JP4149227B2 - 給電用導電部材とそれを備えた給電ブロック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のバッテリが上がった場合に、バッテリに直接ではなく、給電端子にブースタケーブルを接続するように構成した給電用導電部材とそれを備えた給電ブロックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばエンジンとモータを混載したハイブリッド車等においては、車両後部にバッテリを搭載し、車両前側のエンジンルームに、バッテリ上がり時の電源供給を可能とする電源供給部を搭載している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図3に示す如く電源供給部41はジャンプスタート端子ボックス42を備え、ボックス42の各端子43,44に、バッテリに続くハーネス45と、スタータモータとオルタネータに続く各ハーネス46とが接続されている。
【0004】
バッテリ上がり時に、バッテリに続く端子43の短円柱状の接続部43aに図4のブースタケーブル47の先端の導電クランプ48を内側のばね部材のばね力で把持させて接続し、他車のバッテリ等から本車のバッテリに電源を給電しつつスタータモータを回してエンジンを始動する。このように、一々車両後部のバッテリ室を開けずに、車両前部のボンネットのみを開けることで、バッテリ上がりに容易に対応することができる。
【0005】
バッテリからの電源ケーブルを接続する電気接続ブロックとしては、例えば図5に示すようなものが開示されている(特許文献2参照)。
【0006】
この電気接続ブロック51は、合成樹脂製のケース52と、ケース52を覆う合成樹脂製の防水用のメインカバー53とサブカバー54とを備え、サブカバー54はメインカバー53の切欠凹部55内に嵌め込まれ、ケース52側の電源接続端子(スタッドボルト)56を覆う。カバー53はケース52に係止手段57,58で固定される。
【0007】
電源接続端子56はケース52の凹部59内に立設され、電源接続端子56の両側にヒューズ装着部60,61が配設されている。サブカバー54には電源ケーブル62が固定され、電源ケーブル62の先端には、電源接続端子56に対する挿通孔を有する板端子63が接続されている。ヒューズ装着部60,61内の端子はバスバー(図示せず)に一体に形成され、バスバーと電源接続端子56とはナット締めで接続される。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−191359号公報(第2−3頁、図1,図8−図12)
【特許文献2】
特開平6−276647号公報(第3頁、図10)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の端子ボックス42の給電端子43(図3)や電気接続ブロック51の接続端子56(図5)は細い円柱状であるために、図4のブースタケーブル47の導電クランプ48で把持しにくく、導電クランプ48がぐらついて安定しにくく、接続作業性が悪いと共に、導電クランプ48との接触面積が小さく、電気的接触性が悪く、これらにより給電の信頼性に欠けるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記した点に鑑み、車両のバッテリ上がり時に給電端子をブースタケーブルの導電クランプで容易に且つしっかりと且つ大きな接触面積で把持でき、接続(給電)作業性と電気的接続の信頼性を高めることのできる給電用導電部材とそれを備えた給電ブロックを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る給電用導電部材は、バッテリに電気的に導通される導通部分と、該導通部分に続き、ブースタケーブルを接続可能な給電端子とを備える給電用導電部材において、前記給電端子が横断面略角型状に形成され、前記導通部分から交差方向に長く突出され、該導通部分がバスバーであり、該給電端子が該バスバーに一体に形成されたことを特徴とする。
上記構成により、車両のバッテリ上がり時に、外部に長く突出した給電端子にブースタケーブルの導電クランプを容易に且つ確実に把持させることができる。また、給電端子が横断面略角型状であるから、ブースタケーブルの導電クランプを把持した際に導電クランプがぐらつかず安定性が良く、導電クランプとの接触面積も断面円形の給電端子の場合に較べて大きく、通電抵抗が小さく、電気的接触性が良好である。
また、給電端子とバスバーとで成る給電用導電部材を導電金属板から打ち抜き及び折り曲げ成型により、容易に且つ生産性良く低コストで形成することができる。例えば、断面略コの字状の給電端子については、平板状のバスバーの長手方向の延長部分に基板部を形成し、基板部を基端から折り曲げると共に、基板部の両側の延長部分を折り曲げて一対の突板部とすることで、給電端子を含む給電用導電部材を容易に効率良く低コストで形成することができる。
【0012】
請求項2に係る給電用導電部材は、請求項1記載の給電用導電部材において、前記給電端子が雄タブ状に形成されたことを特徴とする。
上記構成により、ブースタケーブルの導電クランプで雄タブ状の給電端子を板厚方向に把持することで、導電クランプが給電端子の平坦な表裏面に大きな面積で接触する。また、導電クランプで雄タブ状の給電端子を板幅方向に把持することで、導電クランプが大きく開いて維持され、大きなばね力で給電端子を強く把持する。
【0013】
請求項3に係る給電用導電部材は、請求項2記載の給電用導電部材において、前記給電端子の板厚が前記導通部分の板厚よりも厚く形成されたことを特徴とする。
上記構成により、ブースタケーブルの導電クランプで雄タブ状の給電端子を板厚方向に把持した際に、導電クランプが大きく開いて維持され、大きなばね力で給電端子を強く把持する。
【0014】
請求項4に係る給電用導電部材は、請求項1記載の給電用導電部材において、前記給電端子が、基板部と、該基板部の両側で該基板部と交差する方向に突出した一対の突板部とで横断面略コの字状に形成されたことを特徴とする。
上記構成により、給電端子の厚さ方向の寸法が基板部の板厚と突板部の長さとの総和で大きくなり、ブースタケーブルの導電クランプで給電端子を厚さ方向に把持しやすくなると共に、導電クランプのばね部材による把持力が大きくなって、電気的接触性が高まる。給電端子の幅方向についても、ブースタケーブルの導電クランプが両突板部の表面を把持するように掴むから、導電クランプと給電端子との接触面積が増して、電気的接触性が高まる。
【0016】
請求項5に係る給電用導電部材を備えた給電ブロックは、請求項1〜4の何れか1項に記載の給電用導電部材が絶縁性のベースに装着され、前記給電端子が該ベースから外部に長く突出したことを特徴とする。
上記構成により、車両のバッテリ上がり時に、外部に長く突出した給電端子にブースタケーブルの導電クランプを容易に且つ確実に把持させることができる。
【0017】
請求項6に係る給電用導電部材を備えた給電ブロックは、請求項5記載の給電用導電部材を備えた給電ブロックにおいて、前記バッテリからの回路を接続するボルトが前記ベースに突設され、該ボルトに前記導通部分が挿通接続され、前記給電端子が該ボルトよりも長く突出されたことを特徴とする。
上記構成により、ブースタケーブルの導電クランプをボルトに把持させる場合に較べて、長く突出した給電端子に導電クランプを容易に且つボルトに邪魔されることなく確実に把持させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る給電用導電部材の一実施形態とそれを備えた給電ブロックを示すものである。
【0019】
給電ブロック40は、合成樹脂製(絶縁性)のベース2と、ベース上に装着される給電用導電部材30とを備えている。ベース2は水平な基台部21と、基台部21の周囲(半周以上)に立設された側壁19と、側壁19から基台部21と平行に突出されたブラケット22とを備えている。
基台部21に導電金属製の二本のボルト23が垂直に植設され、ボルト23の頭部(図示せず)は基台部21内に埋入固定されている。二本のボルト23を貫通して基台部21上に金属製の給電用導電部材30のバスバー(導通部分)24が水平に配置されている。
【0020】
バスバー24には二本のボルト23を挿通する円形の孔部25が並列に設けられ、バスバー24の一端に長い雄タブ状の給電端子6が一体に上向き(垂直)に突出形成されている。バスバー24と給電端子6とで給電用導電部材30が構成されている。孔部25の周縁がバッテリからの回路(電源ケーブル)に電気的に導通される導通部35として作用する。各ボルト23はベース2の側壁19よりも高く突出され、給電端子6はボルト23よりも二倍ないしそれ以上の高さで突出されている。
【0021】
給電端子6はバスバー24よりも厚肉に形成され、板厚方向に表裏の平坦面6bを有し、板幅方向の両端と上端とに略円弧状の湾曲面6cを有している。給電端子6が厚肉であるから、ブースタケーブルの導電クランプ(図4参照)で強く給電端子6を把持することができ、しかも表裏の平坦面6bで導電クランプを従来の円柱状の給電端子に較べて大きな接触面積で安定して接触させることができる。また、給電端子6の横幅が広いから、同様に導電クランプを強く把持させることができる。その際、両側の湾曲面6cに導電クランプを安定に保持させることができる。
【0022】
バスバー24はベース2の側壁19の上端19aよりも下方に位置している。バスバー24の両側には下向きの位置決め突部(図示せず)が設けられ、基台部21の上面(バスバー24を載置する面)に、位置決め突部を進入係合させる穴部(図示せず)が設けられている。
【0023】
バスバー24を基台部21上にセットし、貫通した一方のボルト23にバッテリからの電線のプラス電極の端子(図示しない電線に接続された端子)をナット(図示せず)で締め付け接続し、他方のボルト23に例えばオルタネータからの電線の端子を同様にナットで締め付け接続する。バスバー24はベース2の基台部21上にそれらのナットで締付固定される。バスバー24の一側端には各電線の板状の端子(図示せず)を位置決めする三本の突出部26が上向きに設けられている。
【0024】
給電端子6の基端部6aはベース2の側壁19の略コの字状の部分19bで囲まれて位置する。ベース2はブラケット22の孔部27で車両ボディやパネル等にネジ締め固定される。給電端子6はベース2の側壁19の上端19aよりも遙かに高く上向きに突出して位置する。
【0025】
なお、上端及び両端の湾曲面6cがない雄タブ状の給電端子も有効である。また、図1の給電端子以外で、横断面四角形状(正方形や長方形)等の横断面矩形状の給電端子も使用可能である。
【0026】
図2は、給電端子の他の実施形態とそれを用いた給電ブロックを示すものである。図1の実施形態と同様の構成部分には同一の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0027】
この給電端子6’は横断面略コの字状に形成されている。すなわち、バスバー24に続いて垂直に延びる基板部31と、基板部31の両側で内向きに直角に折り曲げられて続く左右一対の平行な突板部32とで給電端子6’が構成されている。突板部32と基板部31とのなす角度は90度よりも若干大きくても構わない。
【0028】
突板部32の突出長さL1は基板部31の横幅寸法L2の半分程度ないしそれ以上に設定される。各突板部32の突出長さL1は同じである。突板部32はブースタケーブルの導電クランプで掴む部位すなわち上半部だけ大きく突出していればよく、下半部は切欠(33)されて小さな突出量で形成されている。基板部31と突板部32の板厚は同じであり、これらはバスバー24の板厚と同じである。基板部31の下端側からバスバー24にかけて補強用のリブ34が内向きに膨出形成されている。
【0029】
給電端子6’とバスバー24とで給電用導電部材30’が構成され、給電用導電部材30’と合成樹脂製のベース2とで導電金属製のボルト23とで給電ブロック40’が構成されている。給電端子6’の基部6a’はベース2の側壁19bで囲まれている。
【0030】
給電用導電部材30’の製造に際しては、導電金属板(図示せず)からバスバー24と給電端子6’とを一体に打ち抜き、バスバー24と給電端子6’の基板部31とを平面的に連続させ、基板部31の両側で突板部32を内向きに直角ないしほぼ直角に折り曲げると共に、バスバー24と基板部31との境部から基板部31をバスバー24に対して直角に折り曲げて立ち上げる。これにより、容易に且つ生産性良く給電用導電部材30’を形成することができる。
【0031】
ブースタケーブルの導電クランプで給電端子6’を板厚方向に把持する場合には、両側の突板部32が突出しているから、導電クランプが大きく開かれ、強いばね力で給電端子6’が把持されると共に、基板部31の外側面が平坦面であるから、導電クランプに大きな面積で接触する。また、導電クランプで給電端子6’を板幅方向に把持する場合には、板幅L2が大きいから、上記以上に大きな力で導電クランプが給電端子6’を把持し、しかも両側の突板部32の外側の平坦面が大きな面積で導電クランプに面接触する。
【0032】
なお、突板部32の突出長さL1と基板部31の幅L2とを同程度に形成することも可能である。また、両側の突板部32を少し外向きに開いて、導電クランプの開閉形態に対応して突板部32の外面を正確に面接触させることも可能である。
【0033】
上記各実施形態においては、給電ブロック40をバッテリと共にエンジンルーム内に置くことも可能であり、エンジンルーム以外でも適宜箇所に設置可することができる。また、車両ボディやパネルへ等のベース2の固定手段はブラケット22に限らず、種々の形態を適宜設定可能である。また、給電端子6,6’の向きは上向きに限らず、横向きや斜め方向等適宜設定可能である。例えばバスバー24に対して直角ではなく傾斜方向に給電端子6,6’を突出させることも可能である。
【0034】
また、給電ブロック40,40’は合成樹脂製のカバーで覆われてもよく、あるいはリレーやヒューズ等を有する大きな電気接続箱(図示せず)の一部分を構成するものであってもよい。給電端子6,6’のみをカバーから外部に長く突出させてもよい。また、バッテリやオルタネータ等からの電線(回路)の端子(図示せず)をバスバー24に接続する手段はボルト23とナットに限らず、端子同士の接続等、種々の形態を適宜設定可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、車両のバッテリ上がり時に、給電端子にブースタケーブルの導電クランプを容易に且つ確実に把持させることができるから、給電作業性が向上する。また、ブースタケーブルの導電クランプで給電端子をぐらつきなく安定に把持でき、しかも断面円形の給電端子に較べて把持時の接触面積が増大するから、電気的接続(給電)の信頼性が向上する。
また、導電金属板からバスバーと給電端子とを打ち抜き及び折り曲げ加工で一体に形成できるから、給電端子を含む給電用導電部材を効率良く低コストで形成することができ、給電用導電部材の生産性が高まる。
【0036】
請求項2記載の発明によれば、ブースタケーブルの導電クランプで雄タブ状の給電端子を板厚方向に大きな接触面積で把持でき、また、導電クランプで雄タブ状の給電端子を板幅方向に強く把持することができるから、電気的接続(給電)の信頼性が向上する。
【0037】
請求項3記載の発明によれば、ブースタケーブルの導電クランプで雄タブ状の給電端子を板厚方向に強く把持できるから、電気的接続(給電)の信頼性が一層向上する。
【0038】
請求項4記載の発明によれば、ブースタケーブルの導電クランプで給電端子を厚さ方向と幅方向との両方向に強く把持できるから、電気的接続(給電)の信頼性が一層向上する。
【0040】
請求項5記載の発明によれば、給電端子のベースから外部に突出した部分をブースタケーブルの導電クランプで容易に且つ確実に把持することができるから、接続(給電)作業性が向上する。
【0041】
請求項6記載の発明によれば、ブースタケーブルの導電クランプを、ボルトに邪魔されることなく、長く突出した給電端子に容易に且つ確実に把持させることができるから、接続(給電)作業性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る給電用導電部材の一実施形態とそれを用いた給電ブロックを示す斜視図である。
【図2】給電用導電部材の他の実施形態とそれを用いた給電ブロックを示す斜視図である。
【図3】従来の給電ボックスの一形態を示す斜視図である。
【図4】給電用のブースタケーブルの導電クリップを示す斜視図である。
【図5】電源ケーブルを接続する従来の電気接続ブロックの一形態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
2 ベース
6,6’ 給電端子
24 バスバー(導通部分)
30,30’ 給電用導電部材
31 基板部
32 突板部
40,40’ 給電ブロック
Claims (6)
- バッテリに電気的に導通される導通部分と、該導通部分に続き、ブースタケーブルを接続可能な給電端子とを備える給電用導電部材において、前記給電端子が横断面略角型状に形成され、前記導通部分から交差方向に長く突出され、該導通部分がバスバーであり、該給電端子が該バスバーに一体に形成されたことを特徴とする給電用導電部材。
- 前記給電端子が雄タブ状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の給電用導電部材。
- 前記給電端子の板厚が前記導通部分の板厚よりも厚く形成されたことを特徴とする請求項2記載の給電用導電部材。
- 前記給電端子が、基板部と、該基板部の両側で該基板部と交差する方向に突出した一対の突板部とで横断面略コの字状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の給電用導電部材。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の給電用導電部材が絶縁性のベースに装着され、前記給電端子が該ベースから外部に長く突出したことを特徴とする給電用導電部材を備えた給電ブロック。
- 前記バッテリからの回路を接続するボルトが前記ベースに突設され、該ボルトに前記導通部分が挿通接続され、前記給電端子が該ボルトよりも長く突出されたことを特徴とする請求項5記載の給電用導電部材を備えた給電ブロック。
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