JP4144109B2 - トラクタ - Google Patents

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武利 藤田
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松彦 常川
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、農業機械であるトラクタに関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
従来、農業用トラクタは、ミッションケースの上方に操縦席を設け、この操縦席の左右両側方に、後輪を前方から上方へかけて覆うフェンダーを配置する構成となっている。
しかしながら、前記従来のトラクタのフェンダーは、この下端部をリヤアクスルケース上のブラケットに支持したり、前端部をフロアに連結する構成となっている。このためフェンダー上部、例えばレバー等の突出部はエンジンや作業時の振動により振れ易く異音を生じる等の課題があった。
【0003】
一方、従来のトラクタのブレーキペダルやデフロックペダル、或いは変速レバーや作業機昇降用レバーは、この回動基部をミッションケース側部に突設したボス軸に支持する構成としていたので、特に小型のトラクタにおいて、ペダルやレバーに過剰に力がかかると、前記ボス部を偏磨耗し長期に使用していると操作性を損なうと言う課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を鑑みて、ミッションケース1の上方に操縦席2を設け、この操縦席2の左右両側方に、後輪3を前方から上方へかけて覆うフェンダー4を配置するトラクタにおいて、操縦席2の下方にはデフロックペダル7Aを設け、前記ミッションケース1の後上面を開放した開放部1aを構成し、この開放部1aからミッションケース1内部の伝動機構を臨む構成とし、ミッションケース1の左右幅よりも広いプレート部材5を固定することで、前記ミッションケース1上部と開放部1aを遮蔽する構成とし、このプレート部材5の突出部5aにはナット穴を有するブラケット28を下方へ垂設した状態で固着して設け、前記フェンダ4を固定支持するにあたり、前記フェンダ4の前端部を作業者の足置きとなるフロア19に連結し、フェンダ4の下端部をリヤアクスルケース15に連結する構成とし、さらに、前記ブラケット28のナット穴に対向するフェンダー4面に前記 デフロックペダル7Aの回動軸8が通過する挿通穴29を開口して設け、該挿通穴29からボルト8を挿入すると共にカラー30を介してデフロックペダル7Aのアーム部7 B 先端部に設けた回転筒7Cを挿入して前記ナット穴に締め付け固定する構成とし、前記プレート部材5にディテント機構40を有する作業機昇降レバー22を設け、該作業機昇降レバー22を下げ位置から上げ位置へ操作すると次第に小さな力で操作可能にすると共に、上げ位置から下げ位置へ操作すると次第に大きな力で操作可能に構成したことを特徴とするトラクとした。
【0005】
【発明の効果】
以上のようにトラクタのフェンダー支持装置は、ミッションケース1上部を同ケース1の左右幅よりも広い略プレート部材5により遮蔽し、このプレート端部のブラケット28とフェンダー4間を回動軸8にて連結したので、特にフェンダーの中央部の支持強度が増し、前述のように左右の振れを極力無くすことができる。
また、回動軸8はフェンダー4を固定支持する単なる強度メンバーではなく、デフロックペダル7Aを回動支持するためにも利用しているので、別途ミッションケースに片持ちの回動軸を突設する構成と比較して、同ケースの加工コストを極力低減し、回動軸の偏摩耗という課題も防止することができる。また、ボルト8とペダルアームの筒部である回転筒7C間には、円筒形状のカラー30を介在する構成としたので、カラー30の長さを適宜変更することで、ブラケット28とフェンダー4間の左右間隔の位置決めを容易にすることが可能となる。
【0006】
また、トラクタの作業機を下降するときには、作業機の下げ位置付近の作業機昇降レバー22の操作力が大きく設定されているので、作業機を目標位置へ位置させるための操作が容易となる。例えば、既作業地の位置を見ながら確実に作業機を下降することができる。また、作業機を上昇するときには、小さな力で作業機昇降レバー22を回動操作することができるので、一気に作業機を上昇することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
最初にトラクタ10の全体構成に付いて説明する。
トラクタ10は、図2に示すように、ボンネット11の内部に搭載されたディーゼルエンジン13から、エンジン取付フレーム、ミッションケース1等を一体的に連結して主枠とし、前記エンジン13の下方に前輪14,14を支持するフロントアクスルケースを左右ローリング自在に設け、ミッションケース1左右後側部に後輪3,3を支持するリヤアクスルケース15,15を設けている。前記ミッションケース1には、主クラッチや変速装置を内装し、エンジン13の回転動力を適宜減速して、前記前輪14,14、または後輪3,3へ伝達する構成となっている。
【0008】
前記ボンネット11の後部にはメータパネル16を設け、この上端部にステアリングハンドル17を突出し、側部にアクセルレバーや前後進切替レバー18を設けている。また、ステアリングハンドル17下方には、フロア19を設けこの上方に、クラッチペダルや左右ブレーキペダルを配置する構成となっている。また、前記操縦席2の下方には、デフロックペダル7Aを設け、この回動基部を後述するプレート部材5とフェンダー4間の回動軸8に支持する構成となっている。
【0009】
また前記フロア19は、ミッションケース1上に取付けこの後端部を前記後輪3の前方から上方へかけて覆う鉄板製のフェンダー4に連結した構成となっている。そして、左右フェンダー4,4間に前記操縦席2を設け、操縦席2とフェンダー4間に前記変速装置を切り替える変速レバー21や作業機昇降用レバー22を設けている。
【0010】
前記操縦席2後方には、図3に示すように、前記ミッションケース1の後面に固定する安全フレーム23を設け、左右に連結されたフック24の係合を外すことで上部フレーム23aを、下部フレーム23b内に収納する構成となっている。そしてこの安全フレーム23の下部には後述する作業機昇降用油圧シリンダ25のピストン伸縮によって回動するリフトアーム26を支持する構成となっている。
【0011】
前記ミッションケース1、及びフェンダー4について説明する。前記ミッションケース1は、図4及び図5に示すように、この後上面を開放しこの開放部1aより内部の伝導機構、例えば後輪デフ機構等を臨む構成となっている。そして、この開放部1aを鉄板製のプレート部材5にて遮蔽する構成となっている。
【0012】
プレート部材5は、鉄板製の平板であり前記ミッションケース1の上面の左右巾より巾の広い構成となっている。そして、プレート上には、前記リフトアーム26を上下回動する作業機昇降用油圧シリンダ25を左右中心位置よりも右側に偏位して設け、また同シリンダ25の左側方に圧油を送る油圧切替弁27を設けた構成となっている。
【0013】
そして前記ケース幅よりも右側の突出部5aの下方には、ナット穴を有するブラケット28を下方へ垂設した状態で溶接して設けると共に、このナット穴に対向するフェンダー4面にも前記デフロックペダル7Aの回動軸8となるボルトの挿通穴29を開口して設けている。
以上のように構成したトラクタ10のフェンダー4を、ミッションケース1に支持するときには、この前端部を前記フロア19にボルト等により連結すると共に、この下端部をリヤアクスルケース15にブラケット等を介して連結する。そして更に、このフェンダー4の略中央部に開口した前記挿通穴29からボルト8を挿通し、同時に円筒形状のカラー30を介してデフロックペダル7Aのアーム部7B先端部に設けた回転筒7C内を挿通し、前記ナット穴に締め付け固定する。これにより、フェンダー4は回動軸8、及びカラー30を介してブラケット28に共締めされ、デフロックペダル7Aは前記回動軸8、即ちボルトを軸に回動自在に枢支する構成となっている。
【0014】
尚、デフロック機構を作動する操作アーム31は、リヤアクスルケース15の側部に突出して設け、前記回動筒7Cとロッド32により連結する構成となっている。また図中符号33は、前記リヤアクスルケース15から突出するブレーキ操作アームを示す。
以上のように構成したトラクタ10のフェンダー4は、特に後輪内側のフェンダー4、即ちフェンダー中央部を前記プレート部材5を介してミッションケース1と連結することとなり、支持強度を増ことができる。また、この連結部を利用してデフロックペダル7Aのアーム7Bを回転自在に枢着する構成としたので、従来のようにペダル回動軸を片持ちとする構成と比較して、軸の突出方向に対し前後上下の力が加わってもねじれ難く偏磨耗を起こすといった課題を極力防止することができる。
【0015】
また、前記ボルト8とペダルアームの筒部7C間に、円筒形状のカラー30を介在したので、この長さを適宜変更することでブラケット28とフェンダー4間の左右間隔の位置決めすることができる。
尚、ここではミッションケース1とフェンダー4とを連結するにあたり、デフロックペダル7Aの回動軸8を利用した形態を説明したが、同様な構成により前記左右のブレーキペダルや前記変速レバー21や作業機昇降用レバー22の回動支点に利用しても良い。
【0016】
以下、このトラクタ10の全体構成について説明する。
従来トラクタの作業機昇降装置は、この操作部であるレバー基部にブレーキ機構やディテント機構を備え、操作位置を保持する構成としていた。しかしながら、これらブレーキ機構やディテント機構は、レバー操作方向が前後どちらの方向に操作しても一定に作用するため、例えばこのブレーキ力を強く設定し過ぎると腕の疲労の原因となり、また軽く設定し過ぎると下降時に作業機の位置を調整し難いという課題が有った。
【0017】
よってここでは、前記作業機昇降用レバー22の回動基部に、同レバー22と一体回動するディテント付プレート40を設けこのプレート40に作業機上昇側よりも下降側のレバー操作力が大きく働くディテント機構41を設ける構成とした。
詳細に説明すると、作業機昇降用レバー22は、図6及び図7に示すように前記プレート部材5の前端部に設けた回転軸42に取付け、取付部近傍には回動軸42と一体回転するディテント付プレート40を設けると共に、この軸端部には前記油圧切替弁27のスプールを押し引きする押圧アーム43を設ける構成となっている。
【0018】
前記ディテント付プレート40は、上端部に4つの凸部(前方から順に、上げ規制凸部44、上げ側凸部45、下げ側凸部46、下げ規制凸部47)とこの間の3位置のディテント溝(前方から順に、上げ位置溝部48、中立位置溝部49、下げ位置溝部50)を加工している。そして、前記中立位置溝部49を挟む上げ側凸部45のR(回動軸中心からの距離)は下げ側凸部46のRよりも大きく、且つ高さを低く設定している。
【0019】
また、中立位置溝部49、及び下げ位置溝部50の下端部は同Rとし且つ前記回動軸42から同距離に設定し、上げ位置溝部48の下端部は前記両溝部49,50よりも回動軸42からの距離を長く設定している。
そして前記各ディテント溝には、「く」の字型のテンションアーム51の横軸52を当接し、このテンションアーム51の基部には前記横軸52が下方へ付勢するようにスプリング53を設ける構成となっている。
【0020】
以上のように構成したトラクタ10の作業機昇降用レバー22は、下げ位置から上げ位置へ操作すると、途中の凸部45,46が順に低く設定されているので、次第に小さな操作力でレバー22を回動操作できる。反対に上げ位置から下げ位置へ操作すると、途中の凸部46,45が順に高く設定されているので、レバーを回動操作するときは次第に大きな操作力が必要となる。
【0021】
これにより、トラクタ10の作業機を下降するときには、この下げ位置付近の操作力が大きく設定され目標位置へ操作し易く、例えば既作業地の位置を見ながら確実に作業機を下降することができ、且つ上昇するときには小さな力でレバー22を回動操作することができ、一気に作業機を上昇することができる。
また図8に示す変速レバー21は、トラクタ10を後進操作するときに作業機を上昇させる機構を示したもので、前記作業機昇降レバー22の回動基部に横軸60aを有する回転アーム60を枢着し、この回転アーム60と前記リフトアーム26とをワイヤー61を介して連結する構成となっている。また横軸60aは、前記変速レバー21が後進位置Rへ操作されると、同レバー基部に当接し前記回転アーム60を回転する構成となっている。
【0022】
これにより、回転操作はワイヤー61を介してリフトアーム26へ伝達され、前記油圧シリンダ25とは別系統で作業機を上昇操作することができる。
尚、リフトアーム26の回動基部には、前記回転アーム60と同様の構成をしたリフトアーム側回転アーム62を設け、このアーム角度を調整すること、即ち図中符号63の孔にピン64を挿通して固定しアーム62を倒伏状態とすることでワイヤー61を弛ませ前記後進操作に伴う作業機上昇操作を解除する構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】ペダル回動部の一部拡大断面図。
【図2】トラクタの全体側面図。
【図3】(A)安全フレームの係合部を示す拡大図。
(B)安全フレームの背面図。
(C)安全フレームのフックの斜視図。
【図4】プレート部材の平面図。
【図5】ミッションケースの一部平面図。
【図6】変速レバーとリフトアームの連結構成を示す図。
【図7】変速レバーの回動基部の拡大図。
【図8】後進操作に伴う作業機上昇機構に関するリンク機構図。
【符号の説明】
1 ミッションケース
1a ミッションケースの開放部
2 操縦席
3 後輪
4 フェンダー
5 プレート部材
5a 突出部
6 プレート部材の突出部
7A デフロックペダル
7B ペダルアーム部
7C 回動筒部
8 回動軸
10 トラクタ
15 リヤアクスルケース
19 フロア
22 作業機昇降レバー
28 ブラケット
29 挿通穴
30 カラー
40 ディテント機構

Claims (1)

  1. ミッションケースの上方に操縦席を設け、この操縦席の左右両側方に、後輪を前方から上方へかけて覆うフェンダーを配置するトラクタにおいて、操縦席(2)の下方にはデフロックペダル(7A)を設け、前記ミッションケース(1)の後上面を開放した開放部(1a)を構成し、この開放部(1a)からミッションケース(1)内部の伝動機構を臨む構成とし、ミッションケース(1)の左右幅よりも広いプレート部材(5)を固定することで、前記ミッションケース(1)上部と開放部(1a)を遮蔽する構成とし、このプレート部材(5)の突出部(5a)にはナット穴を有するブラケット(28)を下方へ垂設した状態で固着して設け、前記フェンダ(4)を固定支持するにあたり、前記フェンダ(4)の前端部を作業者の足置きとなるフロア(19)に連結し、フェンダ(4)の下端部をリヤアクスルケース(15)に連結する構成とし、さらに、前記ブラケット(28)のナット穴に対向するフェンダー(4)面に前記デフロックペダル(7A)の回動軸(8)が通過する挿通穴(29)を開口して設け、該挿通穴(29)からボルト ( ) を挿入すると共にカラー(30)を介してデフロックペダル(7A)のアーム部 ( B) 先端部に設けた回転筒(7C)を挿入して前記ナット穴に締め付け固定する構成とし、前記プレート部材(5)にディテント機構(40)を有する作業機昇降レバー(22)を設け、該作業機昇降レバー(22)を下げ位置から上げ位置へ操作すると次第に小さな力で操作可能にすると共に、上げ位置から下げ位置へ操作すると次第に大きな力で操作可能に構成したことを特徴とするトラクタ。
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