JP4147619B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。ポリオレフィン系樹脂発泡体は、トレーなどの食品包装用分野、建築材料としての断熱材、梱包用の緩衝剤など幅広い分野で利用されている。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂発泡体は、美しい真珠光沢を呈し、断熱性、強度、成形加工性、疎水性、衝撃吸収性に優れるなどの特徴を有する優れた素材である。かかるポリオレフィン系樹脂発泡体の成形品は、従来より主に固相発泡成形法(ビーズ法)、または溶融発泡成形法などにより製造されている。しかし、固相発泡成形法はビーズ同士の接着性が発泡成形品の強度、剛性、熱的強度等の機械的特性に影響を及ぼすため、極性の低いポリオレフィン系樹脂の発泡体のようにビーズ間の接着強度が低いものは、極性の高いポリスチレン系樹脂の発泡体等に比べて弱い外力であっても容易にビーズが剥離するなど、強度的には不十分である。また溶融発泡成形法においては、一般的に押出し発泡成形を行い、発泡倍率を充填する揮発性発泡剤の量や溶融樹脂粘度のコントロールによって制御しているが、ポリオレフィン系樹脂は揮発性発泡剤の溶解度係数が低いため溶解ガス濃度が高められず、発泡倍率も限られたものとなっている。また、ポリオレフィン系樹脂の発泡体の剛性自体も高くないため、強度的に発泡倍率には限界があり、剛性を維持したままで発泡倍率を高める要望もある。さらには、成形加工性の向上の観点から低温成形性の要望などもある。
【0003】
このようなポリオレフィン系樹脂発泡体に鑑みて、ポリオレフィン系樹脂に、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物等を加えたものの発泡体が提案されている(特開昭59−68340号公報,特開昭63−145344号公報,特開平7−238180号公報等)。こうしたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物等を含むポリオレフィン系樹脂を固相発泡法により発泡させた場合は、ビーズ表面の接着性が良くなるため発泡体の剛性や機械的強度、熱的強度が向上する。さらに、セルの均一性も保たれることが分かっている。また、溶融発泡法により発泡させた場合は、発泡剤の溶解ガス濃度が高められるために発泡倍率が高められるばかりでなく、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物の軟化点が発泡成形温度に近く、かつポリオレフィン系樹脂の結晶融点を低下させることなく結晶化度を低下させることができるため、発泡時の粘度調整が容易になり成形加工性が向上する。また、剛直なオリゴマー領域の樹脂が添加されるため、発泡体の剛性も同時に向上し、発泡倍率を向上させても機械的強度に悪影響を及ぼすことはないといった優れた性能を付与することが知られている。
【0004】
しかし、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物等を含むポリオレフィン系樹脂発泡体は、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物等を含まない発泡体に比べて著しく燃焼性が上がるため、主要用途の一つである建材分野などでの使用が敬遠される傾向がある。そこで、この問題を解決するために難燃剤を多量に加えるなどの手法もあるが、ポリオレフィン系樹脂と比較して割高な難燃剤を多量に添加することはコスト的に現実的でない。また、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物等を含むポリオレフィン系樹脂発泡体は、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物の低分子量物が原因で加工時に発煙を引き起こす等の問題が生じている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂にC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を添加することより、剛性、加工性、発泡倍率を向上させたポリオレフィン系樹脂発泡体であって、難燃性に優れ、しかも発煙性の良好なものを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、ポリオレフィン系樹脂に配合する各種添加剤、特に発泡体の各種性能を向上させるC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物について鋭意検討を重ねた結果、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を含むポリオレフィン系樹脂発泡体の成形加工品が燃焼し易くなるのは、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物中に多量に含まれる二量体などの低沸成分が原因であるという事実を見出した。また、発煙性等の諸問題もC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物中に多量に含まれる二量体などの低沸成分が原因であることを見出した。かかる新たな諸知見に基づき、以下に示す特定のC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を混合した組成物の発泡体が、前記目的に合致することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂(A)および軟化点が120℃〜180℃であるC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を含有してなる芳香族ビニル系樹脂発泡体であって、当該C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)中に含まれるC9留分中の重合性モノマーの二量体の含有率が1.5重量%以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するポリオレフィン系樹脂(A)としては、エチレン、プロピレン、ブテン等の各種オレフィンの単独重合体、二種以上のオレフィンを組み合わせた共重合体、さらにはオレフィンとオレフィン以外の重合性モノマーとの共重合体であってオレフィンを50重量%以上含むもの、さらにはこれらの変性物があげられる。なお、これらポリオレフィン系樹脂(A)は、通常公知の方法すなわちMgCl2 型担持型触媒を用いるBASF法、AMDCD法、UCC法、ハイポール法等の気相重合法の他、高活性なKaminsky触媒(メタロセン触媒)を用いた方法や、従来型のTiCl3 触媒を利用した方法等で製造できる。
【0009】
上記ポリオレフィン系化合物の具体例としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、塩素化ポリエチレンなどがあげられる。これらポリオレフィン系化合物のなかでも、本発明はポリプロピレンへの適用が好適である。
【0010】
ポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量は特に限定されるものではないが、通常10000〜600000程度が好ましく、下限としては15000、上限としては500000がより好ましい。
【0011】
本発明では、ポリオレフィン系樹脂(A)に配合するC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)として、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)中に含まれるC9留分中の重合性モノマーの二量体の割合が1.5重量%以下のものを使用する。
【0012】
前記C9系芳香族炭化水素樹脂とは、ナフサのクラッキングにより得られたC9留分中の重合性モノマー(例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン類等)をカチオン重合により重合することにより得られるものであり、C9留分中の重合性モノマーの二量体とは前記重合性モノマーの1種または2種からなる二量体をいう。
【0013】
C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)中の低沸成分、すなわちC9留分中の重合性モノマーの二量体の含有率が1.5重量%を超える場合には、当該C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を配合してなるポリオレフィン系樹脂発泡体が、該樹脂等を添加していないポリオレフィン系樹脂発泡体に比べて燃焼し易くなる。また、発煙性、成形不良性、ブリードアウト等の諸問題も生じる。かかる観点から、本発明で用いるC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)中に含まれるC9留分中の重合性モノマーの二量体の割合は低い方がよく、二量体の含有率は1.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下である。
【0014】
前記C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)は、たとえば、▲1▼C9系芳香族炭化水素樹脂を水素化した後に、減圧処理することにより低沸成分を除去する方法、▲2▼C9系芳香族炭化水素樹脂を減圧処理して低沸成分を除去した後に、水素化する方法、などにより得られる。
【0015】
水素化に際しては、▲1▼の方法または▲2▼の方法のいずれを採用する場合にも、C9系芳香族炭化水素樹脂の芳香環の水素化率が通常5〜100%になるように行うのが好ましい。芳香環の水素化率が5%未満では、発泡体の成形加工時における加熱安定性が低く発泡体が着色するおそれがある。かかる観点から芳香環の水素化率は60%以上とするのがより好ましい。また、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)の芳香環の水素化率が高くなるに従って、ポリオレフィン系樹脂(A)との相溶性が良くなり、相溶性が良いほど発泡体のセルの剛性が向上するため、水素化率は高いほど好ましい。なお、芳香環の水素化率は、NMR測定法によるものである。
【0016】
水素化条件は、所望の水素化率となる条件であれば特に限定されない。通常は、水素化圧力は10〜300kg/cm2 程度(下限としては30kg/cm2 、上限として250kg/cm2 が好ましい)で、反応温度は150〜400℃程度(下限としては250℃、上限としては350℃が好ましい)である。水素化圧力が10kg/cm2 に満たない場合または反応温度が150℃に満たない場合には、水素化反応が進行し難く、逆に水素化圧力が300kg/cm2 を超える場合または反応温度が300℃を超える場合には、樹脂の水素化分解反応が著しくなり、いずれの場合も好ましくない。また、水素化の反応時間は、通常1〜7時間程度、好ましくは2〜7時間である。なお、上記記載は前記範囲外の条件における水素化を排除しているものではなく、たとえば水素化圧力10kg/cm2 以下であってもかかる水素化圧力で反応を起こしうる触媒を用いれば水素化は可能である。
【0017】
水素化触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、オスミウム、イリジウム、レニウム、銅、鉄等の金属またはこれらの酸化物、硫化物等の金属化合物等の各種のものを使用できる。かかる水素化触媒は多孔質で表面積の大きなアルミナ・シリカ(ケイソウ土)・カーボン・チタニア等の担体に担持して使用してもよい。これらの触媒の中でも芳香環の水素化効率や費用の面からニッケルーケイソウ土触媒が好ましい。触媒の使用量は、C9系芳香族炭化水素樹脂またはその減圧処理物に対して、通常0.01〜3重量%程度である。0.01重量%に満たない場合には水素化反応が進行し難く、3重量%を超える場合には水素化が急激に進行し過ぎる傾向があり、また経済的でない。
【0018】
前記水素化反応は原料のC9系芳香族炭化水素樹脂またはその減圧処理物を溶融して、または溶剤に溶解した状態で行う。溶剤としては、反応に不活性で原料や生成物が溶融しやすい溶剤であればよい。たとえば、シクロヘキサン、nーヘキサン、nーヘプタン、デカリン等を1種または2種以上を組み合わせて使用できる。溶剤の使用量は特に制限されないが、原料のC9系芳香族炭化水素樹脂またはその減圧処理物に対して、固形分が、通常、10重量%以上であり、好ましくは10〜70重量%の範囲である。
【0019】
なお、触媒の使用量および反応時間については反応形式として、回分式を採用した場合について説明したが、反応形式としては流通式(固定床式、流動床式等)を採用することもできる。
【0020】
減圧処理は、▲1▼の方法ではC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物中の低沸成分の含有率、または▲2▼の方法ではC9系芳香族炭化水素樹脂中の低沸成分の含有率を1.5重量%以下にできる条件であれば特に限定されるものではない。通常、減圧処理は、5Torr程度以下、250℃程度以上の条件で、10時間程度以内の範囲で行う。減圧処理条件が5Torrを超えたり、250℃に満たない場合には低沸成分を充分に除去できない場合がある。好ましくは減圧処理条件は、2Torr以下、より好ましくは1Torr以下の減圧下で、250〜300℃程度の温度条件である。
【0021】
こうして得られた本発明のC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)の軟化点は、120〜180℃程度とする。また、ガラス転移温度(Tg)は、40〜130℃程度が好ましく、下限としては70℃、上限としては110℃がより好ましい。また、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)の分子量は特に限定されないが、一般的には数平均分子量500〜30000程度のものが好ましい。
【0022】
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体は、ポリオレフィン系樹脂(A)およびC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を含有してなるものであり、該C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)の使用量は、ポリオレフィン系樹脂(A)100重量部に対して、通常0.1〜50重量部が好ましく、下限としては0.5重量部、上限としては30重量部がより好ましい。
【0023】
ポリオレフィン系樹脂(A)に、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を添加する方法は特に制限されず発泡手段に応じて適宜に行なうことができる。たとえば、ポリオレフィン系樹脂(A)とC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を溶融混合する方法の他、ポリオレフィン系樹脂(A)とC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を混合し、押出機あるいは成形機等で混練することもできる。
【0024】
また、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体には、本発明の目的を損なわない範囲内で、従来、流動性改質剤として用いられている、ナフサをクラッキングして得られるC9留分をカチオン重合したC9系石油樹脂、ナフサのクラッキングにより得られるC5留分とC9留分を共重合したC5/C9系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン−スチレン樹脂等、およびこれらの水素化物も本発明の目的を阻害しない範囲で添加することができる。
【0025】
さらに、本発明のオレフィン系樹脂発泡体には上記の成分以外に公知の各種の添加剤、例えばステアリン酸、ベヘニン酸、それらの金属塩(カルシウム、マグネシウム、亜鉛等)、エチレンビスステアリン酸アミド等を添加することもできる。また、必要に応じて気泡核形成剤、抗参加剤、無機充填剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等を添加できる。
【0026】
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造は特に限定されず、各種の手段を採用できる。すなわち、固相発泡成形法または溶融発泡成形法のいずれの手段を採用してもよい。固相発泡成形法は、あらかじめポリオレフィン系樹脂(A)およびC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を押出し成形機等を用いて溶融混練し、粉末状、シート状またはブロック状に成形したものを圧力容器中に投入し、炭酸ガスを充満させてポリオレフィン系樹脂の軟化点以上に加熱・加圧を行い十分に炭酸ガスを該樹脂に溶解させた後、減圧することによって発泡体を製造する。溶融発泡成形法はベントタイプの押出成形機に、ポリオレフィン系樹脂(A)及びC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を投入し、押出し機の途中にあるガス圧入孔から炭酸ガスを圧入して溶融状態にある樹脂組成物を押出し発泡する方法である。また、発泡剤としては、高温で揮発または分解してガスを発生させる各種のものを使用できる。たとえば、揮発性発泡剤としてはプロパン、ブタン等の低沸点炭化水素、炭酸ガス等の気体、エチルエーテル、アセトン、ヘキサン等の揮発性液体などがあげられ分解性発泡剤としては、炭酸アンモニウム等の無機化合物、アゾ化合物、スルホニルヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、アジド化合物等があげられる。その他、公知の発泡剤で本発明の目的を損なわないものを使用できる。本発明のオレフィン系樹脂発泡体の発泡倍率は、発泡方法、発泡体を用いる用途により適宜に決定できるが、通常3〜70倍程度とするのが好ましい。
【0027】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体は、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物が添加されたことによって剛性、加工性、発泡倍率等が向上しており、しかもC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物の低沸分が低減さており、従来のC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物が添加されたポリオレフィン系樹脂発泡体に比べて難燃性がよく、また発煙性等の問題も改善されている。また、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体は、従来のC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物が添加されたポリオレフィン系樹脂発泡体が有していた加工品表面の窪みの発生、平滑性を損ねる等の成形不良や、時間経過と共に低分子量物がブリードアウトしてくる等の問題も大幅に改善されている。さらには本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体は、従来のポリオレフィン系発泡体に比べて印刷適性や、粘・接着剤との粘・接着特性が向上している。
【0028】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお各例中の「部」および「%」はいずれも重量基準である。
【0029】
製造例1(比較)
1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素樹脂(「ペトロジン#120」,軟化点120℃,数平均分子量920,三井石油化学工業(株)製)500部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重量%)15部を仕込み、270℃に保温し、水素圧200kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次いで、得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出し、シクロヘキサン500部に溶解し、濾紙ろ過により触媒を除去した後、200℃、20Torrで30分間減圧脱溶剤して、軟化点125℃のC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物450部を得た。得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化率、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、二量体(低沸成分)の含有率を表1に示す。
【0030】
なお、軟化点は環球法(JIS K2207)による測定値である。色調は、ハーゼンスタンダードカラー(H)およびガードナースタンダードカラー(G)による(JIS K5400)。芳香環の水素化率は、プロトン核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)を測定することにより算出した。即ち、原料樹脂であるC9系石油樹脂及び得られたC9系石油樹脂の水素化物(B)の同濃度の重水素置換クロロホルム(CDCl3)溶液を作成して、 1H−NMRを測定し、7ppm付近に現れる芳香環のH−スペクトル面積より以下の式に基づき算出した。芳香環水素化率={1−(C9系石油樹脂の水素化物(B)のスペクトル面積/原料樹脂であるC9系石油樹脂のスペクトル面積)}×100(%)。数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、二量体(低沸成分)の含有率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製,HLC802A,使用カラム:TSKGelG4000H8 +TSKGelG2000H8 ,展開溶剤:テトラヒドロフラン)で測定しものであって、二量体(低沸成分)の含有率は、それぞれ得られたチャートの溶出カウント3100〜3300のピークを面積%で表したものである。Mn、Mwはポリスチレン換算値である。
【0031】
製造例2(比較)
1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素樹脂(「ペトロジン#140」,軟化点140℃,数平均分子量1040、三井石油化学工業(株)製)500部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重量%)15gを仕込み、270℃に保温し、水素圧200kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次いで、得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出し、シクロヘキサン500部に溶解し、濾紙ろ過により触媒を除去した後、220℃、20Torrで30分間減圧脱溶剤して、軟化点140℃のC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物445部を得た。得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化率、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、二量体(低沸成分)の含有率を表1に示す。
【0032】
製造例3
1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素樹脂(「ペトロジン#120」、軟化点120℃,数平均分子量920,三井石油化学工業(株)製)500部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重量%)7.5部を仕込み、300℃に保温し、水素圧200kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次いで、得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出し、シクロヘキサン500gに溶解し、濾紙ろ過により触媒を除去した後、200℃、20Torrで30分間減圧脱溶剤した後、更に270℃、0.5Torrで3時間減圧処理して、軟化点122℃のC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物420部を得た。得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化率、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、二量体(低沸成分)の含有率を表1に示す。
【0033】
製造例4
1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素樹脂(「ペトロジン#120」、軟化点120℃,数平均分子量920,三井石油化学工業(株)製)500部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重量%)15部を仕込み、270℃に保温し、水素圧200kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次に、得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出し、シクロヘキサン500部に溶解し、濾紙ろ過により触媒を除去した後、200℃、20Torrで30分間減圧脱溶剤した後、更に280℃、0.7Torrで4時間減圧処理して、軟化点141℃のC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物420部を得た。得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化率、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、二量体の含有率(低沸成分)を表1に示す。
【0034】
製造例5
1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素樹脂(「ペトロジン#120」、軟化点120℃,数平均分子量920,三井石油化学工業(株)製)500部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重量%)7.5部を仕込み、270℃に保温し、水素圧200kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次に、得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出し、シクロヘキサン500部に溶解し、濾紙ろ過により触媒を除去した後、200℃、20Torrで30分間減圧脱溶剤した後、更に280℃、0.7Torrで4時間減圧処理して、軟化点140℃のC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物420部を得た。得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化率、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、二量体の含有率(低沸成分)を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
また、樹脂a(C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物,アルコンM−115,荒川化学工業(株)製)、樹脂b(C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物,アルコンM−135,荒川化学工業(株)製)、樹脂c(C9系芳香族炭化水素樹脂ペトロジン#120,三井石油化学工業(株)製)を用いた。各樹脂の色調、芳香環の水素化率、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、二量体の含有率(低沸成分)を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
実施例1
ポリプロピレン樹脂(チッソポリプロ社製、商品名K−7019)90重量部、製造例3で得られた樹脂10重量部をドライブレンドし、押出成形機にて混合ペレットを調製した。次にこのペレット100重量部に対して抗酸化剤0.5重量部及び気泡核形成剤としてタルク0.5重量部をドライブレンドし、シリンダー温度が125℃に設定された逆支弁・高圧供給装置付きベントタイプの押出し成形機に上記混合物を供給し、押出し発泡成形を行った。押出し条件は、ガス供給装置の炭酸ガス圧力を70kg/cm2 、ダイからの吐出量12kg/時間、ダイ部の温度を110℃に設定して行った。得られた発泡体の発泡倍率及び気泡状態を表3に示す。
【0039】
実施例2〜3、比較例1〜5
実施例1において、製造例3で得られた樹脂を表3に示す樹脂に変更した以外は実施例1と同様にして発泡体を製造した。得られた発泡体の発泡倍率及び気泡状態を表3に示す。
【0040】
比較例6
実施例1において、製造例3で得られた樹脂を添加しなかった以外は実施例1と同様にして発泡体を製造した。得られた発泡体の発泡倍率及び気泡状態を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
(性能評価)
上記、各実施例及び比較例において得られた発泡体を下記(1)〜(2)の試験方法によりそれぞれ評価した。また、(3)では別途発泡体を製造して評価した。評価結果を表4に示す。
【0043】
(1)燃焼性
発泡体をUL−94規格に準じた試験片(5インチ×1/2インチ×1/8インチ)になるように鋭意なナイフを用いて発泡セルを変形させないようにカットした。当該試験片をUL−94規格に準じて測定した。UL−94HBに準ずるものは○、UL−94HBの規格外になるものは×とした。
【0044】
(2)発煙性
発泡体を上記燃焼性試験を行う際に目視にて発煙量を観察した。この際、樹脂未添加の比較例6と同等もしくはそれよりも発煙の少ない物には○、樹脂未添加よりも発煙の多いものは×とした。
【0045】
(3)圧縮剛性
実施例及び比較例において、ガス供給装置の炭酸ガス圧力およびダイからの吐出量を調整することにより、発泡体の発泡倍率を全て10倍になるように発泡させた。得られた発泡体から、JIS K−7220のに準じて(試験片の断面積が25cm2 で断面の形状が正方形である試験片となるように)鋭意なナイフにより発泡セルを変形させないように高さ2cm、長さ5cm、幅5cmの試験片を切り出した。当該試験片をJIS K−7220に準じて、テンシロン引張り試験機(オリエント社製,RTM500)を用いて圧縮試験を行ない、圧縮応力−歪み曲線を描いた。測定結果は、圧縮降伏応力が樹脂を添加しない比較例6よりも強度が向上したものを◎、同等のものを○、下がったものを×とした。
【0046】
【表4】
Claims (9)
- ポリオレフィン系樹脂(A)および軟化点が120℃〜180℃であるC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を含有してなるポリオレフィン系樹脂発泡体であって、当該C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)中に含まれるC9留分中の重合性モノマーの二量体の含有率が1.5重量%以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体。
- C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)が、C9系芳香族炭化水素樹脂を水素化した後に、減圧処理したものである請求項1記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
- C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)が、C9系芳香族炭化水素樹脂を減圧処理した後に、水素化したものである請求項1記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
- 減圧処理を、5Torr以下、250℃以上の条件で行う請求項2または3記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
- C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)が、C9系芳香族炭化水素樹脂中の芳香環を5〜100%水素化したものである請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
- C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)の軟化点が、120〜141℃である請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
- ポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量が10000〜600000、C9系芳香族炭化水素の水素化物(B)の数平均分子量が500〜30000である請求項1〜6のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
- ポリオレフィン系樹脂(A)100重量部に対するC9系石油樹脂の水素化物(B)の添加量が0.1〜50重量部である請求項1〜7のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
- C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)であって、当該C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)中に含まれるC9留分中の重合性モノマーの二量体の含有率が1.5重量%以下であることを特徴を有するポリオレフィン系樹脂発泡体用添加剤。
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