JP4140107B2 - エチレン系樹脂組成物およびそれからなる発泡体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なエチレン系樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、発泡成形性に優れ、均一な気泡径を有する高発泡の発泡成形体が得られ、緩衝材などの素材として有用なエチレン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリオレフィン樹脂の発泡体の製造方法については種々の方法が知られており、例えば、ポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤を混合して成形した後、電離性放射線を照射して架橋させるとともに加熱して架橋発泡させる方法、ポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤と発泡剤の分解温度より低い分解温度を有する有機過酸化物を混合して成形した後、これを加熱して有機過酸化物を分解させて架橋し、ついで発泡剤を分解させて架橋発泡させる方法がある。また一方で、ブタン、ヘキサン、フロン、炭酸ガスなどの常温常圧で気体または加熱すると気体となるものを樹脂中に分散または溶解させて、押し出し発泡成形やビーズ発泡成形して無架橋発泡させる方法が実用化されている。これらの方法で製造されるポリエチレン系樹脂発泡体は、柔軟性、断熱性に優れており、各種の緩衝材や断熱材に使用されている。これらの発泡成形に使用されるエチレン系樹脂としては高圧ラジカル重合で製造される低密度ポリエチレン(LDPE)が主に使用されているが、より強靱性や柔軟性が求められる用途には、エチレン・α−オレフィン共重合体とのブレンド物が使用される場合もある。しかしながら、この発泡成形方法は融点直下で行うために、安定した発泡成形が容易でなく、さらなる発泡成形性の改良への要求が強い。近年、代表的な物理発泡成形法であるビーズ発泡法において発泡性を改善したエチレン系共重合体が提案されており、例えば、特開平1−135806号公報では、示差走査型熱量計により得られる融解曲線のピーク温度幅が10℃以上の直鎖状低密度ポリエチレンが提案されている。しかしながら、この公報においては成形する際の樹脂の粘度の重要性が記載されておらず、実際に成形を行っても気泡径が不均一となってしまうという問題が残っていた。さらに、このエチレンとα−オレフィンとの共重合体は、直鎖状の分子構造を有しており、マグネシウムとチタンを含有する固体触媒成分および有機アルミニウム化合物からなるチーグラー型触媒で重合される直鎖状ポリエチレンとして知られているものであるが、このような直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、LDPEと比較して破断強度が優れているが、柔軟性を上げるために共重合成分であるα−オレフィンの量を増加させた樹脂を使用すると、分岐が多く導入された低分子量分により製品がベタつくといった問題があった。また、同じメルトフローレート(以下MFRと略す)のLDPEに比べ、溶融せん断粘度が高く、加工性がきわめて悪い。また、伸長粘度が非常に小さく、溶融張力が小さいという問題があり、LDPEとのブレンドなしに均一な発泡成形体を得ることは困難であった。
【0003】
一方で、近年、α−オレフィン重合触媒としてメタロセン化合物を使用することにより、共重合成分が均一に分子鎖中に存在し、分子量分布の狭いポリオレフィンが販売され、発泡体への使用が提案(特開平7−188442号公報)、検討されている。しかし、従来のチーグラー触媒を使用して得られるエチレン・α−オレフィン共重合体の問題点であった低密度化した場合の製品のベタツキは改善されるものの、樹脂の加工性はかえって悪化し、押し出し成型時の生産性が低下してしまう等の改善の要求が未だ強い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような課題の解決、すなわち、発泡性に優れ、均一な気泡径を有する高発泡の発泡成形体が得られ、緩衝材などの素材として有用なエチレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとから得られた特定の性状を有するエチレン系共重合体2種を所定の割合で含有するエチレン系樹脂組成物が、上記目的を達成しうることを見いだした。本発明は、特定の分子量分布と分岐度を有する直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と特定の分子量分布と分岐度分布を有する直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体をゲルが生成しない特定の範囲でラジカル発生剤と反応させることにより得られる特定の性質を持たせた樹脂とからなるエチレン系樹脂組成物を使用することにより、上記の課題を解決できることを見い出し、本発明に到達したものである。
【0006】
即ち、本発明は、(A)エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンを共重合させて得られる密度が0.940g/cm3以上、GPCより求められる分子量分布が3以下で、JIS K 7210条件4による190℃でのメルトフローレートが2〜20g/10分のエチレン系共重合体1〜30重量%と、(B)エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンを共重合させて得られる密度が0.850〜0.920g/cm3の範囲で、GPCより求められる分子量分布が3以下で、JIS K 7210条件4による190℃でのメルトフローレートが0.5〜10g/10分であり、動的粘弾性の周波数依存性から得られる、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の値が一致する周波数(fc)からfc/10までの周波数領域に含まれるG’の傾きS(S=ΔlogG’/Δlogf)が0.7<S<0.9であり、160〜220℃の範囲で求めた流動の活性化エネルギーΔH(kJ/mol)が35〜50kJ/molであることを特徴とするエチレン系共重合体99〜70重量%からなるエチレン系樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
(A)成分に使用するエチレン系重合体のGPCより求められる分子量分布が3を越えると発泡時の樹脂の伸びが低下し、高発泡化が困難になる。また、MFRが2g/10分未満であると加工性の低下や混練時の分散性が悪くなり、20g/10分を越えると組成物の粘度が低下し、ガスが抜けてしまう。
【0008】
(B)に使用するエチレン系共重合体のGPCより求められる分子量分布が3を越えると低分子量成分が増加し、製品の粘着性が増加して製品不良となるばかりでなく、ラジカル発生剤と反応させた場合、容易にゲルが発生して製品上好ましくない。また、JIS K 7210条件4による190℃でのメルトフローレートが0.5g/10分未満であると樹脂の粘度が高く、押し出し成形が困難となり、10g/10分を越えると溶融張力が低下し、高発泡倍率の発泡体が得られず、セルも不均一となる。
【0009】
また、動的粘弾性の周波数依存性から得られる貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の値が一致する周波数(fc)からfc/10までの周波数領域におけるG’の傾きS(S=ΔlogG’/Δlogf)が0.7以下であると製品中にゲルが発生して使用不可能となり、0.9以上であると溶融時の粘度低下が大きく、発泡時のガス抜けが激しく、発泡が困難となる。
【0010】
一方、流動の活性化エネルギーが35kJ/molよりも小さいと発泡成形時のガス抜けが生じ、50kJ/molを越えると溶融時の粘度の温度依存性が大きく、良好な発泡状態を有する製品が得られる成形加工温度範囲が非常に狭くなる。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の(A)および(B)に使用される直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とは、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体であって、密度が(A)は0.940g/cm3以上、(B)は0.850〜0.920g/cm3の範囲で、GPCより求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下で、JIS K 7210条件4に従って、190℃,2160gの荷重下測定されたMFRが(A)は2〜20g/10分、(B)は0.5〜10g/10分のものである。
【0013】
本発明でいう分子量分布(Mw/Mn)は、具体的には以下のごとく求める。
【0014】
ウオーターズ社製150C ALC/GPC(カラム:東ソー製GMHHR−H(S)、溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン)を使用して、GPC法により、MwおよびMnを測定し、Mw/Mnを算出した。なお、東ソー製標準ポリスチレンを用いて、ユニバーサルキャリブレーション法によりカラム溶出体積は校正した。
【0015】
このような直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、以下に例示するような公報に開示されている方法によって製造することができる。
【0016】
特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開平3−163088号公報、特開昭61−296008号公報、特開昭63−22804号公報、特開昭58−19309号公報、特願昭60−00862号公報、特開昭63−61010号公報、特開昭63−152608号公報、特開昭63−264606号公報、特開昭63−280703号公報、特開昭64−6003号公報、特開平1−95110号公報、特開平3−62806号公報、特開平1−259004号公報、特開昭64−45406号公報、特開昭60−106808号公報、特開昭60−137911号公報、特開昭61−296008号公報、特許公表63−501369号公報、特開昭61−221207号公報、特開平2−22307号公報、特開平2−173110号公報、特開平2−302410号公報、特開平1−129003号公報、特開平1−210404号公報、特開平3−66710号公報、特開平3−70710号公報、特開平1−207248号公報、特開昭63−222177号公報、特開昭63−222178号公報、特開昭63−222179号公報、特開平1−12407号公報、特開平1−301704号公報、特開平1−319489号公報、特開平3−74412号公報、特開昭61−264010号公報、特開平1−275609号公報、特開昭63−251405号公報、特開昭64−74202号公報、特開平2−41303号公報、特開平131488号公報、特開平3−56508号公報、特開平3−70708号公報、特開平3−70709号公報などが挙げられる。
【0017】
以下、それらの内容に従って、本発明に使用することができる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法を説明する。この直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物と、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および/または有機金属化合物からなる触媒の存在下で、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンを共重合することにより、好適に製造することができる。
【0018】
炭素数3〜12のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどを挙げることができる。
【0019】
重合方法としては、溶液重合法、高圧重合法、気相重合法等が挙げられる。
【0020】
本発明において、(A)成分は上記の方法で製造された直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体を使用し、(B)成分は上記の方法で製造された直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体に、ラジカル発生剤を添加し、ラジカル発生剤を分解して反応させたものを使用する。
【0021】
本発明で用いるラジカル発生剤としては、有機過酸化物、例えばハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類などが好ましく、中でも1分半減期を与える分解温度が90℃を越えるものが好適である。
【0022】
具体的な例示として、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ(t−ブチル)パーオキサイド、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチル)パーオキシフタレート等が挙げられる。
【0023】
反応させる方法は、如何様な手段を採用しても良いが、具体的な例を示すと以下のような方法が挙げられる。
【0024】
1)重合終了後、上記共重合体をペレット化する時点でラジカル発生剤を同時にフィードして溶融押し出し反応させる。
【0025】
2)ラジカル発生剤を大量に含んだマスターバッチをあらかじめ作っておき、そのマスターバッチと上記共重合体ペレットをブレンドして押し出し、反応させる。
【0026】
このような方法で得られた直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体に酸化防止剤を添加して、さらに溶融混練させる。
【0027】
溶融混練させる方法としては、いかなる手段を採用しても良いが、具体的な例を示すと以下のような方法が挙げられる。
【0028】
1)押し出し機、バンバリーミキサー、ロールミル等の混練機を使用して、上記重合体に酸化防止剤を添加する。
【0029】
2)酸化防止剤を大量に含んだマスターバッチをあらかじめ作っておき、そのマスターバッチと上記共重合体ペレットを溶融混練する。
【0030】
使用される酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤および燐系酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、モノフェノール系、チオビスフェノール系、トリスフェノール系等の酸化防止剤が挙げられ、さらに具体的に例示すると、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)アニリノ)−1,3,5−トリアジン(例えば、日本チバガイギー(株)より商品名イルガノックス565として市販されている。)、オクタデシル−3−(3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、日本チバガイギー(株)より商品名イルガノックス1076として市販されている)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート(例えば、日本チバガイギー(株)より商品名イルガノックス3114として市販されている。)などが挙げられ、これらは単独または2以上の混合物として用いられる。また、燐系酸化防止剤を具体的に例示すると、トリス(2,4−ジ(t−ブチル)フェニル)フォスファイト(例えば、日本チバガイギー(株)より商品名イルガフォス168として市販されている。)、テトラキス(2,4−ジ(t−ブチル)フェニル)−4,4’−ビフェニレンフォスフォナイト(例えば、日本チバガイギー(株)より商品名イルガフォス P−EPQ FFとして市販されている)、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト(例えば、旭電化(株)より商品名MARK 1178として市販されている。)などが挙げられ、単独またはこれらの混合物として用いられる。
【0031】
本発明のエチレン系樹脂組成物においては、上記(A)成分であるエチレン系共重合体が1〜30重量%、(B)成分であるエチレン系共重合体が99〜70重量%となるように配合することが必要である。
【0032】
(A)成分の含有量が1重量%未満では発泡倍率が低く、かつ発泡体の剛性が不十分であり、また30重量%を越えると発泡体が割れやすくなる。発泡倍率および発泡体の剛性や割れにくさの観点から、(A)成分2〜20重量%、(B)成分98〜80重量%を含有するものが好ましい。
【0033】
本発明のエチレン系樹脂組成物は、特に発泡成形体を作成するのに好ましく用いられる。該エチレン系樹脂組成物を発泡させる方法については特に制限はなく、様々な方法を用いることができるが、例えば、次に示す方法を挙げることができる。まず、本発明のエチレン系樹脂組成物を用いて、予備発泡を行い、平均粒子径2〜6mm程度、好ましくは3〜5mmの予備発泡粒子を得、次いで、この粒子を直ちに常温、常圧下に12〜72時間程度の時間をかけて養生した後、金型に入れ、例えば、温度105〜130℃、水蒸気圧0.5〜4kg/cm2の条件下で、水蒸気加熱することにより発泡成形体を製造することができる。上記予備発泡粒子は、耐圧容器中において、該エチレン系樹脂組成物粒子と揮発性発泡剤とを分散剤の存在下で水に分散させ、エチレン系樹脂組成物粒子をこの粒子の最高融点よりも20〜5℃低い温度で加熱して、粒子内に揮発性発泡剤を含浸させた後、揮発性発泡剤の示す蒸気圧以上で耐圧容器内の温度、圧力を一定に保持しながら、容器内容物を容器内よりも低圧の雰囲気下に放出することにより製造される。
【0034】
また、本発明に用いる揮発性発泡剤は、例えば、沸点が−50〜120℃の範囲にあるプロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素、二酸化炭素、空気などが挙げられる。これらの揮発性発泡剤は、それぞれ単独でもよく、二種以上を組み合わせて用いても良い。また、その使用量は、エチレン系樹脂組成物100重量部に対して、通常10〜60重量部、好ましくは20〜50重量部の範囲で選ばれる。
【0035】
一方、分散剤としては、例えば、リン酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどが挙げられ、これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0036】
なお、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の任意成分を添加することができる。他の任意成分としては、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム、エチレン・ブテン共重合体ゴム等のエチレン系共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、タルク、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム等の充填剤、難燃剤、各種の顔料などを配合することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の優れた性質を保持したまま、各種成形法において気泡の均一性、強靱性、高発泡性を付与することが可能であり、さらに、従来技術では困難であった加工性を向上させ、ひいては生産性の向上に寄与することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明について実施例により説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、流動の活性化エネルギーΔHは、下記の方法により測定した。
【0039】
(動的粘弾性の測定)
非共振型強制振動法に基づく測定装置である粘弾性測定アナライザーDVE−V4(レオロジ(株))を使用し、スリット型冶具を用いて、測定周波数0.16〜400Hz、160℃、190℃、220℃の各温度で動的粘弾性の周波数依存性を測定し、190℃を基準温度として貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)のマスターカーブを作成した。なお、歪みは1%以下の線形領域で測定した。
【0040】
この測定において貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)を求めた。
【0041】
(流動の活性化エネルギー)
測定温度160〜220℃の範囲で、シフトファクター(aT)の温度依存性の曲線から活性化エネルギーを求めた。
【0042】
(予備発泡粒子の気泡径の均一性)
目視により観察し、以下のように評価した。
【0043】
○:気泡が均一に発泡している。
【0044】
△:気泡径のムラが若干あるが、ほぼ均一に発泡している。
【0045】
×:気泡径のムラが大きく、不均一に発泡している。
【0046】
(予備発泡粒子の発泡倍率および発泡成形体の発泡倍率)
発泡倍率は、次式により算出した。
【0047】
発泡倍率=非発泡体の密度/発泡体の密度
実施例1
(A)成分としてメタロセン型触媒を用いて重合された、密度が0.945g/cm3、MFRが6g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるエチレン・1−ヘキセン共重合体と(B)成分としてメタロセン型触媒を用いて重合されたエチレン・1−ヘキセン共重合体ペレットに、ラジカル発生剤としてパーブチル−P(1分半減期を与える分解温度176℃)を25ppmを添加し、240℃で溶融混練してペレット化した、密度が0.900g/cm3、MFRが2g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるものを表に示す配合割合に従って、50mmφ単軸押し出し機(プラコー製)を使用し、220℃で溶融混練してペレット化した。
【0048】
得られたペレット100重量部、炭酸マグネシウム1重量部および発泡剤としてジクロロジフルオロメタンとトリフルオロメタン(7:3重量比)30重量部を密閉容器内で水300ml重量部に分散させ、発泡温度110℃に加熱して10分間保持した後、その温度で大気圧下にペレットと水を同時に放出して予備発泡させた。次に、この予備発泡粒子を大気圧下で24時間熟成した後、金型に入れた。金型内の空気を排気した後、ゲージ圧1.2kg/cm2の蒸気で加熱して成形した。冷却後の発泡成形体を80℃で20時間養生した後、発泡成形体を評価した。エチレン系共重合体の物性、予備発泡粒子の気泡径の均一性、発泡倍率および発泡成形体の発泡倍率を表に示した。
【0049】
実施例2
(A)成分としてメタロセン型触媒を用いて重合された、密度が0.945g/cm3、MFRが6g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるエチレン・1−ヘキセン共重合体と(B)成分としてメタロセン型触媒を用いて重合されたエチレン・1−ヘキセン共重合体ペレットに、ラジカル発生剤としてパーブチル−P(1分半減期を与える分解温度176℃)を50ppmを添加し、240℃で溶融混練してペレット化した、密度が0.900g/cm3、MFRが2g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるものを表に示す配合割合に従って、50mmφ単軸押し出し機(プラコー製)を使用し、220℃で溶融混練してペレット化した。
【0050】
得られたペレット100重量部、炭酸マグネシウム1重量部および発泡剤としてジクロロジフルオロメタンとトリフルオロメタン(7:3重量比)30重量部を密閉容器内で水300ml重量部に分散させ、発泡温度110℃に加熱して10分間保持した後、その温度で大気圧下にペレットと水を同時に放出して予備発泡させた。次に、この予備発泡粒子を大気圧下で24時間熟成した後、金型に入れた。金型内の空気を排気した後、ゲージ圧1.2kg/cm2の蒸気で加熱して成形した。冷却後の発泡成形体を80℃で20時間養生した後、発泡成形体を評価した。エチレン系共重合体の物性、予備発泡粒子の気泡径の均一性、発泡倍率および発泡成形体の発泡倍率を表に示した。
【0051】
比較例1
(A)成分としてメタロセン型触媒を用いて重合された、密度が0.945g/cm3、MFRが6g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるエチレン・1−ヘキセン共重合体と(B)成分としてメタロセン型触媒を用いて重合された、密度が0.900g/cm3、MFRが2g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるエチレン・1−ヘキセン共重合体ペレットを表に示す配合割合に従って、50mmφ単軸押し出し機(プラコー製)を使用し、220℃で溶融混練してペレット化した。
【0052】
得られたペレット100重量部、炭酸マグネシウム1重量部および発泡剤としてジクロロジフルオロメタンとトリフルオロメタン(7:3重量比)30重量部を密閉容器内で水300ml重量部に分散させ、発泡温度110℃に加熱して10分間保持した後、その温度で大気圧下にペレットと水を同時に放出して予備発泡させた。次に、この予備発泡粒子を大気圧下で24時間熟成した後、金型に入れた。金型内の空気を排気した後、ゲージ圧1.2kg/cm2の蒸気で加熱して成形した。冷却後の発泡成形体を80℃で20時間養生した後、発泡成形体を評価した。エチレン系共重合体の物性、予備発泡粒子の気泡径の均一性、発泡倍率および発泡成形体の発泡倍率を表に示した。
【0053】
比較例2
(A)成分としてメタロセン型触媒を用いて重合された、密度が0.945g/cm3、MFRが6g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるエチレン・1−ヘキセン共重合体と(B)成分として幾何拘束触媒(コンストレインド・ジオメトリー・キャタリスト)を用いて長鎖分岐が選択的に導入された、密度が0.900g/cm3、MFRが8g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.9であるエチレン・1−オクテン共重合体ペレット(ダウケミカル製 アフィニティーPT1450)を使用して、表に示す配合割合に従って、50mmφ単軸押し出し機(プラコー製)を使用し、220℃で溶融混練してペレット化した。
【0054】
得られたペレット100重量部、炭酸マグネシウム1重量部および発泡剤としてジクロロジフルオロメタンとトリフルオロメタン(7:3重量比)30重量部を密閉容器内で水300ml重量部に分散させ、発泡温度110℃に加熱して10分間保持した後、その温度で大気圧下にペレットと水を同時に放出して予備発泡させた。次に、この予備発泡粒子を大気圧下で24時間熟成した後、金型に入れた。金型内の空気を排気した後、ゲージ圧1.2kg/cm2の蒸気で加熱して成形した。冷却後の発泡成形体を80℃で20時間養生した後、発泡成形体を評価した。エチレン系共重合体の物性、予備発泡粒子の気泡径の均一性、発泡倍率および発泡成形体の発泡倍率を表に示した。
【0055】
【表1】
Claims (4)
- (A)密度が0.940g/cm3以上、190℃,2160gの荷重で測定したメルトフローレートが2〜20g/10分、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)より求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下であるエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンからなる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体1〜30重量%と
(B)下記(a)〜(e)の特性を有するエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンからなる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体99〜70重量%とからなるエチレン系樹脂組成物。
(a)GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)より求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下、
(b)密度が0.850〜0.920g/cm3、
(c)190℃,2160gの荷重で測定したメルトフローレートが0.5〜10g/10分、
(d)動的粘弾性の周波数依存性から得られる貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の値が一致する周波数(fc)からfc/10までの周波数領域におけるG’の傾きS(S=ΔlogG’/Δlogf)が0.82<S<0.9、
(e)160〜220℃の範囲で求めた流動の活性化エネルギーΔH(kJ/mol)が35〜50kJ/mol - (A)密度が0.940g/cm3以上、190℃,2160gの荷重で測定したメルトフローレートが2〜20g/10分、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)より求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下であるエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンからなる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体1〜30重量%と
(B)下記(a)〜(e)の特性を有するエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンからなる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体99〜70重量%とからなる発泡成形体用エチレン系樹脂組成物。
(a)GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)より求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下、
(b)密度が0.850〜0.920g/cm3、
(c)190℃,2160gの荷重で測定したメルトフローレートが0.5〜10g/10分、
(d)動的粘弾性の周波数依存性から得られる貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の値が一致する周波数(fc)からfc/10までの周波数領域におけるG’の傾きS(S=ΔlogG’/Δlogf)が0.82<S<0.9、
(e)160〜220℃の範囲で求めた流動の活性化エネルギーΔH(kJ/mol)が35〜50kJ/mol - 請求項1に記載のエチレン系樹脂組成物を基材とする発泡粒子。
- 請求項1に記載のエチレン系樹脂組成物を基材とする発泡体。
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