JP4141080B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数台の室外機と複数台の室内機とを備えた空気調和装置に係り、各室外機の運転制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複数台の室外機と複数台の室内機とを備え、各室内機からのデータに基づいて各室外機が自己の運転能力を制御するように構成された空気調和装置が知られている。
【0003】
この種のものでは、各室外機、各室内機が夫々室外制御装置、室内制御装置を備え、これらの制御装置が制御線を介して接続され、運転状況に関するデータを送受信可能に構成され、室外機の室外制御装置が、室内機の室内制御装置から運転状況に関するデータ(室内機データ)を受信し、この受信した室内機データに基づいて、独自に自己の運転能力すなわち室外機の圧縮機の吐出圧力、回転数等を制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の空気調和装置(既製の空気調和装置)に変更を加えずに、これらの既製の空気調和装置を複数台接続し、集中制御装置を付加して、室外機の運転台数を制御可能な空気調和装置を構築したいとの要請がある。
【0005】
しかしながら、従来の集中制御装置では、室内機からの運転状況に関するデータに基づいて空調負荷を算出し、この算出された空調負荷に基づいて室外機の運転台数、各室外機に空調負荷を分担させる制御が実施されており、既製の空気調和装置では、室外機の室外制御装置は、室内機から直接、運転状況に関するデータを受信し、この受信したデータに基づいてそれぞれ独自に室外機を制御しているため、既製の空気調和装置に変更を加えずに、これらを複数台接続して空気調和装置を構築できないという問題がある。
【0006】
また、従来の構成では、室外機の運転台数を制御する際に、室内機データを集中制御装置が常時監視しなければならず、集中制御装置の負担が大きくなる。
【0007】
また、従来、室外機の運転台数を増加する際に、各室外機間で、冷媒の圧力のバランスが崩れる場合があり、冷媒が特定の室外機に偏ってしまうという問題がある。
【0008】
逆に、室外機の運転台数を削減する際に、一時的に、室内機に供給される冷媒の圧力が減少し、例えば、暖房運転時に室外機の運転台数を削減する場合、室内機から吹き出される空気温度が低下するなど、運転が不安定になるという問題がある。
【0009】
また、運転中の室外機が1台の際に、空調負荷が運転中の室外機の定格容量に対し一定値より小さくなった場合、運転効率が悪くなるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、既製の空気調和装置を複数台利用でき、集中制御装置の負担を減少させ、室外機の運転台数を増減させる場合に安定した運転を維持し、運転中の室外機の運転効率を保つことができる空気調和装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、複数台の室外機と複数台の室内機とを備え、各室外機はそれぞれ室外機側制御装置を有し、この室外機側制御装置により各室内機から取得した室内機データに基づいて各室外機が自己の運転能力を制御するように構成された空気調和装置において、室外機の運転能力を統括的に管理するとともに、各室外機側制御装置から取得した室外機自体の運転データに基づいて運転中の各室外機の負荷率を室外機毎に算出し、運転中の各室外機の負荷率と運転中の各室外機の定格能力とに基づいて、運転中の各室外機の実運転能力を求め、この運転中の各室外機の実運転能力の総和により運転中の室外機全体の合計実運転能力を求め、運転中の室外機の定格能力の総和である合計定格能力に対する前記運転中の室外機全体の合計実運転能力の比率が、第一比率よりも大きくなった場合、室外機運転台数を増加させると共に、第二比率よりも小さくなった場合、室外機運転台数を減少させる集中制御装置を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項1記載の発明では、室外機の運転能力を管理し、運転中の室外機全体の合計実運転能力の合計定格能力に対する比率が、第一比率よりも大きくなった場合、室外機運転台数を増加させると共に、第二比率よりも小さくなった場合、室外機運転台数を減少させる集中制御装置を備えており、この集中制御装置が、室内機からのデータを参照することなく、管理した室外機の運転能力に基づいて室外機の運転台数を制御できるので、例えば、既製の空気調和装置、すなわち室外機が室内機から直接室内機データを受け取って自己の運転能力を制御する空気調和装置を複数台利用して、空気調和装置を構築でき、室外機の運転台数を制御することができる。また、集中制御装置が室内機からのデータを参照することなく室外機の運転台数を制御することができるので、従来の集中制御装置と比較して、集中制御装置の負担を軽減でき、且つ室外機からの要求に基づいて迅速に室外機の運転台数を増減させることができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記集中制御装置は、室外機運転台数を増加させる場合、累積運転時間の少ない室外機から順に起動させることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記集中制御装置は、室外機運転台数を減少させる場合、累積運転時間の多い室外機から順に停止させることを特徴とする。
【0015】
請求項2、3記載の発明では、各室外機が各室内機からの運転データに基づいて自己の運転能力を制御しており、各室内機からの運転データを各室外機が受信すると、各室外機は、受信した運転データに基づいて同時に起動してしまう場合があり、これを防止するために、集中制御装置が累積運転時間に基づいて室外機の起動停止の順番を決定する。この結果、停止中の室外機が同時に起動することなく、起動する室外機が決定される。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3いずれか記載の発明において、上記集中制御装置は、暖房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、停止する室外機の運転を最低能力で所定時間継続させることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明では、暖房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、停止する室外機の運転を最低能力で所定時間継続させるので、停止する室外機の停止時に、室内機に供給される冷媒量が急激に低下することがなく、室内機から低い温度の送風が防止できる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4いずれか記載の発明において、上記集中制御装置は、暖房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、その直前のすべての運転中の室外機の合計能力が維持されるように、室外機の運転台数が減少される前に、運転を継続する室外機の運転能力を所定期間に限って上昇させることを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明では、暖房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、その直前のすべての運転中の室外機の合計能力が維持されるように、室外機の運転台数が減少される前に、運転を継続する室外機の運転能力を所定期間に限って上昇させるので、停止する室外機の停止時に、室内機に供給される冷媒量が急激に低下することがなく、室内機から低い温度の送風が防止できる。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至3いずれか記載の発明において、上記集中制御装置は、冷房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、その直前のすべての運転中の室外機の合計能力が維持されるように、室外機の運転台数が減少された後に、運転を継続する室外機の運転能力を所定期間に限って上昇させることを特徴とする。
【0021】
請求項6記載の発明では、冷房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、その直前のすべての運転中の室外機の合計能力が維持されるように、室外機の運転台数が減少された後に、運転を継続する室外機の運転能力を所定期間に限って上昇させるので、室内機に供給される冷媒量、冷媒圧力が一定に保たれ、安定した運転を維持できる。
【0022】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6いずれか記載の発明は、前記集中制御装置が、停止中の室外機が運転される前に、停止中の室外機が運転された後の運転中の室外機全体の合計実運転能力の合計定格能力に対する比率を算出し、停止中の室外機が起動後、前記算出した比率を達成するように運転中のすべての室外機の運転能力を一定時間一定に制御するように構成したことを特徴とする。
【0023】
請求項7記載の発明では、室外機の運転台数が増加する場合に、停止中の室外機が運転される前に、停止中の室外機が運転された後の運転中の室外機全体の合計実運転能力の合計定格能力に対する比率を算出し、停止中の室外機が起動後、前記算出した比率を達成するように運転中のすべての室外機の運転能力を一定時間一定に制御するので、運転台数増加時に室外機間の冷媒の圧力バランスが保たれ、冷媒が特定の室外機に偏ることなく安定した運転を維持できる。
【0024】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7いずれか記載の発明において、集中制御装置が、運転中の室外機が1台の際に、当該運転中の室外機の制御された実運転能力が減少した場合、この制御された実運転能力に適当な停止中の室外機に交替させるように構成したことを特徴とする。
【0025】
請求項8記載の発明では、室外機の運転台数が1台の際に、当該運転中の室外機の制御された実運転能力が減少した場合、この制御された実運転能力に適当な室外機に交替させるように構成したので、定格能力の高い室外機が、低い運転能力のまま運転されることがなく、室外機の運転効率を保つことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1において、1a,1bは室外機を示し、3a,3bは室内機を示している。室外機1aは、アキュームレータ10aと、ガスエンジン駆動による圧縮機11aと、オイルセパレータ12aと、四方弁13aと、室外熱交換器14aと、室外電動式膨脹弁15aとで構成されている。なお、17aは室外熱交換器14aのファンを示している。室外機1bについては、以下の構成を含めて、室外機1aと同じであるので、説明を省略する。
【0028】
また、室内機3aは、室内熱交換器34aと、室内電動式膨脹弁35a(以下「室内メカ弁35a」という。)とで構成されている。なお、室内機3bについては、以下の構成を含めて、室内機3aと同じであるので、説明を省略する。この室内機3a,3bからは、ガス管5及び液管7からなるユニット間配管が延び出し、このユニット間配管には、室外機1a,1bが並列に接続されている。
【0029】
オイルセパレータ12aは、圧縮機11aから吐出される冷媒中の潤滑油を分離するものであり、ここで分離された潤滑油は常時オイル戻し管21aと強制オイル戻し管22aとを通じて圧縮機11aに戻される。常時オイル戻し管21aにはキャピラリーチューブ24aが設けられ、このキャピラリーチューブ24aによって圧縮機11aに戻されるオイルに流路抵抗がかけられる。この常時オイル戻し管21aはオイルセパレータ12aの中程につながれ、これがつながれた位置よりもオイルセパレータ12a内のオイルの油面が上回る限りにおいて、この常時オイル戻し管21aを通じてオイルが常時圧縮機11aの吸込管に戻される。強制オイル戻し管22aには開閉弁23a,25aが設けられる。この強制オイル戻し管22aは、オイルセパレータ12aの底部につながれ、開閉弁23a,25aを開くことによってオイルセパレータ12a内のオイルが強制的に圧縮機11aの吸込管に戻される。
【0030】
室外機1a,1bの強制オイル戻し管22a,22bどうしは、バランス管51によりつながれる。このバランス管51は、第3の補助管53aを通じて、オイルセパレータ12aとチェッキ弁18aとの間につながれ、第3の補助管53aには第3の開閉弁55aが設けられる。
【0031】
第3の開閉弁55aが開き、四方弁13aが図示の位置に切り替わると、バランス管51は室外熱交換器14aに連通する。
【0032】
上記構成の空気調和装置において、本実施形態では、圧縮機11a,11bがそれぞれガスエンジン100a,100bで駆動される。この圧縮機11a,11bの本体からは、軸101a,101bが導出され、この軸101a,101bに図示を省略したプーリが連結され、プーリVベルト102a,102bを介してガスエンジン100a,100bの出力軸が連結されている。
【0033】
上記構成において、冷房運転時には、圧縮機11a,11bからの冷媒が、図1に実線矢印で示すように、オイルセパレータ12a,12b、四方弁13a,13b、室外熱交換器14a,14b、室外電動式膨脹弁15a,15bを経て液管7に流出し、それぞれの室内機3a,3bに入り、室内電動式膨脹弁35a,35b、室内熱交換器34a,34bの順に流れてガス管5に流出し、さらに四方弁13a,13b、アキュームレータ10a,10bを経て圧縮機11a,11bに戻される。
【0034】
また、暖房運転時には、圧縮機11a,11bからの冷媒が、図1に点線矢印で示すように、オイルセパレータ12a,12b、四方弁13a,13bを経てガス管5に流出し、それぞれの室内機3a,3bに入り、室内熱交換器34a,34b、室内電動式膨脹弁35a,35bの順に流れて液管7に流出し、さらに室外電動式膨脹弁15a,15b、室外熱交換器14a,14b、四方弁13a,13b、並びにアキュームレータ10a,10bを経て圧縮機11a、11bに戻される。
【0035】
この実施の形態では、室外機1a、1bに夫々、室外制御装置27a、27bが備えられ、室内機3a、3bに夫々、室内制御装置29a、29bが備えられており、室外制御装置27a、27bと室内制御装置29a、29bとがデータ線を介して運転データを送受信可能に構成されている。さらに、室外機1a、1bを統括的にコントロールする集中制御装置16が備えられ、この集中制御装置16は、室外制御装置27a、27bとデータ線を介して運転データを送受信可能に構成されている。この集中制御装置16は、1台又は2台以上の室内機が接続された室外機(既製の空気調和装置)の制御装置等に変更を加えずに、これらの既製の空気調和装置を複数台接続して、室外機1の運転台数制御を実施可能な空気調和装置を構築できるように構成されており、以下に述べる。
【0036】
この集中制御装置16は、中央処理装置41を備え、この中央処理装置41は、後述する演算式を演算するのに供される。この中央処理装置41には、各種タイマ43と各室外機1a、1bの定格容量等を記憶するメモリ45とが接続されている。各種タイマ43は、各室外機1a、1bの累積運転時間を積算するためのタイマ43a、後述する追加判定タイマ43b、削減判定タイマ43c、負荷入替タイマ43d、回転数固定タイマ43e、適正容量制御判定タイマ43fが含まれている。
【0037】
各室外機1a、1bの室外制御装置27a、27bは室内機の室内機制御装置29a、29bからの吸込温度、吹出温度等の室内機データに基づいて、室外機1a、1bの圧縮機11a、11bの吐出圧力と、ガスエンジン100a、100bの回転数を制御する。すなわち、この実施の形態では、各室外機1a、1bが室内機3a、3bの室内機データに基づいて、自己の運転能力を制御するように構成されている。
【0038】
集中制御装置16は、運転制御された室外機の運転状況を管理し、室外機1a、1bの運転台数の制御を実施している。
【0039】
以下、図2〜図7を参照して、室外機1a、1bの運転台数制御を詳述する。
【0040】
集中制御装置16は、ガスエンジン100a、100bの回転数とメモリ45に記憶されている室外機1a、1bの定格容量に基づいて、各室外機1a、1bの負荷率、システム負荷率、システム余剰負荷を以下に示す演算式数1から数3によって、一定時間毎に算出する(S1)。この実施の形態では10秒ごとに算出する。
【0041】
【数1】
【0042】
【数2】
【0043】
【数3】
【0044】
数1では、ガスエンジン100a、100bの現在回転数と定格回転数とに基づき、吐出圧力レベルの修正をして、運転中の各室外機負荷率(以下、ユニット負荷率という。)を求めている。この吐出圧力レベルとは、各圧縮機の記憶部(図示せず)が記憶している圧縮機11a、11bの冷媒の標準の吐出圧力に対する補正値であり、この実施の形態では、標準の吐出圧力が1.7MPaの時に、レベルを0とすると記憶されており、標準の吐出圧力が0.2MPa増加する毎にレベルが1増加し、0.2MPa減少する毎にレベルが1減少するとしている。また、この吐出圧力レベルは、数1に示すように、暖房運転時には−、すなわち減算され、冷房運転時には+、すなわち加算される。
【0045】
この数1によって算出されたユニット負荷率は、運転中の室外機1の室外制御装置27が室内機3の室内制御装置29から室内機データを受け取り、この受け取った室内機データに基づいて、室外機1の圧縮機11a、11bの吐出圧力やガスエンジン100a、100bの回転数とが制御され、これらの室外機1の運転データに基づいて、算出されており、このユニット負荷率に各室外機1の定格能力(定格容量)を乗算した値が、室外機1の実運転能力であるといえる。
【0046】
数2では、集中制御装置16のメモリ45に記憶されている各室外機1a、1bの定格容量に数1にて求めたユニット負荷率を乗算し、その総和を運転中室外機定格容量総和で除算して、システムの運転負荷率(以下、システム負荷率という。)を求めている。
【0047】
この数2によって算出されたシステム負荷率に、運転中の室外機1の合計定格能力を乗算した値が、運転中の室外機1の合計実運転能力であるといえる。
【0048】
数3では、数2にて求めたシステム負荷率に基づいて運転中のシステムの余力(以下、システム余剰負荷という。)を求めている。
【0049】
この数3によって算出されたシステム余剰負荷は、室内機3からの室内機データに基づいて、運転中の各室外機1が制御された結果、この運転中の室外機1すべてにどれだけの負荷を与えることができるかを示している。
【0050】
さらに、集中制御装置16は、タイマ43によって積算された各室外機1a、1bの累積運転時間に基づいて、停止中の室外機1の中で最も累積運転時間の少ないものを起動予定室外機と、運転中の室外機1の中で最も累積運転時間の多いものを停止予定室外機と、一定時間(10秒)毎に設定する。
【0051】
各室外機1が各室内機3の運転データに基づいて自己の運転能力を制御しており、各室内機3からの運転データを各室外機1が受信すると、各室外機1は、受信した運転データに基づいて同時に起動又は停止してしまう場合があり、これを防止するために、集中制御装置16が累積運転時間に基づいて室外機1の起動停止の順番を決定する。このため、停止中の室外機1が同時に起動することなく、起動する室外機1が決定される。
【0052】
このS1にて、室外機(i)定格容量(kW)をQ(i)と、起動予定室外機容量(kW)をQ(a)と、停止予定室外機容量(kW)をQ(s)と、室外機(i)負荷率(%)をULoad(i)と、システム負荷率(%)をUsysと、システム余剰負荷(kW)をQTとする。Q(i)、ULoad(i)におけるiは、室外機1がn台存在した時に、i番目の室外機1を対象に記述されたものであり、以下、運転アドレスiと称呼する。
【0053】
集中制御装置16は、各室外機1からの運転状況を示すフラグがどうなっているかを検出する(S2〜S4)。S2では、各室外機1からの削減制御フラグが1かどうかを判断し、S3では、適正容量制御フラグが1かどうかを判断し、S4では、追加制御フラグが1かどうかを判断する。
【0054】
これら運転状況示すフラグについて説明すると、削減制御フラグは、後述するように、システム余剰負荷QTから停止予定室外機容量Qsを減算した値が一定値を超えた場合に1となり、停止予定室外機の運転を停止させる制御を実施するかどうかの判断をするものである。
【0055】
適正容量制御フラグは、後述するように、運転中の室外機1が1台の際に、この室外機が自己の容量よりも一定割合よりも小さい容量で運転している場合に1となり、この室外機1を他の室外機1に交替させる制御を実施するかどうかを判断するものである。
【0056】
追加制御フラグは、後述するようにシステム負荷率が一定値を超えた場合に1となり、起動予定室外機の運転を開始させる制御を実施するかどうかの判断をするものである。
【0057】
これらS2〜S4の判断でフラグが1の場合、削減制御フラグが1の場合には、削減制御が実施され(S5)、適正容量制御フラグが1の場合には、適正容量制御が実施され(S6)、追加制御フラグが1の場合には、追加制御が実施される(S7)。
【0058】
S2〜S4の判断で、フラグが1でない場合には、システム負荷率Usysが120%を超えたかどうかが判断される(S8)。システム負荷率Usysが120%(第一比率)を超えた場合、室内機3からの空調負荷に対し、運転中の室外機1だけでは、空調負荷に応じた冷媒を供給できない状態にあり、停止中の室外機1の内、起動予定室外機を運転させる必要がある。S8にてシステム負荷率Usysが120%を超えたと判断された場合には、追加判定タイマ43bがカウント中かどうかが判断され(S9)、システム負荷率Usysが120%(第一比率)を超えたと判断されない場合には、追加判定タイマ43bのカウント値がリセットされる(S10)。この追加判定タイマ43bは、システム負荷率Usysが120%(第一比率)を超えた場合が瞬時的か継続的かを判定する時間を計測するために利用される。
【0059】
追加判定タイマ43bがカウント中でないと判断された場合には、追加判定タイマ43bのカウントが開始され(S11)、追加判定タイマ43bがカウント中であると判断された場合には、追加判定タイマ43bのカウント時間が5分以上経過したかどうかが判断される(S12)。5分以上経過した場合には、追加制御フラグが1とされる(S13)。つまり、この追加判定タイマ43bで一定時間(5分間)継続してシステム負荷率が120%を超えたと判断された場合に室外機1の運転台数を増加させる制御が実施される。
【0060】
S10にて追加判定タイマ43bのカウント値がリセットされた後、運転中の室外機1が1台であるかどうかが判断される(S14)。運転中の室外機1が1台であると判断された場合には、適正容量制御のフラグ判定が実施される(S15)。この適正容量制御のフラグ判定は、運転中の室外機1が1台の場合に、この室外機1の定格容量に比べて、室内機3からの空調負荷が低い場合に、当該室外機1の運転効率が悪くなるのを防ぐために、当該室外機1を停止させ、停止中の室外機1の中から適当な容量の室外機1に交替させる制御を実施するかどうかを判定する。
【0061】
運転中の室外機1が1台であると判断されない場合には、システム余剰負荷QTが停止予定室外機容量Qsより大きいかどうかが判断される(S16)。システム余剰負荷QTが、停止予定室外機容量Qsよりも大きいと判断された場合には、削減判定タイマ43cがカウント中かどうかが判断される(S17)。この削減判定タイマ43cは、システム余剰負荷QTが停止予定室外機容量Qsを超えた場合が瞬時的か継続的かを判定する時間を計測するために利用される。
【0062】
削減判定タイマ43cがカウント中でないと判断された場合には、削減判定タイマ43cのカウントが開始され(S18)、削減判定タイマ43cがカウント中であると判断された場合には、削減判定タイマ43cのカウント時間が10分以上経過したかどうかが判断される(S19)。10分以上経過した場合には、削減制御フラグが1とされ(S20)、削減判定タイマ43cのカウント時間が10分以上経過したと判断されない場合、システム余剰負荷QTから停止予定室外機容量Qsが減算され(S21)、この減算された値が150kWよりも大きいかどうかが判断される(S22)。減算された値が150kWよりも大きい場合、削減制御フラグが1とされる(S21)。この後、減算された値がリセットされる(S23)。
【0063】
S16にて、システム余剰負荷QTが、停止予定室外機容量Qsよりも大きいと判断されない場合には、削減判定タイマ43cのカウントがリセットされ(S24)、システム余剰負荷QTから停止予定室外機容量Qsを減算した値がリセットされる(S25)。つまり、この削減判定タイマ43cで一定時間(10分間)継続してシステム余剰負荷QTから停止予定室外機容量Qsを減算した値が大きいと判断された場合又は、この減算した値が瞬時でも150kWを超えたと判断された場合に室外機1の運転台数を減少させる制御が実施される。
【0064】
S11で、追加判定タイマ43bのカウントが開始された場合、S12で、追加判定タイマ43bでカウントされた時間が5分経過していない場合、S13で追加制御フラグが1とされた場合、S22で、システム余剰負荷QTから停止予定室外機容量Qsを減算した値が150kW未満であった場合、S23、S25でシステム余剰負荷QTから停止予定室外機容量Qsを減算した値をリセットした場合には通常制御が実施され(S26)、S1に戻る。
【0065】
S5の室外機1の運転台数削減制御について、図3のフローチャートに従って説明する。まず、削減準備中フラグが1かどうかが判断される(S27)。この削減準備中フラグは、室外機1の運転台数を削減する前の運転台数が確認されているどうかを判断するものである。削減準備中フラグが1であると判断されない場合には、削減準備中フラグが1とされ(S28)、削減前の室外機の運転台数NUpが取得される(S29)。
【0066】
削減準備中フラグが1であると判断された場合には、現在の室外機の運転台数NUcが取得され(S30)、現在の室外機の運転台数NUcが削減前の室外機の運転台数NUpよりも少ないかどうかが判断される(S31)。少ないと判断されない場合には、運転台数は減少しておらず、次のS32以降のステップに従って減少させる。まず、負荷入替フラグが1かどうかが判断される(S32)。
【0067】
この負荷入替フラグは、室外機1の運転台数が減少される場合に、室内機3に供給される冷媒量が一時的に減少して、安定した運転を維持できない場合が生じてしまうのを防ぐため、後述する負荷入替制御を実施するかどうかを判断するためのものである。負荷入替フラグが1であると判断された場合には、負荷入替制御が実施される(S33)。
【0068】
負荷入替フラグが1であると判断されない場合には、負荷入替終了フラグが1であるかどうかが判断される(S34)。
【0069】
この負荷入替終了フラグは、負荷入替制御が終了されたかどうかを判断するためのものである。
【0070】
この負荷入替終了フラグが1であると判断された場合には、停止予定室外機1の室外制御装置27に停止命令を送信し、停止させ(S35)、この後、負荷入替終了フラグの値がクリアされる(S36)。負荷入替終了フラグが1であると判断されない場合には、負荷入替フラグが1とされる(S37)。
【0071】
S31にて、現在の室外機の運転台数NUcが削減前の室外機の運転台数NUpよりも少ないと判断された場合には、運転台数が減少したことになるので、削減準備中フラグはクリアされ(S38)、すべての室外機1へ、回転数固定を解除する命令が送信され(S39)、削減制御フラグの値がクリアされる(S40)。
【0072】
次に、S33の室外機1の負荷入替制御について、図4に示すフローチャートに従って説明する。この負荷入替制御は、暖房運転時に、室外機1の運転台数が減少され、室内機3への冷媒供給量が減少し、室内機3から温度の低い空気が送風されるのを防ぐため、また、冷房運転時に、運転が不安定になるのを防止するために実施される。
【0073】
負荷入替制御では、暖房運転時に、室外機1の運転台数が減少する際に、すなわち、S31において、現在室外機運転台数NUcが削減前室外機運転台数NUpより少なくない場合に、後述する削減条件が成立したときに、一定時間、運転が継続される室外機1の回転数を増加させると共に、停止予定室外機1の回転数を最低回転数に保って、一定時間経過後に停止させ、冷房運転時に、室外機運転台数が減少後に、運転が継続される室外機1の回転数が増加される制御が実施される。
【0074】
まず、負荷入替タイマ43dがカウント中であるかどうかが判断される(S41)。この負荷入替制御を、室外機1の運転アドレスiに従ってすべての室外機1に実施するために、運転アドレスiに0が代入される(S42、S43)。
【0075】
S41にて、負荷入替タイマ43dがカウント中でないと判断された場合には、室外機(i)が停止予定であるかどうかが判断される(S44)。
【0076】
室外機(i)が停止予定でないと判断された場合には、暖房運転かどうかが判断される(S45)。暖房運転であると判断されない場合には、指示回転数N(i)が、以下に示す演算式数4に基づいて演算される(S46)。
【0077】
【数4】
【0078】
この演算式数4では、Qallは、運転中の室外機の定格総容量(kW)であり、Q(s)は、停止予定室外機の定格容量(kW)であり、NUpは、削減前室外機運転台数であり、Usysは削減前システム負荷率(%)であり、NR(i)は、室外機(i)の定格回転数である。
【0079】
このS46では、停止予定室外機1が停止された後、つまり、運転台数減少後の運転中室外機1全体としての運転能力を集中制御装置16が予測しており、この予測した運転能力を達成するように、演算式数4で求められた回転数に運転継続される各室外機1の回転数が調整される。
【0080】
この演算式数4で求められた回転数は、停止予定室外機1が停止後に、運転継続されるすべての室外機1の実運転能力の総和が、室内機3から空調負荷に応じた冷媒流量、冷媒圧力を満たす回転数である。つまり、この指示回転数N(i)は、停止予定室外機1が停止後に、室内機3に供給される冷媒量が不足することがないように、運転が継続される室外機1の回転数を指示するものである。指示回転数N(i)が演算された後、各室外機(i)へ、この指示回転数N(i)が送信される(S47)。
【0081】
S45にて、暖房運転であると判断された場合、及び各室外機(i)へ指示回転数N(i)が送信された後、運転アドレスiに1加算し(S48)、この運転アドレスiが接続されている室外機1の台数に達したかどうかが判断される(S49)。達していないと判断された場合には、S44〜S48のステップが繰り返される。1加算された運転アドレスiの値が接続されている室外機1の台数に達したと判断された場合には、負荷入替フラグの値がクリアされる(S50)。
【0082】
さらに、暖房運転であるかどうかが判断される(S51)。暖房運転でないと判断された場合には、負荷入替終了フラグが1とされ(S52)、暖房運転であると判断された場合には、削減制御フラグの値がクリアされる。
【0083】
S51にて、暖房運転であるかどうかを判断して、暖房運転でない場合には、図3に示すS35にて停止予定室外機1へ停止命令が送信され、暖房運転である場合には、図2に示すS2から制御が繰り返される。
【0084】
S44にて、室外機(i)が停止予定室外機1であると判断された場合、暖房運転かどうかが判断される(S54)。暖房運転であると判断されない場合には、繰り返し室外機(i)が停止予定室外機かどうかが判断され、暖房運転であると判断された場合には、室外機(i)の室外機制御装置27に、最低回転数にする命令が送信される(S55)。この後、負荷入替タイマ43dのカウントが開始され(S56)、後述する回転数指示カウンタの値がリセットされる(S57)。
【0085】
すなわち、S55〜S57のステップでは、暖房運転時に、停止予定室外機1の回転数を、最低回転数にさせて、負荷入替タイマ43dがカウントする時間が一定時間経過した後に、この停止予定室外機1を停止させるので、当該停止予定室外機が停止することによって生じる、室内機3に供給される冷媒量、冷媒圧力の減少等の影響を最小限にすることができる。
【0086】
S41にて、負荷入替タイマ43dがカウント中であると判断された場合には、室外機(i)が運転中であるかどうかが判断される(S58)。運転中であると判断された場合には、室外機(i)が停止予定室外機1かどうかが判断される(S59)。
【0087】
室外機(i)が停止予定室外機1と判断されない場合には、S46〜S49と同様に、演算式数4に基づいて指示回転数N(i)が算出され、各室外機(i)に送信され、運転アドレスiに1加算され、この1加算された運転アドレスiが接続されている室外機1の台数に達したかどうかが判断される(S60〜S63)。達していないと判断された場合には、S58〜S62のステップが繰り返され、1加算された運転アドレスiが接続されている室外機1の台数に達したと判断された場合には、負荷入替タイマ43dがカウントする時間が一定時間(5分以上)経過したかどうかが判断される(S64)。
【0088】
負荷入替タイマ43dがカウントする時間が5分以上経過したと判断された場合には、負荷入替フラグの値がクリアされ(S65)、負荷入替終了フラグの値が1とされる(S66)。
【0089】
負荷入替タイマ43dがカウントする時間が5分以上経過したと判断されない場合には、回転数指示カウンタに1加算され(S67)、この回転数指示カウンタの値が5以上になったかどうかが判断される(S68)。回転数指示カウンタの値が5以上になったと判断された場合には、運転中の室外機1の中で現在の回転数Nc(i)が指示回転数N(i)よりも大きい室外機1があるかどうかが判断され(S69)、現在の回転数Nc(i)が指示回転数N(i)よりも大きい室外機1がある場合には、負荷入替フラグの値がクリアされ(S65)、負荷入替終了フラグの値が1とされる(S66)。
【0090】
また、現在の回転数Nc(i)が指示回転数N(i)よりも大きい室外機1があると判断されない場合には、現在の回転数が定格回転数に等しい室外機1があるかどうかが判断される(S70)。現在の回転数が定格回転数に等しい室外機1があると判断されない場合には、当該負荷入替制御は継続され、現在の回転数が定格回転数に等しい室外機1があると判断された場合には、負荷入替フラグの値がクリアされ(S65)、負荷入替終了フラグの値が1とされる(S66)。
【0091】
すなわち、回転数指示カウンタは、負荷入替タイマ43dが計測する時間が経過する前に、S69、S70の条件が成立した場合に負荷入替制御を終了させるのに利用されるものである。
【0092】
S6の室外機1の適正容量制御について、図5のフローチャートに従って説明する。まず、室外起動待フラグの値が1かどうかが判断される(S71)。この室外起動待フラグは、運転中の各室外機1が適正容量で運転されるように、運転台数を増減させるかどうかを判断するものである。
【0093】
室外起動待フラグの値が1であると判断されない場合には、運転中室外機1の室外制御装置27に記憶されている各室外機1のアドレスrを取得する(S72)。この適正容量制御を、室外機1の運転アドレスiに従ってすべての室外機1に実施するために、運転アドレスiに0が代入される(S73)。室外機(i)が運転中であるかどうかが判断される(S74)。室外機(i)が運転中であると判断されない場合すなわち、室外機(i)が停止中の場合には、S72にて取得した運転中室外機1のアドレスrから、定格容量Q(r)を求めて、この定格容量Q(r)に0.65を乗算し、この算出した容量が、停止中の室外機の容量よりも大きいかどうかが判断される(S75)。大きいと判断された場合には、運転アドレスiにAが代入され(S76)、この室外機(A)へ運転命令が送信され(S77)、室外起動待フラグの値が1とされる(S78)。
【0094】
つまり、S75〜S77のステップでは、停止中の室外機1の中で、運転中の室外機(r)の定格容量の65%よりも、定格容量が小さい室外機(A)があった場合、この定格容量が小さい室外機(A)を運転させる制御である。
【0095】
S74にて、室外機(i)が運転中であると判断された場合又は、S75にて、定格容量Q(r)に0.65を乗算した容量が、停止中の室外機の容量よりも大きいと判断されない場合には、運転アドレスiに1加算され(S79)、この1加算された運転アドレス1が接続されている室外機1の台数に達したかどうかが判断され(S80)、達していない場合には、S74〜S79のステップが繰り返され、達した場合には、適正容量制御フラグの値がクリアされる(S81)。
【0096】
S71にて、室外起動待フラグの値が1であると判断された場合には、室外機(A)が運転されているかどうかが判断される(S82)。室外機(A)が運転されていると判断された場合には、室外機(r)の室外制御装置27に停止命令を送信し(S83)、室外起動待フラグの値をクリアする(S84)。
【0097】
S7の室外機1の運転台数追加制御について、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御では、まず、追加準備中フラグの値が1であるかどうかが判断される(S85)。この追加準備中フラグは、停止中室外機1の運転を開始する際に、運転台数を追加させるかどうかを判断するためのものである。追加準備フラグが1であると判断されない場合には、回転数固定タイマ43eがカウント中であるかどうかが判断される(S86)。回転数固定タイマ43eは、起動予定室外機1が後述する条件が成立したときに、運転が開始され、運転開始後一定時間全ての運転中の室外機1の回転数を固定する時に、この一定時間を計測するのに利用されるものである。
【0098】
回転数固定タイマ43eがカウント中であると判断されない場合には、起動予定室外機1があるかどうかが判断される(S87)。起動予定室外機1があると判断された場合には、起動予定室外機1の室外制御装置27に運転命令が送信され(S88)、追加準備中フラグの値が1とされる(S89)。
【0099】
再びS85にて、追加準備中フラグが1であるかどうかが判断され、S89にて追加準備中フラグが1とされているので、追加準備中フラグが1であると判断され、追加予定室外機(起動予定室外機)が運転されているどうかが判断される(S90)。
【0100】
追加予定室外機が運転されている場合には、追加準備中フラグの値がクリアされる(S91)。この後、室外機1の運転アドレスiに従ってすべての室外機1に、後述する回転数固定制御を実施するために、運転アドレスiに0が代入され(S92)、室外機(i)が運転中であるかどうかが判断される(S93)。室外機(i)が運転中であると判断された場合には、以下に示す演算式数5に基づいて、追加制御時の指示回転数N(i)が算出される(S94)。
【0101】
【数5】
【0102】
この演算式数5では、Qallは、運転中の室外機の定格総容量(kW)であり、Q(a)は追加予定室外機(起動予定室外機)定格容量(kW)であり、NR(i)は、室外機(i)の定格回転数である。
【0103】
このS94では、追加予定室外機1が追加された後、つまり、室外機1の運転台数増加後の運転中室外機全体としての能力を集中制御装置16が予測しており、この予測した能力を達成するように、演算式数5で算出された回転数に、追加予定室外機1が追加された後、運転中のすべての室外機1の回転数が固定される。
【0104】
この追加制御時の指示回転数N(i)は、運転中の室外機1の台数が増加するときに、各室外機1間で、冷媒の圧力バランスが崩れる場合があり、この結果、運転が不安定になるのを防ぐために、一定時間(5分間)全ての運転中の室外機1の回転数を揃えるためのものである。
【0105】
この追加制御時の指示回転数N(i)が、室外機(i)の室外制御装置27に送信され(S95)、運転アドレスiに1加算され(S96)、この1加算された運転アドレスiが接続された室外機1の台数に等しくなったかどうかが判断され(S97)、等しくなるまで、S93〜S96のステップが繰り返し実施され、運転アドレスiが接続された室外機1の台数に等しくなった場合に、回転数固定タイマ43eのカウントが開始される(S98)。
【0106】
回転数固定タイマ43eのカウントが開始されると、S86にて回転数固定タイマ43eがカウント中であると判断され、回転数固定タイマ43eが計測した時間が一定時間(5分間)を経過したかどうかが判断される(S99)。5分間経過したと判断された場合には、運転中のすべての室外機1に回転数の固定を解除する命令がされ(S100)、追加制御フラグの値がクリアされ(S101)、回転数固定タイマ43eのカウント値がクリアされる(S102)。
【0107】
S87にて、起動予定室外機1がなくなるまで実施され、起動予定室外機1がなくなったと判断された場合、追加制御フラグの値がクリアされる(S103)。
【0108】
S15の適正容量制御フラッグ判定について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。この適正容量フラッグ判定は、運転中の室外機1が1台の場合に、空調負荷に応じた容量の室外機1に運転させて、運転効率をよくするために行われる。まず、運転中の室外機1の運転アドレスrが取得される(S104)。
【0109】
この後、室外機1の運転アドレスiに従ってすべての室外機1に、後述する制御を実施するために、運転アドレスiに0が代入され(S105)、室外機(i)が運転中であるかどうかが判断される(S106)。
【0110】
室外機(i)が運転中でないと判断された場合には、当該室外機(i)の定格容量Q(i)が、運転中室外機(r)の定格容量Q(r)に0.65を乗じた容量より小さいかどうかが判断される(S107)。
【0111】
停止中室外機(i)の定格容量Q(i)が、運転中室外機(r)の定格容量Q(r)に0.65を乗じた容量より小さいと判断された場合には、運転中室外機(r)の負荷率ULoad(r)が40%(第二比率)よりも小さいかどうかが判断される(S108)。
【0112】
運転中室外機(r)の負荷率ULoad(r)が40%(第二比率)よりも小さいと判断された場合には、適正容量制御判定タイマ43fがカウント中であるかどうかが判断される(S109)。この適正容量判定タイマ43fは、運転中室外機(r)の定格容量の65%の容量の室外機(i)が停止中の状態で、この運転中室外機(r)の負荷率を40%(第二比率)下回って、室外機(r)が運転している時間を計測するためのものである。
【0113】
適正容量制御判定タイマ43fがカウント中であると判断されない場合には、適正容量制御判定タイマ43fのカウントが開始される(S110)。適正容量制御判定タイマ43fがカウント中であると判断された場合には、このカウントされた時間が一定時間(10分)を経過したかどうかが判断される(S111)。10分経過した場合には、適正容量制御フラグの値が1とされる(S112)。
【0114】
S108にて、運転中室外機(r)の負荷率ULoad(r)が40%(第二比率)よりも小さいと判断されない場合には、適正容量制御判定タイマ43fのカウント値がクリアされる(S113)。
【0115】
適正容量制御判定タイマ43fのカウント値がクリアされた後、又はS111にて、適正容量制御判定タイマ43fがカウントした時間が10分経過していない場合と判断された場合には、運転中室外機(r)のバイパス弁(図示せず)の弁開度が100ステップ以上であるかどうかが判断され(S114)、この弁開度が100ステップ以上であると判断された場合には、運転中室外機(r)の現在の回転数がこの運転中室外機(r)の最低回転数(この実施の形態では800rpm)に50rpm加算された値よりも小さいかどうかが判断される(S115)。
【0116】
運転中室外機(r)のバイパス弁(図示せず)の弁開度が100ステップ以上であるかどうかを判断するのは、この運転中室外機(r)の定格容量Q(r)に比較して、室内機3からの空調負荷が著しく小さい場合に、室外機(r)の室外機制御装置27がバイパス弁の弁開度を増加させて、自己の能力を減少するように構成されているので、バイパス弁の弁開度から運転中の室外機(r)の運転効率の良否を判断できる。
【0117】
これらS114及びS115の条件が成立した場合には、運転中室外機(r)の負荷率ULoad(r)が40%よりも小さくなくても且つ適正容量判定タイマ43fがカウントする時間が10分経過していなくても、適正容量制御フラグが1とされる(S116)。
【0118】
S107にて、停止中室外機(i)の定格容量Q(i)が、運転中室外機(r)の定格容量Q(r)に0.65を乗じた容量より小さいと判断されない場合には、運転アドレスiに1加算され(S117)、1加算された運転アドレスiが、接続されている室外機台数に達したかどうかが判断され(S118)、達するまでS106〜S117が繰り返し実施され、加算された運転アドレスiが、接続されている室外機台数に達した場合、適正容量制御フラグの値がクリアされる(S119)。
【0119】
この実施の形態では以下の効果を奏す。
【0120】
室外機1の運転能力を管理し、運転中の室外機全体の合計実運転能力の合計定格能力に対する比率であるシステム負荷率Usysが、120%(第一比率)よりも大きくなった場合、室外機運転台数を増加させると共に、40%(第二比率)よりも小さくなった場合、室外機運転台数を減少させる集中制御装置16を備えており、この集中制御装置16が、室内機3からのデータを参照することなく、管理した室外機1の合計実運転能力に基づいて室外機1の運転台数を制御できるので、例えば、既製の空気調和装置、すなわち室内機から直接室内機データを受け取って自己の能力を運転制御する空気調和装置を複数台利用して、空気調和装置を構築でき、室外機の運転台数を制御することができる。また、集中制御装置16が室内機からのデータを参照することなく室外機1の運転台数を制御することができるので、従来の集中制御装置と比較して、集中制御装置16の負担を軽減でき、且つ室外機1からの要求に基づいて迅速に室外機1の運転台数を増減させることができる。
【0121】
集中制御装置16が室外機1の運転台数を増減させるときに、累積運転時間に基づいて室外機1の起動停止を決定する。
【0122】
すなわち、各室外機1が各室内機3の運転データに基づいて自己の運転能力を制御しており、各室内機3からの運転データを各室外機1が受信すると、各室外機1は、受信した運転データに基づいて同時に起動又は停止してしまう場合があり、これを防止するために、集中制御装置16が累積運転時間に基づいて室外機1の起動停止の順番を決定する。このため、停止中の室外機1が同時に起動することなく、起動する室外機1が決定される。
【0123】
暖房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、停止する室外機1の運転を最低能力で所定時間(5分間)継続させると共に、その直前のすべての運転中の室外機1の合計能力が維持されるように、室外機1の運転台数が減少される前から、運転を継続する室外機1の運転能力を所定期間(5分間)に限って上昇させるので、停止予定室外機1の停止時に、室内機3に供給される冷媒量が急激に低下することがなく、室内機3から低い温度の送風が防止できる。
【0124】
冷房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、その直前のすべての運転中の室外機1の合計能力が維持されるように、室外機1の運転台数が減少された後に、運転を継続する室外機1の運転能力を所定期間(5分間)に限って上昇させるので、室内機3に供給される冷媒量、冷媒圧力が一定に保たれ、安定した運転を維持できる。
【0125】
室外機1の運転台数が増加する場合に、停止中の起動予定室外機1が運転される前に、停止中の起動予定室外機1が運転された後の運転中の室外機全体の合計実運転能力の合計定格能力に対する比率すなわちシステム負荷率Usysを算出し、停止中の起動予定室外機1が起動後、前記算出したシステム負荷率Usysを達成するように運転中のすべての室外機1の運転能力を一定時間一定に制御するので、運転台数増加時に室外機間の冷媒の圧力バランスが保たれ、冷媒が特定の室外機に偏ることなく安定した運転を維持できる。
【0126】
室外機1の運転台数が1台の際に、当該運転中の室外機1の制御された実運転能力が減少した場合、この制御された実運転能力に適当な室外機1に交替させるように構成したので、定格能力の高い室外機1が、低い運転能力のまま運転されることがなく、室外機1の運転効率を保つことができる。
【0127】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0128】
【発明の効果】
室外機の実運転能力を管理し、運転中の室外機全体の合計実運転能力の合計定格能力に対する比率が、第一比率よりも大きくなった場合、室外機運転台数を増加させると共に、第二比率よりも小さくなった場合、室外機運転台数を減少させる集中制御装置を備えており、この集中制御装置が、室内機からのデータを参照することなく、管理した室外機の運転能力に基づいて室外機の運転台数を制御できるので、例えば、既製の空気調和装置、すなわち室内機から直接室内機データを受け取って自己の能力を運転制御する空気調和装置を複数台利用して、空気調和装置を構築でき、室外機の運転台数を制御することができる。また、集中制御装置が室内機からのデータを参照することなく室外機の運転台数を制御することができるので、従来の集中制御装置と比較して、集中制御装置の負担を軽減でき、且つ室外機からの要求に基づいて迅速に室外機の運転台数を増減させることができる。
【0129】
また、各室外機が各室内機の運転データに基づいて自己の運転能力を制御しており、各室内機からの運転データを各室外機が受信すると、各室外機は、受信した運転データに基づいて同時に起動又は停止してしまう場合があり、これを防止するために、集中制御装置が累積運転時間に基づいて室外機の起動停止の順番を決定する。このため、停止中の室外機が同時に起動することなく、起動する室外機が決定される。
【0130】
暖房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、停止する室外機の運転を最低能力で所定時間継続させると共に、その直前のすべての運転中の室外機の合計能力が維持されるように、室外機の運転台数が減少される前から、運転を継続する室外機の運転能力を所定期間に限って上昇させるので、停止する室外機の停止時に、室内機に供給される冷媒量が急激に低下することがなく、室内機から低い温度の送風が防止できる。
【0131】
冷房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、その直前のすべての運転中の室外機の合計実運転能力が維持されるように、室外機の運転台数が減少された後に、運転を継続する室外機の運転能力を所定期間に限って上昇させるので、室内機に供給される冷媒量、冷媒圧力が一定に保たれ、安定した運転を維持できる。
【0132】
室外機の運転台数が増加する場合に、停止中の室外機が運転される前に、停止中の室外機が運転された後の運転中の室外機全体の合計実運転能力の合計定格能力に対する比率を算出し、停止中の室外機が起動後、前記算出した比率を達成するように運転中のすべての室外機の運転能力を一定時間一定に制御するので、運転台数増加時に室外機間の冷媒の圧力バランスが保たれ、冷媒が特定の室外機に偏ることなく安定した運転を維持できる。
【0133】
室外機の運転台数が1台の際に、当該運転中の室外機の制御された実運転能力が減少した場合、この制御された実運転能力に適当な室外機に交替させるように構成したので、定格能力の高い室外機が、低い実運転能力のまま運転されることがなく、室外機の運転効率を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気調和装置の一例を示す回路図である。
【図2】室外機の運転台数切替判定のフローチャートである。
【図3】室外機の運転台数削減制御のフローチャートである。
【図4】室外機の負荷入替制御のフローチャートである。
【図5】室外機の適正容量制御のフローチャートである。
【図6】室外機の運転台数追加制御のフローチャートである。
【図7】室外機の適正容量制御フラグ判定のフローチャートである。
【符号の説明】
1、1a、1b 室外機
3、3a、3b 室内機
11a、11b 圧縮機
16 集中制御装置
27、27a、27b 室外制御装置
Claims (8)
- 複数台の室外機と複数台の室内機とを備え、各室外機はそれぞれ室外機側制御装置を有し、この室外機側制御装置により各室内機から取得した室内機データに基づいて各室外機が自己の運転能力を制御するように構成された空気調和装置において、
室外機の運転能力を統括的に管理するとともに、各室外機側制御装置から取得した室外機自体の運転データに基づいて運転中の各室外機の負荷率を室外機毎に算出し、運転中の各室外機の負荷率と運転中の各室外機の定格能力とに基づいて、運転中の各室外機の実運転能力を求め、この運転中の各室外機の実運転能力の総和により運転中の室外機全体の合計実運転能力を求めるとともに、運転中の室外機の定格能力の総和である合計定格能力を求め、この合計実運転能力の合計定格能力に対する比率が、第一比率よりも大きくなった場合、室外機運転台数を増加させると共に、第二比率よりも小さくなった場合、室外機運転台数を減少させる集中制御装置を備えたことを特徴とする空気調和装置。 - 上記集中制御装置は、室外機運転台数を増加させる場合、累積運転時間の少ない室外機から順に起動させることを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
- 上記集中制御装置は、室外機運転台数を減少させる場合、累積運転時間の多い室外機から順に停止させることを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
- 上記集中制御装置は、暖房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、停止する室外機の運転を最低能力で所定時間継続させることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の空気調和装置。
- 上記集中制御装置は、暖房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、その直前のすべての運転中の室外機の合計能力が維持されるように、室外機の運転台数が減少される前に、運転を継続する室外機の運転能力を所定期間に限って上昇させることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の空気調和装置。
- 上記集中制御装置は、冷房運転時に、室外機運転台数を減少させる場合、その直前のすべての運転中の室外機の合計能力が維持されるように、室外機の運転台数が減少された後に、運転を継続する室外機の運転能力を所定期間に限って上昇させることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の空気調和装置。
- 前記集中制御装置が、停止中の室外機が運転される前に、停止中の室外機が運転された後の運転中の室外機全体の合計実運転能力の合計定格能力に対する比率を算出し、停止中の室外機が起動後、前記算出した比率を達成するように運転中のすべての室外機の運転能力を一定時間一定に制御するように構成したことを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の空気調和装置。
- 前記集中制御装置が、運転中の室外機が1台の際に、当該運転中の室外機の制御された実運転能力が減少した場合、この制御された実運転能力に適当な停止中の室外機に交替させるように構成したことを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の空気調和装置。
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