JP2813159B2 - アルミニウム焼結材の製造方法 - Google Patents

アルミニウム焼結材の製造方法

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JP2813159B2 JP7194360A JP19436095A JP2813159B2 JP 2813159 B2 JP2813159 B2 JP 2813159B2 JP 7194360 A JP7194360 A JP 7194360A JP 19436095 A JP19436095 A JP 19436095A JP 2813159 B2 JP2813159 B2 JP 2813159B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム焼結材の製
造方法に係り、特に、加工性の良好なアルミニウム合金
材料を粉末冶金により形成する場合に好適な製造技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から各種合金を粉末状態から加圧成
形し焼結する粉末冶金技術が広く使用されている。この
場合、金属粉末を焼結させるためには、圧粉成形した成
形体を加熱して内部の粒子同士を溶着させる必要がある
ため、金属粉末に酸化皮膜等が形成されている場合に
は、これを還元して除去する必要があるとされていた。
これらの材料としては、比重が小さく、加工性に優れる
という利点を有するアルミニウム合金も存在する。とこ
ろが、アルミニウム合金を粉末冶金により形成する場
合、アルミニウム粉末の表面には安定な酸化皮膜が形成
されているため、これをそのまま焼結させても強度の高
い焼結体を形成することは困難である。
【0003】そこで、アルミニウム粉末及びアルミニウ
ム合金粉末を混合して、予め潤滑剤が塗布された金型内
で真密度比98%以上のプリフォームを形成し、これを
大気中で焼結させるという方法が提案されている。この
方法では、加圧することによってアルミニウム粉末の表
面の酸化皮膜を部分的に破るとともに、高い密度比に圧
粉することによって、焼結時の内部の酸化を抑制してい
る。
【0004】一方、アルミニウム合金を機械構造部に使
用するために、剛性及び耐磨耗性を重視した焼結部品も
開発されている。この場合には、アルミニウム粉末及び
アルミニウム合金粉末に潤滑剤を混合して真密度比を9
0〜93%とし、真空中又は不活性ガス中で焼結させて
いる。この方法も、基本的には上記方法と同様にアルミ
ニウム粉末と硬質粒子とを混合してアルミニウム粉末の
酸化皮膜を一部破ることによって、高い強度を持つ焼結
体を形成するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記前者の方法では、
プリフォームを成形する度に潤滑剤を予め金型内に塗布
する必要があるために生産性が悪く、粉末内に潤滑剤が
混入されていないために複雑な形状に成形することがで
きず、しかも、真密度比を98%以上にするために大き
な加圧力を持つ設備が必要になるという問題点がある。
【0006】また、上記後者の方法では、強度及び耐磨
耗性の高いアルミニウム合金の焼結体が得られ、機械的
構造部品としては充分であるものの、原料粉末中に所定
量の硬質粒子を含有させなければならないため、焼結体
の組成比が限定されるという問題点がある。また、焼結
後に改めて切削加工を行う場合には、真密度比が低いた
めに仕上げ面精度が充分に得られない等、高精度の加工
を施すことが困難であり、また、加工を施す際の切削油
等により付着した汚れが気孔内に付着して除去しにくい
ため、高精度な部品が要求されしかも部品からのガス発
生を嫌うHDD(ハードディスクドライブ)等の精密機
器内の部品としては使用できないという問題点がある。
【0007】そこで、本発明は上記問題点を解決するも
のであり、その課題は、生産性が高く低コストで製造で
きるとともに、後工程における加工性が良好で、しかも
ガス発生の少ない新規のアルミニウム焼結材を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が講じた手段は、酸素含有雰囲気中で形成した
アルミニウム粉末を主成分とする金属粉末に潤滑剤を混
合したものを一軸成形法により圧粉成形して95%以上
98%以下の真密度比を有する成形体を形成し、この成
形体に還元若しくは不活性雰囲気中又は真空中で脱脂処
理を施し、さらに、この成形体を10−3〜10−5
orrの真空中で加熱して焼結体を形成するものであ
る。
【0009】また、酸素含有雰囲気中で形成したアルミ
ニウム粉末を主成分とする金属粉末に潤滑剤を混合した
ものを圧粉成形して95%以上の真密度比を有する成形
体を形成し、この成形体に還元若しくは不活性雰囲気中
又は真空中で脱脂処理を施し、さらに、この成形体を1
−3 〜10 −5 torrの真空中で加熱して焼結体を
形成する方法であって、前記金属粉末にはアルミニウム
に合金化する添加金属の粉末を混合し、該添加金属の粉
末の粒度を前記焼結体の加工表面粗さの要求水準、或い
は前記焼結体に要求されるガス発生水準に応じて許容さ
れる前記焼結体内の気孔径に対応する粒径以下とするも
のである。
【0010】また、前記焼結体を切削液を用いずに切削
加工して製品化することが好ましい。
【0011】
【作用】請求項1によれば、酸素含有雰囲気中で形成し
たアルミニウム粉末を主成分とする金属粉末に潤滑剤を
混合したものを圧粉成形して95%以上の真密度比を有
する成形体を形成することによって、アルミニウム粉末
の表面に充分な酸化皮膜が残存した状態で内部気孔がほ
ぼ閉鎖気孔のみになる程度に圧縮される。この状態で脱
脂により潤滑剤等の有機成分を分解した後、所定の真空
度で焼結を行うことにより、酸化皮膜の介在により粉末
間の溶着度がある一定の度合いに抑制されながら強度の
高い焼結体が得られるため、切削時の切削抵抗が比較的
低く切り屑も短い等の加工の容易な材料が得られるとと
もに、高密度に圧粉されているため切削加工面の粗さも
少なく、溶製材とほぼ同様の仕上げ面が得られる。さら
に、内部気孔がほぼ閉鎖気孔になっているためにガス発
生量も少なく、クリーンな素材が得られる。
【0012】請求項2によれば、金属粉末にアルミニウ
ムに合金化する添加金属の粉末を混合する場合、添加金
属の粉末は焼結時に溶融して周囲のアルミニウムと合金
化するため、当該粉末の占有空間にはほぼその粒径と同
じ径の気孔が発生する。したがって、添加金属の粉末の
粒径を調整することにより焼結体の気孔径を制御するこ
とができる。焼結体の気孔径は、焼結体の加工表面粗
さ、或いは焼結体に要求されるガス発生量に大きく影響
するので、これらを所望のものに調整するには、添加金
属の粉末の粒径を調整すればよいことになる。
【0013】請求項3によれば、上記焼結体は切削加工
性が良好であることから、切削液無しのドライ加工が充
分に可能であり、このドライ加工によって、焼結体の表
面を汚染することなく、圧粉成形では得られない高精度
な形状、複雑な形状を得ることができるので、ガス発生
を嫌うクリーンな精密機械の素材として好ましい。
【0014】
【実施例】次に、添付図面を参照して本発明に係るアル
ミニウム焼結材の実施例について説明する。本実施例
は、アルミニウム合金の焼結体の使用態様として、成形
体の寸法精度を向上させる、圧粉成形では困難な形状を
実現する等の理由から、焼結体にさらに切削加工を施す
場合が多いことに鑑み、アルミニウム合金の切削加工材
としての焼結材を目標として製作したものである。
【0015】本実施例では、表1に示すA20、A60
という2種類の組成比を持つ金属粉末を用いた。A20
は、JIS規格H4000のA2014材に対応するも
のであり、A60は、同A6061材に対応するもので
ある。これらの組成比は、純アルミニウム粉末に、その
他の金属単体の粉末又はこれらの単体金属とアルミニウ
ムとの合金粉末を添加することにより得られる。
【0016】
【表1】
【0017】純アルミニウム粉末は、大気中で行うアト
マイズ法によって形成されたものである。この粉末の平
均粒径は、型内における成形性や流動性を考慮すると小
さい程よいが、材料の調達性、工程管理上の手間、及び
粉塵爆発の防止という観点から100〜150μmとし
た。本発明に用いるアルミニウム粉末としては、後述す
る切削性を確保するためには粒子の表面に酸化皮膜が形
成されている必要があるために大気アトマイズ等の酸素
含有雰囲気中で作成した粉末が要求される。
【0018】銅粉は電解銅粉であり、単体金属の粉末と
して混合する場合には、粒径を30μm以下とする。ア
ルミニウム粉末に所定濃度含有させる場合には、銅を所
定量溶解させたアルミニウム合金をアトマイズ法で10
0〜150μmの平均粒径の粉末とする。
【0019】マグネシウムは、アルミニウムとの重量比
を1対1とした合金をアトマイズ法により粉末化して混
入した。粒径は30μm以下である。また、珪素はイン
ゴットを粉砕して作成したものであり、粒径は30μm
以下とした。
【0020】これらの金属粉末に粉末潤滑剤1〜2wt
%を添加し、混合機を用いて充分に攪拌した。粉末潤滑
剤としては、エチレンジアミンとステアリン酸の有機合
成によるエチレンビスアミド型脂肪酸で構成されるAC
RAWAX−C(GLYCO社の商標)等のアミド系潤
滑剤を用いる。
【0021】このように混合した金属粉末を、プレス機
を用いて1軸成形法により圧粉成形する。この1軸成形
では、ダイに対してパンチを1方向から押し付けるた
め、複雑な形状を得ることはできないが、生産性が高く
なる。複雑な形状は、後述するように切削加工すること
により容易に作成できる。
【0022】アルミニウム粉末を用いた圧粉成形におい
ては、鉄等の他の金属材料よりも低い圧力で成形できる
という利点がある。例えば、鉄粉の場合、真密度を10
0%として算出した真密度比を90%にするためには6
ton/cm2 の成形圧力が必要であり、95%以上の
真密度比を得ることは現実には不可能に近い。これに対
してアルミニウムの場合には、以下の表2に示すよう
に、現実的な範囲において真密度比を97%程度まで上
げることができる。実際には圧粉成形時に固形潤滑剤を
混合することから、98%を越える密度比を得ることは
アルミニウムにおいても困難である。
【0023】
【表2】
【0024】一方、図4には、金属粒子(240メッシ
ュ以下300メッシュ以上の電解銅粉)を圧粉成形して
焼結した場合の全気孔率と、連結気孔(図中正方形)及
び閉鎖気孔(図中丸)の割合との関係を示した。このグ
ラフから判るように、金属粒子の全気孔率が6%程度に
なると、連結気孔がほぼ消失し、殆ど全てが閉鎖気孔に
なる。すなわち、真密度比が95%以上の場合には閉鎖
気孔のみが存在し、連結気孔は殆ど存在しないことにな
る。
【0025】また、上記アルミニウム粉に銅粉を混合す
る場合、加熱すると銅粉がアルミニウムと合金化して融
点を下げてアルミニウム内に拡散するので、後述する焼
結工程において銅は周囲の粒子と合金化し、銅粉の占有
空間は気孔になる。このことは、銅粉の粒径と気孔の大
きさとの間に相関があることを意味する。実際に、アル
ミニウム粉に数wt%の銅粉を混合して圧粉成形し、焼
結させたものについて、形成された焼結体の表面粗さ及
び気孔の平均径を観察した。この結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】表3に示すように、銅粉の粒度と気孔の平
均径とは明らかな相関を示し、焼結体の表面粗さも気孔
の大きさに応じて変化する。従って本実施例では、焼結
材の気孔径を小さくして閉鎖気孔の割合を高めるととも
に焼結材の表面粗さを小さくするために、銅粉を混合す
る方法で焼結材を形成する場合には粒径を小さくして用
いている。実際には銅粉の粒径を30μm以下に制限し
て用いた。また、銅以外の他の微量に混合させるマグネ
シウム、珪素の粒子についても、表面粗さを抑制するた
めに同様に30μm以下とした。
【0028】上記銅粉の粒径は、切削後の表面粗さが所
定の要求水準以下に抑制されるように、さらにガス発生
がなくなるように、気孔の平均径を30μm以下に押さ
えるという観点から行われた。最も、表面粗さやガス発
生の要求水準が変われば、銅粉の粒径も変える必要があ
る。なお、大きい粒径のアルミニウム粉末と、小さい粒
径の銅、珪素、マグネシウム合金の粉末との組合せは、
混合粉末の密度を予め高くできるという理由から、金属
粉末の金型への充填効率の観点から見ても好ましいもの
である。
【0029】以上のような知見に基づいて、本実施例で
は、成形圧力、粒度の調整により真密度比を95〜97
%になるように圧粉成形を行った。成形圧力はほぼ3t
on/cm2 である。
【0030】圧粉成形により形成した成形体を窒素によ
り置換した雰囲気中で温度420℃で1時間の脱脂処理
を行った。この工程は、金属粉末に混合した潤滑剤を分
解させるためのものであり、焼結体の強度を増すために
行われる。この工程は水素等の還元雰囲気中又は真空中
で行ってもよく、また、後述する焼結工程における昇温
時に温度を一時上記温度に維持することによって実施し
てもよい。この脱脂時の温度は一般に400〜450℃
の範囲内で充分に行うことが好ましい。
【0031】次に、上記成形体を真空容器内に収容し
て、温度600℃で1時間の焼結処理を行う。焼結温度
は、500〜600℃の範囲内の温度が好ましく、この
範囲よりも低いと、焼結が不十分になり、逆に高いと組
織が肥大化し、いずれの場合にの焼結体の機械的特性が
劣化する。
【0032】この工程では、予め原料粉末の脱ガス処
理、上記の脱脂工程での脱脂処理を充分に行うか否かに
より焼結材の硬度、結合度に差が出る。また、焼結工程
において、どのような雰囲気で処理を行うかによっても
焼結状態に大きく差が出る。このことを調べるために、
純アルミニウム粉末に、銅粉4.3wt%、珪素粉0.
37wt%、マグネシウム粉0.36wt%を添加した
金属粉末をベースにして圧粉成形を行ったものに対し、
焼結時の雰囲気を変化させて焼結実験を行った。その結
果を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】焼結は温度600℃で1時間行った。この
結果、真空度が低い場合及び還元雰囲気や不活性雰囲気
中で焼結する場合には焼結が不十分であり、真空度が2
×10-4torrの場合には、焼結時の寸法変化がマイ
ナスとなっており、内部の気孔が減少して充分に焼結し
ていることが判る。種々の実験の結果、真空度を10-3
〜10-5torrにすると良好な焼結状態が得られるこ
とが判った。この範囲以上の真空度で焼結を行った場
合、或いはより高い温度で焼結を行った場合には、粒子
が成長して肥大化し、後述する切削性が低下する。
【0035】焼結後、焼結材の表面状態の改善と寸法修
正を行うために上記の圧粉成形と同じプレス型を用いて
圧粉成形時よりもやや強い圧力で加圧してサイジングを
施した。その後、大気中で520℃程度まで加熱し、水
等により急冷後熱処理(T6処理)を行い、アルミニウ
ム焼結材を完成した。この熱処理により焼結材のねばり
が低下し、切削性が向上する。最終的な品質基準は真密
度比95%以上、密度2.57g/cm3 以上であり、
内部の気孔径が30μm以下で均一に分布しているもの
とした。
【0036】上記実施例と同条件で、純アルミニウム粉
末に、30μm以下の粒度の銅粉末を0.1〜0.4w
t%、30μm以下の粒度の珪素粉末を0.4〜1.0
wt%、30μm以下の粒度のマグネシウム合金粉末を
1.6〜2.4wt%、粉末潤滑剤を1〜2wt%を添
加したものを出発原料として焼結材を形成した。また、
銅を0.1〜0.4wt%含有するアルミニウム合金粉
末に、30μm以下の粒度の珪素粉末を0.4〜1.0
wt%、30μm以下の粒度のマグネシウム合金粉末を
1.6〜2.4wt%、粉末潤滑剤を1〜2wt%を添
加したものを出発原料として焼結材を形成した。いずれ
の焼結材も真密度比95%以上、密度2.57g/cm
3 以上で、顕微鏡による観察で30μm以下の径の気孔
が分布していることが確認された。
【0037】このように形成した焼結材を外径30mm
の軸材に形成し、JISのA6061材(溶製材)と比
較して、外周に切削加工を施す実験を行った。この切削
加工では、切削液を使用しないドライ加工にて実施し
た。
【0038】図1には、切削速度、バイトの送り速度、
切り込み量をそれぞれ変えた場合について、切削抵抗を
測定した結果を示す。図中、A〜Fの切削条件は表5に
示されている。切削抵抗は、送り速度、切り込みの大き
い領域で溶製材よりも低くなることが判る。
【0039】
【表5】
【0040】さらに、切削加工後の仕上げ面粗さを測定
し、溶製材の仕上げ面と比較した。この結果を図2に示
す。ここで、仕上げ面粗さと切り込みの関係を示すグラ
フは切削速度250m/min,送り速度0.05mm
/revの条件で行った場合を示す。仕上げ面粗さは、
切り込みの少ない領域、切削速度の大きい領域で通常の
溶製材とほぼ同様になる。特に、送りを0.05mmの
条件で、切削速度を200mm/min以上にすると溶
製材と全く遜色のない仕上げ面が得られることが判る。
【0041】以上のように、切削加工に対しては、送り
速度及び切り込みの大きい領域で溶製材よりも切削抵抗
が低くなり、また、切削速度を高くし、切り込みを少な
くして仕上げ加工を行うことによって、溶製材とほぼ同
様の仕上げ面が得られることから、加工性は溶製材より
も容易で、加工効率上は従来よりも有利になる。仕上げ
面は特に送り量を遅くすることで溶製材に全く遜色のな
い状態が得られる。
【0042】図3には、切削加工を行った場合の切り屑
の形状を示す。溶製材の切り屑は長く繋がって絡み合っ
ているのに対し、焼結材では、切り屑が比較的短く、絡
み合いは全くない。この状態は、上記のように切削速
度、送り速度、切り込みを変えて行った範囲では全て共
通して観察された。
【0043】以上のように、本実施例の方法で形成した
焼結材は、溶製材よりも切削抵抗が低く、切り屑も短く
なることから、充分にドライ加工を行うことができるこ
とが判った。したがって、焼結後に寸法精度をさらに向
上させるため、又は圧粉成形できない複雑な形状を構成
するために切削加工を行う場合、ドライ加工により焼結
材を汚染せずに加工できる。したがって、製品から発生
するガスの水準を低減することができるから、クリーン
度の要求される精密機械の部品等の素材として最適であ
る。しかも、加工時の切削液が不要で後の洗浄工程も不
要となるから、環境を汚染することがなくなるという効
果もある。
【0044】本実施例により形成した焼結材は真密度比
を95%以上としているので、内部の気孔のうち閉鎖気
孔が殆どを占め、また、製造工程中に汚染原因がないた
め、完成後のガス発生が殆どないという利点を持つ。こ
のガス発生の度合いは、ケミカルテストの結果、目標規
格値に対して1/10以下の値で殆ど皆無となり、上記
の全ての焼結材で高品位の溶製材の値と遜色のないレベ
ルになった。
【0045】本実施例で形成した焼結材A20,A60
についての機械的特性を図5及び図6に示す。引張強
さ、伸び及び硬度は全て焼結材の密度が高くなるとそれ
ぞれ向上している。ここで、T6はサイジング後の熱処
理を施したもの、Sは焼結直後のものに対するデータで
ある。A20の密度2.65g/cm3 の製品及びA6
0の密度2.55の製品は共に、熱伝導率は80J/m
2 ・h・℃、熱膨張係数は23×10-6kgf/mm2
である。これらのデータは、本実施例のアルミニウム焼
結材が汎用構造材としても充分な機械的特性を有してい
ることを示すものである。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、酸
素含有雰囲気中で形成したアルミニウム粉末を主成分と
する金属粉末に潤滑剤を混合したものを圧粉成形して9
5%以上の真密度比を有する成形体を形成することによ
って、アルミニウム粉末の表面に充分な酸化皮膜が残存
した状態で内部気孔がほぼ閉鎖気孔のみになる程度に圧
縮される。この状態で脱脂により潤滑剤等の有機成分を
分解した後、所定の真空度で焼結を行うことにより、酸
化皮膜の介在により粉末間の溶着度がある一定の度合い
に抑制されながら強度の高い焼結体が得られるため、切
削時の切削抵抗が比較的低く切り屑も短い等の加工の容
易な材料が得られるとともに、高密度に圧粉されている
ため切削加工面の粗さも少なく、溶製材とほぼ同様の仕
上げ面が得られる。さらに、内部気孔がほぼ閉鎖気孔に
なっているためにガス発生量も少なく、クリーンな素材
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例により製作されたアルミニ
ウム合金焼結材の切削抵抗を溶製材と比較して示すグラ
フである。
【図2】同焼結材の仕上げ面粗さの切削条件に対する影
響を溶製材と比較して示すグラフである。
【図3】切削時の切り屑の形状について溶製材(a)と
焼結材(b)とを比較して示す説明図である。
【図4】金属粉末の連結気孔及び閉鎖気孔の割合と、全
気孔率との関係を示すグラフである。
【図5】焼結材の引張強さと密度との関係、伸びと密度
との関係をそれぞれ示すグラフである。
【図6】焼結材の硬度と密度との関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 1/04 B22F 3/00 - 3/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素含有雰囲気中で形成したアルミニウ
    ム粉末を主成分とする金属粉末に潤滑剤を混合したもの
    一軸成形法により圧粉成形して95%以上98%以下
    の真密度比を有する成形体を形成し、この成形体に還元
    若しくは不活性雰囲気中又は真空中で脱脂処理を施し、
    さらに、この成形体を10−3〜10−5torrの真
    空中で加熱して焼結体を形成することを特徴とするアル
    ミニウム焼結材の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸素含有雰囲気中で形成したアルミニウ
    ム粉末を主成分とする金属粉末に潤滑剤を混合したもの
    を圧粉成形して95%以上の真密度比を有する成形体を
    形成し、この成形体に還元若しくは不活性雰囲気中又は
    真空中で脱脂処理を施し、さらに、この成形体を10
    −3 〜10 −5 torrの真空中で加熱して焼結体を形
    成する方法であって、前記金属粉末にはアルミニウムに
    合金化する添加金属の粉末を混合し、該添加金属の粉末
    の粒度を前記焼結体の加工表面粗さの要求水準、或いは
    前記焼結体に要求されるガス発生水準に応じて許容され
    る前記焼結体内の気孔径に対応する粒径以下とすること
    を特徴とするアルミニウム焼結材の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記焼
    結体を切削液を用いずに切削加工して製品化することを
    特徴とするアルミニウム焼結材の製造方法。
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