JP4150918B2 - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウール、絹及びアクリル等のデリケート繊維、特にウールに対する浸透力及び洗浄力が良好で、優れた柔軟付与を示しながら、かつ経時安定性にすぐれた液体洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ウール、絹及びアクリル等のデリケートな繊維素材を使用したセーターやブラウス等を対象とした洗浄剤、いわゆるライト系洗剤においては、洗浄剤自体が中性でかつ洗浄力と同時に柔軟性を有することが望ましかった。このような技術としては、非イオン性界面活性剤/アニオン界面活性剤/モノアルキルカチオン界面活性剤の配合比率を種々特定した洗浄剤組成物が知られている(特許文献1〜8参照)。しかしながら、アニオン界面活性剤の配合は製造面で煩雑となるうえ、コスト面でデメリットがあった。
【0003】
また、長鎖アミンと界面活性剤を併用した洗浄力に優れる洗浄剤についても提案されているが(特許文献9参照)、衣類への柔軟性付与効果について考慮されていない。アミン化合物と活性剤を組み合わせた組成物についても提案されているが(特許文献10参照)、すすぎ段階での添加を想定したものであり、洗浄剤として使用した場合に充分な洗浄力を確保できないという問題があった。さらに、1級アミン、2級アミン、3級アミン及び脂肪分解酵素を含有し、特に油脂/油汚れに対して高いクリーニング性を発揮する洗濯洗剤組成物が提案されているが(特許文献11参照)、安定性について考慮されていなかった。なお、出願人は先に非ノニオン界面活性剤、アミドアミン及び特定のスルホン酸又はその塩を含有する繊維製品用色調変化抑制液体洗浄剤組成物を提案している(特願2002−6669号)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭56−152898号公報
【特許文献2】
特開昭56−152899号公報
【特許文献3】
特開昭61−97396号公報
【特許文献4】
特開昭61−796号公報
【特許文献5】
特開昭62−223299号公報
【特許文献6】
特開昭62−70498号公報
【特許文献7】
特開平7−166190号公報
【特許文献8】
特開平10−88187号公報
【特許文献9】
特表昭63−500104号公報(第17頁)
【特許文献10】
特開平10−72772号公報(第10頁)
【特許文献11】
特表平10−509468号公報(第26頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、デリケート繊維、特にウールに対する浸透力及び洗浄力が良好で、洗い上がりの繊維の感触が良好でかつ経時安定性に優れた液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の非イオン界面活性剤2種類、特定のアミン化合物及びハイドロトロープ剤をそれぞれ特定量で含有する液体洗浄剤組成物とすることにより、上記目的を達成できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は 下記(a)及び(b)からなり、その質量比が(a)/(b)=1/5〜5/1であるノニオン界面活性剤 10〜50質量%、(a)下記一般式(1)
R1O(CH2CH2O)nH (1)
(式中、R1は炭素数10〜22の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基、nは10〜20を示す。)
で表され、R1が分岐鎖一価炭化水素基である割合が70質量%以下の第1級アルコールのエチレンオキサイド付加物
(b)下記一般式(2)
R2O(CH2CH2O)mH (2)
(式中、R2は炭素数10〜22の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基、mは5〜15を示す。)
で表され、R2が分岐鎖一価炭化水素基である割合が80質量%以上の第1級アルコールのエチレンオキサイド付加物
(c)下記一般式(3)で表される化合物の1種又は2種以上
0.1〜10質量%、
【0008】
【化3】
(式中、R3、R4は、それぞれ炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R5は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素基であり、Aは下記一般式(4)もしくは(5)で表される基である。)
【0009】
【化4】
(式中、R6、R7は、それぞれ炭素数11〜23の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基である。)
(d)ハイドロトロープ剤の1種又は2種以上 5〜20質量%を含有してなることを特徴とする液体洗浄剤組成物を提供する。
【0010】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。
本発明の(a)成分は、下記一般式(1)
R1O(CH2CH2O)nH (1)
(式中、R1は炭素数10〜22の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基、nは10〜20を示す。)
で表され、分岐鎖一価炭化水素基である割合が70質量%以下の第1級アルコールのエチレンオキサイド付加物である。
【0011】
R1は、洗浄力の点から、炭素数10〜22、好ましくは10〜20、さらに好ましくは10〜16の直鎖又は分岐鎖一価炭化水素基である。R1が分岐鎖一価炭化水素基の場合は、R1が分岐鎖一価炭化水素基である割合が70質量%以下であり、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。分岐鎖一価炭化水素基である割合が70質量%を超えると、洗浄力が低下する。
【0012】
nはエチレンオキサイド平均付加モル数10〜20であり、好ましくは10〜18、さらに好ましくは12〜18である。エチレンオキサイドの付加モル数分布は(a)成分のノニオン界面活性剤を製造する際の反応方法により異なるが、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いて酸化エチレンを疎水基原料に付加させて得られる分布の比較的広いものでもよいし、特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて酸化エチレンを付加させて得られる分布の狭いものでもよい。nが20を超えると衣類への洗浄液の浸透性が劣り、nが10未満であると洗浄力及び組成物の経時安定性が劣るため好ましくない。
【0013】
(a)成分の好ましい具体例としては、CO−1214(炭素数12、14:P&G(株)製)、ECOROL(炭素数12、14:Ecogreen Oleochmicals(株)製)等の天然アルコールに15モル相当の酸化エチレンを付加したもの、Diadol(炭素数13:三菱化学(株)製)等のオキソ法により得られた合成アルコールに15モル相当の酸化エチレンを付加したもの等が挙げられる。これらの中では、炭素数12,14の天然アルコールに15モル相当の酸化エチレンを付加したものが特に好ましい。(a)成分としては1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0014】
本発明の(b)成分は、下記一般式(2)
R2O(CH2CH2O)mH (2)
(式中、R2は炭素数10〜22の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基、mは5〜15をしめす。)
で表され、R2が分岐鎖一価炭化水素基である割合が80質量%以上の第1級アルコールのエチレンオキサイド付加物である。
【0015】
R2は、ウール繊維に対する浸透性の点から、炭素数10〜22、好ましくは10〜20、さらに好ましくは10〜16の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であって、R2が分岐鎖一価炭化水素基である割合が80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。分岐鎖一価炭化水素基である割合が、80質量%未満であるとウール繊維に対する浸透性が低下する。エチレンオキサイドの付加モル数分布は(b)成分のノニオン界面活性剤を製造する際の反応方法により異なるが、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いて酸化エチレンを疎水基原料に付加させて得られる分布の比較的広いものでもよいし、特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて酸化エチレンを付加させて得られる分布の狭いものでもよい。mはエチレンオキサイド平均付加モル数5〜15であり、mが15を超えると衣類への洗浄液の浸透性が劣り、mが5未満では組成物の経時安定性が劣るので好ましくない。
【0016】
(b)成分の好ましい具体例としては、ブテンを3量化して得られるC12アルケンをオキソ法に供して得られるC13アルコール1モルに7モル、あるいは10モル相当の酸化エチレンを付加したもの(BASF社製、LutensolTO7 、LutensolTO10)が挙げられる。(b)成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0017】
上記(a)及び(b)からなるノニオン界面活性剤は、その質量比が(a)/(b)=1/5〜5/1であり、好ましくは1/4〜4/1、さらに好ましくは1/3〜3/1である。質量比が1/5未満だと洗浄力が劣り、5/1を超えるとウール繊維に対する浸透性が劣る。本発明の液体洗浄剤組成物においては(a)及び(b)成分を上記比で組み合わせることで、良好な洗浄力と浸透力とを兼ね備えることができる。
【0018】
(a)及び(b)成分の総含有量は、液体洗浄剤組成物中10〜50質量%であり、好ましくは15〜45質量%、さらに好ましくは15〜40質量%である。含有量が10質量%未満だと洗浄力が不充分であり、50質量%を超えると組成物の粘度が増加し組成物の使用性の面で好ましくなく、経時安定性に悪影響を及ぼす。
【0019】
本発明における(c)成分は、下記一般式(3)で表される化合物の1種又は2種以上である。
【0020】
【化5】
(式中、R3、R4は、それぞれ炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R5は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素基であり、Aは下記一般式(4)もしくは(5)で表される基である。)
【0021】
【化6】
(式中、R6、R7は、それぞれ炭素数11〜23の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基である。)
【0022】
R6、R7は炭素数11〜23、好ましくは12〜20の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基である。
【0023】
上記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、ラウリルアミドプロピルジメチルアミン、ミリスチルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、オレイルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジエタノールアミン、ステアリルアミドプロピルジエタノールアミン等の脂肪族アミドアルキル三級アミン、パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル三級アミン等が挙げられ、これらの中でもミリスチルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、オレイルアミドプロピルジメチルアミンが好ましい。
【0024】
これら脂肪族アミドアルキル三級アミンは、例えば脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体とジアルキルアミノアルキルアミンとを脱水縮合反応させ、その後、未反応のジアルキルアミノアルキルアミンを、減圧又は窒素ブローにて留去することにより得られる。
【0025】
脂肪酸誘導体としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等の植物油又は動物油脂肪酸、又はこれらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライドや、これらの混合物を適宜用いることができるが、これらの中でもミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸が好適に用いられる。
【0026】
また、上記ジアルキルアミノアルキルアミンとしては、ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン等が挙げられ、これらの中でもジメチルアミノプロピルアミンが好ましい。
【0027】
ジアルキルアミノアルキルアミンの使用量は、脂肪酸又はその誘導体に対し、0.9〜2.0倍モルが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5倍モルである。反応温度は、通常、100〜220℃が好ましく、より好ましくは150〜200℃である。100℃未満では反応が遅くなる場合があり、220℃を超えると着色が激しくなる場合がある。反応時の圧力は常圧でも減圧でもよく、反応時に窒素等の不活性ガスを吹き込んでもよい。また、脂肪酸を使用する場合は、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒、脂肪酸誘導体を使用する場合は、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒を用いることで、低い反応温度で、より効率的に反応させることができる。長鎖長の化合物の場合、融点が高く、ハンドリング性を向上させるため、反応後、フレーク状又はペレット状に成形してもよく、さらにエタノール等の有機溶媒に希釈した液状にしてもよい。
【0028】
上記脂肪族エステルアルキル三級アミンは、脂肪酸、脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体とジアルキルアミノアルコールとを脱水縮合させるエステル化反応により製造することができる。
【0029】
上記脂肪酸及びその誘導体としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等の植物油又は動物油脂肪酸、又はこれらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライドや、これらの混合物を適宜用いることができるが、これらの中でも、特にミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸がより好適に用いられる。また、上記ジアルキルアミノアルコールとしては、例えばジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等が挙げられ、これらの中でもジメチルアミノエタノールがより好ましい。
【0030】
上記エステル化反応においてジアルキルアミノアルコールの使用量は、脂肪酸又はその誘導体に対して、通常、0.1〜5.0倍モルが好適であり、より好ましくは0.3〜3.0倍モルである。反応温度は、通常、100〜220℃が好適であり、より好ましくは120〜180℃である。100℃未満では反応が遅くなる場合があり、220℃を超えると着色が激しくなる場合がある。反応時の圧力は常圧でも減圧でもよく、反応時に窒素等の不活性ガスを吹き込んでもよい。通常、脂肪酸を用いた場合は、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒、脂肪酸低級アルキルエステルを用いた場合は、ナトリウムメチラート、苛性カリ、苛性ソーダ等のアルカリ触媒下で反応を行うことにより、短時間で効率的に反応させることができる。長鎖長の脂肪族エステルアルキル三級アミンの場合、融点が高く、ハンドリング性を向上させるため、反応後、フレーク状又はペレット状に成形してもよい。
【0031】
また、(c)成分はそのまま使用してもよく、酸で中和して酸塩として使用してもよい。中和する酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、高分子アクリル酸等が挙げられる。またこれらの酸は1種単独で又は2種以上併用してもよい。
【0032】
(c)成分の含有量は液体洗浄剤組成物中0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。0.1質量%未満では実質的に柔軟付与効果が得られず、また10質量%を超えても効果が変わらないため経済的でない。
【0033】
本発明の(d)成分は、ハイドロトロープ剤の1種又は2種以上である。ハイドロトロープ剤を含有することにより、組成物の経時安定性が改善される。ハイドロトロープ剤としては、炭素数1〜4の低級アルコール類、分子中に4〜10個の炭素原子を含み、かつ芳香族性を有するスルホン酸又はその塩が挙げられる。具体的には、アルコール類としてはエタノール、分子中に4〜10個の炭素原子を含み、かつ芳香族性を有するスルホン酸又はその塩に関しては、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホフタル酸、ナフタレンスルホン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、ジエタノールアミン塩が挙げられる。これらの中でもエタノールとパラトルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、ジエタノールアミン塩等との併用が好ましい。
【0034】
(d)成分の含有量は液体洗浄剤組成物中5〜20質量%であり、好ましくは5〜15質量、さらに好ましくは7〜15%質量である。5質量%未満では経時安定性に対する効果に乏しく、また20質量%を超えると経時保存安定化効果に悪影響を及ぼす。
【0035】
本発明の液体洗浄剤組成物には、商品価値を上げるため、乳濁化剤を配合することが好ましい。乳濁化剤としては、ポリスチレンエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等があり、代表的な例としてはポリスチレンエマルジョン(サイデン化学(株)製、サイビノールRPX−196 PE−3)等があり、通常固形分30〜50質量%のエマルジョンを液体洗浄剤組成物中に0.01〜5質量%配合することができる。
【0036】
本発明の液体洗浄剤組成物には、上記(a)〜(d)の必須成分の他に、液体洗浄剤組成物として必要に応じて以下のような任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0037】
このような任意成分として、例えば多価アルコール、ポリエチレン(プロピレン)グリコールアルキルエーテル、ポリエチレン(プロピレン)グリコールフェニルエーテル等の安定化剤が挙げられる。また、ポリエーテル変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン等の風合い改良剤が挙げられ、好ましい配合量は0.1〜3質量%程度である。その他、洗浄性能向上剤としてプロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等の酵素や、防腐剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン等のpH調整剤等を任意に用いることができる。また、商品付加価値として、着色剤や着香剤も任意に用いることができる。着色剤としては、汎用される色素や顔料が使用でき、代表的な例としてアシッドレッド138、ポーラレッドRLS200%、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青1号、青色205号、ターコイズP−GR等が挙げられ、これらの好ましい配合量は、液体洗浄剤組成物中0.00005〜0.0005質量%程度である。着香剤として使用されるものには代表的な例として、例えば後述する実施例に記載された香料組成物A〜Dが挙げられる。また香料組成物の好ましい配合量は、液体洗浄剤組成物中0.1〜1質量%である。
【0038】
本発明の組成物は、その調製方法が特に制限されるものではなく、例えば通常の液体洗浄剤組成物の常法に準じて上記必須成分及び必要に応じて上記任意成分、さらに、適宜水を配合、混合することによって調製することができる。ここで、調製された組成物の液性は、特に制限されるものではないが、洗浄力を考慮すれば、本発明の組成物のpHは4〜11が好ましく、さらにpH5〜10が好ましい。
【0039】
本発明の液体洗浄剤組成物は、プラスチック製容器に収納することができる。プラスチック製容器としては、ボトル本体容器や詰替え用のスタンディングパウチ等が挙げられる。ボトル本体容器としては、特開2001−3100号公報、あるいは特願2002−71756号に記載された容器が好ましい。スタンディングパウチとしては、例えば、特開2000−72181号公報に記載のものが挙げられるが、材質としては、内層に100〜250μmの線状低密度ポリエチレン、外層に10〜30μmの延伸ナイロンの二層構造又は10〜15μmの延伸ナイロンや延伸プロピレン樹脂、延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂を中間層、10〜15μmの延伸ナイロンを外層にした三層構造のスタンディングパウチが保存安定性の点から好ましい。
【0040】
本発明の液体洗浄剤組成物の使用方法としては特に限定されず、手洗いでも洗濯機を用いてもよい。本発明の液体洗浄剤組成物は特に繊維に対する浸透力に優れるため、洗濯機を用いて繊維を洗濯する場合に適している。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、デリケート繊維、特にウールに対する浸透力及び洗浄力、洗い上がりの繊維の感触が良好で、かつ経時安定性に優れた液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。
【0043】
[実施例1〜70及び比較例1〜12]
表1〜10に示す組成に従って、常法に準じて液体洗浄剤組成物を調製し、実施例1〜70及び比較例1〜12の液体洗浄剤組成物を得た。各液体洗浄剤組成物について、下記評価方法に従って洗浄力、浸透力、柔軟性付与及び経時安定性を評価した。結果を表2〜10に併記する。
【0044】
浸透力評価
500mLのメスシリンダー中に、液体洗浄剤組成物水溶液(水道水900mLに対し液体洗浄剤組成物を1.2mLの割合で溶解したもの)500mLを入れ、65%に調湿された1cm×10cmに裁断したウール(公冠グンゼ(株)製、コーカンはらまき)を針がねの先端に引っ掛けて沈め、ウールの先端がメスシリンダーの底に沈降するまでに要する時間(秒)を測定した。
【0045】
洗浄力評価
(1)洗浄処理方法
10cm角に裁断したウールトロピカル(谷頭社製)に顔面の皮脂汚れを擦りつけて作製した皮脂汚れ布10枚、市販のTシャツ(綿100%、B.V.D社製)を細かく裁断したもの合計30gを、United State Testing co., Inc.製のTergotometerに入れ、液体洗浄剤組成物を水道水900mLに対し1.2mLの割合で用い、洗浄時間10分、60rpmで洗浄したあと、脱水1分、その後ためすすぎ(各5分)、脱水1分を1工程とした洗濯操作を行った。用いた水道水の温度は25℃になるよう調整を行った。また評価に用いた水道水の遊離塩素濃度は0.5ppmであった。
(2)洗浄力の評価方法
前記洗濯操作1工程を終えた皮脂汚れ布(洗浄布)、未洗浄の皮脂汚れ布(汚染布)及び皮脂汚れを擦りつけていないウールトロピカル(未汚染布)の反射率を日本電色(株)製の色差計(SE200型)で測定し、洗浄率(%)を以下の式で算出し、下記評価基準で評価した。
【0046】
【化7】
ここで、K/S=(1−R/100)2/(2R/100)、ただし、Rは反射率(%)
<評価基準>
1点:洗浄率 60%未満
2点:洗浄率 60%以上〜65%未満
3点:洗浄率 65%以上〜70%未満
4点:洗浄率 70%以上〜75%未満
5点:洗浄率 75%以上
【0047】
柔軟性付与の評価
水道水30L、液体洗浄剤組成物40mLを二槽式洗濯機に入れ、弱水流で市販Tシャツ(綿100%、B.V.D社製)7枚、洗浄時間10分洗浄したあと、脱水1分、その後ためすすぎ(各5分)、脱水1分を1工程とした洗濯操作を行った。用いた水道水の温度は25℃になるよう調整をおこなった。また実験に用いた水道水の遊離塩素濃度は0.5ppmであった。前記洗濯操作で処理したTシャツを陰干しして12時間乾燥させた。25℃・65%RHの恒温恒湿室に2日間放置して、これを試験布として柔軟付与効果の評価に用いた。評価対照布として、非イオン界面活性剤(ラウリルアルコール1モルあたり平均15モルの酸化エチレンを付加させたアルコールエトキシレート)の20%水溶液を組成物として、上記洗濯操作で処理したTシャツを用いた。柔軟付与効果の評価は官能によってこの対照布に対して下記評価基準による1対比較を行い、専門パネラー10人の平均値で求めた。
<評価基準>
1点:対照布と同等
2点:対照布よりやや柔らかい
3点:対照布より柔らかい
4点:対照布よりかなり柔らかい
5点:対照布より非常に柔らかい
【0048】
経時安定性評価
液体洗浄剤組成物150mLを、直径50mm、高さ100mmの円筒ガラス瓶に取り、蓋を閉めて密封した。この状態で、50℃及び−5℃の恒温槽中において1ヶ月保存後、組成物の外観を目視観察し下記評価基準により評価した。
<評価基準>
1点:著しい沈殿が認められた
2点:沈殿が認められた
3点:若干の沈殿が認められた
4点:外観の変化はほとんど認められなかった
5点:外観の変化は全く認められなかった
【0049】
【表1】
*:香料組成物は、特願2002−6669号記載の表2〜4記載の香料A〜Dを示す。
**:5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、マグネシウム塩及び水の混合液(ロームアンドハース社製、ケーソンCG−ICP)
***:乳濁化剤(サイビノールRPX−196 PE−3,サイデン化学(株)製)
なお、配合量は共通成分は有り姿で表示し、それ以外は純分で表示する。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】
表1〜5中に示した、成分の構造式又は化合物名、メーカー名及び商品名を記す。
【0060】
【表11】
分岐率:ノニオン界面活性剤全質量に占める一価炭化水素基中に分岐鎖を有する成分の質量割合を示す。
EO:CH2CH2O
【0061】
(※1)特開平1−164437号、特開平10−7620号、特開2000−61304号公報等に記載された方法によって得られた、特開2001−164298号にて定義されたナロー率が55%以上であるもの。
(※2)1リットルの四つ口フラスコに、ラウリン酸261gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノプロピルアミン173gを2時間かけて滴下した。滴下後、170〜180℃に保持し、7時間熟成した。酸価から算出したラウリン酸の転化率は99%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、化合物を得た。
(※3)1リットルの四つ口フラスコに、ミリスチン酸298gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノプロピルアミン173gを2時間かけて滴下した。滴下後、170〜180℃に保持し、7時間熟成した。酸価から算出したミリスチン酸の転化率は99%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、化合物を得た。
(※4)1リットルの四つ口フラスコに、パルミチン酸334gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノプロピルアミン173gを2時間かけて滴下した。滴下後、170〜180℃に保持し、7時間熟成した。酸価から算出したパルミチン酸の転化率は99%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、化合物を得た。
(※5)1リットルの四つ口フラスコに、ステアリン酸370gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノプロピルアミン173gを3時間かけて滴下した。滴下後、170〜180℃に保持し、7時間熟成した。酸価から算出したステアリン酸の転化率は99%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、化合物を得た。
【0062】
(※6)1リットルの四つ口フラスコに、オレイン酸368gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノプロピルアミン173gを2時間かけて滴下した。滴下後、170〜180℃に保持し、7時間熟成した。酸価から算出したオレイン酸の転化率は99%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、化合物を得た。
(※7)1リットルの四つ口フラスコに、ベヘニン酸444gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノプロピルアミン173gを2hかけて滴下した。滴下後、170〜180℃に保持し7h熟成した。酸価から算出したベヘニン酸の転化率は99%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、化合物を得た。
(※8)1リットルの四つ口フラスコに、パルミチン酸メチル386gを仕込み、ジメチルアミノエタノール200g及び触媒としてp−トルエンスルホン酸を2g仕込み、窒素置換を2回行った。140〜150℃で、副生するメタノールを留去させながら、10時間脱水縮合反応させた。鹸化価から算出したパルミチン酸メチルの転化率は99%であった。その後、減圧して未反応のジメチルアミノエタノールとメタノールを留去し、化合物を得た。
(※9)1リットルの四つ口フラスコに、パルミチン酸334gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノエチルアミン149gを2時間かけて滴下した。滴下後、170〜180℃に保持し、7時間熟成した。酸価から算出したパルミチン酸の転化率は99%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、化合物を得た。
(※10)1リットルの四つ口フラスコに、パルミチン酸334gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジエタノールアミノプロピルアミン275gを2時間かけて滴下した。滴下後、170〜180℃に保持し、7時間熟成した。酸価から算出したパルミチン酸の転化率は99%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、化合物を得た。
Claims (1)
- 下記(a)及び(b)からなり、その質量比が(a)/(b)=1/5〜5/1であるノニオン界面活性剤 10〜50質量%、(a)下記一般式(1)
R1O(CH2CH2O)nH (1)
(式中、R1は炭素数10〜22の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基、nは10〜20を示す。)
で表され、R1が分岐鎖一価炭化水素基である割合が70質量%以下の第1級アルコールのエチレンオキサイド付加物
(b)下記一般式(2)
R2O(CH2CH2O)mH (2)
(式中、R2は炭素数10〜22の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基、mは5〜15を示す。)
で表され、R2が分岐鎖一価炭化水素基である割合が80質量%以上の第1級アルコールのエチレンオキサイド付加物
(c)下記一般式(3)で表される化合物の1種又は2種以上
0.1〜10質量%、
(d)ハイドロトロープ剤の1種又は2種以上 5〜20質量%を含有してなることを特徴とする液体洗浄剤組成物。
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