以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(動弁装置の基本構成)
図1は、可変動弁装置をエンジンの吸気バルブに適用した全体構成を示す。このエンジンは1つの気筒に2つの吸気バルブ1,2と2つの排気バルブ(図示省略)とを有する4バルブのダブルオーバヘッドカム方式を採用したものである。同図において、3はエンジンのクランク軸に同期して回転するカムシャフトである。吸気バルブ1,2の各々はカムシャフト3に揺動自在に支持された揺動カム4,5によって駆動され、バルブリフト量及びバルブタイミングがエンジンの運転状態に応じて変更される。
この可変動弁装置(機構)は、図2に示すように、カムシャフト3に支持される偏心カム6、この偏心カム6に外嵌めされるオフセットリンク7、揺動カム4,5、オフセットリンク7と揺動カム5とを連結する連結リンク8、オフセットリンク7に結合され、このオフセットリンク7の動きを規制する規制リンク13、規制リンク13が結合されるコントロールアーム12、コントロールアーム12を支持するコントロールシャフト11を含む。以下、この可変動弁装置の構成について詳しく説明する。
図1及び図3に示すように、吸気バルブ1,2のリフト量及びタイミングの変更のために、カムシャフト3に複数の偏心カム6が軸方向に間隔を空けて設けられ、各偏心カム6にオフセットリンク7が回転自在に外嵌めされている。このオフセットリンク7と上記揺動カム5とが1本の連結リンク8によって連結されている。揺動カム4は揺動カム5と一体になって揺動するようにカムシャフト3に支持されている。また、上記カムシャフト3と平行にコントロールシャフト11が設けられており、このコントロールシャフト11に複数のコントロールアーム12が軸方向に間隔をおいて結合されている。各コントロールアーム12と上記オフセットリンク7とは、上記偏心カム6の回転に伴うオフセットリンク7の変位を上記揺動カム4,5が揺動するように規制する規制リンク13によって連結されている。
上記コントロールシャフト11には、円周の一部のみに歯が形成されたウォーム歯車14が結合されている。このウォーム歯車14の歯にモータ15で回転駆動されるウォーム16が噛み合っている。そうして、エンジンの運転状態に応じてモータ15を作動させて上記コントロールアーム12を回動させ、上記規制リンク13の位置を変えて吸気バルブ1,2のリフト量及びタイミングを変更させるようになっている。この場合、コントロールアーム12は、エンジン負荷が高くなるほどバルブリフト量が大きくなるように制御される。以下、可変動弁装置について具体的に説明する。
図3に示すように、吸気バルブ2のステム上端に直動式タペット21が設けられ、該タペット21に揺動カム5が当接している。吸気バルブ2は、タペット内部に設けられたリテーナ22とシリンダヘッドに設けられたリテーナ23との間に設けられたバルブスプリング24によって吸気ポート25を閉じる方向に付勢されている。吸気バルブ1も吸気バルブ2と同様の構成になっている。
連結リンク8は一端が揺動カム5にピン(揺動カムピン)31にて回動自在に連結され、規制リンク13は一端がコントロールアーム12の先端にピン32にて回動自在に連結されている。そうして、この連結リンク8と規制リンク13とは、オフセットリンク7を中間において連係している。すなわち、連結リンク8及び規制リンク13の各々の他端はオフセットリンク7を一部を外方へ突出させてなる突出部に連結ピン33によって同軸で回動自在に連結されている。ピン31〜33はいずれもカムシャフト3と平行に延びている。
オフセットリンク7と連結リンク8との連結ピン(オフセットリンクピン)33はカムシャフト3の上方に配置され、該連結点の側方にコントロールアーム12のコントロールシャフト11が配置されている。コントロールアーム12の先端のピン32は規制リンク13の回動中心である。このピン32をコントロールシャフト11の下方に配置した図3は、大リフト制御状態である。図4に示すようにコントロールアーム12の回動によってピン32を上方へ移動させてカムシャフト3の上方に位置付けると、小リフト制御状態となる。
図3の(a)及び(b)に示すようにオフセットリンク7の位置は偏心カム6の回転に伴って変化し、揺動カム5が同図(a)に示すように直動式タペット21を介して吸気バルブ2を大きくリフトさせた状態(揺動カム4が直動式タペットを介して吸気バルブ1を大きくリフトさせた状態)と、同図(b)に示すように吸気バルブ2(吸気バルブ1)のリフト量零の状態との間で揺動する。小リフト制御状態である図4の場合も同様である(同図(a)及び(b)参照)。
図5に上記可変動弁装置の作動を具体的に示す。なお、コントロールアーム12、連結リンク8及び規制リンク13については直線で表している。また、T3は偏心カム6の中心の回転軌跡である。また、吸気バルブ1と揺動カム4との関係も吸気バルブ2と揺動カム5との関係と同じであり、揺動カム4は揺動カム5と同様に働くので、以下では、吸気バルブ2と揺動カム5との関係で当該可変動弁装置を説明する。
まず、揺動カム5の周面には、曲率半径が所定角度範囲一定になっている基円面(ベースサークル区間)θ1と、該θ1に続いて曲率半径が漸次大きくなっているカム面(リフト区間)θ2とが形成されている。カムシャフト3(偏心カム6)の回転方向は図5における時計方向(右回り)に設定されている。図5に実線で示す状態は、コントロールアーム12が大リフト制御位置とされ、オフセットリンク7の連結ピン33が最も上方に位置付けられたバルブリフトピーク時(バルブリフト量の最大時)である。このときに、揺動カム5はカム面θ2のカムノーズ側の端がタペット21に当接した状態になるように設けられている。
図5の実線状態において、偏心カム6が回転すると、それに伴ってオフセットリンク7が変位するが、その変位は規制リンク13によって規制される。すなわち、規制リンク13はコントロールシャフト11の下方に配置されたピン32を中心に回動するから、オフセットリンク7の連結ピン33は、偏心カム6が1回転する度に、ピン32を中心として往復円弧運動T1をすることになる(規制リンク13は実線状態と破線状態との間で往復回動する)。
上記連結ピン33の往復円弧運動T1に伴って、オフセットリンク7に連結リンク8で連結された揺動カム5は、実線状態と破線状態との間で揺動運動をする。揺動カム5は破線状態ではその基円面θ1がタペット21に接しており、バルブリフト量は零(吸気バルブ1,2は閉)となる。
揺動カム5が図5の実線状態と破線状態との間で揺動するときの吸気バルブ1,2のリフト特性を図6にL1で示す。
次にコントロールアーム12を図5に実線で示す状態からコントロールシャフト11周りに上方へ回動させて、規制リンク13の回動中心であるピン32を大リフト制御時よりもカムシャフト3の回転方向手前側に位置付けた1点鎖線で示す略水平な状態にすると、小リフト制御状態となる。すなわち、偏心カム6が回転するとき、オフセットリンク7の連結ピン33は規制リンク13によって変位が規制され、コントロールシャフト11の側方に配置されたピン32を中心として往復円弧運動T2をすることになる(規制リンク13は1点鎖線状態と2点鎖線状態との間で往復回動する)。
上記連結ピン33の往復円弧運動T2に伴って、オフセットリンク7に連結リンク8で連結された揺動カム5は、1点鎖線状態と破線状態との間で揺動運動をする。なお、本例の場合、連結ピン33が往復円弧運動Bによってバルブリフト量零になったときの位置(2点鎖線位置)は、往復円弧運動Aによってバルブリフト量零になったときの位置(破線位置)と略同じであるから、連結ピン33が往復円弧運動Bによって2点鎖線位置に位置付けられたときの揺動カム5の状態は破線状態で代用した。
揺動カム5が図5の1点鎖線状態と破線状態との間で揺動するときの吸気バルブ1,2のリフト特性を図6にL2で示す。
そうして、上述の如く大リフト制御時から小リフト制御時への移行にあたっては、コントロールアーム12の回動により規制リンク13の回動中心であるピン32を移動させて連結ピン33の往復円弧運動の位置をT1からT2へ、すなわち、カムシャフト3の回転方向手前側に移動させている。これにより、大リフト制御時にはバルブリフトピーク時の偏心カム6の中心はTaに位置するが、小リフト時にはバルブリフトピーク時の偏心カム6の中心はTbに移動する。つまり、大リフト制御時から小リフト制御時に移行したとき、バルブリフトピーク時はTaとTbとに関する中心角θ3だけ進角することになる。
このように、バルブリフト量を小さくしていくと、バルブリフトのピーク時が進角するから、図6に示すように、バルブリフト量の大小に拘わらず吸気バルブ1,2の開弁開始時期を略揃える上で有利になる。
上記連結リンク8と規制リンク13とがオフセットリンク7を中間において連係しているから、コントロールアーム12によって規制リンク13の位置を大きく変更させて揺動カム5によるバルブリフト量を大きく変化させることができ、このバルブリフト量の制御のみでエンジンの運転状態に応じた最適な吸気量を得ることができるため、スロットルレスとしてポンピングロスを低減することができるとともに、大リフト制御時の吸気充填効率を向上させることができる。
また、上記実施形態では、揺動カム5とオフセットリンク7とを1本のリンク8で連結し、該リンク8及び規制リンク13各々の一端をオフセットリンク7に連結する構成としたから、部品点数を少なくして構成を簡単にすることができ、可変動弁装置のコンパクト化及び軽量化に有利になる。しかも、コントロールアーム12のコントロールシャフト11をオフセットリンク7の連結ピンの側方に配置したから、可変動弁装置全体が嵩高なものにならず、既存のエンジンに対して、特に直動タペット式のエンジンに対して、エンジンの全高が増大することを抑えつつ且つ大きな設計変更をすることなく、組込む上で有利になる。
(リンク機構の最適化)
可変動弁装置のコンパクト化を図る方策の一つとして、偏心カム6(及びオフセットリンク7)を小さくすることが挙げられる。また、可変動弁装置では、狭角リフト化の実現、つまり、小さい開弁角で大きなバルブリフト量を得て吸気バルブの早閉じを実現し、それによって燃費の向上を図りたいという要求がある。
可変動弁装置のコンパクト化を図るべく偏心カム6を小さくした場合、オフセットリンク7のピン33の往復円弧運動の角度変化は小さくなる。この状態で狭角リフト化を図るには、オフセットリンクピン33の角度の微小変化に対して、揺動カム5のピン31の角度変化を大きくする必要がある。
このことについて、図7を参照しながら説明する。同図(a)は、オフセットリンクピン33の往復円弧運動の軌跡T4と、揺動カムピン31の揺動運動の軌跡T5とをそれぞれ示している。また、同図(b)も同様であり、軌跡T4,T5は、図7の(a),(b)で、互いに同じである。
同図(a)は、揺動カムピン31の角度変化の接線が、オフセットリンクピン33の角度変化の接線に対して略直交する箇所で、揺動カムピン31を揺動させた場合を示していて、この場合、連結リンク8の長さは比較的短くなる。これに対し、同図(b)は、揺動カムピン31の角度変化の接線が、オフセットリンクピン33の角度変化の接線に対して略平行となる箇所で、揺動カムピン31を揺動させた場合を示していて、この場合、連結リンク8の長さは比較的長くなる。
同図の(a)(b)を比較すると、オフセットリンクピン33の角度がdxだけ微小変化したときに、揺動カムピン31のdx方向への変位量は(a)(b)共に同程度であるが、(a)の場合は、揺動カムピン31の角度変化(α)が大きいのに対し、(b)の場合は、揺動カムピン31の角度変化(β)が小さいことがわかる。同図(a)に示すように、揺動カムピン31をオフセットリンクピン33に近接した位置で、その揺動カムピン31を揺動させることで、揺動カム5を効率よく揺動させることが可能になり、可変動弁装置のコンパクト化を図りつつ、狭角リフト化の実現が図られる。また、連結リンク8の長さが短くなることから、可変動弁装置の更なるコンパクト化が図られると共に、リンクの剛性の点でも有利になる。さらに、揺動カムピン31をオフセットリンクピン33に近接させることで連結リンク8が他部材と干渉しなくなることから、連結リンク8の屈曲を小さくすることができ、リンクの高剛性の点でより一層有利になる。
このように、揺動カム5のピン31をオフセットリンク7のピン33に近接させることで揺動カム5のピンを効率よく揺動させることができるが、バルブ2のリフト量と開弁角とは、揺動カム5をどのように揺動させるかによって決定される。
このことについて、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は、図7(a)に示すリンク構造において、カムシャフトの回転角(クランク角)に対する揺動角の変化、つまり揺動プロファイルを示している。この揺動プロファイルにおいて、E1で囲まれた領域は、オフセットリンクピン33が、図5に示す実線の位置から破線の位置に向かうときに対応し、E2で囲まれた領域は、オフセットリンクピン33が、破線の位置から実線の位置に向かうときに対応する。これによると、E1で囲まれた領域は、クランク角変化に対する揺動角の変化が緩やかであり、E2で囲まれた領域はクランク角変化に対する揺動角の変化が急峻である。
ここで、図7(a)に示すリンク構造においては、図9(a)に示すように、揺動カム5をタペット21側から引く(同図の実線の矢印参照)ことでバルブを開弁させる場合と、図9(b)に示すように、揺動カム5をタペット21側に押す(同図の矢印参照)ことで、バルブを開弁させる場合との2つが考えられる。図9の(a)の場合の揺動カム5の形状は、カムノーズが揺動中心を挟んで揺動カムピン31とは逆側に位置し、図9の(b)の場合の揺動カム5の形状は、カムノーズが揺動中心に対して揺動カムピン31と同じ側に位置する。図9の(b)の場合は、図8において、揺動角の変化が緩やかなE1で囲まれる揺動プロファイルを利用することになり、その結果、開弁角が大きくなる。これに対し、図9の(a)の場合は、図8において、揺動角の変化が急峻なE2で囲まれる領域の揺動プロファイルを利用することになり、その結果、開弁角が小さくなる。これにより、エンジン性能から要求されるバルブリフト特性を達成することができる。従って、狭角リフト化を実現するには、図9の(a)に示すように、揺動カム5のカムノーズを揺動中心を挟んでピン31とは逆側に設けることが必要となる。
また、バルブリフトピーク時からバルブの閉じ方向に揺動カム5が戻る際に、バルブスプリング反力がカムノーズに作用するが、カムノーズを揺動中心を挟んでピン31とは逆側に設けることによって、そのピン31には、揺動カム5を戻す方向のモーメントが作用する(図9(a)の破線の矢印参照)。それによって、ピン31に入力される荷重が緩和されるという利点がある。
以上、説明したように、可変動弁装置のコンパクト化と、狭角リフト化とを両立させるためにリンク機構を最適化させると、カムシャフト3、コントロールシャフト11、揺動カム4,5、偏心カム6、オフセットリンク7、連結リンク8、規制リンク13、コントロールアーム12の配置は、図9(a)に示すようになる。同図は、上述したように、バルブリフト量が最大時の状態を示していて、コントロールアーム12、連結リンク8及び規制リンク13によって、カムシャフト3の軸方向に見て略N字が形成されるように、これらコントロールアーム12、連結リンク8、規制リンク13がそれぞれ配置される。また、バルブリフト量の最大時において、オフセットリンク7のピン33が、コントロールアーム12の回動中心(コントロールシャフト11の中心)に近接して配設される。
この構成のリンク機構では、バルブリフト量の最大時に、連結リンク8と揺動カム5とが略直線状に配設される。このため、特にエンジンの高回転時で慣性力が大きいときには、揺動カム5のオーバランが生じる虞がある。こうした揺動カム5のオーバランを防止するために全体の諸元(特に、コントロールシャフト11の位置)を見直すことも考えられるが、その場合は、可変動弁装置が大型化してしまうことになる。
そこで、本実施の形態では、揺動カム5の揺動中心に対する連結リンク8の位置と、揺動カム5のピン31の位置とが次のように設定されている。つまり、図10に示すように、揺動カム5と連結リンク8との連結点を(A)、オフセットリンク7と連結リンク8との連結点を(B)、揺動カム5の揺動中心点(カムシャフト3中心点)を(C)としたときに、バルブリフト量の最大時に、連結点(B)と中心点(C)とを結ぶ直線(BC)に、連結リンク8の一部が重なるように連結点(A)の位置を設定する。ここで、図11に示すように、連結リンク8は、ピン31,33が挿入されるピン孔81と、そのピン孔81周囲のピンボス部82とを有しているが、上記直線(BC)に、連結リンク8のピンボス部82が重なるように、連結点(A)の位置を設定してもよい。連結点(A)の位置を直線(BC)に近接させることで可変動弁装置のコンパクト化が図られる。
また、連結点(A)の連結点(B)を中心とした円軌跡T6と、上記連結点(A)の中心点(C)を中心とした円軌跡T7とが、バルブリフト量の最大時に、直線(BC)上でオーバラップ(図10のdx参照)するように、揺動カム5の揺動中心に対する連結リンク8の位置が設定されている。円軌跡T6,T7をオーバラップさせることにより、連結点(A)が直線(BC)を通り越すことがない。その結果、揺動カム5のオーバランを確実に防止して、所望のバルブリフト特性を確実に得ることができる。
尚、ここでは、直線(BC)に連結リンク8のピンボス部82が重なるよう連結点(A)の位置を設定するとしたが、これに変えて、直線(BC)に連結リンク8のピン孔81が重なるよう連結点(A)の位置を設定してもよい。
また、上記オーバラップ量(dx)が所定以上となるように、連結点(A)の位置と、揺動カム5の揺動中心に対する連結リンク8の位置とを設定してもよい。さらに、バルブリフト量の最大時に、∠ABCが所定角以下となるように、連結点(A)の位置と、揺動カム5の揺動中心に対する連結リンク8の位置とを設定してもよい。
(揺動カムの構成)
上記揺動カム5は、バルブの開閉に伴い揺動方向(回転方向)が切り替わる。このため、揺動カム5の揺動中心周りの慣性力が大きいと、バルブリフトピーク時の揺動方向が切り替わる際に、揺動カム5のオーバランが生じ、それによって、バルブのリフト特性が変わってしまうという不都合がある。
上述したように、本実施の形態に係る揺動カム5は、連結リンク8が連結されるピン31が、揺動中心(カムシャフト中心)を挟んでカムノーズとは逆側に位置する。この構成によって、揺動カム5の揺動中心周りの慣性力を小さくしている。このことについて、図12及び図13を参照しながら、さらに詳細に説明する。
この揺動カム5は、カムノーズ部52が外方に大きく張り出している。このため、連結部51(上記ピン31の挿入孔51aが形成される部分)が設けられていない仮定すると、揺動カムの重心位置は、揺動中心よりもカムノーズ部52側にずれることになる。そこで、カムノーズ部52の先端点(ノーズ点)と揺動中心とを結ぶ直線L1に対し、揺動中心において直交する直線L2を挟んで、カムノーズ部52側とは逆側に連結部51を設ける。この連結部51は質量部分として機能することから、連結部(質量部)を設けることによって、カムノーズ部52側に移動した揺動カム5の重心位置を、揺動中心に近づけることができる。その結果、揺動カム5の揺動中心周りの慣性力が小さくなり、バルブリフトピーク時の、揺動カム5の揺動方向が切り替わるときに、揺動カム5がオーバランすることが効果的に防止される。
上記揺動カム5にはまた、揺動中心よりもカムノーズ部52側の位置であって、タペット21に摺動するカム面側とは逆側の位置に、除肉部53が設けられている。この除肉部53は、図13に示すように、リブ54を挟んだ両側に設けられている。リブ54を設けることによって揺動カム5の剛性を確保する。この除肉部53,53を設けることによって揺動カム5が軽量化し、それによってバルブ軸線方向の慣性質量が小さくなる。その結果、エンジンの回転限界を高めることができる。
除肉部53を設けることによって、揺動カム5の重心位置は変更される。つまり、連結部51及び除肉部53が設けられていない揺動カム5においては、その重心位置はノーズ点と揺動中心とを結ぶ直線L1上に位置する。この揺動カム5において、上記直線L1に対してカム面側とは逆側位置に、除肉部53を設けると、揺動カム5の重心位置は上記直線からカム面の側にずれる。そこで、除肉部53の形成位置に対応して、連結部51は直線L2を挟んだカムノーズ部52側とは逆側の位置であって、上記直線L1よりも除肉部53の形成側の位置に設ける。これによって、揺動カム5の重心位置を揺動中心に近づけることができる。
このことは、図14に示すように、揺動カム5におけるベース円部(揺動中心C1を含み、同図において2点鎖線で示されるベース円で囲まれる部分)57を除いた、カムノーズ部(同図の斜線を付した部分)52の重心位置G1と、連結部(同図の斜線を付した部分)51の重心位置G2とを結ぶ直線L3が、揺動中心C1の近傍を通ることと等価である。つまり、ベース円部57の重心位置は揺動中心に一致する。そこで、カムノーズ部52の重心位置G1と、連結部51の重心位置G2とを結ぶ直線L3が、揺動中心の近傍を通るように、連結部51と除肉部53とのそれぞれを設ける。こうすることで、揺動カム5の重心位置が揺動中心の近傍に設定されることになる。
さらに、揺動カム5の連結部51と除肉部53とは、次のような観点からその配設位置を設定してもよい。つまり、揺動カム5の重心位置を揺動中心に近づけるのであれば、揺動カム5の連結部51は、揺動中心に対してノーズ点とは180°逆側位置に設ければよい。つまり、連結部51は、図12に示す直線L1上に設ければよい。
これに対し、揺動カム5に連結される連結リンク8にはバルブスプリング反力が作用するが、バルブリフトピーク時に、バルブ軸線方向と略等しくなるように上記連結リンク8を配置すれば(図9(a)参照)、ピン31へのこじり入力を抑制することができ、連結リンク8及びピン31の剛性において有利である。この観点からは、揺動カム5の連結部51は、揺動中心に対して、ノーズ点とは180°逆側位置ではなく、その180°逆側位置からずれた位置に設けることが好ましい。
こうして、ノーズ点と連結部51とが、揺動中心について点対称とはならない場合、揺動カム5の重心位置は、揺動中心からずれる(直線L1上からずれる)ことになる。そこで、除肉部53を設けることによって、揺動カム5の重心位置を、揺動中心に近づけるようにする。つまり、上記除肉部53は揺動カム5の重量を低減させるだけでなく、揺動カム5の重心位置をコントロールすることに利用することが可能である。
上述したように、揺動カム4は、揺動カム5と一体になって揺動するようにカムシャフト3に支持されている。具体的には、図13に示すように、カムシャフト3に外挿される円筒部56によって一対の揺動カム4,5が互いに連結されて、揺動カム部材50が構成される。オフセットリンク7の往復円弧運動が連結リンク8によって伝達されることで上記揺動カム5はカムシャフトを軸として揺動するが、円筒部56を介してこの揺動カム5と一体とされた揺動カム4も、同じくカムシャフト3を軸として揺動する。
この一対の揺動カム4,5の内の一方のカム5には、上述したように、連結リンク8の連結部51が設けられているが、他方の揺動カム4には連結部51は設けられていない。この他方の揺動カム4には、連結部51の代わりに余肉部55が設けられる。この余肉部55は、連結部51と同様に、ノーズ点と揺動中心とを結ぶ直線L1に対し、揺動中心において直交する直線L2を挟んだカムノーズ側とは逆側の位置に設けられる。これにより、揺動カム4の重心位置を揺動中心に近づけ、揺動カム4のオーバランを防止する。また、この揺動カム4にも、揺動中心よりもカムノーズ部52側の位置であって、カム面側とは逆側の位置に、除肉部53が設けられている。こうして、一対の揺動カム4,5を一体化してなる揺動カム部材50の軽量化を図ると共に、各揺動カム4,5のオーバランを防止する。
(偏心カムの構成)
カムシャフト3に外挿される偏心カム6は、基本的には円盤状であり、その円盤の外周面にオフセットリンク7が摺動可能に嵌め込まれる。このオフセットリンク7(偏心カム6)は、カムシャフト3の軸方向への倒れを防止してリンク動作を確保するために、所定以上の幅(厚み)が必要となる。このため、偏心カム6とオフセットリンク7との摺動面積が大きくなって、フリクションが増大するという不都合がある。
そこで、上記偏心カム6には、図15に示すように、その外周面の一部に除肉部61,61が設けられている。この除肉部61によって、偏心カム6及びオフセットリンク7の幅を所定以上に確保しつつも、偏心カム6とオフセットリンク7との摺動面積が小さくなり、オフセットリンク7の倒れの防止とフリクションの低減とが両立する。
さらに詳細に説明すると、この除肉部61は、偏心カム6の中心点C2に対して、カムシャフト3挿入孔側とは逆側の外周面に設けることが好ましい。より好ましくは、偏心カムの中心点C2とカムシャフト挿入孔の中心点C1とを結ぶ直線L4を挟んで、約90°の角度範囲に除肉部61を設けることが好ましい。言い換えると、上記直線L4に対し、偏心カム6の中心点C2において直交する方向の外周面には、除肉部61を設けないことが好ましい。これは、偏心カム6の中心点C2と偏心カム6の回転中心C1とがオフセットしていることから、エンジン高回転時の慣性力の大きい場合において、リフトピーク時(偏心カム6とオフセットリンク7とは、図15に示す状態となる)からバルブが閉じ側に戻る際、つまり、図3(a)に示す状態から同図(b)に示す状態に移行する際であって、偏心カム6が上方位置から下方位置に降りる際に、オフセットリンク7の内周面に大きな荷重が加わり(図15の矢印参照)、面圧が高くなるためである。つまり、偏心カム6の側方に除肉部61を設けたのでは、偏心カム6とオフセットリンク7との摺動面に油膜が形成されず、焼きつきが生じるためである。そのため、除肉部61は、上記直線L4を挟んだ約90°の角度範囲に設けることが好ましい。但し、直線L4を挟んだ約90°の角度範囲であっても、直線L4上には除肉部61を設けないことが好ましい。これは、バルブリフトピーク時のオフセットリンク7のピン33に荷重が入力された際に、オフセットリンク7が変形することを防止するためである。
尚、偏心カム6に除肉部を設ける代わりに、図15に一点鎖線で示すように、オフセットリンク7の内周面に除肉部71,71を設けてもよい。オフセットリンク7の突出部(ピン孔が形成された部分)は厚肉であるため、除肉部71,71の形成に最適である。この位置に除肉部71を設けると、上述した面圧が高くなる箇所(オフセットリンク7の内周面において、上記突出部側とは逆側の付近が面圧の高くなる箇所に相当する)を外して除肉部を設けることになる。オフセットリンク7に除肉部71を設けた場合、偏心カム6及びオフセットリンク7間のフリクションが低減する上に、リンクが軽量化するため慣性力が低減する。その結果、オフセットリンク7の歪変形が抑制されるという追加の効果が得られる。
偏心カム6は、カムシャフト3に対し、軸方向に挿入されて固定される。具体的には、図15に示すように、偏心カム6の回転中心C1を通るように、その側面に開口する圧入ピン63の挿入孔62が形成されている。また、カムシャフト3にも軸直方向に圧入ピン63の挿入孔34が形成されている。そうして、偏心カム6のシャフト挿入孔にカムシャフト3が軸方向に挿入された状態で、上記偏心カム6の挿入孔62とカムシャフト3の挿入孔34とに圧入ピン63が圧入されることで、上記偏心カム6がカムシャフト3に対して固定される。
ところが、この圧入ピン63により偏心カム6をカムシャフト3に固定する構成では、その組み付けが困難であるという不都合がある。また、圧入ピン63によって偏心カム6をカムシャフト3に一旦固定してしまえば、偏心カム6とカムシャフト3とを分解することができないという不都合もある。さらに、偏心カム6の中心点C2とは、ずれた位置に挿入孔62を形成しなければならず、偏心カム6の加工が困難になるという不都合もある。
カムシャフト3に組みつけられた偏心カム6に対して、その軸方向の両側位置には連結リンク8及び規制リンク13が位置することから、偏心カム6と、それに隣り合う揺動カム4,5との間にはスペースが存在する。
そこで、偏心カム6は、図16に示すように、その側面からカムシャフト3の軸方向に突出するボス部(締結部)64を設けても良い。このボス部64は、カムシャフト3が挿入されるシャフト挿入孔を有する略円筒状であって、その外周面から軸直方向に貫通するリーマ締結用の締結孔65が形成されている。また、ボス部64は、締結孔65の形成側は厚肉に、締結孔65の形成側の逆側は薄肉に形成されている。これによって、他の部材の干渉を防止する。
このように、偏心カム6にボス部64を設けることによって、偏心カム6をカムシャフト3に固定する際に、その周側面から圧入ピン63を圧入することがなく、偏心カム6の組み付け性を向上させることができる。また、偏心カム6とカムシャフト3との組み付けはリーマ締結によるため、偏心カム6をカムシャフト3に固定した後でも、その偏心カム6とカムシャフト3とを分解することができる。さらに、ボス部64によって、偏心カム6の軸方向長さが長くなり、偏心カム6のカムシャフト3に対する組み付け精度が高まるという効果も得られる。尚、図16中、符号66は、偏心カム6に設けられたつば部であり、このつば部66によりオフセットリンク7の位置ずれを防止する。
(組み付け)
図1に示すように、可変動弁装置は、カムシャフト3とコントロールシャフト11とを有しているため、可変動弁装置のコンパクト化を図るには、これら2つのシャフト2,11を比較的近接させて配設する必要がある。このため、コントロールシャフト11が、カムシャフト3に被せられる軸受キャップの締結ボルト(シャフトを挟んだ両側に配置される2つの締結ボルトの内の一方の締結ボルト)と干渉してしまうことになる。また、カムシャフト3とコントロールシャフト11とが近接していることから、カムシャフト3の軸受キャップに、コントロールシャフト11の軸受部を一体に形成することが考えられるが、この場合でも、コントロールシャフト11と軸受キャップの締結ボルトとの干渉は避けられない。このコントロールシャフト11と締結ボルトの干渉によって、締結ボルトの軸力に不均一が生じ、カムシャフト3の軸受を仕上げ加工する際の刃の当りが一様でなくなり、軸受の精度低下を招くという不都合がある。
また、既存のエンジンに上記の可変動弁装置を組み付ける場合、揺動カム5、偏心カム6及びオフセットリンク7が取り付けられたカムシャフト3を、シリンダヘッドの上面に形成された半割状の軸受部に軸受キャップによって組み付けた状態で、コントロールシャフト11の組み付けと各リンクの組み付けとを行わなければならず、可変動弁装置に組み付けが極めて困難であるという不都合もある。
そこで、本実施の形態では、シリンダヘッドの上面側に中間部材を取り付けるようにした。つまり、この中間部材に可変動弁装置を組み付けて一体化した上で、その可変動弁装置を組み付けた中間部材をシリンダヘッドに固定することとした。
このことについて、図17〜図19を参照しながら具体的に説明する。このエンジン(シリンダヘッドCH)は既存のものと略同じである。燃焼室形状は、ペントルーフタイプに形成されており、バルブ軸線LI,LEがシリンダ軸線LCに対して傾く。尚、図17中、符号91は吸気通路、92の排気通路、93はインジェクタ、44は点火プラグホールである。
上記中間部材40は、その下面側(クランク軸に対してシリンダ軸線方向に近い側の面であって、シリンダヘッドCHとの取付側)に、下方に開口する半割り状の軸受部41,42を有していて、軸受部41は、吸気バルブのカムシャフト3用、及び排気バルブのカムシャフト用のそれぞれについて形成されている。これらの軸受部41,42は、中間部材40をシリンダヘッドCHに取り付けた際に、吸気及び排気バルブの軸線LI,LE上となる位置にそれぞれ設けられている。
また、上記中間部材40の上面側(クランク軸に対してシリンダ軸線方向に遠い側の面)であって、吸気側カムシャフトの軸受部41の斜め上方位置には、上方に開口する半割状の軸受部43が形成されている。この軸受部43は、コントロールシャフト用の軸受部43である。このコントロールシャフト用の軸受部43は、中間部材40をシリンダヘッドCHに取り付けた状態において、吸気側カムシャフトの軸受部41に対して、吸気バルブの軸線LB方向の上方位置に位置する。
上記カムシャフト用の軸受部41,42には、図17,18に示すように、軸受キャップ45,46,48がそれぞれ下側から被せられ、締結ボルト45a,46aが下側からシリンダ軸線方向LCに挿入されてその軸受キャップ45,46,48が中間部材40に締結される。
この内、吸気側カムシャフト3には、上述したように、一対の揺動カム4,5が一体化された揺動カム部材50が外挿されるが、この揺動カム部材50の円筒部56が、中間部材40に形成された軸受部41に嵌め込まれる。そして、その円筒部56に軸受キャップ48が被せられて締結される。上記揺動カム部材50の円筒部56は、一対の揺動カム4,5を連結する機能と、カムシャフト3及び揺動カム部材50のジャーナルの機能とを有する。このカム部材50に被せられる軸受キャップ48は、図20に示すように、半割りの軸受部48aと、その軸受部48aの縁部から軸方向の両側に突出するつば部48bとを有する。このつば部48bは、図21に示すように、軸受キャップ48がカム部材50の円筒部56に被せられた状態で各揺動カム4,5の側面と当接する。これによって、上記カムシャフト3に外挿された揺動カム部材50の軸方向への移動を規制する。尚、吸気側カムシャフト3の両端部に被せられる軸受キャップ45は、つば部48bを有しない軸受キャップである。
これに対し、コントロールシャフト用の軸受部43には、図17,19に示すように、軸受キャップ47が上側から被せられ、締結ボルト47aが上側からシリンダ軸線方向LCに挿入されてその軸受キャップ47が中間部材40に締結される。尚、コントロールシャフト11のスラスト規制は、図示省略の止め輪によって行えばよい。
このように、カムシャフト3用の締結ボルト45aを下側から挿入することで、その締結ボルト45aと、コントロールシャフト11との干渉を解消することができる。その結果、一つの軸受キャップ45,48を締結する2つの締結ボルト45aの軸力が均一になり、カムシャフトの軸受精度が高まる。
また、カムシャフト用軸受部41とコントロールシャフト用軸受部43とはバルブ軸線LIに沿うように配置されているため、コントロールシャフト11用の締結ボルト47aは、カムシャフト3用の締結ボルト45aとはシリンダ軸線CHに直交する方向にずれて配置され、その上、コントロールシャフト11用の締結ボルト47aは、カムシャフト3用の締結ボルト45aとは逆側(上側)から挿入されるため、これらの締結ボルト45a,47a同士が干渉することも回避される。
ここで、中間部材40に対する可変動弁装置の組み付け手順について説明すると、先ず、カムシャフト3に対して、偏心カム6及びオフセットリンク7と、揺動カム部材50とを交互に挿入する。偏心カム6は、圧入ピン63(図15参照)、又はリーマボルト(図16参照)によってカムシャフト3に固定する。また、揺動カム5とオフセットリンク7とを連結リンク8により連結する。こうして組み上げられたカムシャフト3を、中間部材下面に設けられた軸受部41に嵌めこみ、カムシャフト3の両端部と揺動カム部材50の円筒部56とのそれぞれに、軸受キャップ45,48を被せる。こうして、カムシャフト3の中間部材40への取り付けと、カムシャフト3及び揺動カム部材50のスラスト規制とを行う。
カムシャフト3を中間部材40に取り付ければ、次は、コントロールシャフト11に外挿されたコントロールアーム12とオフセットリンク7とを規制リンク13によって連結してリンク機構を完成させ、そのコントロールシャフト11を中間部材40の上面に設けられた軸受部43に嵌めこむ。
そして、上記軸受部43に上側から軸受キャップ47を被せて、コントロールシャフト11を中間部材40に組み付ける。こうして、可変動弁装置が中間部材40に組みつけられて一体化される。
この中間部材40は、軸受キャップ45,46,48,47の取り付け孔とは別個に、中間部材40に設けられたシリンダヘッド組み付け用ボルト孔HB(図18参照)に締結ボルトが挿入されて、シリンダヘッドCHに固定される。
このように、中間部材40に、カムシャフト用軸受部41とコントロールシャフト用軸受部43との双方を設けることで、この中間部材40に、カムシャフト3、コントロールシャフト11、揺動カム部材50、偏心カム6、オフセットリンク7、連結リンク8、規制リンク11、コントロールアーム12、からなる可変動弁装置を一体化することができる。そして、その中間部材40を、シリンダヘッドCHに組み付けるだけで、既存のシリンダヘッドCHに可変動弁装置を組み付けることが可能になる。こうして、可変動弁装置の組み立て性を向上させることができる。
(中間部材についての参考例)
図22は、中間部材の参考例を示している。この中間部材40’は、軸受キャップを用いない構成とされている。これにより、部品点数の低減化が図られる。つまり、カムシャフト用軸受部は、シリンダヘッドCHの上面に設けた半割状の軸受部94,95と、中間部材40’の下面側に下方に開口するように設けた半割状の軸受部41,42とで構成される。また、コントロールシャフト11用の軸受部49は、中間部材40’の上部位置に一体に形成される(半割りでない)。コントロールシャフト11はクランク軸に同期して回転するものではないため、カムシャフト3の軸受ほどには精度が要求されない。このため、一体に形成した軸受部49とすることが可能である。
この中間部材40’は、締結ボルト41a,42aによってシリンダヘッドCHに取り付けられるが、その締結ボルト41a,42aは、中間部材40’のシリンダヘッドCHへの固定と、カムシャフトの軸受41,42,94,95の締結とを兼用するように構成されている。尚、吸気側カムシャフト用に取り付けられる締結ボルト41aと、排気側カムシャフト用に取り付けられる締結ボルト42aとが互いに同じ長さとなるように、中間部材40’における排気側カムシャフトの取り付け部分は嵩高に形成されている。こうして締結ボルト41a,42aの共用化を図ってもよい。尚、締結ボルトは長さの異なるものとなるが、エンジンの小型化のために、中間部材40’における排気側カムシャフトの取り付け部分を、吸気側カムシャフトの取り付け部分よりも低く形成してもよい。
尚、この中間部材40’に対する可変動弁機構の組み付け手順は、軸受キャップの取付工程を除き、上述した組み付け手順と略同じである。
また、中間部材は、図23に示すように、コントロールシャフトの軸受部49は一体に形成する一方で、カムシャフトの軸受部41,42を、中間部材40”の下面側に半割りに形成し、そのカムシャフトの軸受部41,42に軸受キャップ45,46,48を被せる構成としてもよい。
−他の実施形態−
可変動弁装置(機構)は図9(a)に示す構成に限らず、カムシャフトとコントロールシャフトとを備えた機構であれば、本発明を適用することが可能である。可変動弁機構は、例えば図9(b)に示す構成としてもよい。