JP4520363B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

Description

本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液（以下、電解液と称す）の改良に関するものであり、特に耐電圧を改善した電解液に関するものである。

従来、中高圧用アルミニウム電解コンデンサの電解液には、エチレングリコールを主溶媒とし、高級二塩基酸またはそのアンモニウム塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、電解液の耐電圧を上昇させるためのマンニトール、ソルビトール等の多価アルコールとを配合した電解液が用いられている（例えば、特許文献１〜３参照）。
特公平７−４８４５９号公報（第１−４頁） 特公平７−４８４６０号公報（第１−３頁） 特公平７−６３０４７号公報（第１−４頁）

しかしながら、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコールは添加量に対する耐電圧の向上が緩慢であるため、多量に配合する必要があり、その結果、比抵抗が増大するという問題点がある。また、多価アルコールを多量に添加すると、多価アルコールが高級二塩基酸やホウ酸とエステル化反応を起こし、比抵抗が著しく上昇するという問題点がある。

以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、低比抵抗化および耐電圧向上の双方を図ることができるアルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液を提供することにある。

本発明は上記課題を解決するため、多価アルコールと比較してＤ−グルコサミンが電極箔への吸着性が高いことに着目し、その特性を電解液に適応しようとするものである。

すなわち、本発明に係るアルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液では、エチレングリコールを主溶媒とし、少なくとも、高級二塩基酸またはその塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、以下の化学式で示されるＤ−グルコサミンとを配合したことを特徴とする。

本発明において、Ｄ−グルコサミンの配合量は、電解液全体に対して０．５〜２．０ｗｔ％であることが好ましい。

本発明において、高級二塩基酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、安息香酸、１，６−デカンジカルボン酸、５，６−デカンジカルボン酸、７−ビニルヘキサデセン−１，１６−ジカルボン酸等を挙げることができる。

高級二塩基酸の塩としては、メチルアミン、エチルアミン、ｔ−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等を例示することができる。

本発明に係るアルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液において、Ｄ−グルコサミンは、少量の添加で耐電圧を向上させるため、多価アルコールと比較して比抵抗の低下を図ることができる。また、Ｄ−グルコサミンであれば、高級二塩基酸やホウ酸とエステル化反応の影響をほとんど無視できるので、電解液の低比抵抗化を図ることができる。

Ｄ−グルコサミンは、電極箔に対する高い吸着性を有するため、電極箔上にて効率良く高級二塩基酸やホウ酸とのエステル化反応を行う。このため、少量の添加で耐電圧を向上することができ、かつ、多価アルコールと比較して比抵抗の低下を図ることができる。
また、Ｄ−グルコサミンと、高級二塩基酸やホウ酸とのエステル化反応による生成物であれば、電解液中でのイオンの移動を妨げないので、電解液の比抵抗上昇を抑制することができる。

以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。まず、表１および表２に示す組成で電解液を調合し、３０℃における比抵抗および８５℃における火花発生電圧（電解液の耐電圧）を測定した。その結果を表１および表２に示す。

表１および表２より明らかなように、マンニトールを添加した従来例に係る電解液と比較して、本発明の実施例１〜１４に係る電解液では、比抵抗の上昇を抑えながら、耐電圧の向上を図ることができる。
ここで、Ｄ−グルコサミンの配合量は、電解液全体に対して０．５ｗｔ％未満（実施例１）では耐電圧を向上する効果が小さく、２．０ｗｔ％を超える（実施例５）と比抵抗上昇が増大し、低比抵抗の用途に不向きとなる。よって、Ｄ−グルコサミンの配合量は、電解液全体に対して０．５〜２．０ｗｔ％の範囲が好ましいと言える。

なお、Ｄ−グルコサミンを溶解させた効果は、実施例に限定されるものではなく、先に記載した各種化合物を単独または複数溶解した電解液に用いても実施例と同等の効果があった。

Claims (2)

1. エチレングリコールを主溶媒とし、少なくとも、高級二塩基酸またはその塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、以下の化学式で示されるＤ−グルコサミンとを配合したことを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
   

   
2. 請求項１記載のＤ−グルコサミンの配合量が電解液全体に対して０．５〜２．０ｗｔ％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。