JP3677237B2 - 核酸検出方法及び装置並びに核酸検出用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検物質中における特定配列を有する核酸の存在を検出するための核酸検出方法及び装置並びに核酸検出用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、核酸固定化アレイ(DNAアレイ)による遺伝子検出技術が注目を集めている(Beattie et al. 1993, Fodor et al. 1991, Khrapko et al. 1989, Southern et al. 1994)。
DNAアレイは、例えば図20に示されるように、101〜105種類の配列が異なる核酸プローブを固定化した、数cm角の硝子やシリコンのDNAアレイ161からなる。このDNAアレイ上であらかじめ蛍光色素や放射線同位元素(RI)等で標識した被検遺伝子を反応させるか、あるいは未標識の被検遺伝子と標識オリゴヌクレオチドの混合物をサンドイッチハイブリダイゼーションで反応させる。被検遺伝子に、DNAアレイ上の核酸プローブとの相補的な配列が存在するとき、アレイ上の特定部位で標識に由来する信号(蛍光強度、RI強度)が得られる。固定化しておいた核酸プローブの配列と位置があらかじめ分っていれば、被検遺伝子中に存在する塩基配列を簡単に調べることができる。
【0003】
このようなDNAアレイは、微量サンプルで塩基配列に関する多くの情報が得られることから、遺伝子検出技術に止まらずシーケンス技術としても大いに期待されている(Pease et al. 1994, Parinov et a1. 1996)。
【0004】
さらに、前記DNAアレイとして、核酸プローブを固定化した電極を設けたものを用い、電気化学的にハイブリダイゼーション反応を制御する方法も報告されている(Heller et al. 1997)。核酸はリン酸骨格にマイナス荷電を有しているので、電極にプラス電圧を印加すると電極上に被検遺伝子が濃縮される。この方法を用いると、従来では数時間を要していたハイブリダイゼーション反応が僅か数分で終了する。
【0005】
しかしながら、上記のDNAアレイを用いた遺伝子検出方法は、DNAアレイ上での核酸プローブと被検遺伝子とのハイブリッド形成を、蛍光強度やRI強度を指標にして検知する方法である。したがって、予め被検遺伝子を蛍光色素やRI等で標識するための煩雑で高価な前処理が必要であった。また、微小領域からの蛍光やRIを検出しなければならないことから、分解能の高い高感度な蛍光検出システムが必要であり、それに伴いシステムも複雑で大型かつ高価になるといった問題点があった。
【0006】
電気化学的な手法に基づくさらに進んだ遺伝子検出技術も報告されている(Hashimoto et al. 1994, Wang et a1. 1998)。この手法は被検遺伝子の標識が不要であり、また検出も電気信号を測定するために蛍光検出のような複雑なシステムが不要になる。この技術では、システムの小型化が期待でき、DNAアレイヘの適用も可能である。
【0007】
しかし、従来から知られているDNAアレイは1種類のサンプル(被検物質)に対する多種類遺伝子の検出には優れているが、多種類のサンプルの処理には必ずしも適しているとは言えないという問題点がある。
【0008】
現在、マイクロタイタープレートとエンザイムイムノアッセイを組み合わせた方法が、感染症などの多種類のサンプルの遺伝子検出で用いられている。図21にその概念図を示す。それぞれ異なるサンプルを別々に注入可能なように複数の容器171を備えたマイクロタイタープレート172を用い、各容器171内にはあらかじめ核酸プローブ173を存在させておく。
【0009】
次に、各容器171に、あらかじめ蛍光色素やRI等で標識した被検遺伝子174を含む、異なるサンプルをそれぞれ注入する。被検遺伝子に核酸プローブと相補的な配列が存在すると、その容器で標識に由来する信号(蛍光強度、RI強度)が得られる。このようにして各サンプルの被検遺伝子が特定配列を有する遺伝子であるか否かを検出する。
【0010】
しかしながらこの方法は、多種類のサンプルに対する検出には優れているが、多種類遺伝子の検出には必ずしも適していないという問題点がある。また、被検遺伝子を蛍光色素やRI等で標識する煩雑で高価な前処理が必要である。更に、微小領域の蛍光を検出する必要があるため、分解能の高い高感度な蛍光検出システムが必要であり、それに伴いシステムも複雑で大型かつ高価になるといった問題点がある。
【0011】
今後必要とされるテイラーメイド医療などでは、多種サンプルもしくは多種類核酸の場合においても容易に、かつ簡易な設備により遺伝子検出を行うことが望まれており、これらに対応可能な手段が望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の遺伝子検出技術では難しかった多サンプルもしくは多種類核酸を扱った多種の遺伝子検出を容易にかつ簡易な設備で高精度に行い、ひいてはテイラーメイド医療などで期待されている遺伝子検査を精度良く、かつ効率的に行うことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の実施形態においては、核酸検出方法として電気化学的な手法を用いる。即ち、核酸プローブが導電体に固定化されてなる核酸固定化電極と、対極とを被検物質(サンプル)に接触させ、被検物質中の核酸に核酸プローブとのハイブリタリゼーション反応に起因する核酸固定化電極と対極間の電気化学的変化を検出することにより、被検物質中の特定核酸の存在を検知するものである。このため被検遺伝子を蛍光色素やRI等で標識する煩雑で高価な前処理や、分解能の高い高感度な蛍光検出システムが不要である。
【0014】
さらに本発明の実施形態は、被検物質を存在させる容器を複数個備え、容器の底面または内側面に対極を設置することにより、各容器毎に異なる被検物質を注入し、核酸固定化電極を各容器に挿入して被検物質と接触させるという単純な操作により各容器毎の電気化学的変化を別々に検出することを可能とするものである。このとき、対極は各容器の内側面または底面にあらかじめ形成されているため、核酸固定化電極と対極との両方を各容器に挿入する場合に比べて操作性や装置構成が簡易である。
【0015】
また本発明の実施形態は、対極を底面または内側面に設けた容器を用いた核酸検出プロセスに関する。かかる核酸検出プロセスは以下の工程を含んでいる。すなわち、第1の容器を準備し、底面又は内側面に対極を備えると共に挿入剤溶液が注入された第2の容器を準備する工程と、被検物質を第1の容器に注入する工程と、導電体部及び該導電体部上に固定化された核酸プローブを有する核酸固定化電極を第1の容器内に挿入する工程と、第1の容器内にてハイブリダイゼーション反応を行わせる工程と、核酸固定化電極を第1の容器から抜出して第2の容器内に挿入する工程と、核酸固定化電極と対極との間に所定の電圧を印加し、挿入剤溶液の電気化学的信号を測定する工程である。
【0016】
あるいは、第1の容器を準備し、底面又は内側面に対極を備えると共に挿入剤溶液が注入された第2の容器を準備する工程と、被検物質を前記第1の容器に注入する工程と、導電体部及び該導電体部上に固定化された核酸プローブを有する核酸固定化電極を第1の容器内に挿入する工程と、第1の容器内にてハイブリダイゼーション反応を行わせる工程と、核酸固定化電極を第1の容器から抜出して洗浄用の容器内に挿入する工程と、洗浄用容器内にて核酸固定化電極を洗浄する工程と、核酸固定化電極を洗浄用容器から抜出して第2の容器内に挿入する工程と、核酸固定化電極と対極との間に所定の電圧を印加し、挿入剤溶液の電気化学的信号を測定する工程を具備するようにしてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係る核酸検出装置の構成を図1の概略図を参照しながら説明する。図1に示すように、核酸検出装置は、核酸固定化電極2と、容器1と、容器1の底面あるいは内側面に設置される対極3と、核酸固定化電極2と対極3との間に電圧を印加する電気回路4とを備える。この電気回路4は、電圧の印加を制御するための制御回路、及び外部電源に接続される電源回路を含む。
【0018】
複数の被検物質を測定するために、容器1は複数用意されていることが好ましく、それらが一体化されていると取り扱いが容易になりさらに好ましい。
【0019】
核酸固定化電極2は、基板に導電体が形成されてなるものであってもよいし、導電体のみからなるものでも良い。強度や製造コストなどを考慮すると、基板に導電体が形成されてなるものが望ましい。導電体の露出部分2’には核酸プローブ5が固定化される。各々の容器1には被検物質或いは挿入剤が注入される。
【0020】
核酸固定化電極2は容器1に挿入可能であり、核酸プローブ5と容器1内に注入される被検物質とが接触可能となる。
【0021】
被検物質中の核酸と核酸プローブ5とのハイブリタリゼーション反応が生じた場合、その反応に起因して核酸固定化電極2と対極3間の電気化学的変化が生じるため、それを検出することにより被検物質中における核酸プローブ5とのハイブリタリゼーション反応する核酸の存在を検知することができる。
【0022】
核酸検出装置の幾つかの実施形態の一つは、核酸固定化電極2を作用極とし、この作用極と対極3のみを使用する2電極系の装置である。他の実施形態は作用極、対極に加えさらに参照極を使用する3電極系の装置である。参照極は、対極と同様に、容器1の底面または内側面に形成されていても良いし、もしくは核酸固定化電極2と同一の基板に形成されていてもよい。
【0023】
核酸固定化電極2の形状は、特に限定されない。例えば本実施形態では、基板部分も含め、その外形が、市販の24、48、96、384、もしくは1536穴のマイクロタイタープレートに挿入できるように、少なくとも幅が6mm以下1mm以上の柱状または円柱状とする。
【0024】
複数の被検物質の測定を同時に行うことができるように、核酸固定化電極2は複数備えられていてもよい。複数の核酸固定化電極の制御は、液晶表示に採用されているマトリックス方式により実現してもよい。あるいはこの方式をMOSFETを用いたアクティブマトリックス方式としてもよい。MOSイメージセンサー型の走査回路も用いることも可能である。複数の核酸固定化電極は、各電極に同一の塩基配列を有する核酸プローブが固定されていても良いし、多種類の核酸を検出するためにそれぞれの電極に異なる塩基配列を有する核酸プローブが固定化されていても良い。
【0025】
以下、核酸固定化電極2についてさらに詳細に説明する。
【0026】
核酸プローブ5が固定化される核酸固定化電極2において、核酸プローブ5を固定化させる導電体2’としては、金を用いることが最も望ましい。しかし、他の材料も使用可能である。例えば、金の合金、銀、プラチナ、水銀、ニッケル、パラジウム、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム、タングステン等の金属単体及びそれらの合金、あるいはグラファイト、グラシーカーボン等の炭素等、またはこれらの酸化物、化合物を用いる事ができる。
【0027】
これらの導電体は、ガラスなど他の材料からなる基板表面にメッキ、印刷、スパッタ、蒸着などで形成されていることが望ましい。蒸着を行う場合は、抵抗加熱法、高周波加熱法、電子ビーム加熱法により電極膜を形成することができる。また、スパッタリングを行う場合は、直流2極スパッタリング、バイアススパッタリング、非対称交流スパッタリング、ゲッタスパッタリング、高周波スパッタリングで電極膜を形成することが可能である。ここで、導電体2’に金を使用する場合は、金の結晶構造の(111)面の配向指数が重要である。配向指数はWillsonの方法により以下の式から求められる。
【0028】
配向指数(hkl)=IF(hkl)/IFR(hkl)
hkl;面指数
IF( hkl );(hkl)面の相対強度
IFR(hkl);ASTMカードに記載されている標準金としてのIF( hkl )
特に配向指数が1以上であることが望ましい。更に配向指数が2以上であることが望ましい。配向性を高めるために、蒸着あるいはスパッタリング時に基板を加熱することも有効である。加熱温度は特に限定されないが、50℃〜500℃の範囲であることが望ましい。配向性を制御することで、核酸プローブ5の固定化量を均一に制御することが可能になる。
【0029】
また、基板に上記導電体を蒸着、あるいはスパッタリングする場合には、基板と金との間にチタン、あるいはクロム、銅、ニッケル、これらの合金を接着層として単独あるいは組み合わせて介在させることで、安定な電極層を形成することが可能になる。
【0030】
核酸固定化電極2において導電体2’が形成される基板を構成する材料は特に限定されるものではない。例えば、ガラス、石英ガラス、シリコン、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素、等の無機絶縁材料を使用できる。また、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を用いることができる。
【0031】
核酸固定化電極2を得る際に、基板上に所望形状の導電体2’を形成するには基板上に導電体を形成後、フォトレジスト材料を用いフォトリソグラフィープロセスを行うことが好ましい。フォトレジスト材料としては、光露光用フォトレジスト、遠紫外用フォトレジスト、X線用フォトレジスト、電子線用フォトレジストが用いられる。光露光用フォトレジストには、主原料が環化ゴム、ポリけい皮酸、ノボラック樹脂があげられる。遠紫外用フォトレジストには、環化ゴム、フェノール樹脂、ポリメチルイソプロペニルケトン(PMIPK)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が用いられる。また、X線用レジストには、COP、メタルアクリレートのほか、様々な物質を用いることができる、更に電子線用レジストには、PMMA等、他の物質を用いることが可能である。
【0032】
フォトリソグラフィーを行う際に用いるフォトレジスト層は100オングストローム以上1mm以下であることが望ましい。フォトレジストで導電体を被覆し、所望形状の凹凸パターンにパターンニングした後に、パターンニングされたフォトレジストをマスクとして導電体をエッチングすることで導電体2’の面積を一定にすることが可能になる。これにより、固定化される核酸プローブ5の固定化量がそれぞれの電極間で均一になり、再現性に優れた測定を可能にする。また、フォトレジスト層は導電体の加工のためのマスクとして使用するのみならず、電極の保護膜として残留させてもよい。また、フォトリソグラフィープロセスを使うと精度の高く導電体を作製できるが、若干製造コストがかかる場合がある。低コストに電極を作製するにはプリント基板を用いることも可能である。この場合、基板材料としてポリイミドやガラスエポキシ樹脂などを用いることが可能になる。
【0033】
次に核酸固定化電極2の導電体2’への核酸プローブ5の固定化方法について説明する。核酸固定化電極2に設けられた導電体2’に、核酸プローブ5を固定化するにあたっては、まず、導電体表面の活性化を行うことが望ましい。導電体表面の活性化は、硫酸の溶液中での電位掃引によって行うことが可能である。また、混酸、王水、等でも行うことができる。また、導電体表面をドライエッチングガスで処理することでも活性化を行うことが可能である。
【0034】
核酸プローブ5としては、あらかじめ塩基配列が既知の一本鎖核酸を用いる。核酸プローブ5の構成材料は特に限定されるものではないが、DNA、RNA、PNA、メチルホスホネート骨格の核酸、その他核酸類似体を用いることが可能である。
【0035】
核酸プローブ5の固定化方法は特に限定されるものではない。例えば、核酸プローブ5に導入したチオール基と金との結合を利用すると簡単に行うことができる。その他、物理吸着、化学吸着、疎水結合、抱埋、共有結合等で固定化が可能である。また、ビオチン−アビジン結合やカルボジイミドなどの縮合剤を用いることもできる。これらの場合、あらかじめ導電体表面を官能基を有する分子で修飾しておくことで、固定化を容易にすることができる。更に、導電体表面への核酸および拝入剤等の非特異的な吸着を抑制するために、導電体表面をメルカプトエタノール等のメルカプタンや、ステアリルアミンなどの脂質で被覆することが望ましい。
【0036】
DNAスポッターやDNAアレイヤーと呼ばれる固定化装置を用いると比較的容易にプローブの固定化を行うことができる。この際、導電体の表面を傷つけないために、インクジェット方式や静電方式のスポッターを用いることが望ましい。また、電極表面で直接核酸の合成を行うことも可能である。
【0037】
複数の核酸固定化電極が使用される場合、それらを保持できるよう、図2に示されるような核酸固定化電極2を保持するホルダー6を使用してもよい。このホルダー6には核酸固定化電極2を保持する挿入孔6’が設けられている。
【0038】
挿入孔6’は、保持された核酸固定化電極2が市販の24、48、96、384、1536穴のマイクロタイタープレートに挿入できる36mm(3×2)、18mm(6×4)、9mm(12×8)、4.5mm(24×16)、2.25(48×32)mmのピッチで形成されていることが望ましい。図2においては、説明の便宜の為、挿入孔6’の径を誇張して示してある。
【0039】
図示しないが、複数の核酸固定化電極2から電気信号を取り出すためにコネクターが使用される。コネクターの種類は特に限定されないが、例えば本実施形態では、市販の24、48、96、384、1536穴のマイクロタイタープレートに挿入できる36mm(3×2)、18mm(6×4)、9mm(12×8)、4.5mm(24×16)、2.25(48×32)mmのピッチで形成される。
【0040】
容器1としては、免疫検査などで一般的に用いられている、複数の容器が一体化された24、48、96、384、1536穴のマイクロタイタープレート等に電極を形成したものを使用することが可能である。この電極は、核酸固定化電極2と対向する対極3である。対極3は、それぞれの容器1毎に別々に分離して複数個形成することも可能であるし、各容器共通の1つの電極を底面に設けることも可能である。複数の容器1が一体化されたマイクロタイタープレートの底面に複数個の対極3を設置する場合は、液晶の表示に用いられているマトリックス方式を用いることも可能である。更にはMOSFETを用いたアクティブマトリックス方式であってもよい。また、MOSイメージセンサー型の走査回路も用いることが可能である。
【0041】
容器1の底面または内側面に設置する対極3は、容器1と一体型の構造であることが望ましいが、容器1の底面または内側面から分離可能な構造としてもよい。この場合も対極3を複数形成することが可能である。対極3に加え、参照極をさらに備える3電極系についても同様に構成可能である。容器1と対極3との間に、電子の移動が可能なイオン透過膜を設置していても良い。
【0042】
対極3(及び参照極)の材料は特に限定されるものではなく、金、金の合金、銀、プラチナ、水銀、ニッケル、パラジウム、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム、タングステン等の金属単体及びそれらの合金、あるいはグラファイト、グラシーカーボン等の炭素等、またはこれらの酸化物、化合物を用いる事ができる。
【0043】
これらの電極は、容器1に対してメッキ、印刷、スパッタ、蒸着などで作製することができる。蒸着を行う場合は、抵抗加熱法、高周波加熱法、電子ビーム加熱法により電極膜を形成することができる。また、スパッタリングを行う場合は、直流2極スパッタリング、バイアススパッタリング、非対称交流スパッタリング、ゲッタスパッタリング、高周波スパッタリングで電極膜を形成することが可能である。また、参照電極を形成する場合は銀/塩化銀を塗布することにより得ることも可能である。これら対極3や参照極はニトロセルロースやナイロン膜などの疎水性の膜上あるいは膜を貫通して形成することも可能である。この場合、通常用いられているフィルター付きマイクロプレートと同様に、ろ過が可能になる。
【0044】
以下、図1に示した核酸検出装置を用いた核酸検出プロセスについて説明する。
【0045】
まず、核酸固定化電極を作成するため導電体に核酸プローブを固定化する際の条件について述べる。ここでは、導電体が金の場合を例に挙げて説明する。
【0046】
金からなる導電体は脱イオン水で洗浄後、活性化処理を行う。活性化には、0.1〜10mol/Lの硫酸溶液が用いられる。この溶液中において、−0.5〜2V(vs Ag/AgCl)の範囲で、1v/s〜100000v/sの範囲で電位を走査させる。これにより、電極表面はプローブを固定化できる状態にまで活性化される。
【0047】
固定化に用いる核酸プローブには5‘あるいは3’末端にチオール基を導入しておく。チオール化核酸プローブは、固定化直前までDTT等の還元剤の溶液に溶解しておき、使用直前にゲル濾過あるいは酢酸エチルによる抽出操作等でDTTを除去する。
【0048】
固定化は至って簡単であり、イオン強度0.01〜5の範囲でpH5〜10の範囲内の緩衝液中に、プローブDNAを1ng/ml〜1mg/mLの範囲になるように溶解させ、活性化した直後の電極を浸漬する。固定化反応は、4〜100℃の範囲で10分から1晩程度行う。
【0049】
核酸プローブ固定化後の電極は核酸分解酵素(ヌクレアーゼ)が存在しない条件で保存することとし、できれば遮光する。なお、短期的な場合であればウェット状態で保存しても良い。保存液の組成はハイブリダイゼーション反応を行う液の組成、Tris-EDTA緩衝液あるいは脱イオン水であることが望ましい。更に、保存温度は4℃以下、好ましくは−20℃である。また、核酸プローブ固定化後の電極を長期に保存する場合は、ドライ状態で保存することが望ましい。ドライ状態にする方法は特に限定されないが、凍結乾燥、風乾等で行うことができる。気相は特に限定されないが、アルゴン等の不活性ガス、窒素、乾燥空気、あるいは真空状態であることが望ましい。
【0050】
被検物質(サンプル)は特に限定されない。例えば、血液、血清、白血球、尿、便、精液、唾液、組織、培養細胞、喀疾、食品、土壌、排水、廃水、空気等を用いることができる。特にこれらから核酸成分の抽出を行ったものを被検物質とすることが望ましい。核酸成分の抽出方法は、フェノールー−クロロホルム法等の液−液抽出法や担体を用いる固液抽出法を用いることができる。また、市販の核酸抽出方法QIAamp(QIAGEN社製)、スマイテスト(住友金属社製)等を利用することも可能である。
【0051】
図3は本実施形態に係る核酸検出プロセスおよびその比較例を示した図である。本実施形態に係る核酸検出プロセスは、図1に示したスティック形状の核酸固定化電極2を用いる。核酸固定化電極2には核酸プローブ5が固定化されている。核酸固定化電極2が挿入される容器1の底面又は内側面には、対極3が配置されており、核酸固定化電極2と対極3との間に電気回路4によって電圧を印加する。本実施形態では、容器を複数用い、少なくとも、ハイブリダイゼーション反応プロセスと核酸の測定プロセスとで異なる容器を用いる。例えば本実施形態では、3つの容器1a〜1cを用いる。容器1a(第1の容器)の底面には対極3aが配置されている。容器1bは核酸固定化電極2の洗浄用であり、対極は設けられていない。容器1c(第2の容器)は容器1aと同様に底面に対極3cが設けられている。ただし、第1の容器には対極3aは必ずしも設けられなくても良いが、ハイブリダイゼーション反応の制御に使用するため設けられていることが望ましい。
【0052】
一方、比較例に係る核酸検出プロセスは、核酸プローブが固定化された電極が底面に設けられた容器200を一つだけ用いる。なお、反応溶液を容器200に分注するために容器201、容器200から除去した不要な溶液を排出するための容器202、洗浄液を容器200に分注するための容器203、挿入剤溶液を容器200に分注するための容器204も用いる。
【0053】
特定核酸の検出を行うためには、まず被検物質中の二本鎖核酸を一本鎖核酸に変性させるプロセスを行う。続いて、核酸プローブと前記一本鎖核酸とのハイブリダイゼーション反応プロセスを行う必要がある。このプロセスは本発明に係る核酸検出プロセス及び比較例に係るプロセスともに同一である。
【0054】
先ず、容器1a内に二本鎖核酸を含む被検物質を含む反応溶液を注入する。続いて前記二本鎖核酸を一本鎖に変性させる。次に、図3に示すように、核酸固定化電極2を容器1aの位置に移動させる(ステップS1)。
【0055】
図4は核酸固定化電極の移動制御機構の構成例を示した図である。同図に示される移動制御機構は、核酸固定化電極2を保持するアーム部300と、アーム部300を同図に示す矢印の方向に駆動するアーム駆動部301と、アーム駆動部301によるアーム部300の駆動を制御する制御部302を備える。制御部302からの制御に従いアーム駆動部301がアーム部300を駆動し、これにより核酸固定化電極2が容器1上の所定位置に移動する。次に、核酸固定化電極2の導電体の露出部分2’が容器1内の溶液中に浸るまで、核酸固定化電極2を下方向に移動するようアーム部300は駆動される。
【0056】
ハイブリダイゼーション反応プロセスは、容器1a内に被検物質を含んだ反応溶液を注入し、さらに容器1a内に核酸固定化電極2を挿入することにより、被検物質の核酸成分と核酸固定化電極2の露出部分2’との間で行われる。
ここまでのプロセスをさらに具体的に説明する。
【0057】
反応溶液は、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液が望ましい。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストランや、サケ精子DNA、牛胸腺DNA、EDTA、界面活性剤、デキストランサルフェート、フォルムアミド、BSA(Bovine Serum albumin)、Ficoll、PVP(polyvinyl pyrrolidone)などを添加することが可能である。次に、反応溶液にさらに被検物質を注入し、90℃以上で加熱し二本鎖核酸を一本鎖に熱変性させる。核酸固定化電極2の挿入は、変性直後、あるいは0℃に急冷後に行うことができる。
【0058】
ハイブリダイゼーション反応中は、撹拌、あるいは振とうなどの操作で反応速度を高めることもできる。反応温度は10℃〜90℃の範囲とし、反応時間は少なくとも1分以上、好ましくは1晩程度とする。
【0059】
熱変性に続くハイブリダイゼーション反応は、電気化学的に制御することが望ましい。容器1aの内側面または底面に設置された電極3aと、核酸固定化電極2との間に、電極2’の表面がプラスに電圧するよう電気回路4によって電圧を印加すると、マイナスに帯電した核酸は電極2’の表面に濃縮され反応が促進される。なお、電極2’の表面にマイナス電圧を印加すると、非特異的な結合を除去することができる。電極2にプラス電圧を印加することは、従来、数時間から数日必要であった反応時間を数分に短縮する。この場合、電圧は定速で掃引するか、あるいはパルスで印加するか、あるいは、定電圧を印加する。
【0060】
電気回路4は、ポテンショスタット、デジタルマルチメーター、ファンクションジェネレーター等を含み、電流制御又は電圧制御により電位の印加を行う。
【0061】
ハイブリダイゼーション反応の後、本実施形態では電極を取り出して洗浄する。
【0062】
上述した移動制御機構は、核酸固定化電極2を容器1bの位置に移動させ、同容器1b内の洗浄液に浸す。洗浄には、例えば、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液が用いられる。なお、かかる洗浄プロセスは必須ではない。
【0063】
洗浄の後、移動制御機構は、核酸固定化電極2を容器1cの位置に移動させ、これを同容器1c内の挿入剤溶液中に浸す。洗浄プロセスに続くこの測定プロセスにおいては、電極2’表面に形成した二本鎖部分に選択的に結合する二本鎖核酸特異結合物質(挿入剤)を作用させ、電気化学的な信号の測定を行う。電気化学的な信号は、核酸固定化電極2と対極3cとの間に生じる酸化還元電流変化、酸化還元電位変化、電気容量変化、抵抗変化、あるいは電気化学発光変化を指標にすることが可能である。これらの信号変化は挿入剤、すなわち二本鎖核酸に特異的に結合する物質併用により効果が促進される。
【0064】
ここで用いられる二本鎖核酸特異結合物質(挿入剤)は特に限定されるものではない。メタロインターカレーターと呼ばれるルテニウム、コバルト、鉄などの金属錯体や、ヘキスト33258、アクリジンオレンジ、エチジウムブロマイド、ビスインターカレーター、トリスインターカレーター等の有機化合物、抗体、酵素などの生体高分子を用いることが可能である。また、フェロセン等の金属錯体等で標識した第二核酸プローブを用いたサンドイッチハイブリダイゼーションでの検出も可能である。
【0065】
特に望ましくは、上述したヘキスト33258、アクリジンオレンジ、キナタリン、ドウノマイシン、メタロインターカレーター、ビスアクリジン等のビスインターカレーター、トリスインターカレーター、ポリインターカレータ一等の挿入剤である。
【0066】
挿入剤溶液の濃度は、その種類によって異なるが、一般的には1ng/m1〜1mg/mlの範囲で使用する。この際、イオン強度0.001〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。
【0067】
電極2’を挿入剤と反応させた後、電気化学的な測定を行う。測定では、挿入剤が電気化学的に反応する電位以上の電圧を電気回路4が電極2’に対して印加し、挿入剤に由来する反応電流値を測定する。この際、電圧は定速で掃引するか、あるいはパルスで印加するか、あるいは、定電圧を印加する。電圧は、容器1cの内側面または底面に設置した電極3cと、核酸固定化電極2の導電体の露出部分2’との間に印加する。この結果、挿入剤から得られた電流値を基に、検量線から標的遺伝子の濃度を算出することができる。
【0068】
次に、比較例による核酸検出プロセスを説明する。
【0069】
図3に示すように、底面に核酸固定化電極が配置された容器200に、先ず反応溶液を分注し、上述した変性プロセス及びハイブリダイゼーション反応を行う(ステップN1)。変性プロセス及びハイブリダイゼーション反応自体については上述した本実施形態に係るプロセスと同様である。次に、容器200からハイブリダイゼーション反応で用いた反応溶液を除去し、これを容器202に排出する(ステップN2)。次に、容器203から、反応溶液が除去された容器200に洗浄液を分注する(ステップN3)。これにより容器200の洗浄を行った後、洗浄液を容器200から除去し、これを容器202に排出する(ステップN4)。そして、容器204から、洗浄液が除去された容器200に挿入剤溶液を分注し、測定プロセスを実行する(ステップN5)。
【0070】
この説明から明らかなように、比較例に係る核酸検出プロセスは、底面に核酸固定化電極を備えた容器を用いているために、溶液の分注及び排出作業を繰り返し行う必要がある。一方、本発明に係る核酸検出プロセスは、底面に対極のみを備えた容器を複数用い、核酸固定化電極2をこれら容器のそれぞれに移動させるようにしている。つまり、ハイブリダイゼーション反応を行う容器と、測定を行う容器とを別離させている。
【0071】
このような本発明の実施形態によれば、比較例のような溶液排出作業が不要であり、核酸検出プロセスを容易化できる。これは、多数の被検物質を検査するような場合に有効である。
【0072】
また、ハイブリダイゼーション反応を行う容器と、測定を行う容器とを別離させているので、ハイブリダイゼーションプロセス時に未反応の特異結合が測定プロセスにおいて残存し、これが不所望の電流となって測定結果にノイズを生じさせることを防止できるという利点もある。
【0073】
(実施例1)核酸固定化電極
図5は核酸検出装置用の核酸固定化電極の一例を示した図である。核酸固定化電極31は厚さ0.8mmのガラス基板32上にチタン(500Å)および金(2000Å)の薄膜をガラス基板−チタン−金の順でスパッタにより積層し、さらに前記金表面は核酸プローブ固定化部分33(直径0.5mmの円形領域)と端子部分34を除いてレジスト35で被覆することにより作成された。
【0074】
核酸プローブ固定化部分33と端子部分34はレジスト35の裏面側で接続される。また、チオール化核酸プローブが、核酸プローブ固定化部分33にチオール/金の結合で固定化されている。本電極の外形は384穴のマイクロプレートに入るように、幅を1.5mmに設定してある。また、長さは5cmである。図6に、核酸固定化電極31におけるA−A’の断面図を示す。また、図7に、核酸固定化電極31におけるB−B’の断面図を示す。
【0075】
(実施例2)核酸固定化電極
図8は核酸検出装置用の核酸固定化電極及び参照極を一体化した電極構造体41の一例を示した図である。前記電極構造体42は以下のようにして作成された。まず厚さ0.8mmのガラス基板42上にチタン(500Å)および金(2000Å)がガラス基板一チタン−金の順でスパッタにより積層され基板の長手方向に沿って2本の線状に形成した。さらにまた前記チタンと金の積層体に対し、一方の線の前記金表面は核酸プローブ固定化部分43(直径0.5mmの円形領域)及び端子部分44を除いてレジスト45で被覆し、もう一方の線の前記金表面は銀/塩化銀が形成された参照極(直径0.5mmの円形領域)部分46及び端子部分47を除いてレジスト45で被覆して作成された。参照極部分46は銀/塩化銀溶液中で電解を行い、金電極表面に析出させ形成した。チオール化核酸プローブは、プローブ固定化部分43にチオール/金の結合で固定化した。本電極構造体の外形は96穴のマイクロプレートに入るように、幅を3mmに設定してある。また、長さは10cmである。
【0076】
(実施例3)核酸固定化電極のホルダー
図9は核酸固定化電極のホルダーの一例を示す断面図である。複数の核酸固定化電極2を96穴のマイクロタイタープレートに一度に挿入可能とするために、核酸固定化電極2を支持するホルダー60は6mmのピッチで12×8個のアレイ状に挿入孔60’が設けられ、前記挿入孔60’に核酸固定化電極2が設置されている。
【0077】
(実施例4)電極一体型マイクロタイタープレート
図10は核酸検出用容器である電極一体型マイクロタイタープレートの一例を示す断面図である。マイクロタイタープレート7には複数の容器7’が設けられている。各容器7’底面にはカーボンフィルム電極(対極)8が貼り付けてある。容器7’に液体を注入した際は、液体は直接カーボンフィルム電極8と接触し、また容器7’内に保持される。
【0078】
(実施例5)電極一体型マイクロタイタープレート
図11は核酸検出用容器である電極一体型マイクロタイタープレートの一例を示した断面図である。マイクロタイタープレート7には複数の容器7’が設けられている。容器7’の底面にはカーボンフィルム電極8、銀/塩化銀が形成されたカーボンフィルム電極9が貼り付けてあるニトロセルロースフィルム10が設置されており、液体は容器内に保持することができる。8は対極、9は参照極として用いる。液体は容器内に保持されている。使用方法に応じて吸引などによるろ過も可能になる。
【0079】
(実施例6)電極一体型マイクロタイタープレート
図12は核酸検出用容器である電極一体型マイクロタイタープレートの一例を示した断面図である。マイクロタイタープレート7には複数の容器7’が設けられている。容器7’底面にはそれぞれに金電極(対極)81が形成されたニトロセルロースフィルム10が貼り付けてある。容器7’に液体を注入した際は、液体は金電極81と接触し、また容器7’内に保持されている。使用方法に応じて吸引などによるろ過も可能になる。
【0080】
(実施例7)電極分離型マイクロタイタープレート
図13は核酸検出用容器である電極分離型マイクロタイタープレートの一例を示した断面図である。マイクロタイタープレート7には複数の容器7’が設けられている。容器7’の底面には疎水性の、イオンが移動可能なフィルター11が貼り付けられており、液体は容器内に保持することができる。その下にはカーボンフィルム電極(対極)91を貼り付けた容器12が設置されており、フィルター11を介して電圧を印加する構成になっている。
【0081】
(実施例8)電極分離型マイクロタイタープレート
図14は核酸検出用容器である電極分離型マイクロタイタープレートの一例を示した図である。マイクロタイタープレート7には複数の容器7’が設けられている。容器7’の底面には疎水性の、イオン移動可能なフィルター11が貼り付けられており、液体は容器内に保持することができる。その下には各容器7’に対応する形でカーボンフィルム電極(対極)101を取り付けた容器12が設置されており、これらはマトリックス構造の配線で外部電源と接続されている。
【0082】
(実施例9)電極分離型マイクロタイタープレート
図15は核酸検出用容器である電極分離型マイクロタイタープレートの一例を示した図である。マイクロタイタープレート7には複数の容器7’が設けられている。マイクロタイタープレート7の底面には疎水性の、イオン移動可能なフィルター11が貼り付けられており、液体は容器内に保持することができる。その下には各容器7’に対応する形でカーボンフィルム(対極)電極112、銀/塩化銀が形成されたカーボンフィルム電極(参照極)111が設置されており、これらはアクティブマトリックス構造の配線で外部電源と接続されている。
【0083】
(実施例10)電極分離型マイクロタイタープレートの電極配置
図16は実施例8に記載した電極分離型マイクロタイタープレートを用いた際の各電極に対する電極配線を模式的に示した図である。カーボンフィルム電極15(実施例8ではカーボンフィルム電極101と表現)はゲート線16と、ソース線17に接続されており、電源からの電圧はソース線17を介して印加する構造になっている。スイッチングはゲート線のON/OFFで行う。
【0084】
(実施例11)電極分離型マイクロタイタープレートの電極配置
図17は実施例9に記載した電極分離型マイクロタイタープレートを用いた際の各電極に対する電極配線を模式的に示した図である。カーボンフィルム電極15(実施例9ではカーボンフィルム電極112と表現)は対極として作用する。カーボンフィルム電極15はゲート線16と、ソース線17に接続されており、電源からの電圧はソース線17を介して印加する構造になっている。スイッチングはゲート線16につながったTFT19でON/OFFで行う。また、銀塩化銀電極18(実施例9では銀/塩化銀が形成されたカーボンフィルム電極111と表現)は参照極として作用する。銀塩化銀電極18はゲート線20と、ソース線17に接続されており、電圧はソース線を介して印加する構造になっている。スイッチングはゲート線20につながったTFT19でON/OFFで行う。
【0085】
(実施例12)電極一体型マイクロタイタープレートを用いた検出装置
図18は実施例4の電極一体型マイクロタイタープレートと実施例1の核酸固定化電極を用いた核酸検出装置である。この装置は、核酸固定化電極2と、各々分離されてなる複数の容器7’と容器7’の底面に設置された対極8とを備える96穴のマイクロタイタープレートと、核酸固定化電極2と対極8との間に電圧を印加する手段(電源)4とを備える。核酸固定化電極2は複数備えられている(1本のみ図示)。
【0086】
血液から抽出した遺伝子を含む被検物質はマイクロプレートの容器1の中に分注し、核酸固定化電極2を挿入する。ハイブリダイゼーション反応は各核酸固定化電極2と対極8との間に0.5Vの電圧を印加することで促進が可能で、約5分で反応が終了した。前記マイクロタイタープレートと同様な構成のマイクロタイタープレートを用意した。続いて、挿入剤ヘキスト33258を添加した溶液を容器7’に挿入し、各容器7’に核酸固定化電極2を挿入して電圧印加時の電流測定を行った。ヘキスト33258由来の電流測定は電極2と8との間に0.6V印加し、96サンプルについて同時に遺伝子の検出が可能であった。
【0087】
(実施例13)電極分離型マイクロタイタープレートを用いた検出装置
図19は実施例7の電極分離型マイクロタイタープレートと、実施例1の核酸固定化電極を用いた検出装置を示している。この装置は、核酸固定化電極25と、各々分離されてなる複数の容器24と前記容器24の底面に位置するように設置された対極26を備える容器とを備える96穴のマイクロタイタープレートと、前記核酸固定化電極25と前記対極26間に電圧を印加する手段(電源)27とを備える。核酸固定化電極2は複数備えられている(1本のみ図示)。
【0088】
血液から抽出した遺伝子を含む被検物質は96穴マイクロプレートの容器24の中に分注し、核酸固定化電極25を挿入する。ハイブリダイゼーション反応は電極25と対極26との間に0.5Vの電圧を印加することで促進が可能で、約5分で反応が終了した。前記マイクロタイタープレートと同様な構成のマイクロタイタープレートを用意した。続いて、挿入剤ヘキスト33258を添加した溶液を容器7’に注入し、各容器26に核酸固定化電極2を挿入して電圧印加時の電流測定を行った。ヘキスト33258の電流測定は電極25と対極26との間に0.6V印加し、96サンプルについて同時に遺伝子の検出が可能であった。
【0089】
本発明の核酸検出装置によって検出する核酸は特に限定されるものではない。例えば、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、G型)、HIV、インフルエンザウイルス、ヘルペス群ウイルス、アデノウイルス、ヒトポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパルボウイルス、ムンプスウイル素、ヒトロタウイルス、エンテロウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、HTLV、等のウイルス感染症、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ヘリコバクターピロリ菌、カンピロバクター、コレラ菌、赤痢菌、サルモネラ菌、エルシニア、淋菌、リステリア菌、レプトスピラ、レジオネラ菌、スピロヘータ、肺炎マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、マラリア、赤痢アメーバ、病原真菌、等の細菌感染症、寄生虫、真菌等の検出に用いることができる。
【0090】
また、遺伝性疾患、網膜芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、家族性大腸ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、神経腺維腫症、家族性乳ガン、色素性乾皮症、脳腫瘍、口腔癌、食道癌、胃ガン、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺ガン、甲状腺腫瘍、乳腺腫瘍、泌尿器腫瘍、男性器腫瘍、女性器腫瘍、皮膚腫瘍、骨・軟部腫瘍、白血病、リンパ腫、固形腫瘍、等の腫瘍性疾患等を検査することが可能である。
【0091】
また、医療以外にも、食品検査、検疫、医薬品検査、法医学、農業、畜産、漁業、林業などで遺伝子検査が必要なものに全て適応可能である。更に、制限酵素断片多系(RFLP)や1塩基多系(SNPs)、マイクロサテライト配列等の検出も可能である。また、未知の塩基配列解析に用いることも可能である。更に、mRNA鎖、cDNA鎖、cRNA鎖の解析に用いることも可能である。
【0092】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々変形して実施可能である。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば多サンプルもしくは多種核酸を扱った多種の核酸検出を容易にかつ簡易な設備で高精度に行う際に有用な核酸検出方法及び装置並びに核酸検出用容器を提供できる。ひいては、テイラーメイド医療などで期待されている遺伝子検査などを精度良く、かつ効率的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る核酸検出装置の概略構成を示すブロック図
【図2】 核酸固定化電極のホルダーの一例を示す図
【図3】 本発明に係る核酸検出プロセスおよびその比較例を示す図
【図4】 核酸固定化電極の移動制御機構の構成例を示す図
【図5】 実施例1に係る核酸固定化電極の一例を示す図
【図6】 図5に示した核酸固定化電極におけるA−A’の断面図
【図7】 図5に示した核酸固定化電極におけるB−B’の断面図
【図8】 実施例2に係り、対極及び参照極を含む核酸固定化電極構造体の一例を示す図
【図9】 実施例3に係る核酸固定化電極のホルダーの一例を示す図
【図10】 実施例4に係る電極一体型マイクロタイタープレートの一例を示す図、
【図11】 実施例5に係る電極一体型マイクロタイタープレートの一例を示す図、
【図12】 実施例6に係る電極一体型マイクロタイタープレートの一例を示す図、
【図13】 実施例7に係る電極分離型マイクロタイタープレートの一例を示す図、
【図14】 実施例8に係る電極分離型マイクロタイタープレートの一例を示す図、
【図15】 実施例9に係る電極分離型マイクロタイタープレートの一例を示す図
【図16】 実施例10に係る電極分離型マイクロタイタープレートの電極配置の一例を示す図
【図17】 実施例11に係る電極分離型マイクロタイタープレートの電極配置の一例を示す図
【図18】 実施例12に係る電極一体型マイクロタイタープレートを用いた核酸検出装置の一例を示す図
【図19】 実施例13に係る電極分離型マイクロタイタープレートを用いた核酸検出装置の一例を示す図
【図20】 従来のDNAアレイを示す斜視図
【図21】 従来の遺伝子検出方法を示す概念図
【符号の説明】
1…容器
2…核酸固定化電極
3…対極
4…電気回路
Claims (9)
- 被検物質中における特定配列を有する核酸の存在を電気化学的に検出する核酸検出方法であって、
複数の第1の容器を準備し、底面又は内側面に対極を備えると共に挿入剤溶液が注入された第2の容器を準備する工程と、
複数の異なる被検物質を前記複数の第1の容器に注入する工程と、
各々が複数の導電体部と、該複数の導電体部上に固定化され、種類の異なる複数の核酸プローブとを有する複数の核酸固定化電極を前記複数の第1の容器内に挿入する工程と、
前記複数の第1の容器内にてハイブリダイゼーション反応を行わせる工程と、
前記複数の核酸固定化電極を前記複数の第1の容器から抜出して前記第2の容器内に挿入する工程と、
前記複数の核酸固定化電極と前記対極との間に所定の電圧を印加し、前記挿入剤溶液の電気化学的信号を測定する工程と、を具備する核酸検出方法。 - 前記複数の第1の容器及び前記第2の容器がマイクロタイタープレートに形成される請求項1に記載の核酸検出方法。
- 前記複数の第1の容器及び前記第2の容器に共通して一つの対極が設けられる請求項1に記載の核酸検出方法。
- 前記複数の第1の容器及び前記第2の容器の各々の底面又は内側面に対極が設けられる請求項1に記載の核酸検出方法。
- 前記複数の第1の容器又は前記第2の容器の少なくとも一方が、さらに参照極を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の核酸検出方法。
- 前記参照極は、前記第1又は第2の容器の少なくとも一方の内側面又は底面に設けられる請求項5に記載の核酸検出方法。
- 被検物質中における特定配列を有する核酸の存在を電気化学的に検出する方法であって、
複数の第1の容器を準備し、底面又は内側面に対極を備えると共に挿入剤溶液が注入された第2の容器を準備する工程と、
複数の異なる被検物質を前記複数の第1の容器に注入する工程と、
各々が複数の導電体部と、該複数の導電体部上に固定化され、種類の異なる複数の核酸プローブとを有する複数の核酸固定化電極を前記複数の第1の容器内に挿入する工程と、
前記複数の第1の容器内にてハイブリダイゼーション反応を行わせる工程と、
前記複数の核酸固定化電極を前記複数の第1の容器から抜出して洗浄用の容器内に挿入する工程と、
前記洗浄用容器内にて前記核酸固定化電極を洗浄する工程と、
前記複数の核酸固定化電極を前記洗浄用容器から抜出して前記第2の容器内に挿入する工程と、
前記複数の核酸固定化電極と前記対極との間に所定の電圧を印加し、前記挿入剤溶液の電気化学的信号を測定する工程と、を具備する核酸検出方法。 - 被検物質中における特定配列を有する核酸の存在を電気化学的に検出する核酸検出装置であって、
各々が複数の導電体部と、該複数の導電体部上に固定化され、種類の異なる複数の核酸プローブとを有する複数の核酸固定化電極と、
前記核酸プローブと前記被検物質とを接触させるための複数の容器と、
前記容器の底面あるいは内側面に設置された対極と、
前記複数の核酸固定化電極と前記対極との間に電圧を印加する電気回路と、を具備し、前記複数の核酸固定化電極は前記複数の容器に挿入されるスティック形状を有する核酸検出装置。 - 請求項8に記載の核酸検出装置に用いられる核酸検出用容器であって、複数の容器と、前記容器の底面又は内側面に形成され、対極として用いられる複数の電極と、を具備する核酸検出用容器。
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