JP4140851B2 - マグネシウム基複合材料、マグネシウム基複合材料製造用の圧粉成形体および圧粉成形体の製造装置 - Google Patents

マグネシウム基複合材料、マグネシウム基複合材料製造用の圧粉成形体および圧粉成形体の製造装置 Download PDF

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本発明は、優れた機械的特性、例えば高引張強度及び高硬度、所望により高剛性、並びに優れた耐食性を有するマグネシウム基複合材料、マグネシウム基複合材料製造用の圧粉成形体および圧粉成形体の製造装置に関する。
従来よりマグネシウムシリサイド(MgSi)粒子が分散したマグネシウム基複合材料に関する研究開発は、精力的に進められている。例えば、特開平6-81068号公報は、高Si含有のマグネシウム合金を半溶融状態で射出成形する際にマトリックスのMgとSiとの反応によってMgSiを合成し、このMgSi粒子が分散したマグネシウム基複合材料の製造方法を開示している。
また、特開平8−41564号公報は、鋳造法によるMgSi粒子及びSiC粒子が分散したマグネシウム基複合材料を開示している。さらに、特開2000−17352号公報は、球状のMgSi粒子が分散したマグネシウム基複合材料、及びその鋳造法による製法を開示している。
特開平6-81068号公報 特開平8−41564号公報 特開2000−17352号公報
しかしながら、上述のマグネシウム基複合材料に関する製造方法はいずれも、鋳造法又は含浸法などの溶解法を基調としている。即ち、これらの方法は、マトリックスを構成するマグネシウム又はマグネシウム合金を一旦溶解させた後に、凝固・固化する工程を経ている。このため、マトリックスのマグネシウムの結晶粒径およびMgSi粒子の粗大成長が観察され、且つこれによる強度・硬度等の機械的特性の低下が観察される。
また、上述の溶解法を基調とする製法は、それ自体、消費エネルギー増加が避けられず、コスト面における課題を伴っていた。
さらに、二輪車・自動車用部品、家電部品などの構造用機械部品や車椅子や介護用ベッドなどの福祉介護用品などにおける軽量化ニーズは大きく、Mg合金の適用が試みられている。しかしながら、これらの部品・製品へのMg合金の適用を実用化させるためには、Mg合金の耐腐食性及び機械的特性、特に引張強度、硬さ、剛性(ヤング率)、などを大幅に改善させる必要がある。
本発明の目的は、マトリックスのマグネシウムの結晶粒径およびMgSi粒子の粗大成長を抑制し、これによって強度・硬度等の機械的特性及び耐蝕性が高いマグネシウム基複合材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記のマグネシウム基複合材料製造用の圧粉成形体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記の圧粉成形体の製造装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、従来の鋳造溶解法によらず、粉末冶金法を基本とするマグネシウム基複合材料の製造方法により、上記課題が解決できることを見出した。
本発明のある面において、本発明者らは、Mgを含むマトリックス粉末とSi粉末との混合粉末を圧粉成形する過程でMg粉末表面の酸化皮膜(MgO)を機械的に破壊・分断して活性なMg新生面をSi粉末との接触領域を増加させることでMgの融点以下の固相温度域で両者の反応が進行することを見出した。この知見に基づいて、Si粉末をMgを含むマトリックス粉末の表面及び/又は内部に分散させることで、Si粉末とMgを含むマトリックス粉末との間にはMgOが存在せず、両者が密着した状態となり、MgとSiとの反応がより容易に進行することを見出した。
また、本発明者らは、上記のMgの融点以下の固相温度域で反応して得られたものを、さらに温間塑性加工工程に付することにより、向上した機械的特性、特に強度及び硬さ、所望により剛性(ヤング率);並びに耐腐食性を有するMg基複合材料を提供できることを見出した。
具体的には、本発明者らは、以下の発明を見出した。
(1)マグネシウム(Mg)を含むマトリックス中に、固相反応によって生成したマグネシウムシリサイド(MgSi)を分散させているマグネシウム基複合材料において、
マグネシウム基複合材料100重量部に対して、マグネシウムシリサイド(MgSi)の量が3重量部以上15重量部以下であり、
前記マグネシウムシリサイド(MgSi)の粒子径が10nm以上30μm以下であり、
当該マグネシウム基複合材料の引張強度が100MPa以上500MPa以下であることを特徴とする、マグネシウム基複合材料。
(2)上記の(1)において、当該マグネシウム基複合材料100重量部に対して、シリコン(Si)成分の量が2重量部以上6重量部以下である。
(3)上記の(1)または(2)において、当該マグネシウム基複合材料の引張強度が350MPa以上500MPa以下である。
(4)上記の(1)〜(3)のいずかにおいて、上記マグネシウムシリサイド(MgSi)の粒子径が100nm以上10μm以下である。
(5)上記の(1)〜(4)のいずれかにおいて、当該マグネシウム基複合材料は、さらに酸化マグネシウム(MgO)および/またはシリカ(SiO)を含む。
(6)上記の(1)〜(5)のいずれかにおいて、当該マグネシウム基複合材料のマイクロビッカース(Hv)硬さが80〜125である。
(7)上記の(1)〜(6)のいずれかにおいて、当該マグネシウム基複合材料のロックウエル硬度(Eスケール:HRE)が40〜120である。
(8)上記の(1)〜(7)のいずれかにおいて、当該マグネシウム基複合材料の剛性が47〜65GPaである。
(9)上記の(1)〜(8)のいずれかにおいて、当該マグネシウム基複合材料は、素材、輸送機器用部品、電気製品用部品、住宅用品、精密機械用部品、スポーツ用品、武器、医療器具および福祉介護器具からなる製品群から選ばれた製品に使用される。
(10)上記の(1)〜(9)のいずれかに記載のマグネシウム基複合材料を製造するのに使用される固相反応前の圧粉成形体であって、
(a)マグネシウム(Mg)を含む第1の試料と、シリコン(Si)を含む第2の試料とを所定の比率で配合して混合粉末を得る工程と、
(b)上記混合粉末を金型または容器に充填した後に、圧縮用パンチによりこの混合粉末に対して圧縮加工を行って圧縮体とし、引き続いて金型または容器内の圧縮体中に押込用パンチを押し込んで圧縮体をパンチの押込方向とは逆の方向に押出すことを繰り返して、第1および第2の試料が均一に混合して微細化した集合体とし、この集合体を圧粉成形体として固化体を得るように塑性加工を施す工程とを経て製造されていることを特徴とする、マグネシウム基複合材料製造用の圧粉成形体。
(11)上記の(10)において、上記圧粉成形体としての固化体は、微細なシリコン粒子に加えて、マグネシウムシリサイド粒子を含む。
(12)上記の(11)において、上記固化体中の上記マグネシウムシリサイド粒子の粒子径は10nm以上30μm以下であり、上記の微細なシリコンを含む第2試料の粒子径は10nm以上30μm以下である。
(13)上記の(10)に記載の圧粉成形体の製造装置であって、
上記混合粉末を受入れる容器と、
上記容器内の混合粉末に対して圧縮加工を施す圧縮用パンチと、
上記容器内で圧縮加工された混合粉末の圧縮体中に押込まれて、圧縮体を押込方向とは逆の方向に押出す押込用パンチとを備える、圧粉成形体の製造装置。
(14)上記の(13)において、上記押込用パンチの下降速度を50〜500mm/秒の範囲に管理する。
(15)上記の(13)または(14)において、上記圧縮用パンチによる圧縮加工と上記押込用パンチによる後方押出塑性加工とを繰り返す。
(16)上記の(13)〜(15)のいずれかにおいて、上記押込用パンチは、複数個設けられている。
(17)上記の(13)〜(16)のいずれかにおいて、上記押込用パンチの先端部は、丸みを帯びた形状を有する。
(18)上記の(13)〜(17)のいずれかにおいて、上記圧縮用パンチおよび上記押込用パンチは、油圧式、機械式またはスクリュー式のプレス加工機によって駆動される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ある面において、上述のように、マトリックス粉末に含まれるMgの表面に存在した酸化膜、即ちMgOを存在させることなく、MgとSi粉末とを密着させる状態を調整し、MgとSiとの反応がより容易に進行することにその特徴がある。
なお、本発明のある面について、マグネシウム基複合材料前駆体の製造方法、得られた前駆体、前駆体からのマグネシウム基複合材料の製造方法、及び得られたマグネシウム基複合材料の順で説明する。また、本発明の他の面についても、上記と同様の順序で説明する。さらに、本発明の第3の面についても、上記と同様の順序で説明するが、上述の本発明の3つの面は、本発明の固化体作製工程の態様、及び加熱後の温間塑性加工の態様(温間鍛造又は温間押出)によって、主に異なるものである。
<マグネシウム基複合材料前駆体の製造方法A>
本発明のある面のマグネシウム基複合材料前駆体(以降、特記しない限り「前駆体」と略記する)の製造方法は、混合粉末の準備工程と該混合粉末を加圧して前駆体を作製する工程とを有する。
混合粉末の準備工程において、マグネシウム(Mg)を有してなるマトリックス粉末とシリコン(Si)粉末とを配合して混合粉末を準備する。
Mgを有してなるマトリックス粉末は、粉塵爆発等に対する防爆の観点から粒径が10μm以上の粉末を用いるのが好ましい。この点を満たせば、Mgを有してなるマトリックス粉末の形態は、特に限定されないが、例えば粉末、チップ、又は塊状小片等の形態であるのがよい。
また、Mgを有してなるマトリックス粉末には、Mgを含む合金、又はMgのみからなるものが含まれる。
Mgを有してなるマトリックス粉末が合金である場合、Mg以外に含まれるものとして、Al、Zn、Mn、Zr、Ce、Li及びAg等を挙げることができるが、これらに限定されない。
Si粉末は、圧粉成形体又は前駆体の作製工程において、Mgを有してなるマトリックス粉末との機械的な結合を向上させる点で、その粒径が10〜500μm、好ましくは10〜200μmであるのがよい。
準備工程において、Siの重量とマトリックス粉末中に含まれるMgの重量との比、即ち(Si粉末の重量)/(マトリックス粉末中のMgの重量)が、36.6/63.4以下であるのがよい。Siの添加量が36.6重量%を越えると、理論上、マトリックス粉末中のMgがすべてMgSiとなる(即ち、マトリックスとしてのMgが残存しなくなる)。この場合に得られる材料は、強度が著しく低く、所望の特性を有しない。したがって、(Si粉末の重量)/(マトリックス粉末中のMgの重量)が、36.6/63.4以下、好ましくは、機械的特性および被削性の観点から、10/90以下であるのがよい。
上記のMgを有してなるマトリックス粉末とシリコンSi粉末とを配合して混合粉末を準備する。混合する際には、従来から用いられている混合粉砕機を使用することができる。例えば、V型ミキサー又はボールミルなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
混合は、種々の環境下、例えば大気中で行うことができる。望ましくは、微粒子を用いる場合、混合容器の中に窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを充填することにより、混合過程での粉末表面の酸化を防止するのがよい。
上記混合を行うことにより、図1に示すように、Mgを有してなるマトリックス粉末とシリコンSi粉末とが均一に交じり合った混合粉末を得ることができる。
次いで、得られた混合粉末を容器に充填し加圧することで空孔率が35%以下のマグネシウム基複合材料前駆体又は圧粉成形体を作製する。
前駆体又は圧粉成形体を得るための圧粉固化する方法として、従来の粉末冶金法で用いられているプロセスを適用することができる。例えば、容器に混合粉末を充填して冷間等圧成形(CIP)する方法;又は金型に粉末を充填した状態で上下パンチにより圧縮することで圧粉体を創製する方法;などを挙げることができるが、これらに限定されない。
得られた前駆体又は圧粉成形体は、その空孔率が35%以下、好ましくは20%以下であるのがよい。空孔率をこの値とする意義は、次のような作用によるものと考えられる。即ち、マトリックス粉末の表面は一般に、酸化皮膜(MgO)で覆われている。このMgOは他の酸化物に比べて生成自由エネルギーが小さく安定であるため、このMgO表面皮膜がMgとSi粉末との反応を抑制する。そのため,従来法ではMgの融点(650℃)以上に加熱してMgの液相を生成する工程を設け、その後に、マトリックス粉末中のMgとSi粉末との反応を促進させてMgSiを合成していた。この昇温工程において、鋳造溶解法と同様のマトリックスおよびMgSiの粒径粗大成長の問題が生じていた。
一方、本発明は、前駆体又は圧粉成形体を作製する工程において、その空孔率が35%以下になるように、混合粉末を加圧する。この工程において、粉末同士の粒子再配列による表面摩擦および粒子の塑性変形によってMgO表面皮膜が機械的に分断・破壊され,その部分に活性なMgマトリックスの新生面が出現する。このMg新生面は、その後に、昇温加熱することで、Si粉末と反応してMgSiを合成する。ここで、空孔率の値が低ければ低いほど、Mg新生面の面積が多くなり、ひいてはMgSiの合成温度がより低温側に移行する。したがって、前駆体又は圧粉成形体の空孔率はより低いことが好ましく、より好ましくは20%以下であるのがよい。なお、逆に、前駆体又は粉末成形体の空孔率が大きすぎると、MgO皮膜の破壊が十分でないため、Mg新生面の形成領域が小さくなる。その結果、MgSiの合成温度がより高温側、例えばMgの融点以上の液相領域に移行せざるを得なくなり、粗大なMgSi粒子の形成を伴うこととなる。
<マグネシウム基複合材料前駆体又は圧粉成形体A>
本発明のある面のマグネシウム基複合材料前駆体又は圧粉成形体は、上述の空孔率を有する。この空孔率は、次のように測定することができる。
まず、上記前駆体又は圧粉成形体を構成する元素の密度と組成・成分から真密度(A)を求めておく。また、得られた上記前駆体又は圧粉成形体について、JIS R1643に準拠して、その密度(B)を測定する。このA及びBを用いて、空孔率(V)を次の式Iにより求めることができる。
V=100−{100×(B/A)} (式I)
なお、本明細書において、「空孔率」とは、特記しない限り、この測定方法により求められる値をいう。
また、本発明のマグネシウム基複合材料前駆体又は圧粉成形体は、示差走査熱量分析(DSC)による測定において、150〜650℃、好ましくは350〜650℃において、発熱ピークを有するのがよい。
一例として、空孔率を変化させた条件で調製した本発明の前駆体又は圧粉成形体を示差熱量分析(DSC)によって測定した結果を図2に示す。空孔率が9%、19%及び32%である前駆体は、上述の範囲、即ち150〜650℃、好ましくは350〜650℃に発熱ピークを有し、吸熱ピークは観察されない。なお、後述するが、この発熱ピークで、MgとSiとの固相状態での反応により、MgSiが合成されている。
一方、空孔率が52%である前駆体は、Mgの融点(650℃)においてMgの液相出現による吸熱ピークが観察される。なお、この場合、液相状態においてMgSiが合成されている。
前駆体又は圧粉成形体の空孔率が低下するにつれて最高発熱量を伴う温度(発熱ピークの温度)、即ちMgSiの合成開始温度が低温側に移行する。最高発熱量を伴う温度(発熱ピークの温度)がMgの融点(650℃)よりも低いことは、合成反応が固相状態で完了していることを意味する。
<前駆体からのマグネシウム基複合材料の製造方法A>
上述の前駆体又は圧粉成形体を加熱することにより、マトリックス粉末中のMgとSi粉末との反応によってMgSiが生成し、本発明のマグネシウム基複合材料が得られる。
加熱雰囲気は、特に限定されないが、マトリックス(前駆体又は圧粉成形体)中のMg又はMg含有合金の酸化を抑制する目的から、窒素又はアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、もしくは真空中とするのがよい。
加熱温度は、図2の結果からもわかるように、150℃以上、好ましくは350℃以上、より好ましくは450℃以上とするのがよい。なお、比較的短時間でMgSiを合成させるためには、加熱温度を450℃以上とするのが望ましい。
このことより、本発明は、圧粉成形の際に、表面酸化皮膜(MgO)を機械的に分断及び/又は破壊し、その結果、従来の製法の温度域よりも低い温度域、即ち650℃よりも低い温度域で、MgSiを合成することができる。
<マグネシウム基複合材料A>
このようにして得られたMgSiは、次の特性を有する。
MgSiの粒径は、10〜200μmであり、該MgSi粒子は、得られたマグネシウム基複合材料に分散された状態で形成される。
また、一般的に、MgSiは、熱膨張率がマグネシウムよりも小さく、高剛性・高硬度を有し、しかも低比重で耐熱性・耐食性に優れている。
したがって、上記MgSiの特性を有することから、得られた本発明のマグネシウム基複合材料は、優れた特性、例えば機械的特性および耐食性、を有する。これらの優れた特性を有する複合材料は、その中に含まれるMgSiが、複合材料100wt%であると、3wt%以上、好ましくは5wt%以上であるのがよい。
特に、本発明の複合材料は、以下に記載するA)及びB)のうちのいずれか1種の特性又は2種以上の特性を種々組合せた特性を有する。
即ち、A)i)前記マグネシウム基複合材料のロックウェル硬度(Eスケール)が40以上105以下、好ましくは40以上95以下であるか、及び/又はii)前記マグネシウム基複合材料のロックウェル硬度(Eスケール)が前記マグネシウム基複合材料からマグネシウムシリサイドを除いた素地材料のロックウェル硬度(Eスケール)よりも20以上80以下、好ましくは20以上40以下の値で大きい;及び
B)i)前記マグネシウム基複合材料の引張強度が100MPa以上350MPa以下、好ましくは100MPa以上280MPa以下であるか、及び/又はii)前記マグネシウム基複合材料の引張強度が前記素地材料の引張強度よりも20MPa以上100MPa以下、好ましくは20MPa以上50MPa以下の値で大きい。
より具体的には、本発明の複合材料は、Aに関してはA−i)、A−ii)、A−i)を満たし且つA−ii)を満たす、いずれかの特性を有するか、及び/又は、Bに関してはB−i)、B−ii)、B−i)を満たし且つB−ii)を満たす、いずれかの特性を有する。また、本発明の複合材料は、Aに関してのいずれかの特性とBに関してのいずれかの特性とを同時に満たす特性を有することもできる。
<マグネシウム基複合材料前駆体の製造方法B>
本発明の他の面のマグネシウム基複合材料前駆体(以降、特記しない限り「前駆体」と略記する)の製造方法は、複合粉末の準備工程と該複合粉末を加圧して前駆体を作製する工程とを有する。
複合粉末の準備工程において、マグネシウム(Mg)を有してなるマトリックス粉末とシリコン(Si)粉末とを配合してSiがマトリックス粉末中に分散してなる複合粉末を準備する。
Mgを有してなるマトリックス粉末及びSi粉末の粒径及び形状は、特に限定されない。なぜならば、後述するように、両者の混合粉末を機械的に粉砕・混合・圧着を繰り返す工程を設ければ、粗大な粉末又は小片試料であっても、MgとSi粉末とを密着させる状態を形成することができるからである。但し、Mgを有してなるマトリックス粉末は、その粒径が粉塵爆発等に対する防爆の観点から粒径が10μm以上の粉末を用いるのがよい。また、Mgを有してなるマトリックス粉末の粒径は、流動性の点及び/又は均一な密度分布を有する圧粉成形体(前駆体)を形成する点で、50μm以上700μm以下であるのが好ましく、より好ましくは150μm以上500μm以下であるのがよい。さらに、Mgを有してなるマトリックス粉末の形態は、特に限定されず、例えば粉末、チップ、又は塊状小片等の形態とすることができる。
また、Mgを有してなるマトリックス粉末には、Mgを含む合金、又はMgのみからなるものが含まれる。
Mgを有してなるマトリックス粉末が合金である場合、Mg以外に含まれるものとして、Al、Zn、Mn、Zr、Ce、Li及びAg等を挙げることができるが、これらに限定されない。
より具体的には、Mgを有してなるマトリックス粉末として、AZ31、AZ91などを用いることができる。
Si粉末の粒径及び形状は、上述のように、特に限定されない。但し、その粒径が10〜500μm、より好ましくは10〜200μmであるのがよい。また、その形状は、球状、粉末の他に、チップ、小片、塊状などであるのがよい。
準備工程において、Siの重量とマトリックス粉末中に含まれるMgの重量との比、即ち(Si粉末の重量)/(マトリックス粉末中のMgの重量)が、36.6/63.4以下であるのがよい。Siの添加量が36.6重量%を越えると、理論上、マトリックス粉末中のMgがすべてMgSiとなる(即ち、マトリックスとしてのMgが残存しなくなる)。この場合に得られる材料は、強度が著しく低く、所望の特性を有しない。したがって、(Si粉末の重量)/(マトリックス粉末中のMgの重量)が、36.6/63.4以下、好ましくは、機械的特性および被削性の観点から、10/90以下であるのがよい。
上記のMgを有してなるマトリックス粉末とシリコンSi粉末とを配合してSiがマトリックス粉末中に分散してなる複合粉末を準備する。
ここで、準備工程は、a)Si粉末とマトリックス粉末とを配合して配合粉末を得る工程;及びb)得られた配合粉末を粉砕及び/又は圧着及び/又は破砕する工程を有するのがよい。さらに、このb)工程を複数回繰り返すのがよい。
また、b)工程は、粉砕機を用いて行うのがよい。粉砕機は、ボールメディアによる衝撃エネルギーを利用した機械的な粉砕処理能力を有するのがよく、例えば回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミルからなる群から選ばれるのがよい。このような機械的な粉砕・混合・圧着・破砕を行うことにより、Si粉末を微細に粉砕してマトリックス粉末中に分散させることができる。また、これにより、Si粒子の比表面積が増加し且つMgとの接触領域を増加させることができ、SiとMgとの反応をさらに促進することができる。
図3は、この準備工程によって得られた複合粉末試料の模式図であり、図4は、準備工程によって実際に得られた複合粉末試料の光学顕微鏡による観察像である。
図3は、Si粒子がマトリックス中に分散していることを示している。同様に、図4も、Si粒子(白色)がマトリックス(黒の背景)中に分散していることがわかる。
なお、準備工程は、種々の環境下、例えば大気中で行うことができる。酸化抑制の観点から、望ましくは、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うのがよい。
次いで、得られた複合粉末を容器に充填し加圧して圧粉成形体又はマグネシウム基複合材料前駆体を作製する。
前駆体又は圧粉成形体を得るための圧粉固化する方法として、従来の粉末冶金法で用いられているプロセスを適用することができる。例えば、容器に混合粉末を充填して冷間等圧成形(CIP)する方法;又は金型に粉末を充填した状態で上下パンチにより圧縮することで圧粉体を創製する方法;などを挙げることができるが、これらに限定されない。
充填加圧工程の際の圧力は、4t/cm以上8t/cm以下であるのがよい。圧力の上限についての理由は次による。即ち、圧力を高くしても、最終的に得られる複合材料の密度の上昇における効果が少ない。また、圧力を高くすると、用いる金型と成形体との間で凝着が生じ、金型の寿命を低下させるため、好ましくない。
<マグネシウム基複合材料前駆体又は圧粉成形体B>
上記の準備工程及び充填・加圧工程により、本発明のマグネシウム基複合材料前駆体又は圧粉成形体を形成することができる。
本発明のマグネシウム基複合材料前駆体又は圧粉成形体は、示差走査熱量分析(DSC)による測定において、150〜650℃、好ましくは150〜350℃において、MgSiの合成反応に伴う発熱ピークが観察されるのがよい。
一例として、以下の3つの試料のDSC測定結果を図5に示す。1)Mgを有してなるマトリックス粉末として純Mg(粒径:111μm)63.4g;及びSi粉末(粒径:38μm)36.6gとをボールミルで2時間粉砕・混合・圧着・破砕させることで、微細なSi粒子がMg粉末の素地(マトリックス)中に分散した複合粉末が得られる。この粉末を圧粉成形することなく粉末状態のままを本発明の試料とした。2)1)と同じ成分を単に混合し、圧力5.8t/cmで加圧して得られた試料(空孔率:9%)。3)1)及び2)と同じ成分を単に混合し、圧力1.8t/cmで加圧して得られた試料(空孔率:52%)。
図5から、1)の試料は、圧粉成形しない粉末状態であるにも関わらず、150℃付近から200℃付近に、MgSiの合成反応に伴う発熱ピークが観察された。一方、2)の試料は、500℃付近にMgSiの合成反応に伴う発熱ピークが観察された。また、3)は650℃(Mgの融点)でMgの融点に伴う吸熱ピークが観察された。これから、1)の試料は、Mgの融点以下であって、2)の試料よりも著しく低温側でMgSiが合成されることがわかる。
<前駆体からのマグネシウム基複合材料の製造方法B>
上述の前駆体又は圧粉成形体を加熱することにより、マトリックス粉末中のMgとSi粉末との反応によってMgSiが生成し、本発明のマグネシウム基複合材料を得ることができる。
加熱雰囲気は、特に限定されないが、マトリックス(前駆体又は圧粉成形体)中のMg又はMg含有合金の酸化を抑制する目的から、窒素又はアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、もしくは真空中とするのがよい。
加熱温度は、上述の図5のDSC結果からもわかるように、150℃以上350℃以下とするのがよい。比較的短時間でMgSiを合成させるためには、加熱温度を200℃以上とするのが望ましい。
なお、前駆体又は圧粉成形体の形状及び寸法によって、ある温度である時間保持することが好ましい。特に、加熱工程の際、前駆体又は圧粉成形体の表層部と内部との温度差によるMgSi粒子の不均一生成が生じないようにするのが好ましい。一方、保持時間を長くすることによるMgSi粒子及びMg結晶粒の粗大成長を抑えるのが好ましい。保持時間は、前駆体又は圧粉成形体の形状及び寸法によって依存するが、1分以上であって、30分以下であるのがよい。
本発明のマグネシウム基複合材料において、必要に応じて温間鍛造法や温間押出法といった塑性加工工程をさらに有するのがよい。これにより材料中の空孔が閉鎖され、複合材料の密度を増加させて機械的特性をさらに向上させることが可能である。具体的には、上記の加熱工程直後の複合材料を直接、温間塑性加工を施す方法;及び加熱工程後の複合材料を再度加熱後、温間塑性加工を施す方法などを挙げることができる。但し、経済性の観点からは前者の方法は有利である。
<マグネシウム基複合材料B>
このようにして得られたMgSiは、次の特性を有する。
MgSiの粒径は、10〜200μmであり、該MgSi粒子は、得られたマグネシウム基複合材料に分散された状態で形成される。
また、一般的に、MgSiは、熱膨張率がマグネシウムよりも小さく、高剛性・高硬度を有し、しかも低比重で耐熱性・耐食性に優れている。
したがって、上記MgSiの特性を有することから、得られた本発明のマグネシウム基複合材料は、優れた特性、例えば機械的特性および耐食性、を有する。これらの優れた特性を有する複合材料は、その中に含まれるMgSiが、複合材料100wt%であると、3wt%以上、好ましくは5wt%であるのがよい。
特に、本発明の複合材料は、上述と同様に、上記A)及びB)のうちのいずれか1種の特性又は2種以上の特性を種々組合せた特性を有する。
なお、本発明において、引張強度は、JIS規格に準拠する方法で測定することができる。また、引張強度は、実施例で後述する方法で測定することもできる。即ち、引張強度は、試験試料として直径:φ3.5mm、平行部:14mmの試験片を用意し、この試験片を10tonオートグラフに装着して変位速度0.5mm/分で引張荷重を付与して引張試験を行い、試験片が破断した際の荷重を試料の破断面積で除した値を引張強度として測定することもできる。
本発明の製造方法、即ち粉末冶金法を用いることにより、Mgの液相を出現させることなく、固相状態においてMgSiの合成が可能である。その結果、マトリックスのMgは微細結晶粒を有し,かつMgSiも微細にマトリックス中に分散することで、上記の優れた特性、例えば優れた機械的特性および耐食性、を有するマグネシウム基複合材料を経済性よく調製することができる。
なお、得られた複合材料と、前駆体又は圧粉成形体とでは、Mgの液相状態を経ない工程で作製されるなどの理由から、その寸法変化が小さい。したがって、前駆体と複合材料(即ち最終製品)との寸法変化が小さいということは、従来法と異なり、これを利点として挙げることもできる。
<マグネシウム基複合材料の製造方法C及びマグネシウム基複合材料C>
本発明の第3の面として、以下に説明するマグネシウム基複合材料C及びその製造方法Cを提供する。
本発明の第3の面のマグネシウム基複合材料Cは、マグネシウム(Mg)を有してなるマトリックス中にマグネシウムシリサイド(MgSi)が分散してなり、該マグネシウム基複合材料100重量部中、Si量が2.5重量部以上10重量部以下であり、MgSi量が3重量部以上27.5重量部以下であり、且つ該マグネシウム基複合材料の引張強度が100MPa以上500MPa以下である。
該マグネシウム基複合材料は、マグネシウムシリサイド(MgSi)及びマトリックスとしてマグネシウム(Mg)を有する。これら2成分のみからなってもよく、その他の成分を有してもよい。その他の成分として、酸化マグネシウム(MgO)、シリカ(SiO)、及び材料製造に伴う諸成分を挙げることができる。但し、その他の成分を有する場合、上記特性、例えば引張強度を損なうものであってはならない。また、その他の成分を有する場合、後述の硬度(マイクロビッカース硬さ及び/又はロックウエル硬度(Eスケール))、剛性、及び耐腐食性などについてもそれらを損なうものでないのがよい。
本発明のマグネシウム基複合材料は、該材料100重量部中、Siが2重量部以上10重量部以下、好ましくは2.5重量部以上6重量部以下で含有するのがよい。なお、Si量は、複合材料がSiOを含んでいる場合も同様である。複合材料中に含まれるSi量が少なすぎると、複合材料が所望の特性、特に機械的特性を発揮しない傾向が生じる。一方、Si量が多すぎても、特性値、特に機械的特性値が飽和する傾向が生じる。また、Si量が多いと、得られる複合材料の靭性が低下する傾向も生じる。
本発明のマグネシウム基複合材料は、該材料100重量部中、MgSiが3重量部以上27.5重量部以下、好ましくは6.8重量部以上15重量部以下で含有するのがよい。
本発明のマグネシウム基複合材料は、MgSi粒子が分散されてなるのがよい。MgSiは、その粒子径が10nm以上30μm以下、好ましくは100nm以上10μm以下であるのがよい。一般に、MgSiの粒径が小さければ小さいほど、マグネシウム基複合材料の機械的特性は向上する。
本発明のMg基複合材料は、それに含まれる成分によって依存するが、その引張強度が100MPa以上500MPa以下、350MPaより大きく500MPa以下、好ましくは380〜450MPaであるのがよい。
また、そのマイクロビッカース硬さ(Hv)が80〜125、好ましくは80〜110、より好ましくは85〜105であるか、及び/又はロックウエル硬度が40〜120、好ましくは80〜105であるのがよい。さらに、その剛性が47〜65GPa、好ましくは48〜55GPaであるのがよい。このような機械的特性を有することにより、上述の製品などに適用することができる。従来の工業用Mg合金では引張強度は200〜350MPa程度であるので、これに比して本発明のMg基複合材料は優れた機械的特性を有する。特に剛性に関しては、従来のMg合金における元素成分量が多少異なっていたとしても、従来のMg合金の剛性値は44〜45GPa程度であるのに対して、本発明のMg基複合材料は、MgSiを含むことで、その値を著しく向上させることができる。さらに、素地硬さに関しても、本発明のMg基複合材料は、上記の粒径範囲を有するMgSi粒子が材料中に均一分散することで、従来のMg合金の硬さ(50〜75Hv)と比較して顕著に増大させることができる。
以下、本発明のMg基複合材料に含まれる成分について説明する。
<マグネシウムシリサイド(MgSi)>
MgSiは、それ単独では、Mgに比べて高剛性及び高硬度、並びに優れた耐腐食性と耐熱性を有している。本発明者は、MgSiがMg合金中に分散粒子として存在する際、特にその粒子径が10nmから30μmの場合には、得られるMg基複合材料の引張強度、剛性及び硬さ、並びに耐腐食性及び耐熱性が著しく向上することを見出した。但し、実用化を考慮した際、優れた特性と経済性の両立においてより好ましいMgSi粒子径は、100nm〜10μmである。なお、MgSiの粒子径の制御は、例えば後述する方法、即ち金型臼内に充填した原料混合体に対して繰り返して行う塑性加工量とそれに引き続き施す加熱条件(加熱温度)によって、行うことができる。
<酸化マグネシウム(MgO)>
MgOは、Mg基複合材料中に分散することでMgSiと同様、複合材料の機械的特性を向上させることができる。これと同時に、MgOは、相手攻撃性を改善する効果がある。即ち、MgOは、Mg合金に比べて硬く、かつMgSiに比べて硬さが低いために相手材と擦り合わせて使用した場合、相手材を著しく攻撃することがないという特性を有している。したがって、本発明のMg基複合材料は、MgSi粒子と同範囲の粒子径を有する、即ち粒子径が10nmから30μm、好ましくは100nm〜10μmであるMgO粒子を均一に分散させることで改善した相手攻撃性を有することができる。
<シリカ(SiO)>
酸化物であるSiOもMgOと同様、マグネシウム基複合材料中に分散することで相手攻撃性を改善することができる。後述するように、本発明のMg基複合材料の出発原料としてSiOを用いた場合、該SiOは、Mgと反応してMgSiとMgOを生成する際に還元分解されることもできる。また、繰り返し塑性加工量及びその後の固化体の加熱温度を調整することにより、一部のSiOを反応せずに複合材料中に残存させることができる。
本発明は、第3の面として、Mg基複合材料の製造方法Cも提供する。
本発明の製法Cは、(a)Mgを有する第1の試料とSiを有する第2の試料とを所定の比率で配合し配合体を得る工程;(b)得られた配合体を塑性加工して固化体を作製する固化体作製工程;(c) 該固化体を加熱してMgとSiとを反応させてMgSiを有する加熱固化体を得る加熱工程;及び(d)該加熱固化体に温間塑性加工を施す温間塑性加工工程;を有し、マグネシウム(Mg)を有してなるマトリックス中にマグネシウムシリサイド(MgSi)が分散してなるマグネシウム基複合材料を製造する方法である。この方法及び以下に詳述する方法により、上記特性等を有するMg基複合材料を得ることができる。
Mgを有する第1の試料は、Mgを含んでいるものであれば、特に限定されるものではなく、純マグネシウム;Mgを主成分とするMg合金、例えばAZ31、AZ91、AM50、AM60など;及びZK系合金などの工業用マグネシウム合金などを用いることができる。特に、Mg合金粉末を用いる場合、粉塵爆発等に対する防爆の観点から、その粒子径が10μm以上、好ましくは50μm以上であるのがよい。なお、第1の試料に用いられる形状は、上記を満たすものであれば、特に限定されず、チップ状、粉末状、塊状小片などであってもよい。例えば、いわゆるチクソモールド用原料などを用いることもできる。
Siを有する第2の試料は、Siを有するものであれば、特に限定されず、例えばSi単体、シリカ、SiOなどを用いることができる。また、その粒径も特に制限されず、例えば、数センチメートル単位のブロック状の粗大な試料をはじめ、機械的粉砕処理を施した数ミクロン程度の微細粒子までの幅広い粒径範囲の試料を利用することができる。
また、第1及び第2の試料の配合には、各々の試料の秤量とその混合が含まれる。これらの工程は、従来から粉末冶金技術分野で行われているのと同じ方法により行うことができる。第1及び第2の試料を混合する際、従来より公知の手段、例えばV型ミキサー及びボールミルなどの混合粉砕機を用いることができる。混合は大気中であっても問題ないが、第1の試料、例えば純Mg粉末表面の酸化を防止するため、窒素下又はアルゴンガス下などで行うのがよい。より具体的には、微粒子を用いる場合には混合容器の中に該微粒子を充填すると共に窒素ガスやアルゴンガスなどを充填する環境下で、混合を行うのがよい。
得られた配合体は、次いで塑性加工により固化体を作製する固化体作製工程に付される。
塑性加工は、種々の手段によることができ、例えば、上記製法A及びBに記載した手法を用いることができる。即ち、A)配合体が第1の試料と第2の試料との混合粉末であり、該混合粉末を容器に充填し加圧することで空孔率35%以下の圧粉成形体として固化体を得るように、塑性加工を施すことができる。また、B)配合体がMgを有するマトリックス粉末中にSiが分散してなる複合粉末の集合体であり、該複合粉末の集合体を容器に充填し加圧することで圧粉成形体として固化体を得るように、塑性加工を施すことができる。さらには、C)配合体を金型又は容器に充填した後、該配合体を圧縮変形、押出変形又は後方押出、並びにこれらの任意の組合せを、複数回繰り返し行い、配合体の各試料を混合及び/又は粉砕し、最終的にこれを圧縮して固化体を得るように、塑性加工を施すことができる。
固化体作製工程により、粒子径10nm以上30μm以下、好ましくは1μm以下のMgSi粒子を含むか、又は粒子径10nm以上30μm以下、好ましくは1μm以下のMgSi粒子及び粒子径10nm以上30μm以下、好ましくは3μm以下の第2の試料を含むように、固化体を作製するのがよい。
固化体作製工程のうち、上記C)の具体的な一例を、図6を参照しつつ、以下に説明する。
図6の(a)は、金型臼1と下パンチ3とで形成された器に配合体5を充填した模式図である。
次いで、配合体5は、塑性加工(b)〜(f)に付される。塑性加工(b)〜(f)は、圧縮用上パンチ7と押込用上パンチ9とを備えるプレス加工機で行われる。なお、ここで用いるプレス加工機として既存の油圧式、機械式、スクリュー式など、いずれの駆動方式のプレス機であっても使用することができる。ただし、後述する押込用上パンチ9を圧縮体8に挿入する場合、パンチの下降速度は速いことが望ましく、例えばスクリュー式プレスなどにより50〜500mm/秒程度に管理するのが好ましい。
工程(b)は、圧縮用上パンチ7を金型臼内に下降させて、配合・混合体が圧縮・固化されて圧縮体8を得る。次いで、圧縮用上パンチ7を上昇させた(工程(c))後、工程(d)では、押込用上パンチ9を金型臼1内に下降させる。この際、工程(d)に示すように、圧縮体8が後方(矢印Bの方向)に押出されることによって塑性加工が付与され、Mgを有する第1の試料及びSiを有する第2の試料が機械的に粉砕されて微細化する。
次に、押込用上パンチ9を上昇させた(工程(e))後、再度、圧縮用上パンチ7を金型臼1内に下降させて図6(f)においてU字型となった圧縮体を再度圧縮する。これにより、金型臼1内面に沿って存在する固化体が金型臼1内側(矢印Cの方向)に回りこむ。これら一連の作業(b)〜(f)を1回又は複数回繰り返すことにより、配合体5の第1及び第2の試料は、より混合・攪拌され且つ微細化される。
一連の作業(b)〜(f)、即ち圧縮過程(圧縮用上パンチ7による加圧・圧縮加工)と押込用上パンチ9による後方押出塑性加工とを1サイクルとして、所定のサイクル数を繰返すことにより、第1及び第2の試料の均一混合及び微細化を経て、サイクル数によっては固相拡散現象によってMgSiが合成される。
配合体に与える塑性加工量を制御することにより、最終的に得られる複合材料中のMgSiの粒子径を、例えば10〜500nmの範囲で調整することができる。
塑性加工量は、種々のパラメータを変化することによって、制御することができる。例えば、パラメータとして、この工程での最終段階である圧縮により得られる固化体の相対密度、(b)〜(f)のサイクル数、(b)の押込用上パンチ9の荷重及び速度、金型臼1の内径と押込用上パンチ9の外径との関係、(f)の圧縮用上パンチ7の荷重及び速度などを挙げることができる。
なお、金型臼1の底部での配合・混合体が停滞することを解消するため、必要に応じて、あるサイクル数間隔で金型臼1を上下反転させるか、又は配合・混合体を取り出した後に該配合・混合体を上下反転して再度圧縮・後方押出加工を施す、などの方法を行うことも有効である。
作業(b)〜(f)を所定のサイクル繰り返した後に、作業(b)を行うことで、円筒状の固化体(図1(g))を得ることができる。固化体は、上述のように、a)粒径10nm以上30μm以下、好ましくは1μm以下のMgSi粒子を含むか、又はb)粒子径10nm以上30μm以下、好ましくは1μm以下のMgSi粒子及び粒子径10nm以上30μm以下、好ましくは3μm以下の第2の試料(例えばSi粒子又はSiO粒子)を含む。上記パラメータを制御することにより、a)又はb)を調製することができる。
図6記載の押込用上パンチ9に代えて、図7に示すように、2本の押込用上パンチ11を用いてもよく、3本以上の押込用上パンチを用いてもよい。
また、用いる押込用上パンチの形状及び材質等は、特に制限されないが、挿入時の後方押出過程で配合体がパンチ先端部と凝着・焼付け現象を生じないようにするために、例えば図8(a)〜(c)に示すような形状を有してもよい。即ち、押込用上パンチの先端部近傍に、(a)半球状の曲率、(b)コーナー部のみに曲率、(c)テーパー及びコーナー部曲率、を設けることができる。また、パンチ表面に耐摩耗性・自己潤滑性に優れたコーティング処理、例えばNi−PメッキやCrメッキ、DLC(Diamond Like Carbon)、窒化処理などを施してもよい。
固化体作製工程によって得られた固化体は、その相対密度が75〜95%程度であり、且つ第1の試料同士間の結合が不十分であることから、その後に固化体を加熱工程及び温間塑性加工工程に付して緻密化を施すのがよい。
加熱工程により、(1)その後の温間塑性加工時に第1の試料を変形し易くすることができ、(2)未反応の第2の試料、例えばSi又はSiOがある場合、それらとMgとの固相反応を進行させることができる。
固化体の加熱温度は、150℃以上600℃以下、より好ましくは350℃以上520℃以下である。加熱温度が150℃未満の場合、上記(1)の効果が得られず、第1の試料間での十分な結合力が得られない傾向が生じる。その結果、Mg基複合材料の相対密度又は機械的特性が低下する傾向が生じる。一方、加熱温度が600℃を越えると、素地を構成する第1の試料(特にMg)における結晶粒の粗大化・成長が生じ、その結果、Mg基複合材料の機械的特性が低下する傾向が生じる。
250℃以上に加熱すれば、未反応のSi或いはSiOとMgとの固相反応を進行させることが可能であるが、固相反応を安定して進行させ、かつ固相合成したMgSi粒子の粗大化を抑え、しかもMg基複合材料の機械的特性の低下を抑制するためには、固化体の加熱温度は350℃以上520℃以下であることが望ましい。なお、加熱雰囲気は、固化体におけるMg成分の酸化を抑制する目的から、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下又は真空中であるのがよい。
温間塑性加工工程は、温間鍛造、温間押出、温間圧延、スエージング、引抜きなどを適用することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
出発原料として純Mg粉末(平均粒径:112μm)90重量部とSi粉末(平均粒径:64μm)10重量部とを準備した。双方を配合した後、ボールミルを用いて均一に混合して、混合粉末を得た。得られた混合粉末を直径34mmの円形金型に充填し、面圧2〜7t/cmの範囲内で荷重を付与して圧粉成形体A−1〜A−7を作製した。
圧粉成形体A−1〜A−7とは別個に、次のような管状炉を準備した。即ち、窒素ガス(ガス流量:3dm/min)を流入した管状炉であって、その炉内温度を580℃に管理した状態の管状炉を準備した。この管状炉に上述で得られた圧粉成形体A−1〜A−7を挿入して15分間加熱保持した後、直ちに粉末鍛造法によって相対密度99%以上に固化してマグネシウム基複合材料B−1〜B−7を得た。なお、粉末鍛造法の条件は、金型温度:250℃;及び面圧:8t/cmであり、固化体と金型との凝着防止の観点から金型壁面には水溶性潤滑剤を塗布した。
表1に、上記で得られた圧粉成形体A−1〜A−7及びマグネシウム基複合材料B−1〜B−7の特性を示す。表1において、「空孔率」は、上述した方法により算出した値である。また、表1には、DSC測定によって得られたMgSiの反応合成開始温度(表1中、単に「反応開始温度」と表記)、Mg液相の有無、及びマグネシウム基複合材料B−1〜B−7の機械的特性(硬度、引張り強さ及び破断伸び)も示す。
なお、「Mg液相の有無」は、DSC測定結果において650℃付近に吸熱ピークがあるか否かにより観察した。即ち、吸熱ピークがある場合、Mgの液相出現時の潜熱によるものであり、「Mg液相」が「有り」とした。
また、硬度、引張り強さ及び破断伸びの測定は、それぞれ以下のように行った。
<硬度の測定>
荷重0.49Nのもとでマイクロビッカース硬度計によって硬さ測定を行った。
<引張り強さの測定>
試験試料として、直径:φ3.5mm、平行部:14mmの試験片を用意した。この試験片を10tonオートグラフに装着して変位速度0.5mm/分で引張荷重を付与して引張試験を行った。試験片が破断した際の荷重を試料の破断面積で除した値を引張強度とした。
<破断伸びの測定>
破断伸びは、引張試験過程でチャート紙上に採取される荷重−変位曲線において一定の傾きを有した直線から離れた領域(塑性変形域)での最大変位量から算出した。
Figure 0004140851
圧粉成形体A−1〜5は、本発明にしたがった空孔率を有し、これを用いることにより、Mgの液相を出現させることなく固相状態でMgSiを形成することができた。また、その結果、微細なMgSiがマグネシウム素地中に分散した複合材料B−1〜5が得られ、該材料は、表1に示されるように、優れた機械的特性を有することを確認した。
一方、圧粉成形体A−6及び7は、本発明の規定外の空孔率を有し、これを用いて複合材料を形成すると、MgSiが固相状態のみならず液相状態でも形成される。したがって、粗大なMgSiが形成された複合材料B−6及び7が得られ、それにより複合材料B−6及び7の機械的特性は、表1にあるように、著しく低下したものであった。
出発原料として、AZ91Dマグネシウム合金粉末(平均粒子径:61μm;公称組成:Mg−9Al−1Zn/mass%)85重量部とSi粉末(平均粒径:64μm)15重量部とを準備した。双方を配合した後、ボールミルを用いて均一に混合して、混合粉末を得た。得られた混合粉末を直径11.3mmの円形金型に充填し、面圧5t/cmの荷重を付与して圧粉成形体A−8を作製した。この空孔率を測定したところ、本発明が規定する範囲を満足する12.3%であった。
得られた圧粉成形体A−8を、窒素ガス(ガス流量:2dm/min)を流入した管状炉の中で、表2記載の各加熱温度で30分間加熱・保持し、その後炉内で常温まで冷却して複合材料B−8〜B−14を得た。この材料B−8〜14に関して、光学顕微鏡による組織観察およびX線回折を行うことにより、MgSiの合成の有無及びSiの残存状況を確認した。この結果も表2に示す。
Figure 0004140851
複合材料B−8〜B−12からわかるように、適正な温度域で加熱することによって、MgとSiとの反応が進行してMgSiが合成されることを確認した。また、これらの材料において、添加したSi粉末は全てMgとの反応に寄与し、その結果、Si粉末は、MgSi合成反応後に材料中に残存しないことを確認した。
一方,複合材料B−13及び14からわかるように、適正な加熱温度域よりも低い温度域とすると、MgとSiとの反応が進行せず、MgSiが合成されないことを確認した。また、複合材料B−13及び14は、Si粉末が残存していることを確認した。
出発原料として純Mg粉末(平均粒径:112μm)とSi粉末(平均粒径:64μm)とを準備し、表3に示す配合組成となるように両者を混合し、混合粉末を得た。得られた混合粉末を直径11.3mmの円形金型に充填し、面圧6t/cmの荷重を付与して圧粉成形体A−9〜A−15を作製した。これら成形体A−9〜A−15の空孔率を測定したところ、いずれも本発明が規定する範囲を満足する8.9〜11%であった。
得られた圧粉成形体A−9〜A−15を、窒素ガス(ガス流量:2dm/min)を流入した管状炉であって、炉内温度を580℃に管理した管状炉に挿入して、30分間加熱・保持し、その後炉内で常温まで冷却して複合材料B−15〜B−21を得た。この材料B−15〜21に関して、外観を観察すると共に、X線回折測定により、材料を構成する元素及び化合物を同定した。この結果も表3に示す。
Figure 0004140851
出発原料のMgとSiとの配合比をある適正値にすること(A−9〜13)により、良好な形状及び外観を有する複合材料であってMgSi及びMgを含有する複合材料(B−15〜19)が得られる一方、配合比が適正値でない場合(A−14及び15)、MgSi及びSiを含有する材料であって十分な強度が有さず搬送時に欠損が生じる材料(B−20及び21)を得ることが表3からわかる。
出発原料として純Mg粉末(平均粒子径:223μm)とSi粉末(平均粒径:105μm)とを準備し、表4に示す配合組成となるように両者を混合して、混合粉末を得た。得られた混合粉末を直径34mmの円形金型に充填し、面圧6t/cmの荷重を付与して圧粉成形体A−16〜A−22を作製した。なお、圧粉成形体A−16〜22の空孔率は、本発明が規定する範囲を満足する8.3〜10.7%であった。
得られた圧粉成形体A−16〜22を、窒素ガス(ガス流量:3dm/min)を流入した管状炉であって、炉内温度を580℃に管理した管状炉に挿入して、15分間加熱・保持し、その後直ちに粉末鍛造法によって相対密度99%以上に固化して複合材料B−22〜B−28を得た。なお,粉末鍛造法の条件は、金型温度:250℃、面圧:8t/cmとし、固化体と金型との凝着防止の観点から金型壁面に水溶性潤滑剤を塗布した。
<平均腐食速度>
得られた複合材料B−22〜B−28について、平均腐食速度を測定した。これは、各々の材料B−22〜B−28から、立方体(10mm×10mm×厚さ10mm)を機械加工により採取した後、エメリー紙で研磨して試験片を得た。この試験片を5%塩水噴霧試験(100hr)による耐食性評価を行った。試験前後の重量変化量から平均的な腐食速度を算出し、耐食性評価の指標とした。この結果も表4に示す。なお、表4には、MgSi量(配合組成からの計算値)も示す。
Figure 0004140851
複合材料B−22〜26は優れた耐食性を有することが表4からわかる。一方、MgSi量が少ない材料B−27及び28はその耐食性が低いことがわかる。
出発原料として純Mg粉末(平均粒径:168μm)85重量部とSi粉末(平均粒径:58μm)15重量部とを準備した。双方を配合した後、回転ボールミルを用いて5時間機械的に粉砕・混合・圧着処理を施して、複合粉末X−101を得た。得られた複合粉末X−101を直径34mmの円形金型に充填し、面圧6t/cmの荷重を付与して圧粉成形体A−101を作製した。
また、圧粉成形体A−101と同一組成ではあるが、回転ボールミル:5時間の処理を行わずに、圧粉成形体A−102を作製した。
圧粉成形体A−101とは別個に、次のような管状炉を準備した。即ち、窒素ガス(ガス流量:3dm/min)を流入した管状炉であって、その炉内温度を表1に示す100〜500℃近辺に管理した状態の管状炉を準備した。この管状炉に上述で得られた圧粉成形体A−101又はA−102を挿入して5分間加熱保持した後、直ちに粉末鍛造法によって相対密度99%以上に固化してマグネシウム基複合材料B−101〜B−110を得た。なお、粉末鍛造法の条件は、金型温度:250℃;及び面圧:8t/cmであり、固化体と金型との凝着防止の観点から金型壁面には水溶性潤滑剤を塗布した。
表5に、上記で得られた圧粉成形体A−101又はA−102及びマグネシウム基複合材料B−101〜B−110の特性を示す。表5において、「MgSiの有無」は、X線回折により観察した。また、「硬度」は、スケールEのロックウェル測定器により測定した値である。「引張強度」は、上述の方法により測定した。
Figure 0004140851
Run No−101〜105は、本発明にしたがった複合粉末を用いており、且つ加熱温度も150℃〜343℃と低温で、高硬度の複合材料を得ることができた。Run No.106〜107は、本発明にしたがった複合粉末を用いているため、MgSiの発生は確認できたが、その硬度は所望のものよりは低下していた。これは、加熱温度が高すぎてMgSi粒子が粗大成長したためと考えられる。さらに、Run No.108は、本発明にしたがった複合粉末を用いているが、加熱温度が低すぎるため、MgSiの発生は確認できず、勿論、硬度も不十分なものであった。Run No.109〜110は、本発明にしたがった複合粉末を用いておらず、且つ加熱温度が低すぎるため、MgSiの発生は確認できなかった。勿論、硬度も不十分なものであった。
出発原料として、AZ91Dマグネシウム合金粉末(平均粒子径:61μm;公称組成:Mg−9Al−1Zn/mass%)90重量部とSi粉末(平均粒径:64μm)10重量部とを準備した。双方を配合した後、振動ボールミルを用いて4時間、機械的に粉砕・混合・圧着処理を施して、複合粉末を得た。得られた複合粉末を直径34mmの円形金型に充填し、面圧6t/cmの荷重を付与して圧粉成形体A−103を作製した。
また、圧粉成形体A−103と同一組成ではあるが、振動ボールミル:4時間の処理を行わずに、圧粉成形体A−104を作製した。
圧粉成形体A−103又はA−104とは別個に、次のような管状炉を準備した。即ち、窒素ガス(ガス流量:3dm/min)を流入した管状炉であって、その炉内温度を表1に示す80〜530℃近辺に管理した状態の管状炉を準備した。この管状炉に上述で得られた圧粉成形体A−103又はA−104を挿入して5分間加熱保持した後、直ちに粉末鍛造法によって相対密度99%以上に固化してマグネシウム基複合材料B−111〜B−120を得た。なお、粉末鍛造法の条件は、金型温度:250℃;及び面圧:8t/cmであり、固化体と金型との凝着防止の観点から金型壁面には水溶性潤滑剤を塗布した。
表6に、上記で得られた圧粉成形体A−103又はA−104及びマグネシウム基複合材料B−111〜B−120の特性を示す。表6において、「MgSiの有無」は、X線回折により観察した。また、「硬度」は、上述と同様に、スケールEのロックウェル測定器により測定した値である。
Figure 0004140851
Run No.111〜115は、本発明にしたがった複合粉末を用いており、且つ加熱温度も150℃〜346℃と低温で、高硬度の複合材料を得ることができた。Run No.116〜117は、本発明にしたがった複合粉末を用いているため、MgSiの発生は確認できたが、その硬度は所望のものよりは低下していた。これは、加熱温度が高すぎてMgSi粒子が粗大成長したためと考えられる。さらに、Run No.118は、本発明にしたがった複合粉末を用いているが、加熱温度が低すぎるため、MgSiの発生は確認できず、勿論、硬度も不十分なものであった。Run No.109〜110は、本発明にしたがった複合粉末を用いておらず、且つ加熱温度が低すぎるため、MgSiの発生は確認できなかった。勿論、硬度も不十分なものであった。
純Mg(純度99.85%)製円板(直径50mm、厚さ3mm)及び実施例101の複合粉末X−101を準備した。円板の片面に複合粉末X−101を載せた状態を調製し、これを窒素ガス(ガス流量:3dm/min)を流入させた160℃に管理した炉に挿入して5分間加熱保持した。その後、油圧プレスを用いて面圧8t/cmを付与して、マグネシウム基複合粉末がマグネシウム円板上に密着したクラッド板材を作製した。これを再度、窒素ガス雰囲気下の炉に挿入して温度:250℃、保持時間:10分の熱処理を施した。
得られた複合材料について、X線回折によるMgSiピークの有無を確認すると共に,エメリー紙で研磨した後、5%塩水噴霧試験(100hr)による耐食性評価を行った。試験前後の重量変化量から平均的な腐食速度を算出し、耐食性評価の指標とした。
複合粉末X−101を載せてクラッド化した側の表面は、X線回折の結果、MgSiのピークが確認された。また、光学顕微鏡観察によるとマグネシウム基複合材料と基材のマグネシウムとは良好な結合状態にあった。一方、複合粉末X−101を載せていない側の表面は、XRDの結果、MgSiのピークが観察されず、マグネシウムのピークのみであった。
耐食性試験の結果、クラッド化した側の表面での平均腐食速度は0.014g/m/hrであるのに対して,クラッド化していないMg板材では0.21g/m/hrであった。即ち、マグネシウム基複合材料のクラッド化によって耐食性が著しく向上することを確認した。
出発原料としてAZ31マグネシウム合金粉末(平均粒子径:252μm)とSi粉末(平均粒子径:42μm)とを準備した。表7に示す比率でAZ31粉末とSi粉末を配合した後、ボールミルを用いて均一に混合し、混合粉末を得た。次いで、各混合粉末25gを、100tonスクリュー式プレス加工機に装着した内径35mmの円筒状金型臼(超硬合金製)に充填した。充填した混合粉末に、図6に示したように、押込用上パンチ(SKD11鋼製)を用いた後方押出法による塑性加工を繰返し施し、最終的に固化体を得た。
なお、押込み用上パンチの直径は28mmであり、パンチ先端部は半径14mmの半円形状を有した。また、圧縮用パンチにより加圧した際の固化体の相対密度は88%であり、その固化体の全長(高さ)は30mmであった。さらに、繰り返し塑性加工工程において、表7に示すサイクル数を用いた。なお、サイクルは、圧縮用上パンチによる1回の加圧と押込用上パンチの挿入による1回の後方押出加工を1サイクルとした。
得られた各固化体を窒素ガス(ガス流量:3dm/分)を流入した管状炉(炉内温度:500℃)内に挿入して10分間加熱保持した後、炉から成形体を取り出し、直ちに温間押出法によって直径7mmの棒状のマグネシウム基押出複合材料M−1〜M−13を得た。なお、温間押出条件として、押出ダイス温度:300℃、押出比:37とした。
得られたマグネシウム基押出複合材料M−1〜M−13について、1)X線回折測定、2)光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)を用いての組織観察、を行った。なお、2)組織観察に関して、観察した10視野について2値化処理による画像解析を行い、MgSi粒子の粒子径を算出した。それらの結果も表201に示す。また、マグネシウム基押出複合材料M−1〜M−13について、引張強さσ、マイクロビッカース硬さHv、ロックウエル硬度(Eスケール)HRE、及び剛性(ヤング率)を測定した。それらの結果も表7に示す。
Figure 0004140851
Mg基複合材料M−1〜M−9は、得られたMg基複合材料中にMgSi粒子が分散して存在することが、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)を用いての組織観察により、観察された。
また、Mg基複合材料M−1〜M−9は、表7に示すように、該複合材料として所望とされる、引張強度、ビッカース硬さ及び剛性などの機械的特性を有していることがわかった。これらの機械的特性は、複合材料を調製するのに用いたSi量、塑性加工のサイクル数、得られた材料中のMgSi粒径などに依存することがわかる。
例えば、M−7〜M−9を比較すると、同一Si含有量であっても塑性加工のサイクル数を増加させることによって、得られるMgSi粒径が小となり、Mg基押出複合材料の機械的特性の値が増大することがわかる。
Mg基複合材料M−10は、出発原料としてSi粉末を含まないため、MgSi粒子が生成しない。したがって、得られるMg基複合材料M−10は、引張強度、ビッカース硬さ及び剛性の機械的特性が低く、所望の特性を有していなかった。
Mg基複合材料M−11は、出発原料としてSi粉末を含んでいるがその量が1%と少ないため、得られるMg基複合材料M−11の機械的特性が低く、所望の特性を有していなかった。
Mg基複合材料M−12は、出発原料としてのSi量が13%と多く、その機械的特性(引張強度、ビッカース硬さ及び剛性)が所望の特性を有するが、靭性(伸び)が0%と著しく低下すると共に、工具摩耗による押出材の被削性の問題が生じた。
Mg基複合材料M−13は、繰り返し塑性加工を施さずに、AZ31合金粉末とSi粉末とを混合した後、単純圧縮加工のみ施して得られた材料である。したがって、Si粒子の微細化が進行せず、得られたMg基押出複合材料M−13中のMgSiの粒子径(35〜52μm)は出発原料であるSi粉末の粒子径(平均粒径:42μm)とほぼ同じであり且つ大きいため、所望の機械的特性が得られなかった。
出発原料としてAM60マグネシウム合金チップ(長さ2〜5mm)とSiO粉末(平均粒子径68μm)を準備した。両者を表202記載の比率となるように配合した後、ボールミルを用いて均一に混合し混合体を得た。各混合体25gを、100tonスクリュー式ブレス加工機に装着した内径35mmの円筒状金型臼(超硬合金製)に充填し、上記図6に示すように、押込み用上パンチ(SKD11鋼製)を用いた後方押出法による塑性加工を繰り返し施し、固化体を得た。
なお、押込み用上パンチの直径は28mmであり、パンチ先端部は半径14mmの半円形状を有した。また、圧縮用パンチにより加圧した際の固化体の相対密度は88%であり、その固化体の全長(高さ)は30mmであった。表8中のサイクル数は、実施例8と同様に定義される。
得られた各固化体を窒素ガス(ガス流量:3dm/分)を流入した管状炉(炉内温度:520℃)内に挿入して10分間加熱保持した後、炉から成形体を取り出し、直ちに温間押出法を施すことによって、直径7mmの棒状のマグネシウム基押出複合材料M−14〜M−23を得た。
なお、温間押出条件として、押出ダイス温度:300℃、押出比:37とした。
得られたマグネシウム基押出複合材料M−14〜M−23について、ICPによるSi成分量を分析した。また、X線回折(XRD)によりMgSi/MgO/SiOの生成・残存の有無を確認した。さらに、マグネシウム基押出複合材料M−14〜M−23について、引張強さσ、マイクロビッカース硬さHv、ロックウエル硬度(Eスケール)HRE、及び剛性(ヤング率)を測定した。それらの結果を表8に示す。さらに、実施例8と同様の方法で算出したMgSiの粒子径についても表8に記す。
Figure 0004140851
マグネシウム基押出複合材料M−14〜M−19は、所望の機械的特性を有していた。この場合、複合材料中に分散していたMgSiの粒径は、10nm〜30μm、特に10nm〜800nmであった。なお、表8からわかるように、複合材料がMgO、又はMgO及びSiOを含有しても、所望の機械的特性を有することがわかる。
マグネシウム基押出複合材料M−17とM−19とを比較すると、同一Si含有量であっても塑性加工のサイクル数を増やすことにより、固相反応により生成したMgSi粒子が微細化し、且つ得られる複合材料の機械的特性も著しく増大することがわかる。
一方、マグネシウム基押出複合材料M−20〜M−23はいずれも、所望の引張強度を有していなかった。これは次のように考慮することができる。
複合材料M−20及びM−21は、材料中に含まれるSiがすべてMgSiへと反応していることが表8からわかるが、その量が少ないため、所望の機械的特性を有さないものと考えられる。
複合材料M−22は、出発材料に繰り返し塑性加工を施さず、単純圧縮加工のみ施して得たものである。得られたMg基押出複合材料中のMgSiの粒径(51〜95μm)は、出発材料のSiOの粒径(平均粒径68μm)とほぼ同じであった。したがって、SiO粉末の微細化が進行せず、それに伴い所望の機械的特性が得られなかったものと考えられる。
複合材料M−23は、繰り返し塑性加工を行ったがそのサイクル数が少ないため、複合材料M−22と同様に、SiO粉末の微細化が進行せず、所望の機械的特性が得られなかったものと考えられる。
出発原料としてAZ31マグネシウム合金粉末(平均粒子径252μm)とSi粉末(平均粒子径42μm)を準備し、重量基準でSi含有量が5%となるように、AZ31粉末とSi粉末とを配合した。その後、ボールミルを用いて均一に混合し、混合粉末を得た。各混合粉末25gを、100tonスクリュー式プレス加工機に装着した内径35mmの円筒状金型臼(超硬合金製)に充填し、図6に示すように、押込み用上パンチ(SKD11鋼製)を用いる後方押出法で塑性加工を繰り返し施し、固化体S−1〜S−10を得た。
なお、押込用上パンチの直径は30mmであり、パンチ先端部は半径15mmの半円形状を有した。また、最終的に得られる固化体の相対密度が表9に示す値となるように、圧縮用パンチによる加圧力を調整した。さらに、表9に示すサイクル数は、実施例8で定義したものと同じである。
所定のサイクル数による繰り返し塑性加工を施して得られた混合固化体の組繊観察を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて行った。観察した10視野について2値化処理による画像解析を行い、固化体S−1〜S−10のSi及びMgSi粒子の粒子径を算出した。その結果を表9に示す。
Figure 0004140851
繰返し塑性加工を十分に施すことにより得られた固化体S−1〜S−7は、微細化したMgSi粒子を有していた。したがって、繰返し塑性加工工程によって、微細化MgSi粒子を固相合成できることがわかる。また、固化体S−1〜S−6は、微細化したSi粒子を有していた。この微細化、未反応Si粒子を有する固化体S−1〜S−6を、その後、加熱工程及び温間塑性加工工程に付すことによって、すべての未反応Si粒子をMgSi粒子に合成することもできる。これらの工程によって得られるMgSi粒子は一般に、未反応Si粒子の粒径に依存するものと考えられるため、固化体S−1〜S−6に加熱工程及び温間塑性加工工程を付して得られるMg基複合材料のMgSi粒子は、微細化したものになるものと考えられる。
また、Run No.III-1〜III-4を比較すると、これらの違いは、固化体の相対密度である。即ち、相対密度を増大させることによって、Si粉末の微細化をより一層、促進することが可能であることがわかる。
一方、固化体S−8〜S−10は、繰り返し塑性加工を施さなかった(S−8)か又は繰り返し塑性加工量が十分でなかった(S−9及びS−10)ため、得られたMgSiの粒子径が約30μm又はそれ以上となることがわかる。固化体S−8〜S−10に含まれる未反応Si粒子も約30μm又はそれ以上である。したがって、固化体S−8〜S−10をその後、加熱工程及び温間塑性加工工程に付したとしても、得られるMgSiの粒子径は、該未反応Si粒子径に依存して、約30μm又はそれ以上になるものと考えられる。
本発明のマグネシウム基複合材料は、軽量化に加えて、高強度・高耐摩耗性・高耐食性を有することから、例えばそれらの特性が同時に望まれる自動車用部品や家電部品などの構造用部品材料;及び介護用ベッド、車椅子、杖、歩行車などの医療用福祉用具又は保護具として利用することができる。
また、本発明の製造方法で用いるマグネシウム基複合粉末は、次のように応用することができる。即ち、マグネシウム合金板上に乗せた状態で常温あるいは温間で加圧・圧縮/圧延等の塑性加工を施して、その後、本発明で用いた加熱工程を設けることによりマグネシウム合金板上に本発明のマグネシウム基複合粉末が圧着したクラッド板材を作製することができる。即ち、マグネシウム合金板表面にのみ、MgSi粒子が分散したクラッド板材であって、該MgSi粒子がマグネシウム合金板と強固に結合している板材を調製することができる。このクラッド板材はMgSi粒子粒子の均一分散によって優れた耐食性・耐摩耗性を有し、軽量配管等の構造用部品として使用することができる。
さらに、本発明のマグネシウム基複合材料は、所望により切削・鍛造・曲げ・接合などの2次加工・3次加工を行って、次のような製品に用いることができる。例えば、本発明のマグネシウム基複合材料の用途である製品として、以下に例示列挙するように、極めて広範囲に適用でき、従来はアルミニウム合金が用いられていたものに代わって適用できる。
(1)素材、中間品、最終製品および組立体
溶接、融接、ろう付け、接着、熱切断、熱加工、鍛造、押出し、引抜き、圧延、せん断、板材成形、ロール成形、転造、スピニング、曲げ加工、矯正加工、高エネルギー速度加工、粉末加工、各種切削加工、および研削加工などの各種加工により造られた素材、中間品、最終製品、それらの組立体、及び他素材品と組み合わされた複合品。金属被膜処理、化成処理、表面硬化処理、非金属被膜処理および塗装などの各種表面処理を施された素材、中間品、最終製品、それらの組立体、及び他素材品と組み合わされた複合品。
(2)輸送機器用部品
(2-1)自動車及び二輪車用部品 トランスミッション部品、例えばバルブスプール、軸受けなど。エンジン部品、例えばタペット、リフター、リテーナなど。内装部品、例えばハンドルなど。
(2-3)鉄道車両用部品 大型ネジ,大型ボルトなど。
(3)電気製品用部品
(3-1)視聴覚機器用部品 アンプ、ビテオプレーヤ、カセットプレーヤ、CDプレーヤ及びLDプレーヤの部品、例えば調節つまみ、脚、シャーシ、スピーカコーンなど。
(3-2)家庭電化製品用部品 洗濯機部品、例えばケーシング、洗濯槽など。
(3-3)縫い機、編み機用部品 例えばミシン用アーム。
(4)住宅用品
(4-1)内装品 居間用品、例えばシャンデリア部品、照明部品、装飾置物など。家具部品、例えば椅子脚、テーブル脚、テーブル天板、ヒンジ、取っ手、レール、棚の調節ネジなど。
(5)精密機械用部品
(5-1)光学機器及び測定・計測機器用部品 カメラ、望遠鏡、顕微鏡及び電子顕微鏡の部品、例えばボディー、マウント、レンズケースなど。
(5-2)時計用部品 腕時計、掛け時計及び置き時計の部品、例えばボディー、モール、ギア、振り子など。
(6)スポーツ用品、武器
ゴルフクラブ部品、例えばシャフト、ヘッド、トウ、ヒール、ソールなど。 自転車用品,例えば、変速ギア、フレーム、ハンドル、など。
(7)医療器具
ベッドのフレーム、治療器具部品など。
(8)福祉介護器具及び福祉介護器具用部品
車椅子、介護ベッド、これらの部品など。
Mgを有してなるマトリックス粉末とシリコンSi粉末とが均一に交じり合った混合粉末(本発明の固化体作製工程によって得られた固化体の一態様)の模式図である。 本発明の固化体作製工程によって得られた固化体の一態様である、ある空孔率を有する圧粉成形体の示差熱量分析(DSC)の測定結果を示すグラフである。 シリコンSi粉末がMgを有してなるマトリックス粉末中に分散してなる、本発明の複合粉末(本発明の固化体作製工程によって得られた固化体の一態様)の模式図である。 本発明の固化体作製工程によって得られた固化体の一態様である、本発明の複合粉末の光学顕微鏡による観察像を示す図である。 3つの試料のDSC測定の結果を示すグラフである。 本発明の固化体作製工程の一態様を模式的に示す図である。 本発明の固化体作製工程の一態様を模式的に示す図である。 本発明の固化体作製工程の一態様に用いるパンチの模式図である。

Claims (18)

  1. マグネシウム(Mg)を含むマトリックス中に、固相反応によって生成したマグネシウムシリサイド(MgSi)を分散させているマグネシウム基複合材料において、
    マグネシウム基複合材料100重量部に対して、マグネシウムシリサイド(MgSi)の量が3重量部以上15重量部以下であり、
    前記マグネシウムシリサイド(MgSi)の粒子径が10nm以上30μm以下であり、
    当該マグネシウム基複合材料の引張強度が100MPa以上500MPa以下であることを特徴とする、マグネシウム基複合材料。
  2. 当該マグネシウム基複合材料100重量部に対して、シリコン(Si)成分の量が2重量部以上6重量部以下である、請求項1に記載のマグネシウム基複合材料。
  3. 当該マグネシウム基複合材料の引張強度が350MPa以上500MPa以下である、請求項1または2に記載のマグネシウム基複合材料。
  4. 前記マグネシウムシリサイド(MgSi)の粒子径が100nm以上10μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のマグネシウム基複合材料。
  5. 当該マグネシウム基複合材料は、さらに酸化マグネシウム(MgO)および/またはシリカ(SiO)を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のマグネシウム基複合材料。
  6. 当該マグネシウム基複合材料のマイクロビッカース(Hv)硬さが80〜125である、請求項1〜5のいずれかに記載のマグネシウム基複合材料。
  7. 当該マグネシウム基複合材料のロックウエル硬度(Eスケール:HRE)が40〜120である、請求項1〜6のいずれかに記載のマグネシウム基複合材料。
  8. 当該マグネシウム基複合材料の剛性が47〜65GPaである、請求項1〜7のいずれかに記載のマグネシウム基複合材料。
  9. 当該マグネシウム基複合材料は、素材、輸送機器用部品、電気製品用部品、住宅用品、精密機械用部品、スポーツ用品、武器、医療器具および福祉介護器具からなる製品群から選ばれた製品に使用される、請求項1〜8のいずれかに記載のマグネシウム基複合材料。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のマグネシウム基複合材料を製造するのに使用される固相反応前の圧粉成形体であって、
    (a)マグネシウム(Mg)を含む第1の試料と、シリコン(Si)を含む第2の試料とを所定の比率で配合して混合粉末を得る工程と、
    (b)前記混合粉末を金型または容器に充填した後に、圧縮用パンチによりこの混合粉末に対して圧縮加工を行って圧縮体とし、引き続いて金型または容器内の圧縮体中に押込用パンチを押し込んで圧縮体をパンチの押込方向とは逆の方向に押出すことを繰り返して、第1および第2の試料が均一に混合して微細化した集合体とし、この集合体を圧粉成形体として固化体を得るように塑性加工を施す工程とを経て製造されていることを特徴とする、マグネシウム基複合材料製造用の圧粉成形体。
  11. 前記圧粉成形体としての固化体は、微細なシリコン粒子に加えて、マグネシウムシリサイド粒子を含む、請求項10に記載のマグネシウム基複合材料製造用の圧粉成形体。
  12. 前記固化体中の前記マグネシウムシリサイド粒子の粒子径は10nm以上30μm以下であり、前記微細なシリコンを含む第2試料の粒子径は10nm以上30μm以下である、請求項11に記載のマグネシウム基複合材料製造用の圧粉成形体。
  13. 請求項10に記載の圧粉成形体の製造装置であって、
    前記混合粉末を受入れる容器と、
    前記容器内の混合粉末に対して圧縮加工を施す圧縮用パンチと、
    前記容器内で圧縮加工された混合粉末の圧縮体中に押込まれて、圧縮体を押込方向とは逆の方向に押出す押込用パンチとを備える、圧粉成形体の製造装置。
  14. 前記押込用パンチの下降速度を50〜500mm/秒の範囲に管理する、請求項13に記載の圧粉成形体の製造装置。
  15. 前記圧縮用パンチによる圧縮加工と前記押込用パンチによる後方押出塑性加工とを繰り返す、請求項13または14に記載の圧粉成形体の製造装置。
  16. 前記押込用パンチは、複数個設けられている、請求項13〜15のいずれかに記載の圧粉成形体の製造装置。
  17. 前記押込用パンチの先端部は、丸みを帯びた形状を有する、請求項13〜16のいずれかに記載の圧粉成形体の製造装置。
  18. 前記圧縮用パンチおよび前記押込用パンチは、油圧式、機械式またはスクリュー式のプレス加工機によって駆動される、請求項13〜17のいずれかに記載の圧粉成形体の製造装置。
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