JP4142405B2 - リガンドを担持した担体およびその製造方法 - Google Patents

リガンドを担持した担体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼラチンおよびアラビアゴムを含み、かつリガンドを効率よく担持した担体、並びに該担体の製造方法に関する。本発明のリガンドを担持した担体は、粒子凝集反応、酵素免疫反応、化学発光法などの担体を用いた免疫学的測定に使用可能である。
【0002】
【従来の技術】
抗原や抗体を固定化した担体は、粒子凝集法などの免疫学的な検査に利用されている。この担体は、生物由来担体と人工担体に大別することができる。前者は、動物赤血球などが代表で、ヒツジ血球などをホルマリンやグルタルアルデヒドで固定化して使用される。しかし、生物由来であるため表面に存在する抗原部位が交差反応を引き起こし、目的とする凝集反応を正確に検出できない場合がある。
【0003】
この欠点を補うために人工担体が開発された。その中でも生体由来のゼラチンと水溶性多糖類を用いる複合コアセルベートが使用されている。ゼラチンと水溶性多糖類であるアラビアゴムを使用する複合コアセルベートの歴史は古く、非特許文献1(HG Bundenberg de Jong. In Colloid Science 1949 Vol 2, Amsterdam)によって紹介され、その後、数々の検討がなされている。特許文献1(特開昭59-35143)では、ゼラチン、水溶性多糖及びメタリン酸イオンからコアセルベートを作成する方法を述べている。また、特許文献2(特公平7-86508)で木暮らは、リガンド固定用担体の検討を行い、ゼラチンとアラビアゴムを用いて親水性有機溶媒の存在条件下でコアセルベートを形成し、その際に親水性有機溶媒、ゼラチン(G)、アラビアゴム(A)の濃度と比率が、担体の非特異凝集に大きく影響することを突き止めた。該考案によると、29〜65%のエタノールに代表される親水性有機溶媒と0.01〜2%のゼラチンと0.01〜2%のアラビアゴムを、アラビアゴムに対するゼラチンの比率(以下、本明細書においてG/Aともいう)を0.4〜2.4で使用することにより、非特異凝集が起こりにくいとした。また該考案によると、G/Aが0.4未満ではコアセルベートが形成されず、G/Aが2.4以上では不定形粒子となると報告している。
【0004】
これらのゼラチン/アラビアゴムコアセルベートに抗原や抗体を固定するには、数多くの方法が行われている。タンニン酸処理のような物理吸着によるものや、共有結合による結合方法が挙げられる(非特許文献2(石川榮治ら 酵素免疫測定法 1978年 医学書院 東京)参照)。共有結合法は、結合が強固で、担体に多くの抗原、抗体を結合させることが出来る優れた方法である。この方法の中でも、カルボキシル基とアミノ基の間の結合を利用した方法として、主に混合酸無水物法とカルボジイミド法が知られている。しかしながら、これらは操作上、再現性に難点があるという問題点がある。そこで、N−ヒドロキシスクシンイミド(N-Hydoroxysuccinimide)法が考案された(非特許文献3(H Hosoda et al. Synthesis of corticosteroid haptens possessing the bridge at the C-4 position. Chem Pharm. Bull. 1980, 28: 1294)および非特許文献4(H Hosoda et al. The preparation of steroid N-hydrosuccinimide esters and their reactivities with bovine serum albumin. Chem Pharm. Bull. 1979, 27: 742)参照)。また、特許文献3(特開2001-330614)において佐藤らは、先に述べたゼラチンアラビアゴムコアセルベートに、N−ヒドロキシスクシンイミド法によって抗体を結合させる方法を報告している。
【0005】
【非特許文献1】
HG Bundenberg de Jong. In Colloid Science 1949 Vol 2, Amsterdam
【特許文献1】
特開昭59−35143号公報
【特許文献2】
特公平7−86508号公報
【非特許文献2】
石川榮治ら 酵素免疫測定法 1978年 医学書院 東京
【非特許文献3】
H Hosoda et al. Synthesis of corticosteroid haptens possessing the bridge at the C-4 position. Chem Pharm. Bull. 1980, 28: 1294
【非特許文献4】
H Hosoda et al. The preparation of steroid N-hydrosuccinimide esters and their reactivities with bovine serum albumin. Chem Pharm. Bull. 1979, 27: 742
【特許文献3】
特開2001−330614号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下、本発明者は、ゼラチンアラビアゴムコアセルベートを作製し、特許文献3(特開2001-330614)で佐藤らが述べるN−ヒドロキシスクシンイミド法によって抗体結合を試みたところ、ほとんど抗体を結合させることの出来ないコアセルベートができる場合があることを新たに見出した。そこで本発明は、本発明をなすにあたり新たに見出したこの問題点を解決すること目的とする。すなわち、本発明は、リガンドを効率よく結合した担体を再現性よく製造することを目的とする。
【0007】
なお、上述の特許文献2(特公平7-86508)で木暮らは、ゼラチンアラビアゴムコアセルベートにおけるG/Aを、非特異反応の発生を防ぐことを目的として決定しているが、「抗体等のリガンドを効率よく結合させる」という観点からG/Aを検討しておらず、またこのような観点から検討を行った他の報告例もない。また、粒子凝集反応等の免疫学的反応に用いる担体が、リガンドを効率よく結合していることは必須事項であるため、効率よくリガンドを結合できる担体の製造には強い要望があるものと考える。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため検討を重ねた結果、本発明者は、ゼラチンとアラビアゴム比率(G/A)が、N−ヒドロキシスクシンイミド法によるリガンド結合に多大な影響を与えていることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下の手段を提供する。
(1)ゼラチンおよびアラビアゴムを含み、かつリガンドを担持した担体の製造方法であって、
アラビアゴム(A)に対するゼラチン(G)の比率(G/A)を0.5〜1.5で用いて担体を製造する工程と、
製造された前記担体に、N−ヒドロキシスクシンイミド法を用いてリガンドを担持させる工程と
を具備することを特徴とする方法。
(2)前記担体が、コアセルベートの形態を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
(3)ゼラチンおよびアラビアゴムを含み、かつリガンドを担持した担体であって、アラビアゴム(A)に対するゼラチン(G)の比率(G/A)を0.5〜1.5で用いて担体を製造し、製造された前記担体に、N−ヒドロキシスクシンイミド法を用いてリガンドを担持させることにより得られる担体。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のリガンドを担持した担体およびその製造方法について詳細に説明する。なお、以下の記載は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0011】
本発明の担体は、ゼラチンおよびアラビアゴムを含み、かつリガンドを効率よく担持したものである。本発明の担体は、担持しているリガンドの種類に応じて、免疫学的な分析、生化学的な分析、遺伝学的な分析等、種々の分析反応に利用することができる。
【0012】
本発明の担体は、ゼラチンおよびアラビアゴムを含むものであり、ここで「含む」とは、ゼラチンおよびアラビアゴムを主成分として担体が構成されているが、その他必要に応じて任意成分を含んでいてもよいことを意味する。任意成分としては、例えば、担体に所望の性質を付与するために添加される物質、および担体を形成する際に添加され担体に混入する化学物質等が挙げられる。ここで「担体に所望の性質を付与するために添加される物質」には、担体内に封入される後述の芯物質が含まれる。
【0013】
本発明の担体原料となるゼラチンは、当該技術分野でゼラチンアラビアゴムコアセルベートを調製する際に使用可能なものであればよく、主として、ウシ、ブタの骨や皮に含まれるコラーゲン質を分解生成したものを使用することができる。ゼラチンおよびアラビアゴムは、商業的に入手可能なものを使用することができる。
【0014】
また本発明において担体は任意の形態であり得、例えば、コアセルベートのような粒子の形態、あるいはマイクロタイタープレートのウェル等の容器底面上に固相させた一層の膜の形態とすることができる。
【0015】
担体がコアセルベートの形態を有する場合、コアセルベート径(直径)は、コアセルベート形成終了時のpHおよびゼラチン/アラビアゴム比(G/A)により適宜調節することができるが(後述の実施例の記載参照)、一般に免疫学的分析に使用する担体を作製する場合には、コアセルベート径(直径)を例えば1〜10μmとすることができる。
【0016】
上記担体に担持させる「リガンド」は、本発明の担体を用いて行われる分析反応に関与するものであり、免疫学的な分析、生化学的な分析、遺伝学的な分析等、任意の分析反応に関与するものであり得る。リガンドとして、例えば、抗原、抗体、酵素、ホルモン、細胞、核酸等が挙げられるが、これに限定されない。
【0017】
なお、本発明において、リガンドの担体への結合は、N−ヒドロキシスクシンイミド法によるもの、すなわち、担体のカルボキシル基とリガンドのアミノ基との共有結合によるものであるため、リガンド自身が本来アミノ基を有しているものであることが望ましい。担体にリガンドを担持させる手法については、後で説明する。
【0018】
先に、ゼラチンおよびアラビアゴムを含む担体(リガンドを担持していないもの)の調製の仕方について説明する。ここでは、その形態がコアセルベートである場合を例に説明する。
【0019】
まず、ゼラチンのゲル化温度以上(好ましくは35℃以上、例えば約40℃)において、0.01〜2重量%のゼラチンと0.01〜2重量%のアラビアゴムを、G/A=0.5〜1.5、好ましくは0.5〜1.1、より好ましくは0.5〜1.0、更に好ましくは0.6〜0.9になるように、29〜65重量%の水溶性有機溶媒中で混合する。ここで水溶性有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン等が使用可能であるが、毒性等を考慮すればエタノールが望ましい。また、G/Aが1.6を超えるとコアセルベート径の調製は困難となる(後述の表1、2参照)。コアセルベートの調製液中には、当該分野で公知のとおり、コアセルベート粒子の凝集を防止するために、界面活性剤を添加しておくことが好ましい。界面活性剤の種類および添加量については、その効果を奏する範囲内において当業者であれば適宜設定することができる。
【0020】
次いで、酸(例えば酢酸、プロピオン酸、希塩酸、希硫酸)の添加により、ゼラチンアラビアゴムコアセルベートを析出させる。ここで酸の添加量は、作製したいコアセルベート径に応じて適宜設定する(図1参照)。その後ゲル化温度以下(好ましくは35℃以下、例えば約10℃)に冷却し、グルタルアルデヒド、ホルマリン等のアルデヒドで架橋する。
【0021】
また、コアセルベートの形態を有する担体の作製にあたっては、芯物質を加えて、芯物質をコアセルベートで包んだいわゆるマイクロカプセルとすることもできる。所望の芯物質を用いることにより、コアセルベートの比重調整、コアセルベートの磁性化、着色等を行うことが可能である。その際には適当な界面活性剤(例えばTween20、Tween80、Triton X-100など)を添加して、分散性を上げておくことが望ましい。芯物質としては、SiO2(ガラス)、TiO2、CuO、CoO、Fe2O3などの金属酸化物の微粉末、カーボン、タルクなど種々のものを利用することができる。磁性体を含有させた担体は、適宜の磁気発生手段(永久磁石、電磁石等)により、液体中での攪拌、洗浄、測定等の各種処理工程を短時間で行うことができる。なお、当業者であれば、担体を所望の性質とするために適切な芯物質の種類および芯物質の使用量について適宜選択することができる。
【0022】
また、コアセルベート以外の形態を有する担体、例えば容器底面上に固相させた膜状の担体については、以下に記載のとおり調製することができる。すなわち、ゼラチンのゲル化温度以上において、0.01〜2重量%のゼラチン(G)と0.01〜2重量%のアラビアゴム(A)をG/A比0.5〜1.5となるように塩類を含まない水溶液の溶液中で混合し、これをゲル化温度以下に冷却し、アルデヒドで架橋することにより調製することができる。
【0023】
次に、上述の手法で調製されたコアセルベートの形態の担体にリガンドを担持させる方法、N−ヒドロキシスクシンイミド法について説明する。ここでは、リガンドとして抗体を用いた場合を例に説明する。
【0024】
上述のとおり調製された、アルデヒドで架橋済みコアセルベートに対して、これを純水で洗浄後、必要に応じて染色を行い、公知のN−ヒドロキシスクシンイミド法を適用する。まず、N−ヒドロキシスクシンイミドとカルボジイミドを溶かした水溶液(PBS(Phosphate-buffered saline)やMES(2-Morpholinoethanesulfonic acid溶液))に、先の架橋済みコアセルベートを懸濁し、室温で2時間から一晩(例えば6〜12時間)反応させる。反応後、コアセルベートを遠心洗浄し、目的とする抗体を適切なバッファー(例えばPBS、クエン酸リン酸バッファー、HEPESバッファー)に適切な濃度で溶解したものを加え、室温あるいは冷蔵(2〜8℃)で2時間から一晩反応させる。反応後、BSA(bovine serum albumin)やゼラチン、動物血清などで、未反応の官能基をブロックし(ブロッキング)、所望の免疫学的反応に供される抗体を担持したコアセルベートが作製される。作製されたコアセルベートは、そのまま目的とする免疫学的反応用の溶液に置換して目的の反応に利用してもよいし、バイアル瓶等に分注して凍結乾燥し、長期保存をすることも可能である。
【0025】
本発明で用いるN−ヒドロキシスクシンイミド法は、担体のカルボキシル基とリガンドのアミノ基を結合させる方法であるが、当該方法において公知のとおり、担体のカルボキシル基を活性化させる物質として、N−ヒドロキシスクシンイミド以外に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジンを含むN−ヒドロキシ化合物を使用することができる。また、当該方法において公知のとおり、リガンドの担体への結合反応時に脱水剤として機能するカルボジイミドとして、EDAC;1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、DIPC;ジイソプロピルカルボジイミド等を使用することができる。なお、後述の実施例では、活性化剤としてN−ヒドロキシスクシンイミドを、脱水剤としてEDACを使用した。
【0026】
上述のとおり、本発明に従ってゼラチンとアラビアゴムを所定のG/A比で用いて担体を調製し、当該担体にN−ヒドロキシスクシンイミド法を適用してリガンドを担持させることにより、リガンドを効率よく担持した担体を再現性よく製造することが可能となる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
<実施例1>
本実施例では、磁性体を封入したゼラチンアラビアゴムコアセルベートにおけるG/Aが抗体結合に及ぼす影響を調べた。
【0029】
[方法]
(1)ゼラチンアラビアゴムコアセルベートの形成
0.6gのアラビアゴム(仙波糖化工業)をEtOH:H2O(2:1)に溶かし、更にTween20、フェリコロイドW10(タイホー工業)を添加し、1N NaOHでpHを調整したのち、40℃に加温した4%ゼラチン水溶液(ニッピ工業)を3〜24mLの各濃度で混合する。攪拌しながら、酢酸(1→10(10倍希釈))をゆっくり添加し、コアセルベートを作製する。pH5.5〜4.0の間で、予め求めたpHにおいて酢酸添加を中止して、各ゼラチン添加量でほぼ同一径のコアセルベートを作製した。コアセルベートが形成されたら、氷水の入ったバットにて攪拌して10℃以下に冷却し、ゲル化した。後、グルタルアルデヒド(和光純薬製)を2mL加え、そのまま30分間攪拌し、室温で一晩静置して、G/A比の異なる各コアセルベートを架橋した。
【0030】
得られたコアセルベートは、粒度分布測定器(HORIBA製作所 CAPA700)を用いてコアセルベート粒径がほぼ同一であることを確認した。
【0031】
(2)N−ヒドロキシスクシンイミド法によるウサギ抗ヒトIgGの結合
架橋した各コアセルベートは、純水で洗浄後、20%(V/V)に調整した。その10mLを分取して、沈さに10mLのN−ヒドロキシスクシンイミド(ナカライテスク(株))0.01g/mLとEDAC(Sigma Chemical)0.01g/mL水溶液を加え、攪拌しながら室温で2時間反応させた。反応後、コアセルベートを洗浄し、ウサギ抗ヒトIgG(Jackson)を0.1Mクエン酸リン酸バッファー(pH5)に5μg/mLになるように溶解したものを加えて、室温で一晩反応させた。反応後はBSA/PBS(0.1%BSA含PBS pH7.2)で3回洗浄して、ウサギ抗ヒトIgG感作粒子とした。また、同様に抗体を加えない未感作粒子も同様に作製した。
【0032】
(3)ウサギ抗ヒトIgG結合量の測定
ウサギ抗ヒトIgG感作粒子と未感作粒子をBSA/PBS pH7.2で0.5(V/V)に希釈し、その200μLを分取して遠心し、沈さに、BSA/PBS pH7.2で予め求めた最適濃度に希釈した抗ウサギIgG抗体POD標識(フナコシ)を1mL加えて攪拌しながら室温で1時間反応させた。後、BSA/PBS pH7.2で6回洗浄して、沈さに1mLの基質溶液(POD含、H2O2添加クエン酸バッファー pH5)を加えて室温で15分間発色の後、3N硫酸0.5mLを加えて遠心し、上清のOD492nmを測定した。
【0033】
[結果]
ゼラチン/アラビアゴム比(G/A)を変えて作製した各コアセルベートに対するウサギ抗ヒトIgG抗体の結合量を、上述のとおりEIAで測定し、その結果を表1および表2に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004142405
【0035】
【表2】
Figure 0004142405
【0036】
表1、2に示すように、ウサギ抗ヒトIgGは、G/A比が大きくなるほど良く結合することが判明した。G/A比が大きくなるほど抗体が多く結合するが、G/A=0.8程度でプラトーになっていた。
【0037】
図1に示すように、コアセルベート径は主にゼラチン量(G/A比)とコアセルベート形成終了時のpHによって決定され、G/Aが大きくなるとコアセルベート作成に際してpHの変化による径の変化が大きくなり、特に小さな径のものは作りにくくなった。またG/A=1.6以上ではコアセルベートが不定形(綺麗な球状ではない)になり易くなった。このことから免疫学的な凝集反応に用いる担体としては、G/A比0.5〜1.5が好ましく、0.5〜1.1がより好ましく、0.5〜1.0が更に好ましいと考えられた。
【0038】
なお、未感作粒子に関しては、G/Aが0.5以下(本発明の範囲外)では、G/A=0.5〜1.5(本発明の範囲内)に比べて非特異反応の増加が観察されたが、G/A=0.5〜1.5(本発明の範囲内)においては非特異反応もなくコントロールとして良好であった。
【0039】
<実施例2>
本実施例では、ゼラチン(G)とアラビアゴム(A)をG/A=0.67で用いて調製したコアセルベートに対し、各種抗体結合法により抗体を結合させ、抗体結合法の違いにより抗体結合量に差がみられるか調べた。
【0040】
[方法]
(1)ゼラチンアラビアゴムコアセルベートの形成
上記実施例1と同じ手法に従って、ゼラチン0.4gおよびアラビアゴム0.6g(G/A=0.67)を用いて直径約10μmのゼラチンアラビアゴムコアセルベートを調製した。
【0041】
(2)N−ヒドロキシスクシンイミド法によるウサギ抗ヒトIgGの結合
上記実施例1と同じ手法(N−ヒドロキシスクシンイミド法)に従って、ウサギ抗ヒトIgG感作粒子を作製した。
【0042】
(3)染色法によるウサギ抗ヒトIgGの結合
上記(1)で調製した20%(V/V)コアセルベートを純水で遠心洗浄し、沈さに、染料(Red E-8BN;日本化薬(株))を1.0重量%に溶かした1.5炭酸ナトリウム、3%NaCl溶液を加えて、20%濃度で一晩攪拌して染色を行った。後、純水で3回洗浄して、染色粒子とした。この染色粒子の染料を介して抗体結合を行った。染色済みの粒子に、ウサギ抗ヒトIgG(Jackson)を0.01M PBS pH7.2に5μg/mLになるように溶解したものを加えて、室温で一晩反応させた。以後、N−ヒドロキシスクシンイミド法によるウサギ抗ヒトIgGの結合と同様に操作し、ウサギ抗ヒトIgG感作粒子を作製した。
【0043】
(4)タンニン酸法によるウサギ抗ヒトIgGの結合
上記(1)で調製した20%(V/V)コアセルベートを純水で遠心洗浄し、沈さにタンニン酸0.1mg/mLのタンニン酸溶液を等量分注して室温で2時間反応させた。後に純水で3回洗浄してタンニン酸処理粒子とした。以後、同様に操作し、タンニン酸処理粒子にウサギ抗ヒトIgG(Jackson)を感作した。
【0044】
(5)グルタルアルデヒド法によるウサギ抗ヒトIgGの結合
上記(1)で調製したコアセルベートを、1%グルタルアルデヒド中に20%(V/V)濃度で浮遊し、室温で一晩反応させた。以後、同様に操作し、グルタルアルデヒド処理粒子にウサギ抗ヒトIgG(Jackson)を感作した。
【0045】
(6)ウサギ抗ヒトIgG結合量の測定
上述のとおり各種抗体結合法により調製したウサギ抗ヒトIgG感作粒子に対し、上記実施例1と同様の手法に従ってIgG結合量を測定した。
【0046】
[結果]
抗体結合法の違いによる抗体結合量の比較
図2に、染色法、タンニン酸法、グルタルアルデヒド法、N−ヒドロキシスクシンインド法による抗体結合量の違いを示した。図2によると、N−ヒドロキシスクシンイミド法において最も抗体結合量が高く、コアセルベートの抗体感作法としてN−ヒドロキシスクシンイミド法が有用であることが示された。
【0047】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明のリガンドを担持した担体の製造方法によれば、リガンドを効率よく結合した担体を再現性よく作製することが可能である。このように本発明の担体は、免疫学的反応等の分析反応に関与するリガンドを高効率に結合しているため、本発明の担体を分析反応に使用することにより、高感度な分析反応を行うことが可能となる。また、本発明の方法を用いて作製される磁性体を封入した担体粒子を使用することにより、B/F分離に優れたイムノアッセイなどを行うことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コアセルベート径に及ぼすゼラチン量とpH(コアセルベート形成終了時)との関係を示すグラフ図。
【図2】 各種抗体感作方法による、コアセルベートへの抗体感作量の違いを示すグラフ図。

Claims (3)

  1. ゼラチンおよびアラビアゴムを含み、かつリガンドを担持した担体の製造方法であって、
    アラビアゴム(A)に対するゼラチン(G)の比率(G/A)を0.5〜1.5で用いて担体を製造する工程と、
    製造された前記担体に、N−ヒドロキシスクシンイミド法を用いてリガンドを担持させる工程と
    を具備することを特徴とする方法。
  2. 前記担体が、コアセルベートの形態を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. ゼラチンおよびアラビアゴムを含み、かつリガンドを担持した担体であって、アラビアゴム(A)に対するゼラチン(G)の比率(G/A)を0.5〜1.5で用いて担体を製造し、製造された前記担体に、N−ヒドロキシスクシンイミド法を用いてリガンドを担持させることにより得られる担体。
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