JP4150254B2

JP4150254B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液

Info

Publication number: JP4150254B2
Application number: JP2002367575A
Authority: JP
Inventors: 邦夫辻
Original assignee: Nichicon Capacitor Ltd
Current assignee: Nichicon Capacitor Ltd
Priority date: 2002-12-19
Filing date: 2002-12-19
Publication date: 2008-09-17
Anticipated expiration: 2022-12-19
Also published as: JP2004200434A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液（以下、電解液と称す）の改良に関するものであり、詳しくは、電解液の耐電圧向上技術に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
中高圧用の電解コンデンサの電解液として、従来は、エチレングリコールを主溶媒とし、カルボン酸またはそのアンモニウム塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩とを溶解し、さらに、電解液の耐電圧を上昇させるためマンニトール、ソルビトール等の多価アルコールを溶解した電解液が用いられてきた（例えば、特許文献１、２参照）。
【０００３】
【特許文献１】
特公平７−４８４６０号公報（第２頁、表）
【特許文献２】
特公平７−６３０４７号公報（第３頁、表１）
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコールは溶解量に対する耐電圧の向上が緩慢であり、また多価アルコールを多量に溶解すると、多価アルコールがカルボン酸およびホウ酸とエステル化反応するため、耐電圧は向上するが比抵抗の上昇が著しいという問題があった。
【０００５】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、比抵抗が上昇することがなく、かつ、耐電圧の向上も可能な電解液を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、多価アルコールと比較して電極箔への吸着性が高いＤＬ−トレオニンに着目し、その特性を電解液に適用することにより課題の解決を図ったものである。
【０００７】
すなわち、本発明に係る電解液では、エチレングリコールを主溶媒とし、カルボン酸若しくはその塩、および／または、ホウ酸若しくはその塩と、以下の化学式で表されるＤＬ−トレオニンとを溶解したことを特徴とする。
【０００８】
【化２】

【０００９】
本発明において、上記ＤＬ−トレオニンの添加量は、電解液全体に対して０．５〜２．０ｗｔ％であることが好ましい。０．５ｗｔ％未満では耐電圧向上効果が十分でなく、２．０ｗｔ％を超えると比抵抗が著しく上昇する。
【００１０】
本発明において、上記カルボン酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、安息香酸、１，６−デカンジカルボン酸、５，６−デカンジカルボン酸、７−ビニルヘキサデセン−１，１６−ジカルボン酸等を挙げることができる。
【００１１】
また、カルボン酸やホウ酸の塩としては、メチルアミン、エチルアミン、ｔ−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
エチレングリコールを主溶媒とし、カルボン酸若しくはその塩、および／または、ホウ酸若しくはその塩と、ＤＬ−トレオニンとを溶解して電解液を調製した。ここで、ＤＬ−トレオニンの添加量は、電解液全体に対して０．５〜２．０ｗｔ％とした。
【００１３】
本発明に係る電解液において、ＤＬ−トレオニンと、カルボン酸またはホウ酸とのエステル化反応による生成物は、電解液中のイオンの移動を妨げないので、電解液の比抵抗上昇が抑えられる。また、ＤＬ−トレオニンは、電極箔に対する高い吸着性を有するため、電極箔上にて効率良くカルボン酸またはホウ酸とのエステル化反応を行うことができ、少量の添加で耐電圧を向上させることができる。
【００１４】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。表１、２に示す組成で電解液を調合し、３０℃における比抵抗および８５℃における火花発生電圧（電解液の耐電圧）を測定した結果を表１、２に示す。
【００１５】
【表１】

【００１６】
【表２】

【００１７】
表１、２に示すように、マンニトールのみを添加した従来例１、２と比較して、本発明の実施例１〜１７は、比抵抗上昇を抑制しながら、耐電圧の向上が図られていることが分かる。
【００１８】
なお、ＤＬ−トレオニンの添加量は、０．５ｗｔ％未満では耐電圧向上効果が十分でなく、２．０ｗｔ％を超えると比抵抗上昇が著しく、低比抵抗の用途に不向きとなる。従って、ＤＬ−トレオニンの添加量は、０．５〜２．０ｗｔ％の範囲が好ましい。
【００１９】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、先に例示したカルボン酸またはその塩を単独または複数溶解しても同様の効果がある。
【００２０】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明に係る電解液において、ＤＬ−トレオニンと、カルボン酸またはホウ酸とのエステル化反応による生成物は、電解液中のイオンの移動を妨げないので、電解液の比抵抗上昇が抑えられる。また、ＤＬ−トレオニンは、電極箔に対する高い吸着性を有するため、電極箔上にて効率良くカルボン酸またはホウ酸とのエステル化反応を行うことができ、少量の添加で耐電圧を向上させることができる。

Claims

エチレングリコールを主溶媒とし、カルボン酸若しくはその塩、および／または、ホウ酸若しくはその塩と、以下の化学式で表されるＤＬ−トレオニンとを溶解したことを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
請求項１において、ＤＬ−トレオニンの溶解量が、電解液全体に対して０．５〜２．０ｗｔ％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。