JP5201570B2 - 高強度難燃性マグネシウム合金 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃性マグネシウム合金の機械的強度を高めた高強度難燃性マグネシウム合金に関する。
マグネシウム合金は、極めて軽量であるため、アルミニウムやその合金の代替材として注目されている。マグネシウム合金は、実用金属の中では最も軽量に属し、強度や弾性率を密度で除した比強度、比弾性率等がかなり高い。このため、軽量化が要求される産業分野において、将来その需要が高まることが予想される。チタンやアルミニウム合金は、十分な強度を有しているものの、マグネシウム合金に比して、軽量性や緩衝性等の特性が低いという欠点がある。
通常のマグネシウム合金は、比強度は比較的高いもののチタンやアルミニウム合金に比して絶対的な強度が低いとともに、発火点が低いので発火しやすい欠点があることは従来から知られている。このため難燃性にするために、マグネシウム合金にカルシウムを添加して発火点を高め、押し出しや圧延等の塑性加工により、発火し難いものにした難燃性マグネシウム合金が開発されている(特許文献1)。
チタンやアルミニウム合金に対応する強度を求めるための改良がなされたマグネシウム合金も種々提案されている。例えば、強度及び比強度が高く、塑性変形後の結晶粒度が小さい特性を有し、MgにCa、Zn、及びX(ただし、Xは希土類元素であり、Y、Ce、La、Nd、Pr、Sm、Mmからなる群から選ばれる1種以上の元素)を所定量添加し、これらの化合物が微細に分散した組織を有するマグネシウム合金とその製造技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。即ち、希土類元素を所定量添加し、急冷凝固アトマイズ法により組織の微細化を図ったものである。
又、高強度と高延性化とを同時に実現したものとして、周期律表2族、3族又はランタノイド系に含まれ、マグネシウムより原子半径が大きい1種の溶質原子0.03〜0.54原子%と、残部がマグネシウムとで構成されるマグネシウム合金が開示されている(例えば、特許文献3参照)。このマグネシウム合金は、平均結晶粒度径が1.5μm以下で、結晶粒界近傍の溶質原子が結晶粒内の溶質原子の濃度の1.5〜10.0倍の濃度で偏在している微細結晶粒組織を有しているものである。
更に、高強度と高延性とを兼ね備えるマグネシウム合金として、1.0〜4.0原子%のZnと、1.0〜4.5原子%のYとを所定の組成比でマグネシウムに含有させ、金属間化合物MgZnと長周期構造のMg12YZnとを同時に含む組織にしたものが開示されている(例えば特許文献4参照)。これは、金属間化合物MgZnと、長周期相Mg12YZnとが同時に存在することにより、耐力、引張強さ、伸びを向上させるものである。
更に、前述のようにマグネシウム合金中にカルシウムを含有させた難燃性マグネシウム合金は、発火点が高く、機械的強度も高く取り扱いやすい特性をもっている。このことから、この利点を利用しこのマグネシウム合金を製品としてヘルメットに適用した技術(例えば特許文献5参照)、又、眼鏡のフレームに適用した技術(例えば特許文献6参照)も提案されている。
特開2000−109963号公報 特開平9−41065号公報 特開2006−16658号公報 特開2006−97037号公報 特開2005−350808号公報 特開2005−196094号公報
前述したように、マグネシウム合金の機械的特性を向上させる改良技術は種々提案されている。しかしながら、現状のマグネシウム合金はまだ多くの問題点を抱えており、満足すべきものとはなっておらず、実際の製品に適用するにはまだ不十分である。すなわち、特許文献2では高価な希土類元素の添加を必要とし、因って得られた合金も高コストなものにならざるを得ない。更には、急冷凝固アトマイズ法といった特殊、且つ高度な技術を用いなければならない。特許文献2による合金の耐力は510〜635MPaを示し、高強度化が図られているものの、破断伸びは1.0〜4.0%と極めて小さく、非常に脆性的な材料となっている。
又、特許文献3の技術は、降伏応力、伸びが向上したものとして例示されているが、指定された溶質原子のCaを除く他の元素は希土類元素であるので、前述したものと同様にコストの高い合金になってしまう。更に、特許文献4に記載されたマグネシウム合金では、金属間化合物MgZnと長周期相Mg12YZnとが同時に存在する場合にのみ、390〜520MPaの引張強さと4.5〜10.3%の破断伸びが得られるというものであり、金属間化合物あるいは長周期相のどちらか片方の存在では、高強度と高延性を兼ね備えることはできないことが示されている。このように、高度な組織制御が必須である。
以上、記述したように特許文献2、3及び4に記載のマグネシウム合金は、それぞれ利点はあるものの機械材料に要求される特性としは不十分であり、いずれにしても添加される元素には高価な希土類元素を使用し、結果的に製造されるマグネシウム合金は高価になる問題点を有している。
本発明は、このような従来の技術背景のもとになされたものであり、次の目的を達成する。本発明の目的は、希土類元素に限定された合金化元素を使用せず、汎用的な元素や化合物の添加により、引張強度が高く、高耐力の高強度特性をもたせた難燃性マグネシウム合金の提供にある。
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の高強度難燃性マグネシウム合金は、
AM60系又はAZ91系マグネシウム合金に0.5〜5.0質量%のカルシウム(Ca)が添加された難燃性マグネシウム合金に、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、アルミナ(Al)、珪化マグネシウム(MgSi)、及び炭化珪素(SiC)から選択される1種以上の追加添加物を添加して得られた高強度難燃性マグネシウム合金であって、
前記高強度難燃性マグネシウム合金は、前記追加添加物を添加した後、塑性加工により製造された合金であり、
前記追加添加物のモリブデン(Mo)の量は、1.0〜12.0質量%で、
前記追加添加物のニオブ(Nb)の量は、0.5〜5.0質量%で、
前記追加添加物のタングステン(W)の量は、5.0〜40.0質量%で、
前記追加添加物のアルミナ(Al )の量は、1.0〜5.0質量%で、
前記追加添加物の珪化マグネシウム(Mg Si)の量は、2.0〜6.0質量%で、
前記追加添加物の炭化珪素(SiC)の量は、0.7〜20.0質量%で、
あることを特徴とする。
本発明の高強度難燃性マグネシウム合金は、本発明において、前記難燃性マグネシウム合金は、該難燃性マグネシウム合金素材から得られる粉砕物からなることを特徴とする。
本発明の高強度難燃性マグネシウム合金は、本発明において、前記粉砕物は、切削加工で得られる切削屑又は粉末体であることを特徴とする。
本発明の高強度難燃性マグネシウム合金は、本発明において、前記塑性加工は、押し出し加工、引き抜き加工、回転鍛造加工及び圧延加工から選択される1種、若しくは2種以上の組み合わせであることを特徴とする。
以上説明したように、本発明の高強度難燃性マグネシウム合金によれば、高価な希土類元素に限定された合金化元素を使用せず、汎用的な元素や化合物の追加物添加により、粉砕物の成形、焼結及び塑性加工を施すことによって、引張強度が高く、高耐力の高強度特性をもたせた低コストの難燃性マグネシウム合金となった。
[高強度難燃性マグネシウム合金]
以下、本発明の難燃性マグネシウム合金の実施の形態について詳細に説明する。先ず、本発明の理解を容易にするため、マグネシウム合金について説明する。マグネシウム合金については、米国材料試験協会(以下、「ASTM」と称す。)あるいは日本工業規格(以下、「JIS」と称す。)等により規格化されている。マグネシウム合金は大別して、鋳造用マグネシウム合金と展伸用マグネシウム合金がある。各々について、ASTM及びJISで規格化されている機械的特性の最小値から最大値の範囲は以下のとおりである。これら規格化された合金の化学成分の組成は、規格化され、かつ公知技術であるのでその説明は省略する。
鋳造用マグネシウム合金の機械的特性は、次の通りである。引張強さ:140MPa(AM100A―F材)〜270MPa(ZK61A―T5、T6処理材)。耐力:70MPa(AM100A―F材)〜180MPa(ZK61A―T5、T6処理材)。伸び:ほぼ0%(AM100A―F材)〜10%(AM50A―F材)。
展伸用マグネシウム合金の機械的特性は、次の通りである。引張強さ:190MPa(AZ31C―O材)〜310MPa(ZK60A―T5処理材)。耐力:90MPa(AZ31C―O材)〜230MPa(ZK60A―T5処理材)。伸び:4%(AZ31C―H14処理材)〜13%(AZ31C―O材)。
一般に、金属の場合、鋳造用合金に比して展伸用合金は、塑性加工や加工熱処理の効果によって、強度や延性等の機械的性質が大幅に向上する。マグネシウム合金においても前述のように向上はしているものの、強度、延性ともに向上程度は少ないのが現状である。このため、さらなる技術開発が行われて前述の特許技術の事例のようにその技術が開示されている。本実施の形態の高強度難燃性マグネシウム合金は、Caが添加されて難燃化が図られた難燃性マグネシウム合金に、低価格の元素や化合物の追加添加物を添加して、その機械的強度を向上させるものである。本実施の形態は、難燃性マグネシウム合金の粉砕物を利用し、成形、焼結及び塑性加工により、室温における引張強さが419MPa以上、耐力が360MPa以上の機械的特性を有する高強度難燃性マグネシウム合金を提案するものである。
ここで、本実施の形態の高強度難燃性マグネシウム合金おいて、引張強さを419MPa以上、耐力を360MPa以上とした理由は以下の通りである。代表的な軽量・高強度型のアルミニウム合金としてジュラルミンが知られている。ジュラルミンはAl−Cu−Mg系合金であり、例えばその中の1種であるA2024−T3あるいはT4熱処理の押出し材(棒径6mm以下)の引張強さは390MPa以上、耐力295MPa以上と規定されている(JIS H4040−2006)。これらの数値に鑑みて、本発明における合金では、引張強さを419MPa以上、耐力を360MPa以上とした。次に本発明における合金及びその製造技術について説明する。
本実施の形態で示すマグネシウム合金は、ASTMのAM60B等で表示される鋳造用マグネシウム合金である。ただし、本発明の実施が可能な合金としては、必ずしもこの鋳造用マグネシウム合金[AM60B]に限定されるものではなく、他のマグネシウム合金であってもよい。この合金に0.5〜5.0質量%のCaを添加する。本実施の形態においては2質量%のCaを添加する。
AM60Bは、ダイカスト用合金であり、耐食性向上のため、不純物Fe、Ni、Cuの含有量を少なくした高純度マグネシウム合金である。その基本化学組成はAl5.5〜6.5質量%、Mn0.24〜0.60質量%、残部マグネシウムからなるものである。これにカルシウムを添加し、難燃性マグネシウム合金としている。カルシウムの添加量は、前述のように0.5〜5.0質量%が望ましい。
[高強度難燃性マグネシウム合金の製造方法]
次に本発明の高強度難燃性マグネシウム合金の製造方法について説明する。ベースとなるマグネシウム合金は、本実施の形態では2質量%のCaが添加された難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca合金」を用いた。AM60Bは本来鋳造用(ダイカスト)のマグネシウム合金であるが、熱間においては押し出し等の塑性加工を可能とするものである。このAM60Bに2質量%のCaを添加することにより、この難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca合金」の発火温度を200〜300℃上昇させることができる。
このため、大気中での溶解作業も安全に行うことができる。この難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca合金」から、次工程の粉砕に適する形態を有する小片状ブロックを求める。本実施の形態においては、難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca合金」の切削加工による切削屑を便宜的に使用した。小片状ブロックとして、切削加工による切削屑に限定されるものではないことはいうまでもなく、種々の機械加工で排出される切削屑や研削屑、切断・打抜き等のプレス屑、破砕機による破砕屑、鋳物・鋳造材の小片状ブロック等を粉砕したものであっても良い。これらの小片状ブロックから粉砕物を得るが、これにはボールミル等を用いる。
本実施の形態における難燃性マグネシウム合金の場合、Caの添加によって難燃化が図られているので、粉砕物の状態で常温で大気中で放置しても安全である。例えば、146μmの平均粒径を有する難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca合金」の粉砕物の爆発下限濃度の値は100mg/mであり、アルミニウム粉末(35mg/m)よりも大きく、鉄粉末(<120mg/m)程度になり、爆発の危険性は大幅に軽減され取り扱いが容易となっている。
次に、小片状ブロックから粉砕物を得るに際して、本実施の形態の特徴である追加添加物として所定元素あるいは化合物を添加する。この追加添加物は、希土類元素に限定されるものではなく、その割合を含めて示すと、0.1〜0.3質量%C、1.0〜12.0質量%Mo、0.5〜5.0質量%Nb、0.5〜6.0質量%Si、5.0〜40.0質量%W、1.0〜5.0質量%Al、2.0〜6.0質量%MgSi、0.7〜20.0質量%SiCの各元素、あるいはこれらの所定化合物である。
これらの元素あるいは化合物の種類と添加量を限定しているのは、製造される難燃性マグネシウム合金が高強度化が達成できる範囲を示すもので、この範囲を外れると高強度化の効果は薄れるためである。これらの1種または選択される複数種を追加添加し、小片状ブロックの粉砕と元素あるいは化合物の複合化を同時に行う。即ち、この粉砕工程において、小片状ブロックの難燃性マグネシウム合金は、凝固組織が破壊され微細均質な組織に改質する。同時に追加添加物は、難燃性マグネシウム合金の粉末と微細・均質に複合化される。
[成形及び焼結]
次に、このように微細均質な組織になった粉砕物の難燃性マグネシウム合金を成形及び焼結する。この成形は、冷間成形あるいは熱間成形のいずれも可能であるが、工程の短縮化を考慮すると、焼結も同時に行える熱間成形が好ましい。熱間成形にはパルス通電焼結法が適する。パルス通電焼結法は、黒鉛モールドに対象となる試料を充填し、加圧しながらパルス状に通電を行って焼結する公知の処理方法である。本例においては、この試料は前述した難燃性マグネシウム合金製の粉砕物となる。この処理方法は粉砕物を効率よく加熱し、短時間で焼結できる利点がある。
次に、この成形及び焼結された難燃性マグネシウム合金粉砕物の焼結体をビレットとして塑性加工を施す。この塑性加工は、焼結体にせん断変形を付与することによって、粉砕物同士の固着を焼結体以上により強固にするとともに、焼結体のミクロ組織も微細化する効果がある。塑性加工を施す手段として、押し出し、圧延、引き抜き、鍛造、回転鍛造等の各種加工法があるが、本例においては材料の再結晶温度以上で行われる熱間押し出し加工を用いる。これは、押し出し加工では大きなせん断変形を加工物に付与することができるためである。又、この際の押し出し比は、ある程度高い方が得られる材料の機械的強度が増すが、いたずらに大きくすると押し出し金型の寿命低下や破損、押し出し設備の大型化等を招くため、押し出し比の最高は120程度が好ましい。
この押し出し成形により焼結体中の粉砕物同士はせん断変形を受けてより強固に結合し、難燃性マグネシウム合金に元々含まれる金属間化合物の粒子、ならびに追加添加物がマグネシウムマトリックス中に均一に分散した組織形態となる。又、熱間押し出し加工中に再結晶が生じてマグネシウムのマトリックス結晶粒は微細化される。これらによって機械的特性が向上し、高強度化が図られる。
使用するマグネシウム合金は、前述の実施の形態で開示した以外に、0〜12.0質量%のアルミニウムと、0〜5.0質量%の亜鉛と、0.5質量%以下のマンガンを含むマグネシウム合金でも有効な結果が可能である。更に、マグネシウム合金は、米国材料試験協会(ASTM)規格表示のAZ31系、AZ61系、AZ80系、AZ91系、AZ92系、AM50系、AM60系、及びAM100系から選択されるいずれか1種を使用しても有効な結果が可能である。以上、実施の形態について説明したが、本発明は、本実施の形態に限定されないことはいうまでもない。
本実施例1の合金は、AM60B合金に難燃性付与のため、2.0質量%Caが添加された難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」をベースにした。これに追加添加物として、C、Mo、Nb、Si、W、Al、MgSi、SiC、の元素、あるいは化合物を表1に示す組成になるように添加した。本実施例1では、該合金の小片状ブロックとして、旋削の切粉である切削屑を用いた。この切削屑をボールミルにより粉砕して粉砕物を得た。この際、追加添加物も同時に添加して、添加物の均質分散複合化を行った。
次に、このボールミルによって調製された難燃性マグネシウム合金の粉砕物をパルス通電焼結法により焼結温度480℃、時間は20分、大気中で固化形成した。次いで、これをビレットとして押し出し比を110、押し出し温度を480℃で熱間押し出し加工を行った。得られた押し出し材の長手方向に試験片を採取して室温にて引張強さ、耐力、破断伸びの試験を行った。その試験結果を表2に一括してまとめた。この結果によれば、いずれの試験片においても、引張強さが419MPa以上、耐力が380MPa以上であり、本発明の効果を確認した。
この結果の各元素あるいは化合物毎のデータを図1から図8に示す。図1はCを添加した場合、図2はMoを添加した場合、図3はNbを添加した場合、図4はSiを添加した場合、図5はWを添加した場合、図6はAlを添加した場合、図7はMgSiを添加した場合、図8はSiCを添加した場合で、添加量に応じた各引張強さ、耐力、破断伸びについて表示したデータ図である。
ちなみに、各図において、添加量が0%における値は比較例1の結果を示している。
Figure 0005201570
Figure 0005201570
次に、本実施例1に対応する比較を行ったので、その比較例1〜3を示す。本実施例1の結果は、次に示す比較例1〜3のいずれをも上回っている。
(比較例1)
この比較例1は、実施例1と同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の鋳造材からの旋削による切削屑を、ボールミルによって粉砕物とした後、実施例1と全く同じ条件の下で、パルス通電焼結法によりこの粉砕物を成形及び焼結した。これをビレットとして実施例1と同じ条件の下で、押し出し比R=110、押し出し温度T=480℃で熱間押し出し加工し、得られた押し出し材の長手方向に室温にて引張強度試験を行った。その引張強度試験の結果は、
引張強さ=415MPa、耐力=364MPa、破断伸び=23%であった。
これらの値は、実施例1における結果を示した図1〜図8において、各添加物の量が0%である左端に図示されている。
(比較例2)
この比較例2は、実施例1と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の鋳造材を、実施例1と同じ条件の下で、押し出し比R=110、押し出し温度T=480℃で押し出し加工し、押し出し材の長手方向に室温にて引張強度試験を行った。その引張強度試験の結果は、
引張強さ=305MPa、耐力=242MPa、破断伸び=18%であった。
(比較例3)
この比較例3は、実施例1と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の鋳造材を、熱間にて押し出し加工後、次いで熱間にて引き抜き加工を施して作製した引き抜き材をその長手方向に室温にて引張強度試験を行った。その引張強度試験の結果は、
引張強さ=286MPa、耐力=198MPa、破断伸び=16%であった。
本実施例2の合金は、AZ91D合金に難燃性付与のため、2.0質量%Caが添加された難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」をベースにした。これに追加添加物として、Mo、Nb、W、Al、MgSi、SiC、の元素、あるいは化合物を表3に示す組成になるように添加した。本実施例2では、該合金の小片状ブロックとして、旋削の切粉である切削屑を用いた。この切削屑をボールミルにより粉砕して粉砕物を得た。この際、追加添加物も同時に添加して、添加物の均質分散複合化を行った。
Figure 0005201570
次にこのボールミルによって調製された難燃性マグネシウム合金の粉砕物をパルス通電焼結法により焼結温度450℃、時間は20分、大気中で固化形成した。次いで、これをビレットとして押し出し比を110、押し出し温度を400℃で熱間押し出し加工を行った。得られた押し出し材の長手方向に試験片を採取して室温にて引張強さ、耐力、破断伸びの試験を行った。その試験結果を表4に一括してまとめた。この結果によれば、いずれの試験片においても、引張強さが419MPa以上、耐力が360MPa以上であり、本発明の効果を確認した。
Figure 0005201570
この結果の各元素あるいは化合物毎のデータを図9から図14に示す。図9はMoを添加した場合、図10はNbを添加した場合、図11はWを添加した場合、図12はAlを添加した場合、図13はMgSiを添加した場合、図14はSiCを添加した場合で、添加量に応じた各引張強さ、耐力、破断伸びについて表示したデータ図である。ちなみに、各図において、添加量が0%における値は比較例4の結果を示している。次に、本実施例2に対応する比較を行ったので、その比較例を示す。
(比較例4)
この比較例4は、実施例2と同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の鋳造材からの旋削による切削屑を、ボールミルによって粉砕物とした後、実施例2と全く同じ条件の下で、パルス通電焼結法によりこの粉砕物を成形及び焼結した。これをビレットとして実施例2と同じ条件の下で、押し出し比R=110、押し出し温度T=400℃で熱間押し出し加工し、得られた押し出し材の長手方向に室温にて引張強度試験を行った。その引張強度試験の結果は、引張強さ=461MPa、耐力=451MPa、破断伸び=8%であった。これらの値は、実施例2における結果を示した図9〜図14において、各添加物の量が0%である左端に図示されている。
(比較例5)
この比較例5は、実施例2と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の鋳造材を、実施例2と同じ条件の下で、押し出し比R=110、押し出し温度T=400℃で押し出し加工し、押し出し材の長手方向に室温にて引張強度試験を行った。その引張強度試験の結果は、引張強さ=360MPa、耐力=260MPa、破断伸び=10%であった。
図1は、難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の粉砕物にCを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図2は、難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の粉砕物にMoを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図3は、難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の粉砕物にNbを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図4は、難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の粉砕物にSiを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図5は、難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の粉砕物にWを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図6は、難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の粉砕物にAlを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図7は、難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の粉砕物にMgSiを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図8は、難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の粉砕物にSiCを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図9は、難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の粉砕物にMoを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図10は、難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の粉砕物にNbを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図11は、難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の粉砕物にWを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図12は、難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2CaM60B+2Ca」の粉砕物にAlを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図13は、難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の粉砕物にMgSiを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。 図14は、難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の粉砕物にSiCを添加した場合の高強度難燃性マグネシウム合金の引張強度試験結果のデータ図である。

Claims (4)

  1. AM60系又はAZ91系マグネシウム合金に0.5〜5.0質量%のカルシウム(Ca)を添加した難燃性マグネシウム合金をベースとして、これに、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、アルミナ(Al)、珪化マグネシウム(MgSi)、及び炭化珪素(SiC)から選択される1種以上の追加添加物を添加して構成される高強度難燃性マグネシウム合金であって、
    前記高強度難燃性マグネシウム合金は、前記追加添加物を添加した後、外力を加えて永久変形を起こさせる塑性加工により製造された合金であり、
    前記追加添加物のモリブデン(Mo)の量は、1.0〜12.0質量%で、
    前記追加添加物のニオブ(Nb)の量は、0.5〜5.0質量%で、
    前記追加添加物のタングステン(W)の量は、5.0〜40.0質量%で、
    前記追加添加物のアルミナ(Al )の量は、1.0〜5.0質量%で、
    前記追加添加物の珪化マグネシウム(Mg Si)の量は、2.0〜6.0質量%で、
    前記追加添加物の炭化珪素(SiC)の量は、0.7〜20.0質量%で、
    あることを特徴とする高強度難燃性マグネシウム合金。
  2. 請求項1に記載された高強度難燃性マグネシウム合金において、
    前記難燃性マグネシウム合金は、該難燃性マグネシウム合金素材から得られる粉砕物からなることを特徴とする高強度難燃性マグネシウム合金。
  3. 請求項に記載された高強度難燃性マグネシウム合金において、
    前記粉砕物は、切削加工で得られる切削屑又はその粉末体であることを特徴とする高強度難燃性マグネシウム合金。
  4. 請求項に記載された高強度難燃性マグネシウム合金において、
    前記塑性加工は、押し出し加工、引き抜き加工、回転鍛造加工及び圧延加工から選択される1種、若しくは2種以上の組み合わせであることを特徴とする高強度難燃性マグネシウム合金。
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