JP3848226B2 - 生体物質検出装置及び生体物質検出素子 - Google Patents

生体物質検出装置及び生体物質検出素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば遺伝子やタンパク質などの生体物質を検出するための生体物質検出用素子、生体物質検出方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、遺伝子やタンパク質のような生体物質の検出システムの開発が進められている。例えば、遺伝子の検出はインターフェロンによる治療効果予測に利用されている。このインターフェロンによる治療効果予測を例に、従来の生体物質検出技術について述べる。
【0003】
C型肝炎に感染すると、肝硬変を経て肝癌に進行することが知られており、その治療法の一つにインターフェロンを用いる方法がある。ただ、日本人ではインターフェロンの照射は約2〜3割の人にしか効果がなく、効果があっても非常に強い副作用が報告されている。そのため、あらかじめインターフェロンの治療効果を予測し、効果が期待できるときだけ使うテイラーメイド医療が最近注目され始めた。
【0004】
インターフェロンによる治療効果の予測には、これまでウイルスの型およびウイルス量を遺伝子レベルで調べる方法が知られている。これは日本人に多い1b型には効果が少ないが、2a型には効果的に作用し、またウイルス量が10copy/mL以上と多い場合にも効果が少ないと考えられている。実際の診断ではこれらの組み合わせによることが多く、予測が難しい場合があった。また最近、インターフェロンによる治療効果を予測する方法として、MxAたんぱく質をコードする遺伝子のプロモータ領域に存在する一塩基多型(SNP)を指標にした方法が報告された。これはG/G型ではインターフェロンの効果が低く、逆にG/T型、T/T型には効果的に作用するというものである。
【0005】
このように遺伝子レベルの解析で、インターフェロンの治療効果予測が可能になりつつあるが、これまでは全て煩雑で高価な従来技術(電気泳動やマイクロプレート+EIA等)を利用して検出を行う方法であり、臨床検査として行う場合はより簡便な手法が求められていた。
【0006】
このような背景の下で最近、DNAチップと呼ばれる生体物質検出素子による遺伝子検査技術が注目を集めている(Beattie et al. 1993, Fodor et al. 1991, Khrapko et al. 1989, Southern et al. 1994)。DNAチップは、複数種の配列が異なるDNAプローブを固定化した数cm角の硝子やシリコンのチップからできており、チップ上で蛍光色素や放射線同位元素(RI)等で標識した試料遺伝子、あるいは未標識の試料遺伝子と標識オリゴヌクレオチドの混合物を反応させる。試料中にチップ上のDNAプローブと相補的な配列が存在すると、チップ上の特定部位で標識に由来する信号が得られる。固定化しておいたDNAプローブの配列と位置があらかじめ分っていれば、試料遺伝子中に存在する塩基配列を簡単に調べることができる。こうしたDNAチップは、1回の試験で塩基配列に関する多くの情報が得られることから、臨床診断技術として利用できる可能性がある(Pease et al. 1994, Parinov et al. 1996)。
【0007】
図14に、DNAチップを用いる電気化学的な遺伝子検出法の原理を摸式的に示す。
【0008】
従来の代表的なDNAチップでは、チップ面の一方の端部に配置された試料液導入部から、遺伝子の水溶液からなる試料液が導入され、マトリクスの升目の中に固定化された種々のDNAプローブの上を流れた後、チップ面上の他方の端部に配置された試料液排出部から排出される。DNAチップ全体は樹脂製のケースで被覆されており、DNAプローブが固定化されている部分は、蛍光などの光学信号を読み取るために透明になっている。
【0009】
上述したような従来のDNAチップでは、試料液がチップ面の一方の端部から他方の端部に流れる過程で、マトリクス状に配列されたDNAプローブ上を案内される構成となっており、試料液が均一にDNAプローブの上を流れ難いため、遺伝子をDNAプローブと確実に反応させることが難しく、検出結果のばらつきが発生しやすいという問題がある。
【0010】
また、一般的には試料液中の遺伝子濃度が薄いため、特に遺伝子の濃縮作用を持たない従来のDNAチップを用いた場合には、PCR法などの遺伝子増幅法により、予め検出対象となる遺伝子を増幅する必要があった。
【0011】
DNAチップを用いて電気化学的な測定により遺伝子を検出する生体物質検出装置においては、従来、図16に示すように容器100に収容した適当な電解質溶液中で電極に電圧を印加しながら電流測定を行っている。すなわち、容器100内には対極、参照極及び作用極とそれぞれ呼ばれる電極101,102,103が挿入されている。
【0012】
参照極102は、対極101に基準電位を与えるための電極であり、所定の電位に維持される。参照極102と対極101との間には電圧計106が接続される。該電圧計106は対極101の電位を測定する。対極101と作用極103との間には可変直流電圧源104が接続される。この可変直流電圧源104によって電圧を印加する。この可変直流電圧源104による印加電圧を変化(具体的には掃引)させると電流変化が生じる。これを電流計105によって測定し、遺伝子が存在するか否かの検出を行なう。
【0013】
図17に、図16のような構成の生体物質検出装置により電気化学的な核酸挿入剤を用いて遺伝子を検出する手順を示す。まず、試料液の供給を行う(ステップS1)。これにより作用極に固定化されたDNAプローブ(特定遺伝子に反応する1本鎖DNA)に試料液を付着させ、試料液中のDNAを1本鎖状態にしてハイブリダイゼーションを行う。次に、DNAプローブに付着しなかった試料液の洗浄を行い(ステップS2)、引き続き検出感度向上のために2本鎖DNAに特異的に反応する挿入剤(核酸挿入剤)の供給を行い(ステップS3)、さらに不要な挿入剤の洗浄を行う(ステップS4)。最後に、対極101と作用極103間に電圧を印加して、挿入剤から得られる酸化電流の測定、すなわち挿入剤による電気化学的信号の測定を行う(ステップS5)。
【0014】
図15に挿入剤としてへキスト33258を用いた場合の電流−電位特性曲線を示す。
【0015】
従来の生体物質検出装置では、一つの作用極(DNAチップ)に対して一度しか電流測定を行うことができないため、遺伝子検出の感度を向上させることが難しい。図18に、電気化学的なDNAチップを使って、あるプラスミド(pYRB259)を測定した際の電流値の濃度変化を示す。バックグラウンド電流が高いために、低濃度の遺伝子を検出できていないことが分かる。また、一般的には試料液の遺伝子濃度が薄いために、PCR法などの遺伝子増幅法により予め対象となる遺伝子を増幅する必要がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、検出対象の物質とリガンドとを均一な条件で反応させることができる生体物質検出用素子及び検出装置及び方法を提供することを目的とする。また、本発明は検出時に試料液中の生体物質の濃縮をも可能とすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の実施形態によれば、荷電した生体物質を含む試料液中の該生体物質を検出する生体物質検出装置が提供される。この生体物質検出装置は、基板とその上に円周方向に沿って所定間隔で配列される生体物質検出用素子を含む。該生体物質検出用素子は、所定の生体物質と反応するリガンドをそれぞれ固定化した複数の電極を有する。基板上の前記電極配列の中央部に試料液を導入し、この試料液を該電極の方向に向けて放射状に移動させる。
【0018】
このように、試料液を生体物質検出用素子における円周方向に沿って配列された電極の配列の中央部である試料液受入部上に導入し、生体物質検出用素子の周辺部に設けられたリガンド固定化部である該電極上に均一に供給することにより、試料液中の生体物質の検出を均一な条件で行うことが可能となる。
【0019】
基板上の試料液受入部(試料液を導入する位置)に少なくとも一つの第1電極を設け、基板上の第1電極の周囲に円周方向に沿って所定間隔で配列され、所定の生体物質と反応するリガンドをそれぞれ固定化した複数の第2電極を設けて生体物質検出用素子を構成し、この生体物質検出用素子を駆動する駆動回路によって、第1電極に生体物質の荷電極性と同極性の電圧を印加し、第2電極の少なくとも一部に荷電極性と逆極性の電圧を印加する駆動動作を行うことにより、静電気力を利用して生体物質を第1電極上に効果的に移動させることができる。
【0020】
また、生体物質検出用素子を駆動する駆動回路によって、第2電極のうち円周方向の一部の電極に荷電極性と逆極性の電圧、他の一部に荷電極性と同極性の電圧をそれぞれ印加し、かつ該逆極性及び同極性の電圧を印加する電極の位置を順次変化させる駆動動作をさらに行うことにより、試料液中の検出対象生体物質を、第2電極配列上の円周方向に沿って移動させ、該第2電極の各々に固定されているリガンドと均一に効率よく反応させることもできる。
【0021】
本発明の実施形態においては、生体物質検出用素子において第1電極と第2電極の配列との間に同心円状に配置された少なくとも二つの環状環状電極をさらに設け、生体物質検出用素子を駆動する駆動回路によって、これら少なくとも二つの環状電極に極性が制御された電圧を印加する駆動動作を行うことにより、試料液中の生体物質を濃縮させつつ第2電極の方向に移動させてもよい。
【0022】
このように生体物質検出用素子の中央部に導入された試料液中の検出対象生体物質を、濃縮させながら順次周辺部に移動させ、最終的にリガンドが固定された第2電極上に濃縮状態で供給することにより、従来のように遺伝子増幅法によって予め検出対象生体物質を増幅することなく、検出対象生体物質とリガンドとを効率よく反応させることができ、検出効率が向上する。
【0023】
本発明の実施形態に基づく生体物質検出用素子から得られる検出信号は、電流、電位などの電気的信号であってもよく、蛍光、発光、発色などの光学的な信号であってもよい。
【0024】
また、本発明は、生体物質とリガンドとを均一な条件で反応させることがさせることができ、かつ試料中の検出対象物質の濃縮による検出感度のさらなる向上を図ることができる生体物質検出方法を提供することを目的とする。
【0025】
本発明の実施形態によれば、荷電した生体物質を含む試料液中の該生体物質を検出する生体物質検出方法が提供される。該生体物質検出方法においてにおいては、基板上に所定の生体物質と反応するリガンドをそれぞれ固定化した電極を配列してなる生体物質検出用素子上に試料液を供給した後、
(a)生体物質検出用素子上への挿入剤の供給、
(b)所定の生体物質とリガンドとの反応に基づく挿入剤の電気化学的信号測定、及び
(c)リガンドに付着した挿入剤の除去、からなる一連の工程を繰り返すことにより、生体物質の検出を行う。
【0026】
したがって、基板上に所定の生体物質と反応するリガンドをそれぞれ固定化した電極を配列してなる生体物質検出用素子を用いると、この生体物質検出用素子上に試料液や挿入剤を洗浄工程を経て繰り返し供給することができることに着目して、(a)生体物質検出用素子上への挿入剤の供給、(b)所定の生体物質とリガンドとの反応に基づく挿入剤の電気化学的信号測定、及び(c)リガンドに付着した挿入剤の除去、という一連の工程を繰り返して電気的化学信号の積算を行うことにより、生体物質の検出を高感度に行うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る生体物質検出装置の構成を示す断面図である。基台1は、中央上部に後に詳しく説明する生体物質検出用素子5を載せるための突出した素子載置部2を有し、さらに図中両側に試料液通過孔3、中央下部に試料液通過孔3に連通した試料液排出口4をそれぞれ有する。
【0029】
基台1上には、素子載置部2に載せられた生体物質検出用素子5を上下両側から保持すると共に、素子5への試料液の案内と、素子5を通過した試料液の試料液通過孔3への案内を主として行うための上部ホルダ6及び下部ホルダ7が配置されている。上部ホルダ6及び下部ホルダ7の構造については、後に詳しく説明する。
【0030】
上部ホルダ6の中央部には試料液導入部8が設けられており、この試料液導入部8には試料液供給パイプ10の先端が接続されている。試料液供給パイプ10の図示しない基端部は、図示しない試料液源が接続されており、この試料液源から適当な正圧を受けた試料液が試料液導入部8に導入される。試料液導入部8に導入された試料液は、生体物質検出用素子5上に案内され、ここで生体物質の検出に供された後、下部ホルダ6と上部ホルダ7とによって形成された試料液案内ダクト9及び基台1に形成された試料液通過孔3を経て、試料液排出口4から適当な負圧により外部へ排出される。
【0031】
上部ホルダ6には長方形状の貫通孔11が形成されており、この貫通孔11を通して接触電極15を挿入することにより、接触電極15の先端を生体物質検出用素子5上の作用極として機能する電極に接触させることが可能である。この接触電極15を用いることにより、生体物質検出用信号を電流、電位などの電気的信号として取り出すことができる。
【0032】
図2(a),(b),及び(c)は、上部ホルダ6の上面図、断面図及び下面図をそれぞれ示している。また、図2(c)においては試料液の通過経路を矢印で表している。上部ホルダ6は、生体物質検出用素子5に対向する下面の中央部12(基台1の素子載置部2に対向する部分)が下側にやや突出しており、この中央部12の周囲に、図1に示した試料液案内ダクト9へと連通するリング状の試料液通路13が形成されている。上部ホルダ6の下面には、試料液案内ダクト9を形成する凹部9Aが設けられている。
【0033】
上部ホルダ6の中央部に形成された試料液導入部8は、先細り形状の孔となっており、この試料液導入部8に導入された試料液は、まず放射状に周囲へと広がり、この過程で生体物質検出用素子5のリガンド固定化部上に案内される。この後、試料液は試料液通路13を経て試料液案内ダクト9に導かれ、前述したように基台1に形成された試料液通過孔3を経て試料液排出口4から外部へ排出されることになる。
【0034】
図3(a),(b),及び(c)は、下部ホルダ7の上面図、断面図、及び下面図をそれぞれ示している。下部ホルダ7は、中央部に図1に示した基台1の素子載置部2が挿入される孔14が形成されている。また、下部ホルダ7の図中左右両側に、図1に示した試料液案内ダクト9の他の一部を形成する矩形状の凹部9B及び凹部9Bに連通する円形の孔9Cが形成されている。
【0035】
このように試料液供給パイプ10から供給される試料液は、上部ホルダ6及び下部ホルダ7により案内されて生体物質検出用素子5に中央部から導入され、素子5の周辺部に設けられたリガンド固定化部上に均一に供給された後、下方から排出される。従って、試料液中の生体物質の検出を均一な条件で行うことが可能である。
【0036】
生体物質検出用素子5は、図1に示したように上部ホルダ6と下部ホルダ7とで保持されている。この場合、生体物質検出用素子5は生体物質検出装置に対して固定的に、つまり電極一体型構成であってもよいが、例えば上部ホルダ6を取り外すことにより、生体物質検出装置に対して着脱可能に構成された電極分離型構成であってもよい。
【0037】
次に、図4を参照して本実施形態における生体物質検出用素子5の具体的な構成について説明する。
【0038】
生体物質検出用素子5は、図4に示されるように素子基板20上に電極21,22,23及び電極パッド24を形成して構成される。電極21,22,23は表面が素子基板20の表面と同一面となるか、もしくは素子基板20の表面より若干引っ込むように埋め込まれて形成されていてもよい。電極21,22,23と電極パッド24とは、素子基板20上に形成された例えば多層配線により接続される。
【0039】
ここで、中央部に設けられた円形の電極21は、対極として機能する。この電極21を中心とする円環状に形成された電極23は、対極の電位の基準を与えるための参照極として機能する。この電極23の内周側の円周上に、所定ピッチで複数の円形状の電極22が配置されており、これらの電極22は生体物質を検出するための作用極として機能する。電極21,22,23の表面は図示しない絶縁性薄膜によって被覆され、さらにこの絶縁性薄膜にはリソグラフィ処理が施される。これにより電極21,22,23の表面の一部は電気信号が取り出されるよう導体部分が露出する。絶縁性薄膜へのリソグラフィ処理については後述する。
【0040】
作用極である電極22には、少なくとも一種類の特異的検出用リガンドが固定されている。すなわち、電極22はリガンド固定化部を兼ねている。電極22の各々に固定化されるリガンドは、検出対象の生体物質に応じて、例えば遺伝子、遺伝子プローブ、タンパク質、タンパク質断片、補酵素、レセプタ及び糖鎖のいずれかから選択される。
【0041】
ここで、電極22の各々に異なったリガンドを固定化すれば、一度に複数の生体物質を検出することができる。また、電極22の各々に同じリガンドを固定化することで、一度に多数の生体物質の検出を行うことも可能である。フォトリソグラフィを利用して、予め素子基板20上に多数の電極22(リガンド固定化部)をパターニングしておくと、生体物質検出用素子5の量産性が向上する。
【0042】
検出対象生体物質が遺伝子の場合、電極22にはリガンドとしてDNAプローブが固定される。DNAプローブとは、周知のように特定の遺伝子と反応する1本鎖遺伝子である。試料液中の遺伝子を1本鎖状態にしておくと、電極22に固定されているDNAプローブに対応して特定の配列を持つ遺伝子のみが電極22にトラップされ、やがてDNAプローブとその遺伝子とが相補的な結合を行う(ハイブリダイゼーション)。
【0043】
以上の構成をさらに具体的に説明すると、まず、素子基板20に用いる基板材料は特に限定されるものではないが、例えばガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素、等の無機絶緑材料を使用できる。また、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を基板材料に用いることもできる。さらに、後述する光学的手法で生体物質検出を行う場合であれば、基板材料としてナイロンやセルロースなどの繊維薄膜を適用することも可能である。
【0044】
電極21,22,23に用いる電極材料についても、特に限定されるものではないが、特に作用極となる電極22の材料(リガンド固定化スポットを含む)については、生体物質の検出を電気化学的に検出する場合、例えば、金、金の合金、銀、プラチナ、水銀、ニッケル、パラジウム、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム、タングステン等の金属単体及びこれらの金属を少なくとも2種以上含む合金、あるいはグラファイト、グラシーカーボン等の炭素等、またはこれらの酸化物、化合物、あるいは酸化珪素等の半導体化合物や、CCD、FET、CMOSなど各種半導体デバイスを用いることが可能である。
【0045】
電極21,22,23の作製法としては、メッキ、印刷、スパッタ、蒸着などを用いることができる。蒸着法としては、抵抗加熱法、高周波加熱法及び電子ビーム加熱法のいずれかを用いることができる。スパッタリング法としてとしては、直流2極スパッタリング、バイアススパッタリング、非対称交流スパッタリング、ゲッタスパッタリング及び高周波スパッタリングのいずれかを用いることが可能である。さらに、電極としてポリピロール、ポリアニリンなどの電解重合膜や導電性高分子も用いることが可能である。
【0046】
電極21,22,23の表面を覆う絶縁性薄膜に用いる絶縁材料については、特に限定されるものではないが、例えばフォトポリマやフォトレジスト材料が好ましい。フォトレジスト材料としては、光露光用フォトレジスト、遠紫外用フォトレジスト、X線用フォトレジスト、電子線用フォトレジストが用いられる。光露光用フォトレジストには、主原料が環化ゴム、ポリけい皮酸、ノボラック樹脂が挙げられる。遠紫外用フォトレジストには、環化ゴム、フェノール樹脂、ポリメチルイソプロペニルケトン(PMIPK),ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が用いられる。また、X線用レジストには、COP、メタルアクリレートほか、薄膜ハンドブック(オーム社)に記載の物質を用いることができる。電子線用レジストには、PMMA等のような薄膜ハンドブック(オーム社)に記載の物質を用いることが可能である。ここで用いるレジストの厚さは10nm以上、1mm以下であることが望ましい。
【0047】
作用極である電極22をフォトレジストによって被覆し、リソグラフィを行うことで、電極22の面積を一定にすることが可能になる。これによって、DNAプローブなどのリガンド固定化量がそれぞれの電極22間で均一になり、再現性に優れた生体物質検出を可能にする。従来、レジスト材料は最終的には除去するのが一般的であるが、電極22がDNAプローブの固定された遺伝子検出用である場合においては、レジスト材料を除去することなく電極22の一部として用いることも可能である。この場合は、用いるレジスト材料に耐水性の高い物質を使用する必要がある。
【0048】
電極21,22,23の上部に形成する絶緑薄膜には、フォトレジスト材料以外の材料を用いることも可能である。例えば、Si、Ti、Al、Zn、Pb、Cd、W、Mo、Cr、Ta、Ni等の酸化物、窒化物、炭化物、そのの他合金を用いることも可能である。これらの材料をスパッタ、蒸着あるいはCVD等を用いて薄膜を形成した後、フォトリソグラフィで電極露出部のパターニングを行い、面積を一定に制御する。
【0049】
これらの電極21,22,23は、電極パッド24を介して駆動回路25に接続される。駆動回路25は、各電極21,22,23に所定極性の電圧を印加することにより、生体物質検出用素子5上の中央部に導入された試料液を放射状に周囲に拡散させて、作用極である電極22上に導き、さらには電極22上で試料液中の検出対象生体物質を順次電極22の配列方向(円周方向)に移動させる。
【0050】
この動作を図5を参照して説明する。検出対象生体物質が遺伝子の場合、遺伝子の水溶液である試料液が試料液供給パイプ10から試料液導入部8を介して生体物質検出用素子5上に導入され、中央部の電極21上に供給される。遺伝子の荷電極性は、負である。
【0051】
試料液を導入する際には、駆動回路25によって図5(a)に示すように、対極である電極21に遺伝子の荷電極性と同極性である負極性の電圧、作用極である電極22に遺伝子の荷電極性と逆極性である正極性の電圧、参照極である電極23に負極性の電圧をそれぞれ印加する。従って、電極21上に供給された試料液は、遺伝子の荷電極性と同極性である負極性の電圧が印加されている電極21によって静電反発力を受け、周辺部に向かって放射状に移動する。この際、前述のように試料液に若干の負圧を与えると、試料液はより速やかに移動することができる。
【0052】
電極21上から周辺部に向かって移動した試料液は、やがて電極22上に到達する。ここで、電極22には試料液中の遺伝子の荷電極性と逆極性である正極性の電圧が印加されているため、遺伝子は静電吸引力によって電極22上にトラップされる。この場合、電極22のさらに外周側に配置された参照極であるリング状の電極23は、電極21と同様に遺伝子の荷電極性と同極性である負極性の電圧が印加されているので、電極22上の遺伝子は電極23による静電反発力を受けて電極22上に閉じこめられる形となり、電極23より外部へは向かわない。
【0053】
こうして電極22上に試料液中の遺伝子がトラップされると、電極22に固定されているリガンドであるDNAプローブと試料液中の特定の遺伝子とが反応し結合する。これがハイブリダイゼーションである。この場合、電極22上の遺伝子は上述のように電極23による静電反発力で閉じこめられることにより濃縮されるため、リガンドとの反応、すなわちハイブリダイゼーションは効率的に行われる。
【0054】
次に、図5(b)に示すように、電極21及び電極22の印加電圧の極性は図5(a)と同じままとし、電極23の印加電圧のみを遺伝子の荷電極性と逆極性である正極性とすることにより、電極22上の試料液中の遺伝子のうち、リガンドとの反応に寄与しなかった遺伝子は電極23による静電吸引力で電極22から離脱し、電極23上にトラップされる。
【0055】
この後、電極22及び電極23に共に負極性の電圧を印加とすれば、電極23上にトラップされていた、つまりリガンドとの反応に寄与しなかった遺伝子はさらに外側に向かい、素子基板20上から試料液と共に試料液案内ダクト9及び試料液通過孔3を経て、試料液排出口4から排出されることになる。
【0056】
なお、図5(a)の状態から図5(b)ではなく図5(c)に示す状態に印加電圧の極性を制御してもよい。すなわち、電極21への印加電圧の極性を正極性とし、電極22への印加電圧を負極性とするとともに電極23への印加電圧を正極性とする。なお、電極21の極性を負極性としてもよい。電極21が正極性であることにより、電極22に絡みついている遺伝子を該電極22から引き離す効果が強まる。ただし、中央に不要な遺伝子が残留することになるから、後にこれを洗い流す工程が必要になる。なお、電極21を負極性とした場合、電極22に絡みついた不要な遺伝子は外側の電極23に引き寄せられることになるから、後の洗浄工程が容易化する。電極21の極性を正負どちらの極性にするかについては、洗浄工程を含むシステム全体を考慮して決定することが好ましい。この図5(c)の場合によっても、電極22上において未結合の遺伝子を排除してハイブリダイゼーションを効率的に行うことができる。
【0057】
上記の動作説明では、図5(a),(b)に示したように複数の電極22に全て検出対象である遺伝子の荷電極性と同極性(負極性)の電圧が印加したが、電極22が円周上に配列されていることを利用して、電極22への印加電圧の極性を動的に切り替えることにより、試料液中の遺伝子が電極22上を配列方向(円周方向)に順次移動するようにしてもよい。
【0058】
図6を参照して説明すると、まず図6(a)に示すように電極22のうち点線で囲んだ隣接する2個の電極の組に正極性の電圧を印加し、この組の電極に隣接する電極に負極性の電圧を印加する。電極22の印加電圧の極性を電極22の配列方向である円周方向で見ると、、…正−正−負−正−正−負−正−正−負−正…のようになる。
【0059】
次に、所定の単位時間後に、図6(b)に示すように正極性の電圧を印加する2個の電極の組の位置を電極1個分だけずらせ、それに伴い2個の電極の組に隣接した負極性の電圧を印加する電極の位置も電極1個分だけずらす。さらに所定の単位時間経過後に、図6(c)に示すように正極性の電圧を印加する2個の電極の組の位置と極性の電圧を印加する電極の位置を電極1個分だけずらす。図6(b),(c)の例では、正極性の電圧を印加する2個の電極の組の位置と極性の電圧を印加する電極の位置を時計回りにずらせている。以下、このような印加電圧の極性の切り替えを単位時間毎に、つまり所定周期で行う。
【0060】
このように電極22に電圧を極性を切り替えながら印加することにより、試料液中の検出対象生体物質(例えば遺伝子)が隣接する電極22の配列上を円周方向に移動し、電極22の各々に固定されているリガンド(例えばDNAプローブ)と均一に効率よく反応することができる。すなわち、検出対象生体物質は電極22の配列上を移動する過程で、その検出対象生体物質と相補的な関係にあるリガンドが固定されている電極上に必ず位置することになり、そのときに当該リガンドと反応することができる。
【0061】
この場合、リガンド固定化部である電極22にトラップされた検出対象生体物質(この例では遺伝子)は、電極22のうち検出対象生体物質の荷電極性と同極性の電圧が印加された電極による静電反発力により、非特異的に結合しているものが強制的に排除されることになるので、検出精度を著しく向上させることが可能となる。
【0062】
なお、図6の例では電極22のうち隣接する2個の電極に第1の極性(上記の例では負極性)の電圧を印加し、当該2個の電極の組に隣接する電極にこれと逆の第2の極性(上記の例では正極性)の電圧を印加する動作を電極22の配列方向において電極1個分ずつずらせて行うようにしたが、これに限られるものではない。第1の極性の電圧を印加する電極の数をn、第2の電極を印加する電極の数をm、印加電圧の極性を切り替える際にずらす電極数をpとしたとき、n,m,pは全て1以上の任意の数に選ぶことができる。最も単純には、n=m=p=1でもよく、その場合、電極22の一つに注目すると、印加電圧の極性を周期的に正極性と負極性とに交互に切り替えることになる。
【0063】
次に、図7を参照して第1実施形態の変形例に係る生体物質検出用素子における電極構成について説明する。
【0064】
図7に示す生体物質検出用素子においては、中央部に対極として機能する円形の電極31が配置され、その外周側に所定距離隔てて円環状の電極34Aが配置され、さらにその外周側に所定距離隔ててもう一つの円環状の電極34Bが配置されている。電極34Bの外周側所定距離隔てた位置の円周上には、先の実施形態と同様に複数個の円形状の電極32が所定ピッチで配列されており、これらの電極32は作用極として機能する。さらに、電極32の外周側に順次所定距離隔てて円環状の電極33A,33Bが配置されており、これらの電極33A,33Bは参照極として機能する。
【0065】
このような構成において、図示しない回路により図7に示すように各電極31、34A,34B、32、33A,33Bに印加する電圧の極性を切り替えることにより、試料液中の検出対象生体物質を濃縮させつつ周辺部に移動させることができる。
【0066】
すなわち、まず図7(a)に示すように電極31に負極性、電極34Aに正極性、電極34Bに負極性の電圧を印加し、さらに電極32に正極性、電極33A,33Bに負極性の電圧を印加する。このとき、先の実施形態と同様に、生体物質検出用素子の中央部上に導入された試料液中の負の荷電極性を持つ検出対象生体物質(例えば遺伝子)は、この荷電極性と同極性の電圧が印加された中央部の電極31による静電反発力によって、周辺部へと移動する。
【0067】
ここで、電極31より外周側に位置する電極34Aには、検出対象生体物質の荷電極性と逆極性の電圧が印加され、さらに電極34Aより外周側に位置する電極34Bには、荷電極性と同極性の電圧が印加されているため、電極31上から電極34A上に移動した検出対象生体物質は、電極34Aによる静電吸引力と電極34Aの両側に位置する電極31及び電極34Bによる静電反発力とによって、電極34A上に閉じこめられ、濃縮される。
【0068】
次に、駆動回路により図7(b)に示すように電極34Aに印加する電圧を負極性、電極34Bに印加する電圧を正極性にそれぞれ反転させる。他の電極31,32,33A,33Bに印加する電圧の極性は、図7(a)と同じに保つ。図7(a)の状態で電極34A上に閉じこめられていた検出対象生体物質は、図7(b)の状態では電極34Aによる静電反発力と電極34Bによる静電吸引力により電極34B上に移動する。
【0069】
次に、駆動回路により図7(c)に示すように図7(b)の状態から電極34Bに印加する電圧の極性だけを負極性へと反転させると、電極34B上に移動していた検出対象生体物質は、電極34A,34Bによる静電反発力と電極32による静電吸引力により電極32上に移動する。この状態では、電極32上の検出対象生体物質は32による静電引力と電極32の両側に位置する電極34Aと電極33Aによる静電反発力とによって電極32上に閉じこめられ、濃縮される。
【0070】
このようにして、生体物質検出用素子の中央部に導入された試料液中の検出対象生体物質を濃縮させながら順次周辺部に移動させ、最終的にリガンドが固定された電極32上に濃縮状態で供給することが可能となる。すなわち、本実施形態によるとリガンドが固定化された電極32上で検出対象生体物質が濃縮状態となるため、従来のようにPCR法などの遺伝子増幅法によって予め検出対象生体物質を増幅することなく、検出対象生体物質とリガンドを効率よく反応させることができ、検出効率が向上する。
【0071】
また、第1実施形態の別の変形例に係る生体物質検出用素子においても、先の実施形態と同様に図8(a)乃至(c)に示すように作用極である電極32への印加電圧の極性を動的に切り替えることにえることにより、試料液中の遺伝子が電極32上を配列方向(円周方向)に順次移動するようにしてもよい。
【0072】
すなわち、まず図8(a)に示すように電極32のうち点線で囲んだ隣接する2個の電極の組に正極性の電圧を印加し、この組の電極に隣接する電極に負極性の電圧を印加する。次に、所定の単位時間後に、図8(b)に示すように正極性の電圧を印加する2個の電極の組の位置を電極1個分だけずらせ、それに伴い2個の電極の組に隣接した負極性の電圧を印加する電極の位置も電極1個分だけずらす。さらに所定の単位時間経過後に、図8(c)に示すように正極性の電圧を印加する2個の電極の組の位置と極性の電圧を印加する電極の位置を電極1個分だけずらす。以下、このような印加電圧の極性の切り替えを単位時間毎に、つまり所定周期で行うことにより、試料液中の検出対象生体物質(例えば遺伝子)が隣接する電極32の配列上を円周方向に移動し、電極32の各々に固定されているリガンドと均一に効率よく反応することができる。
【0073】
図9は、第1実施形態の別の変形例に係る生体物質検出用素子の構成を示す平面図である。
【0074】
本実施形態の生体物質検出用素子では、素子基板40上の中央部に対極となる円形状の第1電極41が配置され、周辺部に円環状の参照極となる第3電極43が配置されている点は先の二つの実施形態と同様であるであるが、作用極となる電極は第2電極42A,42Bで示すように同心の円周上に2列にわたって配列されている点が先の実施形態と異なっている。この例では作用極となる電極が2列形成されているが、3列以上であってもよい。
【0075】
このように作用極となる電極を複数列にわたって形成することにより、これらの電極に固定化されているリガンドと検出対象生体物質をより確実に反応させることが可能となり、検出効率をさらに向上させることができる。
【0076】
図10は、本発明のさらに別の実施形態における生体物質検出用素子と駆動回路の構成を示す。本実施形態の生体物質検出用素子5では、先の実施形態で説明した第1の電極21が除去され、この電極21が除去された位置、すなわち第2の電極22の配列の中央部を試料液受入部25としている。また、電極21の除去に伴い、電極21と駆動回路5との結線も除去されている。
【0077】
先の実施形態では、例えば図5(a)において説明したように、第1電極21に遺伝子の荷電極性と同極性である負極性の電圧、第2電極22に遺伝子の荷電極性と逆極性である正極性の電圧をそれぞれ印加することによって、電極21上に供給された試料液が遺伝子の荷電極性と電極21により静電反発力を受けて、周辺部の電極22に向かって放射状に移動し易くするようにした。
【0078】
しかし、例えば前述の試料液排出口4から試料液を外部へ排出するときに試料液に与える負圧をある程度大きくすると、試料液受入部25に供給されてきた試料液は、先の実施形態で述べたような第1電極21による静電反発力を利用しなくとも、第2電極22による静電吸引力のみによっても電極22側に移動させることができる。
【0079】
また、同様の変形は図7〜図9に示した構成にも適用でき、例えば図7〜図8における第1電極31あるいは図9に示した第1電極41を除去し、それらの電極31または41が除去された位置を試料液受入部とした構成とすることも可能である。
【0080】
本発明による生体物質検出用素子ないしは生体物質検出装置が対象とする試料検体は、特に限定されるものではなく、例えば、血液、血清、白血球、尿、便、精液、唾液、組織、培養細胞、喀痰等を用いることができる。ここで、検出対象物質が遺伝子の場合、これらの試料検体から例えば遺伝子の抽出を行う。抽出方法は特に限定されるものではなく、フェノール−クロロホルム法等の液一液抽出法や、担体を用いる固液抽出法を用いることができる。また、市販の核酸抽出方法QIAamp(QIAGEN社製)、スマイテスト(住友金属社製)等を利用することも可能である。
【0081】
次に、こうして抽出した遺伝子の試料溶液を前述の実施形態で説明した生体物質検出用素子(DNAチップ)上に導入し、リガンドであるDNAプローブが固定化された電極上でハイブリダイゼーション反応を行う。反応溶液は、例えばイオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液とする。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストランや、サケ精子DNA、牛胸腺DNA、EDTA、界面活性剤などを適宜添加することが可能である。ここに抽出した試料遺伝子を添加し、生体物質検出用素子への導入前に90℃以上で熱変性させることが必要となる。未反応の試料遺伝子は、試料液排出口4から回収され、必要に応じて再度、生体物質検出用素子に導入することもできる。
【0082】
抽出した遺伝子は、あらかじめFITCやCy3、Cy5、ローダミンなどの蛍光色素やビオチン、ハプテン、オキシダーゼやポスファターゼ等の酵素や、フェロセンやキノン類等の電気化学的に活性な物質で標識するか、あるいは、これらの物質で標識したセカンドプローブを用いることで検出が可能になる。蛍光色素で標識した場合には、光学的検出が可能になる。
【0083】
電気化学的に活性なDNA結合物質を用いた検出を行う場合は、以下のような手順で検出を行う。
【0084】
DNAプローブが固定化された電極(作用極)の表面に形成された二本鎖DNA部分に、選択的に結合するDNA結合物質を作用させ、電気化学的な測定を行う。ここで用いられるDNA結合物質は特に限定されるものではないが、例えば、ヘキスト33258、アクリジンオレンジ、キナクリン、ドウノマイシン、メタロインターカレータ、ビスアクリジン等のビスインターカレータ、トリスインターカレータ、ポリインターカレータ等を用いることが可能である。さらに、これらのインターカレータを電気化学的に活性な金属錯体、例えば、フェロセン、ビオロゲン等で修飾しておくことも可能である。
【0085】
DNA結合物質の濃度は、その種類によって異なるが、一般的には1ng/ml〜1mg/mlの範囲で使用する。この際、イオン強度0.001〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。
【0086】
作用極としての電極をDNA結合物質と反応させた後、洗浄し、電気化学的な測定を行う。電気化学的な測定は、3電極タイプ、すなわち参照極、対極、作用極、あるいは2電極タイプ、すなわち対極、作用極で行う。測定では、DNA結合物質が電気化学的に反応する電位以上の電位を印加し、DNA結合物質に由来する反応電流値を測定する。この際、電位は定速で掃引するか、あるいはパルスで印加するか、あるいは、定電位を印加することができる。測定には、ポテンショスタット、デジタルマルチメータ、ファンクションジェネレータ等の装置を用いて電流、電圧を制御する。
【0087】
[実施例(Example)1]
図1〜図3と図7及び図8で説明した生体物質検出用素子を電極一体型のインターフェロン治療効果予測用DNAチップとして構成し、以下の実験を行った。
【0088】
まず、ヒトの白血球から染色体DNAを採取し、適当なプライマを用いてMxA遺伝子部分の100bp程度の断片をPCR増幅した。増幅後、熱変性させたものをDNAチップに導入した。なお、予めDNAチップの電極32上にはMxA遺伝子中に存在するSNP(一塩基多型)に関連するDNAプローブが固定化されている。試料導入後、2時間放置してから緩衝液で洗浄し、DNA結合物質(ヘキスト33258)を作用させたところ、電気的に荷電を制御しない場合でも、インターフェロン治療効果を予測できることが分かったが、液の流れ方により結果にばらつきが生じることが明らかとなった。
【0089】
これに対し、図8で説明したように各電極に印加する電圧の極性を切り替えることにより、導入した遺伝子を濃縮させつつ周辺部に移動させ、遺伝子が電極32上にトラップされた状態で、図7に示すように個々の電極32に印加する電圧の極性を切り替えて、遺伝子を電極32の配列上を移動させることにより、PCR増幅を行わなくとも、精度良く治療効果予測ができることが分かった。
【0090】
[実施例(Example)2]
実施形態で説明した同様の生体物質検出用素子を電極分離型生体物質検出用チップとして構成し、以下の実験を行った。
【0091】
予めナイロン膜に、各種ヒト腫瘍マーカに対する抗体を固定化した。この膜と接触する形で、膜下部に各電極を配した。ヒト血清を試料にして腫瘍マーカの検出を行ったところ、0.1ng/mLオーダーまで高感度に再現性良く検出できることが確認された。なお、この際には第2抗体として西洋大根由来ペルオキシダーゼで標識したものを使用し、発光検出系用の基質を適用した。
【0092】
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態に係る生体物質検出装置の構成を示す断面図である。基台1は、中央上部に生体物質検出用素子5を載せるための突出した素子載置部2を有し、さらに図中両側に試料液や挿入剤、洗浄剤などを通過させる液通過孔3、中央下部に液通過孔3に連通した液排出口4をそれぞれ有する。基台1上には、素子載置部2に載せられた生体物質検出用素子5を上下両側から保持すると共に、素子5への液の案内と、素子5を通過した液の液通過孔3への案内を主として行うための上部ホルダ6及び下部ホルダ7が配置されてされている。上部ホルダ6の中央部には液導入部8が設けられており、この液導入部8には液供給パイプ10が接続されている。液供給パイプ10には、制御部50によって制御される試料液供給部51、挿入剤供給部52及び洗浄液供給部53のいずれかが選択的に接続される。さらに、制御部50によって制御される測定部54は、後に説明するように挿入剤による電気化学的信号の測定を行って、生体物質の検出結果を出力する。液供給パイプ10から液導入部8に導入された試料液は、生体物質検出用素子5上に案内され、ここで生体物質の検出に供された後、下部ホルダ6と上部ホルダ7とによって形成された液案内ダクト9及び基台1に形成された液通過孔3を経て、液排出口4から外部へ排出される。上部ホルダ6には長方形状の貫通孔11が形成されており、この貫通孔11を通して接触電極15を挿入することにより、接触電極15の先端を生体物質検出用素子5上の作用極として機能する電極に接触させることが可能である。この接触電極15を用いることにより、生体物質検出信号を電流、電位などの電気的信号として取り出すことができる。
【0093】
なお、図11に示された生体物質検出装置において、上部ホルダ6、下部ホルダ7の詳細な構成は、図2、図3に示したものと同様である。また、生体物質検出用素子5の詳細な構成についても、図4に示したものと同様である。上述したように、検出対象生体物質が遺伝子の場合、電極22にはリガンドとしてDNAプローブが固定される。試料液中の遺伝子を1本鎖状態にしておく。電極22に固定されているDNAプローブに対応して特定の配列を持つ遺伝子のみが電極22にトラップされる。やがて、DNAプローブとその遺伝子とが相補的な結合を行う(ハイブリダイゼーション)。その他、図4において、素子基板20に用いる基板材料、電極21,22,23に用いる電極材料、電極21,22,23の作製法、電極21,22,23の表面を覆う絶縁性薄膜に用いる絶縁材料等についても上述したものと同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0094】
ここで、図12に示すフローチャートを参照して本実施形態における生体物質の検出手順を説明する。
【0095】
まず最初に、制御部50からの制御の下、試料液供給部51は、検出対象生体物質を含んだ試料液を供給パイプ10に供給する(ステップS1)。液供給パイプ10に供給された試料液は、液導入部8を介して生体物質検出用素子5上に導入され、駆動回路25により所定の電圧が印加される電極21〜23による静電力によって、電極21上から電極22上、さらに電極23上へと移動してゆく(図4参照)。最終的には、該試料液は、生体物質検出用素子5上から離脱し、液案内ダクト9及び液通過孔3を経て液排出口4から排出される。
【0096】
この過程で、電極22に固定化されているリガンドに試料液が付着し、ハイブリダイゼーションが行われる。具体的に、例えば検出対象生体物質が遺伝子であり、リガンドがDNAプローブ、つまり特定遺伝子に反応する1本鎖DNAの場合、DNAプローブに試料液が付着することにより試料液中のDNAが1本鎖状態となる。
【0097】
次に、第1回目の洗浄を行う(ステップS2)。この第1洗浄工程においては、制御部50からの制御の下、洗浄液供給部53が洗浄液を供給パイプ10に供給する。これにより生体物質検出装置内の不要な試料液、具体的には電極22上に付着している試料液(生体物質)以外の試料液が洗浄され、除去される。除去された不要な試料液は、洗浄液と共に排出される。
【0098】
次に、制御部50による制御の下、挿入剤供給部52は、生体物質の検出感度を向上させるための挿入剤、例えば2本鎖DNAに特異的に反応する核酸挿入剤を供給パイプ10に供給する(ステップS3)。続いて、第2回目の洗浄が行われる(ステップS4)。
【0099】
この第2洗浄工程では、制御部50による制御の下、洗浄液供給部53が、洗浄液を供給パイプ10に供給する。これにより不要な挿入剤、つまり電極22上に付着している以外の挿入剤を洗浄して除去する。除去された不要な試料液は、ステップS1の試料液供給工程における洗浄液の排出経路を介して洗浄液と共に排出される。
【0100】
次に、制御部50による制御の下、測定部54は、対極である電極21と作用極である電極22との間に電圧を印加する。そして測定部54は、両電極21,22を介して流れる電流、すなわち、電極22に固定化されているリガンドと試料液中の特定の生体物質との結合部分に入り込み、該結合部分に付着している挿入剤から得られる酸化電流を測定する。かくして挿入剤を用いた電気化学的信号の測定が行われる。(ステップS5)。
【0101】
次に、第3回目の洗浄を行う(ステップS6)。この第3洗浄工程では、制御部50による制御の下、洗浄液供給部53が洗浄液を供給パイプ10に供給する。特にここでは、電極22に固定化されているリガンドに付着し、電気化学的信号の測定に寄与した挿入剤も含め、全ての挿入剤を洗浄、除去する。
【0102】
さらに、上述したステップS1〜S6のうち、ステップS3〜S6の工程を、予め決定した規定回数に達したとステップS7で判断されるまで繰り返す。すなわち、(a)挿入剤の供給、(b)電流測定(挿入剤による電気化学的信号の測定)、及び(c)リガンドに付着した挿入剤の除去、の一連の工程を繰り返す。
【0103】
測定部34は、この一連の工程において測定された複数の測定結果、すなわち検出対象物質に依存する電流(酸化電流)の値を積算する。これにより検出対象物質に依存した挿入剤による電気化学的信号のみが積算され、他のバックグラウンド電流のようなランダムなノイズ成分は積算の過程でキャンセルされる。したがって、特定の生体物質を高感度に検出することが可能となる。
【0104】
図13は、第2実施形態の変形例に係る生体物質検出用素子の構成を示す平面図である。
【0105】
この生体物質検出用素子では、素子基板40上の一方の端部(図中左端)に液導入部41、他方の端部(図中右端)に液排出部43がそれぞれ配置され、中央部にマトリクス状に作用極となる電極42が配列されている。液導入部41から試料液、挿入剤、洗浄液のいずれかが導入され、電極42上を移動した後に、液排出部43から排出される。
【0106】
このような構成の生体物質検出用素子を用いた場合でも、図12に示したような手順の工程を行うことにより、特定の生体物質を高感度に検出することができるという上述と同様の効果を得ることができる。
【0107】
本発明による生体物質検出用素子ないしは生体物質検出装置が対象とする試料検体は、特に限定されるものではなく、例えば、血液、血清、白血球、尿、便、精液、唾液、組織、培養細胞、喀痰等を用いることができる。ここで、検出対象物質が遺伝子の場合、これらの試料検体から例えば遺伝子の抽出を行う。抽出方法は特に限定されるものではなく、フェノール−クロロホルム法等の液−液抽出法や、担体を用いる固液抽出法を用いることができる。また、市販の核酸抽出方法QIAamp(QIAGEN社製)、スマイテスト(住友金属社製)等を利用することも可能である。
【0108】
次に、こうして抽出した遺伝子の試料溶液を前述の実施形態で説明した生体物質検出用素子(DNAチップ)上に導入し、リガンドであるDNAプローブが固定化された電極上でハイブリダイゼーション反応を行う。反応溶液は、例えばイオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液とする。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストランや、サケ精子DNA、牛胸腺DNA、EDTA、界面活性剤などを適宜添加することが可能である。ここに抽出した試料遺伝子を添加し、生体物質検出用素子への導入前に90℃以上で熱変性させることが必要となる。未反応の試料遺伝子は、試料液排出口4から回収され、必要に応じて再度、生体物質検出用素子用素子に導入することもできる。
【0109】
抽出した遺伝子は、あらかじめFITCやCy3、Cy5、ローダミンなどの蛍光色素やビオチン、ハプテン、オキシダーゼやポスファターゼ等の酵素や、フェロセンやキノン類等の電気化学的に活性な物質で標識するか、あるいは、これらの物質で標識したセカンドプローブを用いることで検出が可能になる。蛍光色素で標識した場合には、光学的検出が可能になる。
【0110】
電気化学的に活性なDNA結合物質を用いた検出を行う場合は、以下のような手順で検出を行う。
【0111】
DNAプローブが固定化された電極(作用極)の表面に形成された二本鎖DNA部分に、選択的に結合するDNA結合物質を作用させ、電気化学的な測定を行う。ここで用いられるDNA結合物質は特に限定されるものではないが、例えば、ヘキスト33258、アクリジンオレンジ、キナクリン、ドウノマイシン、メタロインターカレータ、ビスアクリジン等のビスインターカレータ、トリスインターカレータ、ポリインターカレータ等を用いることが可能である。さらに、これらのインターカレータを電気化学的に活性な金属錯体、例えば、フェロセン、ビオロゲン等で修飾しておくことも可能である。
【0112】
DNA結合物質の濃度は、その種類によって異なるが、一般的には1ng/ml〜1mg/mlの範囲で使用する。この際、イオン強度0.001〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。
【0113】
作用極としての電極をDNA結合物質と反応させた後、洗浄し、電気化学的な測定を行う。電気化学的な測定は、3電極タイプ、すなわち参照極、対極、作用極、あるいは2電極タイプ、すなわち対極、作用極で行う。測定では、DNA結合物質が電気化学的に反応する電位以上の電位を印加し、DNA結合物質に由来する反応電流値を測定する。この際、電位は定速で掃引するか、あるいはパルスで印加するか、あるいは、定電位を印加することができる。測定には、ポテンショスタット、デジタルマルチメータ、ファンクションジェネレータ等の装置を用いて電流、電圧を制御する。
【0114】
[実施例(Example)3]
図11に示した生体物質検出用素子5を電流検出型のインターフェロン治療効果予測用DNAチップとして構成し、以下の実験を行った。
【0115】
まず、ヒトの白血球から染色体DNAを採取し、適当なプライマを用いてMxA遺伝子部分の100bp程度の断片をPCR増幅した。増幅後、熱変性させたものをDNAチップに導入した。なお、予めDNAチップの電極32上にはMxA遺伝子中に存在するSNP(一塩基多型)に関連するDNAプローブが固定化されている。試料導入後、2時間放置してから緩衝液で洗浄し、DNA結合物質(ヘキスト33258)を作用させたところ、高濃度であれば電気的に荷電を制御しない場合でも、インターフェロン治療効果を予測できることが分かったが、液の流れ方により結果にばらつきが生じることが明らかとなった。
【0116】
これに対し、図8で説明したように各電極に印加する電圧の極性を切り替えることにより、導入した遺伝子を濃縮させつつ周辺部に移動させ、遺伝子が電極32上にトラップされた状態で、図7に示すように個々の電極32に印加する電圧の極性を切り替えて、遺伝子を電極32の配列上を移動させるようにし、さらに図12で説明したようにステップS3〜S6で示した一連の工程を複数回繰り返すことにより、最終的にはPCR増幅を行わなくとも、高感度かつ高精度に治療効果予測ができることが分かった。
【0117】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず種々変形して実施可能である。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、検出対象の物質とリガンドとを均一な条件で反応させることができる生体物質検出用素子及び検出装置及び方法を提供できる。また、本発明によれば検出時に試料液中の生体物質の濃縮することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る生体物質検出用素子を含む生体物質検出装置の構成を示す断面図
【図2】 (a)は第1実施形態における上部ホルダの上面図、(b)は第1実施形態における上部ホルダの断面図、(c)は第1実施形態における上部ホルダの下面図
【図3】 (a)は第1実施形態における下部ホルダの上面図、(b)は第1実施形態における下部ホルダの断面図、(c)は第1実施形態における下部ホルダの下面図
【図4】 第1実施形態に係る生体物質検出用素子の平面図と生体物質検出用素子の駆動回路の結線を示す図
【図5】 第1実施形態に係る生体物質検出用素子の基本動作を説明するための図
【図6】 第1実施形態に係る生体物質検出用素子における検出対象生体物質の作用極上での移動動作を説明するための図
【図7】 第1実施形態の変形例に係る素子の電極構成と該生体物質検出用素子における検出対象生体物質の濃縮及び周辺部への移動動作を説明するための図
【図8】 第1実施形態の別の変形例に係る生体物質検出用素子における検出対象生体物質の作用極上での移動動作を説明するするための図
【図9】 第1実施形態のさらに別の変形例に係る生体物質検出用素子の構成を示す平面図
【図10】 第1実施形態のさらに別の変形例に係る生体物質検出用素子の平面図と生体物質検出用素子の駆動回路の結線を示す図
【図11】 本発明の第2実施形態に係る生体物質検出装置の構成を示す断面図
【図12】 第2実施形態における生体物質の検出手順を説明するためのフローチャート
【図13】 第2実施形態の変形例に係る生体物質検出用素子の構成を示す平面図
【図14】 電気化学的遺伝子検出法の原理説明図
【図15】 電気化学的遺伝子検出法におけるDNA結合物質(へキスト33258)の電流−電位応答の例を示す図
【図16】 従来の電気化学的測定を用いる生体物質検出装置の構成を示す断面図
【図17】 従来の電気化学的測定による生体物質検出手順を示すフローチャート
【図18】 従来の電気化学的測定を用いる生体物質検出による遺伝子検出結果の例を示す図
【符号の説明】
1…基台
2…素子載置部
3…試料液通過孔
4…試料液排出口
5…生体物質検出用素子
6…上部ホルダ
7…下部ホルダ
8…試料液導入部
9…試料液案内ダクト
13…試料液通路
15…接触電極
20…素子基板
21…第1電極(対極)
22…第2電極(作用極)
23…第3電極(参照極)
25…試料液受入部
31…第1電極(対極)
32…第2電極(作用極)
33A,33B…第3電極(参照極)
34A,34B…環状電極
41…第1電極(対極)
42A,42B…第2電極(作用極)
43…第3電極(参照極)

Claims (5)

  1. 荷電した生体物質を含む試料液を導入し、該生体物質を検出する生体物質検出装置であって、
    基板と、
    該基板上の前記試料液を導入する位置に設けられた少なくとも一つの第1電極、及び該基板上の該第1電極の周囲に円周方向に沿って所定間隔で配列され、所定の生体物質と反応するリガンドをそれぞれ固定化した複数の第2電極、及び前記第1電極と第2電極の配列との間に同心円状に配置された少なくとも二つの環状電極を有する生体物質検出用素子と、
    前記第1電極に前記生体物質の荷電極性と同極性の電圧を印加し、前記第2電極の少なくとも一部に前記荷電極性と逆極性の電圧を印加し、前記試料液中の生体物質を前記第2電極の方向に移動させるために前記少なくとも二つの環状電極に極性が制御された電圧を印加する駆動動作を行うことにより前記生体物質検出用素子を駆動する駆動回路と、
    を具備する生体物質検出装置。
  2. 荷電した生体物質を含む試料液を導入し、該生体物質を検出する生体物質検出装置であって、
    基板と、
    該基板上の前記試料液を導入する位置に設けられた少なくとも一つの第1電極、及び該基板上の該第1電極の周囲に円周方向に沿って所定間隔で配列され、所定の生体物質と反応するリガンドをそれぞれ固定化した複数の第2電極、及び前記第1電極と第2電極の配列との間に同心円状に配置された少なくとも二つの環状電極を有する生体物質検出用素子と、
    前記第1電極に前記生体物質の荷電極性と同極性の電圧を印加し、前記第2電極の少なくとも一部に前記荷電極性と逆極性の電圧を印加する駆動動作、前記第2電極のうち前記円周方向の一部の電極に前記荷電極性と逆極性の電圧、他の一部に前記荷電極性と同極性の電圧をそれぞれ印加し、かつ該逆極性及び同極性の電圧を印加する電極の位置を順次変化させる駆動動作、及び前記試料液中の生体物質を前記第2電極の方向に移動させるために前記少なくとも二つの環状電極に極性が制御された電圧を印加する駆動動作を行うことにより前記生体物質検出用素子を駆動する駆動回路と、
    を具備する生体物質検出装置。
  3. 荷電した生体物質を含む試料液を導入し、該生体物質を検出するための生体物質検出用素子であって、
    基板と、
    前記基板上の前記試料液を導入する位置に設けられた少なくとも一つの第1電極と、
    前記基板上の前記第1電極の周囲に所定間隔で円周方向に沿って配列され、所定の生体物質と反応するリガンドをそれぞれ固定化した複数の第2電極と、
    前記第1電極と第2電極の配列との間に同心円状に配置された少なくとも二つの環状電極と、
    を具備する生体物質検出素子。
  4. 荷電した生体物質を含む試料液を導入し、該生体物質を検出するための生体物質検出用素子であって、
    基板と、
    前記基板上の前記試料液を導入する位置に設けられた少なくとも一つの第1電極と、
    前記基板上の前記第1電極の周囲に所定間隔で円周方向に沿って配列され、所定の生体物質と反応するリガンドをそれぞれ固定化した複数の第2電極と、
    前記第1電極と第2電極の配列との間に同心円状に配置された少なくとも二つの環状電極と、
    前記基板上の前記第2電極の配列の外周側に配置された少なくとも一つの第3電極と、
    を具備する生体物質検出素子。
  5. 荷電した生体物質を含む試料液を導入し、該生体物質を検出する生体物質検出装置であって、
    基板と、
    該基板上の前記試料液を導入する位置に設けられた少なくとも一つの第1電極、及び該基板上の該第1電極の周囲に円周方向に沿って所定間隔で配列され、所定の生体物質と反応するリガンドをそれぞれ固定化した複数の第2電極、及び前記第1電極と第2電極の配列との間に同心円状に配置された少なくとも二つの環状電極を有する生体物質検出用素子と、
    前記第1電極に前記生体物質の荷電極性と同極性の電圧を印加し、前記第2電極の少なくとも一部に前記荷電極性と逆極性の電圧を印加する駆動動作を行うことにより前記生体物質検出用素子を駆動する駆動回路と、
    (a)前記生体物質検出用素子上への挿入剤の供給、
    (b)前記所定の生体物質と前記リガンドとの反応に基づく前記挿入剤の電気化学的信号測定、及び
    (c)前記リガンドに付着した挿入剤の除去、からなる一連の工程を繰り返し行わせる制御を行う制御器と、
    を具備する生体物質検出装置。
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