほぼ同様の条件により行ったが、情報記録媒体29の第
1情報層21と第2情報層22のそれぞれに23GB容
量相当の記録を行って、第1情報層21と第2情報層2
2のそれぞれについて繰り返し回数を調べた点で異な
る。第1情報層21に記録する際には、レーザ光12を
第1の記録層13に焦点させ、第2情報層22を記録す
る際には、レーザ光12を第2の記録層18に焦点させ
た。システムのレーザパワー上限値を考慮すれば、第1
の情報層21でPp≦14mW、Pb≦7mW(第2情
報層22では、第1情報層21を通ってきたレーザ光1
2を使うのでこれらPpおよびPbの約半分の値)を満
足することが望ましい。
番号11−1の情報記録媒体29では、図1に示すよう
な情報記録媒体25と比べて、基板上への各層の成膜順
が逆であること、基板上に2つ以上の情報層があるこ
と、記録条件が異なること、ならびに記録容量が約10
倍に増えていることに関係なく、第1誘電体層2、第2
誘電体層6、第4誘電体層17および第5の誘電体層1
9として、ZrSiO4−Cr2O3の系の材料から成る
層を用いることによって、良好な性能が得られた。ま
た、本実施例にて作製したサンプル番号11−1の情報
記録媒体29の(凹凸のない平面部における)第1情報
層21のRc設計値は6%とし、Ra設計値は0.7%
であった。第2情報層22のRc設計値は25%であ
り、Ra設計値は3%であった。
録媒体29では、第1の誘電体層2、第2の誘電体層
6、第4の誘電体層17および第5の誘電体層19の全
てにZrSiO4−Cr2O3の系の材料から成る層を用
いたが、他のZr−Cr−O系材料層(例えばZrO2
−Cr2O3の系およびZrO2−Cr2O3-SiO2の系
などの材料から成る層)、またはZr−Cr−Zn−O
系材料層(例えばZrO2−Cr2O3-SiO2にZn
S、ZnSeもしくはZnOを混合した系の材料から成
る層)を誘電体層に用いても良好な性能が得られた。
第1の誘電体層2、第2の誘電体層6、第4の誘電体層
17および第5の誘電体層19の全てにZr−Cr−O
系材料層(またはZr−Cr−Zn−O系材料層)を用
いることとしたが、本発明はこれに限定されない。一例
として、これら誘電体層のうち少なくとも一つにZr−
Cr−O系材料層またはZr−Cr−Zn−O系材料層
を用い、残りの誘電体層に、例えば従来の(ZnS)80
(SiO2)20(mol%)の組成を有する材料を用
い、該残りの誘電体層と記録層との間に界面層を設ける
構成としてもよい。この場合においても本実施例と同様
な結果が得られた。
第3の誘電体層15として、TiO 2から成る層を用い
たが、これに代えて(ZrO2)30(Cr2O3)70から
成る層を用いてもよい。この場合、第1情報層21にお
いて同等の性能が得られた。
は、第1の誘電体層2および第2の誘電体層6に、第4
の誘電体層17および第5の誘電体層19に、それぞれ
同じ組成の材料層を用いたが、これら誘電体層のうちの
少なくとも任意の二つについて、異なる組成の材料を用
いることもできる。その場合にも本実施例の結果と同程
度に良好な性能が得られた。
態6にて図6を参照しながら上述した情報記録媒体30
と同様の構造を有する情報記録媒体を作製した。本実施
例の情報記録媒体30においては、上述までの実施例1
〜15の情報記録媒体における誘電体層とは異なり、第
1の界面層3および第2の界面層5にZr−Cr−O系
材料層を用いたものである。
して作製した。まず、実施例1と同様の基板1を準備
し、この基板1の上に、(ZnS)80(SiO2)
20(mol%)の第1の誘電体層102を150nmの
厚さで、(ZrSiO4)43(Cr2O3)57(mol
%)の第1の界面層3を5nmの厚さで、Ge27Sn8
Sb12Te53(原子%)の記録層4を9nmの厚さで、
(ZrSiO4)43(Cr2O3)57(mol%)の第2
の界面層5を5nmの厚さで、(ZnS)80(Si
O2)20(mol%)の第2の誘電体層106を50n
mの厚さで、Ge80Cr20(原子%)の光吸収補正層7
を40nmの厚さで、Ag−Pd−Cuの反射層8を8
0nmの厚さで、スパッタリング法により順次成膜し
た。ここで、第1の誘電体層102および第2の誘電体
層106の各材料は、図10を参照しながら上述した従
来の情報記録媒体31に備えられるものと同様である。
および第2の界面層5の材料が異なる点を除いて、実施
例1にて作製した従来構成の情報記録媒体31(図10
を参照のこと)と同様であり、第1の界面層3および第
2の界面層5の成膜工程を除いてこれと同様にして作製
した。第1の界面層3および第2の界面層5の成膜工程
は、(ZrSiO4)43(Cr2O3)57(mol%)の
組成を有する材料から成るスパッタリングターゲット
(直径100mm、厚み6mm)を成膜装置に取り付
け、パワー500Wで、Arガス(100%)を導入し
て、約0.13Paの圧力下、高周波スパッタリングを
行った。
2−1の情報記録媒体30について、誘電体層の密着性
および情報記録媒体の繰り返し書き換え性能を、実施例
1にて上述したのとほぼ同様にして評価したが、本実施
例では、密着性の評価は、記録層4とこれに接する界面
層の間、より詳細には記録層と第1の界面層3および第
2の界面層5の少なくとも一方との間で剥離が発生して
いないかどうか調べることにより実施した。また、繰り
返し書き換え性能の評価は、グルーブ記録だけでなくラ
ンド記録も行って(即ち、ランド−グルーブ記録によ
り)グルーブ記録およびランド記録のそれぞれについて
繰り返し回数を調べることにより実施した。これらの結
果を表14に示す。加えて、比較のために、実施例1に
て作製した図10に示す従来構成の情報記録媒体31に
ついて同様に評価した結果も表14に示す。
rSiO4)43(Cr2O3)57(mol%)を用いた本
実施例のサンプル番号12−1の情報記録媒体30で、
比較例の従来構成の情報記録媒体31と同等の性能が得
られた。
r−O系材料層を用い、情報記録媒体の層数は従来と同
じであり、減らない。しかし、このようなZr−Cr−
O系材料から成る界面層は、従来のGe−Cr−Nの界
面層のように反応性スパッタリングに依らず、Arガス
のみの雰囲気下でのスパッタリングで形成可能である。
従って、本実施例によれば、界面層自体の組成バラツキ
や膜厚分布が従来のGe−Cr−Nの界面層よりも小さ
くなり、製造の容易性や安定性を向上させることができ
る。
報記録媒体30では、第1の界面層3および第2の界面
層5として、(ZrSiO4)43(Cr2O3)57(mo
l%)の組成を有する材料から成る層(Zr−Cr−O
系材料層)を用いたが、この組成は一例であり、他のZ
r−Cr−O系材料層またはZr−Cr−Zn−O系材
料層を用いてもよい。また、第1の界面層3と第2の界
面層5は、Zr−Cr−O系材料層およびZr−Cr−
Zn−O系材料層から選択される互いに組成の異なる層
であってよい。
は、光学的手段によって情報を記録する情報記録媒体を
作製したが、実施例17では、図8に示すような、電気
的手段によって情報を記録する情報記録媒体207を作
製した。本実施例の情報記録媒体207はいわゆるメモ
リである。
にして作製した。まず、表面を窒化処理した、長さ5m
m、幅5mmおよび厚さ1mmのSi基板201を準備
し、この基板201の上に、Auの下部電極202を
1.0mm×1.0mmの領域に厚さ0.1μmで、G
e38Sb10Te52(化合物としてはGe8Sb2Te11と
表記される)の相変化部205を直径0.2mmの円形
領域に厚さ0.1μmで、(ZrO2)56(Cr2O3)
30(SiO2)14の断熱部206を0.6mm×0.6
mmの領域(但し相変化部205を除く)に相変化部2
05と同じ厚さで、Auの上部電極204を0.6mm
×0.6mmの領域に厚さ0.1μmで、スパッタリン
グ法により順次積層した。
−Sb−Te系材料から成るスパッタリングターゲット
(直径100mm、厚み6mm)を成膜装置に取り付
け、パワー100Wで、Arガス(100%)を導入し
て直流スパッタリングを行った。スパッタ時の圧力は約
0.13Paとした。また、断熱部206を成膜する工
程では、(ZrO2)56(Cr2O3)30(SiO2)14の
組成を有する材料から成るスパッタリングターゲット
(直径100mm、厚み6mm)を成膜装置に取り付
け、パワー500Wで、Arガス(100%)を導入し
て、約0.13Paの圧力下、高周波スパッタリングを
行った。これら工程でのスパッタリングは、相変化部2
05および断熱部206が互いに積層しないように、成
膜すべき面以外の領域をマスク治具で覆って各々行っ
た。尚、相変化部205および断熱部206の形成の順
序は問わず、いずれを先に行ってもよい。
部203を構成し、相変化部205が本発明に言うとこ
ろの記録層に該当し、断熱部206が本発明に言うとこ
ろのZr−Cr−O系材料層に該当する。
上部電極204を成膜する工程は、スパッタリング法に
よる電極形成技術の分野において一般的な方法で実施で
きるので、詳細な説明は省略する。
記録媒体207に電気的エネルギーを印加することによ
って相変化部205にて相変化が起こることを、図9に
示すシステムにより確認した。図9に示す情報記録媒体
207の断面図は、図8に示す情報記録媒体207の線
A−Bに沿って厚さ方向に切断した断面を示している。
印加部212を下部電極202および上部電極204に
Auリード線でそれぞれボンディングすることによっ
て、印加部212を介して電気的書き込み/読み出し装
置214を情報記録媒体(メモリ)207に接続した。
この電気的書き込み/読み出し装置214において、下
部電極202と上部電極204に各々接続されている印
加部212の間には、パルス発生部208がスイッチ2
10を介して接続され、また、抵抗測定器209がスイ
ッチ211を介して接続されていた。抵抗測定器209
は、抵抗測定器209によって測定される抵抗値の高低
を判定する判定部213に接続されていた。パルス発生
部208によって印加部212を介して上部電極204
および下部電極202の間に電流パルスを流し、下部電
極202と上部電極204との間の抵抗値を抵抗測定器
209によって測定し、この抵抗値の高低を判定部21
3で判定した。一般に、相変化部205の相変化によっ
て抵抗値が変化するため、この判定結果に基づいて、相
変化部205の相の状態を知ることができる。
630℃、結晶化温度は170℃、結晶化時間は130
nsであった。下部電極202と上部電極204の間の
抵抗値は、相変化部205が非晶質相状態では1000
Ω、結晶相状態では20Ωであった。相変化部205が
非晶質相状態(即ち高抵抗状態)のとき、下部電極20
2と上部電極204の間に、20mA、150nsの電
流パルスを印加したところ、下部電極202と上部電極
204の間の抵抗値が低下し、相変化部205が非晶質
相状態から結晶相状態に転移した。次に、相変化部20
5が結晶相状態(即ち低抵抗状態)のとき、下部電極2
02と上部電極204の間に、200mA、100ns
の電流パルスを印加したところ、下部電極202と上部
電極204の間の抵抗値が上昇し、相変化部205が結
晶相から非晶質相に転移した。
断熱部206として(ZrO2)56(Cr2O3)30(S
iO2)14の組成を有する材料から成る層を用い、電気
的エネルギーを付与することによって相変化部(記録
層)にて相変態を生起させることができ、よって、情報
記録媒体207が、情報を記録する機能を有することが
確認できた。
5の周囲に、誘電体である(ZrO 2)56(Cr2O3)
30(SiO2)14の断熱部206を設けると、上部電極
204および下部電極202との間に電圧を印加するこ
とによって相変化部205に流れた電流がその周辺部に
逃げることが効果的に低減され、従って、電流により生
じるジュール熱によって相変化部205の温度を効率的
に上昇させることができる。特に、相変化部205を非
晶質相状態に転移させる場合には、相変化部205のG
e38Sb10Te52を一旦溶融させて急冷する過程が必要
であるが、断熱部206を相変化部205の周囲に設け
ることによって、より小さい電流で相変化部205の温
度を融点以上に上げることができる。
2O3)30(SiO2)14は、高融点であり、熱による原
子拡散も生じにくいので、情報記録媒体207のような
電気的メモリに適用することが可能である。また、相変
化部205の周囲に断熱部206が存在すると、断熱部
206が障壁となって相変化部205は記録部203の
面内において電気的および熱的に実質的に隔離されるの
で、情報記録媒体207に、複数の相変化部205を断
熱部206で互いに隔離された状態で設けて、情報記録
媒体207のメモリ容量を増やしたり、アクセス機能や
スイッチング機能を向上させることができる。尚、情報
記録媒体207自体を複数個つなぐことも可能である。
記録媒体について説明してきたが、光学的手段で記録す
る情報記録媒体および電気的手段で記録する情報記録媒
体のいずれにもZr−Cr−O系材料層および/または
Zr−Cr−Zn−O系材料層を用いることができ、こ
のような本発明の情報記録媒体によれば、従来の情報記
録媒体に比べて優れた効果が得られる。
誘電体層を、好ましくはZrO2−Cr2O3系材料、Z
rO2−Cr2O3−SiO2系材料、またはZrO2−C
r2O3−SiO2にZnS、ZnSeもしくはZnOを
混合した材料で形成することを特徴とする。この特徴に
よれば、従来の光情報記録媒体が有していた、記録層と
誘電体層との間の界面層を無くして、層数を減少できる
とともに、信頼性が高く、優れた繰り返し書き換え性能
および高記録感度が確保された光情報記録媒体を実現す
ることができる。また、これらの材料の層を、電気的エ
ネルギーを印加する情報記録媒体において、記録層を断
熱するための誘電体層として使用すれば、小さい電気的
エネルギーで記録層の相変化を生じさせることができ
る。
面図である。
断面図である。
す部分断面図である。
す部分断面図である。
す部分断面図である。
す部分断面図である。
三角図である。
れる本発明の情報記録媒体の一例を示す模式図である。
の一例を示す模式図である。
図である。
情報記録媒体 202 下部電極 203 記録部 204 上部電極 205 相変化部(記録層) 206 断熱部(誘電体層) 208 パルス発生部 209 抵抗測定器 210,211 スイッチ 212 印加部 213 判定部 214 電気的書き込み/読み出し装置
Claims (22)
- 【請求項1】 基板および記録層を含み、前記記録層が
光の照射または電気的エネルギーの印加によって、結晶
相と非晶質相との間で相変態を生じる情報記録媒体であ
って、Zr、CrおよびOを含むZr−Cr−O系材料
層をさらに含み、当該Zr−Cr−O系材料層におい
て、Zrの含有量が30原子%以下であり、Crの含有
量が7原子%以上37原子%以下である情報記録媒体。 - 【請求項2】 前記Zr−Cr−O系材料層が、式
(1): 【化1】ZrQCrRO100-Q-R(原子%)...(1) (式中、QおよびRはそれぞれ、0<Q≦30、7≦R
≦37の範囲内にあり、且つ20≦Q+R≦60であ
る) で表される材料から実質的に成る、請求項1に記載の情
報記録媒体。 - 【請求項3】 前記Zr−Cr−O系材料層がさらにS
iを含み、式(2): 【化2】 ZrUCrVSiTO100-U-V-T(原子%)...(2) (式中、U、V、およびTはそれぞれ、0<U≦30、
7≦V≦37、および0<T≦14の範囲内にあり、且
つ20≦U+V+T≦60である) で表される材料から実質的に成る、請求項1に記載の情
報記録媒体。 - 【請求項4】 前記Zr−Cr−O系材料層が、式(1
1): 【化3】 (ZrO2)M(Cr2O3)100-M(mol%)...(11) (式中、Mは20≦M≦80である) で表される材料から実質的に成る、請求項1に記載の情
報記録媒体。 - 【請求項5】 前記Siを含むZr−Cr−O系材料層
が、式(21): 【化4】 (ZrO2)X(Cr2O3)Y(SiO2)100-X-Y(mol%)...(21) (式中、XおよびYはそれぞれ、20≦X≦70および
20≦Y≦60の範囲内にあり、且つ60≦X+Y≦9
0である) で表される材料から実質的に成る、請求項3に記載の情
報記録媒体。 - 【請求項6】 式(21)で表される材料が、ZrO2
とSiO2を略等しい割合で含み、式(22): 【化5】 (ZrSiO4)Z(Cr2O3)100-Z(mol%)...(22) (式中、Zは、25≦Z≦67の範囲内にある。) で表される、請求項5に記載の情報記録媒体。 - 【請求項7】 基板および記録層を含み、前記記録層が
光の照射または電気的エネルギーの印加によって、結晶
層と非晶質相との間で相変態を生じる情報記録媒体であ
って、式(3): 【化6】 (ZrO2)C(Cr2O3)E(D)F(SiO2)100-C-E-F(mol%)...( 3) (式中、Dは、ZnS、ZnSeまたはZnOであり、
C、EおよびFはそれぞれ、20≦C≦60、20≦E
≦60、および10≦F≦40の範囲内にあり、且つ6
0≦C+E+F≦90である) で表されるZr−Cr−Zn−O系材料から実質的に成
る層をさらに含んでいる情報記録媒体。 - 【請求項8】 式(3)で表される材料が、ZrO2と
SiO2を略等しい割合で含み、式(31): 【化7】 (ZrSiO4)A(Cr2O3)B(D)100-A-B(mol%)...(31) (式中、Dは、ZnS、ZnSeまたはZnOであり、
AおよびBはそれぞれ、25≦A≦54、および25≦
B≦63の範囲内にあり、且つ50≦A+B≦88であ
る) で表される、請求項7に記載の情報記録媒体。 - 【請求項9】 相変態が可逆的に生じる請求項1〜8の
いずれか1項に記載の情報記録媒体。 - 【請求項10】 記録層が、Ge−Sb−Te、Ge−
Sn−Sb−Te、Ge−Bi−Te、Ge−Sn−B
i−Te、Ge−Sb−Bi−Te、Ge−Sn−Sb
−Bi−Te、Ag−In−Sb−TeおよびSb−T
eから選択される、いずれか1つの材料を含む請求項9
に記載の情報記録媒体。 - 【請求項11】 記録層の膜厚が、15nm以下である
請求項1〜10のいずれか1項に記載の情報記録媒体。 - 【請求項12】 記録層を2つ以上備えている請求項1
〜11のいずれか1項に記載の情報記録媒体。 - 【請求項13】 基板の一方の表面に、第1の誘電体
層、記録層、第2の誘電体層、および反射層がこの順に
形成されており、前記第1の誘電体層および前記第2の
誘電体層のうち少なくとも1つの誘電体層が、前記Zr
−Cr−O系材料層であって、前記記録層と界面を接し
ている請求項1〜12のいずれか1項に記載の情報記録
媒体。 - 【請求項14】 基板の一方の表面に、反射層、第2の
誘電体層、記録層、および第1の誘電体層がこの順に形
成されており、前記第1の誘電体層および前記第2の誘
電体層のうち少なくとも1つの誘電体層が、前記Zr−
Cr−O系材料層であって、前記記録層と界面を接して
いる請求項1〜12のいずれか1項に記載の情報記録媒
体。 - 【請求項15】 基板および記録層を含み、Zr、Cr
およびOを含み、Zrの含有量が30原子%以下であ
り、Crの含有量が7原子%以上37原子%以下である
Zr−Cr−O系材料層をさらに含む情報記録媒体の製
造方法であって、当該Zr−Cr−O系材料層を、スパ
ッタリング法で形成する工程を含む、情報記録媒体の製
造方法。 - 【請求項16】 前記Zr−Cr−O系材料層をスパッ
タリング法で形成する工程において、式(10): 【化8】ZrJCrKO100-J-K(原子%)...(10) (式中、JおよびKはそれぞれ、3≦J≦24、および
11≦K≦36の範囲内にあり、且つ34≦J+K≦4
0である) で表される材料から実質的に成るスパッタリングターゲ
ットを用いる、請求項15に記載の情報記録媒体の製造
方法。 - 【請求項17】 前記Zr−Cr−O系材料層をスパッ
タリング法で形成する工程において、式(20): 【化9】 ZrGCrHSiLO100-G-H-L(原子%)...(20) (式中、G、HおよびLはそれぞれ、4≦G≦21、1
1≦H≦30、および2≦L≦12の範囲内にあり、且
つ34≦G+H+L≦40である)で表される材料から
実質的に成るスパッタリングターゲットを用いて、Si
を含むZr−Cr−O系材料層を形成する、請求項15
に記載の情報記録媒体の製造方法。 - 【請求項18】 前記Zr−Cr−O系材料層をスパッ
タリング法で形成する工程において、式(110): 【化10】 (ZrO2)m(Cr2O3)100-m(mol%)...(110) (式中、mは20≦m≦80の範囲内にある) で表される材料から実質的に成るスパッタリングターゲ
ットを用いる、請求項15に記載の情報記録媒体の製造
方法。 - 【請求項19】 前記Zr−Cr−O系材料層をスパッ
タリング法で形成する工程において、式(210): 【化11】 (ZrO2)x(Cr2O3)y(SiO2)100-x-y(mol%)...(210) (式中、xおよびyはそれぞれ、20≦x≦70、およ
び20≦y≦60の範囲内にあり、且つ60≦x+y≦
90である) で表される材料から実質的に成るスパッタリングターゲ
ットを用いて、Siを含むZr−Cr−O系材料層を形
成する、請求項15に記載の情報記録媒体の製造方法。 - 【請求項20】 前記式(210)で表される材料が、
ZrO2とSiO2を略等しい割合で含み、式(22
0): 【化12】 (ZrSiO4)z(Cr2O3)100-z(mol%)...(220) (式中、zは、25≦z≦67の範囲内にある) で表される材料である、請求項19に記載の情報記録媒
体の製造方法。 - 【請求項21】 基板および記録層を含み、さらにZr
−Cr−Zn−O系の材料から実質的に成る層を含む情
報記録媒体の製造方法であって、当該Zr−Cr−Zn
−O系の材料から実質的に成る層をスパッタリング法で
形成する工程を含み、この工程において、式(30): 【化13】 (ZrO2)c(Cr2O3)e(D)f(SiO2)100-c-e-f(mol%)...( 30) (式中、Dは、ZnS、ZnSeまたはZnOであり、
c、eおよびfはそれぞれ、20≦c≦60、および2
0≦e≦60、10≦f≦40の範囲内にあり、且つ6
0≦c+e+f≦90である) で表される材料から実質的に成るスパッタリングターゲ
ットを用いる、情報記録媒体の製造方法。 - 【請求項22】 前記式(30)で表される材料が、Z
rO2とSiO2を略等しい割合で含み、式(310): 【化14】 (ZrSiO4)a(Cr2O3)b(D)100-a-b(mol%)...(310) (式中、Dは、ZnS、ZnSeまたはZnOであり、
aおよびbはそれぞれ、25≦a≦54、および25≦
b≦63の範囲内にあり、且つ50≦a+b≦88であ
る) で表される材料である、請求項21に記載の情報記録媒
体の製造方法。
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---|---|---|---|
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