JP4432247B2 - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、不燃性を高めるために、ガラス板からなる表面保護部材と金属板からなる裏面保護部材と側部に設けた金属製枠体との間に、複数個の太陽電池素子を直列または並列接続した太陽電池を接着性樹脂により封止してなる太陽電池モジュール、特に、太陽電池で発生した電力を外部に取り出す電力リード引き出し装置部分の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、環境保護の立場から、クリーンなエネルギーの研究開発が進められている。中でも、太陽電池はその資源(太陽光)が無限であること、無公害であることから注目を集めている。同一基板上に形成された複数の太陽電池素子が、直列接続されてなる太陽電池(光電変換装置)の代表例は、薄膜太陽電池である。
【0003】
薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストの安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流となると考えられ、電力供給用以外に、建物の屋根や窓などにとりつけて利用される業務用,一般住宅用にも需要が広がってきている。
【0004】
近年では、プラスチックフィルムを用いたフレキシブルタイプの太陽電池の研究開発がすすめられており、このフレキシブル性を生かし、ロールツーロール方式やステップロール方式の製造方法により大量生産が可能となっている。
【0005】
上記薄膜太陽電池モジュールとして、電気絶縁性を有するフィルム基板上に形成された太陽電池を、電気絶縁性の保護材により封止するために、太陽電池の受光面側および非受光面側の双方に保護層を設けたものが知られている。
【0006】
図5および図6は、本願出願人により提案され特願平11−172624号に記載された太陽電池モジュールの構造の一例を示し、その電力リード引き出し装置構造の詳細を、図7および図8に示す。
【0007】
図5,6に示す太陽電池モジュールにおいて、太陽電池1の太陽光入射側である受光面側に、EVA(エチレンビニルアセテート)などを使用した接着層2、並びにETFE(エチレン・トリフロロエチレン)などを使用した防湿層3、EVAにガラス繊維を充填して機械的強度を高めた強化層4、その上にETFEなどを使用した汚損物質付着防止の表面保護層5からなる耐候性保護層としての受光面側保護層6が積層され、太陽電池1を保護している。
【0008】
また太陽光入射側と反対側である非受光側には、接着層7、防水と電気絶縁を兼ねたETFEやポリイミドを使用した絶縁層8、補強層11との接合の役目をなすEVAなどを使用した接着層9が積層されて非受光面側保護層10が形成され、その上に積層された金属製平板などを使用した補強層11が接着されており、上記各層は加圧熱融着ラミネートで一体化されている。なお、各層のラミネートは、一般に、図6における紙面上部の表面保護層5から順に下方に向かって行われるが、太陽電池1と接着層2は、あらかじめ一体化されている。また、ニーズに応じて、一部の層を省略することがある。
【0009】
さらに、受光面側保護層6、非受光面側保護層10、補強層11は太陽電池1の側方の非発電領域まで延長され、非発電領域には略四角形状の太陽電池1の両側辺に沿って平行的に平箔銅線の電力リード線12が配置され、導電性粘着テープ若しくはハンダ付け平箔銅線の渡り線13で太陽電池1の図示しないプラス極、またはマイナス極にそれぞれ接続されている。
【0010】
また、電力リード線12の端部近傍には、発電した電力を外部に引出す中継をなす電力端子箱14が補強層11に接着、またはネジ止めで固定されており、電力リード線12とケーブル15が接続線16で電気的に接続されて全体として四角形で平板状の太陽電池モジュール50を形成している。
【0011】
ここで、電力リードの取出し構造について、以下に詳述する。図7は電力端子箱14の断面図で図6とは上下反対に示している。また図8は電力端子箱14のフタ27を外した上面図である。
【0012】
図7,8において、電力リード線12のほぼ直上から補強層11、接着層9、絶縁層8、接着層7を貫通して穴17が開けられ、電力リード線12の表面が露出し、また穴17の上に電力端子箱14の穴18がほぼ同軸上に並ぶように、補強層11に当接してベース台28が配置され、補強層11に接着固定、または図示しないネジで締結固定されている。
【0013】
上記穴17には、例えば銅線を使用した接続線16が挿入され、端部が電力リード線12とハンダ接合されている。接続線16はベース台28の穴18を通ってベース台28の端子台19に導かれ、その端部は端子台19のネジ20で逆流防止ダイオード21のリード線22と共に締結固定される。また逆流防止ダイオード21の他方のリード線23は端子台24に導かれ、ケーブル15の導体芯線25とともにネジ26で締結固定されている。
【0014】
なお、穴17、穴18には水分侵入による絶縁不良を無くすため、防水・絶縁性の樹脂が充填され、同様に端子台19、24ネジ20、26も防水性樹脂で覆われており、蓋27がベース台28に被せられ、接着もしくは図示しないネジで締結固定されて電力端子箱14を形成している。
【0015】
ところで、太陽電池モジュールを住宅の屋根に搭載して太陽光発電を行うことが行われている。住宅の場合、防火に対する法規制に合致することが建築物として認可される上で必要な要件の1つである。例えば、木造建築物の場合、飛び火による延焼を防ぐため、屋根は不燃材で葺くこととされている。このため、従来構造の太陽電池を搭載するとき、屋根材としての太陽電池の不燃性を高めるために裏面保護部材に金属板、例えば鋼板を用いたものが用いられ、表面保護部材としては、ガラス板を用いたものが用いられている。
【0016】
上記のような防火構造の太陽電池モジュールの一例に関して、この発明の説明の便宜上、模式的に示した構成図を、図4に示す。
【0017】
図4に示す太陽電池モジュールは、ガラスからなる表面保護部材411と鋼板からなる裏面保護部材421とアルミニウム材からなる枠体410との間に、複数の太陽電池素子が直列または並列に接続された太陽電池412が、EVAなどの透明な接着性樹脂413を介して樹脂封止されている。
【0018】
複数の太陽電池素子が直列または並列に接続された太陽電池412の電力リード外部取出し用プラス端子415および外部取出し用マイナス端子416には、内部リード線417が半田にて固定され、この内部リード線417は、裏面保護部材421を貫通して裏面保護部材外部に設置された端子箱419内に導かれ、この端子箱内において、内部リード線417は外部リード線418に電気的に接続されて、太陽電池412で発生した電力を外部に取出す構造となっている。
【0019】
端子箱419は、水分の侵入を防ぐため、内部リード線417取出しのための貫通部420を塞ぐように接着剤にて裏面保護部材421に固定され、貫通部を密封する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記図4に示すような従来の太陽電池モジュールを住宅の屋根に設置し、万一住宅火災が発生した場合、火災時の高温により表面保護部材のガラス板が熱衝撃で割れ、また、端子箱が裏面保護部材の外側にあるため、端子部の接着剤が加熱溶融し、端子箱が太陽電池モジュールから屋根野地板上に落下する。さらに、モジュールから露出した封止用の接着樹脂が溶融し、これに引火する可能性が生ずる。即ち、従来の太陽電池モジュールは、それ自体、防火構造が十分ではない問題があった。
【0021】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、本発明の課題は、住宅などの建物火災時の高温により、太陽電池モジュール自体に引火が生ずる危険性のない防火構造を備えた太陽電池モジュールを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、この発明においては、ガラス板からなる表面保護部材と金属板からなる裏面保護部材と側部に設けた金属製枠体との間に、複数個の太陽電池素子を直列または並列接続した太陽電池を接着性樹脂により封止してなり、前記太陽電池の正極および負極の内部リード線を接続端子を介して外部リード線に電気的に接続してなる太陽電池モジュールであって、前記表面保護部材と裏面保護部材との間に中間保護部材を設け、前記太陽電池は表面保護部材と中間保護部材と金属製枠体との間に接着性樹脂を介して封止してなり、前記中間保護部材を貫通して引き出した内部リード線を、前記中間保護部材と裏面保護部材との間の裏面保護部材側に、前記中間保護部材とは隙間を設けて配設した端子箱内の接続端子を介して前記外部リード線と電気的に接続し、この外部リード線を前記端子箱から前記裏面保護部材を貫通して外部に引き出し、前記中間保護部材と裏面保護部材と金属製枠体との間に電気絶縁性樹脂を充填し、前記電気絶縁性樹脂はシリコーン樹脂としたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【0023】
上記構成により、火災が発生しても、端子箱が太陽電池モジュールから脱落することはなく、太陽電池モジュールの延焼を防止することができる。また、この構成によれば、太陽電池,端子および内外リード線などの機械的および電気的保護の向上を図ることができると共に、防火構造を備えた好適な太陽電池モジュールが提供できる。
【0024】
また前記請求項1に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記端子箱を、前記太陽電池の正極および負極の各々に対応して個別に設けたものとする(請求項2の発明)。この構成によれば、後述するように、内部リード線の引き回し距離が短くなり、その分、電力損失が低減できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、本発明の実施例について以下に述べる。
【0026】
図1ないし2は、この発明に関わるそれぞれ異なる太陽電池モジュールの実施例の模式的構成図を示し、図4において400番台で示す各部材と同一機能を有する部材には、それぞれ、100番台ないし300番台に下二桁を同一番号とした番号を付して説明を省略する。
【0027】
図1の太陽電池モジュールは、ガラスからなる表面部材111と、中間保護部材としてのA1箔入りフッ素樹脂フィルム114との間に、EVA接着樹脂113を用いて太陽電池112を封止する。太陽電池112の外部取出し用プラス端子115および外部取出し用マイナス端子116に内部リード線117を半田にて固定し、この内部リード線117は、中間保護部材114の貫通部114aを貫通して太陽電池モジュール裏側に取出され、一体鋼板からなる裏面保護部材121上に接着固定された端子箱119内に導かれて、外部リード線118と接続される。
【0028】
外部リード線118は、貫通部120を介して、端子への接続作業が行なわれ、この貫通部120は、金属製の蓋123を裏面保護部材にネジ止めすることによって塞がれる。また、外部リード線118は、裏面保護部材に設けられた耐熱性ゴムパッキンなどにより防水処理される孔122を介して太陽電池モジュール裏側に延長され、太陽電池モジュール相互の接続、あるいは外部負荷への接続に供される。
【0029】
なお、中間保護部材114と裏面保護部材121との間の空間124には、電気絶縁性樹脂としてシリコーン樹脂を充填する。
【0030】
図2は、この発明の第2の実施例の模式的構成図を示し、太陽電池212の電池の外部取出し用プラス端子215および外部取出し用マイナス端子216のおのおのに対して端子箱219を個別に設けたものである。この場合は、内部リード線の引き回しの距離を短くし、内部リード線による電力損失を低下することができる。図2においては、図1における貫通部120および蓋123の図示を省略している。
【0031】
図3は、端子箱に代えてコネクタ端子を用いた参考例の模式的構成図を示し、太陽電池312の電池の外部取出し用プラス端子315および外部取出し用マイナス端子316のおのおのに対してコネクタ端子319を一体鋼板からなる裏面保護部材321の所定の位置の開口部322に防水パッキンを施してネジ止めしたものである。この場合には、内部リード線317のコネクタ端子319への接続は、以下のようにして行なう。まず、金属製枠体310に裏面保護部材321を取付け、内部リード線317を裏面保護部材321に設けた開口部322を介して外に引き出し、コネクタ端子319に接続する。その後、コネクタ端子319を、裏面保護部材321にネジ止めする。外部リード線318は、コネクタ端子319の他端に差し込むだけで電気的接続が完了する。ただし、コネクタ端子319の外部リード線接続部は、相応の絶縁被覆が必要である。
【0032】
【発明の効果】
この発明によれば前述のように、ガラス板からなる表面保護部材と金属板からなる裏面保護部材と側部に設けた金属製枠体との間に、複数個の太陽電池素子を直列または並列接続した太陽電池を接着性樹脂により封止してなり、前記太陽電池の正極および負極の内部リード線を接続端子を介して外部リード線に電気的に接続してなる太陽電池モジュールであって、前記表面保護部材と裏面保護部材との間に中間保護部材を設け、前記太陽電池は表面保護部材と中間保護部材と金属製枠体との間に接着性樹脂を介して封止してなり、前記中間保護部材を貫通して引き出した内部リード線を、前記中間保護部材と裏面保護部材との間の裏面保護部材側に、前記中間保護部材とは隙間を設けて配設した端子箱内の接続端子を介して前記外部リード線と電気的に接続し、この外部リード線を前記端子箱から前記裏面保護部材を貫通して外部に引き出し、前記中間保護部材と裏面保護部材と金属製枠体との間に電気絶縁性樹脂を充填し、前記電気絶縁性樹脂はシリコーン樹脂としたことにより、
太陽電池モジュールを設置している建物に、万一火災が発生しても、端子箱が太陽電池モジュールから脱落することはなく、住宅などの建物火災時の高温により、太陽電池モジュール自体に引火が生ずる危険性のない防火構造を備えた太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に関わる太陽電池モジュールの模式的構成図
【図2】 図1とは異なる実施例の模式的構成図
【図3】 コネクタ端子を用いた参考例の模式的構成図
【図4】 従来の防火構造を有する太陽電池モジュールの模式的構成図
【図5】 従来の太陽電池モジュールの上面図
【図6】 従来の太陽電池モジュールの断面図
【図7】 従来の電力端子箱の断面図
【図8】 従来の電力端子箱の上面図
【符号の説明】
110,210,310:枠体、111,211,311:表面保護部材、112,212,312:太陽電池、113,213,313:接着性樹脂、114,214,314:中間保護部材、114a,120:貫通部、117,217,317:内部リード線、118,218,318:外部リード線、119,219:端子箱、319:コネクタ端子。
Claims (2)
- ガラス板からなる表面保護部材と金属板からなる裏面保護部材と側部に設けた金属製枠体との間に、複数個の太陽電池素子を直列または並列接続した太陽電池を接着性樹脂により封止してなり、前記太陽電池の正極および負極の内部リード線を接続端子を介して外部リード線に電気的に接続してなる太陽電池モジュールであって、前記表面保護部材と裏面保護部材との間に中間保護部材を設け、前記太陽電池は表面保護部材と中間保護部材と金属製枠体との間に接着性樹脂を介して封止してなり、前記中間保護部材を貫通して引き出した内部リード線を、前記中間保護部材と裏面保護部材との間の裏面保護部材側に、前記中間保護部材とは隙間を設けて配設した端子箱内の接続端子を介して前記外部リード線と電気的に接続し、この外部リード線を前記端子箱から前記裏面保護部材を貫通して外部に引き出し、前記中間保護部材と裏面保護部材と金属製枠体との間に電気絶縁性樹脂を充填し、前記電気絶縁性樹脂はシリコーン樹脂としたことを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記端子箱を、前記太陽電池の正極および負極の各々に対応して個別に設けたことを特徴とする太陽電池モジュール。
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