JP4151138B2 - 着色被膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にフォトレジストなどの被膜を形成する方法に関するものであり、特に、表面平滑性が優れた着色被膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表示装置において、カラー表示、反射率の低減、コントラストの改善、分光特性制御などの目的にカラーフィルタを用いることは、有用な手段となっている。この表示装置に用いるカラーフィルタは、多くの場合、カラーフィルタは画素として形成されて使用されるものである。この表示装置用カラーフィルタの画素を形成する方法として、これまで実用されてきた方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法などがあげられる。
【0003】
また、例えば、液晶表示装置においては、近年、液晶表示装置の進歩に伴い、対角5インチのサイズから、8インチ、10インチ、12インチ、14インチへと、より大きなサイズのものが次第に実用されるようになってきた。
これまで、このような液晶表示装置用カラーフィルタを効率よく生産するために、これらのサイズの液晶表示装置用カラーフィルタを一枚のガラス基板に多面付けして製造する方法がとられてきた。例えば、対角8インチの液晶表示装置用カラーフィルタの製造は、約300×400mm角のガラス基板に4面付けして、また、対角10インチの液晶表示装置用カラーフィルタの製造は、約400×500mm角のガラス基板に4面付けして、また、対角12インチの液晶表示装置用カラーフィルタの製造は、約550×650mm角のガラス基板に6面付けして、すなわち、液晶表示装置用カラーフィルタを製造するガラス基板の大きさは、液晶表示装置の対角インチのサイズの大型化に伴い、次第に大型化してきたものである。
【0004】
これまで、このような液晶表示装置用カラーフィルタをフォトリソグラフィー法によって製造する際のフォトレジストなどの塗布方法としては、スピンコータを利用した被膜の形成方法が採用されてきた。
しかし、スピンコータにおいては、ガラス基板の大型化に伴い、形成する塗布膜の量に対し十分に過剰な塗布液を必要とすること、形成した被膜の不均一性、などのスピンコータの弱点が顕著に現れてくるので、これらの弱点を減少させることを狙いスリットオリフィスコータを利用した被膜の形成方法が採用され始めた。
【0005】
スリットオリフィスコータには、スリットオリフィスを通して計量・調整された塗布液を垂直に落とし、塗布液を連続して基板に塗布するカーテンコータ、塗布液を加圧してスリットオリフィスを通し供給し、計量・調整して基板に直接塗布するファウンテンコータなどがある。
これらのスリットオリフィスコータを利用した被膜の形成方法は、先ずスリットオリフィスにより基板上に適切な量のフォトレジストなどを塗布し膜厚を定め、次に塗布膜を乾燥し被膜を形成するものである。
【0006】
このようなスリットオリフィスコータにおいては、スピンコータによるフォトレジストなどの被膜の形成方法に比較し、基板中央部への十分に過剰なフォトレジストなどの転移・塗布は必要なくなり、形成した被膜の均一性は向上し、品質及び生産性が向上した被膜の形成方法となる。
そして、この傾向はガラス基板の大きさが大きいほど著しくなるものである。
【0007】
しかし、このようなスリットオリフィスコータを利用する方法においても、被膜の表面平滑性の点で問題となることがある。
図3は、スリットオリフィスコータの一例を示す側断面図であるが、ガラス基板(11)上の塗布ヘッド(12)が矢印方向へ移動しつつ塗布ヘッド(12)のスリットオリフィス(13)からフォトレジスト(14)などが塗布される状態を示している。
【0008】
図4は、ガラス基板(11)上にフォトレジスト(14)などが塗布され、そして、ガラス基板(11)を乾燥装置(図示せず)へ搬送する搬送アーム(15)によって下側から保持された状態を示す断面図である。
図5は、フォトレジスト(14)などが塗布されたガラス基板(11)が、乾燥装置で乾燥された後の被膜表面を示す平面図である。
【0009】
図5に示すように、ガラス基板(11)上に塗布・乾燥されたフォトレジスト(14)の被膜は全面略均一な状態であるが、搬送アーム(15)によって下側から保持された部分には点線で示すムラ(16)が生じることがある。
これは、塗布膜が塗布された後に乾燥装置まで移動させるガラス基板(11)の搬送は、搬送アーム(15)によって下側から保持されて行われるが、図4に示すように、金属製の搬送アーム(15)とガラス基板の下側の他の部分(空気)との熱伝導率の差から、乾燥装置まで移動させる間のガラス基板(11)上の塗布膜の乾燥に差が生じるために表面平滑性が悪化し、ムラとなって現れてくるものである。
【0010】
塗布膜が塗布された後に乾燥装置まで移動させるガラス基板の保持は、ガラス基板の大きさが、前記約300×400mm角程度の際には、ガラス基板の両端部を保持することにより、このような現象を避けることは容易であるが、ガラス基板の大型化に伴い、ガラス基板の両端部の保持は不安定、且つ困難なものとなる。
【0011】
このような表面平滑性の悪化の程度は、表示装置用カラーフィルタとしては、十分なものではなく、ムラとして観視され好ましいものではない。
例えば、電極のリード部を形成する際のフォトレジスト被膜のように、リード部を形成した後にフォトレジスト被膜を剥離除去する用途においては、この表面平滑性の悪化の程度は問題となるものではないが、表示装置用カラーフィルタの画素を形成する際に用いる着色フォトレジストなどの着色塗布液においては、画素を形成した後の着色被膜自体が表示装置用カラーフィルタの画素となり剥離除去することはない。このような用途においてはムラとして観視されるので表面平滑性は十分なものではない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、上記のように、基板上に着色フォトレジストなどの着色塗布液をスリットオリフィスコータで塗布して塗布膜を形成し、形成した塗布膜を乾燥させて基板上に着色被膜を形成する際に、着色塗布液を塗布した後に基板を乾燥装置まで移動させる間の、金属製の搬送アームによる塗布膜の乾燥差を原因とした着色被膜の表面平滑性の悪化がなく、ムラが観視されず、良好な表示装置用カラーフィルタを製造する着色被膜の形成方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板上に着色塗布液をスリットオリフィスコータで塗布して塗布膜を形成し、形成した塗布膜を乾燥させて基板上に着色被膜を形成する着色被膜の形成方法において、該基板上に該着色塗布液を塗布した後に、基板を移動させずに減圧乾燥を行い、その後基板を金属製の搬送アームを用いて移動させることを特徴とする着色被膜の形成方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を一実施の形態に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明による着色被膜の形成方法を説明するための、減圧乾燥の状態を示す斜視図である。
図1において、例えば、塗布膜が形成されたガラス基板(21)が塗布用定盤(20)上に固定されており、このガラス基板(21)を減圧乾燥用蓋(22)が覆うようにして置かれている。そして、この減圧乾燥用蓋(22)の下部周辺縁には空気を遮断するためのパッキング(23)が設けられている。
【0015】
この減圧乾燥用蓋(22)をガラス基板(21)上に覆うようにして置くことにより、減圧乾燥用蓋(22)の内部が外部とは仕切られたチャンバーとなる。このチャンバー内を吸気装置(図示せず)により吸気減圧することによって、減圧乾燥用蓋(22)の内部が減圧チャンバーとして作用し、ガラス基板(21)上の塗布膜が乾燥するようになっている。
そして、減圧乾燥が終了した後に、チャンバー内は常圧に戻され減圧乾燥用蓋(22)は取り除かれ、ガラス基板(21)が搬出されるようになっている。
【0016】
このように、本発明による減圧乾燥は塗布膜が形成されたガラス基板(21)を移動させず、塗布用定盤(20)上に固定されたまま行われるものである。
また、減圧にすることによって塗布膜中の溶媒の蒸発速度が早められ生産効率が向上するものとなる。
【0017】
図2(イ)〜(ニ)は、本発明による着色被膜の形成方法の工程を平面で示す説明図である。図2(イ)〜(ニ)において、20は塗布用定盤、21はガラス基板、22は減圧乾燥用蓋、24は搬送アーム、25は次工程用定盤を示している。
そして、減圧乾燥用蓋(22)、及び搬送アーム(24)は矢印方向へ往復移動するようになっている。
【0018】
図2(イ)は、ガラス基板(21)が塗布用定盤(20)上に固定されている状態である。
このガラス基板(21)は、スリットオリフィスコータ(図示せず)により塗布膜が形成された直後の、塗布膜が乾燥される直前のガラス基板である。減圧乾燥用蓋(22)は塗布用定盤(20)の図2(イ)の上方に待機し、搬送アーム(24)は塗布用定盤(20)の左方に待機している。
【0019】
ガラス基板(21)上に塗布膜が形成されると、次に、図2(ロ)に示すように、減圧乾燥用蓋(22)が移動し塗布用定盤(20)上に固定されているガラス基板(21)を覆い、減圧乾燥用蓋(22)の内部が外部とは仕切られたチャンバーとなる。
この状態でチャンバー内を吸気装置(図示せず)により吸気減圧し、塗布膜の減圧乾燥が行われる。
【0020】
ガラス基板(21)上の塗布膜の減圧乾燥が終了するとチャンバー内は常圧に戻り、図2(ハ)に示すように、減圧乾燥用蓋(22)が元の位置に戻る。
そして、搬送アーム(24)がガラス基板(21)の下側まで移動し、ガラス基板(21)の下側からガラス基板(21)を保持する。
【0021】
次に、図2(ニ)に示すように、搬送アーム(24)がガラス基板(21)を図2(ニ)の右方の次工程用定盤(25)へ移動させる。
【0022】
上記のように、ガラス基板(21)上に形成された塗布膜は、ガラス基板(21)を移動させずに減圧乾燥がおこなわれるので、塗布液を塗布した後に基板を乾燥装置まで移動させる間の、搬送アームによる塗布膜の乾燥差を原因とした被膜の表面平滑性の悪化がない。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、基板上に着色塗布液をスリットオリフィスコータで塗布して塗布膜を形成し、形成した塗布膜を乾燥させて基板上に着色被膜を形成する際に、基板上に着色塗布液を塗布した後に、基板を移動させずに減圧乾燥を行い、その後基板を金属製の搬送アームを用いて移動させるので、着色塗布液を塗布した後に基板を乾燥装置まで移動させる間の、金属製の搬送アームによる塗布膜の乾燥差を原因とした着色被膜の表面平滑性の悪化がなく、ムラが観視されず、良好な表示装置用カラーフィルタを製造する着色被膜の形成方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による着色被膜の形成方法を説明するための斜視図である。
【図2】(イ)〜(ニ)は、本発明による着色被膜の形成方法の工程を平面で示す説明図である。
【図3】スリットオリフィスコータの一例を示す側断面図である。
【図4】ガラス基板が搬送アームによって下側から保持された状態を示す断面図である。
【図5】ガラス基板が、乾燥装置で乾燥された後の被膜表面を示す平面図である。
【符号の説明】
11、21…ガラス基板
12…塗布ヘッド
13…スリットオリフィス
14…フォトレジスト
15、24…搬送アーム
16…ムラ
20…塗布用定盤
22…減圧乾燥用蓋
23…パッキング
25…次工程用定盤

Claims (1)

  1. 基板上に着色塗布液をスリットオリフィスコータで塗布して塗布膜を形成し、形成した塗布膜を乾燥させて基板上に着色被膜を形成する着色被膜の形成方法において、該基板上に該着色塗布液を塗布した後に、基板を移動させずに減圧乾燥を行い、その後基板を金属製の搬送アームを用いて移動させることを特徴とする着色被膜の形成方法。
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