JP2009130020A - 太陽電池パネル及び太陽電池パネルの製造方法 - Google Patents

太陽電池パネル及び太陽電池パネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い信頼性を維持しながら、製造が容易で、コストが低くなる太陽電池パネルを提供する。
【解決手段】太陽電池パネルは、透光性基板1とセル層2とバスバー5と防水シート6と充填層3と保護層4と電極8とを具備する。セル層2は、透光性基板1上に設けられている。バスバー5は、セル層2の両極の各々に設けられている。防水シート6は、バスバー5上に金属膜23と第1開口部21aを有する絶縁膜21とがこの順に積層されている。充填層3は、セル層2、バスバー5及び防水シート6上に設けられている。保護層4は、充填層3上に設けられ、第1開口部21aの上方に、第1開口部21aより大きい第2開口部4aを有する。電極8は、一端を第1開口部21aに露出した金属膜23に接続され、他端を第2開口部4aから引き出される。
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池に関し、特に発電層を製膜で作成する薄膜系太陽電池に関する。
太陽電池パネルには長期間の耐久性、耐候性が必要である。太陽電池パネルは、屋外に設置され雨水等に曝されるため、その内部へ水が浸入することにより部材の一部が劣化する場合がある。太陽電池パネルは、耐候性を向上させるため高い防水性が望まれる。
高い防水性を有する太陽電池パネルとして特開2004−146697号公報に薄膜太陽電池が開示されている。図1は、この薄膜太陽電池の構成を示す模式図である。薄膜太陽電池は、透光性基板101と、セル層102と、バスバー105と、充填層103と、保護膜104と、電極取出部110と、複数の電極107と、電極穴用絶縁シート121と、絶縁膜109と、浸水抵抗部112と、を具備する。セル層102は、透光性基板101上に形成されている。バスバー105は、セル層102の両極に、複数点において導電性ペーストを用いて点付けで接続(固定)されている。充填層103は、セル層102上に設置されている。保護膜104は、充填層103上に設置されている。電極取出部110は、外部端子との接続部分が設けられている。複数の電極107は、セル層102と充填層103の間を通って、バスバー105から電極取出部110へ敷設され、電極取出部110で充填層103と保護膜104を貫通して外部に引き出されている。電極穴用絶縁シート121は、電極取出部110において充填層103と保護膜104との間に設置されている。絶縁膜109は、セル層102と電極との間に設置されている。浸水抵抗部112は、電極取出部110において、電極107とセル層102の間に設置されている。浸水抵抗部112は、EVA(Ethylene−Vinyl Acetate)層123、125、129と、EVA層123、125で被覆される防水シート113と、EVA層125、129で被覆される絶縁シート127を備えている。
この薄膜太陽電池では、太陽電池の出力を外部に取り出すため、電極107用の開口部が必要である。そのため、防湿性のバックシートである保護層104には、開口部として電極取出部110が設けられている。このとき、保護層104内の金属箔を介した短絡を防止するため、その金属箔と電極107を絶縁する絶縁体が必要である。そのため、保護層104と充填層103との間には、絶縁体として電極穴用絶縁シート121が設けられている。
金属(例示:銅箔)とEVA層との接着は、接着力が弱い。そのため、EVA層である充填層103を通して銅箔の電極107を取り出そうとすると、電極107とEVA層103との界面を通してセル層102まで湿分(水分)の通路ができることがある。それを防止するためには、銅箔の電極107の長さとして、十分な防湿性を得ることが可能な十分に長い距離が必要である。
その電極取出部110には、電極取出部110を介した湿分(水分)の浸入を防ぐため、防湿構造が必要である。そのため、その電極取出部110の近傍には、その防湿構造として浸水抵抗部112が設けられている。浸水抵抗部112は、電極107下方における湿分(水分)の浸入通路を長く取る必要がある。そのために、比較的大面積の金属箔を含んだ防水シート113を、保護層104の開口部の下方の電極107の下部に敷いている。更に、その下方に配置されるセル層102が防水シート113の金属箔を介して短絡しないように絶縁する絶縁体が必要である。そのため、防水シート113とセル層102との間には、絶縁体として絶縁シート127が設けられている。更に、電極107を保護層104と防水シート113との間を通すため、電極107の上面と下面をEVA層である充填層103とEVA層123とで覆っている。更に、セル層102と絶縁シート127、絶縁シート127と防水シート113の間に空間があると、湿分(水分)が浸入したときの浸入通路になるので、それを防止する必要がある。そのため、セル層102と絶縁シート127、絶縁シート127と防水シート113の間にそれぞれEVA層125、129が設けられている。このように、浸水抵抗部112は5層構造となる。
関連する技術として特開2001−77383号公報に薄膜太陽電池モジュール及びその製造方法が記載されている。この薄膜太陽電池モジュールは、薄膜太陽電池と、封止手段と、接続手段とを含む。
ただし、薄膜太陽電池は、透明絶縁基板上に、透明電極層、光起電力薄膜半導体層、裏面電極層を含む層が順次形成され、複数個の領域に分割されてなされる光起電力素子が電気的に接続され、その接続の終端として電力を集めるバス領域を有する。封止手段は、その薄膜太陽電池が形成された面を保護する充填材と裏面保護カバーを含む。接続手段は、その薄膜太陽電池により発生した電力を外部に供給する。薄膜太陽電池モジュールは、前記バス領域から接続手段までの配線が、前記充填材に埋設され、その配線と裏面電極層との間に、配線を埋設する充填材と同じ材質の充填材に埋設された絶縁シートが存在することを特徴とする。
特開2000−286439号公報に太陽電池モジュールが開示されている。この太陽電池モジュールは、透光性基板と、この基板の裏面に形成された複数の太陽電池セルと、これらセルに接続して設けられたバスバーと、透光性基板の裏側に太陽電池セルを封止して設けられた充填材と、この充填材の裏面に積層された封止材とを備える。バスバーの長さをその一端側が透光性基板の一辺より突出する長さとし、この突出部分を封止材の裏面に引き回し出力取出し線として用いる。そのことで、バスバー自体をそのまま出力取出し線に利用する。それにより、他愛用電池セルからモジュール裏面の端子箱に導かれる導電経路中の半田付け個所を少なくした。
特開2004−146697号公報 特開2001−077383号公報 特開2000−286439号公報
図1に示される特開2004−146697号公報の薄膜太陽電池では、耐候性を向上させるための高い防水性を有する構成として、5層構造の浸水抵抗部112と、セル層102(透光性基板101)全面を覆う充填層103(EVA層)及び保護膜104(バックシート)とを備えている。このように、この薄膜太陽電池は複雑な構成を有しているので、コストが高く、製造が容易でない。加えて、高い信頼性を維持するために、これらの製造工程に時間と手間をかけなければならない。高い信頼性を維持しながら、製造が容易で、コストも低くなるような技術が望まれる。
更に、バスバー105は、セル層102の両極に、複数点において導電性ペーストを用いて点付けで固定されている。すなわち、バスバー105とセル層102とは全面で結合していないので空間(隙間)がある。そのため、湿分(水分)が浸入した場合、その空間を介して湿分(水分)がバスバー105下に広がり易く、バスバー105腐食の原因となる虞がある。湿分(水分)の浸入したときの影響を抑制可能な技術が望まれる。
従って、本発明の目的は、高い信頼性を維持しながら、製造が容易で、コストが低くなるような太陽電池パネル及び太陽電池パネルの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、湿分(水分)の浸入したときの影響を抑制することが可能な太陽電池パネル及び太陽電池パネルの製造方法を提供することにある。
この発明のこれらの目的とそれ以外の目的と利益とは以下の説明と添付図面とによって容易に確認することができる。
以下に、発明を実施するための最良の形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明の太陽電池パネルは、透光性基板(1)とセル層(2)とバスバー(5)と防水シート(6)と充填層(3)と保護層(4)と電極(8)とを具備する。セル層(2)は、透光性基板(1)上に設けられている。バスバー(5)は、セル層(2)の両極の各々に設けられている。防水シート(6)は、バスバー(5)上に金属膜(23)と第1開口部(21a)を有する絶縁膜(21)とがこの順に積層されている。充填層(3)は、セル層(2)、バスバー(5)及び防水シート(6)上に設けられている。保護層(4)は、充填層(3)上に設けられ、前記第1開口部(21a)の上方に、前記第1開口部(21a)より大きい第2開口部(4a)を有する。電極(8)は、一端を第1開口部(21a)に露出した金属膜(23)に接続され、他端を第2開口部(4a)から引き出される。
本発明では、防水シート(6)において、金属膜(23)と絶縁膜(21)がバスバー(5)への湿分(水分)の浸入を防止する機能を有し、金属膜(23)がバスバー(5)(パッド部(5a))の電力を取り出す端子としての機能を有し、絶縁膜(21)が電極(8)を保護層(4)中の金属膜から絶縁する機能を有している。このように、防水シート(6)が複数の機能を兼用しているので、図1の従来の技術に比較して、各種シートの数を大幅に減少させることが出来る。それにより、太陽電池パネルの製造を容易とし、コストを低減することができる。また、本発明では、湿分(水分)の浸入経路が、絶縁膜(21)と充填層(3)との界面となる。ここで、一般に絶縁膜(21)と充填層(3)は樹脂製であり、絶縁膜(21)と充填層(3)との界面は接着が強固であるため、湿分(水分)が浸入し難くなっている。従って、耐候性が高く、高い信頼性を維持することができる。
ここで、特許文献1には、既述のように図1に示される電極の構造が記載されている。しかし、本発明の防水シート(6)のような、複数の機能を兼ね備えた防水シートは記載されていない。加えて、本発明のようにバスバー(5)上方の保護膜(4)の開口部(4a)から電極(8)を取り出すことは記載されていない。したがって、特許文献1では、その防水シート(6)を用いたことにより、製造が容易化しコストを低減できることや、湿分(水分)の浸入経路が変わり浸入困難になること等の本発明の効果を得ることはできない。
特許文献2には、複数のシートを積層し、金属箔を取り出し線として引き回す電極の構造が記載されている。しかし、この場合も、本発明の防水シート(6)のような、複数の機能を兼ね備えた防水シートは記載されていない。加えて、本発明のようにバスバー(5)上方の保護膜(4)の開口部(4a)から電極(8)を取り出すことは記載されていない。したがって、特許文献2でも、その防水シート(6)を用いたことにより、製造が容易化しコストを低減できることや、湿分(水分)の浸入経路が変わり浸入困難になること等の本発明の効果を得ることはできない。
特許文献3には、バスバー自体で取り出し線を兼ねた出力取り出し構造が記載されている。しかし、コの場合にも、本発明の防水シート(6)のような、複数の機能を兼ね備えた防水シートは記載されていない。また、特許文献2ではバスバーの金属箔自体を取り出し線として引き回していることから、湿分(水分)の浸入経路は特許文献1の場合と実質的に変わっていない。したがって、特許文献2でも、その防水シート(6)を用いたことにより、製造が容易化しコストを低減できることや、湿分(水分)の浸入経路が変わり浸入困難になること等の本発明の効果を得ることはできない。
上記の太陽電池パネルにおいて、バスバー(5)は、導電性ペースト又ははんだで形成されていることが好ましい。
本発明では、バスバー(5)は、図1の従来技術のバスバー(105)のような金属箔ではなくセル層(2)の両極に直接形成された膜なので、バスバー(5)下に空間が無い。そのため、湿分(水分)が浸入しても、その空間を介して湿分(水分)が広範囲に広がることはなく、その影響を大幅に抑制することが出来る。
上記の太陽電池パネルにおいて、バスバー(5)は、バスバー(5)の略中央部に設けられたパッド部(5a)と、パッド部(5a)から透光性基板(1)の辺に沿って延伸する枝部(5b)とを備える。防水シート(6)は、パッド部(5a)上に配置されていることが好ましい。
本発明では、電力を取り出すパッド部(5a)をバスバー(5)の略中央部にしているので、枝部(5b)の距離を短くすることが出来る。それにより、枝部(5b)の幅を小さく抑えることが出来るので、セル層(2)の面積を広く取ることが出来る。
上記の太陽電池パネルにおいて、枝部(5b)は、パッド部(5a)と接続する側の部分の太さが、その反対側の部分の太さよりも太いことが好ましい。
本発明では、パッド部(5a)に近い側の枝部(5b)ほど流れる電流量が大きくなる。そのため、パッド部(5a)に近い側の枝部(5b)を相対的に太くして抵抗を小さくすることで、枝部(5b)での損失を抑制することができる。
上記の太陽電池パネルにおいて、セル層(2)の一方の極のバスバー(5)上方の保護膜(4)上に設けられた第1端子箱(9)と、セル層(2)の他方の極のバスバー(5)上方の保護膜(4)上に設けられた第2端子箱(9)とを更に具備することが好ましい。
本発明では、端子箱(9)がバスバー(5)上方に設けられているので、端子箱(9)とバスバー(5)とを接続する図1の電極(107)のような構成が不要となる。それにより、太陽電池パネルの製造を容易とし、コストを低減することができる。
本発明の太陽電池パネルの製造方法は、(a)透光性基板(1)上に、セル層(2)の両極の各々の位置にバスバー(5)を有するように前記セル層(2)及び前記バスバー(5)を形成する工程と、(b)バスバー(5)上に金属膜(23)と第1開口部(21a)を有する絶縁膜(21、22)とをこの順に積層した防水シート(6)を設ける工程と、(c)セル層(2)、バスバー(5)及び防水シート(6)上に、充填層(3)と、前記第1開口部(21a)の上方に、前記第1開口部(21a)より大きい第2開口部(4a)を有する保護層(4)とを配置してラミネーションする工程と、(d)電極(8)の一端を第1開口部(21a)に露出した金属膜(23)に接続し、他端を第2開口部(4a)から引き出すようにする工程とを具備する。
本発明では、防水シート(6)において、金属膜(23)と絶縁膜(21)がバスバー(5)への湿分(水分)の浸入を防止する機能を有し、金属膜(23)がバスバー(5)(パッド部(5a))の電力を取り出す端子としての機能を有し、絶縁膜(21)が電極(8)を保護層(4)中の金属膜から絶縁する機能を有している。このように、防水シート(6)が複数の機能を兼用しているので、図1の従来の技術に比較して、各種シートの数を大幅に減少させることが出来る。それにより、太陽電池パネルの製造を容易とし、コストを低減することができる。また、本発明では、湿分(水分)の浸入経路が、絶縁膜(21)と充填層(3)との界面となる。ここで、一般に絶縁膜(21)と充填層(3)は樹脂製であり、絶縁膜(21)と充填層(3)との界面は接着が強固であるため、湿分(水分)が浸入し難くなっている。従って、耐候性が高く、高い信頼性を維持することができる。
上記の太陽電池パネルの製造方法において、(a)工程は、(a1)バスバー(5)を、導電性ペースト又ははんだを塗布して形成する工程を備えることが好ましい。
本発明では、バスバー(5)は、図1の従来技術のバスバー(105)ような金属箔ではなくセル層(2)の両極に直接形成された膜なので、バスバー(5)下に空間が無い。そのため、湿分(水分)が浸入しても、その空間を介して湿分(水分)が広範囲に広がることはなく、その影響を大幅に抑制することが出来る。
上記の太陽電池パネルの製造方法において、(a)工程は、(a1)バスバー(5)が、バスバー(5)の略中央部に設けられたパッド部(5a)と、パッド部(5a)から透光性基板(1)の辺に沿って延伸する枝部(5b)とを備えるように形成する工程を有する。(b)工程は、(b1)防水シート(6)を、パッド部(5a)上に配置する工程を備えることが好ましい。
本発明では、電力を取り出すパッド部(5a)をバスバー(5)の略中央部にしているので、枝部(5b)の距離を短くすることが出来る。それにより、枝部(5b)の幅を小さく抑えることが出来るので、セル層(2)の面積を広く取ることが出来る。
上記の太陽電池パネルの製造方法において、枝部(5b)は、パッド部(5a)と接続する側の太さが、その反対側の太さよりも太いことが好ましい。
本発明では、パッド部(5a)に近い側の枝部(5b)ほど流れる電流量が大きくなる。そのためパッド部(5a)に近い側の枝部(5b)を相対的に太くして抵抗を小さくすることで、枝部(5b)での損失を抑制することができる。
上記の太陽電池パネルの製造方法において、(e)セル層(2)の一方の極のバスバー(5)に対応して保護膜(4)上に第1端子箱(9)を設け、セル層(2)の他方の極の前記バスバー(5)に対応して保護膜(4)上に第2端子箱(9)を設ける工程を更に具備することが好ましい。
本発明では、端子箱(9)がバスバー(5)上方に設けられているので、端子箱(9)とバスバー(5)とを接続する図1の電極(107)のような構成が不要となる。それにより、太陽電池パネルの製造を容易とし、コストを低減することができる。
本発明により、高い信頼性を維持しながら、太陽電池パネルの製造を容易とし、そのコストを低く抑えることが出来る。また、太陽電池パネルにおいて湿分(水分)の浸入したときの影響を抑制することができる。
以下、本発明の太陽電池パネル及び太陽電池パネルの製造方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
図2は、本実施の形態に係る太陽電池パネルの構成を示す模式図である。この太陽電池パネル10は、透光性基板1と、セル層2と、バスバー5と、防水シート6と、充填層3と、保護層4と、電極8と端子箱9を具備する。太陽電池パネル10は、これらの各構成が、破線又は鎖線で示される位置関係で結合した構成を有している。
透光性基板1は、セル層2が形成される基板であり、ガラス基板に例示される。ガラス基板としては、例えば、ソーダフロートガラス基板(1.4m×1.1m×板厚:4mm)を使用する。透光性基板1の端面は熱応力や衝撃などによる破損防止にコーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
セル層2(太陽電池モジュール)は、透光性基板1上における二本のバスバー5間に設けられた複数の太陽電池(セル)である。太陽電池は、透光性基板1の側から透明電極層、光電変換層、及び裏面電極層がこの順に積層された構造を有し、例えば互いに直列に接続されている。その太陽電池としては、単層アモルファスシリコン薄膜太陽電池や、微結晶シリコンをはじめとする結晶質シリコン太陽電池や、シリコンゲルマニウム太陽電池や、アモルファスシリコン太陽電池と結晶質シリコン太陽電池やシリコンゲルマニウム太陽電池とを各1〜複数層に積層させた多接合型(タンデム型)太陽電池のような他の種類の薄膜太陽電池である。金属基板などのような非透光性基板上に製造された、基板とは反対の側から光が入射するタイプの太陽電池であっても良い
バスバー5は、透光性基板1上において、セル層2を挟むように二本設けられている。セル層2で発電された電力の集電に用いられる。一方のバスバー5はプラス極として、他方のバスバー5はマイナス極としてそれぞれ機能する。例えば、セル層2の複数の太陽電池が直列接続されている場合、その直列接続のプラス極は一方のバスバー5に、マイナス極は他方のバスバー5にそれぞれ接続されている。
バスバー5は、導電性ペーストやはんだのような導電性を有し接着効果を有する材料を用いて形成する。
導電性ペーストを用いる場合、スクリーン印刷やインクジェット印刷やディスペンサ塗布等で導電性ペーストを塗布し、所定の温度で焼成(乾燥)することで、バスバー5を形成することができる。例えば導電性ペーストを25μm程度塗布した場合、熱処理により15〜20μmの膜厚となる。図1に示す従来技術では、これら導電性ペーストの信頼性が不明なため、金属箔バスバーの点付け固定用にのみ使用していた。しかし、本発明者による長期信頼性試験の結果、導電性ペーストそのものをバスバーとして使用することが可能であることが判明し、今回使用することとした。導電性ペーストとしては、以下のものを使用することができる。
(1)低温型
低温型とは、比較的低温で形成される光電変換層の形成温度(例示:250℃〜300℃)以下の低い温度で形成する(処理が必要である)ということを示す。そのようなものとして、Ag粒子と低温型の樹脂とを材料として含む導電性ペーストがある。その導電性ペーストは、例えば、裏面電極層(例示:Ti膜)の上に形成する。
この低温型の導電性ペーストを用いることで、太陽電池を構成する光電変換層の各膜に影響を与えない温度範囲で導電性ペーストの熱処理ができる。それにより、その熱処理を光電変換層を形成した後において行うことも出来る。例えば、その熱処理を後工程であるアニールやラミネートの工程に併せて行うことができ、その場合、工程を簡略化することができる。
(2)高温型
高温型とは、比較的低温で形成される光電変換層の形成温度(例示:250℃〜300℃)よりも高い温度で形成する(処理が必要である)ということを示す。そのようなものとして、Ag粒子と高温型のガラス粉とを材料として含む導電性ペーストがある。その導電性ペーストは、例えば、光電変換層を形成前の透光性基板1(例示:ガラス基板)の上や透明導電層(例示:酸化錫膜)の上に形成する。光電変換層の各膜に影響を与える温度範囲での熱処理が必要であるためである。
この高温型の導電性ペーストを用いることで、低温型の導電性ペーストを用いる場合と比較して、バスバー5の導電率を高く、膜厚を薄く、幅を狭く形成することができる。それにより、Agの使用量を削減でき、コストを低く抑えることができる。さらに、バスバー5の幅が狭くなることで、セル層2の面積を広くすることが出来、有効発電面積を相対的に広く取ることが出来る。
一方、はんだを用いる場合、比較的低温で形成でき、光電変換層の形成温度(例示:250℃〜300℃)以下の低い温度で形成する(処理が必要である)ことができる。そのようなものとして、ガラス、セラミックス、酸化物に直接はんだ付け可能なはんだを用いる。例えば、Zn等の微量元素を含むPb−Sn系はんだ(黒田テクノ株式会社製、商品名「セラソルザ」)である。そのはんだを連続供給しながら超音波を併用したコテで、例えば透明導電層(例示:酸化錫膜)上や裏面電極層(例示:Ti膜)上にバスバー5としてのはんだの連続体を形成する(超音波はんだ付け法)。
このはんだを用いることで、太陽電池を構成する光電変換層の各膜に影響を与えない温度範囲ではんだ付けをすることができる。それにより、はんだ付けを光電変換層を形成した後において行うことも出来る。上記超音波はんだ付け法により、バスバー5の所望の導電率に応じて、厚塗りすることも可能である。
このバスバー5の構造では、導電性ペーストやはんだがバスバーそのものとなる。そのため、図1に示すバスバー105(例示:銅箔)とセル層102との間の空間(隙間)が、このバスバー5では無くなる。その結果、湿分(水分)が浸入した場合でも、そのような空間を介して湿分(水分)がバスバー5周辺に広がることを抑制することが出来る。それにより、湿分(水分)の浸入したときの影響を抑制することが可能となる。
バスバー5は、パッド部5aと、枝部5bと備える。パッド部5aは、矩形形状を有し、バスバー5の長手方向(透光性基板1の辺に沿う方向)の略中央部に設けられている。集電された電力が取り出されるパッドとしての機能を有する。ただし、その形状は矩形に限定されるものではなく、円形や楕円形や多角形であっても良い。枝部5bは、それぞれ一端をパッド部5aに接続され、パッド部5aから透光性基板1の辺に沿って延伸している。電力を取り出すパッド部5aをバスバー5の略中央部にすることにより、各枝部5bの距離を全て同等に短くすることが出来る。それにより、枝部5bを流れる電流は各枝部5bに等分に分割され、過度に多く電流が流れる箇所がなくなるので、枝部5bの幅を小さく抑えることが出来る。すなわち、セル層2の面積を広く取ることが出来る。なお、パッド部5aの大きさは、例えば、1.1m×1.4mの基板上に設けられた薄膜系太陽電池の場合、約3cm〜5cm角の略矩形形状とすることが出来る。
枝部5bは、パッド部5aと接続する側の部分(枝部5bの根元)の太さが、その反対側の部分(枝部5bの先端)の太さよりも太い。パッド部5aに近い側の枝部5bほど流れる電流の大きさが大きい、すなわち電流量が大きくなる。そのため、パッド部5aに近い側の枝部5bを相対的に太くして、その抵抗を小さくすることで、枝部5bでの損失をできるだけ抑える必要があるからである。枝部5bにおけるパッド部5aと接続する側は、例えば、1.1m×1.4mの基板上に設けられた薄膜系太陽電池の場合、幅約20mmとすることが出来る。枝部5bの先端は幅約1mmとすることが出来る。
防水シート6は、バスバー5のパッド部5a上に配置されている。この防水シート6は、バスバー5(パッド部5a)への湿分(水分)の浸入を防止する機能と、パッド部5aの電力を取り出す端子としての機能と、電極8を保護層4中の金属膜から絶縁する機能とを兼用する。防水シート6の大きさは、例えば、1.1m×1.4mの基板上に設けられた薄膜系太陽電池の場合、約3cm〜5cm角の略矩形形状とすることが出来る。好ましくは、約4cm角の矩形である。ただし、形状は矩形に限定されるものではなく、パッド部5aを覆うことが出来れば、円形や楕円形や多角形であっても良い。図3は、本実施の形態に係る防水シートの構成を示す模式図である。防水シート6は、金属膜23と絶縁膜21とが接着膜22により接着された構成を有している。
金属膜23は、パッド部5aを覆うような形状を有する金属の膜であり、銅箔のような金属箔に例示される。金属膜23は、保護層4の開口部4aや充填層3の開口部3aからパッド部5aへ湿分(水分)が浸入することを阻止する金属層としての機能と、パッド部5aに集められた電力を取り出す端子としての機能とを兼用する。
絶縁膜21は、金属膜23を覆うような形状を有する絶縁性の膜であり、PET(Polyethylene Terephthalate)シートのような絶縁シートに例示される。絶縁膜21は、電極8および金属膜23を保護層4中の金属膜から絶縁する機能を有する。絶縁膜21は、金属膜23に接着膜22により接着し、その略中央部に金属膜32が露出するように設けられた開口部21aを有する。この開口部21aの大きさは、保護層4の開口部4aよりも小さい。すなわち、電力を取り出す電極8が、金属膜23に接続され、開口部4aよりも小さい開口部21aを通ることにより、保護層4の金属膜に電極8が接触することを防止することができると共に、保護層4の金属膜に金属膜23が接触することを防止することができる。開口部21aの形状は、図のような矩形に限定されるものではなく、保護膜3の開口部3aより小さければ、円形や楕円形や多角形であっても良い。
接着膜22は、金属膜23と絶縁膜21とを接着する接着材や接着機能を有する。膜状でなく塗布された接着剤であっても良い。接着膜22は、開口部21aと同じ形状の開口部22aを有し、金属箔と樹脂シートを接着可能な接着剤やEVAに例示される。また、絶縁膜21と接着膜22の両方の機能を有するポリイミドペーストのような材料を使用することもできる。
図2を参照して、充填層3は、セル層2、バスバー5及び防水シート6上に設けられ、EVAシートに例示される。充填層3は、セル層2、バスバー5及び防水シート6と保護層4との間に空間が発生することを防止する。そのような空間は、湿分(水分)の浸入を許す虞があり好ましくないからである。充填層3は、防水シート6上に、開口部3aを有する。開口部3aは、絶縁膜21の開口部21aが露出し、防水シート6の辺縁が露出しないように設けられている。これにより、金属膜23に接続された電極8は充填層3に接触せずに開口部3aを貫通し、防水シート6の端はいずれも開口部3a内に現れない。
開口部3aの形状は図のような矩形に限定されるものではなく、円形や楕円形や多角形であっても良い。ただし、保護膜3と防水シート6との接触部分は湿分(水分)の浸入経路になる。従って、保護膜3と防水シート6との接着力に応じて、十分な接触距離を確保できるような形状とする。すなわち、接触距離として、開口部3aから浸入した湿分(水分)が保護膜3と防水シート6との接触部分(界面)を移動しても、防水シート6の端部までに到達できないほど十分な距離とする。そのような接触距離は、図1の従来技術に比較して短くすることができる。保護膜3と防水シート6との界面が絶縁膜(樹脂)同士が接触した面であるため、図1の従来技術の充填層と金属箔との接触に比較して、その接着力が強いからである。
保護層4は、充填層3上に設けられ、防水防湿効果が高い3層構造のPAP(PETシート/AL箔/PETシート)シートに例示される。保護層4は、セル層2等の下方への湿分(水分)の浸入を防止する。保護層4は、開口部3aに対応する位置に、開口部3aと概ね重なるように開口部4aを有する。これにより、金属膜23に接続された電極8は保護層4に接触せずに開口部4aを貫通する。
電極8は、上述の低温型の導電性ペーストやはんだ等の接着用材料7を用いて、一端を金属膜23に接続され、他端を開口部4aから引き出される。電極8は、絶縁膜21の開口部21aにより位置を制限されているので、充填層3の開口部3aや保護層4の開口部4aの縁に接触することは無い。すなわち、保護層4の金属膜(AL箔)を介して短絡することは無い。
端子箱9は、保護層4の開口部4a及び電極8を囲むように配置されている。端子箱9の出力ケーブルは、電極8とはんだ等で接続される。端子箱9は、内部を封止剤(ポッティング剤)で充填されて密閉・封入される。これにより、露出している防水シート6の金属膜6(電極8と金属膜6との接合部を含む)は封止材で保護される。
本実施の形態では、防水シート6は、図1における防水シート113の機能と絶縁シート121の機能との兼ねているので、シートの数を減らすことが出来る。また、防水シート6の金属膜23は、防水用の金属箔としての機能と電力取り出し機能とを兼ねているので、追加のシートを設ける必要がなく、シートの増加を抑制できる。
また、本実施の形態では、セル層2への湿分(水分)の浸入通路は、防水シート6の絶縁膜21と充填層3との界面になる。このとき、充填層3としてEVAを用い、絶縁膜21としてPETを用いることで、両者の接着力は比較的強いので、図1の充填層103と電極107との界面の場合のように接着距離を大きくするというは必要ない。すなわち、防水シートを比較的小さく(例示:4cm角)作ることが出来る。
また、本実施の形態では、保護層4の開口部4aがバスバー5上に配置されている。そのため、図1にのような電力取り出し用の長い電極107を設ける必要がなくなる。それにより、製造工程の簡略化や信頼性をより向上することが出来る。
図4は、本実施の形態に係る太陽電池パネルの基板上の構成を示す上面図である。透光性基板1上には、複数の太陽電池を有するセル層2が設けられ、その両側にセル層2から電力を取り出すバスバー5が設けられている。セル層2とバスバー5を囲む周辺領域94は、充填層3や保護層4との接着力を高めるために、透光性基板1が露出している。バスバー5のパッド部5aとセル層2との境界には、レーザエッチング等で膜が除去された絶縁溝11が形成されている。端子箱9(破線で表示)は、パッド部5aの上方に配置される。
図5は、本実施の形態に係るパッド部の周辺の構成を示す上面図である。セル層2の複数の太陽電池2aは直列に接続され、その一方の極がバスバー5の枝部5bに接続されている。バスバー5のパッド部5aと複数の太陽電池2aとの境界には、絶縁溝11が形成され、パッド部5aと太陽電池2aとは絶縁されている。この場合、パッド部5a及び絶縁溝11の部分の領域は、太陽電池2a用として利用することができない。
パッド部5aは一部が通常の発電部に位置するようになることから、発電出力への影響が全くないわけではない。しかしながら、前述の現実的な基板寸法(例示:1.1m×1.4m)およびパッド部5a寸法(例示:4cm角)では、透光性基板1上に形成された短冊状のセルの約3%に、約3%程度の電流低下を及ぼすのみである。影響を受ける約3%のセルは、残り約97%のセルの最適発電状態で発電されるため、電力低下としては4%程度となる。従って、太陽電池パネル全体としては、約97%+約3%×0.96=99.9%であり、全体への影響は0.1%程度である。
次に、本実施の形態に係る太陽電池パネルの製造方法について説明する。図6は、本実施の形態に係る太陽電池パネルの製造方法の一例を示す断面図である。図6は、図4のAA’断面を示している。
図6(a)に示されるように、まず、透光性基板1上にセル層2(太陽電池モジュール)を形成する。すなわち、まず、透光性基板1上に透明電極層82(例示:酸化錫膜)を製膜する。その後、透明電極層82にレーザエッチングで溝90を形成する。これにより、透明電極層82が短冊状に分離される。次に、透明導電層82上に光電変換層83を製膜する。光電変換層83は、単層アモルファスシリコンや、微結晶シリコンをはじめとする結晶質シリコンや、シリコンゲルマニウムや、アモルファスシリコンと結晶質シリコンやシリコンゲルマニウムの多接合型(タンデム型)などである。その後、光電変換層83にレーザエッチングで溝91を形成する。これにより、光電変換層83が透明電極層82のエッチング位置と少しずらした位置で短冊状に分離される。続いて、光電変換層83上に裏面電極層84(Ag膜とTi膜との積層膜)を製膜する。その後、裏面電極層84にレーザエッチングで溝92を形成する。これにより、裏面電極層84および光電変換層83が更にエッチング位置をずらした位置で短冊状に分離される。そして、透明電極層82、光電変換層83、及び裏面電極層84による太陽電池2aが形成される。この場合、複数の太陽電池2aは直列に接続されて、セル層2を形成している。そして、太陽電池2aの長手方向と略垂直な方向の端において、透光性基板1の対向する二辺に平行に、裏面電極層84、光電変換層83及び透明導電層82をレーザエッチングして、絶縁溝(図示されず)を形成する。これにより、セル層2の対抗する二辺の絶縁が行われる。
続いて、図6(b)に示されるように、バスバー5のパッド部5a周りの絶縁溝11をレーザエッチングで形成する。その後、透光性基板1の周辺領域94の裏面電極層84/光電変換層83/透明導電層82をサンドブラスト法により除去する。
次に、図6(c)に示されるように、セル層2の両極にバスバー5を上記の低温型導電性ペースト又ははんだで形成する。低温型導電性ペーストでバスバー5を形成する場合、まず、その導電性ペーストを例えばスクリーン印刷法により塗布する。その熱処理はラミネートの工程の熱処理に併せて行われる。はんだでバスバー5を形成する場合、超音波はんだ付け法により行う。
次に、図2に示されるように、バスバー5のパッド部5a上に防水シート6を配置(形成)する。防水シート6は、既述のように、金属膜23と絶縁膜21とがこの順に接着(積層)されている。その後、セル層2、バスバー5、及び防水シート6上に、充填層3と保護層4とをこの順に配置してラミネーションする(ラミネートの工程)。それにより、防水シート6、充填層3、及び保護層4が、セル層2、バスバー5を有する透光性基板1に接着される。続いて、電極8の一端を金属膜23に上記の低温型導電性ペースト又ははんだを用いて接続する。そのとき、他端を絶縁膜21の開口部21a及び充填層3の開口部3aを介して保護膜4の開口部4aから引き出すようにする。その後、保護膜4上に端子箱9が取付けられる。そのとき、端子箱9の出力ケーブルと電極8とが接続される。その後、端子箱9は、封止剤(ポッティング剤)で充填されて密閉・封入される。ここで、セル層2の両極に対応する二つの端子箱9の各々について、端子箱9の取り付け、出力ケーブルと電極8との接続、封止剤の封入は、いずれも組立用自動機械により一度に行うことができる。したがって、端子箱9が増えても製造工程上余計な工数はかからない。以上により、太陽電池パネルが製造される。
ここで、バスバー5を透明導電層84上に形成する場合、図6で示される工程ではなく、図7で示される工程で太陽電池パネルが製造される。図7は、本実施の形態に係る太陽電池パネルの製造方法の他の一例を示す断面図である。図7は、図4のAA’断面を示している。
図7(a)に示されるように、まず、透光性基板1上に透明電極層82(例示:酸化錫膜)を製膜する。次に、図7(b)に示されるように、透明電極層82上に、透光性基板1の対向する二辺に沿って、バスバー5を上記の高温型導電性ペースト又ははんだで形成する。高温型導電性ペーストでバスバー5を形成する場合、まず、その導電性ペーストを例えばスクリーン印刷法により塗布する。続けて、その熱処理の工程を行う。はんだでバスバー5を形成する場合、超音波はんだ付け法により行う。
続いて、図7(c)に示されるように、透明電極層82にレーザエッチングで溝90を形成する。これにより、透明電極層82が短冊状に分離される。次に、透明導電層82上に光電変換層83を製膜する。光電変換層83は、図6(a)の説明と同様である。その後、光電変換層83にレーザエッチングで溝91を形成する。これにより、光電変換層83が透明電極層82のエッチング位置と少しずらした位置で短冊状に分離される。続いて、光電変換層83上に裏面電極層84(Ag膜とTi膜との積層膜)を製膜する。その後、裏面電極層84にレーザエッチングで溝92を形成する。これにより、裏面電極層84および光電変換層83が更にエッチング位置をずらした位置で短冊状に分離される。そして、透明電極層82、光電変換層83、及び裏面電極層84による太陽電池2aが形成される。この場合、複数の太陽電池2aは直列に接続されて、セル層2を形成している。そして、太陽電池2aの長手方向と略垂直な方向の端において、透光性基板1の対向する二辺に平行に、裏面電極層84、光電変換層83及び透明導電層82をレーザエッチングして、絶縁溝(図示されず)を形成する。これにより、セル層2の対抗する二辺の絶縁が行われる。
次に、図7(d)に示されるように、バスバー5のパッド部5a上の光電変換層83及び裏面電極層84をサンドブラスト法等の方法により除去する。防水シート6の金属膜23とパッド部5aの接続を強固にするためにである。その後、パッド部5a周りの絶縁溝11をレーザエッチングで形成する。その後、透光性基板1の周辺領域94の裏面電極層84/光電変換層83/透明導電層82をサンドブラスト法により除去する。その後の工程に関しては、図6の場合と同様であるのでその説明を省略する。
ここで、バスバー5を透光性基板1上に形成する場合、図6で示される工程ではなく、図8で示される工程で太陽電池パネルが製造される。図8は、本実施の形態に係る太陽電池パネルの製造方法の他の一例を示す断面図である。図8は、図4のAA’断面を示している。
図8(a)に示されるように、まず、透光性基板1上に、透光性基板1の対向する二辺に沿って、バスバー5を上記の高温型導電性ペーストで形成する。高温型導電性ペーストでバスバー5を形成する場合、まず、その導電性ペーストを例えばスクリーン印刷法により塗布する。続けて、その熱処理の工程を行う。次に、図8(b)に示されるように、透光性基板1上に透明電極層82(例示:酸化錫膜)を製膜する。
続いて、図8(c)に示されるように、透明電極層82にレーザエッチングで溝90を形成する。これにより、透明電極層82が短冊状に分離される。次に、透明導電層82上に光電変換層83を製膜する。光電変換層83は、図6(a)の説明と同様である。その後、光電変換層83にレーザエッチングで溝91を形成する。これにより、光電変換層83が透明電極層82のエッチング位置と少しずらした位置で短冊状に分離される。続いて、光電変換層83上に裏面電極層84(Ag膜とTi膜との積層膜)を製膜する。その後、裏面電極層84にレーザエッチングで溝92を形成する。これにより、裏面電極層84および光電変換層83が更にエッチング位置をずらした位置で短冊状に分離される。そして、透明電極層82、光電変換層83、及び裏面電極層84による太陽電池2aが形成される。この場合、複数の太陽電池2aは直列に接続されて、セル層2を形成している。そして、太陽電池2aの長手方向と略垂直な方向の端において、透光性基板1の対向する二辺に平行に、裏面電極層84、光電変換層83及び透明導電層82をレーザエッチングして、絶縁溝(図示されず)を形成する。これにより、セル層2の対抗する二辺の絶縁が行われる。
次に、図8(d)に示されるように、バスバー5のパッド部5a上の透明導電層82、光電変換層83及び裏面電極層84をサンドブラスト法等の方法により除去する。防水シート6の金属膜23とパッド部5aの接続を強固にするためにである。ただし、透明導電層82は除去しなくても良い。導電性を有しているからである。その後、パッド部5a周りの絶縁溝11をレーザエッチングで形成する。その後、透光性基板1の周辺領域94の裏面電極層84/光電変換層83/透明導電層82をサンドブラスト法により除去する。その後の工程に関しては、図6の場合と同様であるのでその説明を省略する。
本発明では、防水シート6等のセル層2(太陽電池モジュール)上を覆うバックシートの構成や、バスバー5の構成を簡略化している。従って、太陽電池パネルの製造を容易とし、コストを低減することが可能となる。また、本発明では、図1における湿分(水分)の浸入経路である電極107(金属)と充填層103(樹脂)との界面が、絶縁膜21(樹脂)と充填層3(樹脂)との界面に置き換わっている。絶縁膜21(樹脂)と充填層3(樹脂)との界面は接着が強固であるため、湿分(水分)が浸入し難くなっている。従って、耐候性が高く、高い信頼性を維持している。更に、バスバー5は、箔ではなくセル層2の両極に直接形成された膜なので、バスバー5下に空間が無い。そのため、湿分(水分)が浸入しても大きく広がることはなく、その影響を大幅に抑制することが出来る。
図9は、本実施の形態に係る端子箱と出力ケーブルの構成を示す模式図である。図9(a)に示すように、従来技術の場合では中央部に一つの端子箱109を設け、そこから出力ケーブル115を取り出している。一方、本実施の形態では、図9(b)に示されるように、セル層2の一方の極のパッド部5a上方の保護膜4上、及び、セル層2の他方の極のパッド部5a上方の保護膜4上にそれぞれ端子箱9が設けられている。端子箱9がバスバー5上方に設けられているので、端子箱9とバスバー5とを接続する図1の電極107のような構成が不要となる。端子箱9は二つ必要となるが、コストとしては、出力ケーブル12の方が高く、出力ケーブル12の使用量はほとんど変わらない。従って、太陽電池パネルの製造を容易とするとともに、コストを低減することができる。端子箱9及び出力ケーブル12は、図9(c)のような構成とすることが出来る。その場合、出力ケーブル12の使用量が減るので、コストを更に削減できる。
本発明は上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。
図1は、特開2004−146697号公報の薄膜太陽電池の構成を示す模式図である。 図2は、本実施の形態に係る太陽電池パネルの構成を示す模式図である。 図3は、本実施の形態に係る防水シートの構成を示す模式図である。 図4は、本実施の形態に係る太陽電池パネルの基板上の構成を示す上面図である。 図5は、本実施の形態に係るパッド部の周辺の構成を示す上面図である。 図6は、本実施の形態に係る太陽電池パネルの製造方法の一例を示す断面図である。 図7は、本実施の形態に係る太陽電池パネルの製造方法の他の一例を示す断面図である。 図8は、本実施の形態に係る太陽電池パネルの製造方法の他の一例を示す断面図である。 図9は、本実施の形態に係る端子箱と出力ケーブルの構成を示す模式図である。
符号の説明
1 透光性基板
2 セル層
3 充填層
3a 開口部
4 保護層
4a 開口部
5 バスバー
5a パッド部
5b 枝部
6 防水シート
8 電極
9 端子箱
10 太陽電池パネル
11 溝
12 出力ケーブル
21 絶縁膜
21a 開口部
22 接着膜
22a 開口部
23 金属膜
82 透明導電層
83 光電変換層
84 裏面電極層
90、91、92 溝
94 周辺領域

Claims (10)

  1. 透光性基板と、
    前記透光性基板上に設けられたセル層と、
    前記セル層の両極の各々に設けられたバスバーと、
    前記バスバー上に、金属膜と第1開口部を有する絶縁膜とがこの順に積層された防水シートと、
    前記セル層、前記バスバー及び前記防水シート上に設けられた充填層と、
    前記充填層上に設けられ、前記第1開口部の上方に、前記第1開口部より大きい第2開口部を有する保護層と、
    一端を前記第1開口部に露出した前記金属膜に接続され、他端を前記第2開口部から引き出される電極と
    を具備する
    太陽電池パネル。
  2. 請求項1に記載の太陽電池パネルにおいて、
    前記バスバーは、導電性ペースト又ははんだで形成されている
    太陽電池パネル。
  3. 請求項1又は2に記載の太陽電池パネルにおいて、
    前記バスバーは、
    前記バスバーの略中央部に設けられたパッド部と、
    前記パッド部から前記透光性基板の辺に沿って延伸する枝部と
    を備え、
    前記防水シートは、前記パッド部上に配置されている
    太陽電池パネル。
  4. 請求項3に記載の太陽電池パネルにおいて、
    前記枝部は、前記パッド部と接続する側の部分の太さが、その反対側の部分の太さよりも太い
    太陽電池パネル。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の太陽電池パネルにおいて、
    前記セル層の一方の極の前記バスバー上方の前記保護膜上に設けられた第1端子箱と、
    前記セル層の他方の極の前記バスバー上方の前記保護膜上に設けられた第2端子箱と
    を更に具備する
    太陽電池パネル。
  6. (a)透光性基板上に、セル層の両極の各々の位置にバスバーを有するように前記セル層及び前記バスバーを形成する工程と、
    (b)前記バスバー上に、金属膜と第1開口部を有する絶縁膜とをこの順に積層した防水シートを設ける工程と、
    (c)前記セル層、前記バスバー及び前記防水シート上に、充填層と、前記第1開口部の上方に、前記第1開口部より大きい第2開口部を有する保護層とを配置してラミネーションする工程と、
    (d)電極の一端を前記第1開口部に露出した前記金属膜に接続し、他端を前記第2開口部から引き出すようにする工程と
    を具備する
    太陽電池パネルの製造方法。
  7. 請求項6に記載の太陽電池パネルの製造方法において、
    前記(a)工程は、
    (a1)前記バスバーを、導電性ペースト又ははんだを塗布して形成する工程
    を備える
    太陽電池パネルの製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の太陽電池パネルの製造方法において、
    前記(a)工程は、
    (a1)前記バスバーが、前記バスバーの略中央部に設けられたパッド部と、前記パッド部から前記透光性基板の辺に沿って延伸する枝部とを備えるように形成する工程を備え、
    前記(b)工程は、
    (b1)前記防水シートを、前記パッド部上に配置する工程を備える
    太陽電池パネルの製造方法。
  9. 請求項8に記載の太陽電池パネルの製造方法において、
    前記枝部は、前記パッド部と接続する側の太さが、その反対側の太さよりも太い
    太陽電池パネルの製造方法。
  10. 請求項6乃至9のいずれか一項に記載の太陽電池パネルの製造方法において、
    (e)前記セル層の一方の極の前記バスバーに対応して前記保護膜上に第1端子箱を設け、前記セル層の他方の極の前記バスバーに対応して前記保護膜上に第2端子箱を設ける工程を更に具備する
    太陽電池パネルの製造方法。
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