JP4140994B2 - 高圧水切削装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧水を噴射ノズルで噴射して鉄板、コンクリート等の被切削物を切削する高圧水切削装置に関わり、特に、切削時の騒音を低減し、被切削物で反射された切削水から防護するタイプの高圧水切削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄板、コンクリート構造物を切削する手段として、水を高圧状態して被切削物に対して噴射する高圧水切削装置が知られている。
上記高圧水切削装置は、切削と同時に切削水および切削によって削り取られ発生した切削屑を激しく飛散させることから、切削作業は、被切削物の切削箇所にカバーを取り付けた後に行う。
図17は、従来技術に係わる高圧水切削装置の模式図を示す。
この高圧水切削装置は、一方を開口させ、この開口部に対向する面に直線状の切溝41aを設けた箱状カバー41と、箱状カバー41の切溝41aに差し込んだ噴射ノズル10と、このカバー41の底面にはカバー41内に溜る飛散物を吸引排除するバキューム口42が設けられている。
そして、上記カバー41の切溝41aに噴射ノズル10を挿入し、この噴射ノズル10より高圧水を噴射し、切溝41aに沿って移動させて被切削物Mを切削すると共に、カバー41により反射した切削水からの防護、防音を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記カバー41を使用する方式は、噴射ノズル10の移動方向が制約される。つまり、カバー41は平面上に固定される為、噴射ノズル10は、所定の切溝41aの方向しか移動することができない。また、カバー41自体が大型であるため、かなりの作業スペースが必要とされる。
被切削物Mの切削面に曲面、凹凸を有するとき、カバー41と切削面の間に間隙が生じ、反射した切削水が間隙からカバー41の外へ飛散して作業者の安全を害すと共に、騒音も大きくなるため、切削面の形状に応じたカバーの製作が必要となる。
また、噴射ノズル10は、被切削物の表面に対して噴射角度を必要とする場合でも、一定の噴射角しか設定できないため適切な切削が行えない。
【0004】
そこで、本発明は、以上の技術的課題を解決するためなされたものであって、その目的は、噴射ノズルの任意平面の移動を可能とし、作業の省スペースを図ると共に、被切削物の切削面形状に関わらず、作業者の防護、騒音の軽減および適切な切削を図る高圧水切削装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、以上の課題を解決する手段は、請求項1に記載するように、高圧水を噴射する噴射ノズルを備え、前記噴射ノズルから噴射した高圧水により被切削物を切削する高圧水切削装置において、
前記噴射ノズルに連結されると共に、前記被切削物の表面に当接させて前記噴射ノズルと被切削物の表面を密閉するノズルカバーと、
前記噴射ノズルと前記ノズルカバーを可動自在に連結する自在継手機構と、を備え、
前記ノズルカバーの前記被切削物側には下部開口が形成されるとともに、前記ノズルカバーの前記被切削物とは反対側には上部開口が形成され、
前記自在継手機構は、
前記上部開口に設けられ、その内面を凹状曲面状に形成されたジョイントリングと、
前記ジョイントリングの内側に設けられ、前記ジョイントリングの内面に摺動可能に接し、貫通孔が形成されたジョイント球と、を有し、
前記噴射ノズルのノズル本体は前記ジョイント球の貫通孔に貫通していると共に前記ジョイント球内で遊嵌しており、
前記噴射ノズルとノズルカバーとの間に一対のコイルスプリングを備え、
前記噴射ノズルの突出部と前記ジョイント球との間には第2スプリングが設けられていることを特徴とする。
【0006】
これによれば、噴射ノズルは、高圧水を噴射して被切削物を切削しつつ移動し、ノズルカバーは噴射ノズルに一体となって移動すると共に、被切削時に生じる騒音を遮断し、被切削物で飛散する高圧水、切削屑を遮蔽する。
したがって、噴射ノズルはノズルカバーにより切削方向を規制されず、被切削面上の任意位置へ移動して切削を行うと共に作業スペースが省略される。また、切削時の騒音を低減し、被切削物で反射される高圧水から作業者を防護する。
【0007】
以上の手段にあって、ノズルカバーの形状は、切削時の騒音を低減し、被切削物で反射される高圧水から作業者を防護するものであれば、円錐状、円柱状、多角錘状、多角柱状、何れの形状も含まれる。また、切削屑、高圧水を回収する観点から、回収口を設けた方が好ましい。
【0008】
また、自在継手機構は、被切削物の表面に対するノズルカバーの姿勢を調整し、被切削物の表面形状に応じて、被切削物の表面とノズルカバーを密閉する。また、噴射ノズルの噴射方向を自在に調整し、噴射ノズルを被切削物の表面に対して所定の噴射角を設定する。
従って、ノズルカバーの曲面追従性能が向上されるとともに、適切な切削が行われる。
ここで、自在継手機構の例としては、ボールジョイント機構が含まれる。
【0014】
請求項2記載の手段は、請求項1に記載の高圧水切削装置において、前記噴射ノズルと前記ノズルカバーとの間に設けられ、前記被切削物の表面形状に応じて弾性変形して前記被切削物の表面に前記ノズルカバーを付勢させるゴムからなる弾性部材を備えたことを特徴とする
【0015】
これによれば、弾性部材は、弾性変形して被切削物の表面に対してノズルカバーを付勢し、被切削物の表面とノズルカバーとの密閉性を向上させる。
したがって、被切削物の表面形状に関わらず、切削時の騒音はさらに低減され、被切削物で反射される高圧水から作業者の安全性がさらに向上される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図16を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。
{実施の形態1}
図1は、本発明を高圧水切削装置に適用した実施の形態1を示す。
本高圧水切削装置は、高圧状態の水(以下、高圧水という。)をジェット状に噴射する噴射ノズル10と、噴射ノズル10と弾性部材としてのゴムシート31、フランジ32を介して止具33により連結したノズルカバー20から構成されている。
【0018】
噴射ノズル10は、ノズル本体11と、ノズル本体11の上部に固定したノズル保持体12から構成されている。
【0019】
図2は、本高圧水切削装置に係わる噴射ノズルの側面構造を示す。
ここで、ノズル本体11は、略円筒状であり、高圧水の噴射口となる先端部は、径を絞っている。その中途には、研磨材を注入する円形の研磨材注入口13が設けられ、ノズル本体11の上流側は高圧水を送水する耐圧フレキシブルホース(図示省略)に連結されている。これにより、高圧水と研磨材は適宜混ぜられてノズル本体11の先端からジェット状の切削水として噴射される。
【0020】
ノズル保持体12は、略断面L字状であり、その下部でノズル本体11を保持すると共に、その上部にはマニュピュレータ(図示省略)の駆動アームの先端に取り付けられ、可動自在となっている。
【0021】
一方、ノズルカバー20は、図1に示すように、ノズルカバー本体21と、ノズルカバー本体21の下部に固定されたブラシフランジ22から構成されている。
【0022】
図3は、ノズルカバー本体の拡大した構造を示し、(a)は平面構造を、(b)は側面構造を示す。
ノズルカバー本体21は、内部を中空とした略円柱状であり、側面を断面凸状に外側へ膨らませている。その上部には噴射ノズル10を挿入する円形の上部開口21aを形成し、下部には切削作業用としてノズルカバー本体21より径の小さい円形の下部開口21bを形成している。また、上部開口21aの周りには、飛散物、切削水を回収する小円形のバキューム口21cを形成している。
このように、ノズルカバー本体21の径を下部開口21bより大きくすることで、被切削物Mから生じる飛散物を溜めることができ、噴射ノズル10の目詰まりを防止する。
【0023】
ブラシフランジ22は、図1に示すように、円環状の金属製の本体部と、本体部の下部に短い鋼線をブラシ状に埋め込んだブラシ部からなり、被切削物Mに圧接されてノズルカバー本体21内を密閉する。
【0024】
ゴムシート31は、図1に示すように、略ドーナッツ状であり、ノズルカバー20に加えられる圧接力に応じて弾性変形して、ノズルカバー20に対して付勢力を加える。
【0025】
次に、図1、図4に基づいて、本高圧水切削装置の使用方法について説明する。
図4は、高圧水切削装置を用いて被切削物Mを切削する模式図を示す。図中、ノズルカバー20下部の点線域は下部開口21bを示す。
先ず、図4に示すように、マニュピュレータの駆動アーム(図示省略)を操作し、ノズルカバー20の下部開口21bを被切削物Mに対向させて、ノズルカバー20を被切削物Mの表面に圧接させる。
このとき、ノズルカバー20は切削作業域を密閉し、ゴムシート31はノズルカバー本体21とフランジ32の間で弾性圧縮すると共に、ノズルカバー20を被切削部Mに付勢し、ノズルカバー20と被切削物Mの表面を密閉性を向上させる。
【0026】
次に、耐水圧ホース(図示省略)から高圧水を圧送し、研磨材注入口13から研磨材を適宜混入しつつ噴射ノズル10からジェット状の切削水を被切削物Mの表面に噴射し、被切削物Mを切削する。
このとき、ノズルカバー20は噴射ノズル10と一体になっているので、作業スペースが省略されると共に、切削作業域をノズルカバー20により密閉しているので、切削に伴う騒音は低減される。被切削物Mから飛散した切削屑および切削水はノズルカバー20の内壁に衝突し、ノズルカバー20内に溜り、ノズルカバー20の外側へ飛散することもない。
そして、ノズルカバー20内に滞留する切削屑等は、バキューム口21cから吸い出されて外部へ排出される。
【0027】
次に、マニュピュレータの駆動アーム(図示省略)を操作し、高圧水切削装置の切削箇所を移動させる。
このとき、ノズルカバー20は噴射ノズル10と一体に移動するようにしたので、噴射ノズル10はノズルカバー20を伴って被切削物Mの平面上の任意位置へ移動される。
以下、被切削物Mは所定の形状に削り出される。
【0028】
以上より、本実施の形態によれば、ノズルカバー20は噴射ノズル10と一体に移動するようにしたので、噴射ノズル10はノズルカバー20を伴って被切削物Mの平面上の任意位置へ移動して切削を行うと共に作業スペースが省略される。また、ノズルカバー20により騒音を遮断し、飛散物を遮蔽するようにしたので、切削時の騒音を低減し、被切削物Mで反射される切削水、切削屑から作業者を防護する。
【0029】
{実施の形態2}
図5は、本発明を高圧水切削装置に適用した実施の形態2の側面構造を示す。本高圧水切削装置は、実施の形態1と略同様の構成であるが、噴射ノズル10とノズルカバー20の間を自在に変位させる自在継手機構としてのボールジョイント機構14を備えた点に特徴を有する。なお、実施の形態1と共通する部分については説明を省略する。
【0030】
図6は、本高圧水噴射装置に係わる噴射ノズルの拡大した側面構造を示す。
ここで、ボールジョイント機構14は、ジョイント球14aと、ジョイント球14aに外接するジョイントリング14bから構成されている。
ジョイント球14aは、球状体の上部と下部をカットした形状であり、その内部はノズル本体11を貫通させる貫通孔を形成している。
ジョイントリング14bは、ジョイント球14aの外面を当接させる円環状であり、ジョイント球14aと接する内面は、ジョイント球14aの球面と摺動するよう凹状曲面に形成されている。そして、噴射ノズル10とノズルカバー20との姿勢は自在に変位する。
【0031】
次に、図6、7に基づいて、本高圧水切削装置の使用方法について説明する。
図7は、実施の形態2に係わる高圧水切削装置の使用状況の模式図を示す。
マニュピュレータの駆動アーム(図示省略)を操作し、被切削物Mの表面に高圧水噴射装置を対向させて設置する。
このとき、ジョイント球14aはジョイントリング14b内を摺動しながら回動し、噴射ノズル10の噴射方向は自在に変位するので、被切削物Mの表面に対して任意の噴射角度が設定される。
【0032】
以上より、本実施の形態によれば、噴射ノズル10とノズルカバー20の姿勢を自在に変位するようにしたので、被切削物Mの表面に対して所定の噴射角度を設定し、適切な切削が行われる。
【0033】
{実施の形態3}
図8は本発明を高圧水切削装置に適用した実施の形態3の側面構造を、図9は平面構造を示す。
本高圧水切削装置は、実施の形態1と略同様の構成であるが、噴射ノズル10とノズルカバー20の間に一対のコイルスプリング34を備え、ノズル本体11をボールジョイント機構14のジョイント球14a内で遊嵌させ、ジョイント球14aと突出部11aの間に第2スプリング15を設けた点に特徴を有する。
その他に、サポート部材14の背面に固定したガイドプレート16と、バキューム口21cに連結するホースフランジ21dを備えた。なお、実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0034】
ここで、一対のコイルスプリング34は、螺旋形状であり、例えば鋼から成る。そして、均等な圧接力が加わると、均等に圧縮して余分な圧接力を吸収すると共に、ノズルカバー20に付勢力を加える。一方、不均等な圧接力が加わったとき、各々不均等に弾性変形してノズルカバー20を被切削物Mの表面形状に合わせ、圧接力が除かれた後にノズルカバー20を原姿勢に復帰させる。
【0035】
第2スプリング15は、ノズル本体11の外周程度の径を有する螺旋状であり、ジョイント球14aとノズル本体11の突出部11aに当接している。
そして、ノズルカバー20とノズル本体11の姿勢関係を原姿勢関係に戻す作用を奏する。即ち、強制的に傾斜されたノズルカバー20に対して傾斜させる力が減少すると、この第2スプリング15は、弾性力でこの傾斜を元の状態に戻す。
【0036】
次に、図8、10に基づいて、本高圧水切削装置の使用方法について説明する。
図10(a)は、実施の形態3に係わる高圧水切削装置の使用状況の模式図を示す。
先ず、マニュピュレータの駆動アーム(図示省略)を操作し、ノズルカバー20の下部開口21bを被切削物Mに対向させ、被切削物Mの曲面状の表面に圧接させる。
このとき、ボールジョイント機構14のジョイント球14aはジョイントリング14b内を回動してノズルカバー20を傾斜させ、ノズルカバー20は被切削物Mの表面を完全に覆って密閉する。
ここで、ゴムシート31、およびコイルスプリング34は、ノズルカバー本体21とノズル保持体12の間で不均衡に弾性変形して、ノズルカバー20と被切削物Mの表面の密閉性を向上させる。
そして、強制的に傾斜されたノズルカバー20は、傾斜させる力が減少すると、この第2スプリング15は、弾性力でノズルカバー20とノズル本体11との傾斜を元の状態に戻すとともに、被切削物Mとノズルカバー8との接合、密閉性を保つ。
【0037】
一方、図10(b)は、実施の形態1に係わる高圧水切削装置を曲面形状の被切削物に適用した模式図を示す。
高圧水切削装置を曲面状の被切削物Mに対向させると、ノズルカバー20と被切削物Mの間には間隙を生じる。よって、噴射ノズル10からジェット状の高圧水を被切削物Mに噴射すると、切削屑、切削水は、前記間隙からノズルカバー20の外部へ飛散するため、作業者は保護されず、騒音は低減されない。
【0038】
以上より、本実施の形態によれば、被切削物Mの表面形状に凹凸があるときでも、ノズルカバー20を傾斜させ被切削物Mの表面を密閉するようにしたので、被切削物Mの表面形状に関わらず、切削時の騒音を低減し、被切削物Mから反射される切削屑、切削水から作業者を防護する。また、被切削物Mの表面形状に応じて弾性変形してノズルカバー20の密閉性を向上するようにしたので、ノズルカバー20の曲面追従性能が向上する。
【0039】
{変形の形態}
図11は、本発明を高圧水切削装置に適用した変形の形態の断面構造を示す。
本変形の形態に係わる高圧水切削装置は、実施の形態3と略同様の構成であるが、ブラシフランジ22に代えてゴム状の開口パッキン材23を用い、また、一対のコイルスプリング34の中心には遊嵌する止具33を貫通させている。
【0040】
次に、図12〜15に基づいて、本形態の使用方法について説明する。
図12〜15は本高圧水切削装置を用いて被切削物を切削する状況を示したものである。
先ず、図12に示すように、ノズルカバー20を被切削物Mに所定の押圧力を加えて圧接して状態で、噴射ノズルを被切削物Mの表面に対して直角に切削を開始する。この状態で、噴射ノズル10を所定の方向に平行移動すると、ノズルカバー20は被切削物Mに圧接されたまま所定の形状の切削予定線上の切削を行う。
【0041】
また、上記方法では切断面は被切削物Mの表面に対して直交方向であるが、図13に示すように、噴射ノズル10を被切削物Mの表面に対して傾けてθの角度に設定すると、被切削物Mの切断面は、表面に対して所定の角度で切削される。なお、この場合でも、ゴムシート31、コイルスプリング34は弾性変形して、ノズルカバー20を被切削物Mの表面に対して付勢するので、ノズルカバー20と被切削物Mの表面は密閉される。
【0042】
さらに、図14に示すように、被切削物Mの表面が曲面の場合は、この被切削物Mの曲面の中心点を揺動中心手点Oとして、高圧水切削装置を図中P2方向に揺動することで、噴射ノズル10は図中一点鎖線で示す状態で揺動し、ノズルカバー20は被切削物Mの表面に圧接した状態で、切削が行われる。
【0043】
しかしながら、上記の場合、切断面は全て被切削物Mの曲面の中心から放射面状に限定される。
図15は、トンネル履工のコンクリートの一部を切削してサンプリングして取り出す状況を示す。
このような場合で、切断面の角度が限定されると、四方を切削されたサンプリング部M1は、その切断面M2がトンネルの中心軸上の中心点Oより放射面方向となるのでサンプリング部M1は、トンネルの内側すなわち図中中心点O方向へ引き抜くことができなくなる。
そこで、このような場合でも、噴射ノズル10の被切削物Mの曲面に対する角度を放射方向以外にした状態で、ノズルカバー20を被切削物Mに密閉するよう圧接する必要性がある。
本実施の形態では、噴射ノズル10とノズルカバー20の連結角度を自由に設定できるので、本ケースにおいても、噴射ノズル10の被切削物Mの表面に対する適切な角度調整、および、ノズルカバー20の被切削物Mへの圧接を実現する。
【0044】
なお、噴射ノズル10を図14中実線図示状態から破線図示状態へ変更するには、マニュピュレータの先端にノズル保持体12を連結角度調整可能に連結する他、マニュピュレータの先端アームを折り曲げ、角度変更可能なものを使用してもよい。また、マニュピュレータを図14中の矢印方向P2に回動アーム状に使用する場合、噴射ノズル10の角度を変更してもマニュピュレータの回動中心点Oを移動させないで元の位置を保てる。
【0045】
{実施の形態4}
図16は、本発明を高圧水切削装置に適用した実施の形態4の断面構造を示す。
本発明は、実施の形態1と略同様の構成であるが、ブラシフランジ22に代えて弾性変形部材としての弾性変形カバー24を備えた点に特徴を有する。
【0046】
ここで、弾性変形カバー24は、開口パッキン材24aと、開口パッキン材24aに固定されたスプリング24bと、スプリング24bを固定し開口パッキン材24aを収納するパッキン収納部24cから成る。
【0047】
開口パッキン材24aは、リング状に形成され、例えば、合成ゴムよりなるが、その他に天然ゴム、合成樹脂を用いもよい。
ところで、開口パッキン材24a単独で下部開口の縁部に突出するように固定した場合、ノズルカバー20と被切削物Mの表面との角度を変更すると、開口パッキン材24aは大きく変形して、その先端が被切削物Mの表面に圧接する状態を確保できるが、開口パッキン材24aは大きな径が必要とされる。
しかし、大口径の開口パッキン材24aには、飛散物にかなり大きな力で衝突することが予想されるので、この衝突に対して密閉性を確保するには、開口パッキン材24aを強靱で容易に変形しない材質を使用する、若しくは、噴射ノズル10の噴射口から十分な距離を設けて配置し、大きな衝突力が加わらないようにする必要がある。
【0048】
また、下部開口を大口径とすると、ノズルカバー20自体が大径となり、重量も増加することから、取扱いが不便になる。噴射ノズル10が少し傾くと、下部開口と被切削物Mの表面との成す角度が大きく変化するので、本形態では、該パッキン材24aに小径で比較的硬い材質(必要に応じては針金をブラシ状に植設したもの)を使用した。しかし、比較的硬質で、変形しにくい開口パッキン材24aを使用すると、その先端を被切削物Mの表面に圧接していても、被切削物Mの表面に追従して変形しにくく、密閉性が確保困難になる。そこで、本実施の形態では、開口パッキン材24aをパッキン収納部24cに収納し、スプリング24bにより出入自在としている。
【0049】
スプリング24bは、例えば、鋼からなり、ノズルカバー20への圧接力に応じて弾性変形する。従って、ノズルカバー20と被切削物Mの表面の成す角度を変更しても開口パッキン材24aを追従して被切削物Mの表面に圧接させる。
【0050】
パッキン収納部24cは、ノズルカバー20の下部開口の周縁に断面凹状に形成されている。ノズルカバー20に加わる圧接力に応じて開口パッキン材24aを出入させる。
【0051】
次に、図16に基づいて本高圧水切削装置の使用方法について説明する。
先ず、図16に示すように、マニュピュレータの駆動アーム(図示省略)を操作し、ノズルカバー20の下部開口を被切削物Mに対向させ、ノズルカバー20を平面状の被切削物Mの表面に圧接させる。
このとき、ノズルカバー20下部の開口パッキン材24aは被切削物Mの表面に当接され、パッキン収納部24cの中へ入り込んだ状態で、被切削物Mとノズルカバー20との間隙を密閉する。スプリング24bは弾性圧縮されて開口パッキン材24aを被切削物Mに付勢し、ノズルカバー20と被切削物Mの表面の密閉性を向上させる。
一方、被切削物Mの表面が曲面の場合、開口パッキン材24aは、被切削物Mの当接部位の凹凸に応じて、パッキン収納部24cに入り込み、被切削物Mの表面とノズルカバー20の間隙を埋め密閉する。
【0052】
以下、耐水圧ホースから高圧水を圧送し、研磨材注入口13から研磨材を適宜混入しつつ噴射ノズル10からジェット状の切削水を被切削物Mの表面に噴射し、被切削物Mを所定の形状に切削する。
【0053】
以上より、本実施の形態によれば、弾性変形カバー24は、ノズルカバー20の被切削物Mの表面に対する傾斜に係わらず、ノズルカバー20と被切削物Mの表面の間を密閉するようにしたので、被切削物Mの表面形状に関わらず、切削時の騒音を低減し、被切削物Mから反射される切削水から作業者を防護する。
【0054】
なお、下部開口にパッキンホルダーをスプリング24bに固定し、パッキンホルダーに開口パッキン材24aを固定してもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上より、請求項1記載の発明によれば、ノズルカバーは噴射ノズルと一体に移動するようにしたので、噴射ノズルはノズルカバーを伴って被切削物の平面上の任意位置へ移動して切削を行うと共に作業スペースが省略される。また、ノズルカバーにより騒音を遮断し、飛散物を遮蔽するようにしたので、切削時の騒音を低減し、被切削物で反射される高圧水、切削屑から作業者を防護する。
【0057】
また、被切削物の表面に対するノズルカバーの姿勢を調整し、被切削物の表面形状に応じて、被切削物の表面とノズルカバーを密閉するとともに、噴射ノズルの噴射方向を自在に調整し、噴射ノズルを被切削物の表面に対して所定の噴射角を設定するようにしたので、ノズルカバーの曲面追従性能が向上されるとともに、適切な切削が行われる。
【0059】
請求項5、6、7記載の発明によれば、弾性部材は、弾性変形して被切削物の表面に対してノズルカバーを付勢し、被切削物の表面とノズルカバーとの密閉性を向上するようにしたので、被切削物の表面形状に関わらず、切削時の騒音はさらに低減され、被切削物で反射される高圧水から作業者の安全性がさらに向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を高圧水切削装置に適用した実施の形態1を示す説明図である。
【図2】図1に係わる噴射ノズルの側面構造を示す。
【図3】図1に係わるノズルカバー本体の拡大した構造を示し、(a)は平面構造を、(b)は側面構造を示す説明図である。
【図4】図1に係わる高圧水切削装置を用いて被切削物を切削する模式図を示す。
【図5】本発明を高圧水切削装置に適用した実施の形態2の側面構造を示す説明図である。
【図6】図5に係わる噴射ノズルの拡大した側面構造を示す説明図である。
【図7】図5に係わる高圧水切削装置の使用状況の模式図を示す。
【図8】本発明を高圧水切削装置に適用した実施の形態3の側面構造を示す説明図である。
【図9】図8に係わる高圧水切削装置を上方から観察した平面構造を示す説明図である。
【図10】(a)は、図8に係わる高圧水切削装置の使用状況の模式図を示し、(b)は、図1に係わる高圧水切削装置を曲面形状の被切削物に適用した模式図を示す。
【図11】本発明を高圧水切削装置に適用した変形の形態の断面構造を示す説明図である。
【図12】図11に係わる高圧水切削装置を用いて被切削物を切削する状況を示す説明図である。
【図13】図11に係わる高圧水切削装置を用いて被切削物を切削する状況を示す説明図である。
【図14】図11に係わる高圧水切削装置を用いて被切削物を切削する状況を示す説明図である。
【図15】トンネル履工のコンクリートの一部を切削してサンプリングして取り出す状況を示す説明図である。
【図16】本発明を高圧水切削装置に適用した実施の形態4の断面構造を示す説明図である。
【図17】従来技術に係わる高圧水切削装置の模式図を示す。
【符号の説明】
10 噴射ノズル
11 ノズル本体
12 ノズル保持体
13 研磨材注入口
14 ボールジョイント機構
14a ジョイント球
14b ジョイントリング
15 第2スプリング
16 ガイドブラケット
20 ノズルカバー
21 ノズルカバー本体
21a 上部開口
21b 下部開口
21c バキューム口
21d ホースフランジ
22 ブラシフランジ
23 開口パッキン材
24 弾性変形部材
24a 開口パッキン材
24b スプリング
24c パッキン収納部
31 ゴムシート
32 フランジ
33 止具
34 コイルスプリング
41 箱状カバー
41a 切溝
42 バキューム口
Claims (2)
- 高圧水を噴射する噴射ノズルを備え、前記噴射ノズルから噴射した高圧水により被切削物を切削する高圧水切削装置において、
前記噴射ノズルに連結されると共に、前記被切削物の表面に当接させて前記噴射ノズルと被切削物の表面を密閉するノズルカバーと、
前記噴射ノズルと前記ノズルカバーを可動自在に連結する自在継手機構と、を備え、
前記ノズルカバーのノズルカバー本体の前記被切削物側には下部開口が形成されるとともに、前記ノズルカバー本体の前記被切削物とは反対側には上部開口が形成され、
前記自在継手機構は、
前記上部開口に設けられ、その内面を凹状曲面状に形成されたジョイントリングと、
前記ジョイントリングの内側に設けられ、前記ジョイントリングの内面に摺動可能に接し、貫通孔が形成されたジョイント球と、を有し、
前記噴射ノズルのノズル本体は前記ジョイント球の貫通孔に貫通していると共に前記ジョイント球内で遊嵌しており、
前記噴射ノズルとノズルカバーとの間に一対のコイルスプリングを備え、
前記噴射ノズルの突出部と前記ジョイント球との間には第2スプリングが設けられていることを特徴とする高圧水切削装置。 - 前記噴射ノズルと前記ノズルカバーとの間に設けられ、前記被切削物の表面形状に応じて弾性変形して前記被切削物の表面に前記ノズルカバーを付勢させるゴムからなる弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の高圧水切削装置。
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