JP4150747B2 - 太陽電池パネル用端子ボックス - Google Patents
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Description
図1〜3は本発明の第一実施態様の端子ボックスの概念的模式図であり、図1は筐体の蓋板を取り除いた端子ボックスを上側から見た図であり、図2は図1の端子ボックスの蓋板を嵌めた状態での線A−A′に沿った断面図であり、図3は図2の端子ボックスの部分Bの拡大図である。本発明の第一態様の端子ボックスは、特定の接着テープがケーブルの表面被覆に接着して巻きつけられていること以外は、従来の端子ボックスと同様の構造を有するが、以下に念のため接着テープ以外の端子ボックスの構成について説明する。図1〜3から理解されるように、端子ボックスは一般的に、絶縁樹脂製の筐体(端子ボックス本体)1、及び太陽電池パネルからの出力電力を外部に取り出すための外部接続用ケーブル2並びにその末端に取り付けられた端子板3から構成され、筐体(端子ボックス本体)内部には端子ボックス内部への水の侵入を防止するための封止剤5が充填されている。筐体1の側壁部には開孔(図示せず)が設けられており、導線をポリオレフィン樹脂の表面被覆で包囲した外部接続用ケーブル2がこの開孔を通して端子ボックスの内部から外部に延出するように配置されている。端子ボックスの内部に位置する外部接続用ケーブル2の末端には端子板3が電気的に接続されている。端子板3はその中央部に設けられた穴を筐体1の底面から突出する突起と嵌合させるなどの手法(図示せず)により筐体1に固定されている。筐体1の底面には太陽電池パネルからの出力取り出し線を端子ボックス内部に引き出すための底面開孔4が設けられており、この開孔を通して引き出された出力取り出し線(図示せず)は端子板3に電気的に接続される。筐体内部にはシリコーン系封止剤5が充填されている。
本発明の第二実施態様の端子ボックスは、前述の第一実施態様の接着テープの代わりに、シリコーン系封止剤及びポリオレフィン樹脂のケーブル表面被覆の両方と接着性を有する接着剤をポリオレフィン樹脂のケーブル表面被覆とシリコーン系封止剤との間に設けたものである。かかる接着剤を外部接続用ケーブル2の表面被覆に塗布することにより、接着テープを巻き付けた場合と同様に、その部分で接着剤とその周りのシリコーン系封止剤とが相互にぴったりと追従して動くので、たとえケーブルに負荷がかかったりしても接着剤とシリコーン系封止剤の間に間隙が生じず、端子ボックス内部への水の侵入及び漏電の危険性を確実に防止することができる。ここで用いる接着剤は表面被覆と封止剤の両方の界面からの水の侵入を防止するためにシリコーン系封止剤及びポリオレフィン樹脂のケーブル表面被覆の両方と接着性を有することが必要であり、例えばエポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤又はシアノアクリレート系接着剤を挙げることができる。接着剤の塗布は、第一実施態様の接着テープの巻き付けと同様の理由から、ケーブルの全周にわたって連続的に塗布することが必要であるが、ケーブルの端子ボックス内部に位置する部分の少なくとも一部接着剤を塗布すればよい。要はケーブルの端子ボックス内部に位置する部分のうち一ヶ所でもケーブルの全周にわたって連続的に接着剤を塗布して、シリコーン系封止剤とぴったりと追従して接着される領域をケーブル表面被覆上に形成させればよい。第二実施態様の端子ボックスの図面は、図1〜3において接着テープ7を接着剤に置き換えたものなので、ここでは説明を省略する。
比較例1(従来例)
銅線をポリエチレン樹脂の表面被覆で覆った断面積2.5mm2の外部接続用ケーブルの末端に縦2.5cm×横1cm×厚さ0.1cmの真ちゅう製の端子板をカシメ止めにより電気的に接続し、縦5cm×横8cm×厚さ2cmの絶縁樹脂製の端子ボックス(筐体)の側壁部に設けられた開孔を通してケーブルを端子ボックスの内部から外部に延出するように配置した。ケーブルのうち端子ボックスの内部に位置する部分の長さは1.5cmとした。次に端子ボックス底面から突出する突起に端子板の中央に開けられた穴を嵌合させ、上から菊座をはめ込むことによって端子板を端子ボックスの底面に固定し、図5に示すような端子ボックスを作成した。その後、シリコーン系封止剤を端子ボックス内部に充填して30分間放置して完全に硬化させた。なお、封止剤を充填するにあたっては端子ボックスの底面開孔は充填した封止剤が流れないように予めふさいでおいた。また、封止剤を充填するにあたってはケーブル末端の銅線がむき出しになっている活電部に電極を予め取りつけて端子ボックス外部まで引き出しておき、封止剤を端子ボックス内部に充填した後も活電部に電圧を加えることができるようにしておいた。このようにして同一のサンプルを計4個(比較例1A、比較例1B、比較例1C及び比較例1D)準備した。
本発明例1
ケーブルの末端に端子板を電気的に接続した後、ポリエチレンテレフタレートシート基材の片面にアクリル系接着剤層(本発明例1A)、ゴム系接着剤層(本発明例1B)、シリコーン系接着剤層(本発明例1C)、又はブチルゴム系接着剤層(本発明例1D)が設けられた幅1.2cmのポリエチレンテレフタレート接着テープを接着剤層が内側となるようにケーブルの先端に全周にわたって連続的に1.2回巻きつけてからケーブルを端子ボックスに配置したことを除いては、比較例1と同様にして端子ボックスを作成し、封止剤を充填して硬化させた。
本発明例2
ケーブルの末端に端子板を電気的に接続した後、ガラス繊維からなる織布(ガラスクロス)の基材の片面にアクリル系接着剤層(本発明例2A)、ゴム系接着剤層(本発明例2B)、シリコーン系接着剤層(本発明例2C)、又はブチルゴム系接着剤層(本発明例2D)が設けられた幅1.2cmのガラスクロス接着テープを接着剤層が内側となるようにケーブルの先端に全周にわたって連続的に1.2回巻きつけてからケーブルを端子ボックスに配置したことを除いては、比較例1と同様にして端子ボックスを作成し、封止剤を充填して硬化させた。
本発明例3
ケーブルの末端に端子板を電気的に接続した後、ポリエステルシートからなる基材の両面にアクリル系接着剤層が設けられた幅1.2cmの接着テープをケーブルの先端に全周にわたって連続的に1.2回巻きつけ、その表面にエポキシ系接着剤を層状に塗布して硬化させてからケーブルを端子ボックスに配置したことを除いては、比較例1と同様にして端子ボックスを作成し、封止剤を充填して硬化させた(本発明例3A、本発明例3B、本発明例3C、本発明例3D)。
本発明例4
ケーブルの末端に端子板を電気的に接続した後、ポリエステルシートからなる基材の両面にアクリル系接着剤層が設けられた幅1.2cmの接着テープをケーブルの先端に全周にわたって連続的に1.2回巻きつけ、その表面にシリコーン系接着剤を層状に塗布して硬化させてからケーブルを端子ボックスに配置したことを除いては、比較例1と同様にして端子ボックスを作成し、封止剤を充填して硬化させた(本発明例4A、本発明例4B、本発明例4C、本発明例4D)。
参考例1
ケーブルの末端に端子板を電気的に接続した後、ニッケル/銅シート基材の片面にアクリル系接着剤層(参考例1A)、ゴム系接着剤層(参考例1B)、又はシリコーン系接着剤層(参考例1C)、又はブチルゴム系接着剤層(参考例1D)が設けられた幅1.2cmのニッケル/銅シールド接着テープを接着剤層が内側となるようにケーブルの先端に全周にわたって連続的に1.2回巻きつけてからケーブルを端子ボックスに配置したことを除いては、比較例1と同様にして端子ボックスを作成し、封止剤を充填して硬化させた。
参考例2
ケーブルの末端に端子板を電気的に接続した後、EPDMゴムシート基材の片面にアクリル系接着剤層(参考例2A)、ゴム系接着剤層(参考例2B)、シリコーン系接着剤層(参考例2C)、又はブチルゴム系接着剤層(参考例2D)が設けられた幅1.2cmのEPDMゴム接着テープを接着剤層が内側となるようにケーブルの先端に全周にわたって連続的に1.2回巻きつけてからケーブルを端子ボックスに配置したことを除いては、比較例1と同様にして端子ボックスを作成し、封止剤を充填して硬化させた。
本発明例5
ケーブルの末端に端子板を電気的に接続した後、エポキシ系接着剤を1.2cmの幅及び50g/m2の付着量でケーブルの先端に全周にわたって連続的に塗布し、30分間放置してエポキシ系接着剤を完全に硬化させてからケーブルを端子ボックスに配置したことを除いては、比較例1と同様にして端子ボックスを作成し、封止剤を充填して硬化させた(本発明例5A、本発明例5B、本発明例5C及び本発明例5D)。
本発明例6
ケーブルの末端に端子板を電気的に接続した後、シリコーン系接着剤を1.2cmの幅及び50g/m2の付着量でケーブルの先端に全周にわたって連続的に塗布し、30分間放置してシリコーン系接着剤を完全に硬化させてからケーブルを端子ボックスに配置したことを除いては、比較例1と同様にして端子ボックスを作成し、封止剤を充填して硬化させた(本発明例6A、本発明例6B、本発明例6C及び本発明例6D)。
本発明例7
ケーブルの末端に端子板を電気的に接続した後、シアノアクリレート系接着剤を1.2cmの幅及び50g/m2の付着量でケーブルの先端に全周にわたって連続的に塗布し、30分間放置してシアノアクリレート系接着剤を完全に硬化させてからケーブルを端子ボックスに配置したことを除いては、比較例1と同様にして端子ボックスを作成し、封止剤を充填して硬化させた(本発明例7A、本発明例7B、本発明例7C及び本発明例7D)。
上記のように準備した各端子ボックスサンプルを以下の4種類の耐久性試験に順に供した。
(i)温度試験:端子ボックスサンプルを−40℃で10分間保ち、次に85℃で10分間保つことを50サイクル繰り返した。
(ii)温湿度試験:端子ボックスサンプルを−40℃で10分間保ち、次に85℃で85%の相対湿度で1時間保つことを10サイクル繰り返した。
(iii)引張試験:端子ボックスサンプルの左右それぞれのケーブルに4.5kgfの荷重を図5のAの方向(ケーブルの引き出し方向)に10秒間加えた。
(iv)曲げ試験:端子ボックスサンプルの左右それぞれのケーブルを図5のB1〜B3の方向(左、右及び縦方向)にそれぞれ1回ずつ2.5kgfの荷重を加えて曲げることを5サイクル繰り返した。
次に、各端子ボックスサンプルを水中に30分間浸漬させた後、浸漬状態のままでケーブル末端の活電部に予め取りつけておいた電極と水中に設置した電極との間に1000Vの電圧を2分間印加し、活電部と水の間の絶縁抵抗を測定した。なお、絶縁抵抗は各端子ボックスサンプルについて左側のケーブルの活電部と水の間(左)、及び右側のケーブルの活電部と水の間(右)とに分けて別々に測定した。測定された絶縁抵抗が400MΩ以下の場合は漏電していない(○)と判断し、400MΩより上の場合は漏電している(×)と判断した。
結果を以下の表1に示す。
以上の結果から、特定の接着テープ又は接着剤をケーブルに付与した本発明の端子ボックスは、ケーブルに負荷がかかったり苛酷な温湿度条件であっても、外部接続用ケーブルの延出部から端子ボックス内部への水の侵入を確実に防止できることが明らかである。
Claims (2)
- ポリオレフィン樹脂の表面被覆を有する外部接続用ケーブルが太陽電池パネル用端子ボックスの内部から外部に延出するように配置された太陽電池パネル用端子ボックスであって、前記端子ボックス内部がシリコーン系封止剤で充填されて前記端子ボックス内部への水の侵入を防止することを意図されるものにおいて、前記ケーブルのうち前記端子ボックス内部に位置する部分の少なくとも一部に、外側が前記シリコーン系封止剤と接着性を有する材料からなる接着テープがケーブルの全周にわたって連続的に接着して巻き付けられており、これにより前記ケーブル延出部から前記端子ボックス内部への水の侵入を防止していること、及び前記接着テープの全てが前記端子ボックス内部にあることを特徴とする太陽電池パネル用端子ボックス。
- 前記接着テープの外側がポリエステル樹脂、ガラス繊維、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、シリコーン樹脂、又はポリエーテルイミド樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネル用端子ボックス。
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