JP3698793B2 - 移動農機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば走行車の後部に耕耘ロータリ作業機を装備させて耕耘作業などを行うようにした移動農機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、特開平4−1430号公報に示すように、エンジンの出力を、エンジン負荷が大きくなると噴射量を増大させてエンスト防止をする制御をしている。
そこで、駐車ブレーキの作動時にあっては、警報ランプなどによって作業者に報知して駐車ブレーキをかけたままの走行を防止している。
しかし乍らこのような警報ランプの場合、作業者が見落した状態で作業が行われると、エンジン負荷に対して噴射量を増大させるので、ブレーキに焼付きなどが発生する。
【0003】
【課題を解決するための手段】
次に本発明の課題を解決するための手段を説明する。
エンジン(38)の出力を制限するエンジン出力制限手段と、駐車ブレーキの作動状態を検出するブレーキ検出手段(52)と、走行ギヤの作動状態を検出する走行検出手段(51)とを備え、ブレーキ検出手段(52)及び走行検出手段(51)により、駐車ブレーキをかけた状態での走行時に、エンジン(38)の出力を制限するように構成し、前記エンジン出力制限手段は、燃料噴射ポンプ(45)のラックソレノイドである燃料噴射ソレノイド(46)を、電子ガバナ(39)のコントローラ(53)により調節すべく構成し、該コントローラ(53)に出力制限切換スイッチ(54)を接続し、該出力制限切換スイッチ(54)の切換えにより、駐車ブレーキをかけた状態での走行時に噴射ソレノイド(46)の調節によって、『エンジン(38)の駆動を停止させる』、『エンジン(38)の回転数を設定回転数以下とする』、『エンジン(38)の回転数を一定回転数に維持する』の3通りの何れかに出力を制限可能としたものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
図1は制御回路図、図2は全体の側面図、図3は平面図である。
図中(1)は前後車輪(2)(3)を有する走行車であるトラクタで、運転キャビン(4)内の運転席(5)前方に操向ハンドル(6)を備え、該ハンドル(6)操作によって前車輪(2)を方向転換させて車体の操向を行うように構成している。
【0005】
図4にも示す如く、トラクタ(1)に3点リンク機構(7)を介してサイドドライブ型の耕耘ロータリ作業機(8)を昇降自在に装着させるもので、中央にギアボックス(9)を配置し、ユニバーサルジョイント付ドライブ軸を介してトラクタ(1)のPTO軸に入力軸(10)を連結して、耕耘駆動力をギアボックス(9)に入力させている。
【0006】
また、前記ギアボックス(9)側面より両側方に、メインフレームであるビーム(11)を突出し、該ビーム(11)のそれぞれの中途部に支持プレート(12)を固設し、該支持プレート(12)の前端には3点リンク機構(7)のロワリンク(13)を枢結するピン(14)を突設し、後端にはデプスフレーム(15)の前端を枢支すると共に、ギヤボックス(9)上方のマスト(16)前端に3点リンク機構(7)のトップリンク(17)後端を連結させている。
【0007】
さらに、前記ビーム(11)の左外側端に、チェンケース(18)上部を固設し、該チェンケース(18)の下部に耕耘爪軸(19)を横架し、該耕耘爪軸(19)上にナタ爪よりなる多数の耕耘爪(20)…を側面視で放射状に植設させると共に、該耕耘爪(20)の回転軌跡上方をロータリカバー(21)によって覆い、両側をサイドカバー(22)によって覆っている。
【0008】
そして、該耕耘爪軸(19)はギアボックス(9)内のギア、ビーム(11)内の伝動軸、チェンケース(18)内のスプロケット及びチェンを介して駆動し、耕耘爪(20)…を回転させることによって耕耘を行うようにしている。
【0009】
またさらに、前記ビーム(11)の左右両端前方に、第1プレート(23)を固設し、該プレート(23)前端にボルト(24)及び第2プレート(25)を介してパイプ製の支持杆(25)を横架させ、該パイプ製支持杆(26)に回動軸(27)を回転自在に内挿させて二重軸構造に形成する。
【0010】
それと共に、前記回動軸(27)の第2プレート(25)を挾んだ左右両側の固定取付板(28)に、ボルト(29)を介しバネ鋼製の切断刃(30)を取外し自在に固定させて、切断刃(30)の先端刃先部を土中に突入させている。
そして前記第2プレート(25)と固定取付板(28)間に、切断刃昇降用の電動式昇降シリンダ(電動モータ)(31)を介設するもので、前記第2プレート(25)の固定ブラケット(32)に枢軸(33)を介し電動シリンダ(31)を支持させる。
【0011】
それと共に、電動シリンダ(31)のロッド(34)先端を枢軸(35)を介し固定取付板(28)に連結させて、昇降シリンダ(31)の伸縮動作でもって回動軸(27)を中心として切断刃(30)を上下揺動させて、切断刃(30)の突入深さを適宜変化させるように構成している。
【0012】
前記切断刃(30)は上側を、略直線部(30a)に、下側を湾曲部(30b)に形成し、前高後低状に傾斜させて、耕耘爪(20)の回転軌跡(A)の前部内に湾曲部(30b)を側面視でオーバラップするように臨ませ、耕耘爪(20)の土中突入地点に切断刃(30)の土中突入地点を略一致させる。該耕耘爪(20)の土壌切断時に、切断刃(30)によって土壌を切り込む状態とさせて、この切り込んだ土を耕耘爪(20)によって容易に耕耘して、この耕耘作業での負荷の低減化を図るように構成している。
また、前記切断刃(30)は、耕耘ロータリ(36)が浮上がってダッシュ状態となるような硬質土条件では切断刃(30)の土中突入長さを大に調節してロータリ(36)の浮上りを防止する一方、圃場面やトラクタ姿勢の変化によって耕耘負荷が変化しエンジン負荷も大となるときその突入長さを小に調節してエンジン負荷を安定維持させるように構成している。
【0013】
さらに、前記耕耘爪(20)は切り込んでから土を反転させるために先端部を右または左に交互に一定巾(略80mm)湾曲させて弾性を有する構成とし、180°対向位置の耕耘爪(20)の湾曲方向を右または左方向に同一とするように爪軸(19)の同一断面に取付けられた4本のホルダー(37)に4本(爪軸(19)1回転当りの爪本数同一方向に2本)の耕耘爪(20)を装着させている。
そして、耕耘爪(20)の回転半径(a)を略245mm程度とし、対向関係にある隣接の耕耘爪(20)(20)の基部間隔(T)を大きな間隙の5とするのに対し、先端爪軌跡(L)の間隙である間隔(t)を略1(T:t≒5:1)(T≒200mm、t≒40mm)の割合に設けている。
基部間隔(T)を大とさせ耕耘爪(20)の取付本数を減少させることによって、所要動力の低減化を図って、同一動力での耕耘時余力分を速度に回して高速(従来の略2倍)耕耘を可能とさせるように構成したものである。
【0014】
図1、図6、図7に示す如く、エンジン(38)には電子ガバナ(39)を搭載してエンジン(38)の出力である回転数の増減制御を行うもので、エンジン(38)の出力を主クラッチ部(40)・ミッション部(41)・ブレーキ部(42)を介して後車輪(3)に伝達して、アクセルレバー(43)またはペダル(44)で設定されるエンジン回転数に電子ガバナ(39)でエンジン(38)の燃料噴射ポンプ(45)のラックソレノイドである燃料噴射ソレノイド(46)を調節して、設定エンジン回転数を維持させながら走行を行うように構成している。
【0015】
そして、電子ガバナ(39)のラック位置より、燃料噴射量を検出するラック位置センサ(47)と、エンジン(38)の回転数を検出するピックアップ型回転センサ(48)と、作業者が操作するアクセルレバー(43)またはペダル(44)の操作量を検出するポテンショメータ型アクセルセンサ(49)と、走行車(1)の前後傾斜角を検出する傾斜センサ(50)とを設けている。
また、前記ミッション部(41)における走行変速ギヤの入状態を検出する走行検出手段である、走行ギヤスイッチ(51)と、前記ブレーキ部(42)における駐車ブレーキの作動(制動)状態を検出するブレーキ検出手段である駐車ブレーキスイッチ(52)とを設けている。
エンジン出力制限手段である電子ガバナ(39)のコントローラ(53)に、各センサ(47)(48)(49)(50)及びスイッチ(51)(52)を入力接続させると共に、燃料噴射ソレノイド(46)にコントローラ(53)を出力接続させて、エンジン(38)の回転制御を行うように構成している。
【0016】
また、前記コントローラ(53)は、駐車ブレーキをかけた状態での走行を防止するエンジン出力制限機能を有し、前記噴射ソレノイド(46)の調節によって、
(1).エンジン(38)の駆動を停止させる
(2).エンジン(38)の回転数を設定回転数以下とする
(3).エンジン(38)の回転数を一定回転数に維持するの3通りの何れかに出力を制限するもので、これら3通りの態様の何れか一つに切換選択する出力制限切換スイッチ(54)をコントローラ(53)を接続させている。
【0017】
さらに、前記コントローラ(53)を警報ランプ(55)及び警報ブザー(56)及び音声発生器(57)に出力接続させると共に、これらのうちの一つに切換える警報切換スイッチ(58)をコントローラ(53)に接続させて、エンジン(38)の出力制限時にはランプ(55)・ブザー(56)・音声発生器(57)の何れかによって作業者にこれを報知するように構成している。
【0018】
また、電子ガバナコントローラ(53)から得られるエンジン(38)の負荷率の基準値を設定する負荷率設定器(59)と、作業機(8)を昇降させる油圧昇降シリンダの電磁式昇降バルブ(60)と、作業機(8)を昇降操作する手動式の昇降スイッチ(61)とを備え、電子ガバナコントローラ(53)に接続させる耕耘コントローラ(62)に、これら設定器(59)・バルブ(60)・スイッチ(61)を接続させて、電子ガバナコントローラ(53)から得られるエンジン(38)の負荷率(ラック位置の変化率)の変化に基づいて昇降バルブ(60)を自動制御して、作業機(8)のトラクタ(1)に対する支持高さを可変させ耕耘深さを変化させて、エンジン(38)の負荷率を略一定に維持させた状態で作業を行うように構成している。
【0019】
本実施例は上記の如く構成するものにして、従来例えば爪軸(19)1回転当りの爪本数を1本で、爪軸回転数略170rpm、車速0.5m/sの作業条件で行われる作業を、爪軸(19)1回転当りの爪本数を2本として、爪軸回転数略170rpm、車速1〜1.5m/sの作業条件で行うもので、走行速度を従来の略2倍以上に高速化させて、作業能率を大巾に向上させるものである。
【0020】
そして、作業中にあっては、エンジン(38)負荷の変化に基づいて作業機(8)を昇降させてエンジン(38)負荷を一定に制御する負荷制御が行われる一方、駐車ブレーキがかかった状態のオン状態で走行ギヤが入った状態のオン状態となるときエンジン(38)の出力を制限する回転制御が行われるもので、以下このエンジン回転制御を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0021】
通常エンジン(38)の回転は、アクセルセンサ(49)で検出される設定のエンジン回転数(N2)に対し、回転センサ(48)で検出される実際のエンジン回転数(N1)を等しく(N2=N1)するように電子ガバナ(38)で制御が行われて、エンジン(38)出力が設定出力に維持されるものであるが、坂道以外(一定傾斜角以内)の略平坦路面で駐車ブレーキがかかったオン状態で、走行ギヤが入ったオン状態のとき、エンジン(38)の出力制限とこの警報が行われるものである。
【0022】
つまり、駐車ブレーキがかかった状態のまま走行が行われようとした場合、前記スイッチ(54)の切換操作によって、
(1).エンジン(38)の駆動を停止させる、
(2).エンジン(38)の回転数を設定回転数以下として上限を規制する、
(3).アクセル操作位置に関係なくエンジン(38)を一定回転数に維持させる、
のうちの一つの出力制限を行わしめて、駐車ブレーキが異常摩耗したり、焼付くなどとした事故を防止すると共に、この状態のとき予め操作される前記スイッチ(58)によって警報ランプ(55)或いは警報ブザー(56)或いは音声発生器(57)のうちの何れか一つが作動して作業者にこの状態が報知されるものである。
【0023】
また、この場合トラクタ(1)の機体傾斜角度が一定以上となる坂道発進時にあっては、駐車ブレーキをかけた状態で走行ギヤを入れて機体を発進させることを可能とさせ、駐車ブレーキをかけたままの状態で傾斜が一定角度以下となるとき自動的にエンジン出力を制限する制御に戻すものである。
【0024】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、エンジン(38)の出力を制限するエンジン出力制限手段(53)と、駐車ブレーキの作動状態を検出するブレーキ検出手段(52)と、走行ギヤの作動状態を検出する走行検出手段(51)とを備え、ブレーキ及び走行検出手段(52)(51)に基づいてエンジンの出力を制限するものであるから、駐車ブレーキがかかったままの状態で走行が行われようとした場合などには、エンジン出力が制限されてエンジン(38)が過負荷運転となったり、駐車ブレーキに摩耗や焼付きなどが発生するのが防止されて、これらの耐久性向上が図れる。
【0025】
また、エンジン(38)の出力制限手段(53)としてエンジン(38)の回転を停止させることによって、エンジン(38)が過負荷運転となったり、駐車ブレーキに摩耗や焼付きなどが発生するのが確実に防止できるものである。
【0026】
さらに、エンジン(38)の出力制限手段(53)としてエンジン(38)の出力を設定以下に制限することによって、エンジン(38)の過負荷運転や、駐車ブレーキの摩耗や焼付きなどを最小に抑制できるものである。
【0027】
またさらに、エンジン(38)の出力制限手段(53)としてエンジン(38)の出力を一定に維持させることによって、エンジン(38)の過負荷運転や、駐車ブレーキの摩耗や焼付きなどを最小に抑制できるなどの顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 制御回路図である。
【図2】 全体の側面図である。
【図3】 全体の平面図である。
【図4】 ロータリ部の側面説明図である。
【図5】 ロータリ部の平面説明図である。
【図6】 制御部の配置説明図である。
【図7】 走行駆動系の説明図である。
【図8】 フローチャートである。
【符号の説明】
(38) エンジン
(51) 走行ギヤスイッチ(走行検出手段)
(52) 駐車ブレーキスイッチ(ブレーキ検出手段)
(53) コントローラ
Claims (1)
- エンジン(38)の出力を制限するエンジン出力制限手段と、駐車ブレーキの作動状態を検出するブレーキ検出手段(52)と、走行ギヤの作動状態を検出する走行検出手段(51)とを備え、ブレーキ検出手段(52)及び走行検出手段(51)により、駐車ブレーキをかけた状態での走行時に、エンジン(38)の出力を制限するように構成し、
前記エンジン出力制限手段は、燃料噴射ポンプ(45)のラックソレノイドである燃料噴射ソレノイド(46)を、電子ガバナ(39)のコントローラ(53)により調節すべく構成し、該コントローラ(53)に出力制限切換スイッチ(54)を接続し、該出力制限切換スイッチ(54)の切換えにより、駐車ブレーキをかけた状態での走行時に噴射ソレノイド(46)の調節によって、
『エンジン(38)の駆動を停止させる』、『エンジン(38)の回転数を設定回転数以下とする』、『エンジン(38)の回転数を一定回転数に維持する』の3通りの何れかに出力を制限可能としたことを特徴とする移動農機。
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1996
- 1996-01-25 JP JP03288396A patent/JP3698793B2/ja not_active Expired - Fee Related
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