JP6423192B2 - ブースターケーブル保持構造 - Google Patents

Description

本発明は、ブースターケーブルを救援端子に接続保持するブースターケーブルの保持構造に関する。

従来、車両には、エンジンの始動、ランプ等の電装品への電力供給のため、バッテリーが搭載されている。このバッテリーは、リレー、ヒューズ等が装着された電気接続箱に電源線によって接続し、電気接続箱を介して電装品等への電力の供給がなされるようになっている。
近年、車載用のバッテリーは、電気自動車の仕様に対応して大型化しているため、設置場所がエンジンルームから、例えばトランクルームに変更される傾向にある。

ところで、バッテリーがあがってしまった場合、バッテリーの設置されたトランクルームを開けてバッテリーにブースターケーブルを繋ぐ必要がある。しかしながら、バッテリーはトランクルームの内装材の内側にある収容空間に設置しているため、内装材を取り外す必要があり作業が煩雑であった。

そこで、このような問題を解消するため、例えば、特許文献１には、ブースターケーブルをバッテリーに接続させる代わりに電気接続箱に設けられた救援端子部に接続し、電気接続箱を介してバッテリーを充電するようにした電気接続箱が記載されている。

特許文献１に記載された救援端子構造は、ブースターケーブルのクリップ部によって救援端子部とリブとを同時に挟持し、クリップ部の歯部がリブの間に食い込むことによってクランプ部が保持されるようになっている。

特開２００９−２５２４５３号公報

しかしながら、特許文献１に記載された救援端子構造は、ブースターケーブルの電線が、クリップ部のリブへの食い込みによる保持力を超える力で引っ張られると、クリップ部がリブの延在方向に移動し、結果的に、クリップ部が救援端子部から外れるおそれがあった。

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ブースターケーブルのクリップ部が救援端子部から外れることを防止することができるブースターケーブル保持構造を提供することを目的とする。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項１に係るブースターケーブル保持構造は、絶縁樹脂製の構造本体部に板状に突設した救援端子部と、該救援端子部に面を重ねるように前記構造本体部に板状に突設した樹脂製の樹脂製端子支持部とを備えてブースターケーブルのクリップ部によって挟持する部分となる挟持接続部を有したブースターケーブルの保持構造において、前記樹脂製端子支持部は、前記クリップ部が前記挟持接続部を挟持する場合、前記クリップ部の少なくとも一つの歯部が入る溝部と、前記溝部内に入った前記歯部より前記溝部に沿って前記クリップ部が前記ブースターケーブルのケーブルを引っ張る外力によって移動する側に設けた壁であり、前記クリップ部の移動を阻止する移動規制壁部と、を有し、前記溝部は、直線状、かつ、延在方向の一端側を前記移動規制壁部が塞ぎ他端側を貫通するように形成し、前記移動規制壁部は、前記溝部の溝深さ方向の上端面と面一の壁高さになっていることを特徴とする。

また、本発明の請求項１に係るブースターケーブル保持構造は、上記の発明において、前記溝部は、直線状、かつ、延在方向の一端側を前記移動規制壁部が塞ぎ他端側を貫通するように形成することを特徴とする。

また、本発明の請求項１係るブースターケーブル保持構造は、上記の発明において、前記移動規制壁部は、前記溝部の溝深さ方向の上端面と面一の壁高さになっていることを特徴とする。

本発明の請求項１に係るブースターケーブル保持構造は、ブースターケーブルのケーブルが引っ張られた場合、前記溝部の溝内側面が前記歯部を前記移動規制壁部に移動させるガイドとして機能するとともに、前記クリップ部の傾きを阻止するように機能し、前記クリップ部が前記歯部を前記溝部に入れた状態を維持することができ、しかも、前記クリップ部が前記溝部に沿って移動し続けると、前記歯部が前記移動規制壁部に突き当たることにより、前記クリップ部の移動が阻止されるので、ブースターケーブルのクリップ部が救援端子部から外れることを防止することができる。

本発明の請求項１に係るブースターケーブル保持構造は、金型による前記溝部の成形において、前記溝部の延在方向の貫通側の端部から前記溝部に対応した金型の一部分を引き抜くことができるので、前記溝部の深さ方向での型抜きを必要とせず、金型の数を少なく抑えて成形することができ、結果的に、金型による成形コストを削減することができる。

本発明の請求項１に係るブースターケーブル保持構造は、前記移動規制壁部が前記溝部の溝深さ方向の上端面と面一の壁高さになっているので、金型を簡易な形状にすることができ、結果的に、金型による成形を容易にすることができる。

図１は、本発明の実施例に係るブースターケーブル保持構造を組み込んだ電気接続箱の斜視図である。 図２は、電気接続箱のケース本体部から取り外したブースターケーブル保持構造の構造本体部の斜視図である。 図３は、ブースターケーブル保持構造の挟持接続部周辺と、挟持接続部を挟持したブースターケーブルと、を樹脂製端子支持部側から視た斜視図である。 図４は、図３に示したブースターケーブル保持構造の挟持接続部周辺と、挟持接続部を挟持したブースターケーブルと、を挟持接続部の側方から視た図である 図５は、図３に示した挟持接続部周辺およびブースターケーブルを救援端子部側から視た図である。 図６は、挟持接続部周辺を樹脂製端子支持部側から視た正面図である。 図７は、挟持接続部周辺の斜視図である。 図８は、樹脂製端子支持部の断面斜視図である。 図９は、樹脂製端子支持部の断面図である。 図１０は、ブロックの金型成形について説明するための図である。 図１１は、ブースターケーブルのケーブルが引っ張られた場合のクリップ部の動作を説明するための図である。 図１２は、（ａ）が変形例のブースターケーブルの保持構造の挟持接続部周辺の斜視図であり、（ｂ）がブースターケーブル保持構造の挟持接続部周辺と、挟持接続部を挟持したブースターケーブルと、を樹脂製端子支持部側から視た斜視図である。

以下、図面を参照して、本発明に係るブースターケーブル保持構造の好適な実施例を詳細に説明する。

図１は、本発明の実施例に係るブースターケーブル保持構造１を組み込んだ電気接続箱１００の斜視図である。図２は、電気接続箱１００のケース本体部１１０から取り外したブースターケーブル保持構造１の構造本体部１０の斜視図である。図３は、ブースターケーブル保持構造１の挟持接続部６０周辺と、挟持接続部６０を挟持したブースターケーブル２００と、を樹脂製端子支持部３０側から視た斜視図である。図４は、図３に示したブースターケーブル保持構造１の挟持接続部６０周辺と、挟持接続部６０を挟持したブースターケーブル２００と、を挟持接続部６０の側方から視た図である。図５は、図３に示した挟持接続部６０周辺およびブースターケーブル２００を救援端子部２０側から視た図である。図６は、挟持接続部６０周辺を樹脂製端子支持部３０側から視た正面図である。図７は、挟持接続部６０周辺の斜視図である。図８は、樹脂製端子支持部３０の断面斜視図である。図９は、樹脂製端子支持部３０の断面図である。図１０は、ブロック１２０の金型成形について説明するための図である。図１１は、ブースターケーブル２００のケーブル２２０が引っ張られた場合のクリップ部２１０の動作を説明するための図である。
また、本発明の実施例では説明の便宜上、図中に示すように上下方向を定義する。

本発明の実施例に係るブースターケーブル保持構造１は、例えば、車両のエンジンルームに設置する電気接続箱１００に設ける。このため、車両のトランクルームに設置された不図示のバッテリーがあがった場合、ブースターケーブル２００をバッテリーに接続する代わりにブースターケーブル保持構造１の救援端子部２０に接続することによって、不図示のバッテリーを充電することができるようになっている。
なお、この実施例では、電気接続箱１００の概要構成を説明しながら、ブースターケーブル保持構造１の詳細について説明する。

電気接続箱１００は、ブースターケーブル保持構造１を設けるブロック１２０と、ブロック１２０を取り付けるケース本体部１１０と、ケース本体部１１０の上面開口を覆う不図示のアッパーカバーと、ケース本体部１１０の下面開口を覆う不図示のロアカバーと、を有する。

ブロック１２０は、絶縁樹脂製のブロック本体部１０に、電気接続箱１００の導電路を形成するバスバー１３を組み込み、不図示の電気電子部品を装着する電気電子部品装着部１１と、不図示のバッテリーに接続する不図示の電源線を接続する電源線接続部１２と、ブースターケーブル保持構造１と、を有する。

バスバー１３は、プレス打ち抜き加工によって成形した板状金属部材であり、その一部が救援端子部２０、および電源線接続部１２を形成する。

電気電子部品装着部１１は、ブロック１２０の上面側から各電気電子部品を装着できるように各電気電子部品に対応して隔壁によって区画した複数の部品装着室１１ａを設ける。
各電気電子部品は、各部品装着室１１ａに装着することによって、部品装着室１１ａ内に配置した不図示の端子部品に接続し、端子部品を介して不図示の電線等に電気的に接続する。

電源線接続部１２は、不図示のバッテリーのプラス電極に接続する不図示の電源線の端子を、ボルトおよびナット等の固定部材によって固定する部分である。
なお、電源線の端子が電源線接続部１２に接続することによって、救援端子部２０と不図示の電源線とが電気的に接続する。

ブースターケーブル保持構造１は、絶縁樹脂製の構造本体部としてのブロック本体部１０に板状に突設した救援端子部２０と、救援端子部２０に面を重ねるようにブロック本体部１０に板状に突設した樹脂製の樹脂製端子支持部３０とを備えてブースターケーブル２００のクリップ部２１０によって挟持する部分となる挟持接続部６０を有する。

救援端子部２０は、バスバー１３の一部をケース本体部１１０の外周壁の上端縁面よりも上方に向けて突出し、一方の面を樹脂製端子支持部３０に面を重ねるように配置する。

樹脂製端子支持部３０は、ブロック本体部１０と同様の絶縁樹脂材からなり、ブロック本体部１０に一体的に成形する。
この樹脂製端子支持部３０は、救援端子部２０の一方の面に重ねるように、かつ、救援端子部２０と突出端面をほぼ一致させるように上方に向けて突出されることによって救援端子部２０の支持部として機能する。
このような、救援端子部２０と樹脂製端子支持部３０とを重ねるようにして構成した挟持接続部６０は、救援端子部２０と樹脂製端子支持部３０とを合わせた厚さをクリップ部２１０によって挟持可能な厚さに調整する。

この樹脂製端子支持部３０は、クリップ部２１０が挟持接続部６０を挟持する場合、クリップ部２１０の少なくとも一つの歯部２１０ａが入る溝部４０と、溝部４０内に入った歯部２１０ａより溝部４０に沿ってクリップ部２１０がブースターケーブル２００のケーブルを引っ張る外力によって移動する側に設けた壁であり、クリップ部２１０の移動を阻止する移動規制壁部５０と、を有する。

溝部４０は、直線状、かつ、延在方向の一端側を移動規制壁部５０が塞ぎ他端側を貫通するように形成する。
より具体的には、溝部４０は、ブロック本体部１０の下端から樹脂製端子支持部３０の上端に設けた移動規制壁部５０まで延在する。

溝部４０は、樹脂製端子支持部３０の幅方向の略中央に溝部４０を二つに分ける隔壁４３を設ける。すなわち、溝部４０は、樹脂製端子支持部３０の幅方向に第一溝部４１と第二溝部４２とを有し、第一および第二溝部４１、４２の各溝部４１、４２にクリップ部２１０の幅方向に並んだ二つの歯部２１０ａのそれぞれが入る。

移動規制壁部５０は、溝部４０の延在方向上端側を塞ぐ壁である。すなわち、この実施例では、第一溝部４１および第二溝部４２の延在方向上端部を塞ぐ壁である。
この移動規制壁部５０は、溝部４０の溝深さ方向の上端面と面一の壁高さになっている。

このような樹脂製端子支持部３０は、ブロック本体部１０と一体的に成形する場合、例えば、図１０に示すように、上下一組の金型Ｔ１、Ｔ２によって、成形することができる。
これは、溝部４０を直線状、かつ、延在方向の一端側を移動規制壁部５０が塞ぎ他端側を貫通するように形成しているため、金型成形のために閉じた上下二つの金型Ｔ１、Ｔ２を開く際、溝部４０の溝内面形状に対応した金型Ｔ２の一部分Ｐを溝部４０に沿って移動するようにして引き抜くことができることによる。

ここで、図１１を用いて、ブースターケーブル２００のケーブル２２０が引っ張られた場合のクリップ部２１０の動作について説明する。
図１１は、ブースターケーブル２００のケーブル２２０が引っ張られた場合のクリップ部２１０の動作を説明するための図である。

ブースターケーブル２００のケーブルが引っ張られた場合、クリップ部２１０が図中矢印Ａに示すように溝部４０に沿って上方に移動する（図１１（ａ）参照）。このとき、溝部４０の延在方向に延びる溝内側面４０ａが歯部２１０ａを移動規制壁部５０に移動させるガイドとして機能するとともに、クリップ部２１０の傾きを阻止するように機能する。このため、クリップ部２１０は、上方への移動によって歯部２１０ａを溝部４０に入った状態を維持することができる。

クリップ部２１０が溝部４０に沿って上方に移動し続けると、クリップ部２１０の歯部２１０ａが移動規制壁部５０に突き当たる（図１１（ｂ）参照）。これにより、クリップ部２１０の移動が阻止される。

本発明の実施例に係るブースターケーブル保持構造１は、ブースターケーブル２００のケーブル２２０が引っ張られた場合、溝部４０の延在方向に延びる溝内側面４０ａが歯部２１０ａを移動規制壁部５０に移動させるガイドとして機能するとともに、クリップ部２１０の傾きを阻止するように機能し、クリップ部２１０が歯部２１０ａを溝部４０に入れた状態を維持することができ、しかも、クリップ部２１０が溝部４０に沿って上方に移動し続けると、歯部２１０ａが移動規制壁部５０に突き当たることにより、クリップ２１０部の移動が阻止されるので、ブースターケーブル２００のクリップ部２１０が救援端子部２０から外れることを防止することができる。

また、本発明の実施例に係るブースターケーブル保持構造１は、金型Ｔ１、Ｔ２による溝部４０の成形において、溝部４０の延在方向の貫通側の端部から溝部４０に対応した金型Ｔ２の一部分Ｐを引き抜くことができるので、溝部４０の深さ方向での型抜きを必要とせず、金型の数を少なく抑えて成形することができ、結果的に、金型による成形コストを削減することができる。

また、本発明の実施例に係るブースターケーブル保持構造１は、移動規制壁部５０が溝部４０の溝深さ方向の上端面と面一の壁高さになっているので、金型Ｔ１、Ｔ２を簡易な形状にすることができ、結果的に、金型Ｔ１、Ｔ２による成形を容易にすることができる。

（変形例）
次に、図１２を用いて本発明の実施例に係るブースターケーブルの保持構造の変形例について説明する。
図１２は、（ａ）が変形例のブースターケーブルの保持構造２の挟持接続部６０周辺の斜視図であり、（ｂ）がブースターケーブル保持構造２の挟持接続部６０周辺と、挟持接続部６０を挟持したブースターケーブル２００と、を樹脂製端子支持部３０側から視た斜視図である。
この変形例のブースターケーブルの保持構造２は、溝部４０が二つの溝部４１、４２に分かれていない点で実施例のブースターケーブルの保持構造１と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。

ブースターケーブルの保持構造２は、樹脂製端子支持部３０に一つの溝部７０を設け、この一つの溝部７０にクリップ部２１０の二つの歯部２１０ａが入る。

この変形例のブースターケーブルの保持構造２は、ブースターケーブル２００のケーブル２２０が引っ張られた場合、溝部７０の延在方向に延びる溝内側面７０ａが歯部２１０ａを移動規制壁部５０に移動させるガイドとして機能するとともに、クリップ部２１０の傾きを阻止するように機能し、クリップ部２１０が歯部２１０ａを溝部７０に入れた状態を維持することができ、しかも、クリップ部２１０が溝部７０に沿って上方に移動し続けると、クリップ部２１０の歯部２１０ａが移動規制壁部５０に突き当たることにより、クリップ部２１０の移動が阻止されるので、実施例のブースターケーブルの保持構造１と同様にブースターケーブル２００のクリップ部２１０が救援端子部２０から外れることを防止することができる。

なお、本発明の実施例に係るブースターケーブルの保持構造１、２は、電気接続箱１００に組み込むものを例示したが、これに限らず、電気接続箱１００以外のものに組み込むようにしても構わない。

以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。

１、２ ブースターケーブルの保持構造
１０ ブロック本体部（構造本体部）
１１ 電気電子部品装着部
１１ａ 部品装着室
１２ 電源線接続部
１３ バスバー
２０ 救援端子部
３０ 樹脂性端子支持部
４０、７０ 溝部
４０ａ、７０ａ 溝内側面
４１ 第一溝部
４２ 第二溝部
４３ 隔壁
５０ 移動規制壁部
６０ 挟持接続部
１００ 電気接続箱
１１０ ケース本体部
１２０ ブロック
２００ ブースターケーブル
２１０ クリップ部
２１０ａ 歯部
２２０ ケーブル
Ｔ１，Ｔ２ 金型

Claims (1)

1. 絶縁樹脂製の構造本体部に板状に突設した救援端子部と、該救援端子部に面を重ねるように前記構造本体部に板状に突設した樹脂製の樹脂製端子支持部とを備えてブースターケーブルのクリップ部によって挟持する部分となる挟持接続部を有したブースターケーブルの保持構造において、
   前記樹脂製端子支持部は、
   前記クリップ部が前記挟持接続部を挟持する場合、前記クリップ部の少なくとも一つの歯部が入る溝部と、
   前記溝部内に入った前記歯部より前記溝部に沿って前記クリップ部が前記ブースターケーブルのケーブルを引っ張る外力によって移動する側に設けた壁であり、前記クリップ部の移動を阻止する移動規制壁部と、
   を有し、
   前記溝部は、
   直線状、かつ、延在方向の一端側を前記移動規制壁部が塞ぎ他端側を貫通するように形成し、
   前記移動規制壁部は、
   前記溝部の溝深さ方向の上端面と面一の壁高さになっている
   ことを特徴とするブースターケーブル保持構造。

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