JP4143046B2 - 核酸検出基板および該装置を使用する核酸検出方法 - Google Patents

核酸検出基板および該装置を使用する核酸検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、核酸検出基板に関する。
近年、核酸鎖固定化アレイ(DNAアレイ)による遺伝子検査技術が注目を集めている(Beattie et al. 1993, Fodor et al. 1991, Khrapko et al. 1989, Southern et al. 1994)。DNAアレイは、101〜105種類の配列が異なるDNAプローブを固定化した、数cm角の硝子やシリコンのアレイからできており、アレイ上で蛍光色素や放射線同位元素(RI)等で標識した試料遺伝子とを反応させるか、あるいは未標識の試料遺伝子と標識オリゴヌクレオチドの混合物をサンドイッチハイブリダイゼーションで反応させる。試料中にアレイ上のDNAプローブと相補的な配列が存在すると、アレイ上の特定部位で標識に由来する信号(蛍光強度、RI強度)が得られる。固定化しておいたDNAプローブの配列と位置があらかじめ分っていれば、試料遺伝子中に存在する塩基配列を簡単に調べることができる。DNAアレイは、微量サンプルで塩基配列に関する多くの情報が得られることから、遺伝子検出技術に止まらずシーケンス技術としても大いに期待されている(Peaseら、1994, Parinovら、1996、図1)。上記したDNAアレイは1サンプルに対する多種類遺伝子の検出には優れているが、多サンプルの処理には必ずしも適しているとは言えない。現在マイクロタータープレート様の容器と組み合わせることで多サンプルの遺伝子検出への適応が報告されているが、これには大型で高価な光学検出器が必要となっている(図2)。
これに対し、電気化学的な手法に基づく核酸鎖検出方法も報告されている(特許文献1) 。これらの手法はサンプル遺伝子の標識が不要であり、また検出も電気信号を測定するため蛍光検出のような複雑なシステムが不要になり、システムの小型化が期待できる。しかしながら、多サンプルの検出に対しては電極の取り回しが複雑になり十分対応しきれていなかった。最近、多数のプローブを固定化したスティック状の電極とマイクロタイタープレート様の容器を組み合わせた、多種遺伝子×多サンプルの検出が報告されているが、スティック状の電極を取り扱うのにロボティクスの機構が必要となり、装置が大型になる欠点があった(図3)。
以上のように、今後のテイラーメイド医療などでは、異種遺伝子×多サンプルや多種遺伝子×多サンプルのハイスループット検出が望まれているが、現在の技術では全ての仕様を満たすものはなく、新しい手段が望まれていた。
特許第2573443号明細書
以上のように、現在の遺伝子検出装置では、異種遺伝子×多サンプルや多種遺伝子×多サンプルの検出が難しいという問題があった。上記問題点を解決するために、本発明は、核酸検出装置を提供することを目的とする。
本発明は、核酸鎖検出基板であって、基板と、前記基板上に複数形成された電極領域と、前記電極領域に複数形成されたプローブ固定化電極および信号取出用電極と、前記プローブ固定化電極および/または信号取出用電極を包囲して容器形状に形成された枠とを備え、前記プローブ固定化電極および前記信号取出用電極は、信号用配線によって接続されており、かつ前記電極領域を有する基板と前記反応容器は、密着されていることを特徴とする核酸鎖検出基板を提供する。
また、本発明は、上記核酸鎖検出基板であって、前記電極領域は、さらに対極が形成されていることを特長とする核酸鎖検出基板を提供する。
さらに、本発明は、上記核酸鎖検出基板であって、前記電極領域は、さらに参照電極が形成されていることを特徴とする核酸鎖検出基板を提供する。
さらに、本発明は、上記核酸検出基板であって、マイクロタイタープレート形状であることを特徴とする核酸鎖検出基板を提供する。
また、本発明は、試料中に存在する特定の塩基配列を有する核酸鎖の検出方法であって、上記核酸検出基板を使用して、該核酸検出基板のプローブ固定化電極に固定化されたプローブと、前記試料中に存在する核酸鎖とのハイブリダイゼーション反応を行う工程と、前記プローブと前記核酸鎖とのハイブリダイゼーションの有無を電気化学的に検出する工程とを含むことを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記検出方法であって、前記電気化学的な検出を行うために、二本鎖DNA認識物質を作用させる工程をさらに含むことを特徴とする検出方法を提供する。
さらに、本発明は、上記検出方法であって、前記二本鎖DNA認識物質は、挿入剤であることを特徴とする検出法を提供する。
また、本発明は、上記方法を実施するための核酸検出システムであって、前記核酸検出装置は、少なくとも核酸抽出ユニット、核酸増幅ユニット、および上記核酸検出基板を使用して核酸を検出するための核酸検出ユニットを備えることを特徴とする装置を提供する。
さらに、本発明は、上核酸検出装置であって、チップラック、試薬ラック、廃液ラック、試薬の分注を行うことが可能な可動式の分注器、および電流測定を行うことが可能な可動式プローバーセットを備え、前記核酸増幅ユニットおよび前記検出ユニットは、サーマルサイクラーを備え、並びに前記核酸検出装置は、真空ポンプ、シリンジポンプ、および電気制御ユニットをさらに備えていることを特徴とする核酸検出装置を提供する。
以下、図面を参照しながら、本発明の核酸検出基板の詳細を説明する。
本発明の核酸鎖検出装置は、基板2と、基板2に複数形成された電極領域12と、電極領域12に複数形成されたプローブ固定化電極8および信号取出用電極9と、プローブ固定化電極8を仕切るための枠13を備えることを特徴とする核酸鎖検出装置である。
本発明に使用する基板2の材料は、特に限定されず、当業者に既知のいずれの材料を使用することもできる。たとえば、ガラス、石英ガラス、シリコン、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素、等の無機絶縁材料を使用できる。また、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を用いることができる。また、基板は平面であっても、凹凸があっても良く、さらに多孔質であってもよい。また、基板表面は、絶縁膜10で被覆されていることが好ましい。
上記基板2には、複数の電極領域12が形成される。
電極領域12の形状は特に特定されないが、図4(B)に示すように、市販の24、48、96、384、1536穴のマイクロタイタープレートのフォーマットに対応できるように36mm(3×2)、18mm(6×4)、9mm(12×8)、4.5mm(24×16)、2.25(48×32)mmのピッチで形成されていることが望ましい。電極領域12は、基板2に直接パターニングしても良いし、予め別な基板に電極領域を作製しておき、それを使用する基板に貼り付けて用いることもできる。電極領域12は、作用電極に核酸プローブが固定化されたプローブ固定化電極8と、該プローブ固定化電極8からの信号を信号用配線11を介して外部に取り出すための信号取出用電極9から構成されている。また、プローブ固定化電極8は、従来のモノと同様の、作用電極に核酸プローブが固定化された電極である。
核酸プローブが固定化されたプローブ固定化電極8および信号取出用電極9の形状は特に限定されないが、市販の24、48、96、384、1152穴のマイクロタイタープレートに対応できるように36mm(3×2)、18mm(6×4)、9mm(12×8)、4.5mm(24×16)、2.25(48×32)mmのピッチで形成されていることが望ましい。信号取出用電極9は、プローブ固定化電極8の近傍に位置していることが望ましいが、同一基板上に形成されていれば、たとえば基板の縁であっても問題なく使用できる。プローブ固定化電極8および信号取出用電極9は、たとえば、図4(A)に示すように、プローブ固定化電極8および信号取出用電極9を、それぞれ4×4=16個形成することができる。また、図4(A)のように、プローブ固定化電極8および信号取出用電極9を並列して形成するだけでなく、図7に示すように、プローブ固定化電極8の周りを取り囲むように信号取出用電極9を配置してもよい。
また、電極領域12には、複数のプローブ固定化電極8が作成されているため、プローブ固定化電極8毎に異なった塩基配列の核酸プローブを固定化することにより、一度に複数種類の標的に対して検査を行うことができる。プローブ固定化電極8および信号取出用電極9は、同数であっても良いし、信号取出用電極9が少なくてもよい。同数の場合は、プローブ固定化電極8および信号取出用電極9が、信号用配線11を通じて直接1対1に接続していることが望ましい(たとえば、図4を参照されたい)。また、信号取出用電極9が少ない場合は、複数の作用電極を切り替えられるように、スイッチング素子を導入する(たとえば、図12を参照されたい)。スイッチング方式は、液晶の表示に用いられているマトリックス方式を用いることも可能であり、さらにはMOSFETを用いたアクティブマトリックス方式であってもよい。また、MOSイメージセンサー型の走査回路も用いることができる。プローブ固定化電極8および信号取出用電極9は近接していることが望ましいが、特に制限されない。
また、電極領域12毎に、参照電極および/または対極を設置し、3電極系を構成すると検出の精度向上が可能になる(たとえば、図8を参照されたい)。
ここで、各電極の材料は、特に限定されず、当業者に既知のいずれの材料を使用することもできる。たとえば、金の合金、銀、プラチナ、水銀、ニッケル、パラジウム、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム、タングステン等の金属単体およびそれらの合金、またはグラファイト、グラシーカーボンなどの炭素等、またはこれらの酸化物もしくは化合物を使用することができる。特に、プローブ核酸固定化電極8の材料には、金を用いることが望ましい。
これらの電極は、メッキ、印刷、スパッタ、蒸着などでも作製することができる。蒸着を行う場合は、抵抗加熱法、高周波加熱法、電子ビーム加熱法により電極膜を形成することができる。また、スパッタリングを行う場合は、直流2極スパッタリング、バイアススパッタリング、非対称交流スパッタリング、ゲッタスパッタリング、高周波スパッタリングで電極膜を形成することができる。ここで、電極に金を使用する場合は、金の結晶構造の(111)面の配向指数が重要である。配向指数は、Willsonの方法により以下の式から求められる。
配向指数(hkl)=IF(hkl)/IFR(hkl)
hkl;面指数
IF(hkl);(hkl)面の相対強度
IFR(hkl);ASTMカードに記載されている標準金としてのIF(hkl)
ここで、核酸鎖検出用電極の場合は配向指数が1以上であることが望ましい。さらに配向指数が2以上であることが望ましい。配向性を高めるために、蒸着あるいはスパッタリング時に基板を加熱することも有効である。加熱温度は特に限定される物ではないが、50℃〜500℃の範囲であることが望ましい。配向性を制御することにより、プローブ固定化量を均一に制御することが可能になる。また、ガラスなどの基板に金等の上記電極材料を蒸着またはスパッタリングする場合には、基板と金との間にチタン、クロム、銅、ニッケル、もしくはこれらの合金を接着層として単独で、または組み合わせて介在させることによって安定な電極層を形成することができる。
基板2に電極領域12をパターニングする際には、検出精度を高めるために、それぞれの電極面積を均一にする必要がある。電極面積を一定に制御するための手段としては、フォトリソグラフィー技術を使用することができる。フォトリソグラフィーで電極露出部のパターニングを行い、面積を一定に制御する。本発明で用いられる絶縁材料は特に限定されないが、フォトポリマー、フォトレジスト材料であることが好ましい。レジスト材料としては、光露光用フォトレジスト、遠紫外用フォトレジスト、X線用フォトレジスト、電子線用フォトレジストが用いられる。光露光用フォトレジストには、主原料が環化ゴム、ポリけい皮酸、ノボラック樹脂があげられる。遠紫外用フォトレジストには、環化ゴム、フェノール樹脂、ポリメチルイソプロペニルケトン(PMIPK),ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が用いられる。また、X線用レジストには、COP、メタルアクリレートほか、薄膜ハンドブック(オーム社)に記載の物質を用いることができる、さらに電子線用レジストには、PMMA等上記文献に記載の物質を用いることができる。ここで用いるレジストは、100Å以上1mm以下であることが望ましい。フォトレジストで電極を被覆し、リソグラフィーを行うことで、面積を一定にすることが可能になる。これにより、DNAプローブの固定化量がそれぞれの電極間で均一になり、再現性に優れた測定を可能にする。従来、レジスト材料は、最終的には除去するのが一般的であるが、プローブ固定化電極8のための電極としては、レジスト材料を除去することなく電極の一部として用いることもできる。この場合は、用いるレジスト材料に耐水性の高い物質を使用する必要がある。電極上部に形成する絶縁層にはフォトレジスト材料以外でも用いることができる。たとえば、Si、Ti、Al、Zn、Pb、Cd、W、Mo、Cr、Ta、Ni等の酸化物、窒化物、炭化物、その他合金を用いることもできる。これらの材料をスパッタ、蒸着あるいはCVD等を用いて薄膜を形成した後、フォトリソグラフィーで電極露出部のパターニングを行い、面積を一定に制御する。
リソグラフィーを使うと精度の高い電極を作製できるが、若干製造コストがかかる場合がある。低コストに電極を作製するにはプリント基板を用いることもできる。この場合、基板材料としてポリイミドやガラスエポキシ樹脂などを用いることも可能になる。プリント基板上に形成する電極は、上記した電極材料から選択することができる。
また、プローブ固定化電極8に固定されるプローブの材料は特に限定されないが、DNA、RNA、PNA、メチルホスホネート骨格の核酸、その他核酸類似体を用いることができる。また、これらのキメラ核酸であってもよい。使用するプローブの長さは特に限定されないが、8〜200塩基、好ましくは10〜100塩基、さらに好ましくは15〜50塩基である。
プローブ固定化電極8を作製するために、作用電極にプローブを固定化する方法は、特に限定されないが、当業者に既知の方法を使用して固定することができる。たとえば、プローブに導入したチオール基と金との結合を利用すると簡単に行うことができる。その他、物理吸着、化学吸着、疎水結合、抱埋、および共有結合などによって固定化することができる。たとえば、プローブの末端に導入したアミノ基を介して、カルボジイミドなどの縮合剤を用いて基板上に共有結合することもできる。また、基板上にアニオン性の有機物を被覆しておくことで、イオン結合で固定化することもできる。さらに、プローブの末端にビオチンを導入しておくと、ビオチン-アビジン結合で固定化ができる。また、プローブの末端にチオール基を導入しておき、基板上に被覆したチオール含有物質との間でS−Sを形成させ、強固に固定化することもできる。これらの場合、あらかじめ電極表面を官能基を有する分子で修飾しておくことで、固定化を容易にすることができる。プローブと末端の修飾基の間には基板表面とプローブとの立体障害を抑制するためにスペーサーを導入することが望ましい。スペーサー分子は特に限定されないが、アルカン骨格、アルキン骨格、アルケン骨格、エチレングリコール骨格、さらには核酸鎖であってもよい。また、分子構造は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。スペーサー部分の長さは特に限定されないが、好ましくは、炭素-炭素結合に換算して10〜500、好ましくは20〜200、さらに好ましくは50〜100である。さらに、電極表面への核酸および挿入剤等の非特異的な吸着を抑制するために、電極表面をメルカプトエタノール、メルカプトヘキサノール、メルカプトヘプタノール、メルカプトエチレングリコール、メルカプトオリゴエチレングリコール、メルカプトポリエチレングリコール、炭素鎖が30〜50のアルカンチオール等のメルカプタンや、ステアリルアミンなどの脂質、界面活性剤、アルブミン、核酸等で被覆することが望ましい。
電極上への核酸プローブの固定化の際には、DNAスポッターやDNAアレイヤ−と呼ばれる固定化装置を用いると比較的容易にプローブの固定化を行うことができる。この際、電極の表面を傷つけないために、インクジェット方式や静電方式のスポッターを用いることが望ましい。また、電極表面で直接核酸鎖の合成を行うこともできる。
また、プローブを電極に固定化してプローブ固定化電極8を形成する工程は、基板2と枠13を密着させる前に行うことが望ましいが、密着後であっても固定化できる。さらに、本発明の核酸検出基板は、必ずしもプローブ固定化電極8にプローブが固定化された状態で提供される必要はなく、プローブが固定化されていない基板として提供されてもよい。この場合、核酸検出基板を使用する際に、所望のプローブを上記のように基板に固定化して使用する。
本発明の核酸検出基板は、基板2に複数形成された電極領域12(プローブ固定化電極8および信号取出用電極9)に加えて、プローブ固定化電極8および/または信号取出用電極9を包囲して容器形状に形成された枠13を備える。プローブ固定化電極8によって遺伝子検出反応を行うためには、試料溶液を該電極と反応させることが必要であるが、その際に、試料溶液が該電極上に保持されるように、枠13によってウェル/容器を形成する。すなわち、本発明の核酸検出基板は、枠13によって、プローブ固定化電極8および/または信号取出用電極9毎に、反応用ウェル15および/または信号取出用ウェル16が形成される。(たとえば、図5、6、および7を参照されたい)。
枠13の材質は特に限定されないが、たとえば、ガラス、石英ガラス、シリコン、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素、等の無機絶縁材料を使用できる。また、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、テフロン(登録商標)樹脂、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を用いることができる。
また、枠13によって形成されるウェル/容器の形状も特に限定されないが、市販の24、48、96、354、1536穴のマイクロタイタープレートのフォーマットに対応できるように36mm(3×2)、18mm(6×4)、9mm(12×8)、4.5mm(24×16)、2.25(48×32)mmのピッチで形成されていることが望ましい。したがって、本発明の核酸検出基板は、マイクロタイタープレートのフォーマットに電極領域12が形成された基板2に、マイクロタイタープレートのフォーマットに枠3が形成された、電極一体型のマイクロタイタープレートとして提供することもできる。
また、各ウェル/容器の形状も特に限定されるものではなく、円形あるいは多角形であっても良い。また、ウェル/容器の底が無い状態で枠13を作製し、電極領域12をパターニングした基盤2を作製した後に密着させて使用することにより、本発明の核酸検出基板の作成が容易になるであろう。この際、枠13によって形成されたウェル/容器と電極領域12のピッチは、同じであることが望ましい。枠13と基板2を密着させるには、接着、圧着等、液漏れを防ぐような強固な密着方法が望ましいが、シリコンのパッキンなどを利用して密着することもできる。
また、本発明の核酸検出基板は、電極領域12が形成された基板2と枠13が、必ずしも一体として提供される必要はなく、両者が分離した状態で提供されてもよい。この場合、核酸検出基板を使用する際に、上記のように基板2と枠13を密着させて使用する。
枠13によって形成されるウェル/容器には、ハイブリダイゼーション液、洗浄液、電気化学測定溶液などを分注して検出反応を行うが、反応中に液体が信号取出用電極9に触れると正確な信号測定ができなくなってしまう。そこで、電流測定の直前まで信号取出用電極9のウェルにカバーをかけておくことが望ましい。カバーの形状は特に限定されないが、プローブ固定化電極8を備えた反応ウェル部分を開放したままとし、信号取出用電極9を備えた信号取出用ウェル部分を閉鎖した形状の蓋であっても良く、信号測定の直前に蓋をはずして検出を行う。また、信号取出用ウェルに薄い膜を張っておき、信号測定の際にまずプローバーで膜を破った後に、信号取出用電極9から信号を検出することもできる。
本発明の核酸鎖検出装置を使用することにより、電気化学的に特定の塩基配列を有する核酸鎖の有無を検出することができる。電気化学的な信号は、酸化還元電流変化、酸化還元電位変化、電気容量変化、抵抗変化、電気化学発光変化を指標にすることができる。これらの信号変化は、挿入剤等の二本鎖核酸鎖に特異的に結合する物質の併用により、銀イオンなどの金属イオンにより、金コロイドなどの金属粒子の添加により、効果が促進される。また、抗原抗体反応またはアルカリホスファターゼもしくはパーオキシダーゼなどの酵素標識を組み合わせることによっても効果を促進することができる。たとえば、プローブにRNA分子を用いたり、ターゲットがRNA分子であるとRNA/DNA認識抗体を用いることが可能になる。また、ターゲットをハプテン標識しておき、抗ハプテン抗体で認識させることもできる。最終的には、酵素標識二次抗体を反応させて検出を行う。基質には、パラアミノフェニルフォスフェートなどの酵素の触媒反応後に電気化学的に活性になる物質が好ましい。また、フェリシアンイオンなどのメディエーターなどと組み合わせることにより、さらに効率を向上させることもできる。ここで用いられる二本鎖核酸特異結合物質は特に限定されないが、メタロインターカレーターと呼ばれるルテニウム、コバルト、および鉄などの金属錯体、ヘキスト33258、ヘキスト33342、アクリジンオレンジ、エチジウムブロマイド、ビスインターカレーター、およびトリスインターカレーター等の有機化合物、並びに抗体または酵素などの生体高分子を用いることもできる。また、フェロセンなどの金属錯体等で標識した第二核酸プローブを用いたサンドイッチハイブリダイゼーションによっても検出することができる。
以下に、この核酸鎖検出用電極を用いた核酸鎖検出のための一連の操作ならびに反応条件を記す。まず、上記の様にして作製した基板上の電極に、所望のプローブを固定化してプローブ固定化電極8を形成する。ここでは、金電極へDNAを固定化する方法を述べる。電極を脱イオン水で洗浄後、活性化処理を行う。活性化には、0.1〜10mmol/Lの硫酸溶液を用いることができる。この溶液中で、-0.5〜2V (vs Ag/AgCl)の範囲かつ1v/s〜100000v/sの範囲で電位を走査させる。これにより、電極表面は、プローブを固定化できる状態にまで活性化される。また、エッチングガスを使って活性化処理を行うこともできる。この場合、エッチングガスとして、たとえばオゾン、CF3、および酸素などのラジカルを使用することができる。固定化に用いるプローブには、5'または3'末端にチオール基を導入しておく。チオール化プローブは、固定化直前までDTTなどの還元剤を含む溶液に溶解しておき、使用直前にゲル濾過あるいは酢酸エチルによる抽出操作等でDTTを除去する。固定化は至って簡単であり、イオン強度0.01〜5の範囲でpH5〜10の範囲内の緩衝液中にプローブDNAを1ng/ml〜1mg/mLの範囲になるように溶解し、活性化した直後の電極を浸漬する。固定化反応は、4〜100℃の範囲で10分から1晩程度行う。
プローブ固定化後は、核酸分解酵素(ヌクレアーゼ)が存在しない条件で保存し、できれば遮光して行うことが望ましい。しかし、短期的な場合はウェット状態で保存することもできる。保存液の組成は、ハイブリダイゼーション反応を行う液の組成、Tris-EDTA緩衝液あるいは脱イオン水であることが望ましい。さらに、保存温度は、4℃以下、好ましくは−20℃であることが望ましい。また、核酸プローブ固定化後の電極を長期に保存する場合は、ドライ状態で保存することが望ましい。ドライにする方法は特に限定されないが、凍結乾燥または風乾などによって行うことができる。気相は特に限定されないが、アルゴン等の不活性ガス、窒素、乾燥空気、または真空状態であることが望ましい。電極には、それぞれに印やバーコードを付けておくと検査の操作性を上げることができる。
本発明の核酸検出基板によって検出する核酸鎖は、特に限定されない。たとえば、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、G型)、HIV、インフルエンザウイルス(A、B、C、D、E、F)、ヘルペス群ウイルス、アデノウイルス、ヒトポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパルボウイルス、ムンプスウイル素、ヒトロタウイルス、エンテロウイルス、日本脳炎ウイルス、天然痘ウイルス、コロナウイルス、SARS、デングウイルス、風疹ウイルス、HTLV、等のウイルス感染症、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ヘリコバクターピロリ菌、カンピロバクター、コレラ菌、赤痢菌、サルモネラ菌、炭疽菌、エルシニア、淋菌、リステリア菌、レプトスピラ、レジオネラ菌、スピロヘータ、肺炎マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、マラリア、赤痢アメーバ、病原真菌、等の細菌感染症、寄生虫、真菌、の検出に用いることができる。
さらに、上記感染症起因微生物の型判定(ジェノタイピング)に用いることもできる。たとえば、C型肝炎ウイルスの1a、1b、2a、2b、3a、3b、およびヒトパピローマウイルスの癌化に関連している16、18、31、33、35、39、45、51、52、53、54、56、58、59、66、68、69、および癌化に関連していない6、11、34、40、42、43、44、70などである。さらに、薬剤耐性遺伝子を検出することもでき、たとえば、結核菌、エイズウイルス、および呼吸器感染症起因菌の薬剤耐性遺伝子等が上げられる。また、遺伝性疾患、網膜芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、家族性大腸ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、神経腺維腫症、家族性乳ガン、色素性乾皮症、脳腫瘍、口腔癌、食道癌、胃ガン、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺ガン、甲状腺腫瘍、乳腺腫瘍、泌尿器腫瘍、男性器腫瘍、女性器腫瘍、皮膚腫瘍、骨・軟部腫瘍、白血病、リンパ腫、および固形腫瘍等の腫瘍性疾患を検査することができる。また、医療以外にも、食品検査、検疫、医薬品検査、法医学、農業、畜産、漁業、林業などで遺伝子検査が必要なものに全て適応できる。さらに、制限酵素断片多系(RFLP)や1塩基多系(SNPs)、マイクロサテライト配列等の検出もできる。また、未知の塩基配列解析に用いることもできる。
したがって、プローブ固定化電極と反応させる試料は特に限定されず、たとえば、血液、血清、白血球、尿、便、精液、唾液、組織、培養細胞、喀痰、食品、土壌、排水、廃水、空気等を用いることができる。
これら試料に含まれる核酸を検出するためには、まず該試料から核酸成分の抽出を行う。抽出方法は特に限定されないが、たとえばフェノール−クロロホルム法等の液−液抽出法や担体を用いる固液抽出法を用いることができる。また、QIAamp(QIAGEN社製)、スマイテスト(住友金属社製)などの市販の核酸抽出方法を利用することもできる。これらの試料をマイクロタイタープレートなどに分注して、遺伝子検出に供される。遺伝子の抽出の際、疎水性膜を保持したマイクロタイタープレートなどを用いると、より簡便に検出操作に移行することができる。抽出した核酸は、適切な溶液に溶解しておくことが好ましい。
次に、試料から抽出した核酸とプローブ固定化電極に固定されたプローブとでハイブリダイゼーション反応を行う。反応溶液として、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液中で行う。反応溶液中には、ハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストラン、サケ精子DNA、牛胸腺DNA、EDTA、および界面活性剤などを添加することができる。次に、抽出した核酸を反応溶液に添加し、90℃以上で熱変性させる。核酸を含む反応溶液とプローブ固定化電極の接触は、変性直後または0℃に急冷後に行うこともできる。反応中は、撹拌または振とうなどの操作によって反応速度を高めることもできる。反応温度は、10℃〜90℃の範囲で、また反応時間は、1分以上1晩程度で行えばよい。ハイブリダイゼーション反応は、電気化学的に制御が可能であり、電極にプラス電位を印加することで従来数時間から数日必要であったものが数分に短縮できる。この際、電位は、定速で掃引するか、またはパルスで印加するか、または定電位を印加することもできる。電位は、電極領域に形成された信号取出用電極とプローブ固定化電極の間に印加する。電位の印加は、ポテンショスタット、デジタルマルチメーター、ファンクションジェネレーター等の装置を用いて電流、電圧を制御する。ハイブリダイゼーション反応後、プローブ固定化電極の洗浄を行う。洗浄には、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。
洗浄後、ハイブリダイゼーションの有無を電気化学的に検出する。電気化学的に二本鎖核酸を検出するためには、まず、形成された二本鎖核酸に二本鎖核酸認識物質を作用させる。たとえば、形成された二本鎖部分に選択的に結合する挿入剤を作用させる。ここで、二本鎖核酸認識物質として使用する挿入剤は特に限定されないが、たとえば、上述したヘキスト33258、アクリジンオレンジ、キナクリン、ドウノマイシン、メタロインターカレーター、ビスアクリジン等のビスインターカレーター、トリスインターカレーター、またはポリインターカレーター等を用いることができる。挿入剤の濃度は、その種類によって異なるが、一般的には1ng/ml〜1mg/mlの範囲で使用する。この際、イオン強度0.001〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。具体的には、上記核酸検出基板に形成された反応用ウェルに挿入剤を添加して、二本鎖核酸と反応させた後、該ウェルを洗浄し、電気化学的な測定を行う。測定では、挿入剤が電気化学的に反応する電位以上の電位を印加し、挿入剤に由来する反応電流値を測定する。この際、電位は、定速で掃引するか、またはパルスで印加するか、または定電位を印加することができる。電位は、信号取出用電極とプローブ固定化電極の間に印加する。電位の印加は、ポテンショスタット、デジタルマルチメーター、ファンクションジェネレーター等の装置を用いて電流、電圧を制御する。ハイブリダイゼーション反応後、挿入剤から得られた電流値を基に、検量線から標的遺伝子の濃度を算出する。このような、接続用端子からの電気信号を外部に取り出すためには、従来と同様にプローバーを使用して行うことができる。また、図10または11に示したように、複数のプローバーの配置を、上記核酸検出基板に形成された接続用端子と同じ配置にすることにより、複数の接続用端子からの電気信号を同時に取り出すことができる。
上記核酸検出基板によれば、該基板に形成された反応用ウェル毎に異なる検体に由来する試料を使用して、同時に複数の試料における核酸鎖の存在を検出することができる。
また、上述のように、本発明の核酸検出基板を使用して核酸の有無を検出するために核酸鎖検出装置を使用して、自動化して検出することができる。たとえば、図13に示したような、ステージ36に、チップラック29、試薬ラック30、廃液ラック31、核酸抽出ユニット32、核酸増幅ユニット33、および核酸検出ユニット35が設置された装置であって、試薬の分注を行うための可動式の分注器24と電流測定を行うための可動式プローバーセット22がレール28に取り付けられており、また、核酸抽出の際に使用する真空ポンプ25、分注の際に使用するシリンジポンプ26、電気系統の制御・計測のために電気制御ユニット27が本装置に付属しており、核酸増幅ユニット34および検出ユニット35には、温度を可変できるサーマルサイクラー33の機構が組み込まれた装置である。核酸抽出は、磁気微粒子を用いて行うことも可能で、その際には、磁石による磁気分離ユニットを組み込むことになる。
たとえば、図13に示した装置は、分注器24はアームを有し、チップラック29、試薬ラック30、廃液ラック31、核酸抽出ユニット32、核酸増幅ユニット33、および核酸検出ユニット35のそれぞれに、レール28を介して移動可能であり、また、プローバーセット22は、検出ユニット35に配置された核酸検出基板の信号読出電極9に接触して電流測定を行うことができる。また、核酸抽出ユニット32、核酸増幅ユニット33、および核酸検出ユニット35においては、それぞれ試料からの核酸抽出工程、抽出した核酸の増幅工程、および本発明の核酸検出基板を使用した核酸検出工程が可能なユニットであり、これらのユニットは一体となっていてもよい。また、それぞれの工程において、必要なチップおよび試薬をチップラック29および試薬ラック30から利用し、廃液は、廃液ラック31に廃棄される。また、それぞれの操作において、溶液を吸引・吐出するために、真空ポンプ25およびシリンジポンプ26を使用する。さらに、電気制御ユニット27により、電気系統を制御して、信号読出電極からの電気信号を読み取り、電流値に基づいて核酸の濃度を算出する。
上記核酸検出装置による核酸検出工程の全体のフローを図14に示した。図15には、核酸抽出ユニット32で行われる抽出工程の動作を示した。図16には、核酸増幅ユニット33で行われる増幅工程の動作を示した。図17には、検出のための試料を調製の動作を示した。図18には、核酸検出ユニット35で行われる検出工程の動作を示した。
上記ような配置を有する核酸検出装置のそれぞれのユニットの構成および用途は、当業者であれば容易に理解することができるであろう。また、当業者であれば、このような構成の装置を容易に作成することができるであろう。
電極パターニング基板
図4は、電極をパターニングした基板の一例を示した図である。図4Bは、ガラス基板2(d=0.8mm)上にチタン(500Å)および金(2000Å)の薄膜をスパッタで積層し、プローブ固定化電極部分8(0.5mm)と信号取出用電極9をレジストで絶縁した構造になっている。プローブ固定化電極8と信号取出用電極9からなる電極領域12が6×8で48個形成されている。図4Aは、電極領域12を拡大した図であり、プローブ固定化電極8は、4×4で16個形成されている。信号取出用電極9は、各プローブ固定化電極8から信号用配線11で直接結合されており、信号取出用電極9の数も4×4で16個形成されている。チオール化核酸プローブは、絶縁膜10の開口部分にチオール/金の結合で固定化した。この基板では16種類の異なる配列のプローブを固定化できる。このような基板を使用することにより、電気化学的な手段により、複数の試料について、複数の核酸の有無を同時に検出することができる。
核酸プローブ固定化電極8のホルダーと電極一体型マイクロタイタープレート
図5および図6は、核酸プローブ固定化電極のホルダーと電極一体型マイクロタイタープレートの一例を示した図である。図4で示した方法で作成した基板2にポリプロピレンで成型したプラスチック枠13をエポキシ樹脂接着剤で貼り付け、電極一体型マイクロタイタープレートを作成した(図5(A))。プラスチック枠13は、12×8で96個の反応セルに分割されており、48箇所のプローブ固定化電極と48箇所の端子部分が開口するように設計されている(図6)。図5(B)は、プラスチック枠13の接着後の断面図である。反応用ウェル15および信号読出用ウェル16が、それぞれ形成されている。プローブ固定化電極領域と信号取出用電極領域が分離された構造となっている。反応用ウェル16に試料を添加して、プローブ固定化電極8と、試料に含まれる核酸とをハイブリダイズさせて、ハイブリダイズした核酸を検出することができる。このような基板を使用することにより、電気化学的な手段により、従来のマイクロタイタープレートにおけるものと同様の操作で、複数の試料について、複数の核酸の有無を同時に検出することができる。
電極パターニング基板
図7は、電極領域12をパターニングした基板の別の一例を示した図である。図7(B)は、ガラス基板2(d=0.8mm)上にチタン(500Å)および金(2000Å)の薄膜をスパッタで積層し、プローブ固定化電極部分8(0.5mm)と信号取出用電極9をレジストで絶縁した構造になっている。プローブ固定化電極8と信号取出用電極9からなる電極領域が4×5で20個形成されている(図8)。図7(A)は、電極領域を拡大した図である。プローブ固定化電極8は、8×8=64個形成されている。各電極領域には、対極18を4個および参照極19を3個もパターニングしてある。信号取出用電極9は、各プローブ固定化電極8から信号用配線11で直接結合されており、信号取出用電極9の数は80個形成されている。チオール化核酸プローブは、絶縁膜10の開口部分にチオール/金の結合で固定化した。この基板では、1つの反応用ウェル15に64種類の異なる配列のプローブを固定化できる。
電極一体型マイクロタイタープレート
図9は、電極一体型マイクロタイタープレートを使った遺伝子検出反応の一例を示した図である。マイクロタイタープレートの底面には、電極をパターニングした基板2が貼り付けられている。反応用ウェル15内ではプローブ固定化電極8と反応溶液20が直接接触しており、反応溶液20は反応用ウェル15内に保持されている。また、信号取出用ウェル16では、信号取出用電極9が露出しており、外部からプローバー22を介して電気化学的な信号を検出して、検出器に転送する。
プローバー
図10は、信号取出用電極9からの電気信号を外部に取り出すためのプローバーの模式図の一例を示した図である。プローバー22の内部にはスプリングが内蔵されており、信号取出用電極9とプローバー22の接触を確実に行うことができる。図10Aは、図4〜6に記載の例に使用するためのプローバーであり、4×4=16本が1ユニットになっている。図10Bは、このプローバーを上部から眺めた図であり、プローバーの端からは、個別に電気配線が導き出され、信号検出用の電気化学測定器に接続されている。このようなプローバーセットを使用することにより、本発明の核酸検出基板の複数の信号取出用ウェルから同時に信号を読出すことができる。
プローバー
図11は、信号取出用電極9からの電気信号を外部に取り出すためのプローバーの模式図を¥の一例を示した図である。図11Aは、図7に記載の実施例で用いるプローバーであり、80本が1ユニットを形成している。図11Bは、このプローバーを上部から眺めた図で、プローバーの端からは、個別に電気配線が導き出され、信号検出用の電気化学測定器に接続されている。
プローバー
図12は、電極領域12をパターニングした基板の一例を示した図である。図12Bは、シリコン基板2(d=0.2mm)上にCMOS型のトランジスター回路、金の薄膜からなるプローブ固定化電極8と信号取出用電極9を形成し、レジストで絶縁した構造になっている。プローブ固定化電極8と信号取出用電極9を備えた電極領域12は、6×8=48個形成されている。図12Aは、電極領域12を拡大した図であり、プローブ固定化領域8は、4×4=16個形成されている。各プローブ固定化電極8は、スイッチング素子に接続されており、アクティブマトリックス制御でコントロールすることができる機構となっている。
検出システム
図13は、本発明の核酸検出基板を使用した、核酸検出装置の一例を示した図である。図13は、該装置を上から見たものであるが、ステージ36には、チップラック29、試薬ラック30、廃液ラック31、核酸抽出ユニット32、核酸増幅ユニット33、核酸検出ユニット35が設置されている。また、試薬の分注を行う可動式の分注機24と電流測定を行うための可動式プローバーセット22がレール28に取り付けられている。また、核酸抽出の際に使用する真空ポンプ25、分注の際に使用するシリンジポンプ26、電気系統の制御・計測ユニット27が本装置に付属している。核酸増幅ユニット34および検出ユニット35には、温度を可変できるサーマルサイクラー33の機構が組み込まれている。核酸抽出は、磁気微粒子を用いて行うことも可能で、その際は、磁石による磁気分離ユニットを組み込むことになる。
図14に全体のフローを示した。図15には、抽出工程の動作を、図16には、増幅工程の動作を、図17には、検出のためのサンプル調製の動作を、図18には、検出工程の動作を示す。
従来技術のプローブ固定化チップを示した図。 従来技術のプローブ固定化マイクロタイタープレートを示した図。 従来技術の核酸検出基板による核酸検出を示した図。 本発明の核酸検出基板の1つの態様において、電極領域のパターニングの一例を示した図。 本発明の核酸検出基板の1つの態様において、プラスチック枠-電極一体型マイクロタイタープレートの一例を示した図。 本発明の核酸検出基板の1つの態様において、電極一体型マイクロタイタープレートの一例を示した図。 本発明の核酸検出基板の1つの態様において、電極領域をパターニングした基板の一例を示した図。 本発明の核酸検出基板の1つの態様において、電極領域をパターニングした基板の一例を示した図。 本発明の核酸検出基板の1つの態様において、電極一体型マイクロタイタープレートを用いた検出の一例を示した図。 本発明の核酸検出基板から電流を読み取るためのプロ-バーの一例を示した図。 本発明の核酸検出基板から電流を読み取るためのプロ-バーの一例を示した図。 本発明の核酸検出基板の1つの態様において、電極領域をパターニングした基板の一例を示した図 本発明の核酸検出基板を使用して核酸を検出するための装置の一例を示した図。 全体のフロー図。 抽出工程のフロー図。 増幅工程のフロー図。 サンプル調製のフロー図。 検出工程のフロー図。
符号の説明
1・・・プローブ、2・・・基板、4・・・蛍光標識、5・・・マイクロタイタープレート、6・・・電極、7・・・電極一体型容器、8・・・プローブ固定化電極、9・・・信号取出用電極、10・・・絶縁膜、11・・・信号用配線、12・・・電極領域、13・・・枠、14・・・Auパターン付きガラスチップ、15・・・反応用ウェル、16・・・信号取出用ウェル、17・・・信号取出用電極、18・・・対極、19・・・参照電極、20・・・試料溶液(サンプル、洗浄液、挿入剤溶液)、21・・・ノズル、22・・・プローバ、23・・・スイッチング回路、24・・・分注機、25・・・真空ポンプ、26・・・シリンジポンプ、27・・・電気制御ユニット、28・・・レール、29・・・チップラック、30・・・試薬ラック、31・・・廃液ラック、32・・・抽出ユニット、33・・・サーマルサイクラー、34・・・増幅ユニット、35・・・検出ユニット

Claims (7)

  1. 核酸鎖検出基板であって、
    基板と、
    前記基板上に複数形成された複数の電極領域と、
    前記電極領域に形成された枠によって包囲され容器形状に形成された反応ウェルおよび枠によって包囲され容器形状に形成された信号取出用ウェルと
    前記反応ウェルにそれぞれ複数形成されたプローブ固定化電極、対極および参照電極と、
    前記プローブ固定化電極に固定化されたプローブと、
    前記信号取出ウェルに複数形成された信号取出用電極と
    を具備し、
    前記プローブ固定化電極および前記信号取出用電極は、信号用配線によって接続されており、かつ前記電極領域を有する基板と前記反応ウェルおよび信号取出用ウェルは、密着されていることを特徴とする核酸鎖検出基板。
  2. 請求項に記載の核酸検出基板であって、マイクロタイタープレート形状であることを特徴とする核酸鎖検出基板。
  3. 試料中に存在する特定の塩基配列を有する核酸鎖の検出方法であって、
    請求項1または2の何れか1項に記載の核酸検出基板を使用して、該核酸検出基板のプローブ固定化電極に固定化されたプローブと、前記試料中に存在する核酸鎖とのハイブリダイゼーション反応を行う工程と、
    前記プローブと前記核酸鎖とのハイブリダイゼーションの有無を電気化学的に検出する工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  4. 請求項に記載の検出方法であって、
    前記電気化学的な検出を行うために、二本鎖DNA認識物質を作用させる工程をさらに含むことを特徴とする検出方法。
  5. 請求項に記載の検出方法であって、
    前記二本鎖DNA認識物質は、挿入剤であることを特徴とする検出法。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法を実施するための核酸検出装置であって、
    前記核酸検出システムは、少なくとも核酸抽出ユニット、核酸増幅ユニット、および請求項1または2のいずれか1項に記載の核酸検出基板を使用して核酸を検出するための核酸検出ユニットを備えることを特徴とする装置。
  7. 請求項に記載の核酸検出装置であって、前記核酸検出装置は、チップラック、試薬ラック、廃液ラック、試薬の分注を行うことが可能な可動式の分注器、および電流測定を行うことが可能な可動式プローバーセットを備え、
    前記核酸増幅ユニットおよび前記検出ユニットは、サーマルサイクラーを備え、並びに
    前記核酸検出装置は、真空ポンプ、シリンジポンプ、および電気制御ユニットをさらに備えていることを特徴とする核酸検出装置。
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