JP4150689B2 - 半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造 - Google Patents

半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造 Download PDF

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Description

本発明は多層配線構造に関し、特に配線層の表面の平坦度を高めるためにダミーパターンが配置される多層配線構造に関する。
半導体集積回路装置の多層配線を形成するダマシン法について簡単に説明する。層間絶縁膜を形成し、この層間絶縁膜に配線溝及びビアホールを形成する。このビアホール及び配線溝を埋め込むように、銅等の導電膜を形成する。必要に応じて、銅等の拡散を防止するためのバリアメタル層が形成される。この導電膜に化学機械研磨(CMP)を施して不要な部分の導電膜を除去し、ビアホール及び配線溝内にのみ導電膜を残す。この工程を繰り返すことにより、多層配線構造が形成される。
配線層のパターン密度に疎密があると、CMP後の表面の平坦性が損なわれやすい。研磨条件によって、パターン密度の低い領域が、パターン密度の高い領域に比べて研磨されやすいため、パターン密度の低い領域に窪み(エロージョン)が生じやすい。特許文献1に開示された発明によると、パターン密度の低い領域にダミーパターンを配置し、実効的なパターン密度が均一に近づくような構成が採用されている。
特開2003−140319号公報 米国特許出願公開第2003/39897号明細書
インダクタが形成される半導体集積回路装置において、インダクタの近傍に導電パターンが配置されるとインダクタの電気的特性が変化してしまう。インダクタの電気的特性を維持するために、通常、インダクタの直下には配線が配置されない。さらに、インダクタの直下に導電性のダミーパターンを配置することも好ましくない。
このため、インダクタよりも下側の配線層において、インダクタの配置される領域のパターン密度が低くなり、この領域にエロージョンが生じやすくなる。エロージョンが生じると、フォトリソグラフィ時のマージンが低下する。また、ダマシン構造の配線を残すためのCMPを行った後に、エロージョンが生じた領域にも導電材料が残留してしまう場合がある。
このような問題は、上層に形成される機能素子がインダクタである場合に限らず、直下に導電性のパターンを配置することが禁止されるような機能素子を形成する場合にも生じ得る。
本発明の目的は、導電性のパターンを配置することができない領域があっても、CMP後の表面の平坦度を高めることが可能な多層配線構造を提供することである。
本発明の一観点によると、
表面に、第1の領域、該第1の領域を取り囲む環状の第2の領域、及び該第2の領域を取り囲む第3の領域が画定された支持基板と、
前記支持基板の上に配置され、前記第3の領域内に配線が形成され、前記第2の領域内にダミーパターンが形成され、前記第1の領域内には導電パターンが形成されていない第1の配線層と、
前記第1の配線層の上であって、かつ前記第1の領域内に配置されたインダクタ
前記第1の配線層と前記インダクタとの間に配置された第2の配線層であって、前記第1及び第2の領域内には導電パターンが形成されていないか、または該インダクタに直接接続された配線のみが形成されている前記第2の配線層と
を有する多層配線構造が提供される。
本発明の一観点によると、
表面に、第1の領域、該第1の領域を取り囲む環状の第2の領域、及び該第2の領域を取り囲む第3の領域が画定された支持基板と、
前記支持基板の上に配置され、前記第3の領域内にダマシン法による配線が形成され、前記第2の領域内にダマシン法によるダミーパターンが形成され、前記第1の領域内には導電パターンが形成されていない第1の配線層と、
前記第1の配線層の上であって、かつ前記第1の領域内に配置されたインダクタと、
前記第1の配線層と前記インダクタとの間に配置された第2の配線層であって、前記第1及び第2の領域内には導電パターンが形成されていないか、または該インダクタに直接接続されたダマシン法による配線のみが形成されている前記第2の配線層と
を有する半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造が提供される。
インダクタの配置される第1の領域内に導電パターンを配置しないことにより、導電パターンによるインダクタへの影響を回避することができる。第2の領域または第4の領域にダミーパターンを配置することにより、CMP後の表面の平坦度を高めることができる。
図1に、実施例による多層配線構造を有する半導体装置の部分平面図を示す。基板表面に、インダクタの配置される環状の第1の領域10が画定されている。第1の領域10の外側に、第1の領域10を取り囲む第2の領域11が画定されている。第2の領域11は、第1の領域10側(内周側)の第1のサブ領域11aと、それよりも外側(外周側)の第2のサブ領域11bとで構成される。
第1の領域10の内周、第1の領域10と第2の領域11との境界、該1のサブ領域11aと第2のサブ領域11bとの境界、及び第2の領域11の外周は、例えば正方形または長方形状を有する。複数のインダクタが配置される場合には、第2の領域11が複数個画定される。2つの第2の領域11が、その外周の一部を共有するように相互に接して配置される。
第2の領域11の外側に、実際の配線が配置される第3の領域12が画定される。第1の領域10の内周線を外周線とする第4の領域13が画定されている。なお、2つの第2の領域11を相互に離して配置し、両者の間に第3の領域12を挿入してもよい。
第1の領域10の外周の一辺の長さは、例えば200μmである。このとき、例えば第2の領域11の幅は100μm、第1の領域10の内周(第4の領域13の外周)の一辺の長さは100μmである。
第1の領域10内にインダクタ1が配置されている。インダクタ1は、第4の領域13を取り囲む渦巻(スパイラル)形状を有する。図1では、各インダクタ1の巻き数が約1.5の場合を示している。インダクタ1の外周側の端部に引出線2が連続し、内周側の端部に他の引出線3が接続されている。内周側の引出線3は、インダクタ1の配置された配線層よりも下側の配線層に配置されており、インダクタ1自体と立体交差してインダクタ1の外部まで導出されている。
図2に、図1の一点鎖線A2−A2における断面図及びそれに隣接する配線領域(第3の領域)の断面図を示し、図3に、図1の一点鎖線A3−A3における断面図を示す。
シリコンからなる支持基板20の表面に。シャロートレンチアイソレーション(STI)構造を有する素子分離絶縁膜21が形成されている。素子分離絶縁膜21は、例えば酸化シリコンで形成される。素子分離絶縁領域21に囲まれた活性領域内にMOSFET22が形成されている。MOSFET22を覆うように、支持基板20の上に第1層目の配線層M1Lが形成されている。その上に、第2層目の配線層M2Lから第10層目の配線層M10Lまでの9層の配線層が形成されている。
第10層目の配線層M10Lの上に、層間絶縁膜50が形成され、その一部の表面上にパッド52が形成されている。保護膜51が層間絶縁膜50及びパッド52を覆う。保護膜51には、パッド52の表面を露出させる開口が形成されている。層間絶縁膜50は、例えば、酸化シリコンまたは低誘電率絶縁材料等で形成され、保護膜51は、例えば炭化シリコン(SiC)で形成されている。
図4に、MOSFET22、第1層目の配線層M1L、及び第2層目の配線層M2Lのより詳細な断面図を示す。活性領域内に、MOSFET22が形成されている。MOSFET22は、ソース領域22S、ドレイン領域22D、ゲート絶縁膜22I及びゲート電極22Gを含んで構成される。
MOSFET22を覆うように、酸化シリコンからなる層間絶縁膜30及び炭化シリコンからなるストッパ膜31が形成されている。ドレイン領域22Dに対応する位置に、層間絶縁膜30及びストッパ膜31を貫通するビアホール32が形成されている。ビアホール32の内面を、TiNからなるバリアメタル層33が覆う。ビアホール32内に、タングステンからなるプラグ43が充填されている。
ストッパ膜31の上に、例えばフッ素含有シリケートガラスからなる層間絶縁膜35が形成されている。この層間絶縁膜35に、ストッパ膜31まで達する配線溝36が形成されている。配線溝36は、プラグ34が配置されている位置を通過する。配線溝36の底面及び側面を、タンタル(Ta)からなるバリアメタル層37が覆う。配線溝36内に、銅からなる配線38が充填されている。層間絶縁膜30、層間絶縁膜35、プラグ34、及び配線38等が、第1層目の配線層M1Lを構成する。
第1層目の配線層M1Lの上に、炭化シリコンからなるバリア層40が形成されている。バリア層40の上に、フッ素含有シリケートガラスからなる層間絶縁膜41が形成されている。層間絶縁膜41及びバリア層40に、第1層目の配線層M1Lまで達するビアホール42が形成されている。さらに、層間絶縁膜44に、その深さ方向の途中まで達する配線溝43が形成されている。配線溝43は、ビアホール42の配置された位置を通過する。
Taからなるバリアメタル層44が、配線溝43及びビアホール42の内面を覆う。配線溝43及びビアホール42内に、銅からなる配線45が充填されている。層間絶縁膜41及び配線45等が、第2層目の配線層M2Lを構成する。
第1層目の配線層M1Lはシングルダマシン法で形成され、第2層目の配線層M2Lはデュアルダマシン法で形成される。
以下、デュアルダマシン法で第2層目の配線層を形成する方法の一例を説明する。第1層目の配線層M1Lの上に、CVDによりバリア層40を形成する。バリア層40の上に、CVDにより層間絶縁膜41を形成する。層間絶縁膜41の上に、エッチングマスクとなる炭化シリコン膜(図示せず)を形成し、この炭化シリコン膜に、配線溝43に整合する開口を形成する。炭化シリコン膜上に、フォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜に、ビアホール42に整合する開口を形成する。
レジスト膜をマスクとして、層間絶縁膜41の深さ方向の途中までエッチングし、ビアホール42の一部分を形成する。レジスト膜を除去し、既にパターニングされている炭化シリコン膜をマスクとして、エッチングを行い、配線溝43を形成する。このとき、一部分が形成されていたビアホール42の底面もエッチングされ、ビアホール42がバリア層40まで達する。エッチングマスクとして使用した炭化シリコン膜、及びビアホール42の底面に露出したバリア層40を除去する。
ビアホール42の内面、配線溝43の内面、及び層間絶縁膜41の上面を覆うように、Ta膜をスパッタリングにより形成する。さらに、銅のシード層をスパッタリングにより形成し、銅層を電解めっきする。層間絶縁膜41の表面が露出するまでCMPを行い、不要なTa層及び銅層を除去する。これにより、ビアホール42及び配線溝43内に、Taからなるバリアメタル層44及び銅からなる配線45が残る。
上記説明で挙げた層間絶縁膜、バリアメタル層、配線等の材料は一例であり、他の材料を用いることも可能である。例えば、層間絶縁膜の材料として、ポーラスシリカ等の低誘電率絶縁材料を用いてもよい。
図2及び図3に戻って説明を続ける。第3層目の配線層M3Lから第9層目の配線層M9Lまでの各配線層は、第2層目の配線層M2Lと同様に、デュアルダマシン法により形成される。配線層M1LからM8Lまでの各層の、第2の領域11及び第4の領域13内に、銅からなるダミーパターン60が配置されている。配線層M1Lの第3の領域内に、図4に示した配線38が配置され、配線層M2Lの第3の領域12内に、図4に示した配線45が配置され、配線層M3LからM8Lまでの各層の第3の領域12内に、配線61が配置されている。ダミーパターン60は、当該配線層の配線と同時に形成される。第1の領域10内には、配線層M1Lから配線層M8Lまでのいずれの層にも、ダミーパターンや配線パターン等の導電パターンが配置されていない。
第9層目の配線層M9Lには、第1の領域10から第2の領域11を横切って第3の領域12まで達する引出線3が配置されている。配線層M9Lの厚さは、例えば1μmである。なお、第9層目の配線層M9Lの第3の領域12内には、その他の種々の配線(図示せず)が配置されている。第9層目の配線層M9Lの第1の領域10、第2の領域11、及び第4の領域13内には、引出線3以外の導電パターン(配線やダミーパターン)は配置されていない。
第9層目の配線層M9Lの上に、第10層目の配線層M10Lが形成されている。配線層M10Lは、シングルダマシン法により形成される。
第10層目の配線層M10Lの第1の領域10内にインダクタ1が形成されている。インダクタ1の内周側の端部が、ビアホール内に充填されたプラグ4を介して、その下の引出線3に接続されている。インダクタ1の外周側の端部は、同一層内に配置された引出線2に連続している。配線層M10Lの第3の領域12内に配置された配線5が、プラグ6を介して引出線3に接続されている。
第10層目の配線層M10Lの上に、酸化シリコンからなる絶縁膜50が形成されている。絶縁膜50に、その下の配線5の一部を露出させるビアホールが形成され、このビアホールの中に銅からなる導電性プラグ7が充填されている。絶縁膜50の上に、Al等のパッド52が形成されている。パッド52は、その下のプラグ7に接続される。プラグ7を覆うように、絶縁膜50の上に、炭化シリコンからなる保護膜51が形成されている。保護膜51に、パッド52の一部を露出させる開口が形成されている。
図5(A)に、ダミーパターンの平面図の一例を示す。正方形のダミーパターン60が行列状に配置されている。1つのダミーパターンの一辺の長さは、例えば1μmである。相互に隣り合うダミーパターンの間隔は、例えば1.4μmである。この場合、パターン密度は約17%になる。パターン密度は、ある領域の面積をSt、その領域内に配置されているダミーパターンの合計の面積をSpとしたとき、Sp/Stと定義される。上述のダミーパターンの大きさ及び間隔は一例であり、大きさと間隔を変えることにより、パターン密度を調整することができる。
図5(B)に、ダミーパターンの平面図の他の例を示す。図5(A)の例では、正方形のダミーパターンが行列状に配置されていたが、図5(B)の例では、行方向に隣り合う2つのダミーパターン60が、相互に列方向にずれており、列方向に隣り合う2つのダミーパターン60も、相互に行方向にずれている。このように、行列状の配置から行方向及び列方向にずれた配置としてもよい。
図5(C)に、ダミーパターンの平面図の他の例を示す。直線状の複数のダミーパターン60が等間隔で配置され、縞状模様が形成されている。各ダミーパターン60の幅(太さ)と間隔とを変えることにより、パターン密度を調整することができる。
図6に、配線層M1LのCMP後の表面の平坦度の測定結果を示す。評価対象の試料においては、第2の領域11内の第1のサブ領域11a及び第2のサブ領域11bのパターン密度を、それぞれ36%及び38%とし、第4の領域13のパターン密度を33%とした。ダミーパターンの配置は、図5(A)に示した行列状にした。ダミーパターンの配置された第2の領域11の表面に比べて、導電パターンの配置されていない第1の領域10の表面が窪んでいることがわかる。実施例では、第4の領域13にダミーパターンが配置されている。このため、第4の領域13に導電パターンが配置されていない場合に比べて、第1の領域10の表面の窪みが浅くなる。
第4の領域13にダミーパターンを配置したことの具体的な効果を、図7を参照して説明する。
図7(A)及び(C)に、ダミーパターンの効果を評価するための評価用試料の平面図を示す。図7(A)の試料においては、パターン密度が50%になるようにダミーパターンが配置された領域内に、導電パターンの配置されないパターン禁止領域70が配置されている。パターン禁止領域70は、一辺の長さが200μmの正方形である。図7(C)に示した試料においては、パターン密度が50%になるようにダミーパターンが配置された領域内に、パターン禁止領域70が配置され、さらにその中心に、ダミーパターンの配置されたダミーパターン領域71が配置されている。パターン禁止領域70は、一辺の長さが200μmの正方形である。ダミーパターン領域71は、一辺の長さが100μmの正方形であり、そのパターン密度は20%である。
図7(B)及び(D)に、それぞれ図7(A)及び(C)に示した評価用試料のCMP後の表面の平坦度の測定結果を示す。いずれの場合も、パターン禁止領域70の表面が窪み、エロージョンが発生していることがわかる。ところが、図7(A)の評価用試料においては、段差が約38nmであったのに対し、図7(C)の評価用試料においては、段差が約28nmであった。パターン禁止領域70内にダミーパターン領域71を配置することにより、段差が低減されていることができる。
ダミーパターン領域71のパターン密度が高すぎると、パターン禁止領域70とダミーパターン領域71との境界部分に発生する段差が大きくなる。逆に、ダミーパターン領域71のパターン密度が低すぎると、ダミーパターン領域71を配置する有意な効果が得られない。CMP後の平坦度を高めるために、ダミーパターン領域71のパターン密度を20〜40%とすることが好ましい。
上記実施例においては、パターンの配置されない環状の第1の領域10に囲まれた第4の領域13に、ダミーパターンが配置されているため、図7(C)及び(D)に示した評価用試料のように、段差が低減されている。
次に、図8及び図9を参照して、上記実施例において、第2の領域11にダミーパターンを配置した効果について説明する。
図8(A)〜(C)に、評価用試料に形成した導電パターンの配置を示す。複数の正方形の区画を行列状に配置した。1つの区画は、パターン禁止領域Aと、それを取り囲むダミーパターン領域とを含む。ダミーパターン領域のパターン密度の異なる複数の区画を準備した。
図8(A)は、パターン密度38%のダミーパターン領域Cを有する区画、パターン密度20%のダミーパターン領域Bを有する区画、及びパターン密度50%のダミーパターン領域Dを有する区画が、この順番に配列した領域の平面図を示す。図8(B)は、パターン密度38%のダミーパターン領域Cを有する区画、パターン密度50%のダミーパターン領域Dを有する区画、及びパターン密度75%のダミーパターン領域Eを有する区画が、この順番に配列した領域の平面図を示す。図8(C)は、パターン密度50%のダミーパターン領域Dを有する区画、パターン密度75%のダミーパターン領域Eを有する区画、及びパターン密度38%のダミーパターン領域Cを有する区画が、この順番に配列した領域の平面図を示す。ダミーパターン領域B、D及びEには、図5(C)に示した縞状パターンが形成されており、ダミーパターン領域Cには、図5(A)に示した行列状パターンが形成されている。
図9(A)〜(C)に、それぞれ図8(A)〜(C)に示した評価用試料の中央のパターン禁止領域Aの近傍の表面の、CMP後の平坦度の測定結果を示す。
パターン禁止領域Aとそれに接するダミーパターン領域との境界に発生する段差は、図9(C)の試料、図9(B)の試料、図9(A)の試料の順番に緩和されていることがわかる。実際に配線が形成される領域のパターン密度は、一般的に20〜80%である。パターン禁止領域Aに隣接して配線領域を配置する場合に、配線領域のパターン密度が高くなると、段差が大きくなる。パターン禁止領域Aの周囲に、パターン密度20%程度のダミーパターン領域を配置することにより、段差を低減することができる。
ダミーパターン領域のパターン密度が低すぎると、ダミーパターン領域を配置する効果が少なくなる。例えば、段差低減効果は、単にパターン禁止領域が広がった構成とほぼ同等と考えられる。また、ダミーパターン領域のパターン密度が高すぎると、図9(B)や図9(C)に示したように、段差が大きくなってしまう。段差を低減させるために、パターン禁止領域Aに接するダミーパターン領域のパターン密度を15%〜30%にすることが好ましい。
図9(A)に示すように、パターン密度20%のダミーパターン領域Bに、パターン密度50%のダミーパターン領域Dが接すると、その境界に段差が発生する。これに対し、パターン密度20%のダミーパターン領域Bと、パターン密度38%のダミーパターン領域Cとの境界には、大きな段差は発生していない。この評価結果から、図9(A)において、ダミーパターン領域Bの外側に、さらに、ややパターン密度の大きなもう一つのダミーパターン領域を配置することが好ましいことがわかる。相互に接する2つのダミーパターン領域のパターン密度の差は、15%以下とすることが好ましい。
上記考察を図1に示した実施例に適用すると、第2の領域11内の内周側の第1のサブ領域11aのパターン密度を15%〜30%にすることが好ましいと考えられる。第2のサブ領域11bのパターン密度を第1のサブ領域11aのパターン密度よりも高くし、その差を15%以下とすることが好ましいと考えられる。なお、第2の領域11内のパターン密度を均一にしても十分な効果が得られる場合には、第2の領域11を、パターン密度の異なる複数のサブ領域に区分する必要はない。
第2の領域11の幅が狭すぎると、第2の領域11を配置する効果が期待できない。第1の領域10の外周の一辺の長さをLとすると、第2の領域11の幅を0.2L以上にすることが好ましい。また、第1の領域10の外周が長方形状である場合には、その短い方の辺の長さをLとし、第2の領域11の幅を0.2L以上にすればよい。
上記実施例では、インダクタ1の配置された第1の領域10内には、いずれの配線層にも、インダクタ1からの引出線3以外の導電パターンが配置されていない。このため、インダクタ1の電気的特性を所望の値に維持することができる。このように、インダクタ1の電気的特性を所望の値に維持するために、第1の領域10内には、配線やダミーパターン等の導電パターンを配置しない構成とすることが好ましい。また、上記実施例では、環状の第1の領域10の外周に接する第2の領域11及び内周に接する第4の領域13にダミーパターンを配置したことにより、インダクタ1の電気的特性を維持しつつ、第1の領域10及びその周囲に発生し得る段差を低減することができる。
さらに、インダクタ1が配置された第10層目の配線層M10Lの直下の配線層M9Lには、第2の領域11内にもダミーパターンが配置されていない。ダミーパターン60は、インダクタ1が配置された配線層M10Lから1層分離れた第8層目の配線層M8L及びそれよりも下側の配線層に配置されている。このような構成にすることにより、ダミーパターン60がインダクタ1に近接することを防止し、インダクタ1の電気的特性を良好に保つことが可能になる。なお、第9層目の配線層M9Lの第2の領域11の近傍に、インダクタ1に直接接続された引出線3以外の配線を配置しない構成とすることにより、インダクタ1の配置される領域近傍の、配線層M9Lの表面には、段差を生じにくくすることができる。
上記実施例では、第1層目の配線層M1Lから第9層目の配線層M9Lまでのいずれの配線層にも、第1の領域内にはインダクタ1の引出線3以外の導電パターンを配置しない構成とした。インダクタ1から導電パターンまでの距離が長くなると、導電パターンがインダクタ1に与える影響が小さくなる。すなわち、インダクタ1の引出線3が配置された配線層M9Lの直下の配線層M8Lの第1の領域10内には、ダミーパターンを配置しないことが好ましい。第7層目の配線層M7L以下の配線層は、インダクタ1から2層分以上離れているため、これらの配線層M1L〜M7Lの第1の領域10内にダミーパターンを配置しても、インダクタ1へ与える影響は小さい。
また、上記実施例では、支持基板20の表面の第3の領域12内に、MOSFET22等の能動素子が形成され、第1の領域10及び第2の領域11を内包する領域には、素子分離絶縁膜21が形成されている。このように、インダクタ1と重なる領域に能動素子が配置されないため、能動素子によるインダクタ1への影響を回避することができる。
上記実施例では、図1に示したように、インダクタ1の巻き数が約1.5になっているため、内周側の端部に接続する引出線3とインダクタ1自身との交差箇所が生じてしまう。引出線3とインダクタ1との交差箇所で両者の短絡を回避するために、引出線3を、インダクタ1の配置された配線層M10Lとは異なる配線層M9Lに配置する必要がある。インダクタの巻き数が約1である場合には、インダクタの両端にそれぞれ接続される2本の引出線を、インダクタの配置された配線層と同一の配線層に配置することができる。この場合には、図2に示した配線層M9Lに引出線3を配置する必要がない。従って、配線層M9Lの第1の領域10内には、配線等の導電パターンが配置されないことになる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
上記実施例から、以下の付記に示された発明が導出される。
(付記1) 表面に、第1の領域、該第1の領域を取り囲む環状の第2の領域、及び該第2の領域を取り囲む第3の領域が画定された支持基板と、
前記支持基板の上に配置され、前記第3の領域内に配線が形成され、前記第2の領域内にダミーパターンが形成され、前記第1の領域内には導電パターンが形成されていない第1の配線層と、
前記第1の配線層の上であって、かつ前記第1の領域内に配置された機能素子と
を有する多層配線構造。
(付記2) 前記第2の領域が、前記第1の領域側の第1のサブ領域と、該第1のサブ領域よりも外側の第2のサブ領域とを含み、前記第1の配線層の、前記第1のサブ領域のパターン密度が、前記第2のサブ領域のパターン密度よりも低い付記1に記載の多層配線構造。
(付記3) さらに、前記第1の配線層と前記機能素子との間に配置された第2の配線層であって、前記第1及び第2の領域内には導電パターンが形成されていないか、または該機能素子に直接接続された配線のみが形成されている前記第2の配線層を含む付記1または2に記載の多層配線構造。
(付記4) さらに、前記支持基板と前記第1の配線層との間に配置された少なくとも1層の第3の配線層を含み、前記第1の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層のいずれにも導電パターンが形成されておらず、前記第2の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層にダミーパターンが形成されている付記1〜3のいずれかに記載の多層配線構造。
(付記5) 前記第1の領域が環状の領域であり、前記支持基板の表面に、さらに前記第1の領域に囲まれた第4の領域が画定されており、前記機能素子が、該第4の領域を避け、該第1の領域内に配置されたインダクタであり、前記第1の配線層の、該第4の領域内にダミーパターンが形成されている付記1〜3のいずれかに記載の多層配線構造。
(付記6) さらに、前記支持基板と前記第1の配線層との間に配置された少なくとも1層の第3の配線層を含み、前記第4の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層のいずれにもダミーパターンが形成されている付記5に記載の多層配線構造。
(付記7) 前記第1の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層のいずれにも導電パターンが形成されておらず、前記第2の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層にダミーパターンが形成されている付記6に記載の多層配線構造。
(付記8) さらに、前記支持基板の表面の、前記第3の領域内に形成された半導体能動素子と、
前記支持基板の表面の、前記第1及び第2の領域を内包するように形成された素子分離絶縁膜と
を有する付記1〜7のいずれかに記載の多層配線構造。
(付記9) 前記第1の領域の外周が正方形または長方形であり、前記第2の領域の幅が、前記正方形の一辺、または前記長方形の短い方の一辺の長さの0.3倍以上である付記1〜8のいずれかに記載の多層配線構造。
(付記10) 表面に、環状の第1の領域、該第1の領域を取り囲む第3の領域、及び該第1の領域にとり囲まれた第4の領域が画定された支持基板と、
前記支持基板の上に配置され、前記第3の領域内に配線が形成され、前記第4の領域内にダミーパターンが形成され、前記第1の領域内には導電パターンが形成されていない第1の配線層と、
前記第1の配線層の上であって、かつ前記第1の領域内に配置された機能素子と
を有する多層配線構造。
(付記11) さらに、前記第1の配線層と前記機能素子との間に配置された第2の配線層であって、前記第1及び第4の領域内には導電パターンが形成されていないか、または該機能素子に直接接続された配線のみが形成されている前記第2の配線層を含む付記10に記載の多層配線構造。
(付記12) さらに、前記支持基板と前記第1の配線層との間に配置された少なくとも1層の第3の配線層を含み、前記第1の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層のいずれにも導電パターンが形成されておらず、前記第4の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層にダミーパターンが形成されている付記10または11に記載の多層配線構造。
(付記13) さらに、前記支持基板の表面の、前記第3の領域内に形成された半導体能動素子と、
前記支持基板の表面の、前記第1及び第4の領域を内包するように形成された素子分離絶縁膜と
を有する付記10〜13のいずれかに記載の多層配線構造。
実施例による多層配線構造を有する半導体装置の平面図である。 図1に示した平面図の一点鎖線A2−A2における断面図である。 図1に示した平面図の一点鎖線A3−A3における断面図である。 実施例による多層配線構造の第1層目及び2層目の断面図である。 (A)〜(C)は、ダミーパターンの配置の一例を示す平面図である。 実施例による多層配線構造の配線層のCMP後における表面平坦度の測定結果を示すグラフである。 (A)及び(C)は、評価用試料のパターン禁止領域及びダミーパターン領域の配置を示す平面図であり、(B)及び(D)は、それぞれ(A)及び(C)に示した評価用試料の表面平坦度の測定結果を示すグラフである。 (A)〜(C)は、評価用試料のパターン禁止領域及びダミーパターン領域の配置を示す平面図である。 (A)〜(C)は、それぞれ図8(A)〜(C)の評価用試料の表面平坦度の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 インダクタ
2、3 引出線
4、6、7 プラグ
5、38、45、61 配線
10 第1の領域(インダクタ形成領域)
11 第2の領域(ダミーパターン形成領域)
12 第3の領域(配線パターン形成領域)
13 第4の領域(センター領域)
20 支持基板
21 素子分離絶縁膜
22 MOSFET
30、35、41 層間絶縁膜
31 ストッパ膜
32、42 ビアホール
33、37、44 バリアメタル層
34 プラグ
36、43 配線溝
38、45 配線
40 バリア層
60 ダミーパターン
70 パターン禁止領域
71 ダミーパターン領域

Claims (8)

  1. 表面に、第1の領域、該第1の領域を取り囲む環状の第2の領域、及び該第2の領域を取り囲む第3の領域が画定された支持基板と、
    前記支持基板の上に配置され、前記第3の領域内にダマシン法による配線が形成され、前記第2の領域内にダマシン法によるダミーパターンが形成され、前記第1の領域内には導電パターンが形成されていない第1の配線層と、
    前記第1の配線層の上であって、かつ前記第1の領域内に配置されたインダクタと、
    前記第1の配線層と前記インダクタとの間に配置された第2の配線層であって、前記第1及び第2の領域内には導電パターンが形成されていないか、または該インダクタに直接接続されたダマシン法による配線のみが形成されている前記第2の配線層と
    を有する半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造。
  2. 表面に、第1の領域、該第1の領域を取り囲む環状の第2の領域、及び該第2の領域を取り囲む第3の領域が画定された支持基板と、
    前記支持基板の上に配置され、前記第3の領域内にダマシン法による配線が形成され、前記第2の領域内にダマシン法によるダミーパターンが形成され、前記第1の領域内には導電パターンが形成されていない第1の配線層と、
    前記第1の配線層の上であって、かつ前記第1の領域内に配置されたインダクタと
    を有し、
    前記第2の領域が、前記第1の領域側の第1のサブ領域と、該第1のサブ領域よりも外側の第2のサブ領域とを含み、前記第1の配線層の、前記第1のサブ領域のパターン密度が、前記第2のサブ領域のパターン密度よりも低い半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造。
  3. さらに、前記支持基板と前記第1の配線層との間に配置された少なくとも1層の第3の配線層を含み、前記第1の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層のいずれにも導電パターンが形成されておらず、前記第2の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層にダマシン法によるダミーパターンが形成されている請求項1または2に記載の半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造。
  4. 前記第1の領域が環状の領域であり、前記支持基板の表面に、さらに前記第1の領域に囲まれた第4の領域が画定されており、前記インダクタが、該第4の領域を避け、該第1の領域内に配置されたインダクタであり、前記第1の配線層の、該第4の領域内にダマシン法によるダミーパターンが形成されている請求項1または2に記載の半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造。
  5. さらに、前記支持基板と前記第1の配線層との間に配置された少なくとも1層の第3の配線層を含み、前記第4の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層のいずれにもダマシン法によるダミーパターンが形成されている請求項4に記載の半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造。
  6. 前記第1の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層のいずれにも導電パターンが形成されておらず、前記第2の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層にダマシン法によるダミーパターンが形成されている請求項5に記載の半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造。
  7. 表面に、環状の第1の領域、該第1の領域を取り囲む第3の領域、及び該第1の領域にとり囲まれた第4の領域が画定された支持基板と、
    前記支持基板の上に配置され、前記第3の領域内にダマシン法による配線が形成され、前記第4の領域内にダマシン法によるダミーパターンが形成され、前記第1の領域内には導電パターンが形成されていない第1の配線層と、
    前記第1の配線層の上であって、かつ前記第1の領域内に配置されたインダクタと、
    前記第1の配線層と前記インダクタとの間に配置された第2の配線層であって、前記第1及び第4の領域内には導電パターンが形成されていないか、または該インダクタに直接接続されたダマシン法による配線のみが形成されている前記第2の配線層と
    を有する半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造。
  8. さらに、前記支持基板と前記第1の配線層との間に配置された少なくとも1層の第3の配線層を含み、前記第1の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層のいずれにも導電パターンが形成されておらず、前記第4の領域内には、前記第1の配線層及び第3の配線層にダマシン法によるダミーパターンが形成されている請求項7に記載の半導体集積回路装置内に形成された多層配線構造。
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