JP4229414B2 - 塗布膜形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルなどの製造工程おいて利用されるペースト塗布技術に係り、特に基板内の所定のエリアに膜厚の均一な塗布膜を形成する塗工技術の分野に属する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、自発光形式の表示パネルであるプラズマディスプレイパネルは、それを構成する2枚のガラス基板の内面側に電極、リブ、蛍光体層などの各構成要素を有している。これらの各構成要素を形成する工程においては、形成方法にもよるが、例えば背面板のリブをサンドブラスト法で形成する場合、一定高さのリブを形成するためには、基板上の所定エリア内に均一なガラスペーストの塗布膜を形成する必要がある。すなわち、ガラス基板には排気孔、アラインメントマーク等が形成されている都合上、塗布膜を形成してはいけないエリア(塗布禁止エリア)が周囲に存在するからである。
【0003】
従来このような塗布膜の形成は、スクリーン印刷によって全面ベタ印刷することで行われていた。しかし、スクリーン印刷による塗工方法は、膜厚を自由にコントロールするのが難しい、基板内での塗工膜厚の分布が大きい、スクリーン版の耐刷性に限界がある、等の問題点を有している。このうち塗工膜厚については、スキージの印圧、スクリーン版のテンション等が基板内で異なることが起因している。また、塗布膜をブレードコーターにより形成することも考えられるが、この方法では基板の周囲を残してペーストを塗工する、いわゆる「額縁塗り」を連続運転で行うことが困難である。
【0004】
そこで、ペーストの額縁塗りが可能なダイコーターによる塗工方法を採用することが考えられているが、この方法でも次のような問題点がある。すなわち、図1に示すように基板Gの周囲の塗布禁止領域Nを除く塗布領域Cに塗布膜Fを形成した場合、この塗布膜Fの周辺部ではペーストの流動の制御ができないため、同図に示す如く盛り上がった形状の膜厚不安定部分aが生じてしまう。一方、通常の場合、基板面積の有効利用のため、塗布禁止領域Nは狭く設けられる。また、例えば塗布膜Fがリブ形成用の膜である場合は、リブ形成エリアRは塗布禁止領域Nの近くまである。したがって、塗布膜Fにサンドブラスト加工を施して、図1のようなリブ形成領域にてリブパターンを形成しようとすると、膜厚不安定部分aがリブ形成領域Rに跨がってしまい、リブパターンの端部に盛り上がりを生じてしまうことになる。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基板上の限定された所定エリア内に均一な膜厚の塗布膜を簡単に形成することのできる塗布膜形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明に係る塗膜形成方法は、基板における周辺の塗布禁止領域とその内側の所定エリアとの間に間隙を残した状態で前記塗布禁止領域に予めマスキングテープを貼り付けた後、ダイヘッドからペーストを吐出することにより、マスキングテープ上の一部分を含む内側を塗布領域として塗布膜を形成し、その際に塗布膜の周辺部に形成される膜厚不安定部分を所定エリアの外側に位置させるようにし、その塗布膜が硬化してからマスキングテープを剥がすことにより、マスキングテープ上の塗布膜を除去して所定エリアに均一な膜厚の塗布膜を形成することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の塗布膜形成方法は次のような手順で行われる。まず図2(A)に示すように、基板G上の塗布禁止領域にマスキングテープTを貼り付ける。このマスキングテープTにはペーストにより変質しないフィルムを使用する。次いで、図2(B)に示すように、そのマスキングテープTの一部分を含む内側を塗布領域としてその領域にペースト材料を塗布して塗布膜Fを形成する。具体的には、基板Gから所定間隔を保ってダイヘッドを走行させながら、ダイヘッドのスリットからペーストを吐出させる。塗布膜Fを形成した後、図2(C)に示すように、マスキングテープTを剥がすことによりマスキングテープ上の塗布膜を除去する。この場合、塗布直後にマスキングテープTを剥がすと塗布膜FとマスキングテープTとの境界から広範囲に渡って膜厚が不安定になってしまうため、硬化(乾燥)直後あるいは複数工程を経た後にマスキングテープTを剥がすことにより、膜厚の不安定な領域を減らすことができる。その際、マスキングテープTの膜厚はできるだけ薄い方が良いが、実際的には乾燥膜厚の1/2以下であれば膜厚不安定部分を極力無くしてテープ剥がしが行える。
【0008】
また、マスキングテープTとしては、塗布したペーストが硬化する時に幅方向に縮む材質のものを使用するのが好ましく、また塗布したペーストが硬化する時に基板の表面から剥離する性質を備えたものを使用するのが好ましい。
【0009】
ダイコーターにより基板上にペーストの塗布膜を形成した場合、前述したように塗布膜の周辺部に盛り上がった形状の膜厚不安定部分が生じる。この塗布時における膜厚不安定部分が所定エリアと塗布禁止領域との間隔より広い場合、塗布禁止領域からその間隔にわたる範囲にマスキングテープを貼り、硬化後に剥離することにより、所定エリア内に膜厚不安定部分を残さないようにできる。
【0010】
マスキングテープを剥離する時にその境界に塗膜欠陥が発生する可能性がある。したがって、本発明の塗膜形成方法では、図3に示すように塗布禁止領域Nと所定エリアAの間に間隙bを残してマスキングテープTを貼り付ける。そして、マスキングテープT上の一部分を含む内側を塗布領域Cとして塗布膜Fを形成するが、その際に塗布膜Fの周辺部に形成される膜厚不安定部分aを所定エリアAの外側に位置させるようにしており、マスキングテープTを剥がすと、膜厚不安定部分aの一部は基板G上に残るものの、その残った一部は所定エリアの外側にあるので、所定エリアAには均一な膜厚の塗布膜Fが形成されることになる。すなわち、テープ剥離による塗膜欠陥領域は間隙bより小さい。
【0011】
【実施例】
ストレートマニホールドのダイヘッドを使用して、ガラス基板上にリブ形成用のペースト材料を塗布して塗布膜(乾燥膜厚150μm)を形成した。ペースト材料を乾燥させた後、塗布膜の端部形状を測定したところ、塗布領域の内部では膜厚が略一定の範囲に収まっていたのに対し、塗布領域の端部より内側へ9mmの範囲に渡って盛り上がった形状の膜厚不安定領域が発生していた。
【0012】
一方、ガラス基板上の塗布禁止領域に厚さ30μmのPETフィルムからなるマスキングテープ(10mm幅)を貼り付け、そのマスキングテープを含む塗布領域にダイコーターを使用してリブ形成用のペーストを塗布して塗布膜(乾燥膜厚190μm)を形成した。ペースト材料を乾燥させてからマスキングテープを剥がしたところ、塗布領域の内部では膜厚が略一定の範囲に収まっていたのに対し、面内部は塗布端部方向へ向かって直線的膜厚変化であるのに対して、剥離面から3mmの範囲でテープ剥がしによる膜厚不安定領域があった。なお、塗布時に形成される膜厚不安定部分はマスキングテープとともに除去された。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塗布膜形成方法によれば、基板における周辺の塗布禁止領域とその内側の所定エリアとの間に間隙を残した状態で前記塗布禁止領域に予めマスキングテープを貼り付けた後、ダイヘッドからペーストを吐出することにより、マスキングテープ上の一部分を含む内側を塗布領域として塗布膜を形成し、その際に塗布膜の周辺部に形成される膜厚不安定部分を所定エリアの外側に位置させるようにし、その塗布膜が硬化してからマスキングテープを剥がすことにより、マスキングテープ上の塗布膜を除去して所定エリアに均一な膜厚の塗布膜を形成するように構成したことにより、均一な膜厚で塗布する必要がある所定エリアと塗布してはいけない塗布禁止領域の存在する基板上にペーストを塗布する際して、その境界の膜厚不安定部分を小さくして所定エリア内に均一な膜厚の塗布膜を簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイコーターにより基板上にペーストを塗布して塗布膜を形成した状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る塗膜形成方法の手順を説明する工程図である。
【図3】マスキングテープの上に重なるようにして基板上にペーストを塗布して塗布膜を形成した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
A 所定エリア
C 塗布領域
F 塗布膜
G 基板
N 塗布禁止領域
R リブ形成領域
T マスキングテープ
a 膜厚不安定部分
b 間隙

Claims (1)

  1. 基板における周辺の塗布禁止領域とその内側の所定エリアとの間に間隙を残した状態で前記塗布禁止領域に予めマスキングテープを貼り付けた後、ダイヘッドからペーストを吐出することにより、マスキングテープ上の一部分を含む内側を塗布領域として塗布膜を形成し、その際に塗布膜の周辺部に形成される膜厚不安定部分を所定エリアの外側に位置させるようにし、その塗布膜が硬化してからマスキングテープを剥がすことにより、マスキングテープ上の塗布膜を除去して所定エリアに均一な膜厚の塗布膜を形成することを特徴とする塗布膜形成方法。
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